JP5314738B2 - 収納具 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の引き出しを備えた収納具に関する。
従来、複数の引出しを備えた収納具(特許文献1及び特許文献2参照)は、複数の引出しと当該複数の引出しをそれぞれ収納する複数の小部屋を設けた筐体とを備えていた。例えば、図5に示すように、同一形状かつ同一寸法の複数の引出し(図5(b)に1つの当該引出しを示す)と、これら引出しを収納するための複数の小部屋が3行3列のマトリックス状に配置された筐体(図5(a)参照)とにより収納具が構成される。
そして、当該収納具が設置された場所に応じ、地震や振動等によりこれら引出しが対応する上記小部屋から飛び出すことを防止し、また、引き出しの内容物が収納具から飛び出すことを防止するために、それぞれの引出しと筐体とは、ネジにより固定される構造が取られる場合もある(特許文献1参照)。
特開2001−137052号公報 特開2000−223867号公報
しかし、従来の収納具は、引出しの前板に設けられた引き出し用ネジ孔23と筐体に設けられた筐体用ネジ孔14とを雄ネジで固定するために、筐体用ネジ孔14が、各列の小部屋の両側にそれぞれ上下方向(Z方向)に1列ずつ配置されていた(図5(a)参照)。言い換えれば、隣り合う列の小部屋の間には、幅方向(X方向)に所定の間隔を空け且つ上下方向(Z方向)に2列のネジ孔が筐体に配置されていた。
かように各列の小部屋の両側にそれぞれ1列ずつの筐体用ネジ孔14が配置されているのは、引出しの前板を対応する小部屋の両側で筐体に固定するためであり、上述のように、引出しが対応する小部屋から飛び出すことを防止し、また、引出しの内容物が収納具から飛び出すことを防止するためには、最も効果的な固定方法の1つである。
このため、従来の収納具においては、引出し用ネジ孔23及び筐体用ネジ孔14と同一寸法のネジを用いて引出しの前板を対応する小部屋の両側で筐体に固定する固定手段を採用しつつ隣り合う列の小部屋の間隔を小さくするには限界があり、結果的に、引出しの容量を変えずに収納具の小型化を図ることが困難となっていた。
本発明は、かかる事情を鑑みて成されたものであって、引出しの前板を対応する小部屋の両側で筐体に固定する固定手段を採用しつつ隣り合う列の小部屋の間隔を小さくして、小型化を可能とした収納具を提供することを目的とする。
本発明の収納具は、第1の引出し用前板を備えた第1の引出しと、第2の引出し用前板を備えた第2の引出しと、前記第1の引出しが挿入される第1の小部屋と前記第2の引出しが挿入される第2の小部屋とを仕切る仕切板を備えた筐体と、固定手段とを有し、前記第1の引出し用前板と前記第2の引出し用前板とは前記仕切板上で互い違いに嵌め合い且つ前記仕切板上で引出し方向に重なり合わず、前記第1の引出し用前板と前記第2の引出し用前板はそれぞれ前記固定手段によって前記第1の小部屋の両側または前記第2の小部屋の両側で前記筐体に固定されることを特徴とする。
本構成によれば、第1の引出し用前板と前記第2の引出し用前板とは前記仕切板上で互い違いに嵌め合う構成であるため、第1の小部屋と第2の小部屋との間隔、すなわちこれらを仕切る仕切板の厚みを従来に比べて小さくした上、第1の引出し用前板を固定手段によって第1の小部屋の両側に固定し、第2の引出し用前板を固定手段によって第2の小部屋の両側に固定することが可能となる。
本発明によれば、引出しの前板を対応する小部屋の両側で筐体に固定する固定手段を採用しつつ隣り合う列の小部屋の間隔を小さくして、引出しの容量を従来の収納具の引出しの容量から変えずに小型化を可能とした収納具を提供することができる。
実施形態の収納具の模式図(正面図)である。 図1の収納具の筐体(すべての引出しを取り除いた状態の収納具)を示す模式図(斜視図)である。 図1の収納具の1つの引出しを示す模式図である。図3(a)は、当該引出しの斜視図であり、図3(b)は、当該引出しの上面図である。 図4(a)は図3の引出しの前板を示す模式図である。図4(b)及至図4(d)は、それぞれ引出しの前板の変形例を示す模式図である。 従来の収納具の模式図である。図5(a)は、収納具の筐体(すべての引出しを取り除いた状態の収納具)の模式図(斜視図)であり、図5(b)は、当該引出しの模式図(斜視図)である。
