以下、添付図面を参照して、電圧検出装置および線間電圧検出装置の実施の形態について説明する。
最初に、電圧検出装置1について、図面を参照して説明する。
電圧検出装置1は、非接触型の電圧検出装置であって、図1に示すように、フローティング回路部2および本体回路部3を備え、グランド電位Vgを基準として検出対象体4に生じている交流電圧V1(検出対象交流電圧)を非接触で検出可能に構成されている。
フローティング回路部2は、図1に示すように、ガード電極11、検出電極12、電源部13、検出部14および絶縁部15を備えている。ガード電極11は、導電性材料(例えば金属材料)を用いて、フローティング回路部2における基準電圧部として構成されて、その内部に検出電極12、検出部14および絶縁部15が収容されている。なお、後述するように、絶縁部15は、その一次側回路で入力した信号をその二次側回路から一次側回路と電気的に絶縁した状態で出力する機能を備えたものであるため、ガード電極11で覆われるべき部位は、少なくとも一次側回路まででよいが、二次側回路についてもガード電極11で覆われる構成を採用することもできる。また、本例では、一例として、ガード電極11に開口部(孔)11aが形成されている。検出電極12は、一例として平板状に形成されて、ガード電極11内における開口部11aを臨む位置に、ガード電極11と非接触な状態で配設されている。また、検出電極12は、交流電圧V1の検出に際しては、図1に示すように検出対象体4と容量結合(静電容量C0)する。
電源部13は、ガード電極11の電圧Vrを基準(ゼロボルト)とした種々のフローティング電圧を生成するフローティング電源として構成されている。また、電源部13は、生成したフローティング電圧をガード電極11内に配設された各構成要素に対して作動用電圧として供給する。本例では、一例として、電源部13は、バッテリとDC/DCコンバータ(いずれも図示せず)とを備えて構成されて、DC/DCコンバータがバッテリから出力される直流電圧に基づいて種々のフローティング電圧(例えば、プラス電圧であるVf+およびマイナス電圧であるVf−)を作動用電圧として生成する。なお、図示はしないが、バッテリに代えて、ガード電極11の外部からトランスを介して電気的に絶縁された状態でガード電極11内に交流電圧を供給し、この交流電圧をガード電極11内に設けた整流平滑部で直流電圧に変換してDC/DCコンバータに供給する構成を採用することもできる。
検出部14は、ガード電極11の電圧Vrを基準として規定されたフローティング電圧Vf+,Vf−の供給を受けて作動して、交流電圧V1とガード電極11の電圧Vrとの間の交流の電位差(V1−Vr)に応じた電流値で流れる電流信号I(検出電流)に基づいて、交流の電位差(V1−Vr)に応じて振幅が変化する検出信号S1を生成して出力する。この場合、ガード電極11には、後述する参照信号出力部31からコンデンサC31aを介して参照信号Ssが出力(印加)されると共に、後述するフィードバック制御部37から電圧信号S4が出力(印加)される。この構成により、電圧Vrは、電圧信号S4の電圧(フィードバック電圧)V4と参照信号Ssの電圧Vsとの合成電圧となる。これにより、上記の電流信号Iは、参照信号Ssに起因した電流信号成分(以下、「参照電流成分」ともいう)Is1と、電圧信号S4に起因した電流信号成分(以下、「FB電流成分」ともいう)Ib1と、検出対象体4の交流電圧V1に起因した電流信号成分(以下、「対象電流成分」ともいう)Iv1とで構成され、この電流信号Iに基づく検出信号S1も、参照電流成分Is1に基づく電圧信号成分(以下、「参照電圧成分」)Vs1と、FB電流成分Ib1に基づく電圧信号成分(以下、「FB電圧成分」)Vb1と、対象電流成分Iv1に基づく電圧信号成分(以下、「対象電圧成分」)Vv1とで構成されている。また、検出部14は参照信号Ssの電圧Vsおよび電圧信号S4の電圧V4で変動するガード電極11の電圧Vrを基準として作動して検出信号S1を生成するため、検出信号S1に含まれる参照電圧成分Vs1は参照信号Ssに対して逆位相の信号となり、検出信号S1に含まれるFB電圧成分Vb1も電圧信号S4に対して逆位相の信号となる。
本例では、一例として、検出部14は、図2に示すように、積分回路21および増幅回路22を含んで構成されている。積分回路21は、非反転入力端子がガード電極11に接続され、反転入力端子が検出電極12に接続された演算増幅器21a、演算増幅器21aの反転入力端子と出力端子との間に接続されたコンデンサ21b、およびコンデンサ21bに並列に接続された抵抗21cを備えている。この場合、コンデンサ21bは、一例として0.01μF程度のコンデンサで構成され、抵抗21cは、例えば1MΩ程度の高い抵抗値の抵抗で構成されている。このため、この積分回路21では、主としてコンデンサ21bに電流信号Iが流れることにより、電流電圧変換動作と同時に積分動作が行われて、検出対象体4の交流電圧V1とガード電極11の電圧Vrとの交流の電位差(V1−Vr)に比例して電圧値が変化する電圧信号S0が生成される。なお、この積分回路21では、コンデンサ21bのみでは直流付近での帰還量が著しく低下してゲインが極端に大きくなり、バイアス電流によるオフセットで演算増幅器21aが飽和する虞があり、この飽和によるダイナミックレンジの低下を抑制するため、抵抗21cを配設している。増幅回路22は、電圧信号S0を所定の増幅率で電圧増幅して検出信号S1として出力する。なお、図示はしないが、積分回路21を、例えば電流信号Iを電圧信号に変換する電流電圧変換回路、およびこの電圧信号を積分して検出信号S1として出力する積分回路の2つの回路で構成することもできる。
