図1に本発明における反射型液晶表示装置の概略図を示す。
101は入射光、102は偏光ビームスプリッター、103は偏光ビームスプリター102の偏光分離膜、104は1/4波長板、104aは遅相軸、104bは進相軸、105は反射型液晶表示素子、106aはxy平面内にありx正方向からの入射光、106bはxy平面内にありx負方向からの入射光、107aは入射光106aが偏光膜103により傾く偏光軸、107bは入射光106bが偏光膜103により傾く偏光軸、偏光ビームスプリッター102への入射光軸をy方向、反射光軸をz方向、yz平面に垂直な方向をx方向とする。
このとき、入射光101は、偏光ビームスプリッター102の偏光膜103を反射し、1/4波長板104を通過し、反射型液晶表示素子105に入射する。更に、反射型液晶表示素子105を反射した光は、再び1/4波長板104を通過して後、偏光ビームスプリッター102に入射し、偏光ビームスプリッター102の偏光軸傾き107aおよび107bの検光軸成分は検光され、検光軸に垂直な透過軸成分は透過し、漏れ光として投影される。
ここで、図2に偏光ビームスプリッター102側からみた、反射型液晶表示素子105の反射画素電極形状を示す。108はxy方向にマトリックス状に配列した反射画素電極、109は各反射画素電極108を駆動する為に設けられる不図示の配線と反射画素電極をコンタクトする為のスルーホールコンタクトである。
このとき、反射型液晶表示素子105に入射した光は反射画素電極形状および入射光の波長に依存して、画素の配列方向であるx正方向およびx負方向およびy正方向およびy負方向の4方向に回折(干渉)光が発生する。このとき、x正方向に進行する回折光は偏光分離膜103の時計回りに傾いた偏光軸107aの領域に入射し、偏光軸107aの方向の成分は検光し、偏光軸107a方向に垂直な成分は透過する。また、x負方向に進行する回折光は偏光分離膜103の反時計回りに傾いた偏光軸107bの領域に入射し、偏光軸107bの方向の成分は検光し、偏光軸107b方向に垂直な成分は透過する。一方、yz平面内から入射あるいは反射する光に対しては偏光分離膜103の偏光軸方向はx方向に揃っており、y正方向あるいはy負方向に進行する回折光は偏光分離膜103によって、x方向の成分は検光し、x方向に垂直(y方向)な成分は透過する。
ここで、偏光分離膜103を入射光101の光軸方向であるz軸方向にS偏光で反射する光線が1/4波長板104および反射型液晶表示素子に入射する場合を考える。
偏光分離膜103をS偏光光で反射した光線は、1/4波長板104の位相作用を受けて透過し、反射型液晶表示素子105に入射し、反射型液晶表示素子105の画素電極形状に起因してxy軸方向(4方向)に回折光が発生する。
まず、x正方向およびx負方向に発生する回折光に関して議論する。時計回りに5度傾いた偏光軸107aおよび反時計回りに5度傾いた偏光軸107bの方向に、各々任意の位相差の回折光が入射したときの漏れ光量の和の計算結果を図3に示す。この図3中に記載したX正方向回折輝位相差(度)とは、反射型液晶表示素子が入射光に対して与える位相差のことであり、この図3では、その位相差が0度(○印)、4度(×印)、8度(△印)、12度(□印)、16度(−印)に関して記載している。このとき、各々の回折光の強度を1とし、1/4波長板104の位相差を90度としている。また、本発明における位相差とは、光の偏光状態において、楕円偏光の長軸の強度と短軸の強度比から決まり、すなわち、直線偏光の位相差は0度(もしくは180度)で、長軸強度と短軸強度が等しい円偏光の位相差は90度(270度)と定義する。
また、図3の回折漏れ光量の和は1/4波長板104の光学軸(遅相軸)をxy面内で任意回転させたときの最小値であり、図4(X正方向回折光位相差に関しては図3と同じ)に回折漏れ光量の和が最小となる1/4波長板104の光学軸回転角度を示す。このとき、1/4波長板104の光学軸回転方向は反射型液晶表示素子105からみて時計回りを正、反時計回りを負とする。また、図5(X正方向回折光位相差に関しては図3と同じで、図6、7、8、10、11、15、17、22、24、29、36、37a、37b、38a、38bについても同様である)には、図3に示した計算値をもとに、x負方向の回折光とx正方向の回折光の位相差の差に対する漏れ光量を示す。
次に、y正方向およびy負方向に発生する回折光に関して議論する。yz平面内をy正方向およびy負方向に、各々任意の位相差の回折光が入射したときの漏れ光量の和を計算した結果を示す。図6の回折漏れ光量の和は1/4波長板104の光学軸(遅相軸)をxy面内で任意回転させたときの最小値であり、図7に回折漏れ光量の和が最小となる1/4波長板104の光学軸回転角度を示す。また、図8にはx負方向の回折光とx正方向の回折光の位相差の差に対する漏れ光量を示す。
図5より、x負方向回折位相差−x正方向回折位相差が0以上の場合、すなわち、時計回りに傾いた偏光軸107aに入射する回折光(x正方向に進行する回折光)の位相差が、反時計回りに傾いた偏光軸107bに入射する回折光(x負方向に進行する回折光)の位相差より小さい場合に、回折漏れ光量が少ない。
また、図8より、回折漏れ光量の和は、y負方向回折位相差−y正方向回折位相差が0に対して対称であり、y正方向およびy負方向に進行する各回折光の位相差の大きさに依存しない。
従って、時計回りに傾いた偏光軸107aに入射する回折光(x正方向)の位相差が、反時計回りに傾いた偏光軸107bに入射する回折光(x負方向)の位相差より小さい場合に、
1/4波長板104の遅相軸の方向とS偏光方向(x方向)とを略平行となるように1/4波長板104を配置することで、回折光の漏れ光量を低減でき、コントラストを向上させることができる。
また、図9に本発明における、図1と比べて1/4波長板104の光学軸方向がxy面内で約90度回転した構成の反射型液晶表示装置の簡易図を示す。
104aは遅相軸、104bは進相軸である。図10に、x負方向の回折光とx正方向の回折光の位相差の差に対する漏れ光量を示す。
図10の回折漏れ光量の和は1/4波長板104の光学軸(遅相軸)をxy面内で任意回転させたときの最小値であり、図11に回折漏れ光量の和が最小となる1/4波長板104の光学軸回転角度を示す。
図10より、x負方向回折位相差−x正方向回折位相差が0以下の場合、すなわち、時計回りに傾いた偏光軸107aに入射する回折光(x正方向に進行する回折光)の位相差が、反時計回りに傾いた偏光軸107bに入射する回折光(x負方向に進行する回折光)の位相差より大きい場合に、回折漏れ光量が少ない。
従って、時計回りに傾いた偏光軸107aに入射する回折光(x正方向)の位相差が、反時計回りに傾いた偏光軸107bに入射する回折光(x負方向)の位相差より大きい場合に、
1/4波長板104の進相軸の方向とS偏光方向(x方向)とを略平行となるように1/4波長板104を配置することで、回折光の漏れ光量を低減でき、コントラストを向上させることができる。
図1で示した光学系において、入射光101が偏光ビームスプリッター102を反射してから、再び偏光ビームスプリッター102に戻るまでの、各光学素子での偏光状態について詳細に説明する。このとき、各々の偏光状態は反射型液晶表示素子105側から見たものとする。
入射光101の光線がS偏光方向(x方向)の偏光軸を持って、偏光分離膜103を反射する光線を考える。このとき、反射光線進行方向はz軸方向である。図43に偏光分離膜103を反射した光線の偏光状態を示す。図中、xはx軸方向、yはy軸方向としており、S偏光方向(x軸方向)に振動する偏光軸を持つ直線偏光であることを示す。
