JP5311257B2 - 鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置 - Google Patents

鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5311257B2
JP5311257B2 JP2009177123A JP2009177123A JP5311257B2 JP 5311257 B2 JP5311257 B2 JP 5311257B2 JP 2009177123 A JP2009177123 A JP 2009177123A JP 2009177123 A JP2009177123 A JP 2009177123A JP 5311257 B2 JP5311257 B2 JP 5311257B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive member
iron core
hard conductive
hard
workpiece
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009177123A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011035014A (ja
Inventor
国博 小林
茂 奥浦
文昭 生田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Neturen Co Ltd
Original Assignee
Neturen Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Neturen Co Ltd filed Critical Neturen Co Ltd
Priority to JP2009177123A priority Critical patent/JP5311257B2/ja
Publication of JP2011035014A publication Critical patent/JP2011035014A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5311257B2 publication Critical patent/JP5311257B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coils Of Transformers For General Uses (AREA)

Description

本発明は、鋼材を直接通電加熱するための鋼材加熱装置に用いる電源用トランスと、それを用いた鋼材加熱装置に関するものである。
従来、各種の鋼材や鋼材からなる各種の部材を加熱する方式として、ワークの互いに離間した二箇所に電極部を接触させ、電極部間に交流電流を流すことにより直接通電加熱する方式が知られている。
例えば特許文献1には、直接通電加熱を用いた自動車用ドアガードビームの製造方法が開示されている。
特許文献1では、加熱装置の電源にトランスが使用されており、トランスの一次巻線に制御部を介して交流電流を供給し、トランスの二次巻線に生じる交流電流を、熱処理する鉄鋼製パイプの両端付近から電極部を介して通電している。鉄鋼製パイプは、交流電流が流れることにより所定温度まで加熱され、その後冷却水が鉄鋼製パイプに噴射されることにより、鉄鋼製パイプの焼入れが行なわれる。
直接通電加熱では、ワークの大きに応じた交流電流がワークに供給される。ワーク内部まで加熱するような場合には供給電流をより大きくする。
電源用トランスからの供給電流を大きくし易くするために、鉄芯に巻回された一次巻線や二次巻線を導電材料からなる中空パイプにより構成し、中空パイプに冷却水を循環させて各巻線の冷却を行うことで、巻線の単位面積当たりの電流を増加させることも行われている。乾式の場合、単位面積当たりの電流は4A/mm程度に設定されるのに対して、水冷の場合には10A/mm程度に設定される。
一般にトランスの巻線電圧は、E=4.44fnΦm(式中、Eは巻線電圧[V]、fは周波数[Hz]、nは巻数[回]、Φmは磁束[Wb]でBm×A[Tm2]、Bmは磁束密度[T]、A[m2]は鉄芯の断面積である。)で示される。そのため、鉄芯の断面積AはE/(4.44・f・n・Bm)[m2]であり、1ターンあたりの巻線電圧に比例し、周波数に反比例している。
商用周波数のトランスを設計する場合、損失の許容される磁束密度Bmを選定し、1ターンあたりの電圧を決め、鉄芯の大きさを求める。目的の2次出力電圧を得るために、E1/E2=n1/n2(式中、E1は一次巻線の巻線電圧、E2は二次巻線の巻線電圧、n1は一次巻線の巻数、n2は二次巻線の巻数である。)の関係から、1次電圧に対し巻数を決定する。ただしE1/n1、E2/n2が1ターンあたりの電圧を超えないようにする。
効率、特性、重量などを経済的で最良なものにするため、例えば図11に示すシェル型のトランス210では、鉄芯211の中央部に一次巻線220を巻回し、この一次巻線220の周囲に二次巻線230を巻回して構成されている。一次巻線220と二次巻線230は漏れ磁束を防ぐためできるだけ密着させて巻き、鉄損、銅損、重量などを総合的にみて最良になるよう鉄芯断面積、巻線導体断面積、巻数などを選択している。ここでは、1ターンあたりの電圧を数ボルトにするのが一般的である。
特開平04−280924号公報
しかしながら、従来の直接通電加熱を行う鋼材加熱装置では、より大きいワークを加熱したり、より短時間でワークを昇温するには、高電圧大電流をワークに供給するが、そのような場合、鋼材加熱装置の電源用トランスが大型化し易かった。