絶縁部15は、検出信号S1を入力すると共に電気的に絶縁して絶縁検出信号S2として出力する。具体的には、絶縁部15は、一例として光絶縁素子(本例では、一例としてフォトカプラ)を用いて構成されて、その一次側回路としての発光ダイオード(不図示)に入力された検出信号S1を、その二次側回路としてのフォトトランジスタから絶縁検出信号S2として出力する。つまり、絶縁部15は、検出信号S1と同位相で、かつ検出信号S1の振幅に比例して振幅が変化する信号を絶縁検出信号S2として出力する。なお、フォトカプラに代えて、一次側回路が発光ダイオードで構成され、かつ二次側回路がFET対で構成された光MOS−FETを使用して絶縁部15を構成することもできる。この場合、絶縁部15では、その一次側回路は、フローティング電圧Vf+,Vf−の供給を受けて作動する。また、検出信号S1が周波数の高い交流の場合には、トランスを使用して絶縁部15を構成することもできる。
以上のように構成されたフローティング回路部2は、低い周波数(数Hz)から高い周波数(数百Hz)に亘る広い周波数帯域でフラットな周波数特性を有しており、上記したように、電位差(V1−Vr)に応じた電流値で流れる電流信号I(検出電流)を検出して、この交流の電位差(V1−Vr)に応じて振幅が変化する絶縁検出信号S2を生成して出力する。
本体回路部3は、図1に示すように、参照信号出力部31、信号抽出部32、処理部33、記憶部34、出力部35、振幅変更部36、およびフィードバック制御部37を備えている。この場合、参照信号出力部31は、グランド電位Vgを基準として電圧Vsが所定の周期で変化する振幅が一定の参照信号Ss(周波数および振幅が一定の交流信号)を生成して、コンデンサ31aを介してガード電極11に出力する。本例では一例として、参照信号Ssの周波数fsは、後述するように、フィードバック制御部37の応答可能な周波数帯域W1,2を超える周波数帯域W3内に規定されている(図4参照)。振幅変更部36は、ガード電極11に発生する電圧(電圧Vr)を電圧信号Srとして入力すると共に、その振幅を変更(k倍:kは正の実数)して電圧信号(以下、基準信号ともいう)Sr1として出力する。この場合、電圧Vrは、上記したように、電圧信号S4の電圧V4と参照信号Ssの電圧Vsとを含むため、基準信号Sr1は、k倍された各電圧V4,Vsの合成電圧となる。本例では一例として、振幅変更部36は、アッテネータ(一例として直列に接続された2本の抵抗36a,36b)で構成されて、電圧信号Srを分圧することによって振幅を変更して(本例では低下させて)、基準信号Sr1として出力する。なお、振幅変更部36を所定の利得で信号を増幅する増幅器で構成して、電圧信号Srの振幅よりも基準信号Sr1の振幅を増大させることもできる。
信号抽出部32は、一例として、増幅回路41、加算回路42、同期検波回路43および制御回路44を備え、絶縁検出信号S2を所定の利得で増幅して増幅検出信号S3を生成し、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssの信号成分(以下、第1信号成分ともいう)、および基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssの信号成分(以下、第2信号成分ともいう)を、増幅検出信号S3と基準信号Sr1との加算または減算(本例では一例として加算)によって相殺可能に絶縁検出信号S2の増幅の際の利得を制御することにより、後述するように交流電圧V1の信号成分で構成される出力信号Soを生成して出力する。この場合、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssの第1信号成分とは、参照信号Ssのガード電極11への出力(印加)に基づいて検出信号S1に含まれる参照電圧成分Vs1に起因する信号成分(つまり、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssと同一周波数の信号成分)である。また、基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssの第2信号成分とは、参照信号Ssのガード電極11への出力(印加)に基づいて、基準信号Sr1に含まれる参照信号Ssと同一周波数の信号成分である。
