ところで、特許文献1に記載のものは、スライドボタンの位置を検出することにより窓サッシの空錠状態を報知するものの、その空錠状態が対処されなかった場合には、その窓サッシの防犯性が低下するおそれがある。
また、使用者が窓サッシを施錠する意図がなく建物から外出した場合にも、その施錠されなかった窓サッシの防犯性が低下するおそれがある。
なお、窓サッシに限らずドア等も含めて、建物の外周壁又屋根に設けられた建具においては、こうした実情は概ね共通したものとなっている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、施錠されていない建具の防犯性が低下することを抑制することのできる建物の防犯装置を提供することを主たる目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
第1の発明は、施錠機構を有する複数の建具が外周壁又は屋根に設けられた建物の防犯装置であって、前記建物において建物使用者が不在となったことを検出する検出手段と、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出された場合に、前記複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを上昇させる防犯レベル上昇手段とを備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、建物において建物使用者が外出したことが検出された場合に、複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルが上昇されるため、使用者によって建物内が監視されない状態になったときであっても、施錠機構が施錠されていない建具の防犯性が低下することを抑制することができる。
なお、建具の防犯レベルを上昇させる態様としては、建具の監視レベルを上昇させることや、建具への物理的な行為に対する阻止レベルを上昇させること等を含むものとする。
第2の発明は、第1の発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出された場合に、前記複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具のみ防犯レベルを上昇させるため、必要最低限の建具において防犯レベルを上昇させることができる。その結果、建具の防犯レベルを不必要に上昇させることを抑制することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出された場合に、前記複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを、施錠機構が施錠されている建具の防犯レベルよりも高くするため、防犯性の低下し易い建具の防犯レベルを他の建具の防犯レベルよりも高くすることができる。その結果、建具の防犯性の低下に応じて適切に防犯レベルを設定することができる。
なお、前記複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを、施錠機構が施錠されている建具の防犯レベルよりも高くする態様としては、施錠機構が施錠されていない建具のみ防犯レベルを上昇させてもよいし、施錠機構が施錠されていない建具以外の建具の防犯レベルを上昇させつつ施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルをより上昇させてもよい。
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない前記建具の防犯レベルを段階的に上昇させるため、建具の防犯レベルの上昇を必要に応じて柔軟に実施することができる。
第5の発明は、第4の発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない前記建具の監視レベルを上昇させる段階へ移行した後に、この建具への物理的な行為に対する阻止レベルを上昇させる段階へと移行するため、建具の防犯レベルを徐々に実効性の高い段階へと移行させることができる。
第6の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない複数の前記建具について所定の順番で防犯レベルを上昇させるため、施錠機構が施錠されていない建具が複数存在する場合に、それらの建具について優先順に応じて順番に防犯レベルを上昇させることができる。
特に、第6の発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない複数の前記建具について、不審者に侵入される危険度の高い建具ほど防犯レベルを上昇させる順番を早くするといった構成を採用することが有効である。
第7の発明は、第4〜第6のいずれかの発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出されてからの経過時間に基づいて、前記施錠機構が施錠されていない前記建具の防犯レベルを上昇させるため、建具から不審者が侵入する危険度の高さに応じて防犯レベルを上昇させることができる。