即ち、電源用トランスにおいてワークに供給する電流を増加させるには、出力電流に見合う導体断面積の巻線を用いることになる。ところが、一般的なトランスの製造方法で鉄芯に巻回されている巻線を太くすると、太い巻線を所定回数巻回することが可能な配置スペースを鉄芯に設けなければならず、鉄芯の中空部などの大きさも十分に確保しなければならない。その結果、鉄芯が大型化して電源用トランスが大きくなり易かった。
巻線を太くする代わりに、複数の巻線を並列に設けるとしても、隣接する線間或いは巻線と鉄芯間を絶縁した状態で配置するため、やはり鉄芯が大型化して電源用トランスが大きくなり易かった。
例えば中空パイプからなる巻線の場合、加工し易いために一般的に使用される直径10mm、厚さ2mm、導体断面積12.5mmの銅パイプを用い、導体断面積を2000mm程度にするとすれば、160本ほど並列に配置しなければならず、配置スペースが大きくなる。しかも、複数回巻くにはかなりの加工技術と労力も必要である。
一方、1本の巻線を太くするとすれば、曲げ加工が困難になるため、鉄芯に巻回すことが容易でなく、電源用トランスの製造に手間を要することになり、製造が困難である。
そこで、本発明は、直接通電加熱を行う鋼材加熱装置において、より大きな交流電流を供給し易く、小型で製造容易な電源用トランスを提供することを第一の目的とし、また、幅の広いワーク全体に均一に大きな交流電圧及び電流を供給し易く、小型化可能な鋼材加熱装置を提供することを第二の目的とする。
上記第一の目的を達成するために、本発明の鋼材加熱装置の電源用トランスは、
一方の端面から他方の端面まで貫通した中空部を有する環状の鉄芯と、
中空部の内面、鉄芯の一方の端面、鉄芯の一方の端面と鉄芯の他方の端面とをつなぐ側面、鉄芯の他方の端面に沿って、中空部の内面に戻るように、中空パイプを複数ターン巻回して成り、上記中空パイプ内部に冷却媒体が流れる一次巻線と、
環状の鉄芯及び一次巻線に巻回した二次巻線と、
を備え、
二次巻線が、
鉄芯の中空部に挿通され、一端が鉄芯の一方の端面から外側に突出し、他端が鉄芯の他方の端面から外側に突出するように配置された板状の第一硬質導電部材と、
鉄芯の一方の端面よりも外側で、一端が第一硬質導電部材の一端に接続され、他端が鉄芯の側面から外側に突出するように配置された板状の一方の第二硬質導電部材と、
鉄芯の他方の端面よりも外側で、一端が第一硬質導電部材の他端に接続され、他端が鉄芯の側面から外側に突出するように配置された板状の他方の第二硬質導電部材と、
鉄芯の側面よりも外側で一端が一方の第二硬質導電部材の他端と接続された一方の第三硬質導電部材と、
鉄芯の側面よりも外側で一端が他方の第二硬質導電部材の他端と接続された他方の第三硬質導電部材と、
を備え、
第一硬質導電部材の一端と一方の第二硬質導電部材の一端とが連結され、第一硬質導電部材の他端と他方の第二硬質導電部材の一端とが連結され、一方の第二硬質導電部材の他端と一方の第三硬質導電部材の一端とが連結され、かつ他方の第二硬質導電部材の他端と他方の第三硬質導電部材の一端とが連結されることにより、二次巻線がワンターンを構成し、
一方の第三硬質導電部材の他端に一方のブスバーが接続され、他方の第三硬質導電部材の他端に他方のブスバーが接続され、一方のブスバー及び他方のブスバーにそれぞれ電極部を介してワークに接続されて、一次巻線に商用周波数又はそれよりも低い周波数の交流電流を流すことにより、二次巻線、ブスバー、電極部及びワークで形成される閉回路に電流が流れ、ワークを直接通電加熱することを特徴とする。
上記構成において、第一硬質導電部材、一方の第二硬質導電部材、他方の第二硬質導電部材、一方の第三硬質導電部材及び他方の第三硬質導電部材には、それぞれ冷却用パイプが個別に接触するように設けられている。
上記構成において、第一硬質導電部材、一方の第二硬質導電部材、他方の第二硬質導電部材、一方の第三硬質導電部及び他方の第三硬質導電部材における各断面積が同じである。
上記構成によれば、二次巻線が1ターンの巻線として構成されているので、二次巻線の断面積を大きくして十分な電流を通電可能にしても、1本の線が太くなるだけであり、鉄芯における二次巻線の配置スペースを小さく抑えることが可能である。例えば、太い二次巻線を鉄芯に複数回巻回するときのように各二次巻線間の間隙を確保する必要がない。そのため、鉄芯を小型に抑えることができ、電源用トランスの小型化を図り易い。しかも、二次巻線を複数回巻回する手間を簡略化できるため製造も容易である。
また、二次巻線は複数の硬質導電部材が互いに締結具により連結されることで構成されているので、二次巻線の断面積を大きく確保していても容易に鉄芯へ装着することができる。硬質導電部材を冷却する冷却手段として、硬質導電部材の表面に接合されて冷却媒体が流通される冷却パイプを備えるとよい。使用時に硬質導電部材を冷却することができるため、単位断面積あたりの電流を大きく確保し易く、二次巻線の断面積を小さく抑えることができて、電源用トランスの一層の小型化を図り易い。
上記第二の目的を達成するために、本発明の鋼材加熱装置は、上述の鋼材加熱装置の電源用トランスと、電源用トランスの一次巻線に供給される電流の周波数を調整する周波数調整部と、を備える。
このような構成によれば、上述のような鋼材加熱装置の電源用トランスを用いるので、大きな電流を供給可能であっても小型化でき、しかも、電極部に供給される交流電流の周波数を調整する周波数調整部を備えているので、幅の広いワークであっても、周波数を低下させることで、ワーク全体に均一に大きな交流電流を供給することが可能である。
本発明に係る鋼材加熱装置の電源用トランスによれば、二次巻線が1ターンの巻線として構成されているので、二次巻線の断面積を大きく確保しても、鉄芯における二次巻線の配置スペースを小さく抑えると共に二次巻線を巻回する手間を簡略化できる。従って、より大きな交流電流を供給し易く、小型で製造容易な電源用トランスを提供することが可能である。