以下に実施形態を示す本発明の収納具は、筐体の対応する小部屋にそれぞれ挿入される複数の引出しのうち、これら小部屋を仕切る仕切板を挟んで隣り合う2つの引出しの引出し用前板が、当該仕切板上で、互い違いに嵌め合い又は互い違いに組み合わせされ且つこれらが互いに引出し方向に重なり合わない状態となる形状であることによって、各引出しを対応する小部屋の両側で筐体に固定することができるとともに小型化を可能とすることを特徴の1つとしている。以下、図面を参照しながら詳述する。
図1は、実施形態の収納具1の構成を示す模式図である。また、図2は、図1の収納具1の筐体2のみを示す模式図であり、図3は、図1の収納具1の引出し3の一例を示す模式図である。なお、以下に示す図にXYZ直行座標系が示されている場合には、それらはいずれも同一の直交座標系である。また、以下に寸法として示すw、w、w、w、h、D、d及びdは、いずれも正の実数である。
収納具1は、−Y方向に開口した直方体状の小部屋を高さ方向(+Z方向)に3つ且つ幅方向(X方向)に3つ配置した筐体2、すなわち3行×3列の行列として整然と配置された実質的に同一寸法の複数の小部屋を備えた筐体2と、当該小部屋のそれぞれに配置され且つ当該小部屋の開口から+Y方向に挿入されて当該開口を閉じる直方体状の引出し3とを備えている。
ここでは、引出し3に電子機器、例えば電池モジュールや電気回路等の発熱体を内容物として収納することを想定し、これを効果的に温度調整(例えば、冷却)するために、複数の小部屋が配置される列ごとに後述の「煙突状空間」を収納具1が備える例を示す。
筐体2は、上記複数の小部屋を形成すべく、所定の厚みを備え且つXZ平面から見て略長方形の形状の背板4と、所定の厚みを備え且つXY平面から見て略長方形の形状であって且つ背板4のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺に接続された天板5(なお、天板5には、天板5が接する3つの上記小部屋に対応する位置に、それぞれ後述の通気孔13と同様の形状・構造の通気孔12aが形成されている)と、天板5と同一寸法であって背板4のX方向に延びる2つの辺のうち−Z方向側に位置する一辺に接続された底板6(なお、底板6には、底板6が接する3つの上記小部屋に対応する位置に、それぞれ後述の通気孔13と同様の形状・構造の通気孔12bが形成されている)と、所定の厚みを備え且つYZ平面から見て略長方形の形状であって且つ背板4のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺と天板5及び底板6のY方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺とにそれぞれ接続された側板9aと、所定の厚みを備え且つYZ平面から見て略長方形の形状であって且つ背板4のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺と天板5及び底板6のY方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺とにそれぞれ接続された側板9bとを備える。
また、筐体2は、これら背板4、天板5、底板6、及び2つの側板9(側板9aと9b)が上述のように互いに接続された構成(筐体2の「外枠」という)の内側の空間を3×3の行列状に仕切って9つの上記小部屋を形成するため、次に述べる第1仕切板10と第2仕切板11とを備える。
さらに、筐体2は、底板6の3つの通気孔12bのそれぞれから3つの各列の上記小部屋に空気や希ガス等の流体を送り込むため、筐体2の外枠を支え且つ各列に対応した3つの送風機16及び3つの通気孔8が配置された台7を備える。当該通気孔8は、筐体2の外部から内部へ又は内部から外部へ上記流体が自由に出入りすることができるよう適宜設計されており、ここでは、台7に設けた略長方形の切り欠きとしている。