具体的には、第7の発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出されてからの経過時間に基づいて、前記施錠機構が施錠されていない前記建具の防犯レベルを段階的に上昇させるといった構成や、前記防犯レベル上昇手段は、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出されてからの経過時間に基づいて、前記施錠機構が施錠されていない複数の前記建具について所定の順番で防犯レベルを上昇させるといった構成を採用することができる。
第8の発明は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない前記建具のうち、選択した建具の防犯レベルを上昇させるため、施錠機構が施錠されていない建具のうちで、必要に応じて建具の防犯レベルを上昇させることができる。
特に、第8の発明において、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない前記建具のうち、予め登録されている建具を選択して防犯レベルを上昇させるといった構成や、前記防犯レベル上昇手段は、前記施錠機構が施錠されていない前記建具のうち、前記建具の仕様に基づいて選択した前記建具の防犯レベルを上昇させるといった構成を採用することができる。これらの構成によれば、施錠機構が施錠されていない建具のうち、特に防犯レベルを上昇させる必要のある建具を適切に選択することができる。
第9の発明は、第1〜第8のいずれかの発明において、前記建具の前記防犯レベルを上昇させることは、前記建具に対して設けられた防犯センサの検出に基づく異常の判断を有効にすることを含むため、建具の監視レベルを上昇させることにより建具の防犯性を向上させることができる。
第10の発明は、第1〜第9のいずれかの発明において、前記建具の前記防犯レベルを上昇させることは、前記建具に対して設けられたシャッタを閉じることを含むため、建具への物理的な行為に対する阻止レベルを上昇させることにより建具の防犯性を向上させることができる。
第11の発明は、第1〜第10のいずれかの発明において、前記建物の外部から操作可能な入力操作手段と、前記検出手段により前記建物使用者が不在となったことが検出されてからの経過時間に応じた文字数のパスワードを設定するパスワード設定手段と、前記パスワード設定手段により設定された前記パスワードが前記入力操作手段により入力されることを条件として、前記建具の防犯レベルが前記防犯レベル上昇手段により上昇された状態を解除する解除手段とを備えることを特徴とする。
第11の発明によれば、建物使用者が不在となったことが検出されてからの経過時間に応じた文字数のパスワードが設定され、このパスワードが入力操作手段から入力されなければ建具の防犯レベルが上昇された状態が解除されないようになる。このため、建物使用者が不在となってから時間の経過とともに高くなる不審者の侵入の危険度に応じて、防犯レベルが上昇された状態を解除するための難易度を変更することができる。
第12の発明は、第1〜第11のいずれかの発明において、前記防犯レベル上昇手段により前記建具の防犯レベルを上昇させる機能を停止させる停止スイッチを備えるため、使用者の希望に応じて建具の防犯レベルを上昇させないようにすることができる。
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、電子キーとの間の無線通信によって建物使用者の認証を行うスマートエントリーシステムを備える建物に具体化している。
図1に示すように、本防犯装置が装備されている建物としての住宅は、複数の建具を備えている。複数の建具は、住宅の外周壁に設けられた建具であり、玄関ドア10,勝手口ドア20、引き違い窓30,上げ下げ窓40等を含んでいる。上げ下げ窓40は、不審者が侵入することができないように比較的狭い幅で形成されている。引き違い窓30の屋外側の上部にはシャッタ38が設けられている。このシャッタ38は、その開閉状態を操作ボタン及び制御信号に基づいて変更可能に構成されており、閉められた状態において引き違い窓30の屋外側の面を覆う。なお、複数の建具は、住宅の屋根に設けられた建具を含んでいてもよい。
上記建具には施錠機構がそれぞれ設けられている。具体的には、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30,上げ下げ窓40に、それぞれ電子錠12,電動サムターン22,クレセント錠32,レバー錠42が設けられている。クレセント錠32及びレバー錠42は、手動操作によって施解錠が行われる。
本防犯装置は、制御部60と、上記玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30,上げ下げ窓40の施解錠状態をそれぞれ検出する錠センサ14,24,34,44と、玄関ドア10の開閉状態を検出するドア開閉センサ15と、監視センサとしての人感センサ16,17と、住宅の各使用者(各家人)によって所持されている電子キー56と、住宅の外部から操作可能なキーボード52(入力操作手段)とを備えている。