具体的には、増幅回路41は、絶縁検出信号S2を入力すると共に、制御回路44から出力される制御信号(具体的には制御電圧)Scのレベル(直流電圧レベル)によって規定される増幅率(利得は1以上でも1未満でもよい)で絶縁検出信号S2を増幅して、増幅検出信号S3を生成して出力する。一例として、増幅回路41は、図3に示すように、演算増幅器41a、演算増幅器41aの反転入力端子とグランド電位との間に配設された可変抵抗素子(本例では、一例として、J−FET(Junction Field Effect Transistor:接合型電界効果トランジスタ))41b、および演算増幅器41aの反転入力端子と出力端子との間に配設された抵抗41cを備えて構成されて、全体として非反転増幅回路として構成されている。この場合、可変抵抗素子41bは、入力される制御信号Scのレベルに応じてその抵抗値が変化する。このため、増幅回路41は、入力される制御信号Scのレベルに応じてその増幅率を変化させると共に、絶縁検出信号S2をこの増幅率で増幅して増幅検出信号S3として出力する。なお、可変抵抗素子としては、外部から入力される電圧に応じて抵抗値が変化する素子であればよく、J−FET以外の素子や回路を使用して構成することもできる。本例では、一例として、可変抵抗素子41bは、入力される制御信号Scのレベルが増加したときにはその抵抗値が減少し、制御信号Scのレベルが減少したときにはその抵抗値が増加するように構成されている。この構成により、増幅回路41の増幅率は、制御信号Scのレベルが増加したときには増加し、制御信号Scのレベルが減少したときには減少する。
加算回路42は、増幅検出信号S3および基準信号Sr1を入力すると共に両信号S3,Sr1を加算し、加算によって得られた加算信号を出力信号Soとして出力する。この場合、上記したように、検出信号S1は、参照信号Ssに対して逆位相の参照電圧成分Vs1と、電圧信号S4に対して逆位相のFB電圧成分Vb1と、交流電圧V1と同位相の対象電圧成分Vv1とで構成されている。このため、検出信号S1に基づいて生成される絶縁検出信号S2、および絶縁検出信号S2を増幅して生成される増幅検出信号S3もまた、参照信号Ssに対して逆位相の信号成分、電圧信号S4に対して逆位相の信号成分、および交流電圧V1と同位相の信号成分で構成される。この場合、増幅検出信号S3は、自らに含まれている参照信号Ssに対して逆位相となる第1信号成分(以下、「逆相信号成分」ともいう)の振幅が、後述するようにして最終的には、振幅変更部36から出力される基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssの第2信号成分の振幅(参照信号Ssの振幅をk倍した振幅:k×Ss)と同じ振幅となるように制御される。
一方、電圧信号Srの電圧Vrは上記したように電圧信号S4の電圧V4と参照信号Ssの電圧Vsとの合成電圧であるため、この電圧信号Srの振幅をk倍して生成された基準信号Sr1は、参照信号Ssに対して同位相の信号成分(参照信号Ssの振幅をk倍した信号)、および電圧信号S4に対して同位相の信号成分(電圧信号S4の振幅をk倍した信号)で構成される。
したがって、加算回路42による両信号S3,Sr1の加算処理により、増幅検出信号S3を構成する参照信号Ssの逆相信号成分(第1信号成分)と、基準信号Sr1を構成する参照信号Ssに対して同位相の第2信号成分(以下、「同相信号成分」ともいう)とが相殺(キャンセル)される。このため、出力信号Soは、電圧信号S4に対して逆位相の信号成分および交流電圧V1に対して同位相の信号成分であって増幅検出信号S3を構成する信号成分と、電圧信号S4に対して同位相の信号成分であって基準信号Sr1を構成する信号成分(電圧信号S4の振幅をk倍した信号)とを含んで構成される。
同期検波回路43は、出力信号Soおよび参照信号Ssを入力すると共に、参照信号Ssで出力信号Soを同期検波することにより、検波信号Vdを生成して出力する。具体的には、同期検波回路43は、同期検波により、出力信号Soに含まれる参照信号Ssの信号成分(具体的には、参照信号Ssと同一周波数の信号成分)の振幅の増減に応じて電圧の絶対値が増減し、かつ出力信号Soに含まれる参照信号Ssの信号成分の位相が参照信号Ssの位相と一致しているとき(同位相のとき)と180°ずれているとき(逆位相のとき)とで極性の異なる検波信号Vdを生成して出力する。本例では、一例として、同期検波回路43は、出力信号Soに含まれている所定の信号成分と参照信号Ssとが同位相のときには正極性(正電圧)となり、逆位相のときには負極性(負電圧)となる検波信号Vdを生成して出力する。
制御回路44は、入力した検波信号Vdの極性に基づいて電圧が増減する制御信号Scを生成して、増幅回路41に出力する。本例では、一例として、制御回路44は、入力した検波信号Vdが正極性のときには、制御信号Scの電圧レベルを増加させ、一方、入力した検波信号Vdが負極性のときには、制御信号Scの電圧レベルを減少させる。以上の構成により、信号抽出部32では、増幅回路41の利得(増幅率)に対するフィードバック制御が同期検波回路43および制御回路44によって行われて、制御回路44が、増幅検出信号S3を構成する逆相信号成分(参照信号Ssと同一周波数で逆位相の第1信号成分)の振幅が一定となるように(本例では加算回路42に入力される基準信号Sr1を構成する同相信号成分(参照信号Ssと同一周波数で同位相の第2信号成分)の振幅と同じ振幅となるように)増幅回路41の増幅率を検波信号Vdに基づいて制御する。これにより、増幅検出信号S3を構成する逆相信号成分の振幅が、加算回路42に入力される基準信号Sr1の同相信号成分の振幅に一致させられる。したがって、加算回路42は、上記したように、電圧信号S4に対して逆位相の信号成分、交流電圧V1に対して同位相の信号成分(以上、増幅検出信号S3を構成する信号成分)、および電圧信号S4に対して同位相の信号成分(基準信号Sr1を構成する信号成分)で構成される出力信号Soを生成して出力する。
