JP5312678B2 - 静止器 - Google Patents

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Description

本発明は、静止器に関し、特に、静止器が有する鉄心の構造に関する。
静止器の効率を向上させるために、静止器の損失を低減することが求められている。静止器の損失にはコイルからの漏れ磁束による渦電流損が含まれる。渦電流損を低減するための技術を開示した先行文献として、特開2003−347134号公報(特許文献1)および実開昭55−22135号公報(特許文献2)がある。
特許文献1に記載された三相リアクトルにおいては、積層されたブロック鉄心を挟む上下のリングヨークの両方に水平方向のスリットが形成されている。特許文献2に記載された変圧器においては、外鉄型変圧器のコイルと鉄心との間に電磁シールドを配置されることが開示されている。これにより、コイルからの漏れ磁界を電磁シールド内のみに通過させることができるため、鉄心にはコイルからの漏れ磁界が印加されず渦電流損が発生しない。電磁シールドの積層方向は鉄心の積層方向とは90°異なるため、電磁シールドにおけるコイルの漏れ磁界による渦電流損は少ない。
特開2003−347134号公報 実開昭55−22135号公報
上記のように、静止器の渦電流損を低減するための各種の技術がこれまでに提案されている。しかしながら静止器の効率を向上させるためには、静止器の損失をできる限り小さくすることが求められる。したがって静止器の損失を低減するための技術には、なお改良の余地がある。また、電磁シールドは高価であるため、静止器の製造コストの増加をもたらしている。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、静止器の損失を低減可能な鉄心の構造を有する廉価な静止器を提供することを目的とする。
本発明に基づく静止器は、一方向に積層された複数の磁性板を含み、主表面および側面を有する軸部が形成されている鉄心と、軸部に巻回されたコイルとを備える。主表面は、複数の磁性板の積層方向においてコイルの内周面と対向している。側面は、積層方向と直交する方向において内周面と対向して主表面同士を繋いでいる。複数の磁性板の少なくとも主表面を構成する表層磁性板に軸部の軸方向に延在するスリットが形成されている。スリットの一部は、主表面において側面側の端部に所定の形成密度で設けられている。スリットの形成密度は、上記所定の形成密度で最も高く、主表面内における側面からの最短距離および積層方向においてスリットに近い側の主表面からの距離の少なくともいずれかが長くなるに従って低下している。なお、スリットの形成密度とは、平面視において、磁性板の単位面積当たりのスリットの形成数をいう。
本発明によれば、静止器の製造コストの増加を抑えつつ、鉄心の渦電流損を低減することにより静止器の損失を低減することができる。
本発明の参考例1に係る内鉄型変圧器の構成を模式的に示す斜視図である。 同参考例に係る内鉄型変圧器のコイルに電流を流した際に鉄心に発生した渦電流を模式的に示す斜視図である。 図2のIII−III線矢印方向から見た図である。 同参考例に係る内鉄型変圧器のコイルの周囲に発生する漏れ磁界を模式的に示す図である。 同参考例に係る内鉄型変圧器に発生する渦電流を模式的に示す斜視図である。 本発明の参考例2に係る外鉄型変圧器の構成を模式的に示す斜視図である。 図6のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。 図6の外鉄型変圧器を矢印VIIIから見た図である。 図8の外鉄型変圧器をIX方向から見た斜視図である。 スリットを図示した図7と同じ断面図である。 変形例の外鉄型変圧器の図10に対応する断面図である。 変形例の外鉄型変圧器の図8に対応する側面図である。 磁性板に一様に垂直方向の磁界が印加された場合に発生する渦電流を模式的に示す図である。 スリットを設けた磁性板に垂直方向の磁界が印加された場合に発生する渦電流を模式的に示す図である。 本発明の実施形態1に係る外鉄型変圧器の断面の一部を模式的に示す図である。 図15のXVI−XVI線矢印方向に見た断面図である。 同実施形態の鉄心の構造を模式的に示す斜視図である。 参考例1に係る内鉄型変圧器の構成を示す斜視図である。 図18のXIX−XIX線矢印方向から見た断面図である。 本発明の実施形態2に係る内鉄型変圧器の構造を模式的に示す斜視図である。 外鉄型変圧器に発生した漏れ磁界を模式的に示す断面図である。 深さの異なる溝を設けた鉄心の断面図である。 図21で示した垂直方向の磁束線と深さとの関係を示す図である。 高圧コイルと低圧コイルとの間の領域の垂直方向の磁束分布を示した図である。 隣接する高圧コイル間同士の間の位置の下方における鉄心の水平方向の磁界の分布を示した図である。 内鉄型変圧器の図3に対応する断面に磁束線を示した図である。 段差部を有する鉄心を備えた外鉄型変圧器の一部断面図である。 段差部を有する鉄心の一部断面図である。 段差部を有する鉄心に浸入した磁束の通過経路を示す一部斜視図である。 段差部の隅部に溝部を設けた鉄心を示す一部断面図である。 段差側面の近傍に溝部を設けた鉄心を示す一部断面図である。 本発明の実施形態5に係る段差部および溝部を有する鉄心の構造を示す一部断面図である。 同実施形態に係る段差部および溝部を有する鉄心を備えた内鉄型変圧器の構成を示す斜視図である。 図33のXXXIV−XXXIV矢印方向から見た断面図である。 垂直磁界による渦電流損と、軸部の側面からスリット形成位置までの距離との関係を示す図である。 垂直磁界および側面から侵入する磁界と、軸部の側面からスリット形成位置までの距離との関係を示す図である。 同実施形態に係る外鉄型変圧器の比較例として、深さの均一な溝部を等間隔で設けた鉄心を備える外鉄型変圧器の一部断面図である。 溝部を有さない鉄心の軸部に発生する発熱損失をシミュレーション解析した図である。 本発明の実施形態6に係る外鉄型変圧器の一部断面図である。 スリットが形成されていない鉄心に垂直磁界が印加された際の鉄心の発熱密度と主表面からの距離との関係を示す図である。 鉄心の発熱密度とスリットの形成密度との関係を示す図である。 主表面から距離が長くなるに従ってスリットの形成密度を線型で低下させた状態を示す図である。 損失比と主表面からの距離との関係を示す図である。 図42で示すようにスリットの形成密度を線型で低下させた場合の、鉄心の発熱密度と主表面からの距離との関係を示す図である。 比較例において、主表面から距離が長くなるに従ってスリットの形成密度を低下させた状態を示す図である。 比較例において、損失比と主表面からの距離との関係を示す図である。 図45で示すようにスリットの形成密度を低下させた場合の、鉄心の発熱密度と主表面からの距離との関係を示す図である。 スリットの形成密度の好ましい領域を示した図である。 リアクトルの構成を示す斜視図である。 図49のL−L線矢印方向から見た図である。 本発明の実施形態8に係る外鉄型変圧器の一部断面図である。
本発明は、内鉄型変圧器、外鉄型変圧器およびリアクトルなどの静止器に適用することができるため、以下の実施形態においては、内鉄型変圧器、外鉄型変圧器およびリアクトルのいずれかについて例示して説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「左」、「右」およびこれらの用語を含む名称を適宜使用するが、これらの方向は図面を参照した発明の理解を容易にするために用いるものであり、実施形態を上下反転、あるいは任意の方向に回転した形態も、当然に本願発明の技術的範囲に含まれる。また、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
以下、本発明に関連する参考例1に係る内鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<参考例1>
図1は、本発明の参考例1に係る内鉄型変圧器の構成を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本参考例に係る内鉄型変圧器1は、Z方向の一方向に積層された複数の磁性板9を含み、主表面10および側面94を有する軸部3が形成されている鉄心2と、軸部3に巻回されたコイル11とを備えている。
鉄心2は、複数枚の薄板磁性体が層状に重ねられた積層構造を有している。磁性板9は、薄板状の磁性体のことをいう。磁性板9として、電磁鋼板、より具体的には方向性鋼板を用いた。鉄心2は、上側ヨーク4、下側ヨーク5、上側ヨーク4と下側ヨーク5とを繋ぐ、右側ヨーク6および左側ヨーク7を含む。軸部3は、上側ヨーク4と下側ヨーク5とを繋ぎ、右側ヨーク6と左側ヨーク7との間の中央の位置に設けられている。コイル11は、軸部3を共通に中心軸とする同軸配置された高圧コイル12および低圧コイル13を含む。
図1に示したZ軸は、複数枚の磁性板9の積層方向を示している。Y軸は、軸部3の軸方向を示し、Z軸に直交する軸である。X軸は、Y軸およびZ軸に直交する軸である。以後説明する図に示すX軸、Y軸およびZ軸の間にも上述の関係が成立するため、以後は、X軸、Y軸およびZ軸に関する説明を繰返さない。
主表面10は、複数の磁性板9の積層方向においてコイル11の内周面と対向している。主表面10は、図1の紙面の手前側および奥側に2面存在している。側面94は、積層方向と直交する方向においてコイル11の内周面と対向して主表面10同士を繋いでいる。側面94は、図1の紙面の右側および左側に2面存在している。
本参考例においては、複数の磁性板9のうち、主表面10を構成する表層磁性板97にスリット8が形成されている。なお、図1においては、複数の磁性板9の積層方向に沿って一方から見た内鉄型変圧器1を示しているが、反対側から見た内鉄型変圧器1の構成も図1の構成と同様である。すなわち、Z軸方向に沿って積層された複数の磁性板9のうちの両端の表層磁性板97にスリット8が形成されている。
