本発明の好適な実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1(a)は、本実施形態のパチンコ機の外観を概略的に示した斜視図、図1(b)は、パチンコ機を分解した場合の外観を概略的に示した分解斜視図である。
図1(a)において、パチンコ機1は、遊技場の遊技島に取り付けられる機枠1aと、機枠1aの前面に支持部1bによって回動可能に軸支された内枠1cと、内枠1cの前面に支持部1bによって回動可能に軸支されたフロント扉1dとを有し、機枠1aの下側部分には、遊技球を収容するための受皿1eと、遊技球を打ち出すためのハンドル1f等が設けられている。
遊技場では通常、施錠部(図示省略)を介して内枠1cとフロント扉1dが機枠1aに対して施錠され、遊技機の管理者がメンテナンス等を行うために解錠した場合に限って、内枠1cとフロント扉1dを機枠1aから前面へ回動させて開くことができるようになっている。
更に、図1(b)の分解斜視図にて示すように、フロント扉1dには透明なガラス板1gが固着され、そのガラス板1gを介して遊技者が内枠1cに設けられている遊技盤1hを見ることができるようになっている。フロント扉1dと遊技盤1hの構造についての詳細な説明は省略するが、フロント扉1dの両側部分と上部には、視覚効果と音響効果を高めるための演出用のランプとスピーカ等が設けられており、遊技盤1hの盤面には、複数の入賞口、多数の遊技釘、視覚効果を高めるための演出用のランプや液晶表示パネル、ハンドル1fによって打ち出される遊技球を遊技盤1hの盤面上方へ案内するためのガイドレール等が設けられている。
内枠1cの背面、別言すれば遊技盤1hの背面には、パチンコ機1における遊技動作を全体的に集中制御等する主制御基板を収容した基板ケースと、上述の視覚効果と音響効果を高めるために演出用のランプや液晶表示パネル、スピーカを制御する演出用制御基板を収容した基板ケースが取り付けられている。また、主制御基板を収容した基板ケースと、演出用制御基板を収容した基板ケースの他、遊技機1内に設けられている電源装置や遊技球を配給するための機構等を制御するための各種制御基板を収容した基板ケースも遊技盤1hの背面に取り付けられている。
そして、図1(a)に示したように、内枠1cとフロント扉1dが機枠1aに対して施錠されると、それらの基板ケースは遊技機1内に収容され、外部から見ることができないようになっている。
次に、図2を参照して、上述の基板ケースの構造について説明する。なお、図2(a)は、制御基板を収容して閉じた状態の基板ケースの外観を示す斜視図、図2(b)は、基板ケースの開いた状態を示す斜視図である。また、上述した主制御基板を収容する基板ケースと、演出用制御基板を収容する基板ケースと、その他各種の制御基板を収容する基板ケースも、基本的に同じ構造を有しているため、主制御基板3を収容する基板ケース2の構造について、代表して説明することとする。
図2(a)(b)において、この基板ケース2は、透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のいわゆる硬質のプラスチック材を用いて成形された箱形状のケースであり、主制御基板3を収容する矩形状の第1ケース部4と、第1ケース部4に上方から被さるようにして嵌り合う矩形状の第2ケース部5と、第1ケース部4と第2ケース部5とを回動可能に軸支する蝶番部6とを有している。
第1ケース部4には、上述した遊技盤1h(図1(a)参照)の背面にネジ止め等によって固定するための複数の固定部7が形成され、第1ケース部4の矩形状の底部8には、主制御基板3を載置して固定するための載置部9が一体成形されている。主制御基板3は、ガラスエポキシ樹脂やベークライト樹脂等で成形された絶縁性を有する電気回路基板3aに、CPUとROM、配線用のコネクタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品が搭載され、電気回路基板3aに形成されている配線パターンにそれらの電子部品が半田付けされることで、所定の機能を発揮するようになっている。