この場合、検出対象体4と検出電極12との間に形成される静電容量C0の大きさに応じて、電流信号Iに含まれる参照電流成分Is1および対象電流成分Iv1が同じ割合で変動し、検出信号S1に含まれる参照電圧成分Vs1および対象電圧成分Vv1も同じ割合で変動する。したがって、増幅検出信号S3を構成する逆相信号成分(参照信号Ssと同一周波数の信号成分)および交流電圧V1と同一周波数の信号成分についても、両成分は同じ割合で変動するが、信号抽出部32では、上記したフィードバック制御により、増幅検出信号S3は、この信号S3を構成する逆相信号成分(第1信号成分)の振幅が基準信号Sr1を構成する同相信号成分(第2信号成分)の振幅と一致するように増幅回路41によって生成される。このため、本例の構成では、出力信号Soに含まれている対象電流成分Iv1に基づく電圧成分、つまり増幅検出信号S3を構成する信号成分(電圧信号S4に対して逆位相の信号成分および交流電圧V1と同位相の信号成分)は、静電容量C0の大きさに拘わらず、その振幅が検出対象体4に発生している交流電圧V1と電圧信号S4との差分に対応した大きさとなる。また、出力信号Soに含まれている基準信号Sr1を構成する電圧信号S4に対して同位相の信号成分は、そもそも静電容量C0の大きさとは無関係に発生する信号成分である。したがって、出力信号Soは、静電容量C0の大きさに影響を受けない信号となる。
フィードバック制御部(電圧生成回路)37は、絶縁検出信号S2を入力して増幅することにより、電圧V4(フィードバック電圧)の電圧信号S4を生成して、ガード電極11に出力(印加)する。この場合、フィードバック制御部37は、フローティング回路部2のガード電極11、検出電極12、検出部14、および絶縁部15と共にフィードバックループを形成して、交流電圧V1とガード電極11の電圧Vrとの電位差Vdiを減少させるように絶縁検出信号S2を増幅する増幅動作を行うことにより、電圧信号S4を生成する。本例では、一例として、フィードバック制御部37は、交流増幅回路37a、位相補償回路37bおよび昇圧回路37cを備えて構成されている。ここで、交流増幅回路37aは、絶縁検出信号S2を入力して増幅することにより、電圧信号V4aを生成する。この場合、交流増幅回路37aは、絶縁検出信号S2の電圧値についての絶対値の増加・減少に対応して、電圧値の絶対値が変化する電圧信号V4aを増幅動作によって生成する。
位相補償回路37bは、フィードバック制御動作の安定化(発振防止)を図るため、電圧信号V4aを入力してその位相を調整して電圧信号V4bとして出力する。昇圧回路37cは、一例として昇圧トランスを用いて構成されて、電圧信号V4bを所定の倍率で昇圧することにより(極性は変えずに絶対を増加させることにより)、電圧信号S4を生成してガード電極11に出力する。また、昇圧回路37cは、その出力インピーダンスが高インピーダンスに規定されている。このように構成されたフィードバック制御部37は、図4に示される周波数特性で振幅が変化する電圧信号S4を生成して出力する。この周波数特性により、フィードバック制御部37は、応答可能な周波数帯域W1,2内における低域側の周波数帯域W1の周波数の信号(交流電圧V1)に対しては、良好に追従して、交流電圧V1と同じ電圧V4の電圧信号S4を生成して出力する。また、フィードバック制御部37は、応答可能な周波数帯域W1,2内における高域側の周波数帯域W2に含まれる周波数の信号(交流電圧V1)に対しては、利得不足に起因して交流電圧V1に達しない電圧V4の電圧信号S4を生成して出力する。また、フィードバック制御部37は、周波数帯域W2を超える周波数帯域W3の信号(参照信号Ssを含む)については、追従し切れずに、電圧V4がほぼゼロボルトとなる電圧信号S4を生成して出力する。
処理部33は、A/D変換器およびCPU(いずれも図示せず)を備えて構成されて、出力信号Soの電圧波形(レベル)を所定周波数のサンプリングクロックでサンプリングしてデジタルデータD1に変換して記憶部34に記憶させる記憶処理、このデジタルデータD1に基づいて交流電圧V1を算出する電圧算出処理、および算出した交流電圧V1を出力する出力処理を実行する。記憶部34は、ROMやRAMなどで構成されて、処理部33での電圧算出処理において使用される電圧算出用テーブルTBが予め記憶されている。この電圧算出用テーブルTBの作成手順についてのその概要を説明する。一例として、既知の電圧Vs(一定)の参照信号Ssをガード電極11に出力して同期検波回路43および制御回路44によるフィードバック制御を行っている状態において、検出対象体4に発生させる交流電圧V1の振幅を所定の電圧ステップで変化させつつデジタルデータD1を取得して、その電圧ステップで変化させた交流電圧V1に対応付けてデジタルデータD1を交流電圧V1の電圧値と共に記憶させることで、電圧算出用テーブルTBを作成する。この構成により、処理部33は、取得したデジタルデータD1に対応する交流電圧V1の電圧値を電圧算出用テーブルTBを参照して取得することにより、検出対象体4の交流電圧V1を算出することが可能となっている。出力部35は、本例では、一例としてディスプレイ装置で構成されて、処理部33での出力処理において、交流電圧V1の波形や算出した電圧パラメータ(振幅や実効値)を表示させる。