電子キー56は、送信回路,送信アンテナ,受信回路,受信アンテナ,マイコン等を含んで構成されている。そして、電子キー56は、IDコード(固有の識別情報)に基づいて電子錠12との間で無線通信を行う。また、電子キー56は、制御部60との間でも無線通信可能に構成されている。なお、電子キー56は、車両の電子キーと共通のものを用いることもできる。さらに、電子キー56は、腕時計や携帯電話に電子錠12との送受信回路を組み込んだものを用いることもできる。
電子錠12は、屋外アンテナ部,屋内アンテナ部,送信回路,受信回路,電動サムターン等を含んで構成されている。そして、電子錠12は、電子キー56との無線通信に基づいて玄関ドア10に対する使用者の接近および離間を検出するとともに、制御部60との無線通信に基づいて電動サムターンの施解錠を行う。
錠センサ14,24,34,44は、それぞれ電子錠12の電動サムターン,電動サムターン22,クレセント錠32,レバー錠42の施解錠状態を検出し、その検出結果を無線通信により制御部60に出力する。
人感センサ16は、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30の屋内側周辺を含む検出エリア内の人の存否を検出し、その検出結果を無線通信により制御部60に出力する。人感センサ17は、住宅内において上記建具の周辺以外の各所に設置され、検出エリア内の人の存否を検出し、その検出結果を無線通信により制御部60に出力する。
制御部60は、マイコン,受信回路,受信アンテナ,通報部,モード選択ボタン64,防犯レベル上昇機能の停止スイッチ62等を含んで構成されている。マイコンは、具体的にはCPU,ROM,RAMからなるCPUユニットである。マイコンには、各電子キー56のIDコードが予め記憶されている。そして、マイコンは、電子錠12から入力されたIDコードと予め記憶(登録)されたIDコードとに基づいて使用者の認証を行う。また、マイコンは、ドア開閉センサ15の出力に基づいて玄関ドア10の開閉を検出する。
マイコンは、防犯装置のモードの管理も行っている。防犯装置には、外出警戒モード、在宅警戒モード及び警戒解除モードの3つのモードが用意されている。外出警戒モードは、外出時に設定されるモードである。この外出警戒モードは、電子キー56による正常な解錠がなされない限り、すべての施錠機構の解錠を異常と判断するモードである。この外出警戒モードは、電子錠12において電子キー56により正常な解錠がなされた場合に解除される。在宅警戒モードは在宅時に設定されるモードであり、個別に設定する場合の他、外出警戒モードが電子キー56で正常に解錠された場合にも自動的に設定される。在宅警戒モードでは、引き違い窓30のクレセント錠32の解錠および上げ下げ窓40のレバー錠の解錠は異常と判断されず、人感センサ16,17の検出に基づく異常の判断も停止される。また、警戒解除モードは、すべての施錠機構の異常検出を解除するモードである。これらのモードの切り替えは、制御部60に設けられているモード選択ボタン64を押すことで行われる。
マイコンは、上記錠センサ14,24,34,44の検出結果を入力している。そして、外出警戒モード設定されている状態において、いずれかの施錠機構の解錠がなされたこと(異常解錠)を検出した場合には、通報部より警備会社に通報される。
本実施形態では、制御部60は、在宅警戒モードが選択されている状態において、建物において建物使用者が不在となったことが検出された場合、すなわち電子錠12により住宅から全ての建物使用者が外出したことが検出された場合に、複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを上昇させる防犯レベル上昇制御を行う。ここで、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30は、防犯レベルを上昇させる対象に選択(制御部60に予め登録)されている。一方、上げ下げ窓40は、不審者が侵入することができないように比較的狭い幅で形成されているため、防犯レベルを上昇させる対象に選択(登録)されていない。
防犯レベル上昇機能の停止スイッチ62は、有効にされることにより防犯レベル上昇制御が実行されないようにするものである。
キーボード52は、住宅の門または玄関等に設けられており、住宅の外部から操作可能となっている。キーボード52は、複数のキー及び通信部を有しており、使用者のキー操作によりパスワードが入力され、この入力されたパスワードを制御部60に出力する。具体的には、使用者が電子キー56を所持せずに外出した場合に、防犯レベルが上昇された状態を帰宅時に解除するために、パスワードがキーボード52から入力される。