更に、1/4波長板104を通過したときの偏光状態を図44a、図44bに示す。図44aおよび図44bは各々1/4波長板104の遅相軸および進相軸がx方向に平行なときをθ=0度とし、反射型液晶表示素子105からみて時計回りに1度回転したときをθ=+1度、反時計回りに1度回転したときをθ=−1度としたときの偏光状態を示す。
遅相軸基準(図44a)と進相軸基準(図44b)のとき何れも、軸回転方向に長軸を持ち、かつ、軸回転角度の2倍の位相差が与えられる。また、位相差の符号は遅相軸基準と進相軸基準とで反転する。
更に、図44aおよび図44bの偏光状態の光線が、反射型液晶表示素子105に入射する。反射型液晶表示素子105で位相差が与えられない場合(位相差0度)を考えると、図44aおよび図44bの偏光状態を維持して反射し、再び1/4波長板104に入射する。1/4波長板104を再び透過したときの偏光状態を各々図45aおよび図45bに示す。遅相軸基準(図45a)と進相軸基準(図45b)のとき何れも、1/4波長板104の光学軸(遅相軸および進相軸)回転方向に更に1度回転し、かつ位相差は0度の直線偏光となる。このように、反射型液晶表示素子105で位相差が与えられない場合は、図45aおよび図45bの偏光状態で偏光分離膜103に入射される。
また、反射型液晶表示素子105で+4度の位相差が与えられた場合は、図44aおよび図44bで示した反射型液晶表示素子105に入射する光線の位相差に各々+4度加算される(図46aおよび図46b)。このとき、各偏光状態は図44aおよび図44bの偏光状態に対して楕円偏光の長軸方向は変化せず、位相差のみ加算される。更に、再び1/4波長板104を透過したときの偏光状態を各々図47aおよび図47bに示す。正の位相差の光が遅相軸基準の1/4波長板104を透過するとき、偏光軸は入射する光の位相差の半分の角度だけ反時計回りに回転し、かつ位相差は0度の直線偏光となり、一方、正の位相差が進相軸基準の1/4波長板104を透過するとき、偏光軸は入射する光の位相差の半分の角度だけ時計回りに回転し、かつ位相差は0度の直線偏光となる。よって、図47aに示すように遅相軸基準の場合は、1/4波長板104を透過する光線の偏光軸が反時計回りに回転し、一方、図47bに示すように進相軸基準の場合は、1/4波長板104を透過する光線の偏光軸が時計回りに回転する。このように、反射型液晶表示素子105で+4度の位相差が与えらた場合は、図47aおよび図47bの偏光状態で偏光分離膜103に入射される。
また、反射型液晶表示素子105で+8度の位相差が与えられた場合は、図44aおよび図44bで示した反射型液晶表示素子105に入射する光線の位相差に各々+8度加算される、更に、再び1/4波長板104を透過したときの偏光状態を各々図48aおよび図48bに示す。図48aに示すように遅相軸基準の場合は、図47aに示した偏光軸方向に対して、1/4波長板104を透過する光線の偏光軸が更に2度ずつ反時計回りに回転し、一方、図48bに示すように進相軸基準の場合は、図47bに示した偏光軸方向に対して、1/4波長板104を透過する光線の偏光軸が更に2度ずつ時計回りに回転する。このように、反射型液晶表示素子105で+8度の位相差が与えらた場合は、図48aおよび図48bの偏光状態で偏光分離膜103に入射される。
以上より、黒表示時の反射型液晶表示素子105によって発生する回折光の位相差が各々0度、+4度、+8度の場合において、偏光分離膜103に入射する偏光状態を比較する。
このとき、回折光は、x軸正方向およびx軸負方向に発生し、各々偏光軸傾き107aおよび107bに入射し、偏光軸傾き角度はx軸方向に対して各々±2度傾斜しているものとする。
遅相軸基準(x軸方向近傍に設置)のとき(図45a,図47a,図48a)は、反射型液晶表示素子105で発生する回折光の位相差が大きくなると、偏光軸の傾き方向は反時計回りに傾斜する。従って、位相差の大きな回折光が進行する偏光分離膜103の傾きが反時計回りに回転し、位相差の小さな回折光が進行する偏光分離膜103の傾きが時計回りに回転するときは、1/4波長板104の遅相軸をS偏光方向(x方向)近傍に設置することで、回折光の偏光軸方向が偏光分離膜103の偏光軸方向に傾斜して偏光ビームスプリッター102から不図示の投射レンズ系に導かれる漏れ光量を低減できる。またこのとき、0度の小さい位相差の回折光が時計回りに2度回転した偏光軸傾き107aに入射し、+8度の大きい位相差の回折光が反時計回りに2度回転した偏光軸傾き107bに入射するとき、図45aおよび図48aより、1/4波長板104の遅相軸回転角度を+1度とすると、各々の回折光の偏光軸方向は各々の偏光分離膜103の偏光軸傾き方向(±2度)と一致し、回折光は検光され漏れ光量が発生しない。
一方、進相軸基準(x方向近傍に設置)のとき(図45b,図47b,図48b)は、反射型液晶表示素子105で発生する回折光の位相差が大きくなると、偏光軸の傾き方向は時計回りに傾斜する。従って、位相差の小さな回折光が進行する偏光分離膜103の傾きが反時計回りに回転し、位相差の大きな回折光が進行する偏光分離膜103の傾きが時計回りに回転するときは、1/4波長板104の進相軸をS偏光方向(x方向)近傍に設置することで、回折光の偏光軸方向が偏光分離膜103の偏光軸方向に傾斜して偏光ビームスプリッター102から不図示の投射レンズ系に導かれる漏れ光量を低減できる。またこのとき、+8度の小さい位相差の回折光が時計回りに2度回転した偏光軸傾き107aに入射し、0度の大きい位相差の回折光が反時計回りに2度回転した偏光軸傾き107bに入射するとき、図45aおよび図48aより、1/4波長板104の遅相軸回転角度を−1度とすると、各々の回折光の偏光軸方向は各々の偏光分離膜103の偏光軸傾き方向(±2度)と一致し、回折光は検光され漏れ光量が発生しない。
図12には、本発明の第1実施例である反射型液晶表示装置の全体図を示す。図中、1は高圧水銀ランプなどからなる光源、2は光源1から光を所定の方向に放射するためのリフレクター、3は均一な照明強度を有する照明領域を形成するためのインテグレータであり、シリンドリカルレンズアレイ(シリンドリカルレンズを複数配列したアレイ状の光学素子であるが、ここでシリンドリカルレンズをフライアイレンズとしても構わない)3a、3bから構成されており、4は無偏光な光を所定の偏光方向に揃える偏光変換素子であり偏光分離膜4aと反射膜4bと1/2波長板4cとから構成されており、5は照明光を集光するコンデンサーレンズ、6はミラー、7は照明光をテレセントリックな光にするフィールドレンズ、8は緑の波長帯域光を透過するダイクロイックミラー、9a1、9b1、9c1はそれぞれS偏光を反射してP偏光を透過させる特性をもつ偏光分離膜、9a、9b、9cはそれぞれ偏光分離膜9a1、9b1、9c1を有する偏光ビームスプリッター、10a、10bはそれぞれ所定波長帯域の光の偏光方向を90°変換(回転)する色選択性波長板、11r、11g、11bはそれぞれ入射した照明光を反射するとともに画像信号に応じて変調して画像光を形成する反射型液晶表示素子、12r、12g、12bはそれぞれ1/4波長板、13は紫外波長帯域の光を遮断するUVカットフィルター、14は投射レンズ系である。