次いで、電圧検出装置1による検出対象体4の交流電圧V1に対する検出動作について説明する。
まず、検出電極12が非接触の状態で検出対象体4に対向するように、フローティング回路部2(または電圧検出装置1全体)を検出対象体4の近傍に位置させる。これにより、図1に示すように、検出電極12と検出対象体4との間に静電容量C0が形成された状態となる。この場合、静電容量C0の容量値は、検出電極12と検出対象体4の距離に反比例して変化するが、フローティング回路部2を一旦配設した後は、温度などの環境が一定の条件下においては一定の(変動しない)値となる。また、静電容量C0の容量値が一般的に極めて小さい(例えば数pF〜数十pF程度)ため、交流電圧V1の周波数が数百Hz程度であったとしても、検出対象体4と検出電極12との間のインピーダンスが十分に大きな値(数MΩ)となる。このため、この電圧検出装置1では、検出対象体4の交流電圧V1とガード電極11の電圧Vrとが大きく異なる場合(電位差Vdiが大きい場合)においても、検出部14を構成する演算増幅器21aに入力耐圧の低い安価な製品を使用することができ、この構成においても、電位差Vdiによる演算増幅器21aの破壊が回避されている。
また、検出電極12と検出対象体4とが静電容量C0を介して交流的に接続されることにより、グランド電位Vgから、検出対象体4、検出電極12、検出部14、ガード電極11、コンデンサ31a、参照信号出力部31およびフィードバック制御部37を介してグランド電位Vgに至る電流経路A(図1中において一点鎖線で示す経路)が形成される。このため、フローティング回路部2および本体回路部3の作動状態においては、この電流経路Aには、参照信号Ssの電圧Vsに起因した参照電流成分Is1と、検出対象体4の交流電圧V1に起因した対象電流成分Iv1と、フィードバック制御部37からガード電極11に出力される電圧信号S4の電圧V4に起因したFB電流成分Ib1で構成される電流信号Iが流れている。
これにより、フローティング回路部2では、図1,2に示すように、検出部14の積分回路21が電流信号Iを積分して電圧信号S0を生成し、増幅回路22がこの電圧信号S0を増幅して検出信号S1として出力する。また、絶縁部15は、この検出信号S1を入力して、検出信号S1と電気的に絶縁された絶縁検出信号S2として出力する。
また、本体回路部3では、フィードバック制御部37が、この絶縁検出信号S2に基づいて電圧信号S4を生成してガード電極11に出力している。この場合、フィードバック制御部37は、図4に示される周波数特性で振幅が変化する電圧信号S4、つまり、低い周波数帯域W1では交流電圧V1と同一の振幅となり、高い周波数帯域W3では振幅がゼロとなり、中間の周波数帯域W2では、周波数の上昇に伴い交流電圧V1と同一の状態からゼロに向けて振幅が次第に減少する電圧信号S4を生成して、ガード電極11に出力している。振幅変更部36は、ガード電極11に発生する電圧Vr(電圧信号S4の電圧V4と参照信号Ssの電圧Vsとの合成電圧)を電圧信号Srとして入力して、その振幅を変更(k倍)することにより、図5に示す周波数特性の基準信号Sr1として出力している。
また、フィードバック制御部37が上記したように作動して、図4に示される周波数特性の電圧信号S4を生成してガード電極11に出力しているため、交流電圧V1とこの電圧信号S4との電位差Vdiに基づいて上記のようにしてフローティング回路部2が生成する絶縁検出信号S2は、交流電圧V1および電圧信号S4についての信号成分(交流電圧V1と同一の周波数成分)に関して、電圧信号S4の周波数特性(図4参照)と逆の周波数特性(図6参照)で振幅が変化する信号となっている。つまり、フローティング回路部2は、図6に示すように、低い周波数帯域W1では、電圧信号S4の電圧V4が交流電圧V1と同一電圧にフィードバック制御されることで、電位差Vdiがゼロになっているため、振幅がゼロとなり、高い周波数帯域W3では、電圧信号S4の電圧V4がほぼゼロになることで、電位差Vdiが交流電圧V1となるため、交流電圧V1に比例した振幅となり、中間の周波数帯域W2では、周波数の上昇に伴いゼロの状態から周波数帯域W3での振幅に向けて次第に増加する絶縁検出信号S2を生成して出力している。
信号抽出部32では、上記したように、増幅回路41の利得(増幅率)に対するフィードバック制御が同期検波回路43および制御回路44によって行われて、制御回路44が、増幅検出信号S3を構成する逆相信号成分(参照信号Ssと同一周波数で逆位相の第1信号成分)の振幅が一定となるように(本例では加算回路42に入力される基準信号Sr1を構成する同相信号成分(参照信号Ssと同一周波数で同位相の第2信号成分)の振幅と同じ振幅となるように)、増幅回路41の増幅率を検波信号Vdに基づいて制御する。これにより、増幅回路41は、逆相信号成分の振幅が加算回路42に入力される基準信号Sr1の同相信号成分の振幅と一致する信号であって、図7に示す周波数特性を有する増幅検出信号S3を生成して出力する。この場合、同図に示すように、周波数帯域W3での増幅検出信号S3の振幅は、交流電圧V1のk倍となって、図5に示すように、周波数帯域W1での基準信号Sr1の振幅(交流電圧V1のk倍)と一致した状態となっている。