本発明に係る鋼材加熱装置によれば、上述のような鋼材加熱装置の電源用トランスを備えると共に、電極部に供給する交流電流の周波数を調整する周波数調整部を備えるので、幅の広いワーク全体に均一に大きな交流電流を供給し易く、小型化可能な鋼材加熱装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る電源用トランスの構成を示し、一部を断面で示す概略平面図である。 図1の電源用トランスを示す概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る電源用トランスを用いた鋼材加熱装置の構成を示す概略図である。 低炭素鋼、ステンレス鋼からなる板材を1000℃に昇温する場合の電流密度と昇温時間との関係を示すグラフである。 低炭素鋼からなる板材に所定昇温時間で通電する場合の電極間距離と電圧との関係を示すグラフである。 第2の実施形態に係る電源用トランスを示す概略斜視図である。 第2の実施形態に係る電源用トランスの硬質導電部材又はブスバーの部分斜視図である。 第3の実施形態に係る電源用トランスを示す概略断面図である。 第4の実施形態に係る電源用トランスを用いた鋼材加熱装置の構成を示す概略図である。 第4の実施形態に係る電源用トランスを用いた別の鋼材加熱装置の構成を示す概略図である。 第5の実施形態に係る鋼材加熱装置を示す概略正面図である。 図11の鋼材加熱装置の概略A−A断面図である。 図11の鋼材加熱装置の概略側面図である。 図11の鋼材加熱装置の要部を示す部分拡大正面図である。 図11の鋼材加熱装置の要部を示す部分拡大側面図である。 従来の電源用トランスを説明するための斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
この実施形態に係る鋼材加熱装置50の電源用トランス10は、図1及び図2に示すように、環状の鉄芯11と、この鉄芯11に巻回された一次巻線20及び二次巻線30を備える。
鉄芯11は、公知の鉄芯材料により環状に形成されており、外形形状が略直方体状を呈し、中央に一方の端面11aから他方の端面11bまで貫通する間口としての中空部12を備えている。鉄芯11の一次巻線20及び二次巻線30が巻回される領域において、その断面積は出力電圧及び周波数に対応して設定されている。
一次巻線20は、導電材料からなる中空パイプにより構成されており、鉄芯11の周囲に沿って、即ち鉄芯11の中空部12の内面、鉄芯11の一方の端面11a、一方又は他方の側面11c,11d、他方の端面11bに沿って、鉄芯11の中空部12の内面に戻るように、鉄芯11の表面に沿って引き回されている。
一次巻線20の巻数は、鉄芯11の左右の各部分でそれぞれ複数ターンとなっている。
一次巻線20は、鉄芯11の左右の各部分において、それぞれ始端及び終端に接続端子21,22を備え、接続端子21,22には交流電源からの交流が電力調整部70を介して供給されるように接続されている。
一次巻線20は、鉄芯11の端面11a側に配置された始端及び終端に、図示しない水等の冷却媒体の供給部が接続されており、一次巻線20の内部に冷却媒体が流通されて、一次巻線20を冷却可能となっている。
二次巻線30は、鉄芯11の中空部12に挿通された第一硬質導電部材31と、この第一硬質導電部材31に接続された一対の第二硬質導電部材32,33及び一対の第三硬質導電部材34,35とを備えている。硬質導電部材31〜35は、導電材料から十分な断面積を有して形成されており、曲げ加工が容易でない程度の剛性を有する。
具体的には、第一硬質導電部材31は導電材料から板状に形成されており、その断面積は出力電流に対応して設定され、第一硬質導電部材31の長さは鉄芯11の中空部12の長さより長く設定されている。第一硬質導電部材31は、鉄芯11の中空部12内に挿通されたとき、その両端31a,31bが鉄芯11の端面11a,11bから突出する。
各第二硬質導電部材32,33は、第一硬質導電部材31と同様の導電材料から板状に形成されており、その断面積も同じである。第二硬質導電部材32,33には、一端32a,33aを直角に屈曲されることで第一硬質導電部材31との連結部位が立体的に形成されている。連結部位における第一硬質導電部材31との接触面積は第二硬質導電部材32,33の断面積以上に確保されている。各第二硬質導電部材32,33は、第一硬質導電部材31の両端31a,31bに対してそれぞれ一端32a,33aが締結具としてのボルト36により連結されている。
各第二硬質導電部材32,33の長さは、鉄芯11の中空部12内側から側面11cまでの長さより長く設定されており、第一硬質導電部材31と連結された状態で各第二硬質導電部材32,33の他端32b,33bが鉄芯11の側面11cを越えて突出している。
各第三硬質導電部材34,35は、第一硬質導電部材31及び第二硬質導電部材32,33と同様の導電材料から板状に形成され、その断面積も同様である。第三硬質導電部材34、35には、一端34a,35aを直角に屈曲されることで第二硬質導電部材32,33との連結部位が立体的に形成されている。連結部位における各第二硬質導電部材32,33との接触面積は第三硬質導電部材34,35の断面積以上に確保されている。各第三硬質導電部材34,35は、第二硬質導電部材32,33の他端32b,33bに対してそれぞれ一端34a,35aが締結具としてのボルト37により連結されている。
第三硬質導電部材34,35は、鉄芯11の一方の側面11cに向き合って延び、各第三硬質導電部材34,35の他端34b,35bが、鉄芯11の一方の側面11c側で互いに離れた位置に配置されている。
このような第一から第三硬質導電部材31〜35は、互いに連結されることで、二次巻線30が全長で連続した1本の導電体として構成される。
第一から第三硬質導電部材31〜35のそれぞれその表面には、各硬質導部材31〜35毎に冷却手段41,42,43,44,45が設けられている。各冷却手段41〜45は、各硬質導電部材31〜35の表面に接触状態で接合された冷却パイプから構成されており、その始端及び終端に、図示しない水等の冷却媒体の供給部及び排出部が接続されている。これにより、各冷却手段41〜45の内部に冷却媒体が流通されることで、第一から第三硬質導電部材31〜35が冷却可能となっている。