本参考例においては、スリット8は、軸部3の軸方向に延在している。言い換えると、スリット8は、Y軸方向に沿った長手方向を有している。ここで、複数の磁性板9の積層方向においてコイル11を表層磁性板97上に投影した領域を投影領域40とする。スリット8は、投影領域40の少なくとも一部を含む領域に形成されている。
図2は、本参考例に係る内鉄型変圧器のコイルに電流を流した際に鉄心に発生した渦電流を模式的に示す斜視図である。図3は、図2のIII−III線矢印方向から見た図である。
図2,3に示すように、低圧コイル13において電流が向き15に流される。その電流によって鉄心2にY方向下向きの主磁束が現れることにより、高圧コイル12に向き14に流れる誘導電流が発生する。このとき、低圧コイル13の周囲には、漏れ磁界22,23,24が発生している。漏れ磁界22,23,24は、低圧コイル13の外周と軸部3を周回する磁界となっている。
図3に示すように、漏れ磁界22,23,24は、低圧コイル13の上端側においては矢印20に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界22,23,24の磁束は、鉄心2の磁性板9に対して直交する方向に浸入する。漏れ磁界22,23,24の磁束の浸入によって発生する渦電流は、磁性板9の面方向に発生するため、渦電流損の影響が大きく現れる。
漏れ磁界22の磁束が磁性板9に浸入することによって発生する渦電流27は、漏れ磁界22と鎖交するように、複数の磁性板9の積層方向においてコイル11の上端を表層磁性板97に投影した位置の近傍に発生している。漏れ磁界23の磁束が磁性板9に浸入することによって発生する渦電流25は、漏れ磁界23と鎖交するように渦電流27の外側に発生している。漏れ磁界24の磁束が磁性板9に浸入することによって発生する渦電流16は、漏れ磁界24と鎖交するように渦電流25の外側で鉄心2の上端近傍を流れるように発生している。渦電流27,25,16は、矢印18に示す向きに流れている。
また、漏れ磁界22,23,24は、低圧コイル13の下端側においては矢印21に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界22,23,24の磁束は、鉄心2の磁性板9に対して直交する方向に外出する。漏れ磁界22,23,24の磁束の外出によって発生する渦電流は、磁性板9の面方向に発生するため、渦電流損の影響が大きく現れる。
漏れ磁界22の磁束が磁性板9から外出することによって発生する渦電流28は、漏れ磁界22と鎖交するように、複数の磁性板9の積層方向においてコイル11の下端を表層磁性板97に投影した位置の近傍に発生している。漏れ磁界23の磁束が磁性板9から外出することによって発生する渦電流26は、漏れ磁界23と鎖交するように渦電流28の外側に発生している。漏れ磁界24の磁束が磁性板9から外出することによって発生する渦電流17は、漏れ磁界24と鎖交するように渦電流26の外側で鉄心2の下端近傍を流れるように発生している。渦電流28,26,17は、矢印19に示す向きに流れている。
図4は、本参考例に係る内鉄型変圧器のコイルの周囲に発生する漏れ磁界を模式的に示す図である。図4においては、簡単のため鉄心の図示を省略し、漏れ磁界は、低圧コイル13の近くに発生している磁界と遠くに発生している磁界のみを図示している。
図4に示すように、低圧コイル13の端部の近傍に発生する漏れ磁界の磁束密度29は、低圧コイル13の端部から離れた位置に発生する漏れ磁界の磁束密度30より高くなっている。鉄心2の磁性板9を通過する磁束密度が高いほど、発生する渦電流が多くなる。そのため、コイル11の端部を磁性板9の積層方向において表層磁性板97に投影した位置における渦電流が大きくなる。
破線31はコイル11の上端位置を示し、破線32はコイル11の下端位置を示している。よって、破線31と破線32との間の範囲が、図1に示す投影領域40の上下範囲となる。
図5は、本参考例に係る内鉄型変圧器に発生する渦電流を模式的に示す斜視図である。図5においては、流れる渦電流の量を線の太さで示し、太い線で示している渦電流ほど、多くの電流が流れている。
図5に示すように、複数の磁性板9の積層方向においてコイル11の端部を表層磁性板97に投影した位置の近傍に発生している渦電流27,28においては、その位置から離れた位置に発生している渦電流25,26および渦電流16,17より多くの電流が流れている。
よって、内鉄型変圧器1においては、強い漏れ磁界22によって発生する渦電流27,28を切断するようにスリット8を形成することにより、効率的に渦電流損を低減することができる。このように、スリット8を磁性板9の積層方向においてコイル11を表層磁性板97上に投影した領域である投影領域40の少なくとも一部を含む位置に形成することにより、効率的に渦電流損を低減することができる。
スリット8の大きさを小さくするために、図1に示すように、スリット8を軸部3の軸方向において分割してもよい。このようにすることにより、スリット8の形成範囲を少なくしつつ、効率的に渦電流損を低減することができる。なお、スリット8は、軸部3の軸方向に延在するように設けたが、仮に、スリット8をX方向に設けた場合、軸部3に発生する主磁束に対して磁気抵抗となるため好ましくない。本参考例においては、スリット8を表層磁性板97のみに形成したが、磁性板9の積層方向に連続的に並ぶ所定の磁性板9にスリット8を形成してもよい。
以下、本発明に関連する参考例2に係る外鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<参考例2>
図6は、本発明の参考例2に係る外鉄型変圧器の構成を模式的に示す斜視図である。図7は、図6のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。図8は、図6の外鉄型変圧器を矢印VIIIから見た図である。図7においては、簡単のためスリット48を図示していない。
図6,7に示すように、本参考例に係る外鉄型変圧器41は、2つの鉄心42と1つのコイル51とを含む。鉄心42は、Z方向の一方向に積層された複数の磁性板49を含み、額縁状の形状を有している。鉄心42は、複数枚の薄板磁性体が層状に重ねられた積層構造を有している。磁性板49は、薄板状の磁性体のことをいう。磁性板49として、電磁鋼板、より具体的には方向性鋼板を用いた。2つの鉄心42が並列に配置されて、主表面44および側面45を有する軸部43が形成されている。
コイル51は、低圧コイル53および高圧コイル52を含み、本参考例においては、図6の手前側から低圧コイル53、高圧コイル52、高圧コイル52、低圧コイル53の順に、軸部43の軸方向に並列に配置されている。コイル51は、軸部43に巻回されている。
上記のように、高電圧が印加される高圧コイル52を印加電圧の低い低圧コイル53で挟み込むように配置することにより、軸部43の軸方向において、高圧コイル52と鉄心42との間の距離を長くして絶縁距離を確保している。また、X方向における高圧コイル52の幅を低圧コイル53の幅より狭くすることにより、X方向において、高圧コイル52と鉄心42との間の距離を長くして絶縁距離を確保している。
主表面44は、複数の磁性板49の積層方向においてコイル51の内周面と対向している。主表面44は、鉄心42の上側および下側に2面存在している。側面45は、積層方向と直交する方向においてコイル51の内周面と対向して主表面44同士を繋いでいる。側面45は、軸部43の右側および左側に2面存在している。
本参考例においては、複数の磁性板49のうち、主表面44を構成する表層磁性板47にスリット48が形成されている。なお、図6においては、複数の磁性板49の一方から見た外鉄型変圧器41を示しているが、反対側から見た外鉄型変圧器41の構成も図6の構成と同様である。すなわち、Z軸方向に沿って積層された複数の磁性板49のうちの両端の表層磁性板47にスリット48が形成されている。
本参考例においては、スリット48は、軸部43の軸方向に延在している。言い換えると、スリット48は、Y軸方向に沿った長手方向を有している。ここで、複数の磁性板49の積層方向においてコイル51を表層磁性板47上に投影した領域を投影領域46とする。スリット48は、投影領域46の少なくとも一部を含む領域に形成されている。
図6から8に示すように、高圧コイル52において電流が矢印54で示す向きに流される。その電流によって鉄心42にY方向の主磁束が現れることにより、低圧コイル53に矢印55で示す向きの誘導電流が発生する。これらの電流により、高圧コイル52の周囲には、漏れ磁界63が発生する。漏れ磁界63は、高圧コイル52の外周と軸部43を周回する磁界になっている。
図8に示すように、漏れ磁界63は、低圧コイル53と高圧コイル52との間の領域64においては矢印66に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界63の磁束は、鉄心42の表層磁性板47に対して直交する方向に浸入する。漏れ磁界63の磁束の浸入によって発生する渦電流は、表層磁性板47の面方向に発生するため、渦電流損の影響が大きく現れる。
漏れ磁界63の磁束が表層磁性板47に浸入することによって発生する渦電流57は、漏れ磁界63と鎖交するように、表層磁性板47における上記領域64の近傍に発生している。渦電流57は、矢印59に示す向きに流れている。
また、漏れ磁界63は、低圧コイル53と高圧コイル52との間の領域65においては矢印67に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界63の磁束は、鉄心42の磁性板49から直交する方向に外出する。漏れ磁界63の磁束の外出によって発生する渦電流は、表層磁性板47の面方向に発生するため、渦電流損の影響が大きく現れる。