したがって、加算回路42は、図8に示すように、上記した図5に示す周波数特性(図8中において一点鎖線で表された特性)の基準信号Sr1(電圧信号S4に対して同位相の信号成分で構成される信号)に、上記した図7に示す周波数特性(図8中において細い実線で表された特性)の増幅検出信号S3(電圧信号S4に対して逆位相の信号成分および交流電圧V1に対して同位相の信号成分で構成される信号)を加算することにより、交流電圧V1に対して同位相の信号成分だけで構成され、かつ低い周波数帯域W1から高い周波数帯域W3までの広い周波数帯域に亘ってフラットな周波数特性(図8中において太い実線で表された特性)の出力信号So(広帯域に亘って振幅が交流電圧V1の振幅のk倍となる信号。)を生成して出力する。この場合、増幅検出信号S3および基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssについての各信号成分は、図8において破線で示すように、互いの振幅が一致した状態であるため相殺される。
次いで、処理部33が、記憶処理を実行して、出力信号Soを入力すると共にデジタルデータD1に変換して記憶部34に記憶させる。続いて、処理部33が、電圧算出処理を実行する。この電圧算出処理では、処理部33は、記憶部34に記憶されているデジタルデータD1を読み出すと共に、電圧算出用テーブルTBを参照して、読み出したデジタルデータD1に対応する交流電圧V1を取得する。また、処理部33は、この取得した交流電圧V1に基づいて、例えば交流電圧V1の実効値や振幅などを算出して記憶部34に記憶させる。最後に、処理部33は、出力処理を実行して、記憶部34に記憶されている交流電圧V1の実効値や振幅などを、ディスプレイ装置で構成された出力部35に表示させる。これにより、電圧検出装置1による検出対象体4の交流電圧V1の検出が完了する。なお、出力処理において、処理部33が、取得した交流電圧V1に基づいて、交流電圧V1の電圧波形を出力部35に表示させる構成を採用することもできる。
この電圧検出装置1では、参照信号出力部31がガード電極11に参照信号Ssを出力し、フローティング電圧(プラス電圧Vf+およびマイナス電圧Vf−)の供給を受けて作動する検出部14が、検出電極12を介して検出対象体4とガード電極11との間に交流電圧V1とガード電極11の電圧Vrとの間の交流の電位差(V1−Vr)に応じた電流値で流れる電流信号Iに基づいて、交流の電位差(V1−Vr)に応じて振幅が変化する検出信号S1を出力し、絶縁部15が検出信号S1を入力して絶縁検出信号S2として出力する。また、この絶縁検出信号S2に基づいて、フィードバック制御部37が交流電圧V1に追従するように電圧信号S4(電圧V4)を生成してガード電極11に出力する。また、信号抽出部32が、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssの第1信号成分の振幅が基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssの第2信号成分の振幅となるように、絶縁検出信号S2に対する利得を制御して増幅検出信号S3の振幅を変えて出力すると共に、このように振幅が変更させられた増幅検出信号S3と基準信号Sr1とを加算し、これにより、参照信号Ssについての信号成分(参照信号Ssと同一周波数の信号成分)が除去された交流電圧V1の信号成分を生成して出力信号Soとして出力し、処理部33が、この交流電圧V1の信号成分で構成される出力信号Soのレベルに基づいて交流電圧V1を検出および算出する。
したがって、この電圧検出装置1によれば、フィードバック制御部37による検出動作だけでは検出し得なかった高い周波数帯域の交流電圧V1を、信号抽出部32において生成される増幅検出信号S3に基づいて検出できるため、広い周波数帯域に亘って交流電圧V1を非接触で検出することができる。また、この電圧検出装置1によれば、出力信号Soが検出対象体4と検出電極12との間の結合容量(静電容量C0)によって影響を受けない信号として検出できるため、静電容量C0の算出を行うことなく、交流電圧V1を非接触で検出することができる。
また、この電圧検出装置1では、信号抽出部32において、同期検波回路43が、出力信号Soに含まれている参照信号Ssについての信号成分の振幅を示す検波信号Vdを参照信号Ssを用いた同期検波によって検出し、制御回路44が、この検波信号Vdに基づいて増幅回路41の利得を制御する。したがって、この電圧検出装置1によれば、同期検波によって参照信号Ssの信号成分を正確に検出することができ、これにより、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssの第1信号成分についての振幅を、基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssの第2信号成分についての振幅に高い精度で一致させることができる。この結果、第1信号成分および第2信号成分を高い精度で相殺することができ、これにより、出力信号Soに含まれる参照信号Ssの信号成分を大幅に低減することができるため、交流電圧V1の検出精度を一層向上させることができる。