次に、上記構成の光学的な作用を説明する。光源1から出射した光はリフレクター2を反射し、紫外波長帯域の光をカットするUVカットフィルター13を透過し、シリンドリカルレンズ3aの方向に集光される。この光束は、シリンドリカルレンズ3aにより複数の光束に分割された後、複数の光束はシリンドリカルレンズ3b、コンデンサーレンズ5およびフィールドレンズ7の作用によって各反射型液晶表示素子11r、11g、11b上に重ね合わされ、均一な照明強度の照明領域を各反射型液晶表示素子11r、11g、11b上に形成する。また、このときシリンドリカルレンズ3bから出射した多数の光束はそれぞれの光束に対応した偏光分離膜4aでP偏光とS偏光とに分離される。P偏光は1/2波長板4cによりS偏光と同方向の偏光成分に変換され、S偏光は反射膜4bにより反射される。これにより、シリンドリカルレンズ3bから出射した多数の光束は、所定の偏光方向を有する光として同一方向に出射される。偏光変換素子4によりほぼS偏光にそろえられた光は、緑の波長帯域の光を透過するダイクロイックミラー8に入射し、緑の波長帯域の光は透過し、赤と青の波長帯域の光は反射する。ダイクロイックミラー8を透過した緑帯域の光は偏光ビームスプリッター9aに入射し、偏光分離膜9a1において反射して、1/4波長板12gを透過し、反射型液晶表示素子11gに入射する。一方、ダイクロイックミラー8を反射した赤と青の波長帯域の光は、第1の色選択性波長板10aによって青の波長帯域の光のみ偏光方向を90°変換されてP偏光となり、赤の波長帯域の光はS偏光のままで、偏光ビームスプリッター9bに入射する。更に偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1において、P偏光である青の波長帯域の光は透過し、S偏光である赤の波長帯域の光は反射する。これにより、互いに偏光方向が直交する赤と青の波長帯域に分離される。偏光ビームスプリッター9bを反射した赤の波長帯域の光は、1/4波長板12rを透過し、反射型液晶表示素子11rに入射し、偏光ビームスプリッター9bを透過した青の波長帯域の光は、1/4波長板12bを透過し、反射型液晶表示素子11bに入射する。
さらに、反射型液晶表示素子11gによって180度位相差変調され反射した緑の波長帯域の光は、1/4波長板12gを透過し、P偏光となって偏光ビームスプリッター9a、9cを透過する。また、反射型液晶表示素子11rによって180度位相差変調され反射した赤の波長帯域の光は、1/4波長板12rを透過し、P偏光となって偏光ビームスプリッター9bを透過し、第2の色選択性波長板10bに入射する。また反射型液晶表示素子11bによって180度位相差変調され反射した青の波長帯域の光は、1/4波長板12bを透過し、S偏光となって偏光ビームスプリッター9bを反射し、第2の色選択性波長板10bに入射する。赤の波長帯域の光のみ偏光方向を90°変換する第2の色選択性波長板10bに入射した赤と青の波長帯域の光は第2の色選択性波長板10bにより赤の波長帯域の光のみ偏光方向を90°変換されてS偏光となり、青の波長帯域の光はS偏光のままで、偏光ビームスプリッター9cに入射し、反射する。そして、RGBの全波長帯域の光は偏光ビームスプリッター9cによって合成され、投射レンズ14に導かれ、不図示のスクリーン等に投射される。
ここで、図13に、ダイクロイックミラー8により色分解された緑光路に関して、偏光ビームスプリッター9aと、偏光分離膜9a1と、1/4波長板12gと、反射型液晶表示素子11gとを用いて詳細に示す。15gはダイクロイックミラー8により色分解された緑帯域の光が、偏光ビームスプリッター9aに入射する入射光で、16aはxy面内にありx正方向からの入射光線、16bはxy面内にありx負方向からの入射光線、17aは入射光16aが偏光分離膜9a1により傾く偏光軸、17bは入射光16bが偏光分離膜9a1により傾く偏光軸、偏光ビームスプリッター9aの入射光軸をy方向、反射光軸をz方向、xy平面に垂直な方向をx方向とする。
一般的に、偏光ビームスプリッターの偏光分離膜に斜入射する光は、偏光分離膜を反射もしくは透過する際に幾何学的に偏光軸が傾く。本実施例においては、図13に示すように、x正方向から入射する入射光線16aは偏光分離膜9a1を反射する際にz正方向から見て偏光軸17aが時計回りに傾き、x負方向から入射する入射光線16bは偏光分離膜9a1を反射する際にz方向から見て偏光軸17bが反時計回りに傾く。
更に、入射光線16aは1/4波長板12gを透過し、反射型液晶表示素子11gを反射し、再び1/4波長板12gを透過し、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1に入射される。このとき、反射型液晶表示素子11gを反射した光線16aはx負方向に進行するために、偏光軸17aに対してx軸に線対称な偏光軸17b傾きの偏光分離膜9a1に入射する。また、入射光線16bは1/4波長板12gを透過し、反射型液晶表示素子11gを反射し、再び1/4波長板12gを透過し、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1に入射される。このとき、反射型液晶表示素子11gを反射した光線16bはx正方向に進行するために、偏光軸17bに対してx軸に線対称な偏光軸17a傾きの偏光分離膜9a1に入射する。
更に、入射光線16aおよび16bは、各々偏光分離膜9a1の偏光軸17bおよび偏光軸17aの方向に応じて検光および透過される。
本実施例における反射型液晶表示素子11gは、液晶層実効電圧が0Vrms近傍のときに黒表示となり、電圧印加のときに白表示となる、垂直配向ノーマリーブラック型の表示モードで、図14に構造を示す。図中、201はアクティブマトリックス基板、202は対向ガラス基板、203は液晶層、204はSi基板、205は能動素子層、206は遮光層、207は反射画素電極、208および209は配向膜、210は透明電極、211はガラス基板である。アクティブマトリックス基板201は、Si基板204上に各画素を駆動して光を反射する能動素子層205と反射画素電極207と配向膜208および、漏れ光を遮光する遮光層206とからなり、対向ガラス基板202は、ガラス基板211上に形成した透明電極210と配光膜209とからなり、液晶層203はアクティブマトリックス基板201と対向ガラス基板202との間に挟まれた構成である。また、反射画素電極207の画素形状は10μm×10μmの矩形でかつ縦横方向にマトリックス状に配列している。このとき、図14で示す反射型液晶表示素子11gの反射画素電極207はx方向およびy方向にマトリックス状に配列している。
一般的に、黒表示の液晶配向角度が基板に対して垂直に近づく程、広視野角が実現できるが、実際には、電圧印加により中間調表示あるいは白表示とする際に、液晶分子が回転する方向を規定する為に、液晶分子のチルト角を必要とする。
反射型液晶表示素子のチルト方向は、ガラス基板202側、Si基板204側共に、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離面9a1に対するS偏光の偏光面(xz平面)に対して、45度近傍に傾いており、かつチルト角度が基板面垂直方向の90度から数度傾いた角度のときの、黒表示時における反射型液晶表示素子11gの位相差入射角度特性を図15に示す。図15における、反射型液晶表示素子11gへの入射光方向は、各々、方位角度0度がy軸負方向、方位角度90度がx軸正方向、方位角度180度がy軸正方向、方位角度270度がx軸負方向から各々入射した光線とする。また一般的に、チルト角度が90度のときは、方位角度45度、135度、225度、315度方向で位相差が大きく、0度、90度、180度、270度方向で位相差の小さい、十字型の対称な位相コンタ形状となるが、チルト角度を90度から数度傾けると、方位角度45度および225度方向で位相差が大きく、方位角度135度および315度で位相差の小さい、図15に示す非対称な特性となる。