次に、防犯レベル上昇制御の処理手順について、図2のフローチャートを参照して説明する。本処理は、在宅警戒モードが選択されている状態において、制御部60によって実行される。本防犯レベル上昇制御の実行中に、電子キー56を所持したいずれかの使用者が住宅内へ戻ったと判定された場合には、防犯レベルが上昇された状態が解除された上で本処理は終了される。具体的には、電子錠12によって屋外側から玄関ドア10へ電子キー56が接近したことが検出された後、ドア開閉センサ15によって玄関ドア10が開閉されたことが検出され、更に電子錠12によって玄関ドア10から屋内側へ電子キー56が離間したことが検出された場合に、電子キー56を所持した使用者が住宅内へ戻ったと判定される。
まず、防犯レベル上昇機能を停止させる停止スイッチ62が有効であるか否か判定される(S11)。そして、停止スイッチ62が有効であると判定された場合には(S11:YES)、住宅の使用者が防犯レベル上昇制御を実行することを希望していないと判断されて、本処理は終了される。
一方、この判定において、停止スイッチ62が有効でないと判定された場合には(S11:NO)、全ての使用者が住宅から外出したか否か判定される(S12)。具体的には、電子錠12によって屋内側から玄関ドア10へ電子キー56が接近したことが検出された後、ドア開閉センサ15によって玄関ドア10が開閉されたことが検出され、更に電子錠12によって玄関ドア10から屋外側へ電子キー56が離間したことが検出された場合に、電子キー56を所持した使用者が住宅から外出したと判定される。そして、制御部60に登録されている全ての電子キー56について使用者が外出したと判定された場合に、全ての使用者が住宅から外出したと判定される。なお、住宅の使用者が1人である場合には、制御部60に登録されている1つの電子キー56について使用者が外出したと判定された場合に、全ての使用者が住宅から外出したと判定される。また、建具の屋内側周辺に設けられた人感センサ16と、住宅内において建具の周辺以外の各所に設置された人感センサ17とによって、住宅内に人が存在しないと判定された場合も、全ての使用者が住宅から外出したと判定される。すなわち、電子キー56を所持せずに住宅から外出した使用者がいる場合には、電子錠12による電子キー56の認証によって全ての使用者が外出したことを検出することができないため、人感センサ16,17によって住宅内に人が存在しないことを検出するようにしている。
この判定において、全ての使用者が住宅から外出したと判定された場合には(S12:YES)、複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具があるか否か判定される(S13)。具体的には、錠センサ14,24,34,44の検出結果に基づいて、電子錠12の電動サムターン,電動サムターン22,クレセント錠32,レバー錠42のいずれかが施錠されていない状態であるか否か判定される。すなわち、使用者によって住宅内が監視されない状態になったため、施錠機構が施錠されておらず防犯性が低下するおそれのある建具があるか否か判定する。
一方、全ての使用者が住宅から外出していないと判定された場合には(S12:NO)、住宅内にいずれかの使用者が存在しており、建具の防犯レベルを上昇させる必要がないため、再度、全ての使用者が住宅から外出したか否か判定される(S12)。
上記判定において、複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具があると判定された場合には(S13:YES)、その施錠機構が施錠されていない建具のうちで防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具があるか否か判定される(S14)。具体的には、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30は防犯レベルを上昇させる対象に選択(制御部60に予め登録)されており、上げ下げ窓40は防犯レベルを上昇させる対象に選択(登録)されていない。このため、施錠機構が施錠されていない建具のうちに、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30のいずれかが含まれているか否か判定される。すなわち、施錠機構が施錠されていない建具のうち、防犯レベルを上昇させる必要のある建具が含まれているか否か判定される。
一方、複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具がないと判定された場合には(S13:NO)、防犯性が低下するおそれのある建具が存在しないため、本処理は終了される。