第1仕切板10は、上記小部屋の底板又は天板となるものであり、所定の厚みを備え且つXY平面から見て略長方形の形状である。図2に示すように、第1仕切板10には、上記小部屋のそれぞれの通気を促進するため、第1仕切板10を貫通する通気孔13が形成されている。ここでは、通気孔13は、XY平面から見て略長方形の形状の孔として例示している。
また、第2仕切板11は、上記小部屋の側板となるものであり、所定の厚みを備え且つYZ平面から見て略長方形の形状である。当該所定の厚みは、後述の引出し用ネジ孔23に対応した第2仕切板11の位置に配置される筐体用ネジ孔14の直径よりも大きな寸法であるが、筐体用ネジ孔14を1つだけ形成するのに十分なX方向の幅があればよい。すなわち、従来と異なり、X方向に2つの筐体用ネジ孔14を形成するのに必要な幅(図5で示す幅寸法w)は不要であり、強度を考慮しつつ、X方向に1つの筐体用ネジ孔14を形成するのに必要な幅(例えば、幅寸法(w/2))となるよう設計される。
これら第1仕切板10又は第2仕切板11が互いに、又は、第1仕切板10又は第2仕切板11が背板4、天板5、底板6又は側板9に固定されて、上記小部屋が形成される。当該固定は、後述の引出し3を筐体2に挿入・配置した際に、筐体2がしっかりと引出し3を支えることができればよいので、これら板同士を例えば組み木のように物理的に嵌め合わせて固定してもよいし、これら板同士をネジ止め等で固定してもよい。
なお、上記小部屋のそれぞれにおいては、通気孔12a、12b、13による上下方向(Z方向)及び上記開口以外には、上記流体の流れる隙間が実質的には存在しない構造となるよう、上記固定がなされる。
図2では、第1仕切板10は、上記小部屋1つに1枚又は2枚配置して上記固定する構成としている。しかしながら、設計に応じて、1つの行を形成する3つの上記小部屋で共通の1枚又は2枚の板として構成してもよい(この場合、各小部屋に対応して通気孔13がそれぞれ形成される)。
第2仕切板11は、側板9と同様、1つの列を形成する3つの上記小部屋で共通の1枚の板として構成している。しかしながら、各小部屋の高さ方向(Z方向)の寸法に分断された構成であってもよい。
すなわち、第1仕切板10と第2仕切板11の大きさは、必ずしも1つの上記小部屋の寸法に合わせる必要はなく、設計に応じて適宜変更可能である。ただし、第1仕切板10が、複数の上記小部屋にまたがる1つの板として形成される場合には、これら複数の小部屋のそれぞれの床板となる箇所に、通気孔13が形成される(すなわち、1つの第1仕切板10にそのまたがる小部屋の数に応じた数の通気孔13が形成される)。
なお、上記小部屋は、上記開口を除き、背板4と、側板9又は第2仕切板11と、天板5又は底板6又は第1仕切板10とで囲まれた現実的な小部屋であるが、第1仕切板10で引出し3を支える構成としない場合もありうる。すなわち、筐体2において第1仕切板10が配置される位置の側板9又は第2仕切板11に、第1仕切板10の代わりに引出し3を支えるための突起やレール等が適宜配置されればよい。この場合には、列方向(Z方向)を見た際には現実的には小部屋は形成されていない。しかし、依然として引出し3が挿入・配置される区画が明確に存在する。従って、各列で連続的に配置される当該区画のそれぞれを仮想的な小部屋として説明を続けることとする。すなわち、本発明はこの形状の収納具も包含するものであるので、現実的な小部屋も仮想的な小部屋もいずれも小部屋とし、筐体2は複数の小部屋を形成しているとして以下、説明を続けることとする。