また、黒表示時の反射型液晶表示素子11gに光線が垂直入射したときに発生する回折光の位相差パターンを図16に示す。図14で示す反射型液晶表示素子11gの反射画素電極207はx方向およびy方向にマトリックス状に配列している為に、回折(干渉)光はx方向とy方向に発生する。このとき、回折角度は3.5度でかつ投射レンズ系14で投射される出射角度17.5度(5次光)まで考慮している。また、方位角度0度方向をy軸負方向に発生する回折光、方位角度90度方向をx軸正方向に発生する回折光、方位角度180度方向をy軸正方向に発生する回折光、方位角度270度方向をx軸負方向に発生する回折光として表している。
また、反射型液晶表示素子11gを反射した0次光および回折光は、1/4波長板12gを透過し、各々偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1に入射される。このとき、偏光分離膜9a1の偏光軸傾き方向は入射角度に応じて幾何学的に変化する為に、0次光および回折光は各々偏光分離膜9a1に入射する角度に応じた偏光軸傾き角度方向の偏光成分が検光され、偏光軸傾き方向と垂直な方向の偏光成分は透過し、漏れ光となる。
ここで、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1で発生する入射角度に応じた偏光軸の傾きを、図17に示す。図17の方位角度の定義は図16と同様で、反射型液晶表示素子11gから偏光分離膜9a1へ入射する光軸方向からみて、偏光分離膜9a1に対してy軸負方向に入射する方向を方位角度0度、x軸正方向に入射する方向を方位角度90度、y軸正方向に入射する方向を方位角度180度、x軸負方向に入射する方向を方位角度270度としている。また、z軸正方向からみて、偏光軸傾きが時計回りを正、反時計回りを負とする。
図17より、偏光ビームスプリッター9aの偏光軸傾き方向は、方位角度0度(360度)、180度方向のyz平面内からの入射光線に対して偏光軸は傾斜せずS偏光の偏光面に平行な方向(x方向)である。一方、方位角度が0度(180度)から、90度(270度)に近づく程偏光軸が傾斜し、かつ、入射煽り角度が大きくなる程偏光軸が傾斜する。
また、x正方向に入射する光線に対して、偏光軸傾きが時計回りで、x負方向に入射する光線に対しては、偏光軸傾きが反時計回りである。
このとき、図18aおよび図18bに、黒表示時の反射型液晶表示素子11gの0次光の漏れ光量を示す。図13の光学系を用いて漏れ光の計算方法について説明する。入射光15gが偏光分離膜9a1を反射する際に、偏光分離膜9a1は偏光子としての役割を果たし、図17で示した各入射角度に応じた偏光軸の傾きを持って、1/4波長板12gに入射する。1/4波長板12gを透過した光束は、図15に示した各入射角度に応じた位相差を持っている為、各入射角度の光線は位相作用を受け、反射型液晶表示素子11gを反射し、再び1/4波長板12gを透過し、偏光分離膜9a1に入射する。このとき、偏光分離膜9a1は検光子としての役割を果たし、図17で示した各入射角度に応じた偏光軸の傾きを持っており、偏光軸傾き方向が検光軸方向となり、検光軸方向と異なる偏光成分が漏れ光量となる。また、1/4波長板の位相差を90度として計算している。
このとき、図18aは、進相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転し、一方、図18bは、遅相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転したときの、入射光強度に対する漏れ光強度比をコントラストとして各々表している。また、1/4波長板の回転角度はz正方向から見て時計回りを正方向、反時計周りを負方向とする。
このとき、反射型液晶表示素子11gに入射する照明光は最外角度12度で照明されている。
図18aおよび図18bより、進相軸がS偏光方向近傍のときは、負方向に−0.9度回転したときのコントラストが最大で、2968となり、遅相軸がS偏光方向近傍のときは、正方向に+0.9度回転したときのコントラストが最大で、2969となり、0次光に関しては、コントラストつまり漏れ光量は同等で、1/4波長板12gの光学軸設置方向(進相軸および遅相軸方向)には依存しない。
次に、回折光の漏れ光量の計算を行なう。異なる次数の回折光は、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1に対する入射角度が異なる為に、回折光の次数に応じた偏光軸傾き17a(17b)角度を考慮する必要がある。図19に各次数の回折光の回折角度と偏光ビームスプリッター9aの偏光軸傾き角度を示す。このとき、方位角度90度(x正方向)と方位角度270度(x負方向)の回折光のみ偏光ビームスプリッター9aの偏光軸傾き角度が発生し、各偏光軸傾き角度方向の偏光成分が検光される。
図20aおよび図20bに、1/4波長板12gの光学軸(進相軸および遅相軸)をxy平面内で回転したときの、回折光の漏れ光量を示す。このとき、1次から5次までの回折光の漏れ光の和を各方位角度(0、90、180、270、尚、方位角度0度がy軸負方向、方位角度90度がx軸正方向、方位角度180度がy軸正方向、方位角度270度がx軸負方向のことである)に関して、回折漏れ光の和(sum)で示している。ここで、反射型液晶表示素子11gから発生する各回折光強度を1として表している。
図20aは進相軸をx方向基準に設置した場合(進相軸がX正方向を向いている状態が図20a中の0度)で、図20bは遅相軸をx方向基準に設置した場合(遅相軸がX正方向を向いている状態が図20b中の0度)であり、図20aより、全回折漏れ光和(sum)の最小は進相軸を−1.5度傾けたときに0.225となり、図20bより、全回折漏れ光和(sum)の最小は遅相軸を+1.5度傾けたときに0.045となり、本実施例では、遅相軸をx方向基準に設置し、更に+1.5度傾けたときに回折漏れ光量を約5分の1に低減できコントラストを向上することが可能となる。
またこのとき、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1による偏光軸傾きが発生しない方向に入射する、方位角度0度および180度方向の回折光の漏れ光量の和は、進相軸をx軸方向から−1.5度傾けたときに0.030(図20a)、遅相軸をx軸方向から+1.5度傾けたときに0.030(図20b)と、同じ漏れ光量となり、コントラストに対して1/4波長板12gの光学軸設置方向(進相軸あるいは遅相軸の方向)は依存しない。
一方、偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1による偏光軸傾きが発生する方向に入射する方位角度90度および270度方向の回折光の漏れ光量の和は、進相軸をx軸方向から−1.5度傾けたときに0.195(図20a)、遅相軸をx軸方向から+1.5度傾けたときに0.0145(図20b)と、コントラストに対して1/4波長板12gの光学軸設置方向(進相軸あるいは遅相軸の方向)に依存性がある。
図18a、図18bおよび、図20a、図20bより、1/4波長板12gの光学軸設置方向に対する、コントラスト(漏れ光量)の優劣は、黒表示時の反射型液晶表示素子11gによってS偏光方向(方位角度90度および270度方向)に発生する回折光の位相差に依存し、
反射型液晶表示素子11g側からみてS偏光方向(x方向)に対して時計回りに傾いた偏光軸方向107aに入射する回折光の位相差が、反時計回りに傾いた偏光軸方向107bに入射する回折光の位相差より小さいとき、1/4波長板12gの遅相軸の方向とS偏光方向(x方向)とが略平行となるように1/4波長板12gが配置することで、コントラストの高い画像表示装置が得られる。