上記判定において、その施錠機構が施錠されていない建具のうちで防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具があると判定された場合には(S14:YES)、その選択されている建具の監視レベルが上昇される(S15)。具体的には、選択されている建具の屋内側周辺に設けられている人感センサ16の検出に基づく異常の判断が有効にされ、異常が発生していると判断された場合には警備会社への通報が行われる。すなわち、全ての使用者が住宅から外出していると判定された状態であるため、電子キー56を所持した使用者が住宅内へ戻ったと判定されていないにも関わらず、選択されている建具の屋内側周辺に人が存在する場合には異常であると判断される。なお、選択されている建具の屋内側周辺に設けられている人感センサ16の検出に基づく異常の判断のみが有効にされ、選択されていない建具および施錠機構が施錠されている建具については、人感センサ16の検出に基づく異常の判断は有効にされない。
一方、その施錠機構が施錠されていない建具のうちで防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具がないと判定された場合には(S14:NO)、その施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを上昇させる必要がないと判断されて、本処理は終了される。
そして、防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具の監視レベルが上昇された後(S15)、所定時間が経過したか否か判定され(S16)、所定時間が経過するまでこの状態が維持される(S16:NO)。具体的には、建具の監視レベルが上昇された後にタイマーによるカウントが開始され、そのカウントに基づいて所定時間が経過したか否か判定される。ここで、この所定時間は、施錠機構の施錠されていない建具から不審者が侵入する可能性が高くなると判定することのできる時間であり、例えば3分間に設定されている。したがって、不審者が侵入する可能性が高くなるまでは、建具の監視レベルが上昇された状態で保持される。
そして、所定時間が経過したと判定された場合には(S16:YES)、防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具の阻止レベルが上昇される(S17)。具体的には、玄関ドア10における電子錠12の電動サムターン、又は勝手口ドア20の電動サムターン22が施錠されていない場合には、それらの電動サムターンが制御信号によって施錠される。また、引き違い窓30のクレセント錠32が施錠されていない場合には、引き違い窓30の屋外側に設けられたシャッタ38が制御信号によって閉じられる。このため、引き違い窓30の防犯レベルは、この住宅においてクレセント錠が施錠されている他の引き違い窓よりも高くされる。なお、選択されている建具のみ施錠機構が施錠され又はシャッタが閉じられ、選択されていない建具および施錠機構が施錠されている建具については、施錠機構が施錠されず(既に施錠されている場合は施錠されたままとする)又シャッタは閉じられない。
こうして防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具の阻止レベルが上昇された後(S17)、この防犯レベルが上昇された状態を解除するためのパスワードが経過時間に応じて設定され(S18)、パスワードの入力があるまで経過時間に応じたパスワードの設定が継続される(S19:NO)。具体的には、建具の監視レベルが上昇された後の経過時間、すなわち住宅から全ての使用者が外出したことが検出されてからの経過時間に応じた文字数のパスワードが設定される。例えば、経過時間が長くなるほど文字数の多いパスワードが設定され、このパスワードの最大文字数が規定されている。このとき、文字数の多い新しいパスワードが設定される場合にも、それまでのパスワードに新たな文字が追加されるようにして、それまでのパスワードと同じ文字数までの部分は変更しないようにすることが有効である。こうした構成によれば、経過時間が長くなって文字数の多いパスワードが設定される度に異なるパスワードを使用者が入力する必要がなく、使用者が予め記憶している最大文字数のパスワードを1文字ずつ入力していくことにより、入力されたパスワードが必要な文字数に達した時に、防犯レベルが上昇された状態が解除されるようにすることができる。
そして、キーボード52によりパスワードが入力された場合には(S19:YES)、防犯レベルが上昇された状態が解除される(S20)。このため、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30は、それぞれ防犯レベルが上昇される前の状態に戻される。すなわち、防犯レベルが上昇される前に、玄関ドア10における電子錠12の電動サムターンや、勝手口ドア20の電動サムターン22が解錠されていた場合には、それらが解錠状態に戻される。また、防犯レベルが上昇される前に、引き違い窓30の屋外側に設けられたシャッタ38が開かれていた場合には、シャッタ38が開かれた状態に戻される。そして、本処理は終了される。なお、パスワードの入力がなされない場合であっても、電子キー56を所持したいずれかの使用者が住宅内へ戻ったと判定された場合には、防犯レベルが上昇された状態が解除された上で本処理は終了される。