このような電源用トランス10を用いて鋼材加熱装置50を構成するには、図3に示すように、電源用トランス10の各第三硬質導電部材34,35に、ブスバー38,39等を介して電極部120、130を接続することで構成される。なお、一次側には電力調整部70として制御盤が設けられており、交流電源からの電力を必要に応じて調整して一次巻線20へ供給できるように構成される。
鋼材加熱装置50の加熱対象であるワークWとしては、鋼材からなる板材、棒材、パイプ材、異形材、立体形状物など、各種の部材を対象にでき、長尺の部材であってもよい。好ましくはワークWが、均一な厚さを有する板材や棒材などのように長手方向に一定の断面積を有する部材であるのが好適であり、この実施形態では、長さ1〜2m、幅0.1〜0.5m、厚さ1〜2mmの板材又は板成形品に好適に使用可能な装置となっている。
電極部120、130は、ワークWの表面の互いに離間した任意の位置に接触可能なものであればよいが、電極間距離Lが調整可能に構成されるのが好ましい。電極間距離Lとは、ワークWの表面に接触された電極部120、130の接触面内側縁間の距離である。この電極部120、130は、ワークWの表面に均一に面接触可能なものが好適で、ワークWの全幅に接触可能なものが特に好適である。ワークWの所望の領域に大電流を均一に流し易くできるからである。電極部120、130やブスバー38,39にも、二次巻線30と同様に、導体に冷却媒体を流通可能なパイプにより冷却手段を設けていてもよい。
この鋼材加熱装置50では、ワークWの加熱領域全体を均一に急速温度上昇させることが可能であり、200℃/秒以上の昇温速度を実現することも可能となっている。
そのような電源用トランス10に要求される仕様としては、例えば商用周波数50Hz若しくは60Hzで入力電圧がAC200V、440V又は660Vであり、容量が500kVA〜2000kVA以上で、1ターンの二次巻線30により、ワークWに応じた例えばAC50V〜100Vの出力電圧、AC8,000A〜20,000A又はそれ以上の出力電流が得られることが好ましい。
二次巻線30としては、このような出力電圧及び出力電流が得られるように、断面積を確保することが好ましい。
例えば、低炭素鋼の板材からなるワークWを1000℃に昇温するには、電流密度と昇温時間との関係を示す図4の曲線Aから分かるように、昇温時間を10秒以下で昇温速度100℃/秒以上にするには電流密度を35A/mm以上にし、昇温時間5秒以下で昇温速度200℃/秒以上にするには電流密度を50A/mm以上にすることが必要である。また、ステンレス鋼からなるワークWを1000℃に昇温する場合には、図4の曲線Bのように昇温時間に対応した電流密度以上にすることが必要である。
そして、所定昇温時間で通電する際の電極間距離と電圧との関係を示す図5のグラフから分かるように、低炭素鋼の板材で電極間距離Lで電流密度を確保する場合、例えば昇温時間20secでは直線a、昇温時間15secでは直線b、昇温時間10secでは直線c、昇温時間5secでは直線dの電圧とすることが必要である。
これらに基づき、低炭素鋼からなり、幅250mm及び厚さ1.6mmで断面積が250×1.6=400mmの板材からなるワークWにおいて、長さ1.5mの領域を昇温時間5secで1000℃に加熱するには、電流密度が50A/mmで必要電流が400×50=20000A、必要電圧76Vとなる。
そのため、二次巻線30としては、10A/mmの許容電流密度が得られる水冷の場合、2000mm以上の断面積を有するものとすればよい。
なお、鉄芯11は、商用周波50Hzとし、鉄芯の磁束密度1.5Tとした場合、必要出力電圧が76Vであるため、E/(4.44・f・n・Bm)から76/(4.44×50×1×1.5)で0.23m以上の断面積を有するものとすればよい。鉄芯11の形状は、例えば許容されるかぎり奥行きdを長くとると共に幅wを小さくし、中空部12のサイズを小さくすることで各寸法を設定すれば、鉄芯11の総重量を軽減することができて好適である。
このような鋼材加熱装置50によりワークWを加熱するには、以下のようにする。
まず、ワークWに対し、加熱予定の領域を介して互いに離間した位置に電極部120、130の接触面を全幅に接触させる。電源用トランス10では、第一から第三硬質導電部材31〜35が接続されて二次巻線30が構成され、この二次巻線30がブスバー38,39及び電極部120、130を介してワークWに接続されることで、全体で鉄芯11の周囲に1ターンの閉じた回路が構成される。
この状態で、商用電源等の交流電源から交流を電源用トランス10の複数巻回された一次巻線20に供給する。このとき、電源用トランス10の一次巻線20及び二次巻線30の冷却手段41〜45に対して冷却装置から冷却媒体を流通させつつ通電する。
二次巻線30の第一硬質導電部材31から第二硬質導電部材32,33、第三硬質導電部材34,35、ブスバー38,39、電極部120、130及びワークWにより形成される閉回路に各種の条件に対応した電流が生じる。
このとき、二次巻線が1ターンの巻線として構成されているため、閉回路のワークWには大電流を流すことができ、ワークWを短時間で急激に昇温させることができる。例えば、ワークWの加熱予定の領域を1000℃程度の高温まで一気に昇温させることができる。
そして、ワークWを所望の温度まで急昇温させた後には、直ちに、或いは必要に応じて通電を所定時間継続して所定温度を保持した後、通電を停止して冷却することで、ワークWの各種の熱処理が行なわれる。