更に、第1ケース部4の側壁(符号省略)には複数の嵌合穴10が形成され、第2ケース部5の側壁(符号省略)には複数の舌片状の嵌合突起11が形成されており、図2(a)に示すように第1ケース部4に対して第2ケース部5が閉じられると、それらの嵌合穴10と嵌合突起11とが強嵌合することで、第1,第2ケース部4,5が互いに強固に嵌り合って主制御基板3を収容する。
更に、図2(b)に示すように、第1ケース部4の側壁には、複数(本実施形態では2つ)の平板状のフランジ部12a,12bが形成され、第2ケース部5の側壁には、複数(本実施形態では2つ)の平板状のフランジ部13a,13bが形成されている。また、第1ケース部4に対して第2ケース部5が閉じられると、フランジ部12aと13a、フランジ部12bと13bが対応して接触するように、それらの各フランジ部が位置合わせして予め形成されている。
各フランジ部13a,13bには、後述するマイクロチップMCDが固着されており、第1ケース部4に対して第2ケース部5が閉じられると、フランジ部12a,13aの互いに対向する面が接触すると共に、フランジ部13aのマイクロチップMCDに形成されている後述の接着層MCDhがフランジ部12aの面に接着し、更にフランジ部12b,13bの互いに対向する面が接触すると共に、フランジ部13bのマイクロチップMCDに形成されている後述の接着層MCDhがフランジ部12bの面に接着し、これによって、各組みのフランジ部12a,13aと12b,13b同士が各マイクロチップMCDを介して接着するようになっている。
次に、図3を参照して、マイクロチップMCDの構造及びその製造方法と、マイクロチップMCDのフランジ部13a,13bへの取り付け構造について説明する。なお、図3(a)は、マイクロチップMCDの構造を拡大して示す斜視図、図3(b)は、マイクロチップMCDのフランジ部13a,13bへの取り付け構造を拡大して示す斜視図である。
マイクロチップMCDは、ポリカーボネート樹脂で形成された透明基板MCDaと、その透明基板MCDa上に積層された第1記録層MCDb、第1反射層MCDc、第1保護層(中間層とも言う)MCDd、第2記録層MCDe、第2反射層MCDf、第2保護層MCDg、接着層MCDhを有して構成されている。
ここで、マイクロチップMCDは、厚さが0.7mm程度、縦横の大きさが夫々1cm程度となっている。透明基板MCDaは、厚さが0.5mm程度、縦横の大きさが1cm程度となっている。
第1記録層MCDbは、スパッタ法によって透明基板MCDa上に薄膜形成されたアモルファス金属から成り、所定波長(本実施形態では、650nm)の所定パワーのレーザ光が照射されると結晶化と非結晶化の状態に可逆変化して、情報の記録と消去を繰り返し行えるようになっている。つまり、記録すべき情報に基づいて変調した所定パワーのレーザ光を第1記録層MCDbに照射すると、その照射した部分が結晶化されて反射率が変化し、情報を記録することが可能となっている。また、所定の強パワーのレーザ光を結晶化されている部分に照射して加熱してから冷却すると、結晶状態を溶かして非結晶化させることができ、この非結晶化の状態にすることで情報を消去することが可能となっている。このように、アモルファス金属によって薄膜形成された第1記録層MCDbに、レーザ光を照射することによって結晶化と非結晶化とを行うことで、情報の記録と消去、更に情報の再起録と再消去を何回でも行うことが可能となっている。
第2記録層MCDeも、第1記録層MCDbと同様に、薄膜形成されたアモルファス金属から成り、所定波長(本実施形態では、650nm)の所定パワーのレーザ光が照射されると結晶化と非結晶化の状態に可逆変化して、情報の記録と消去を繰り返し行えるようになっている。なお、第2記録層MCDeは、スパッタ法によって第1保護層MCDdに薄膜形成されている。
第1保護層MCDdと第2保護層MCDgは、夫々0.1mm程度の厚さの透明なプラスチック、例えば紫外線硬化樹脂等で形成されており、夫々スピンコート法によって薄い膜として形成されている。
第1反射層MCDcと第2反射層MCDfは、金やアルミニウム等の金属で薄膜形成され、第1反射層MCDcは第1保護層MCDdに蒸着、第2反射層MCDfは第2保護層MCDgに蒸着して形成されている。
そして、第1記録層MCDbと第1反射層MCDcを面接触させ、また、第2記録層MCDeと第2反射層MCDfを面接触させて、透明基板MCDaと第2保護層MCDgの両側から機械的に圧接することで、第1記録層MCDbと第1反射層MCDcとが機械的に接着され、また、第2記録層MCDeと第2反射層MCDfとが機械的に接着されている。