引出し3は、所定の厚みを備え且つXY平面から見て上記小部屋のXY平面上の寸法(w×d)と実質的に同一の略長方形の形状であって且つ引出し3を上記小部屋に挿入・配置した際に通気孔13又は12bに対応する位置に設けられた通気孔13又は12bと実質的に同一寸法(w×d)の貫通した孔(ただし、0<w<<w、0<d<<d)である通気孔18を備えた引出し用底板17と、所定の厚みを備え且つXZ平面から見て上記開口の寸法(w×h)と実質的に同一の略長方形の形状であって且つ引出し用底板17のX方向に延びる2つの辺のうち+Y方向側に位置する一辺に接続された引出し用後板21と、所定の厚みを備え且つYZ平面から見て略長方形の形状であって且つ引出し用底板17のY方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺と引出し用後板21のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続された引出し用側板22aと、所定の厚みを備え且つYZ平面から見て略長方形の形状であって且つ引出し用底板17のY方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺と引出し用後板21のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続された引出し用側板22bと、所定の厚みを備え且つ引出し用底板17のX方向に延びる2つの辺のうち−Y方向側に位置する一辺と引出し用側板22a及び22bのZ方向に延びる2つの辺のうち−Y方向側に位置する一辺に接続された引出し用前板19とを備えている。
引出し用前板19には取っ手20が取り付けられており、筐体2の上記小部屋の1つに挿入・配置された後、ユーザーが取っ手20を持って引出し3をY方向へスライドさせることができる。また、引出し3を上記小部屋へ挿入して引出し3をしっかり閉じた配置とすると、引出し用前板19が上記開口をふさいで上記小部屋の内部と上記開口との間に空気等の流体の流れる隙間が実質的には存在しない構造となるよう設計される。
なお、引出し用側板22(22aと22b)は、引出し3の強度を増す機能を有するだけでなく、引出し3を対応する小部屋から引き出した際に、引出し3に収納した内容物の落下を防止する機能も有するものである。従って、引出し用側板22(22aと22b)は、板状である必要はなく、引出し用前板19と引出し用後板21をつなぐ棒状の連結部材であってもよい。
収納具1において全て同じ形状に統一される引出し用前板19の形状は、X方向で隣り合う小部屋に挿入される引出し3の引出し用前板19同士が、寄せ木細工のように互い違いに嵌め合い又は互い違いに組み合わせられて、当該引出し用前板19同士がY方向に重なることのないように設計される。さらに、当該引出し用前板19同士が、いずれも対応する小部屋の両側で筐体に固定できるよう設計される。
図3(a)では、一例として、引出し用前板19の形状を、略N型の形状として示している。具体的には、上記開口と実質的に同じ大きさ、すなわちX方向に寸法w且つZ方向に寸法hの略四角形の部分(第一部分)と、X方向に寸法(w/2)且つZ方向に寸法(h/2)の略四角形の部分(第二部分)が2つ、一体に形成された形状となっている。上記略N型とするために、一方の第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続され、他方の第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち−Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続されている。従って、引出し用前板19のX方向の幅寸法wは、w=w+2×(w/2)となる。
そして、第二部分には、寸法(w/2)より小さい直径Dの引出し用ネジ孔23が、1つ形成されている。
上述のように、第2仕切板11及び側板9には、引出し3が対応する小部屋に挿入された際に、引出し用ネジ孔23に対応する位置に引出し用ネジ孔23と同じ直径Dの雌ネジの筐体用ネジ孔14が形成されている。
従って、図3(a)で示した引出し3を9つ、筐体2の9つの小部屋にそれぞれ挿入すると、図1に示すように1つの第2仕切板11を挟んでX方向に隣り合う2つの引出し3は、当該第2仕切板11上で、一方の引出し3の第二部分を+Z方向側に、また他方の引出し3の第二部分を−Z方向側にして、互い違いに嵌め合い又は互い違いに組み合わせられた状態となる。具体的には、当該一方の引出し3の第二部分は、XZ平面から見て、当該引出し3の挿入される小部屋の側壁となる当該第2仕切板11において、当該小部屋のZ方向の高さhの中点から+Z方向側、すなわち当該小部屋の天井までの当該第2仕切板11の全面を実質的に覆う。また、当該他方の引出し3の第二部分は、XZ平面から見て、当該引出し3の挿入される小部屋の側壁となる当該第2仕切板11において、当該引出し3の挿入される小部屋のZ方向の高さhの中点から-Z方向側、すなわち当該小部屋の床までの当該第2仕切板11の全面を実質的に覆う。従って、これら2つの引出し3の引出し用前板19同士がY方向に重なることがない。