漏れ磁界63の磁束が表層磁性板47から外出することによって発生する渦電流56は、漏れ磁界63と鎖交するように、表層磁性板47における上記領域65の近傍に発生している。渦電流56は、矢印58に示す向きに流れている。図6,7に示すように、渦電流56と渦電流57とは、2つの高圧コイル52同士の間の位置にある接近領域60において同じ方向に流れている。
接近領域60は、磁性板49の積層方向において、表層磁性板47上に隣接する高圧コイル52同士の間の隙間を投影した領域を含む。接近領域60において、渦電流57は矢印62に示す向きに流れ、渦電流56は矢印61で示す向きに流れている。
図9は、図8の外鉄型変圧器をIX方向から見た斜視図である。図9においては、簡単のため1つの高圧コイル52と鉄心42の一部のみ示している。図9に示すように、高圧コイル52に矢印54で示す向きの電流が流れることにより、漏れ磁界63が発生する。漏れ磁界63の磁束は、矢印66で示す向きに表層磁性板47に浸入する。そのため、表層磁性板47では、この漏れ磁界63の磁束を打ち消す矢印59,62の方向に渦電流57が発生する。
この渦電流57による発熱によって渦電流損が発生するため、従来は、高圧コイル52の内周面と鉄心42の主表面44との間に電磁シールドを設けていた。電磁シールドを設けることにより、表層磁性板47に漏れ磁界63の磁束が浸入しないようにして、渦電流損の発生を防止していた。この電磁シールドは高価であるため、電磁シールドを設けることなく渦電流損の発生を抑制できれば、変圧器の製造コストの削減を図ることができる。
本参考例は、表層磁性板47にスリット48を設けることにより電磁シールドを設けることなく渦電流損を低減するものであるが、スリット48の大きさを小さくすることにより、スリット48を設ける加工コストを低減することができる。そのため、渦電流損を効果的に低減することができる位置に小さなスリット48を設ける必要がある。
図10は、スリットを図示した図7と同じ断面図である。上述の通り、接近領域60においては、渦電流56と渦電流57とが同じ方向に流れる。そのため、他の領域における渦電流56の電流量または渦電流57の電流量をIとすると、接近領域60では約2倍の電流量2Iの渦電流が流れる。渦電流による発熱損失は、4×R×I2で表されるため、他の領域における渦電流56,57の発熱損失に比較して、接近領域60においては4倍近くの発熱損失が発生することになる。
図10に示すように、接近領域60にスリット48を設けることにより、渦電流56および渦電流57を切断することができる。その結果、渦電流56および渦電流57による発熱損失である渦電流損を効果的に低減することができる。効果的な位置に、スリット48を設けることにより、渦電流損の低減を図りつつ、スリット48の大きさを小さくして製造コストの低減を図ることができる。
本参考例においては、低圧コイル、高圧コイル、高圧コイル、低圧コイルの順に軸部43の軸方向に並列に配置されている外鉄型変圧器41を用いたが、変形例として、低高高低低高高低の順に4つの低圧コイルと4つの高圧コイルとを軸部43の軸方向に並列に配置されている外鉄型変圧器のスリットの形成位置について説明する。
図11は、変形例の外鉄型変圧器の図10に対応する断面図である。図12は、変形例の外鉄型変圧器の図8に対応する側面図である。図11,12に示すように、変形例の外鉄型変圧器においては、高圧コイル52と軸部とを周回する漏れ磁界63と、低圧コイル53と軸部とを周回する漏れ磁界69が発生する。
漏れ磁界63および漏れ磁界69によって、表層磁性板47には渦電流56および渦電流57が発生する。渦電流56は、矢印58に示す向きに流れている。渦電流57は、矢印59に示す向きに流れている。渦電流56と渦電流57とは、隣接する2つの高圧コイル52同士の間の位置にある接近領域60において同じ方向に流れている。また、渦電流56と渦電流57とは、隣接する2つの低圧コイル53同士の間の位置にある接近領域70において同じ方向に流れている。
接近領域70は、磁性板49の積層方向において、表層磁性板47上に隣接する低圧コイル53同士の間の隙間を投影した領域を含む。接近領域70において、渦電流57は矢印62に示す向きに流れ、渦電流56は矢印61で示す向きに流れている。
よって、変形例の外鉄型変圧器においては、スリットを軸部の軸方向に3分割して、接近領域60および接近領域70に設けている。このようにすることにより、渦電流56および渦電流57を切断することができる。その結果、渦電流56および渦電流57による発熱損失である渦電流損を効果的に低減することができる。効果的な位置に、スリットを設けることにより、渦電流損の低減を図りつつ、スリットの大きさを小さくして製造コストの低減を図ることができる。
ここで、スリットを設けることにより渦電流損を低減することができる理由について述べる。図13は、磁性板に一様に垂直方向の磁界が印加された場合に発生する渦電流を模式的に示す図である。図14は、スリットを設けた磁性板に垂直方向の磁界が印加された場合に発生する渦電流を模式的に示す図である。
図13,14においては、磁性板50に矢印66で示す向きの垂直磁界が印加された状態を示している。図13に示すように、変圧器では周波数が低いため、渦電流はX方向に線型で増加する電流になる。印加磁界強度が一定であれば、X方向に沿った渦電流の傾きは一定となる。磁性板50の板幅を4Lとし、電流のX方向の傾きを1とし、渦電流による発熱損失の積分範囲を板中心から端までとすると、発熱損失は2×∫R×X2dxで表される。図13で示される状態における発熱損失は、4/3Rである。
図14に示すように、スリット68が設けられることにより、磁性板50は分割されて、それぞれ長さが2Lとなる。この場合、分割された一方の磁性板50における発熱損失は1/6Rとなる。分割された2つの磁性板50を合わせると、発熱損失は1/3Rとなる。よって、スリット68を設けることにより、発熱損失を1/4にすることができる。発熱損失は、分割数の二乗で低減するため、スリット同士の間隔を細かくすることにより渦電流損を低減することができる。上記の関係は参考例1にも当てはまる。
よって、外鉄型変圧器41においては、接近領域60に発生する渦電流56,57を切断するようにスリットを形成することにより、効率的に渦電流損を低減することができる。このように、スリットを磁性板49の積層方向においてコイル11を表層磁性板47上に投影した領域である投影領域46の少なくとも一部を含む位置に形成することにより、効率的に渦電流損を低減することができる。
本参考例においては、スリット48を表層磁性板47のみに形成したが、磁性板49の積層方向に連続的に並ぶ所定の磁性板49にスリット48を形成してもよい。他の構成については、参考例1と同様であるため説明を繰返さない。
以下、本発明の実施形態1に係る外鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態1>
実施形態1においては、スリットは、軸部の中央部より側面側の端部においてスリット同士の間隔が狭くなるように形成されている。言い換えると、スリットの形成密度が、主表面44内における側面45からの最短距離が長くなるに従って低下している。
図15は、本発明の実施形態1に係る外鉄型変圧器の断面の一部を模式的に示す図である。図16は、図15のXVI−XVI線矢印方向に見た断面図である。図17は、本実施形態の鉄心の構造を模式的に示す斜視図である。なお、図15においては、簡単のためスリットを図示していない。
外鉄型変圧器のコイル51は、略矩形状の外形を有しており、図15のX方向の直線部とZ方向の直線部とこの直線部同士を繋ぐ円弧部81とから構成されている。図15に示すように、コイル51に電流が流されることにより、矢印方向の磁束が発生する。円弧部81においては、コイル51の長さが外周側に比べて内周側の方が短いため、コイル51に発生する磁束82が内周側に集まり磁束の密度が高くなる。
この密度の高い磁束は、鉄心42の軸部43の主表面44の側面45側の端部83に浸入する。そのため、軸部43の主表面44においては、中央部から側面45側の端部83に近づくに従って、鉄心42への印加磁界、特に鉄心42の主表面44に対して直交する方向に浸入する印加磁界が強くなるため、発生する渦電流も増大する。よって、主表面44の側面45側の端部83にスリットを形成することにより、この増大した渦電流を切断することができる。
図16,17に示すように、本実施形態においては、スリット48は、平面的に見て、主表面44内に並列に複数配置されている。また、スリット48は、主表面44内の中央部に比べて側面45側の端部83においてスリット48同士の間隔が狭くなるように配置されている。このようにスリット48を形成することにより、大きな渦電流を切断して渦電流損を低減することができる。なお、本実施形態と参考例2とを組合わせたスリットを形成してもよい。他の構成については、参考例2と同様であるため説明を繰返さない。
以下、本発明の実施形態2に係る内鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1を内鉄型変圧器に適用したものである。図18は、参考例1に係る内鉄型変圧器の構成を示す斜視図である。図19は、図18のXIX−XIX線矢印方向から見た断面図である。
図18,19に示すように、内鉄型変圧器のコイル11は、略矩形状の外形を有しており、外鉄型変圧器のコイルと同様に円弧部33において発生する矢印34で示す磁束の密度が高くなる。
この密度の高い磁束は、鉄心2の軸部3の主表面10の側面94側の端部35に浸入する。そのため、軸部3の主表面10においては、中央部から側面94側の端部35に近づくに従って、鉄心2への印加磁界、特に鉄心2の主表面10に対して直交する方向に浸入する印加磁界が強くなるため、発生する渦電流も増大する。よって、主表面10の側面94側の端部35にスリットを形成することにより、この増大した渦電流を切断することができる。