第2保護層MCDgの裏面(第2反射層MCDfが接している面とは反対側の面)には、高い剥離強度を有するアクリル系粘着剤等の接着剤から成る接着層MCDhが塗設されている。
以上に説明した構造を有するマイクロチップMCDが、図3(b)に示すように、透明基板MCDaを上、接着層MCDhを下に向けて、フランジ部13a,13bに夫々形成されている矩形状の穴13aa,13bb内に嵌装され、透明基板MCDaの周縁部と穴13aa,13bbの壁面との間に充填された紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等の接着剤によって固着されている。更に、下に向けて穴13aa,13bb内に挿入された各マイクロチップMCDの接着層MCDhが、穴13aa,13bbから出っ張らないように、各接着層MCDhとフランジ部13aa,13bbの底面とを面一にして、各透明基板MCDaの周縁部と穴13aa,13bbが、上述の紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等の接着剤によって固着されている。
そして、図2(a)に示したように第1ケース部4に対して第2ケース部5が閉じられると、図4(a)(b)の断面図にて示すように、フランジ部13aに設けられたマイクロチップMCDの接着層MCDhがフランジ部12aの面に接着し、更にフランジ部13bに設けられたマイクロチップMCDの接着層MCDhがフランジ部12bの面に接着し、これによって、各組みのフランジ部12a,13aと12b,13b同士が各マイクロチップMCDを介して接着する。また、フランジ部13aに設けられたマイクロチップMCDの透明基板MCDaは穴13aaから外部に露出し、フランジ部13bに設けられたマイクロチップMCDの透明基板MCDaも穴13bbから外部に露出する。
そして、これらのマイクロチップMCDとフランジ部12a,12b,13a,13bとの構造によって不正防止手段が実現されている。
次に、マイクロチップMCDに形成されている第1,第2記録層MCDb,MCDeへの情報記録と消去を行うための装置(以下、「情報記録再生装置」と称する)について、図5を参照して説明する。
図5に示す情報記録再生装置100は、第1,第2記録層MCDb,MCDeへの情報記録と消去の他、第1,第2記録層MCDb,MCDeに既に記録されている情報を光学的に読み取って再生する機能を有している。更に、人間が手に持って操作することが可能な小形の装置として形成されている。
情報記録再生装置100は、所定波長(650nm)のレーザ光を射出するレーザダイオード101と、コリメートレンズ102、レーザ光の射出方向に対して直交する面においてコリメートレンズ102を偏倚させるビームスキャン用の2軸アクチュエータ103、対物レンズ104、対物レンズ104を進退移動させて自動的にフォーカシングを行うための1軸アクチュエータ105、コリメートレンズ102と対物レンズ104との間に設けられたビームスプリッタ(ハーフミラー)106、集光レンズ(コリメートレンズ)107、CCD等の受光素子108とを備え、図示していない制御回路によって、レーザダイオード101と2軸アクチュエータ103と1軸アクチュエータ105と受光素子108とを制御するようになっている。更に、情報記録再生装置100には、液晶表示パネルが設けられており、制御回路による制御の下で後述する再生された情報等を表示するようになっている。
そして、対物レンズ104が収容されている鏡筒(図示省略)をマイクロチップMCDの透明基板MCDaに近接させて使用される。
情報記録再生装置100が第1記録層MCDbに情報を記録する際には、レーザダイオード101から情報を記録するための所定パワーに設定されたレーザ光であって、記録すべき情報に基づいて変調されたレーザ光が射出される。更に、レーザ光はコリメートレンズ102によって平行光とされ、ビームスプリッタ106を通って対物レンズ104で収束され、微細なスポット光となって、透明基板MCDaを介して第1記録層MCDbに照射され、そのスポット光によって第1記録層MCDbに情報記録が行われる。