以上のような鋼材加熱装置の電源用トランス10によれば、二次巻線30が1ターンの巻線として構成されているので、二次巻線30の断面積を大きくすることで、鋼材を短時間で昇温したり大きなワークWを加熱できる程度に十分な電流を確保しても、鉄芯11における二次巻線30の配置スペースを複数回巻回する場合に比べて、小さく抑えることが可能である。例えば、二次巻線30を挿通するために鉄芯11の中空部12を大きく確保する必要がない。そのため、鉄芯11を小型化でき、電源用トランス10全体の小型化が可能である。
このように二次巻線30を1ターンの巻線として構成すると、電源用トランス10の一次側から二次側への変換効率が低下することにはなる。しかし、それにもかかわらず二次巻線30を1ターンの巻線として構成することで、二次巻線30で大電流を得ることができ、ワークWを短時間で所定温度まで加熱できて小型の電源用トランス10を実現することが可能となるのである。
また、電源用トランス10を製造する際、二次巻線30を太くして、断面積を大きく確保できるようにしても、二次巻線30を複数回巻回する手間が不要であり、電源用トランス10の製造が容易である。
特に、二次巻線30が第一硬質導電部材31〜第三硬質導電部材35を連結して構成されているため、二次巻線30を鉄芯11に装着する際に二次巻線30を折り曲げて巻回する作業が不要であり、二次巻線を容易に鉄芯11へ装着できる。
また、各硬質導電部材31〜35には、冷却手段41〜45が設けられているので、通電時に二次巻線30を冷却でき、二次巻線30の単位断面積あたりの電流量を大きく確保し易く、二次巻線30の断面積を小さく抑えて、電源用トランス10の一層の小型化を図り易い。
[第2の実施形態]
図6及び図7は、この実施形態の電源用トランス10の斜視図である。この電源用トランス10では、一次巻線20が環状に形成された鉄芯11の一方側に巻回されており、この一次巻線20の周りに二次巻線30が巻回されている。
この実施形態では、鉄芯11について、商用周波50Hz、鉄芯の磁束密度1.5Tとし、二次巻線30を1ターンとして、要求される出力電圧にみあった鉄芯の断面積を選定している。ここでは、出力電圧50Vとし、断面積Aは、E/(4.44・f・n・Bm)から50/(4.44×50×1×1.5)で、0.15mとした。鉄芯11の奥行きdを700mmとすると、幅wが214mmとなる。
間口である中空部12は、鉄芯11、一次巻線20、二次巻線30の相互間を絶縁した状態で、一次巻線20及び二次巻線30を通せる必要最小限の大きさにしている。
一次巻線20は、一次巻線20の導体部分の断面積を減らすため、水冷銅パイプを用いており、必要に応じてタップを設けておくことも可能である。
二次巻線30及びブスバー38,39は、例えば図7(a)或いは図7(b)に示すように、必要な断面積を有する硬質導電部材に、水冷パイプからなる冷却手段46が溶接されていてもよい。
以上のような電源用トランス10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。特に、この実施形態の電源用トランス10では、鉄芯11の断面積や中空部12を出来るだけ小さくしたことで、極めて小型化することが可能である。
[第3の実施形態]
図8は、この実施形態の電源用トランスを示す。この実施形態の電源用トランス10において、鉄芯11及び一次巻線20は第1の実施形態1と同様である。
二次巻線30は、鉄芯11の中空部12に挿通されて端面11a,11bから突出した板状の第一硬質導電部材81と、第一硬質導電部材81に接続されて両側に延び、鉄芯11の両側面11c,11dに達する板状の第二硬質導電部材82,82と、第二硬質導電部材82,82に接続されて鉄芯11の端面11b側に達する板状の第三硬質導電部材83,83と、第三硬質導電部材83,83に接続されて鉄芯11の端面11bに配置される第四硬質導電部材84とを備えており、第一硬質導電部材81と第四硬質導電部材84とにそれぞれブスバー38,39が接続されている。
ここでは、第一硬質導電部材81、ブスバー38,39は、第二硬質導電部材82,82及び第四硬質導電部材84の2倍の断面積となっている。
このような電源用トランス10では、第1の実施形態と同様にブスバー38,39に電極部120、130が接続されており、電極部120、130がワークWに接触することで、第一乃至第四硬質導電部材81乃至84、ブスバー38,39及びワークWの全体で1ターンの巻線が構成されるようになっている。
以上のような構成の電源用トランス10では、実施形態1と同様の作用効果を得ることが可能である。
特に、この実施形態によれば、二次巻線30が鉄芯11の中空部12の両側にそれぞれ1ターン巻回され、各二次巻線30,30が並列に設けられて結線されている。そのため、第4の実施形態に係る電源用トランス10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られることに加え、2倍の出力を得ることが可能である。
そのため、この実施形態では、鉄芯11の形状が十分に小さく形成でき、電源用トランス10をより小型化することが可能である。
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、図3に示すように、交流電源から一次巻線20に供給される交流電流を調整するための電流調整部70である制御盤において、一次巻線20に供給される交流電流の周波数をワークWの幅に応じて調整できるように構成されている。
電流調整部70は、例えば、周波数を20Hzから400Hz程度の範囲で調整可能に構成してもよい。この電流調整部70としては、単相の交流電源を使用している場合、図9に示すような単相逆並列回路71を使用することができる。なお、容量が大きな単相逆並列回路71では、電源側に高調波相間の電圧アンバランスなどが発生する場合がある。そのため、図10に示すような出力制御に三相単相変換器73(AC/ACインバータ)を使用することができる。その他は、第1の実施形態と同様である。
このような鋼材加熱装置50では、鉄芯11の断面積を減らすことができる。即ち、出力周波数を上げることにより、E/(4.44・f・n・Bm)に基づき周波数に反比例して断面積を減らすことが可能である。