図20は、本発明の実施形態2に係る内鉄型変圧器の構造を模式的に示す斜視図である。図20に示すように、本実施形態においては、スリット8は、平面的に見て、主表面10内に並列に複数配置されている。また、スリット8は、主表面10内の中央部に比べて側面94側の端部35においてスリット8同士の間隔が狭くなるように配置されている。言い換えると、スリットの形成密度が、主表面10内における側面94からの最短距離が長くなるに従って低下している。このようにスリット8を形成することにより、大きな渦電流を切断して渦電流損を低減することができる。他の構成については、参考例1と同様であるため説明を繰返さない。
以下、本発明の実施形態3に係る外鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態3>
実施形態3に係る外鉄型変圧器は、スリットを磁性板の積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に形成することにより軸部に溝部が形成されている外鉄型変圧器である。
ここで、漏れ磁界の強さが強くなると、鉄心への磁界の浸入深さが深くなる理由について説明する。
図21は、外鉄型変圧器に発生した漏れ磁界を模式的に示す断面図である。図21に示すように、鉄心は、表層磁性板73、第2層磁性板74、第3層磁性板75および第4層磁性板76を含む複数の磁性板が積層されて構成されている。
漏れ磁界63は、低圧コイル53と高圧コイル52との間の領域64においては矢印66に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界63の磁束は、鉄心の表層磁性板73に対して直交する方向に浸入する。浸入した磁束は、鉄心内においてY方向の矢印78A〜Dに示す方向に向きを変える。また、漏れ磁界63は、低圧コイル53と高圧コイル52との間の領域65においては矢印67に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界63の磁束は、鉄心の表層磁性板73から直交する方向に外出する。外出した磁束は、Y方向の矢印71で示す方向に向きを変える。
まず、漏れ磁界63の磁界が弱い場合について説明する。鉄心は、積層鋼板からなるため、積層方向であるZ方向において鋼板同士の間にギャップがありZ方向の磁気抵抗が大きい。したがって、表層磁性板73においては、矢印66の方向に磁界が浸入した後、磁性板の圧延方向であるY方向の矢印78Aに示す向きの磁束が浸入し、第2層磁性板74には磁束が浸入しない。
漏れ磁界63が増加すると、Y方向の磁束が増加し、隣接する高圧コイル52同士の間の下方の接近領域77における表層磁性板73の磁束が飽和する。この場合、表層磁性板73と第2層磁性板74との間のギャップによる磁気抵抗よりも、表層磁性板73のY方向の磁気抵抗のほうが大きくなる。その結果、第2層磁性板74に磁束が浸入することになる。
第3層磁性板75には、第2層磁性板74のY方向の磁束が飽和するまで磁束は浸入しないが、第2層磁性板74のY方向の磁束が飽和すると第3層磁性板75に磁束が浸入する。このように、漏れ磁界63が増加するに従って、下層にある磁性板に磁束が浸入していく。すなわち、垂直印加磁界が強くなると、鉄心への磁界の浸入深さは増加する。
図22は、深さの異なる溝を設けた鉄心の断面図である。上述したように、鉄心42の軸部43の主表面44の側面45側の端部には、コイルから密度の高い磁束が浸入する。よって、側面45の近くになるほど下層の磁性板まで磁束が浸入することになる。
本実施形態においては、Z方向に並ぶ複数の磁性板49のうちの表層磁性板47のみでなく、表層磁性板47からZ方向に連続的に並ぶ磁性板49にスリットが形成されている。このように、表層磁性板47を含み、複数の磁性板49の積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板49にスリット48が形成されることにより軸部43に溝部99が形成されている。
図22に示すように、溝部99の深さを側面45の近くに位置するものから順にD1,D2,D3,D4,D5とすると、D1>D2>D3>D4>D5となるようにする。このようにすることにより、鉄心42に深くまで浸入した磁束により発生する渦電流を溝部99によって切断することができ、渦電流損を低減することができる。
このように、溝部99は、平面的に見て、主表面44内に並列に複数配置され、かつ、主表面44内の中央部に比べて側面45側の端部において深くなるように形成されている。言い換えると、磁性板49の積層方向において、スリットに近い側の主表面44からの距離が長くなるに従ってスリットの形成密度が低下している。
次に、溝部99の深さの決定方法について説明する。
図21においては、鉄心に矢印78A〜78Dで示す4本の磁束線が浸入している。低圧コイル53と高圧コイル52との間の領域64の下方においては、Z方向の深さがAからDまで深くなるに従って、浸入する磁束線の数が減少している。具体的には、深さAより深く浸入する磁束線の数は4本、深さBより深く浸入する磁束線の数は3本、深さCより深く浸入する磁束線の数は2本、深さDより深く浸入する磁束線の数は1本、深さEより深く浸入する磁束線の数は0本である。このように、鉄心に浸入する垂直方向の磁界は、鉄心の主表面からの深さに従って線型で減少する。
一方、隣接する高圧コイル52同士の間の位置の下方においては、磁束はY方向に向くが、表層磁性板73を通過する矢印78Aで示す水平方向の磁束線は1本である。第2層磁性板74を通過する矢印78Bで示す水平方向の磁束線は1本である。第3層磁性板75を通過する矢印78Cで示す水平方向の磁束線は1本である。第4層磁性板76を通過する矢印78Dで示す水平方向の磁束線は1本である。すなわち、Y方向の磁束は、主表面44から深さDまで一定であり、Dより深くなると零になる。
図23は、図21で示した垂直方向の磁束線と深さとの関係を示す図である。図24は、高圧コイルと低圧コイルとの間の領域の垂直方向の磁束分布を示した図である。図23,24においては、縦軸に垂直方向の磁界強度、横軸に主表面からの深さを示している。
図23に示すように、主表面からの深さがAからEまで深くなるに従って、垂直方向の磁界強度は4から0まで減少している。実際には、磁束の浸入深さに比べて磁性板49の厚さは薄いため、図24に示すように、深さに対して線型で垂直磁界が減衰する。この線型の線と横軸との交点Fからほぼ磁束の浸入深さを決定することができる。すなわち、定格電流を流したコイルにおいて、線型で近似した直線と横軸の交点から磁束の浸入深さを決定し、その深さまで溝部を形成することが望ましい。
この場合、溝部は、低圧コイル53と高圧コイル52との間の位置を磁性板の積層方向において磁性板に投影した位置において、磁性板の積層方向に鉄心に浸入する磁束が到達する深さまで形成されている。
図25は、隣接する高圧コイル間同士の間の位置の下方における鉄心の水平方向の磁界の分布を示した図である。図25においては、縦軸に水平方向の磁界強度、横軸に主表面からの深さを示している。また、磁界が弱い場合の曲線79と定格励磁した場合の曲線80を示している。
図25に示すように、隣接する高圧コイル間同士の間の位置の下方における鉄心においては、磁界が存在している部分においては磁束が飽和している。そのため、磁界が存在している部分の磁界強度は飽和磁束密度で一定となり、磁界の浸入深さにおいて磁界強度は急激に減少して零になる。この磁界が急激に変化する深さDAまたは深さDBから磁束の浸入深さを決定することができる。特に、定格励磁した場合の深さDBから磁界浸入深さを決定することが好ましい。
この場合、溝部は、低圧コイルまたは高圧コイルを磁性板の積層方向において磁性板に投影した位置において、鉄心を軸部の軸方向に通過する磁束が発生する深さまで形成されている。
このように決定した磁界浸入深さまで溝部を形成することにより、鉄心内部において発生する渦電流を確実に切断できるため、渦電流損を効果的に低減することができる。なお、本実施形態と参考例2,3とを組合わせたスリットを形成してもよい。他の構成については、参考例2および実施形態1と同様であるため説明を繰返さない。
以下、本発明の実施形態4に係る内鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態4>
実施形態4は、実施形態3を内鉄型変圧器に適用したものである。
図26は、内鉄型変圧器の図3に対応する断面に磁束線を示した図である。図26に示すように、破線31はコイル11の上端位置を示し、破線32はコイル11の下端位置を示している。破線31と破線32との間の範囲において、鉄心2にY方向下向きの磁束線が、鉄心2の主表面から深さDまで発生している。
一方の主表面から鉄心に矢印で示す4本の磁束線が浸入している。破線31と破線32との間の範囲において、Z方向の深さがAからDまで深くなるに従って、浸入する磁束線の数が減少している。
鉄心への磁束の浸入深さは実施形態3の外鉄型変圧器と同様に決定することができるため、説明を繰返さない。ただし、磁界の発生する位置が外鉄型変圧器とは異なり、コイル11の両端部近傍になる。
よって、溝部は、低圧コイル13および高圧コイル12の軸部の軸方向における端部の位置を磁性板の積層方向において磁性板36〜39に投影した位置において、磁性板の積層方向に鉄心2に浸入する磁束が到達する深さまで形成されている。
または、溝部は、鉄心2の軸部の軸方向における低圧コイル13および高圧コイル12の中央部の位置を磁性板の積層方向において磁性板に投影した位置において、鉄心2を軸方向に通過する磁束が発生する深さまで形成されている。この中央部の位置とは、破線31と破線32との間の位置をいう。