また、1/4波長板12gの遅相軸方向とS偏光方向との略平行な角度を5度以内とすると、コントラストが高い画像が得られ、3度以内とすることで更にコントラストが高い画像が得られる。
ここで、図21に、ダイクロイックミラー8により色分解された赤光路に関して、偏光ビームスプリッター9aと、偏光分離膜9a1と、1/4波長板12gと、反射型液晶表示素子11gとを用いて詳細に示す。15gはダイクロイックミラー8により色分解された赤帯域の光が、偏光ビームスプリッター9bに入射する入射光で、16aはxy面内にありx正方向からの入射光線、16bはxy面内にありx負方向からの入射光線、17bは入射光16aが偏光分離膜9a1により傾く偏光軸、17aは入射光16bが偏光分離膜9b1により傾く偏光軸、偏光ビームスプリッター9bの入射光軸をy方向、反射光軸をz方向、xy平面に垂直な方向をx方向とする。
図21に示すように、x正方向から入射する入射光線16aは偏光分離膜9b1を反射する際にz正方向から見て偏光軸17bが反時計回りに傾き、x負方向から入射する入射光線16bは偏光分離膜9b1を反射する際にz方向から見て偏光軸17aが時計回りに傾く。このとき、図13で示した緑光路の入射光線16aおよび16bに対して偏光ビームスプリッター9aの偏光分離膜9a1で発生する偏光軸傾きがyz平面内で反転した構成となる。
更に、入射光線16aは1/4波長板12rを透過し、反射型液晶表示素子11gを反射し、再び1/4波長板12gを透過し、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1に入射される。このとき、反射型液晶表示素子11rを反射した光線16aはx負方向に進行するために、偏光軸17bに対してx軸に線対称な偏光軸17a傾きの偏光分離膜9b1に入射する。また、入射光線16bは1/4波長板12rを透過し、反射型液晶表示素子11rを反射し、再び1/4波長板12rを透過し、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1に入射される。このとき、反射型液晶表示素子11rを反射した光線16bはx正方向に進行するために、偏光軸17aに対してx軸に線対称な偏光軸17b傾きの偏光分離膜9b1に入射する。
更に、入射光線16aおよび16bは、各々偏光分離膜9b1の偏光軸17aおよび偏光軸17bの方向に応じて検光および透過される。
赤光路の反射型液晶表示素子11rは、緑光路の反射型液晶表示素子11gと同じ特性を有し、かつ、緑光路の反射型液晶表示素子11gに対して反射型液晶表示素子面内(図13および図21のxy平面)で180度回転している。
このとき、黒表示時における反射型液晶表示素子11rの位相差入射角度特性を図22に示す。図22における、反射型液晶表示素子11rへの各入射光線方向は、方位角度0度をy軸負方向、方位角度90度をx軸正方向、方位角度180度をy軸正方向、方位角度270度をx軸負方向から各々入射したものと定義する。このとき、Δnを液晶層厚みに対する常光線および異常光線の屈折率差、dを液晶層厚み、λを入射波長とすると、黒表示時の位相差はΔnd/λより、図15の緑帯域入射の黒表示位相差に対して、図22で示す赤帯域入射の黒位相差はλが大きくなることで、位相差が小さい特性となる。
また、反射型液晶表示素子11rが黒表示時に発生する回折光の位相差パターンを図23に示す。図21で示す反射型液晶表示素子11rの反射画素電極207はx方向およびy方向にマトリックス状に配列している為に、回折(干渉)光は主にx方向とy方向に発生する。このとき、回折角度は4.0度でかつ投射レンズ系14で投射される出射角度20度(5次光)まで考慮している。また、方位角度0度方向をy軸負方向に発生する回折光、方位角度90度方向をx軸正方向に発生する回折光、方位角度180度方向をy軸正方向に発生する回折光、方位角度270度方向をx軸負方向に発生する回折光として表している。このとき、赤光路における反射型液晶表示素子11rは、緑光路の反射型液晶表示素子11gに対して反射型液晶表示素子面内(図13および図21のxy平面)で180度回転している為に、回折光の位相差パターンは図16と比べて180度回転している。
偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1で発生する偏光軸の傾きを、図24に示す。図24の方位角度の定義は図22と同様で、反射型液晶表示素子11rから偏光分離膜9b1へ入射する光軸方向からみて、偏光分離膜9b1に対してy軸負方向に入射する方向を方位角度0度、x軸正方向に入射する方向を方位角度90度、y軸正方向に入射する方向を方位角度180度、x軸負方向に入射する方向を方位角度270度としている。また、z軸正方向からみて、偏光軸傾きが時計回りを正、反時計回りを負とする。
このとき、図24の赤光路の偏光軸傾き方向は、図17の緑光路の偏光軸傾きに対して、yz平面で反転している。
このとき、図25aおよび図25bに、黒表示時の反射型液晶表示素子11rの0次光の漏れ光量を示す。このとき、0次光の位相差は図22で示した通りである。図25aは、進相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転し、図25bは、遅相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転したときの、入射光強度に対する漏れ光強度比をコントラストとして各々表している。また、1/4波長板の回転角度はz正方向から見て時計回りを正方向、反時計周りを負方向とする。
このとき、反射型液晶表示素子11rに入射する照明光は最外角度12度で照明されている。
これより、進相軸基準のときは、負方向に−0.7度回転したときのコントラストが最大で、3328となり、遅相軸基準のときは、正方向に+0.7度回転したときのコントラストが最大で、3330となり、0次光に関しては、コントラストつまり漏れ光量は同等で、1/4波長板12rの光学軸方向(進相軸および遅相軸方向)には依存しない。
次に、回折光の漏れ光量の計算を行なう。図26に各次数の回折光の回折角度と偏光ビームスプリッター9bの偏光軸傾き角度を示す。このとき、方位角度90度(x正方向)と方位角度270度(x負方向)の回折光のみ偏光ビームスプリッター9aの偏光軸傾き角度が発生し、各偏光軸傾き角度に応じて、検光および透過(漏れ光)する。
図27aおよび図27bに、1/4波長板12rの光学軸(進相軸および遅相軸)をxy平面内で回転したときの、回折光の漏れ光量を示す。このとき、1次から5次までの回折漏れ光の和を各方位角度(0,90,180,270)および全回折漏れ光和(sum)で示し、反射型液晶表示素子11gから発生する各回折光強度を1として表している。
図27aは進相軸をx方向基準に設置した場合で、図27bは遅相軸をx方向基準に設置した場合であり、図27aより、全回折漏れ光和(sum)の最小は進相軸を−1.5度傾けたときで、0.210となり、図27bより、全回折漏れ光和(sum)の最小は遅相軸を+1.5度傾けたときで、0.043となり、本実施例では、遅相軸をx方向基準に設置し、更に+1.5度傾けたときが、回折漏れ光量を約5分の1に低減できコントラストを向上することが可能となる。
またこのとき、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1による偏光軸傾きが発生しない方向に入射する、方位角度0度および180度方向の回折光の漏れ光量の和は、進相軸をx軸方向から−1.5度傾けたときに0.026(図27a)、遅相軸をx軸方向から+1.5度傾けたときに0.026(図27b)と、同じ漏れ光量となり、コントラストに対して1/4波長板12rの光学軸設置方向(進相軸あるいは遅相軸の方向)は依存しない。