なお、S12の処理が建物において建物使用者が不在となったことを検出する検出手段としての処理に相当し、S12〜S18の処理が建具の防犯レベルを上昇させる防犯レベル上昇手段としての処理に相当し、S18の処理がパスワード設定手段としての処理に相当し、S19〜S20の処理が解除手段としての処理に相当する。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
住宅から全ての使用者が外出したことが検出された場合に、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルが上昇されるため、使用者によって住宅内が監視されない状態になったときであっても、施錠機構が施錠されていない建具の防犯性が低下することを抑制することができる。
住宅から全ての使用者が外出したことが検出された場合に、玄関ドア10,勝手口ドア20,引き違い窓30のうち施錠機構が施錠されていない建具のみ防犯レベル(監視レベル及び阻止レベル)が上昇されるため、必要最低限の建具において防犯レベルを上昇させることができる。その結果、建具の防犯レベルを不必要に上昇させることを抑制することができる。
住宅から全ての使用者が外出し且つ引き違い窓30のクレセント錠32が施錠されていない場合には、引き違い窓30の屋外側に設けられているシャッタ38が閉じられるようにしている。このため、引き違い窓30の防犯レベルは、この住宅においてクレセント錠が施錠されている他の引き違い窓よりも高くされる。したがって、防犯性の低下し易い引き違い窓30の防犯レベルを、他の引き違い窓の防犯レベルよりも高くすることができる。その結果、引き違い窓の防犯性の低下に応じて適切に防犯レベルを設定することができる。さらに、こうした構成によれば、電動サムターンが設けられていない引き違い窓30への物理的な行為に対する阻止レベルを上昇させることができる。
施錠機構が施錠されていない建具について、監視レベルを上昇させる段階(人感センサ16の検出に基づく異常の判断を有効にする段階)へ移行させた後に、この建具への物理的な行為に対する阻止レベルを上昇させる段階(電動サムターンを施錠する段階およびシャッタ38を閉じる段階)へと移行させるため、建具の防犯レベルを徐々に実効性の高い段階へと移行させることができる。このように、防犯レベルを段階的に上昇させるため、建具の防犯レベルの上昇を必要に応じて柔軟に実施することができる。
住宅から全ての使用者が外出したことが検出されてから所定時間経過するまでは、施錠機構が施錠されていない建具の監視レベルを上昇させた状態とし、所定時間経過後にその建具の阻止レベルを上昇させた状態としている。このように、住宅から全ての使用者が外出したことが検出されてからの経過時間に基づいて、施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを上昇させるため、建具から不審者が侵入する危険度の高さに応じて防犯レベルを上昇させることができる。
施錠機構が施錠されていない建具のうち、防犯レベルを上昇させる対象に選択(制御部60に登録)されている建具の防犯レベルが上昇されるため、施錠機構が施錠されていない建具のうちで、必要に応じて建具の防犯レベルを上昇させることができる。
住宅から全ての使用者が外出したことが検出されてからの経過時間に応じた文字数のパスワードが設定され、このパスワードがキーボード52から入力されなければ建具の防犯レベルが上昇された状態が解除されないようにしている。このため、全ての使用者が外出してから時間の経過とともに高くなる不審者の侵入の危険度に応じて、防犯レベルが上昇された状態を解除するための難易度を変更することができる。なお、電子キー56を所持したいずれかの使用者が住宅内へ戻ったと判定された場合には、防犯レベルが上昇された状態が解除されるため、使用者が電子キー56を所持して住宅から外出した場合には、防犯レベルが上昇された状態を容易に解除することができる。
建具の防犯レベルを上昇させる機能を停止させる停止スイッチ62を備えるため、使用者の希望に応じて建具の防犯レベルを上昇させないようにすることができる。
上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施することもできる。
上記実施形態では、住宅から全ての使用者が外出したことが検出されてから所定時間が経過したと判定された場合にパスワードを設定するようにしたが、パスワードが設定された状態に移行する前に1文字の解除キーが設定された状態にしてもよい。このような構成によれば、使用者が短時間の外出を行う場合に、キーボード52において1文字の解除キーを押すだけで、防犯レベルが上昇された状態を容易に解除することができる。
上記実施形態では、引き違い窓30のクレセント錠32が施錠されていない場合に、引き違い窓30の屋外側に設けられたシャッタ38が制御信号によって閉じられるようにした。ここで、シャッタ38として、複数のスラットを有するシャッタカーテンが閉じられた状態でスラットの開閉状態を制御可能な可変スラット式電動シャッタが採用されている場合には、シャッタカーテンを閉じた上でスラットを開いた状態にしてもよい。このような構成によれば、引き違い窓30が開けられた状態で使用者が短時間の外出を行う場合に、引き違い窓30の防犯性が低下することを抑制しつつ、屋内への通風を確保することができる。