一方、出力周波数を上げると、幅の広い板材等のワークWなどは交流電流の表皮効果の影響で、外側と中心部とに温度差が発生し易くなり、その場合には均一な加熱ができなくなる。
例えば、第1の実施形態の鋼材加熱装置50では、電源として、50Hzまたは60Hzの商用電源を使用しているが、ワークWの幅が広くなると、ワークWを流れる電流が、表皮効果の影響でワークWの両側縁側に集中してしまい、ワークWの幅方向に関する均一な加熱が困難になることがある。
そのため、この実施形態の鋼材加熱装置50では、出力周波数の選択はワークWの形状やサイズなどに応じて適切に調整するのが好ましい。この周波数の調整は、例えばワークWの幅が所定値以上のとき、例えば50〜20Hzのような低い周波数の交流電流を一次巻線20に供給することが可能である。
以上のような鋼材加熱装置50によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得られる上、ワークWの幅に応じて電流調整部70でワークWに供給する交流電流の周波数を変化させるので、ワークWの幅が広い場合であっても、ワークWの加熱予定の領域全体に均一に大きな交流電流を供給して、ワークWの所定領域全体を均一に加熱することが可能である。
なお、交流電源の周波数を低くすることで、電源用トランス10の鉄芯11の断面積を大きくすることが必要となる場合もあるが、この実施形態では、二次巻線30が1ターンの巻線として構成されているため、鉄芯11の断面積を大きく確保したとしても、十分に小型化を図ることが可能である。
なお、上記第1乃至第4の実施形態は、この発明の範囲内において適宜変更可能であり、二次巻線30を構成する硬質導電部材31〜35、81〜84の数は特に限定されるものではない。例えば、上記各1本の硬質導電部材31〜35、81〜84を、複数の硬質導電部材を直列に接合することで形成してもよい。
上述した各実施形態では、二次巻線30の各硬質導電部材31〜35、81〜84は板状に形成されているが、棒状あるいは角柱状に形成されていてもよく、中空パイプによりに形成され、内部に冷却媒体を流通可能に構成してもよい。
上述した各実施形態では、何れもコア型トランスの例について説明したが、シェル型等の他の形態のトランスであってもよい。その場合、鉄芯の形状もそれぞれに応じた形状とすることができる。
[第5の実施の形態]
図11乃至図15は、第1実施形態に係る電源用トランス10を用い、鋼材からなる板材を直接通電加熱する装置及び方法の例である。
この鋼材加熱装置110は、板材、棒材、パイプ材、異形材、立体形状物など、種々の形状を呈した鋼材からなる各種のワークWを加熱するための装置である。ワークWとしては、鋼材からなるものであれば特に限定されないが、この実施の形態では、例えば板厚2mm以下、幅500mm以下、長さ2000mm以下、断面積2000mm以下の板又は板加工品の加熱に特に好適に使用可能である。
鋼材加熱装置110では、図11乃至図13に示すように、ワークWの長さ方向の互いに離れた位置に電気的に接触する第一電極部120と第二電極部130とが、フレーム111の一方の側面側に、互いに離接可能に配置されて構成されている。第一電極部120及び第二電極部130には導電部材141,142が、ブスバー38,39を介して第1実施形態の電源用トランス10に係る二次巻線30に電気的に接続されている。
第一電極部120は、フレーム111の互いに縦方向に離間した位置に離接可能に配置された第一下側電極部120A及び第一上側電極部120Bを備える。
第一下側電極部120Aは、フレーム111に固定された略L字状の取付部材124と、取付部材124の水平部に固定された支持部123と、支持部123に揺動可能に支持された電極組立体121とを備える。
第一上側電極部120Bは、フレーム111に装着された加圧部としての駆動シリンダ127と、駆動シリンダ127に鉛直方向に上下動可能に装着された支持部125と、支持部125に揺動可能に支持された電極組立体122とを備える。駆動シリンダ127は、流体圧により駆動されるガイド付きシリンダであって、支持部125を第一下側電極部120A側に加圧可能となっている。第一下側電極部120A及び第一上側電極部120Bの支持部123,125及び電極組立体121,122の構造については後述する。
第二電極部130は、フレーム111の第一電極部120と同じ側面に装着されて第一電極部120との間の距離を調整するための間隔調整部140と、フレーム111に間隔調整部140を介して装着され、互いに縦方向に離間した位置に離接可能に配置された第二下側電極部130A及び第二上側電極部130Bと、第一電極部120から離間する方向に第二電極部130に引張力又は加圧力を負荷可能な引張部150とを備える。
間隔調整部140及び引張部150は、フレーム111の上方及び下方の位置に互いに平行に固定されたガイドレール112a,112bと、ガイドレール112a,112bに水平方向に横移動可能に支持された移動ベース138と、ガイドレール112a,112bと平行に配置され、ハンドル139cにより回転可能なネジ軸139bと、ネジ軸139bに螺合する移動ブロック139aと、移動ブロック139aに固定され、移動ベース138と連結されたロッド151を有するエアーシリンダ152とを備える。
間隔調整部140では、ハンドル139cによりネジ軸139bを回転させて移動ブロック139aを移動させると、エアーシリンダ152を介して連結された移動ベース138がガイドレール112a,112bに沿って移動し、これにより第二下側電極部130A及び第二上側電極部130Bが、第一電極部120に対して近接又は離間することが可能となっている。
引張部150では、移動ベース138及び移動ブロック139aが所定位置に配置された状態で、エアーシリンダ152に調整された空気圧を供給することで、供給された空気圧に対応する力で移動ベース138を移動ブロック139a側に引っ張ることが可能となっている。