ここで、スポット光の照射によって第1記録層MCDbから反射されてくる反射光が対物レンズ104とビームスプリッタ106と集光レンズ107を介して受光素子108に入射し、上述の制御回路が受光素子108で検出される反射光の受光パターンに基づいて第1記録層MCDbに対する対物レンズ104の合焦状態を判断して1軸アクチュエータ105を自動制御する。この自動制御によって、対物レンズ104で収束されるスポット光が第1記録層MCDbに対して合焦するようになっている。更に、2軸アクチュエータ103がコリメートレンズ102を所定のピッチ間隔ずつ偏倚させることで上述の平行光の角度を変化させ、第1記録層MCDbに対するスポット光の照射位置を偏倚させる。つまり、2軸アクチュエータ103によってスポット光を偏倚させることで、第1記録層MCDbに対して走査させ、第1記録層MCDbに情報を順次に記録するようになっている。
次に、情報記録再生装置100が第1記録層MCDbに記録されている情報を再生する際には、レーザダイオード101から情報を再生するための所定パワーに設定されたレーザ光が射出される。更に、レーザ光はコリメートレンズ102によって平行光とされ、ビームスプリッタ106を通って対物レンズ104で収束され、微細なスポット光となって、透明基板MCDaを介して第1記録層MCDbに照射される。ここで、上述した情報記録の場合と同様に、1軸アクチュエータ105によるフォーカシングと、2軸アクチュエータ103による走査が行われることで、第1記録層MCDbに記憶されている情報を含んだ反射光が対物レンズ104に入射し、ビームスプリッタ106と集光レンズ107を介して受光素子108に入射する。そして、受光素子108で時々刻々と検出される反射光の受光パターンを上述の制御回路が解析し、記憶されている情報を再生(復調)して、情報記録再生装置100に設けられている上述の液晶表示パネルに表示する。
次に、情報記録再生装置100が第1記録層MCDbに記録されている情報を消去する際には、レーザダイオード101から情報を消去するための所定パワーに設定されたレーザ光が射出される。なお、アモルファス金属によって薄膜形成された第1記録層MCDbの情報記録されている部分を非結晶化するためには、強パワーのレーザ光が必要であるため、上述した記録または再生の際にレーザダイオード101から射出されるレーザ光よりも強パワーのレーザ光が射出される。更に、上述した情報記録の場合と同様に、1軸アクチュエータ105によるフォーカシングと、2軸アクチュエータ103による走査が行われることで、スポット光が透明基板MCDaを介して第1記録層MCDbの情報記録されている部分に照射され、その照射された部分を非結晶化して情報の消去が行われる。
情報記録再生装置100が第2記録層MCDeに情報を記録する際には、レーザダイオード101から情報を記録するための所定パワーに設定されたレーザ光であって、記録すべき情報に基づいて変調されたレーザ光が射出される。更に、レーザ光はコリメートレンズ102によって平行光とされ、ビームスプリッタ106を通って対物レンズ104で収束され、微細なスポット光となって、透明基板MCDaを介して第2記録層MCDeに照射され、そのスポット光によって第2記録層MCDeに情報記録が行われる。なお、第1記録層MCDbと第1反射層MCDcが650nmのレーザ光に対して半透明性を有しており、スポット光を第2記録層MCDeに対して合焦させることで、そのスポット光によって第2記録層MCDeへの情報記録が行われる。
ここで、スポット光の照射によって第2記録層MCDeから反射されてくる反射光が対物レンズ104とビームスプリッタ106と集光レンズ107を介して受光素子108に入射し、上述の制御回路が受光素子108で検出される反射光の受光パターンに基づいて第2記録層MCDeに対する対物レンズ104の合焦状態を判断して1軸アクチュエータ105を自動制御する。この自動制御によって、対物レンズ104で収束されるスポット光が第2記録層MCDeに対して合焦するようになっている。更に、2軸アクチュエータ103がコリメートレンズ102を所定のピッチ間隔ずつ偏倚させることで上述の平行光の角度を変化させ、第2記録層MCDeに対するスポット光の照射位置を偏倚させる。つまり、2軸アクチュエータ103によってスポット光を偏倚させることで、第2記録層MCDeに対して走査させ、第2記録層MCDeに情報を順次に記録するようになっている。