一方、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1による偏光軸傾きが発生する方向に入射する方位角度90度および270度方向の回折光の漏れ光量の和は、進相軸をx軸方向から−1.5度傾けたときに0.184(図27a)、遅相軸をx軸方向から+1.5度傾けたときに0.017(図27b)と、コントラストに対して1/4波長板12gの光学軸設置方向(進相軸あるいは遅相軸の方向)に依存性がある。
また、1/4波長板12rの遅相軸方向とS偏光方向との略平行な角度を5度以内とすると、コントラストが高い画像が得られ、3度以内とすることで更にコントラストが高い画像が得られる。
ここで、図29に、ダイクロイックミラー8により色分解された青光路に関して、偏光ビームスプリッター9bと、偏光分離膜9b1と、1/4波長板12gと、反射型液晶表示素子11bとを用いて詳細に示す。15gはダイクロイックミラー8により色分解された青帯域の光が、偏光ビームスプリッター9bに入射する入射光で、16aはxy面内にありx正方向からの入射光線、16bはxy面内にありx負方向からの入射光線、18aは入射光16aが偏光分離膜9b1により傾く偏光軸、18bは入射光16bが偏光分離膜9b1により傾く偏光軸、偏光ビームスプリッター9bの入射光軸をy方向、反射光軸をz方向、xy平面に垂直な方向をx方向とする。
図29に示すように、x正方向から入射する入射光線16aは偏光分離膜9b1を透過する際にz正方向から見て偏光軸18aが時計回りに傾き、x負方向から入射する入射光線16bは偏光分離膜9b1を透過する際にz方向から見て偏光軸18bが反時計回りに傾く。
更に、入射光線16aは1/4波長板12rを透過し、反射型液晶表示素子11bを反射し、再び1/4波長板12gを透過し、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1に入射される。このとき、反射型液晶表示素子11bを反射した光線16aはx負方向に進行するために、偏光軸18aに対してx軸に線対称な偏光軸18b傾きの偏光分離膜9b1に入射する。また、入射光線16bは1/4波長板12rを透過し、反射型液晶表示素子11bを反射し、再び1/4波長板12rを透過し、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1に入射される。このとき、反射型液晶表示素子11bを反射した光線16bはx正方向に進行するために、偏光軸18bに対してx軸に線対称な偏光軸18a傾きの偏光分離膜9b1に入射する。
更に、入射光線16aおよび16bは、各々偏光分離膜9b1の偏光軸18aおよび偏光軸18bの方向に応じて検光および透過される。
青光路の反射型液晶表示素子11bは、緑光路の反射型液晶表示素子11gと同じ特性を有している。
このとき、黒表示時における反射型液晶表示素子11bの位相差入射角度特性を図29に示す。図29における、反射型液晶表示素子11bへの各入射光線方向は、方位角度0度をy軸負方向、方位角度90度をx軸正方向、方位角度180度をy軸正方向、方位角度270度をx軸負方向から各々入射したものと定義する。このとき、Δnを液晶層厚みに対する常光線および異常光線の屈折率差、dを液晶層厚み、λを入射波長とすると、黒表示時の位相差はΔnd/λより、図15の緑帯域入射の黒表示位相差に対して、図29で示す青帯域入射の黒位相差はλが小さくなることで、位相差が大きい特性となる。
また、反射型液晶表示素子11bが黒表示時に発生する回折光の位相差パターンを図30に示す。図29で示す反射型液晶表示素子11bの反射画素電極207はx方向およびy方向にマトリックス状に配列している為に、回折(干渉)光は主にx方向とy方向に発生する。このとき、回折角度は3.0度でかつ投射レンズ系14で投射される出射角度15度(5次光)まで考慮している。また、方位角度0度方向をy軸負方向に発生する回折光、方位角度90度方向をx軸正方向に発生する回折光、方位角度180度方向をy軸正方向に発生する回折光、方位角度270度方向をx軸負方向に発生する回折光として表している。
偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1で発生する偏光軸の傾きは、緑光路と同様であり、図17に示す。
このとき、図31aおよび図31bに、黒表示時の反射型液晶表示素子11bの0次光の漏れ光量を示す。このとき、0次光の位相差は図29で示した通りである。図31aは、進相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転し、図31bは、遅相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転したときの、入射光強度に対する漏れ光強度比をコントラストとして各々表している。また、1/4波長板の回転角度はz正方向から見て時計回りを正方向、反時計周りを負方向とする。
このとき、反射型液晶表示素子11bに入射する照明光は最外角度12度で照明されている。
これより、進相軸基準のときは、負方向に−1.1度回転したときのコントラストが最大で、3008となり、遅相軸基準のときは、正方向に+1.1度回転したときのコントラストが最大で、3006となり、0次光に関しては、コントラストつまり漏れ光量は同等で、1/4波長板12rの光学軸方向(進相軸および遅相軸方向)には依存しない。
次に、回折光の漏れ光量の計算を行なう。図32に各次数の回折光の回折角度と偏光ビームスプリッター9bの偏光軸傾き角度を示す。このとき、方位角度90度(x正方向)と方位角度270度(x負方向)の回折光のみ偏光ビームスプリッター9aの偏光軸傾き角度が発生し、各偏光軸傾き角度に応じて、検光および透過(漏れ光)する。
図33aおよび図33bに、1/4波長板12rの光学軸(進相軸および遅相軸)をxy平面内で回転したときの、回折光の漏れ光量を示す。このとき、1次から5次までの回折漏れ光の和を各方位角度(0,90,180,270)および全回折漏れ光和(sum)で示し、反射型液晶表示素子11bから発生する各回折光強度を1として表している。
図33aは進相軸をx方向基準に設置した場合で、図33bは遅相軸をx方向基準に設置した場合であり、図33aより、全回折漏れ光和(sum)の最小は進相軸を−1.5度傾けたときで、0.208となり、図33bより、全回折漏れ光和(sum)の最小は遅相軸を+1.5度傾けたときで、0.042となり、本実施例では、遅相軸をx方向基準に設置し、更に+1.5度傾けたときが、回折漏れ光量を約5分の1に低減できコントラストを向上することが可能となる。
またこのとき、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1による偏光軸傾きが発生しない方向に入射する、方位角度0度および180度方向の回折光の漏れ光量の和は、進相軸をx軸方向から−1.5度傾けたときに0.035(図33a)、遅相軸をx軸方向から+1.5度傾けたときに0.035(図33b)と、同じ漏れ光量となり、コントラストに対して1/4波長板12bの光学軸設置方向(進相軸あるいは遅相軸の方向)は依存しない。
一方、偏光ビームスプリッター9bの偏光分離膜9b1による偏光軸傾きが発生する方向に入射する方位角度90度および270度方向の回折光の漏れ光量の和は、進相軸をx軸方向から−1.5度傾けたときに0.173(図33a)、遅相軸をx軸方向から+1.5度傾けたときに0.006(図33b)と、コントラストに対して1/4波長板12bの光学軸設置方向(進相軸あるいは遅相軸の方向)に依存性がある。