また、この電圧検出装置1では、増幅検出信号S3を構成する参照信号Ssに対する逆位相の第1信号成分(逆相信号成分)を、基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssと同位相の第2信号成分で相殺(キャンセル)する処理を実行する加算回路42を相殺回路として備えて信号抽出部32が構成され、制御回路44は、加算回路42に入力される増幅検出信号S3に含まれている第1信号成分を基準信号Sr1に含まれている第2信号成分で相殺可能に増幅回路41の利得を制御する。したがって、この電圧検出装置1によれば、加算回路のような簡易な回路で相殺回路を構成することができるため、装置構成の簡略化を図りつつ、出力信号Soを確実に生成することができる。
また、この電圧検出装置1によれば、出力信号Soに基づいて交流電圧V1を検出する処理部33を備えたことにより、処理部33に対して、交流電圧V1を一定間隔で検出させたり、また、検出した交流電圧V1を記憶部34に記憶させて保存したり、記憶部34に記憶されている交流電圧V1に基づいて、交流電圧V1の電圧波形を出力部35に表示させることができる。
また、この電圧検出装置1によれば、処理部33が出力信号Soに基づいて交流電圧V1の電圧値を算出するため、交流電圧V1を検出(測定)することができる。
また、この電圧検出装置1によれば、振幅変更部36での倍率kを変更することにより、測定できる交流電圧V1の範囲を拡大することができる。例えば、処理部33での出力信号Soの入力レベルに規定がある場合(上記のようにA/D変換器を備えた構成では、A/D変換器の入力定格によって出力信号Soの入力レベルが所定例ベル以下に制限される)においても、倍率kを数値1/10とすることにより、数値1としたとき(参照信号Ssを加算回路42に直接入力する構成)と比較して、規定された出力信号Soの入力レベルを満足させつつ、より高電圧の交流電圧V1まで検出(測定)することができる。
なお、上記の電圧検出装置1では、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssについての第1信号成分が、基準信号Sr1に含まれている参照信号Ssについての第2信号成分に対して逆位相になっていることを利用して、相殺回路として加算回路42を使用して、増幅検出信号S3に含まれている第1信号成分と基準信号Sr1に含まれている第2信号成分とを相殺しているが、検出部14、絶縁部15および増幅回路41において、検出信号S1、絶縁検出信号S2および増幅検出信号S3の位相を反転させたり、相殺回路に基準信号Sr1を反転させて出力することも可能である。この構成においては、加算回路42に入力される参照信号Ssについての第1および第2信号成分を同位相とすることもできるため、この場合には、相殺回路として減算回路を使用することで、増幅検出信号S3に含まれている第1信号成分と基準信号Sr1に含まれている第2信号成分とを相殺することができる。
また、上記の例では、ガード電極11の電圧Vrを電圧信号Srとしたときに、この電圧信号Srの振幅を振幅変更部36で変更して基準信号Sr1として相殺回路(上記例では加算回路42)に入力する構成を採用しているが、振幅変更部36の配設を省略して、電圧信号Srを基準信号として相殺回路に入力する構成を採用することもできる。この構成においては、信号抽出部32では、増幅検出信号S3に含まれている参照信号Ssの第1信号成分についての振幅が、基準信号としての電圧信号Srに含まれている参照信号Ssの第2信号成分についての振幅と一致するようにフィードバック制御される。したがって、この構成では、出力信号Soに含まれている対象電流成分Iv1に基づく電圧成分の振幅は等倍の状態(つまり、交流電圧V1と等しい電圧)で検出される。このため、処理部33は、この検出された対象電流成分Iv1に基づく電圧成分から直接的に交流電圧V1を検出することができる。
また、上記の電圧検出装置1では、例えば、絶縁部15と増幅回路41との間、参照信号出力部31と加算回路42との間、および参照信号出力部31と同期検波回路43との間をそれぞれ直接接続する構成を採用したが、図示はしないが、必要に応じてバッファを介装する構成を採用することもできる。また、参照信号出力部31から出力される参照信号Ssをそのままのレベルで同期検波回路43に供給する構成を採用した例について上記したが、図示はしないが、一例として分圧抵抗などで構成されるアッテネータを使用して、参照信号Ssを必要なレベルに低減させて、同期検波回路43に供給する構成を採用することもできる。