このように決定した磁界浸入深さまで溝部を形成することにより、鉄心内部において発生する渦電流を確実に切断できるため、渦電流損を効果的に低減することができる。なお、本実施形態と参考例1および実施形態2とを組合わせたスリットを形成してもよい。他の構成については、参考例1および実施形態2と同様であるため説明を繰返さない。本実施形態においても、磁性板の積層方向において、スリットに近い側の主表面からの距離が長くなるに従ってスリットの形成密度が低下している。
以下、本発明の実施形態5に係る外鉄型および内鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態5>
実施形態5においては、鉄心に段差部および溝部を設けている。
図27は、段差部を有する鉄心を備えた外鉄型変圧器の一部断面図である。図28は、段差部を有する鉄心の一部断面図である。図27,28においては、簡単のため溝部を図示していない。
図27,28に示すように、段差部を有する外鉄型変圧器においては、軸部43は、磁性板の積層方向において高圧コイル52の内周面に近づくに従って、側面45同士の間の幅が段階的に狭くなる段差部85,86,87を有している。段差部85,86,87は、主表面44に平行な段差表面98および側面45に平行な段差側面88を含む。
鉄心の軸部43に段差部85,86,87を設けることにより、高圧コイル52に対して鉄心を多く挿入でき空間を有効に使用することができる。
高圧コイル52に矢印54で示す向きに電流が流されることにより、図の矢印で示す方向に磁束82を浸入させる漏れ磁界が発生する。図28に示すように、鉄心の側面45側においては、コイルのZ方向の直線部で発生する漏れ磁界の影響が大きくなり、コイルの内周面に近づくに従って、側面45または段差側面88から磁束が浸入する。この場合、磁性板の積層方向に直交する方向から磁束が浸入するため、溝部が設けられていない場合は渦電流損は少ない。
ここで、溝部を設けていない、段差部を有する鉄心の磁束の通過経路について説明する。特に、側面45に近い位置にある段差部85に浸入する磁束82の通過経路について説明する。図28に示すように、鉄心には、図示していない低圧コイルと高圧コイルとの間の位置において、磁性板の積層方向に対して直交する方向に磁束82が浸入する。この場合、磁束82の浸入による渦電流損はほとんど発生しない。
鉄心に浸入した磁束82は、段差側面88から距離Sだけ進んだ後、向きをY方向に変えて浸入した後、さらに向きを変えて最終的に、図示していない低圧コイルと高圧コイルとの間の位置から鉄心の外に外出する。一般に、磁束が浸入している磁性板は、隣接する高圧コイル同士の間の位置の下方において磁束が飽和している。そのため、鉄心に浸入した磁束82は、浸入後直ちにY方向に向きを変えずに、磁性板の圧延方向に対して90°方向であるX方向に広がる。
図29は、段差部を有する鉄心に浸入した磁束の通過経路を示す一部斜視図である。図29に示すように、Y方向において、鉄心の段差部の中央部に磁束が飽和している部分である飽和部90が現れている。
図28に示すように、磁束82がX方向に浸入する距離Sが大きくなると、距離Sは、段差部87の段差表面98からの距離Tおよび段差部86の段差表面98からの距離Uよりも大きくなる。段差表面98から離れるにつれて、磁性板のY方向の磁束密度は低下するため、磁束82の浸入距離Sが大きくなるに従って、磁束82は、Y方向に向かいやすくなる。このため、最終的には全磁束がY方向に向き、その後さらにX方向に向きを変えて鉄心から外出することになる。
図29に示すように、下から1段目の段差部85の段差側面88から入った磁束82は、飽和部90を避けるように、X方向に浸入した後、Y方向に向きを変え、さらに再度X方向に向いて段差部85の段差側面88から抜けている。
上記のように磁束が通過する場合、磁性板の垂直方向(板面に対して直交方向)の磁界成分が発生しないため、渦電流損がほとんど発生しない。ただし、磁性板に垂直方向に侵入する磁束による渦電流損は、参考例1,2および実施形態1から4に述べたとおり発生する。
次に、段差部を有する鉄心に溝部を配置した場合について説明する。この場合、上記と異なり、渦電流損が増大する。この理由について以下に説明する。図30は、段差部の隅部に溝部を設けた鉄心を示す一部断面図である。図31は、段差側面の近傍に溝部を設けた鉄心を示す一部断面図である。
図30に示すように、段差部85の段差側面88から鉄心に浸入した磁束82は、X方向に広がろうとするが溝部99があるため磁気抵抗が大きく、溝部99を越えてX方向に広がることはできない。一方、鉄心のY方向の中央部は、磁束が飽和しているためY方向に広がることもできない。そこで、Z方向には積層鋼板による微小ギャップがあるものの溝部99のギャップより小さいため、磁束82はZ方向に向きを変える。この結果、磁性板に対して直交する方向に磁束が浸入することになり、大きな渦電流損が発生する。
図31に示すように、溝部99を段差部85の段差側面88の近傍に設けた場合、鉄心に浸入した磁束82は、X方向にあまり広がらないうちにZ方向に向きを変えることになる。そのため、磁性板に直交する方向に多くの磁束が浸入するため、さらに大きな渦電流損が発生する。
上記のように溝部99を設けた場合、渦電流損は、磁界強度の2乗に比例するため、大きな発熱、特に局所的に大きな発熱が発生することになる。この発熱によって、変圧器の絶縁油が劣化するなどの問題が発生する。そのため、段差部を有する鉄心に溝部を設ける場合には、溝部を段差側面および側面から離れた位置に形成することが必要である。
図32は、本発明の実施形態5に係る段差部および溝部を有する鉄心の構造を示す一部断面図である。図32に示すように、本実施形態の鉄心84には、上述の段差部85,86,87が形成されている。
鉄心84には、表層磁性板47を含み、磁性板49の積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板49に、スリット48が形成されることにより軸部43に第1溝部である溝部100が形成されている。
また、鉄心84には、段差表面98を構成する段差表層磁性板104を含み、段差表層磁性板104から磁性板49の積層方向において軸部43の内部側へ連続的に並ぶ所定数の磁性板49に、スリット48が形成されることにより軸部43に第2溝部である溝部101が形成されている。
本実施形態においては、第2溝部である溝部102と溝部103がさらに設けられている。溝部100は、主表面44からZ方向の下方に延在している。溝部101は、段差部87の段差表面98からZ方向の下方に延在している。溝部102は、段差部86の段差表面98からZ方向の下方に延在している。溝部103は、段差部85の段差表面98からZ方向の下方に延在している。
溝部100は、平面的に見て、主表面44内に並列に複数配置されている。溝部101から103は、平面的に見て、段差表面98内に配置されている。
溝部100と対向する段差側面88との最短距離をL1とする。溝部101と対向する段差側面88との最短距離をL2とする。溝部102と対向する段差側面88との最短距離をL3とする。溝部103と対向する側面45との最短距離をL4とする。
上述の通り、溝部と側面45および段差側面88との間の距離を大きくすることが好ましい。また、Z方向において主表面44から離れるに従って、側面45および段差側面88から、X方向に浸入する磁束が多くなる。
そのため、上記の最短距離は、L4>L3>L2>L1の関係が成り立つようにすることが好ましい。言い換えると、溝部101と溝部101と対向している段差側面88との間の最短距離L2は、溝部100と溝部100に対向している段差側面88との間の最短距離L1より長いことが好ましい。このようにすることにより、鉄心84の側面45および段差側面88から浸入する磁界による渦電流損を低減することができる。
なお、溝部103のように、鉄心84の内部に溝部を設けてもよいが、溝部を軸部43のX方向における中央部側に形成した場合、鉄心84の磁性板49に垂直に浸入する磁界による渦電流損が大きくなる。したがって、垂直磁界の渦電流損を考慮しつつ、溝部の形成位置を決めることが望ましい。
図33は、本実施形態に係る段差部および溝部を有する鉄心を備えた内鉄型変圧器の構成を示す斜視図である。図34は、図33のXXXIV−XXXIV矢印方向から見た断面図である。図34においては、鉄心の軸部とコイルのみを図示している。また、図33,34においては、簡単のため溝部を図示していない。
図33,34に示すように、本実施形態の内鉄型変圧器は、コイルが円形であるソレノイドコイルである。このようなコイルの場合、鉄心2の軸部95にコイル11の内側に対応させた段差部を形成した場合、外鉄型のコイルに比較して段差部が大きくなる。そのため、主表面10の幅96が小さくなる。
また、図34に示すように、磁界は、コイル11から軸部95に対して矢印方向に侵入する。外鉄型変圧器と同様に、側面94側に近づくに従って、磁性板の積層方向に対して直交する方向に浸入する磁束が多くなる。そのため、側面94から離れた位置に溝部を形成することが好ましいが、主表面10の幅96が狭いため、軸部の幅方向の中央部を避けた位置に溝部を形成することができない。
よって、鉄心に印加される垂直磁界と水平磁界とによる渦電流損の合計が最も少なくなる位置に溝部を形成することが好ましい。
図35は、垂直磁界による渦電流損と、軸部の側面からスリット形成位置までの距離との関係を示す図である。図36は、垂直磁界および側面から侵入する磁界と、軸部の側面からスリット形成位置までの距離との関係を示す図である。図35においては、縦軸に垂直磁界による渦電流損、横軸に軸部の側面からスリット形成位置までの距離を示している。図36においては、縦軸に渦電流損、横軸に軸部の側面からスリット形成位置までの距離を示している。