また、1/4波長板12bの遅相軸方向とS偏光方向との略平行な角度を5度以内とすると、コントラストが高い画像が得られ、3度以内とすることで更にコントラストが高い画像が得られる。
図34には、本発明の第2実施例である反射型液晶表示装置の全体図を示す。図中、実施例1の図1と同じ要素には同じ符号を付している。図中、301は1次元方向に均一な強度の照明分布を形成する為の1次元インテグレーターで、1次元に配列されたシリンドリカルレンズアレイ301a、301bから構成されており、302a,302bは光源1から出射した略平行な光束を圧縮照明する為の光束圧縮レンズで、シリンドリカルレンズアレイ301a,301bの配列方向と直行する方向のみ曲率を持っている。
また、照明光学系からRGB3色に色分解し各々の反射型液晶表示素子11r、11g、11bに入射し、更にRGB3色を色合成して投射レンズ系14に導く色分離合成光学系の構成は、実施例1の図12で示した構成と同じである。
このとき、本実施例における照明光学系の幾何光学作用を2次元断面図を用いて説明する。
図35aは、シリンドリカルレンズアレイ301a,301bのレンズ配列方向の断面図(YZ断面図)である。Z軸方向は光源1からの出射光光軸方向、Y軸方向は1次元インテグレーターのレンズ配列方向、X軸方向はYZ平面に垂直な方向である。
また、図35bはXZ断面図である。
1次元インテグレーター301はYZ面内に屈折力を有するシリンドリカルレンズを複数配列した第1のシリンドリカルレンズアレイ301aと、第2のシリンドリカルレンズアレイ301bとを有し、集光光学系はXZ面内に屈折力を有する第1の光束圧縮レンズ301aと、球面系より成るコンデンサーレンズ7と、XZ面内に屈折力を有する第2の光束圧縮レンズ301bとを有している。
このとき、図35aで示すYZ面内の幾何光学作用について説明する。光源1から出射した光はリフレクター2で反射して略平行光として第1のシリンドリカルレンズアレイ301aに入射する。第1のシリンドリカルレンズアレイ301aを出射する光はレンズアレイの数だけ分割され、第2のシリンドリカルレンズアレイ301bの近傍に光源像を作るよう集光する。第2のシリンドリカルレンズアレイ301bを出射した光はY方向に正の屈折力を受けて屈折し、更にコンデンサーレンズ7の正の屈折力を受けて、反射型液晶表示素子11に入射する。
また、図35bで示すXZ面内の幾何光学的作用について説明する。光源1から出射した光はリフレクター2で反射して略平行光としてZ正方向に進行し、第1のシリンドリカルレンズアレイ301aと第2のシリンドリカルレンズアレイ301bの屈折力を受けず、光束圧縮レンズ301aと301bにより略平行光として反射型液晶表示素子11に圧縮照明される。
図35aより、Y方向から反射型液晶表示素子11に入射する光に対しては、第2のシリンドリカルレンズアレイ301bおよびコンデンサーレンズ7を出射した光束が、Y方向に屈折力を受けて、反射型液晶表示素子11に重畳的に照明される為に、入射角度が大きく強度が強い。
一方、図35bより、X方向から反射型液晶表示素子11に入射する光に対しては、光束圧縮レンズ301aと301bにより略平行光として反射型液晶表示素子11に圧縮照明される為に、入射角度が小さく強度が弱い。
従って、反射型液晶表示素子11に入射する入射角度強度分布は、S偏光方向(Y方向)からの入射光の角度が大きくかつ強度が強く、P偏光方向(X方向)からの入射光の角度が小さくかつ強度が弱い(S偏光方向からの入射光の強度がP偏光方向からの入射光の強度の1.3倍、好ましくは1.7倍以上強いことが望ましい)、菱形の分布となり、45度(135度、215度、315度)からの入射光の角度が小さくかつ強度が弱い(S偏光方向からの入射光の強度が45度からの入射光の強度の1.2倍、好ましくは1.4倍以上強いことが望ましい)分布となる。
ここで、図36に、本実施例における照明光学系によって、反射型液晶表示素子11に入射する光束の入射角度強度分布の一例を示す。このとき、入射方位角度は、実施例1の図13で示した座標系であるとし、方位角度0度がy軸負方向、方位角度90度がx軸正方向、方位角度180度がy軸正方向、方位角度270度がx軸負方向から各々入射した光線とする。ここで、方位角に沿った平面のうち、反射型液晶表示素子に入射する光の強度が最も強い平面は、X軸(S偏光方向)と略平行(ずれは3度以内、好ましくは1度以内)であることが分かる。
このとき、実施例1の各々図18aおよび図18bで示した漏れ光量最小(入射光強度/漏れ光量が最大)のときの、漏れ光量角度分布を図37a、図37bで示す。このとき、反射型液晶表示素子11gに入射される入射角度強度分布は方位角度0〜360度、煽り角度0〜12度まで強度が等しいフラットな照明がされているとしている。また、図37aは1/4波長板の進相軸をx軸方向から−0.9度回転したときで、図37bは1/4波長板の遅相軸をx軸方向から+0.9度回転したときの漏れ光量角度強度分布である。また、漏れ光量の値は全入射光束の強度を1としている。
図37aおよび図37bより、図15で示した黒表示時の反射型液晶表示素子11gの位相差エラーの大きい方位角度45度および255度の漏れ光量が多く、進相軸基準および遅相軸基準(図37aおよび図37b)いずれの場合もほぼ等しい漏れ光量分布となる。
更に、図36に示した本実施例における反射型液晶表示素子11gへの入射角度強度分布を図37aおよび図37bで示した漏れ光量分布に重みづけした図を図38aおよび図38bに示す。漏れ光量の値は図37a、図37bと同様に全入射光束の強度を1としている。このとき、図36の入射角度強度分布は方位角度45度(135度、225度、315度)方向の強度が弱い為に、図37a、図37bで示した方位角度45度、225度の漏れ光量が低減し、光束全体の漏れ光量を低減し、コントラストを向上することが可能となる。
また、図39aは、進相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転し、一方、図39bは、遅相軸の方向がx軸方向と一致する方向を基準(1/4位相差軸回転角度=0度)としてxy面内回転したときの、入射光強度に対する漏れ光強度比をコントラストとして各々表している。また、1/4波長板の回転角度はz正方向から見て時計回りを正方向、反時計周りを負方向とする。
このとき、図39aおよび図39bより、進相軸がS偏光方向近傍のときは、負方向に−0.9度回転したときのコントラストが最大で、4004となり、遅相軸がS偏光方向近傍のときは、正方向に+0.9度回転したときのコントラストが最大で、4005となり、0次光のコントラスト(漏れ光量)に関して1/4波長板12gの光学軸(進相軸および遅相軸)設置方向の優劣は無く、かつ、図18aおよび図18bで示したフラットな照明で入射した場合よりも、漏れ光量を低減でき、コントラストを向上させることができる。
また、黒表示時の反射型液晶表示素子11gが実施例1の図16で示すような位相差パターンを持つ回折光を発生する場合、図20aおよび、図20bで示した同様の漏れ光量が発生する。図20aは進相軸をx方向基準に設置した場合で、図20bは遅相軸をx方向基準に設置した場合であり、図20aより、全回折漏れ光和(sum)の最小は進相軸を−1.5度傾けたときに0.225となり、図20bより、全回折漏れ光和(sum)の最小は遅相軸を+1.5度傾けたときに0.045となることから、遅相軸をx方向基準に設置し、更に+1.5度傾けたときに回折漏れ光量を約5分の1に低減できコントラストを向上することが可能となる。