また、図示はしないが、アナログ信号である絶縁検出信号S2をデジタルデータに変換するA/D変換部、および参照信号出力部31から信号抽出部32に供給されるアナログ信号である参照信号Ssをデジタルデータに変換するA/D変換部を本体回路部3内に設けることにより、信号抽出部32での処理をすべてデジタル処理で行う構成を採用することもできる。この場合、処理部33に信号抽出部32の機能を持たせる構成を採用することもでき、この構成によれば、回路部品点数を大幅に低減することができる。また、処理部33の機能と、信号抽出部32の機能とをソフトウェアで実現してもよいし、ハードウェア(DSP(Digital Signal Processor)やロジックアレイ)で実現することもできる。
次に、上記した電圧検出装置1を複数利用した線間電圧検出装置51について説明する。
最初に、線間電圧検出装置51について、図面を参照して説明する。なお、以下では、三相(R相、S相およびT相)三線式の交流電路(以下、「電路」ともいう)R,S,Tの線間電圧を検出する例について説明する。
線間電圧検出装置51は、一例として、図9に示すように、電路R,S,Tの数と同数(3つ)の電圧検出装置1(以下、各電路R,S,Tに対応させて電圧検出装置1r,1s,1t(以下、特に区別しないときには「電圧検出装置1」ともいう)、算出部52、および表示部53を備え、電路R,S間の線間電圧Vrs、電路S,T間の線間電圧Vst、および電路R,T間の線間電圧Vrtを非接触で検出可能に構成されている。
各電圧検出装置1は、図9に示すように、上記したフローティング回路部2および本体回路部3をそれぞれ備えて同一に構成されて、各電路R,S,Tを検出対象体としてこれらの交流電圧Vrp,Vsp,Vtp(各々が検出対象交流電圧)の実効値を検出して、実効値を示すデータを検出データDva,Dvb,Dvcとして出力する。以下、検出データDva,Dvb,Dvcについては、特に区別しないときには「検出データDv」ともいう。本例では、各電圧検出装置1の出力部35は、データの送信が可能な送信装置で構成されて、処理部33から入力した検出データDva,Dvb,Dvcを算出部52に送信する機能を備えている。なお、電圧検出装置1における出力部35を除く他の構成要素については、前述した構成と同一であるため、詳細な説明を省略する。
算出部52は、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、各電圧検出装置1から出力された検出データDvに基づいて、線間電圧を算出(検出)する線間電圧算出処理を実行する。また、算出部52は、線間電圧算出処理の結果を表示部53に表示させる。表示部53は、本例では、液晶ディスプレイなどのモニタ装置で構成されている。なお、プリンタなどの印字装置で構成することもできる。また、各本体回路部3は、後述するように互いのグランド電位Vgとなる部位(例えば、本体回路部3の筐体)G1同士が接続される。また、一例として、算出部52および表示部53は、3つの本体回路部3のうちのいずれか1つの本体回路部3に含まれている電源回路(不図示)から電圧の供給を受けて作動する。
次いで、線間電圧検出装置51の検出動作について説明する。
まず、検出に際して、図9に示すように、電圧検出装置1rで電路Rの交流電圧Vrpを検出するため、そのフローティング回路部2を電路Rに近づけると共に、その検出電極12を対応する電路Rに対向させる。同様にして、他の電圧検出装置1s,1tについても、電路S,Tの交流電圧Vsp,Vtpを検出するため、各フローティング回路部2の検出電極12を対応する電路S,Tにそれぞれ対向させる。これにより、各検出電極12と各電路R,S,Tとの間に静電容量C0(図1参照)がそれぞれ形成された状態となり、各電圧検出装置1r,1s,1tにおいて、対応する電路R,S,Tの交流電圧Vrp,Vsp,Vtpの検出が開始される。この場合、上記したように、各電圧検出装置1r,1s,1tでは、静電容量C0の容量値の如何に拘わらず、処理部33によって交流電圧Vrp,Vsp,Vtpが正確に検出される。
また、各電圧検出装置1r,1s,1tでは、出力部35が、処理部33によって算出された各電路R,S,Tの交流電圧Vrp,Vsp,Vtpについての実効値を、それぞれ検出データDva,Dvb,Dvcとして出力する。
算出部52は、各電圧検出装置1から出力された各検出データDva,Dvb,Dvcを入力してメモリに記憶する。次いで、算出部52は、線間電圧算出処理を実行する。具体的には、算出部52は、各検出データDva,Dvbで示される交流電圧Vrp,Vspの各実効値の差分電圧を算出することにより、各電路R,S間の線間電圧Vrsを求める(検出する)。また、算出部52は、同様にして、各検出データDvb,Dvcで示される交流電圧Vsp,Vtpの各実効値の差分電圧を算出することにより、各電路S,T間の線間電圧Vstを求め(検出し)、各電圧データDva,Dvcで示される交流電圧Vrp,Vtpの各実効値の差分電圧を算出することにより、各電路R,T間の線間電圧Vrtを求める(検出する)。また、算出部52は、算出した線間電圧Vrs,Vst,Vrtを表示部53に表示させる。
このように、この線間電圧検出装置51によれば、電圧検出装置1を使用したことにより、各電圧検出装置1における検出電極12と、各電圧検出装置1の検出対象体としての各電路R,S,Tとの間の結合容量(静電容量C0)が未知の状態であっても、これらの結合容量を算出することなく、広い周波数帯域に亘って線間電圧Vrs,Vst,Vrtを非接触で正確に検出することができる。