図35に示すように、段差部を有さない鉄心においては、軸部の側面からスリット形成位置までの距離が短いほど、垂直磁界による渦電流損が少ない。
図36に示すように、段差部を有する鉄心においては、軸部の段差側面または側面からスリット形成位置までの距離が短いほど、垂直磁界による渦電流損が少なくなる一方、側面から浸入する磁界による渦電流損が大きくなる。
よって、上記の関係を合成した合成損失が最も低くなる位置が、スリットを形成するのに最適な位置となる。このように求めた位置にスリットを形成することにより、垂直磁界と水平磁界とによる渦電流損の発生を総合的に低減することができる。言い換えると、溝部は、平面的に見て段差表面内に配置され、かつ、溝部に対向する段差側面または側面からの位置が、鉄心を積層方向に通過する磁束によって発生する渦電流損と鉄心を積層方向と直交する方向に通過する磁束によって発生する渦電流損との和が最小となる位置に配置されている。上記の最適スリット形成位置は、各段差部ごとに異なるため、それぞれの段差部における最適位置にスリットを形成することが好ましい。上記の最適スリット形成位置の設定は、外鉄型変圧器にも適応することができる。
なお、本実施形態においてもスリットの形成密度は、磁性板の積層方向においてスリットに近い側の主表面からの距離が長くなるに従って低下している。
以下、本発明の実施形態6に係る外鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態6>
図27に示すような段差部を有する鉄心を備えた外鉄型変圧器においては、密度の高い磁束が鉄心84の軸部43の主表面44において側面45側の端部に浸入する。よって、主表面44内に侵入した磁束のうち、側面45側の端部に浸入した磁束がより下層の磁性板まで浸入する。
図37は、本実施形態に係る外鉄型変圧器の比較例として、深さの均一な溝部を等間隔で設けた鉄心を備える外鉄型変圧器の一部断面図である。
図37に示すように、比較例の外鉄型変圧器においては、軸部43は、磁性板の積層方向において高圧コイル52の内周面に近づくに従って、側面45同士の間の幅が段階的に狭くなる段差部85,86,87,110,111を有している。段差部110,111は、主表面44に平行な段差表面98および側面45に平行な段差側面88を含む。段差部85,86,87については、実施形態5の外鉄型変圧器と同様であるため説明を繰り返さない。
高圧コイル52に矢印54で示す向きに電流が流されることにより漏れ磁界が発生する。発生した漏れ磁界によって磁性板に垂直方向に浸入する磁束は、上述の通り、主表面44において側面45側の端部となる、図中の二点鎖線で囲んだ領域140に最も集中する。
そこで、比較例の外鉄型変圧器においては、図中左側の領域140を通過するように、主表面44から段差部111の段差表面98の深さまで達する溝部120が設けられている。また、図中右側の領域140を通過するように、主表面44から段差部111の段差表面98の深さまで達する溝部121が設けられている。さらに、比較例の外鉄型変圧器においては、溝部120と溝部121との間に、等間隔で同一の深さの溝部122,123,124,125が設けられている。
比較例の外鉄型変圧器は鉄心の84の軸部43の各段に6本の溝部を有しており、溝部を構成するスリットの形成密度は磁性板の積層方向において主表面44からの距離に関係なく一定である。また、6本の溝部は等間隔に形成されているため、スリットの形成密度は主表面44内において側面45からの最短距離に関係なく一定である。ここで、スリットの形成密度とは、平面視において、磁性板の単位面積当たりのスリットの形成数をいう。
図38は、溝部を有さない鉄心の軸部に発生する発熱損失をシミュレーション解析した図である。図38においては、横軸に段数を、縦軸に規格損失を示している。
段数とは、段差部が位置する段差の順番を示している。具体的には、図37において、段差部87が位置する段差が1段目であり、段差部86が位置する段差が2段目であり、段差部85が位置する段差が3段目であり、段差部110が位置する段差が4段目であり、段差部111が位置する段差が5段目である。比較例の外鉄型変圧器には鉄心84の軸部43の各主表面44側にそれぞれ5段の段差が設けられているが、シミュレーション解析では8段の段差まで解析した。規格損失とは、1段目の発熱損失を1としたときの、各段差における発熱損失を相対値で示したものである。
図38に示すように、段数が大きくなるに従って規格損失が低下する。言い換えると、主表面44から離れるにつれて発熱損失が低下する。この発熱損失は、渦電流損によるものと考えられる。積層鋼板の損失としては、ヒステリシス損なども含まれるが、磁性板に垂直に磁界が印加される場合には渦電流損の割合が極めて大きい。
図24に示すように、垂直磁界は主表面からの深さに対して線型で減衰する。渦電流損は、印加される磁界の2乗に比例するため、発熱損失は段数の増加に伴って指数関数的に減少する。また、発熱損失は、主表面44内において領域140から離れるように側面45から離れるにつれて低下する。
そのため、比較例の外鉄型変圧器において溝部を設けた位置のうち、主表面44および側面45から離れた位置、たとえば、溝部124,125における5段目の段差の位置には、漏れ磁界による磁束がほとんど到達していない。よって、比較例の外鉄型変圧器のように、同一の深さで溝部120〜125を設けることは、磁束がほとんど到達していない位置にも溝部を設けることになり、発熱損失の低減にほとんど寄与しない一部の溝部が存在することになる。
溝部を構成するスリットを磁性板に形成するには、磁性板にコストの高いスリット加工を施す必要があるため、発熱損失を効率的に低減できる位置にスリットを形成することによりスリットの形成密度を低くして加工コストを低減することが求められる。
そこで、本発明の実施形態6に係る外鉄型変圧器においては、鉄心84の軸部43に設けられる溝部を構成するスリットの形成密度を磁性板の積層方向において主表面44からの距離が長くなるに従って低下するようにしている。
図39は、本発明の実施形態6に係る外鉄型変圧器の一部断面図である。図39に示すように、本実施形態の外鉄型変圧器の軸部43には、比較例の外鉄型変圧器と同様に、領域140を通過するように、主表面44から5段目の段差まで達する溝部120,121が設けられている。
ただし、それ以外の溝部は、溝部120,121に比較して、溝部の深さが浅くなるように設けられている。言い換えると、溝部を構成するスリットの形成密度が、磁性板の積層方向においてスリットに近い側の主表面44からの距離が長くなるに従って低下している。
具体的には、主表面44から3段目の段差までは6本の溝部120,121,122A,123A,124A,125Aが設けられている。3段目の段差から4段目の段差までは4本の溝部120,121,122A,123Aが設けられている。4段目の段差から5段目の段差までは2本の溝部120,121が設けられている。
このように、本実施形態の外鉄型変圧器においては、主表面44から離れて磁束がほとんど到達しない位置には溝部を形成していない。その結果、磁性板に形成するスリットの数を低減して外鉄型変圧器の製造コストを削減することができる。
本実施形態においては略矩形状のコイルを有する外鉄型変圧器について説明したが、本発明は、円形コイルを有する外鉄型変圧器、内鉄型変圧器またはリアクトルに適用可能である。
以下、本発明の実施形態7に係る外鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態7>
本実施形態の外鉄型変圧器は、実施形態6の外鉄型変圧器においてさらにスリットの形成密度を限定したものである。
一般に、変圧器の鉄心は冷却用油によって冷却されつつ使用される。冷却用油は、鉄心の表面に接触するように流動される。そのため、鉄心の軸部は、主表面の近傍において冷却されやすく、主表面から離れて軸部の内部にいくほど冷却されにくくなる。よって、鉄心の発熱密度は、冷却されやすい主表面の近傍で高く、冷却されにくい軸部の内部において低いことが好ましい。
本実施形態においては、鉄心を構成する磁性板に形成されるスリットの形成密度を調節することにより、鉄心の発熱密度を上記の好ましい状態にする。以下、スリットの形成密度の決定方法について説明する。
図40は、スリットが形成されていない鉄心に垂直磁界が印加された際の鉄心の発熱密度と主表面からの距離との関係を示す図である。図40においては、縦軸に鉄心の発熱密度、横軸に主表面からの距離を示している。
図41は、鉄心の発熱密度とスリットの形成密度との関係を示す図である。図41においては、縦軸に鉄心の発熱密度、横軸にスリットの形成密度を示している。図42は、主表面から距離が長くなるに従ってスリットの形成密度を線型で低下させた状態を示す図である。図42においては、縦軸にスリットの形成密度、横軸に主表面からの距離を示している。
図43は、損失比と主表面からの距離との関係を示す図である。図43においては、縦軸に損失比、横軸に主表面からの距離を示している。なお、損失比とは、スリットを設けていないときの鉄心の損失量に対するスリットを設けたときの鉄心の損失量の比である。すなわち、損失比が小さいほど、スリットによる損失低減の効果が大きいことを意味する。
図44は、図42で示すようにスリットの形成密度を線型で低下させた場合の、鉄心の発熱密度と主表面からの距離との関係を示す図である。図44においては、縦軸に鉄心の発熱密度、横軸に主表面からの距離を示している。
図40に示すように、鉄心の発熱密度は、主表面からの距離が長くなるに従って低下する。発熱密度は、垂直磁界の強度の2乗に比例する。垂直磁界の強度は、主表面からの距離によって線型で変化する。よって、主表面からの距離の2乗に反比例して発熱密度は低下する。
図41に示すように、鉄心の発熱密度は、スリットの形成密度が高くなるに従って低くなる。これは、上述の通り、スリットが形成されることにより、磁性板を分割して渦電流損を低減することができるためである。