なお、ここでは、以下、かように1つの仕切板上(第1仕切板10又は第2仕切板11)で、当該仕切板を挟んで隣り合う2つの引出しの一方の引出しの第二部分と他方の引き出しの第二部分とが互い違いに嵌め合い又は互い違いに組み合わせされ且つこれら第二部分が重なり合わない状態を、「嵌合」という。
このため、第2仕切板11においてZ方向に1列しか形成されていない筐体用ネジ孔14又は側板9に形成された筐体用ネジ孔14に、第二部分の引出し用ネジ孔23を介して雄ネジ15(ただし、軸部の直径は寸法Dであり、頭部の直径は寸法Dより大きい)をねじ込むことで、引出し3を対応する小部屋の両側で筐体に固定することができる。従って、引出し3が対応する小部屋から飛び出すことを効果的に防止し、また、引出し3の内容物が収納具1から飛び出すことを効果的に防止することができる。
また、図5(a)に示す従来の筐体に比べ、小部屋の寸法は同一であるにもかかわらず、X方向に隣り合う小部屋間の間隔を半減させることができる。少なくとも、ここでは、第2仕切板11の幅寸法(w/2)を、(w/2)<2×Dとすることができ、これにより第2仕切板11に形成される筐体用ネジ孔14がZ方向に1列だけ並ぶようにして小型化を実現している。
すなわち、収納具1は、上述した筐体2の構造と引出し用前板19の「嵌合」がなされる形状により、引出し用前板19を対応する小部屋の両側で筐体2に固定する固定手段を採用しつつ隣り合う列の小部屋の間隔を小さくして、引出し3の内容物の容量(約w×d)を図5に示す従来の収納具の引出しの内容物の容量(約w×d)から変えずに小型化を可能としている。
なお、収納具1において全て同じ形状に統一される引出し用前板19の形状としては、図3(a)では略N型の形状を例示したが、「嵌合」がなされればよいので、図4に示すように、第二部分を2つ以上に複数形成し且つ他の構成は収納具1と同様の収納具としてもよい。なお、これら収納具の変形例の場合、筐体2には、図4のそれぞれの引出し用前板の引出し用ネジ孔23に対応する位置に、上述した筐体用ネジ孔14が形成される。
例えば、図4(a)は図3(a)で示した引出し用前板19と同一のものであるが、図4(b)に示すように、図4(a)の形状とZ軸で線対称となる略N型の形状としてもよい。
また、図4(c)に示すように、第二部分を3つ形成してもよい。具体的には、上記開口と実質的に同じ大きさ、すなわちX方向に寸法w且つZ方向に寸法hの略四角形の部分(第一部分)と、X方向に寸法(w/2)且つZ方向に寸法(h/3)の略四角形の部分(第二部分)が3つ、一体に形成された形状としてもよい。この場合には、1つの第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続され、もう1つの第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち−Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続され、3つ目の第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺から−Z方向に寸法(h/3)だけ進んだ位置から−Z方向側に位置する他の一辺から+Z方向に寸法(h/3)だけ進んだ位置まで、第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続されている。そして、それぞれの第二部分には、寸法(w/2)より小さい直径Dの引出し用ネジ孔23が、1つずつ形成されている。