次に、情報記録再生装置100が第2記録層MCDeに記録されている情報を再生する際には、レーザダイオード101から情報を再生するための所定パワーに設定されたレーザ光が射出される。更に、レーザ光はコリメートレンズ102によって平行光とされ、ビームスプリッタ106を通って対物レンズ104で収束され、微細なスポット光となって、透明基板MCDaを介して第2記録層MCDeに照射される。ここで、上述した情報記録の場合と同様に、1軸アクチュエータ105によるフォーカシングと、2軸アクチュエータ103による走査が行われることで、第2記録層MCDeに記憶されている情報を含んだ反射光が対物レンズ104に入射し、ビームスプリッタ106と集光レンズ107を介して受光素子108に入射する。そして、受光素子108で時々刻々と検出される反射光の受光パターンを上述の制御回路が解析し、記憶されている情報を再生(復調)して、情報記録再生装置100に設けられている上述の液晶表示パネルに表示する。
次に、情報記録再生装置100が第2記録層MCDeに記録されている情報を消去する際には、レーザダイオード101から情報を消去するための強パワーのレーザ光が射出され、上述した情報記録の場合と同様に、1軸アクチュエータ105によるフォーカシングと、2軸アクチュエータ103による走査が行われることで、スポット光が透明基板MCDaを介して第2記録層MCDeの情報記録されている部分に照射され、その照射された部分を非結晶化して情報の消去が行われる。
次に、図6を参照して、夫々のマイクロチップMCDに記録される情報について説明する。なお、図6(a)は、マイクロチップMCDに記録されるマイクロバーコードを拡大して示す説明図、図6(b)はマイクロチップMCDに記録される目視可能な情報を、透明基板MCDa側から見た場合を示す説明図である。
図6(a)に示すように、マイクロチップMCDの第1記録層MCDbまたは第2記録層MCDeの一方に、微細な多数のバーから成るマイクロバーコードが記録される。個々のバーの幅は約1μm程度、隣接するバーとバーとの最小間隔が約2μmに決められている。上述したレーザ光によって最小間隔の整数倍の間隔で多数のバーを記録することでマイクロバーコードが記録され、更にバーが記録された部分とバーが記録されない部分との配列によって、意味を有する情報が記録されるようになっている。
例えば、遊技機1と基板ケース2と主制御基板3の夫々の製造番号(ID番号)、製造メーカーの名称、製造場所、製造年月日と、マイクロチップMCDの製造番号(ID番号)、マイクロチップMCDの基板ケース2における取り付け場所、その他に、遊技機1と基板ケース2と主制御基板3とマイクロチップMCDとを関連付ける情報(遊技機メーカや遊技機の管理者等以外の所謂部外者には公開されない情報)などが、マイクロバーコードによって記録される。
なお、上述した関連付ける情報については、秘密情報であることから詳細に説明することができないが、例えば、遊技機1と基板ケース2と主制御基板3とマイクロチップMCDについてランダムに生成した個々の数字列A(i)とB(j)とC(n)とD(m)を管理情報とし、それらの数字列A(i)とB(j)とC(n)とD(m)を組み合わせて所定の暗号キーに基づいて暗号化し、その暗号化した情報を上述した関連付ける情報として記録する等の方法が採られている。これにより、管理情報と上述の暗号キーに対応する復号化キーを管理している遊技機の管理者等の守秘義務を有する特定の者だけが、情報記録再生装置100を用いて情報再生を行い、液晶表示パネルに表示されたマイクロバーコードの情報を見ることで、遊技機1と基板ケース2と主制御基板3とマイクロチップMCDとの関連性を知ることができ、不正行為者に対し強力な不正防止対策を講じることが可能となっている。
更に、上述のマイクロバーコードは、夫々のマイクロチップMCDの第1記録層MCDbまたは第2記録層MCDeのいずれか一方にのみ記録され、且つどちらの記録層に記録されたか、守秘義務を有する遊技機の管理者等以外の者には非公開となっている。これにより、マイクロバーコードの情報が不正行為者に知られないようにして、マイクロバーコードの不正な模倣等を防止している。