引張部150による移動ベース138の付勢力は、ワークWの加熱時及び冷却時の熱膨張及び熱収縮に対応した所定の力に調整されている。付勢力の調整はエアーシリンダ152に供給する空気圧の調整により行うことができる。ここでは、所定の力は加熱時にワークWの熱膨張により第一電極部120と第二電極部130との間が離間することが可能であると共に、冷却時にワークWの熱収縮により第一電極部120と第二電極部130との間が収縮することが可能に設定されている。
具体的には、ワークWを挟持することでワークWの重量が第二電極部130に負荷された状態で、エアーシリンダ152の引張力により移動ベース138がガイドレール112a,112b上で移動できる力以上であって、ワークWの冷却時の熱収縮する力で、エアーシリンダ152の引張力に抗して移動ベース138がガイドレール112a,112b上で移動可能な力以下であることが必要である。特に、ワークWの冷却時の熱収縮する力で、熱収縮量を完全に移動できる力であることが望ましい。
熱膨張及び熱収縮時にワークWに生じる力は、ワークの材質、長さ、質量又は体積、形状、加熱温度、昇温速度又は降温速度など、種々の条件に応じて変動する。そのため、引張部150の引張力は、加熱予定のワークWに応じて、移動ベース138を移動させるための力と複合して設定されるのが好適である。
引張部150の好ましい付勢力は、種々の条件から近似的に演算などにより求めてもよいが、予備試験などにより予め求めたり、その値を実際の鋼材加熱装置に応じて補正するなどにより求めることも可能である。
第二電極部130の第二下側電極部130Aは、移動ベース138に固定された略L字状の取付部材134と、取付部材134の水平部に固定された支持部133と、支持部133に揺動可能に支持された電極組立体131とを備える。
第二電極部130の第二上側電極部130Bは、フレームに装着された加圧部としての駆動シリンダ137と、駆動シリンダ137により鉛直方向に上下動可能に装着された支持部135と、支持部135に揺動可能に支持された電極組立体132とを備える。
駆動シリンダ137は、流体圧により駆動されるガイド付きシリンダであって、支持部135を第二下側電極部130A側に加圧可能となっている。
この鋼材加熱装置110では、第一下側電極部120A、第一上側電極部120B、第二下側電極部130A及び第二上側電極部130Bにおいて、支持部123,125,133,135及び電極組立体121,122,131,132は同様の構成を有している。
具体的には、図14及び図15に示すように、支持部123,125,133,135は、板状体からなり、取付部材124,134又は駆動シリンダ127,137に絶縁断熱板166を介して固定されている。
電極組立体121,122,131,132は、導電材料からなり板状を呈する電極基体161と、導電材料からなり電極基体161の表面に面接触して固定されると共に、固定部位から突出してワークWとの接触面162が形成された電極本体163とを有する。
この実施の形態では、第一下側電極部120A及び第一上側電極部120Bの接触面162同士は互いに対向しており、第二下側電極部130A及び第二上側電極部130Bの接触面162同士も互いに対向している。
接触面162は、それぞれワークWの表面に対応した形状を呈しており、ここでは平面形状となっている。この接触面162は、ワークWの幅方向に延びて加熱予定領域の幅以上に形成されていることが好適であり、ここでは、ワークW表面の全幅に亘って接触できる長さに形成されている。
電極組立体121,122,131,132は、接触面162の中央部の背面側に、支持部123,125,133,135に対して揺動支点を中心に揺動可能に支持されている。接触面162の中央部は、ワークW幅方向において該中央部の両側に接触面162が存在する位置であればよいが、好ましくはワークWの幅方向に対応する接触面162の幅方向における中心であり、特に接触面162の中心であるのが好適である。ここでは、揺動支点が後述するセンターピン167の突部167aにより構成されている。
電極組立体121,122,131,132の背面となる電極基体161の一方側の端部には複数の給電部161aが設けられている。全ての給電部161aは、電極基体161の揺動支点を通り、ワークWの長さ方向、即ち、第一電極部120と第二電極部130との配置方向に延びる仮想の軸線上に設けられている。
給電部161aに接続された給電用ケーブル172は、可撓性を有するものが好適であり、例えば編組銅線ケーブルを使用することができる。
電極組立体121,122,131,132の背面となる電極基体161の揺動支点の位置にはセンターピン167が配置されており、センターピン167の一端側の大径部が電極基体161表面より支持部123,125,133,135側に突出することで突部167aが形成されている。一方、支持部123,125,133,135の電極組立体121,122,131,132側の表面には、突部167aが遊嵌でき、突部167aの厚さより浅い凹部168が形成されている。
そのため、突部167aが凹部168に遊嵌されて、電極組立体121,122,131,132が支持部123,125,133,135に近接したとき、突部167aの頂部が凹部168の底部に当接可能である。
突部167aが凹部168に遊嵌されると共に突部167aの頂部が凹部168の底部に当接した状態では、電極組立体121,122,131,132が支持部123,125,133,135に対して突部167aを揺動支点として揺動可能である。
突部167aの高さ及び凹部168の深さは、電極組立体121,122,131,132と支持部123,125,133,135との対向面が平行な状態で、電極組立体121,122,131,132と支持部123,125,133,135が最も近接したとき、両者間に所定の間隙dが形成されるように設定されている。