図4(c)の形状であれば、図4(a)や図4(b)の形状よりも、筐体2への固定用の雄ネジ15の本数が1本増えるため、引出し3が対応する小部屋から飛び出すことをより効果的に防止し、また、引出し3の内容物が収納具1から飛び出すことをより効果的に防止することができる。
なお、図4(c)の形状とZ軸で線対称となる形状としても上記と同様の効果が得られる。
さらに、図4(d)に示すように、第二部分を4つ形成してもよい。具体的には、上記開口と実質的に同じ大きさ、すなわちX方向に寸法w且つZ方向に寸法hの略四角形の部分(第一部分)と、X方向に寸法(w/2)且つZ方向に寸法(h/4)の略四角形の部分(第二部分)が4つ、一体に形成された形状としてもよい。この場合には、1つの第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続され、もう1つの第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち−Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続され、3つ目の第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺から−Z方向に寸法2×(h/4)だけ進んだ位置から−Z方向側に位置する他の一辺から+Z方向に寸法(h/4)だけ進んだ位置まで、第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続され、4つ目の第二部分は、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺から−Z方向に寸法(h/4)だけ進んだ位置から−Z方向側に位置する他の一辺から+Z方向に寸法2×(h/4)だけ進んだ位置まで、第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続されている。そして、それぞれの第二部分には、寸法(w/2)より小さい直径Dの引出し用ネジ孔23が、1つずつ形成されている。
図4(d)の形状であれば、図4(a)や図4(b)の形状よりも、筐体2への固定用の雄ネジ15の本数が2本増えるため、引出し3が対応する小部屋から飛び出すことをより効果的に防止し、また、引出し3の内容物が収納具1から飛び出すことをより効果的に防止することができる。さらに、図4(c)の形状が引出し3のX方向の一端で2つ且つ他端で1つと非対称に引出し3を筐体2へ固定する形状であることから、図4(d)の形状のように、引出し3のX方向の一端で2つ且つ他端で2つと対称的に引出し3を筐体2へ固定する形状の方が、固定の信頼性が高くなるといえる。従って、図4(c)の形状と比べても、図4(d)の形状の方が引出し3の筐体2への固定の観点からは優れているといえる。
なお、図4(d)の形状とZ軸で線対称となる形状としても上記と同様の効果が得られる。
以上、小型化等を可能とする本実施形態の収納具1の効果について説明したが、収納具1の構成は、後述する「煙突状空間」を形成する構成としているため、上述した効果のみならず、さらに、引出し3に収納する内容物の温度調整にも優れた効果を発揮する。
具体的には、引出し3を筐体2に挿入してしっかりと上記開口を閉めることで、引出し3の通気孔18を介して実質的に収納具1の各列に配置される複数の小部屋のみを貫通して空気等の流体が天板5の通気孔12aから流れ出る流路又はその逆の流路を形成することができる。すなわち、Z方向のそれぞれの列を1つの煙突に見立てた空間(「煙突状空間」という)とすることができる。
従って、内容物が電子機器、例えば電池モジュール等の発熱体であり且つ収納具1が大気中に配置された場合に、発熱により温まった空気は上方(+Z方向)へ向かうことから、列の下方の小部屋から上方の小部屋へ、さらに天板5の通気孔12aへ抜ける流体の流れが自然に発生する。この際、1つの列に配置される各小部屋を流れる流体の流量は、1つの列が煙突状空間であるためいずれも同一となる。従って、上記各列の最下段の小部屋の通気孔12bの下にそれぞれ配置した送風機16を駆動しなくても、台7の通気孔8を介して当該煙突状空間の下部から入り込む低温の流体を効果的に当該各小部屋の内容物に接触させ、十分に熱交換させることができる。このため、結果として当該各小部屋に配置される内容物の冷却効果を向上させることができる。