上記実施形態では、建具の監視レベルが上昇される態様として、建具の屋内側周辺に設けられている人感センサ16の検出に基づく異常の判断が有効にされるようにしたが、建具の屋内側周辺に設けられているカメラやマイクの検出に基づく異常の判断が有効にされるようにしてもよい。また、建具の防犯レベルを上昇させる構成として、建具の周辺で異常が発生していると判断された場合の警報音を大きくする構成や、建具の設けられている部屋の照明を点灯したりテレビのスイッチをONにしたりする構成等を採用することもできる。換言すれば、建具の防犯レベルは、建具および建具付近を含めて、建具から不審者が侵入することを抑制するレベルである。
上記実施形態では、施錠機構が施錠されていない建具のうち、防犯レベルを上昇させる対象として制御部60に予め登録されている建具の防犯レベルが上昇されるようにしたが、制御部60に各建具の仕様を予め記憶させておくとともに、それらの仕様に基づいて制御部60が選択した建具の防犯レベルを上昇させるようにすることもできる。例えば、CP(Crime Prevention)対応の建具であれば、防犯性を高くすべき箇所に設けられていると考えられるため、その建具の防犯レベルを上昇させることが有効である。また、寸法が比較的大きい窓であれば、不審者が侵入し易いと考えられるため、その窓の防犯レベルを上昇させることが有効である。反対に、住宅の2階や3階の窓であれば、不審者が侵入しにくいと考えられるため、その窓の防犯レベルを上昇させないようにしてもよい。また、電子錠12やその他の認証装置によって、電子キー56を所持している使用者が住宅の近辺にいることが検出される場合には、建具の防犯レベルを上昇させないようにしたり、住宅において電子キー56を所持している使用者と反対側に設けられている建具のみ防犯レベルを上昇させたりしてもよい。
上記実施形態では、施錠機構が施錠されていない建具のうち防犯レベルを上昇させる対象に選択されている建具について同時に防犯レベルを上昇させるようにしたが、施錠機構が施錠されていない複数の建具について所定の順番で防犯レベルを上昇させるようにしてもよい。具体的には、施錠機構を有する複数の建具について、防犯レベルを上昇させる順番を制御部60に予め記憶させておき、施錠機構の施錠されていない建具についてこの順番に従って防犯レベルを上昇させればよい。こうした構成によれば、施錠機構が施錠されていない建具が複数存在する場合に、それらの建具について優先順に応じて順番に防犯レベルを上昇させることができる。特に、制御部60は、施錠機構が施錠されていない複数の建具について、不審者に侵入される危険度の高い建具ほど防犯レベルを上昇させる順番を早くするといった構成を採用することが有効である。
上記実施形態では、施錠機構が施錠されていない建具について、監視レベルを上昇させる段階(人感センサ16の検出に基づく異常の判断を有効にする段階)へ移行させた後に、この建具への物理的な行為に対する阻止レベルを上昇させる段階(電動サムターンを施錠する段階およびシャッタ38を閉じる段階)へと移行させるようにしたが、監視レベルを上昇させる段階と阻止レベルを上昇させる段階とを同時に実現させることもできる。また、建具の防犯レベルを上昇させる段階が1段階のみの構成を採用することもできる。
上記実施形態では、施錠機構が施錠されていない建具のみ防犯レベルを上昇させるようにしたが、施錠機構が施錠されていない建具以外の建具の防犯レベルを上昇させつつ施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルをより上昇させてもよい。こうした構成によっても、複数の建具のうち施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを、施錠機構が施錠されている建具の防犯レベルよりも高くすることができる。こうした構成によれば、全ての使用者が住宅から外出した場合に、施錠機構が施錠されている建具の防犯レベルも上昇させつつ、施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを特に上昇させることができる。
上記実施形態では、在宅警戒モードが選択されている状態において防犯レベル上昇制御が実行されるようにしたが、警戒解除モードが選択されている状態において防犯レベル上昇制御が実行されるようにしてもよい。こうした構成によれば、住宅の警戒が行われていない状態において、施錠機構が施錠されていない建具の防犯レベルを上昇させることができるため、不審者の侵入を効果的に抑制することができる。
上記実施形態では、住宅に本防犯装置が装備されるようにしたが、住宅以外の建物に本防犯装置が装備されるようにすることもできる。要するに、施錠機構を有する複数の建具が外周壁又は屋根に設けられた建物であれば、本防犯装置を適用することができる。