以上より、本実施例における照明光学系により、反射型液晶表示素子の0次光の漏れ光量を低減し、更に、遅相軸をx軸方向近傍に設置することで、反射型液晶表示素子によって発生する回折光の漏れ光量を低減し、更に、コントラストを向上させることが可能となる。
また、1/4波長板12gの遅相軸方向とS偏光方向との略平行な角度を5度以内とすると、コントラストが高い画像が得られ、3度以内とすることで更にコントラストが高い画像が得られる。
以上記載した実施例の反射型液晶表示装置は以下のように記載することができる。
本実施例の反射型液晶表示装置は、偏光分離膜を有する偏光ビームスプリッタと、反射型液晶表示素子と、前記偏光ビームスプリッタと前記反射型液晶表示素子との間に配置された1/4波長板と、光源からの光束を収斂状態で前記偏光ビームスプリッタに導くとともに、前記光源からの光で前記偏光ビームスプリッタ及び前記1/4波長板を介して前記反射型液晶表示素子を照明する照明光学系とを有する反射型液晶表示装置であって、前記照明光学系の光軸が前記偏光分離膜に対して傾いており、直線偏光光を右旋回の円偏光又は楕円偏光に変換する際に与える位相差を正、直線偏光光を左旋回の円偏光又は楕円偏光に変換する際に与える位相差を負とするとき、前記反射型液晶表示装置の黒表示状態における前記反射型液晶表示素子が、前記反射型液晶表示素子で発生する回折光に与える位相差が(1)正又は0(2)正又は0(3)負又は0(4)負又は0であり、前記収斂状態の光束を受ける前記偏光分離膜が、前記照明光学系の光軸と前記偏光分離膜とで定義されるS偏光光の偏光方向をS偏光方向とするとき、前記反射型液晶表示素子側から見て前記S偏光方向に対して時計回りに傾いた偏光方向を有する光を出射させる第1領域と、前記反射型液晶表示素子側から見て前記S偏光方向に対して反時計回りに傾いた偏光方向を有する光を出射させる第2領域とを有しており、前記反射型液晶表示素子の前記光軸上の点から出射して前記第1領域に入射する第1回折光に対して前記反射型液晶表示素子が与える位相差が、前記反射型液晶表示素子の前記光軸上の点から出射して前記第2領域に入射する第2回折光に対して前記反射型液晶表示素子が与える位相差よりも(1)小さく(2)大きく(3)小さく(4)大きく、前記1/4波長板の(1)遅相軸(2)進相軸(3)進相軸(4)遅相軸の方向と前記S偏光方向とが略平行となるように前記1/4波長板が配置されている。
ここで、光源からの光を偏光ビームスプリッタ、1/4波長板の順に入射させ、その1/4波長板を出射した光で反射型液晶表示素子を照明し、この反射型液晶表示素子を反射した光が、1/4波長板、偏光ビームスプリッタを介して投射光学系に入射する。
また、照明光学系の光軸は偏光分離膜の面(偏光分離膜の面の法線)に対して傾いており(40〜50度をなすように傾いている、好ましくは44.5〜45.5度)、その照明光学系で収斂状態にされた光束が偏光分離面に入射するように構成されている。ここでは、光源からの光は、照明光学系内で複数の光束に分割され、その分割されたそれぞれの光束が収斂状態で偏光分離面に入射するように構成されている。
また、前述のS偏光方向とは、照明光学系の光軸、言い換えると照明光学系の光軸上を通る光線と偏光分離面とで定義される方向(言い換えると、照明光学系の光軸上を通る光線が偏光分離面に入射する際のS偏光光の偏光方向)のことであり、また、前述の照明光学系の光軸に垂直な平面内においてS偏光方向と垂直な方向はP偏光方向と称する。
黒表示とは、反射型液晶素子に入射した光を後段の光学系(例えば、投射光学系等)に対して遮光する(これは吸収によって遮光しても良いし、反射によって遮光しても良い。本実施例では、偏光ビームスプリッタで反射することにより遮光している。)状態のことであるが、勿論反射型液晶表示素子に入射した光を完全に遮光することは難しいので、若干光が漏れてしまっても構わない。また、黒表示時に意図的に光を漏らす構成も考えられる。別の見方をすれば、黒表示状態とは、文字通り、原画(反射型液晶表示装置を使って表示しようとする画像の元の画像)が黒一色の場合の、反射型液晶表示装置(反射型液晶表示素子)の状態のことであり、表示された画像が黒一色であることを意味する訳ではない。
また、第1領域(図1における液晶表示素子105の上半分の領域)は、図1の偏光分離面103の中の、反射型液晶表示素子105側から見たときにX軸に対して107aのように時計回りに傾いた偏光方向を持つ光を出射する領域のことであり、第2領域(図1における液晶表示素子105の下半分の領域)は、同じく図1の偏光分離面103の中の、反射型液晶表示素子105側から見たときにX軸に対して107bのように反時計回りに傾いた偏光方向を持つ光を出射する領域のことである。
また、前記1/4波長板の遅相軸(進相軸)の方向と前記S偏光方向とが略平行となるように前記1/4波長板が配置されていると記載しているが、この「略平行」とは、お互いの方向のなす角度が5度以内、より好ましくは3度以内であることが望ましい。ここで、反射型液晶表示素子を複数用いる場合は、そのうち少なくとも1つは上記の条件を満たすことが好ましい。また、反射型液晶表示素子を3つ(例えば、赤、緑、青色波長領域用の3つ)用いる場合においては、そのうち2つは上記の条件を満たすことが好ましく、さらには、その2つ(例えば、赤、緑色波長領域用の液晶表示素子)は、S偏光方向と1/4波長板の遅相軸(進相軸)の方向とのなす角度が2度以内(好ましくは1度以内)であり、もう1つ(例えば、青色波長領域用の液晶表示素子)に関しては5度以内(好ましくは3度以内)と言う構成にしても構わない。
また、この照明光学系は、照明光学系の光軸を含んで互いに直交する2平面において互いに(焦点距離、合計のパワー、正のパワーのみの和、負のパワーのみの和等が)異なる構成を有している。
ここでは、照明光学系の光軸を横切る第1の方向に沿って複数の第1レンズ(実質的に第1方向にのみ屈折力を有するシリンドリカルレンズであることが望ましいが、若干第1方向と直交する第2方向にも屈折力を有するトーリックレンズであっても構わない)を配置して構成されており、前記光源からの光を(第1の方向に沿って)複数の光束に分割する第1インテグレータ(シリンドリカルレンズアレイ、図12中の3a)と、この複数の第1レンズに対応する複数の第2レンズを配置した第2インテグレータ(シリンドリカルレンズアレイ、図12中の3b)と、この第2インテグレータから出射する複数の光束を反射型液晶表示素子上において、第1方向(又は第1方向と照明光学系の光軸を含む第1平面)に関して重畳的に照射する(複数の光束各々が他のすべての光束と重なり合わされた状態で照射することが望ましいが、各々が少なくとも他の光束と重なり合った状態で反射型液晶表示素子に導かれればそれでも構わない)第1光学系とを有することが望ましい。さらには、第1の方向と直交する第2方向に光学的パワーを有し、前記第2方向を含む面内において、光源からの光束径を圧縮して反射型液晶表示素子に導く第2光学系とを有することが望ましい。この第2光学系は、第2方向(第2方向と照明光学系の光軸を含む第2平面)に関して、アフォーカル系を形成していることが望ましく、この第2方向(第2平面)に関して、光源からの略平行光の幅を狭めて反射型液晶表示素子に導くようにしている。
本実施例によれば、偏光子と検光子の役割を果たす偏光ビームスプリッターと、反射型液晶表示素子と、偏光ビームスプリッターと反射型液晶表示素子との間に設けられた進相軸および遅相軸の光学軸を有する1/4波長板とからなる、反射型液晶表示装置において、偏光ビームスプリッターの偏光軸(検光軸)方向に、黒表示時の反射型液晶表示素子から発生する回折光の偏光軸方向を傾斜させて漏れ光量を低減するように、1/4波長板の光学軸(進相軸および遅相軸)設置方向を規定することで、コントラストを向上することができる。