もちろん、送風機16を駆動して強制的に流体の流れを作ることもでき、この場合には、上記熱交換をさらに効果的に行うことが可能となる。
また、各列間の熱伝導を防止するために、第2仕切板11を断熱性の材質とすれば、各列それぞれの熱分布を均等化させることができる。従って、収納具1の各小部屋に同一構成の電池モジュール等を配置して1つの電池システムとして取り扱う場合には、その制御や補修を容易とすることができる。
なお、当該送風機を吸気ダクトに、また天板5の通気孔12aを排気ダクトに接続し、空気以外の冷却効果ガス等を上記流体として流す構成としてもよい。また、送風機19を各列の最上段に配置してもよいし、最下段と最上段の両方に配置してもよい。設計によっては、当該送風機を排気ダクトに、また天板5の通気孔12aを吸気ダクトに接続してもよい。
なお、以上の収納具1において、筐体2の材質は、引出し3を支える強度を有するものであればいかようなものでもよく、金属のみならず木や樹脂などであってもよい。また、引出し3の材質も、引出し3の内部に配置する内容物をしっかり支える強度を有するものであればいかようなものでもよく、金属のみならず木や樹脂などであってもよい。
引出し3のスライドを容易とするために、筐体2又は引出し3にガイドレールやローラー等を適宜設けてもよい。
また、内容物を引出し3の内部へ収容・配置した際、引出し用底板17を貫通して形成された通気孔18を当該内容物でふさがないよう又は当該内容物が通気孔18から落下しないよう配慮する必要がある。内容物の構造上、そのまま内容物を引出し3へ収容したのでは通気孔18をふさいでしまう又は通気孔18から落下してしまう場合には、通気孔18から引出し3内へ入る当該流体の流れる隙間を確保又は当該内容物を対応する引出しの内部に保持すべく、当該内容物を引出し用底板17から一定距離だけ浮かせて支える支持台を適宜配置又は当該支持台を引出し用底板17に一体に形成することになる。
以上のとおり、上記実施形態または変形例の収納具によれば、引出し用前板を対応する小部屋の両側で筐体に固定する固定手段を採用しつつ隣り合う列の小部屋の間隔を小さくして、引出しの内容物の量を従来の収納具の引出しの内容物の量から変えずに小型化を可能とするのみならず、筐体の複数の小部屋にそれぞれ配置される引出しに収納される内容物を、上記煙突状空間を作り出すことによってそれぞれ実質的に均等に温度調整、例えば実質的に均等に冷却することができる。
なお、本発明は上述した実施形態又はその変形例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りで種々の変形が可能である。
例えば、引出し3と筐体2とは、対応する小部屋のX方向の両側で固定手段としての雄ネジ15により固定されるとして説明したが、Z方向の両側で固定される構成としてもよい。この場合には、天板5又は厚みが寸法(w/2)の第1仕切板10又は底板6に筐体用ネジ孔4を適宜形成し、図4で示した引出し用前板をXZ平面で90度回転させた状態の引出し用前板を備えた引出しを用意し、他は上記した収納具1と同様の構成とすればよい。かような状態も、対応する小部屋の両側で引出し用前板が筐体に固定された状態であり、また、「嵌合」といえる。
また、固定手段として雄ネジ15と筐体用ネジ孔(雌ネジ)14を例示したが、固定手段はピン等とそれに対応する孔でもよい。