図42に示すように、主表面からの距離が長くなるに従って線型的にスリットの形成密度を低下させる。このときの線型は、線分150上の関係を満たし、主表面からの距離が長くなるに従ってスリットの形成密度が一定の割合で低下している。なお、実施形態6において例示した外鉄型変圧器においては、主表面から所定の距離まではスリットの形成密度が低下しておらず一定であり、所定の距離より離れた位置からスリットの形成密度の低下が始まっている。
図42に示す線分150上の関係を満たすようにスリットの形成密度を変化させることにより、図43に示すように、主表面上において損失比が最も小さくなり、主表面からの距離が長くなるに従って損失比は大きくなって最終的に1.0となる。具体的には、損失比は主表面からの距離の2乗に比例して増加する。これは、鉄心の主表面ではスリットが多く形成されていることにより渦電流損が低減され、鉄心の内部ではスリットが形成されていないため渦電流損が全く低減されていないことを示している。
図42に示す線分150上の関係を満たすようにスリットを形成することにより、図44に示すように、主表面から所定の距離までは鉄心の発熱損失が一定になり、その所定の距離より主表面からの距離が長くなった位置から鉄心の発熱密度が低下している。
これは、図40に示す発熱密度と図43に示す損失比との関係が乗じられた結果である。つまり、主表面からの距離の2乗に反比例する発熱密度と、主表面からの距離の2乗に比例する損失比とがかけ合わされた結果である。図44に示す発熱密度の分布は、鉄心内において主表面より発熱密度の高い部分がないため許容できるものである。
以下、本実施形態の比較例の外鉄型変圧器のスリットの形成密度について説明する。図45は、比較例において、主表面から距離が長くなるに従ってスリットの形成密度を低下させた状態を示す図である。図45においては、縦軸にスリットの形成密度、横軸に主表面からの距離を示している。
図46は、比較例において、損失比と主表面からの距離との関係を示す図である。図46においては、縦軸に損失比、横軸に主表面からの距離を示している。図47は、図45で示すようにスリットの形成密度を低下させた場合の、鉄心の発熱密度と主表面からの距離との関係を示す図である。図47においては、縦軸に鉄心の発熱密度、横軸に主表面からの距離を示している。
図45に示すように、比較例の外鉄型変圧器においては、図42に示す線分150より急激に主表面からの距離が長くなるに従ってスリットの形成密度を低下させている。このようにした場合、図46に示すように、損失比は、主表面からの距離が大きくなるに従って急激に増加して1.0に近づいている。
図45に示すようにスリットの形成密度を低下させることにより、図47に示すように、主表面よりも発熱密度の高い部分が鉄心の内部に発生する。この場合、鉄心の内部が高熱になり冷却油を劣化させるなどの不具合の原因となって好ましくない。
図48は、スリットの形成密度の好ましい領域を示した図である。図48においては、縦軸にスリットの形成密度、横軸に主表面からの距離を示している。本実施形態の外鉄型変圧器においては、図48に示すように、線分150と2つの二点鎖線で囲まれた十分領域の範囲内となるようにスリットの形成密度を低下させる。
十分領域とは、図42に示す線分150より右上の領域であって、かつ、スリットの形成密度および主表面からの距離が線分150上の最大値以下の範囲である。なお、線分150より左下の領域は、設けられるスリットが不十分である不十分領域である。不十分領域の範囲内となるようにスリットを設けた場合には、比較例の外鉄型変圧器のように、鉄心の内部において主表面より発熱密度の高い部分が発生する。
十分領域より右側または上側の領域の範囲内となるようにスリットの形成密度を低下させた場合には、余剰のスリットを設けることになり、加工コストの低減を妨げることになり好ましくない。
本実施形態においては、十分領域の範囲内となるように主表面からの距離が長くなるに従ってスリットの形成密度を低下させることにより、上記の比較例の外鉄型変圧器のように鉄心の内部において主表面より発熱密度が高い部分が発生することを防止することができる。
言い換えると、本実施形態の外鉄型変圧器においては、鉄心を磁性板の積層方向に通過する磁束による発熱の発熱密度が磁性板の積層方向においてスリットに近い側の主表面からの距離が長くなるに従って低下するように、スリットが設けられている。
なお、本実施形態においては外鉄型変圧器について説明したが、本発明は、内鉄型変圧器またはリアクトルに適用可能である。
以下、リアクトルの構成の一例について説明する。
図49は、リアクトルの構成を示す斜視図である。図49に示すように、リアクトルの構成は内鉄型変圧器に類似している。内鉄型変圧器は高圧コイルおよび低圧コイルを備えているのに対して、リアクトルは1種類のコイルを備えている。
図49に示すように、リアクトル160は、Z方向の一方向に積層された複数の磁性板161からなる鉄心162を2つ含む。この2つの鉄心162が、複数の磁性板161の積層方向に直交する方向(Y方向)において、互いに所定の間隔を置いて配置されることによりギャップ163が形成されている。リアクトル160は、ギャップ163を取り囲むように鉄心162に巻き回された2つのコイル170,171を含む。
リアクトル160においては、2つの鉄心162を周回する主磁束が発生するように、コイル170では矢印173で示す方向に電流が流され、コイル171では矢印174で示す方向に電流が流される。
図50は、図49のL−L線矢印方向から見た図である。図50に示すように、漏れ磁界192,193,194は、コイル170の上端側においては矢印190に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界192,193,194の磁束は、鉄心162の磁性板161に対して直交する方向に浸入する。漏れ磁界192,193,194の磁束の浸入によって発生する渦電流は、磁性板161の面方向に発生するため、渦電流損の影響が大きく現れる。
また、漏れ磁界192,193,194は、コイル170の下端側においては矢印191に示す向きに発生する。そのため、漏れ磁界192,193,194の磁束は、鉄心162の磁性板161に対して直交する方向に外出する。漏れ磁界192,193,194の磁束の外出によって発生する渦電流は、磁性板161の面方向に発生するため、渦電流損の影響が大きく現れる。
リアクトル160においても、磁性板161に印加される垂直磁界は、図24に示すように、主表面からの深さに対して線型で減衰する。そのため、本実施形態の外鉄型変圧器と同様に本発明をリアクトルに適用することができる。
以下、本発明の実施形態8に係る外鉄型変圧器について図面を参照して説明する。
<実施形態8>
本実施形態は、実施形態6とは溝部の構成のみ異なるため、それ以外の構成については説明を繰り返さない。
図51は、本発明の実施形態8に係る外鉄型変圧器の一部断面図である。上述の通り、磁性板に垂直方向に浸入する磁束は、主表面44において側面45側の端部の位置に最も集中する。そのため、上記の端部の位置にスリットを密に形成することにより、渦電流損を効率的に低減することができる。
図51に示すように、主表面44内において左側の側面45側の端部の位置に溝部200が形成されている。溝部200の隣に間隔L5を置いて溝部202が形成されている。溝部202の隣に間隔L6を置いて溝部204が形成されている。溝部204の隣に間隔L7を置いて溝部206が形成されている。溝部206の隣に間隔L8を置いて溝部208が形成されている。
同様に、主表面44内において右側の側面45側の端部の位置に溝部201が形成されている。溝部201の隣に間隔L5を置いて溝部203が形成されている。溝部203の隣に間隔L6を置いて溝部205が形成されている。溝部205の隣に間隔L7を置いて溝部207が形成されている。溝部207の隣に間隔L8を置いて溝部209が形成されている。溝部208と溝部209との間には、間隔L9が設けられている。
溝部200〜209は、溝部同士の間隔がL9>L8>L7>L6>L5となるように形成されている。すなわち、溝部を構成するスリットの形成密度が、主表面44内における側面45からの最短距離が長くなるに従って低下している。
上述の通り、垂直磁界は主表面44からの距離が長くなるに従って低下する。そのため、本実施形態においては、主表面44から離れて磁束がほとんど到達しない位置に溝部を形成しない。
具体的には、溝部200および溝部201を深さD6で形成し、溝部202および溝部203を深さD7で形成し、溝部204および溝部205を深さD8で形成し、溝部206および溝部207を深さD9で形成し、溝部208および溝部209の深さD10で形成する。溝部200〜209は、深さがD6>D7>D8>D9>D10となるように形成されている。すなわち、溝部を構成するスリットの形成密度が、磁性板の積層方向においてスリットに近い側の主表面44からの距離が長くなるに従って低下している。
上記のようにスリットを形成することにより、渦電流損を効率的に低減しつつ、磁性板に形成するスリットの数を低減して外鉄型変圧器の製造コストを削減することができる。本実施形態においては外鉄型変圧器について説明したが、本発明は、内鉄型変圧器またはリアクトルに適用可能である。