更に、各マイクロチップMCDがフランジ部13a,13bの何れに設けられているかが守秘義務を有する遊技機の管理者等以外の者には非公開となっている。つまり、フランジ部13aのマイクロチップMCDは必ずフランジ部13aに設けられもの、且つフランジ部13bのマイクロチップMCDは必ずフランジ部13bに設けられものということではなく、非公開の下で、フランジ部13aのマイクロチップMCDがフランジ部13bに設けられ、且つフランジ部13bのマイクロチップMCDがフランジ部13aに設けられ、或いは、フランジ部13aのマイクロチップMCDがフランジ部13aに設けられ、フランジ部13bのマイクロチップMCDがフランジ部13bに設けられようになっている。このように、各マイクロチップMCDがフランジ部13a,13bの何れに設けられるかかが非公開となっているため、不正行為者に知られないようにしてマイクロバーコードの不正な模倣等を防止することができるようになっている。
また、上述のマイクロバーコードは微細なバーの集合であることから、人間が見ても情報の意味を読み取ることができないため、図6(b)に示すように、人間が目視によって認識することが可能な文字や記号、図形等のパターンが、マイクロコードの記録された記録層以外の記録層に記録されている。つまり、第1記録層MCDbにマイクロコードが記録される場合には、第2記録層MCDeに目視可能なパターンが記録され、第2記録層MCDeにマイクロコードが記録される場合には、第1記録層MCDbに目視可能なパターンが記録され、この目視可能なパターンが記録される記録層も非公開となっている。
ここで、目視可能なパターンは、上述した情報記録再生装置100によって記録され、記録がなされる第1記録層MCb或いは第2記録層MCeに照射されるスポット光により点描画される。つまり、1つのスポット光では極めて微細なパターンしか形成されないため、スポット光を2次元的に走査させて、多数の点描画を行い、その多数の微細なパターンの集合によって、文字や記号、図形等のパターンが記録されるようになっている。なお、図6(b)には、一例として、遊技機1と基板ケース2と主制御基板3の夫々の製造番号(ID番号)、製造メーカーの名称、製造場所、製造年月日等が目視可能な大きさで記録された場合が示されている。
図4(a)(b)に示したように第1,第2ケース部4,5が閉じられて例えば遊技機1内に設けられている場合に、不正行為者が遊技機1を解錠して、第1,第2ケース部4,5を無理矢理にこじ開けると、フランジ部13a,13bが離れることによって各マイクロチップMCDの第1記録層MCDbと第1反射層MCDcが剥離されて破損し、更に第2記録層MCDeと第2反射層MCDfが剥離されて破損する。つまり、透明基板MCDaは紫外線硬化樹脂等の接着剤によってフランジ部13a,13bの穴13aa,13bbに強固に固着され、保護層MCDgは接着層MCDhによってフランジ部12a,12bの面に強固に接着されているため、機械的に圧着され接着力の弱い第1記録層MCDbと第1反射層MCDc、更に第2記録層MCDeと第2反射層MCDfが剥離されて破損する。
そして、図6(b)に例示した文字や記号、図形等の目視可能なパターンも破損し、遊技機1の管理者がその破損されたパターンを見ることで、不正が成されたことを知ることができる。
以上に説明したように、本実施形態の遊技機1によれば、第2ケース部5の一端(具体的にはフランジ部13a,13b)に複数のマイクロチップMCDの各透明基板MCDaを固着させておき、その第2ケース部5と主制御基板3が収容された第1ケース部4とを閉じることで、夫々のマイクロチップMCDに形成されている接着剤MCDhを第1ケース部4の一端(具体的にはフランジ部12a,12b)に接着させ、基板ケース2の開閉を禁止する不正防止手段が構成されている。そして、不正行為者が基板ケース2を不正に開ける、すなわち第1,第2ケース部4,5を開けると、夫々のマイクロチップMCDに形成されている第1記録層MCDbと第2記録層MCDeが破損し、目視可能なパターンも破損するため、遊技機1の管理者がその破損したパターンを透明基板MCaを介して目視するだけで、不正が成されたことを知ることができ、その不正に対し防止対策を講じることができる。