さらに、実施形態及びその変形例では、収納具1に用いる引出し用前板は、製造容易及びコスト削減の観点から全て同一形状としていたが、引出し用前板を対応する小部屋の両側で筐体に固定しつつ収納具の小型化を可能とする「嵌合」が可能な構成であれば、1つの収納具の小部屋に挿入される引出しの引出し用前板の形状を、2種類以上の複数種類としてもよい。例えば、図4(a)の第一部分と、X方向に寸法(w/2)且つZ方向に寸法(h/2)の四角形の部分(第二部分)が2つ、一体に形成された形状の2種類の引出し用前板を列ごとに交互に採用してもよい。具体的には、例えば、第一の種類の引出し用前板の形状を、一方の第二部分が、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続され、他方の第二部分が、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち+Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続された構成とし、第二の種類の引出し用前板の形状を、一方の第二部分が、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち−Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち−X方向側に位置する一辺に接続され、他方の第二部分が、第一部分のX方向に延びる2つの辺のうち−Z方向側に位置する一辺に接続され且つ第一部分のZ方向に延びる2つの辺のうち+X方向側に位置する一辺に接続された構成とすればよい。
その上、各通風孔の形状は、上記煙突状空間を作り出し且つ内容物の温度調整、例えば冷却を効果的に行うことができるものであれば、略長方形に限らず、円形、三角形等いかような形状でもよい。なお、ここでは内容物に発熱体を例示したため、温度調整として冷却を例に挙げているが、ここで述べた温度調整とは、冷房・冷却のみならず、収納具が置かれる環境や内容物に応じて、暖房・加温・乾燥等の概念を含むものである。
1・・・収納具、2・・・筐体、3・・・引出し、4・・・背板、5・・・天板、
6・・・底板、7・・・台、8・・・通気孔(台用)、
9・・・側板、10・・・第1仕切板、11・・・第2仕切板、
12(12a、12b)・・・通気孔(天板用または底板用)、
13・・・通気孔(第1仕切板用)、
14・・・筐体用ネジ孔(雌ネジ)、15・・・ネジ(雄ネジ)、
16・・送風機(ファン)、
17・・・引出し用底板、18・・・通気孔(引出し用)、
19・・・引出し用前板、20・・・取っ手、
21・・・引出し用後板、22(22a、22b)・・・引出し用側板、
23・・・引出し用ネジ孔

Claims (5)

  1. 第1の引出し用前板を備えた第1の引出しと、
    第2の引出し用前板を備えた第2の引出しと、
    前記第1の引出しが挿入される第1の小部屋と前記第2の引出しが挿入される第2の小部屋とを仕切る仕切板とを備えた筐体と、
    固定手段と
    を有し、
    前記第1の引出し用前板と前記第2の引出し用前板とは前記仕切板上で互い違いに嵌め合い且つ前記仕切板上で引出し方向に重なり合わず、前記第1の引出し用前板と前記第2の引出し用前板はそれぞれ前記固定手段によって前記第1の小部屋の両側または前記第2の小部屋の両側で前記筐体に固定されることを特徴とする収納具。
  2. 前記第1の小部屋に連続的に配置された第3の小部屋と、
    前記第3の小部屋に挿入される第3の引出しと、
    をさらに有し、
    前記筐体は、前記筐体の外枠に第1の通気孔を備え、
    前記第1の引出しは、第2の通気孔を備え、
    前記第3の引出しは、第3の通気孔を備え、
    前記筐体に前記第1の引出しと前記第3の引出しが挿入されることで煙突状空間が形成され、前記煙突状空間により、前記第1の通気孔、前記第2の通気孔及び前記第3の通気孔を介して流れる流体の流量が実質的に同じとなることを特徴とする請求項1に記載の収納具。
  3. 前記第1の引出し用前板と前記第2の引出し用前板は、実質的に同一形状であることを特徴とする請求項2に記載の収納具。
  4. 前記筐体は送風機をさらに備え、
    前記煙突状空間に強制的に前記流体を流すことを特徴とする請求項3に記載の収納具。
  5. 前記流体は、空気であることを特徴とする請求項2及至請求項4のいずれか一項に記載の収納具。
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