なお、今回開示した上記参考例および実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した参考例および実施形態のみによって解釈されるものではなく、請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 内鉄型変圧器、2,42,84,162 鉄心、3,43,95 軸部、4 上側ヨーク、5 下側ヨーク、6 右側ヨーク、7 左側ヨーク、8,48,68 スリット、9,36〜39,49,50,161 磁性板、10,44 主表面、11,51,170,171 コイル、12,52 高圧コイル、13,53 低圧コイル、16,17,25,26,27,28,56,57 渦電流、22,23,24,63,69,192,193,194 漏れ磁界、29,30 磁束密度、33,81 円弧部、35,83 端部、40,46 投影領域、41 外鉄型変圧器、45,94 側面、47,73,97 表層磁性板、60,70,77 接近領域、74 第2層磁性板、75 第3層磁性板、76 第4層磁性板、79,80 曲線、82 磁束、85,86,87,110,111 段差部、88 段差側面、90 飽和部、98 段差表面、99,100,101,102,103,120〜125,200〜209 溝部、104 段差表層磁性板、150 線分、160 リアクトル、163 ギャップ。

Claims (12)

  1. 一方向に積層された複数の磁性板(9,49)を含み、主表面(10,44)および側面(94,45)を有する軸部(3,43)が形成されている鉄心(2,42)と、
    前記軸部(3,43)に巻回されたコイル(11,51)とを備え、
    前記主表面(10,44)は、前記複数の磁性板(9,49)の積層方向において前記コイル(11,51)の内周面と対向し、
    前記側面(94,45)は、前記積層方向と直交する方向において前記内周面と対向して前記主表面(10,44)同士を繋ぎ、
    前記複数の磁性板(9,49)の少なくとも前記主表面(10,44)を構成する表層磁性板(97,47)に前記軸部(3,43)の軸方向に延在するスリット(8,48)が形成され、
    前記スリット(8,48)の一部は、前記主表面(10,44)において前記側面(94,45)側の端部に所定の形成密度で設けられ、
    前記スリット(8,48)の前記形成密度は、前記所定の形成密度において最も高く、前記主表面(10,44)内における前記側面(94,45)からの最短距離および前記積層方向において前記スリット(8,48)に近い側の前記主表面(10,44)からの距離の少なくともいずれかが長くなるに従って低下している、静止器。
  2. 前記スリット(8,48)は、平面的に見て、前記主表面(10,44)内に並列に複数配置され、かつ、前記主表面(10,44)内の中央部に比べて前記側面(94,45)側の端部において前記スリット(8,48)同士の間隔が狭くなるように配置されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  3. 前記表層磁性板(97,47)を含み、前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(8,48)が形成されることにより前記軸部(3,43)に溝部(99)が形成され、
    前記溝部(99)は、平面的に見て前記主表面(10,44)内に並列に複数配置され、かつ、前記主表面(10,44)内の中央部に比べて前記側面(94,45)側の端部において深くなるように形成されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  4. 前記軸部(3,43)は、前記積層方向において前記内周面に近づくに従って、前記側面(94,45)同士の間の幅が段階的に狭くなる段差部を有し、
    前記段差部は、前記主表面(10,44)に平行な段差表面(98)、および、前記側面(94,45)に平行な段差側面(88)を含み、
    前記表層磁性板(97,47)を含み、前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(8,48)が形成されることにより前記軸部(3,43)に第1溝部が形成され、
    前記段差表面(98)を構成する段差表層磁性板(104)を含み、前記段差表層磁性板(104)から前記積層方向において前記軸部(3,43)の内部側へ連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(8,48)が形成されることにより前記軸部(3,43)に第2溝部が形成され、
    前記第1溝部は、平面的に見て、前記主表面(10,44)内に並列に複数配置され、
    前記第2溝部は、平面的に見て、前記段差表面(98)内に配置され、
    前記第2溝部と前記第2溝部に対向している前記段差側面(88)または前記側面(94,45)との間の最短距離は、前記第1溝部と前記第1溝部に対向している前記段差側面(88)との間の最短距離より長い、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  5. 前記軸部(3,43)は、前記積層方向において前記内周面に近づくに従って、前記側面同士の間の幅が段階的に狭くなる段差部を有し、
    前記段差部は、前記主表面(10,44)に平行な段差表面(98)、および、前記側面(94,45)に平行な段差側面(88)を含み、
    前記段差表面(88)を構成する段差表層磁性板(104)を含み、前記段差表層磁性板(104)から前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(8,48)が形成されることにより前記軸部(3,43)に溝部が形成され、
    前記溝部は、平面的に見て前記段差表面(98)内に配置され、かつ、前記溝部に対向する前記段差側面(88)または前記側面(94,45)からの位置が、前記鉄心(2,42)を前記積層方向に通過する磁束によって発生する渦電流損と前記鉄心(2.42)を前記積層方向と直交する方向に通過する磁束によって発生する渦電流損との和が最小となる位置に配置されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  6. 前記コイル(51)が前記軸方向に並列に配置された低圧コイル(53)と高圧コイル(52)とを含む外鉄型の変圧器であって、
    前記表層磁性板(47)を含み、前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(48)が形成されることにより前記軸部(43)に溝部が形成され、
    前記溝部は、前記低圧コイル(53)と前記高圧コイル(52)との間の位置を前記積層方向において前記磁性板(49)に投影した位置において、前記積層方向に前記鉄心(42)に浸入する磁束が到達する深さまで形成されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  7. 前記コイル(51)が前記軸方向に並列に配置された低圧コイル(53)と高圧コイル(52)とを含む外鉄型の変圧器であって、
    前記表層磁性板(47)を含み、前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(48)が形成されることにより前記軸部(43)に溝部が形成され、
    前記溝部は、前記低圧コイル(53)または前記高圧コイル(52)を前記積層方向において前記磁性板(49)に投影した位置において、前記鉄心(42)を前記軸方向に通過する磁束が発生する深さまで形成されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  8. 前記コイル(11)が前記軸部(3)に同軸配置された低圧コイル(13)と高圧コイル(12)とを含む内鉄型の変圧器であって、
    前記表層磁性板(97)を含み、前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(8)が形成されることにより前記軸部(3)に溝部が形成され、
    前記溝部は、前記低圧コイル(13)および前記高圧コイル(12)の前記軸方向における端部の位置を前記積層方向において前記磁性板(9)に投影した位置において、前記積層方向に前記鉄心(2)に浸入する磁束が到達する深さまで形成されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  9. 前記コイル(11)が前記軸部(3)に同軸配置された低圧コイル(13)と高圧コイル(12)とを含む内鉄型の変圧器であって、
    前記表層磁性板(97)を含み、前記積層方向に連続的に並ぶ所定数の磁性板に、前記スリット(8)が形成されることにより前記軸部(3)に溝部が形成され、
    前記溝部は、前記低圧コイル(13)および前記高圧コイル(12)の前記軸方向における中央部の位置を前記積層方向において前記磁性板(9)に投影した位置において、前記鉄心(2)を前記軸方向に通過する磁束が発生する深さまで形成されている、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  10. 前記スリット(8,48)の前記形成密度は、前記積層方向において、前記スリット(8,48)に近い側の前記主表面(10,44)からの距離が長くなるに従って低下している、請求の範囲第1項に記載の静止器。
  11. 前記スリット(8,48)は、前記鉄心(2,42)を前記積層方向に通過する磁束による発熱の発熱密度が前記積層方向において前記スリット(8,48)に近い側の前記主表面(10,44)からの距離が長くなるに従って低下するように設けられている、請求の範囲第10項に記載の静止器。
  12. 前記スリット(8,48)の前記形成密度は、前記主表面(10,44)内における前記側面(94,45)からの最短距離および前記積層方向において前記スリット(8,48)に近い側の前記主表面(10,44)からの距離が長くなるに従って低下している、請求の範囲第1項に記載の静止器。
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