更に、各マイクロチップMCDがフランジ部13a,13bの何れに設けられているかが守秘義務を有する遊技機の管理者等以外の者には非公開となっているため、マイクロバーコードの情報が不正行為者に知られないようにして、マイクロバーコードの不正な模倣等を防止することが可能である。
更に、基板ケース2に複数のマイクロチップMCDが設けられるため、不正行為者が基板ケース2を不正に開けると、それらのマイクロチップMCDの記録層が破損することとなる確率が高くなり、遊技機1の管理者が不正を発見する確率も高くなることから、効果的な不正防止対策を講じることができる。
また、マイクロチップMCDは簡素な構造であり、且つ複雑な製造工程によらず製造することができるため、コストの低減が可能である。例えば、図3(a)には単体のマイクロチップMCDが示されているが、より大きな透明基板MCDaに、第1記録層MCDb、第1反射層MCDc、第1保護層MCDd、第2記録層MCDe、第2反射層MCDf、第2保護層MCDg、接着層MCDhを積層した中間生成物を製造し、その中間生成物を裁断して多数のマイクロチップMCDを大量生産することにより、製造コストの低減を図ることが可能である。
また、複数のマイクロチップMCDを第2ケース部5の一端に固着するだけで、第1,第2ケース部4,5を閉じたときに、その第1,第2ケース部4,5の間にマイクロチップMCDを介在させた不正防止手段としての構造を実現することができ、使い勝手の向上を図ることが可能である。
また、マイクロチップMCDに記録されているマイクロバーコードを情報記録再生装置100によって読み取り再生することで、不正行為が成されたか否かを確実に調べることができる。
また、マイクロチップMCDは、情報の記録と消去、再起録、再消去を行うことができるものであるため、例えば遊技機1の管理者が、情報記録再生装置100を用いてマイクロバーコードの情報を適宜更新したり、目視可能な文字や記号、図形等のパターンを適宜更新することで、不正行為者の不正に対してより効果的な予防対策を施すことが可能である。
なお、以上の説明では、第2ケース部5のフランジ部13a,13bにマイクロチップMCDを固着しておき、第1,第2ケース部4,5が閉じられると、マイクロチップMCDに形成されている接着層MCDhが第1ケース部4のフランジ部12a,12bに接着する構造となっているが、第1ケース部4のフランジ部12a,12bにマイクロチップMCDを固着しておき、第1,第2ケース部4,5が閉じられると、マイクロチップMCDに形成されている接着層MCDhが第2ケース部5のフランジ部13a,13bに接着する構造としてもよい。つまり、第1,第2ケース部4,5は便宜上の名称であり、第1ケース部4が第2ケース部、第2ケース部5が第1ケース部であってもよい。
また、以上に説明した実施形態では、基板ケース2に、2つのマイクロチップMCDを設けることとしているが、3つ以上のマイクロチップMCDを設けてもよい。この場合、第1,第2ケース部4,5に、互いに対応する3つ以上のフランジ部を形成し、第2ケース部5に形成した各フランジ部にマイクロチップMCDを固着してもよい。また、第1,第2ケース部4,5の夫々に1つ以上のフランジ部を形成して互いに対応するように形成しておき、第2ケース部5に形成したフランジ部に複数のマイクロチップMCDを固着する構造としてもよい。
このように、2個上のより多くのマイクロチップMCDが第1,第2ケース部4,5の間に介在して、第1,第2ケース部4,5を接着する構造とすることにより、不正行為を更に発見し易くなり、不正行為に対する効果的な防止対策を講じることができる。
また、以上の説明では、主制御基板3を収容する基板ケース2に設けられた不正防止手段の構造について代表して説明したが、演出用制御基板を収容する基板ケースや、その他各種の制御基板を収容する基板ケースにも同様の不正防止手段の構造が適用されているため、それらの基板ケースが基板ケース2と同様に開けられると、不正行為を発見することが可能となる。
また、パチンコ機の実施形態について説明したが、本発明は、各種の制御基板を基板ケース内に収容して取り付けが行われる遊技機全般に適用することができ、例えばスロットマシン等にも適用することができる。