間隔dは、所望の揺動量が確保できる範囲であることが必要であり、接触面162の大きさに応じて設定するのが好適で、例えば1mm程度としてもよい。
支持部123,125,133,135には、凹部168とは異なる位置の貫通孔に、段付きネジ169が装着されており、電極組立体121,122,131,132に螺合されることで、支持部123,125,133,135と電極組立体121,122,131,132とが離接可能で離脱不能に連結されている。電極組立体121,122,131,132が支持部123,125,133,135から離間した状態では、電極組立体121,122,131,132の突部167aと凹部168の底部とが互いに離間した状態となる。
段付きネジ169の周囲には付勢部としての圧縮バネ171が装着されており、電極組立体121,122,131,132と支持部123,125,133,135とが互いに離間する方向に付勢されている。
以上のような電極構造を有する鋼材加熱装置110を用いて鋼材を加熱処理するには、例えば以下のようにする。
まず、直接通電加熱すべきワークWの加熱予定の領域の長さに合わせ、間隔調整部140のハンドル139cを回転操作し、第一電極部120と第二電極部130の間隔を調整する。
ワークWの全長に亘って加熱する場合には、第一電極部120の電極組立体121,122と第二電極部130の電極組立体131,132を、それぞれワークWの両端部に接触できるように、第一電極部120と第二電極部130の間隔を調整する。
ワークWの一部を加熱する場合には、第一電極部120の電極組立体121,122と第二電極部130の電極組立体131,132をそれぞれワークWの加熱すべき領域の両端付近に接触できるように、第一電極部120と第二電極部130の間隔を調整する。
次いで、第一電極部120の電極組立体121,122の間、そして第二電極部130の電極組立体131,132の間にワークWを挿入し、ワークWの幅方向の中心に揺動支点を整合させるようにして、第一下側電極部120A及び第二下側電極部130Aの接触面162上にワークWを載置する。
載置後、第一上側電極部120B及び第二上側電極部130Bの駆動シリンダ127,137を駆動し、第一上側電極部120B及び第二上側電極部の各接触面162を、それぞれワークW表面の各接触面162に対向する部位である被接触面に対して押し付ける。
このとき、各電極組立体121,122,131,132では、電極本体163の接触面162がワークWに当接した後、揺動支点に配置された突部167aの頂部が凹部168の底部に当接するまでの間、圧縮バネ171を付勢力に抗して圧縮させることで各電極組立体121,122,131,132を各支持部123,125,133,135に対して揺動傾斜させ、各接触面162をワークWの表面に沿わせて当接させる。
揺動支点に配置された突部167aの頂部が凹部168の底部に当接した後は、突部167aの頂部を支点として電極組立体121,122,131,132を揺動させつつ、電極組立体121,122,131,132の各接触面162をワークW表面に圧接して面接触させる。
その際、突部167aが電極組立体121,122,131,132の接触面162の中央部に配置されているため、支持部123,125,133,135により電極組立体121,122,131,132を加圧すると、接触面162を中央部で加圧でき、接触面162のワークWとの接触部分全体を均一に圧接することができる。その結果、ワークW表面に傾斜などの歪みが多少存在していたとしても、電極組立体121,122,131,132の各接触面162を確実にワークW表面に密着させて面接触させることができる。
この状態では、電源用トランス10では、第一から第三硬質導電部材31〜35が接続されて二次巻線30が構成され、この二次巻線30が導電部材141,142、第一電極部及び第二電極部120,130を介してワークWに接続されることで、全体で鉄芯11の周囲に1ターンの閉じた回路が構成される。
そして、商用電源等の交流電源から交流を電源用トランス10の複数巻回された一次巻線20に供給する。このとき、電源用トランス10の一次巻線20及び二次巻線30の冷却手段41〜45に対して冷却装置から冷却媒体を流通させつつ通電する。
これにより、二次巻線30の第一硬質導電部材31から第二硬質導電部材32,33、第三硬質導電部材34,35、導電部材141,142、第一電極部及び第二電極部120,130及びワークWにより形成される閉回路に各種の条件に対応した電流が生じる。
このとき、二次巻線30が1ターンの巻線として構成されているため、閉回路のワークWには大電流を流すことができ、ワークWを短時間で急昇温させることができる。例えば、ワークWの加熱予定の領域を200℃/秒以上の昇温速度で、1000℃程度の高温まで一気に昇温させることができる。
この加熱時には、各電極組立体121,122,131,132の接触面162がワークW表面に面接触しているため、接触面積を大きく確保できて接触抵抗をできるだけ小さく抑えることができる。そのため、ワークWのより広い範囲で電流を均一に流し易く、ワークWの広い領域を均一に加熱することが可能である。
特に、二次巻線30が1ターンの巻線からなる電源用トランス10により第一電極部120と第二電極部130との間に電圧を印加して第一電極部120と第二電極部130との間の領域に電流を流すことでワークWを加熱しているので、電源用トランス10を簡単な構成でコンパクトに形成し易いと共に、二次巻線30の断面積を大きく確保して大電流を通電し易く、そのため、コンパクトな装置で、ワークWの加熱対象領域に大電流量を通電して短い昇温時間でワークWを急昇温させることが可能である。
そして、このようにワークWの所定領域に大電流を通電して急昇温するような加熱処理を行う場合であっても、電極本体163を揺動させて接触面をワークW表面に沿わせて接触させ易いと共に、電極本体163の接触面をワークW表面に均一な接圧で圧接し易いので、昇温速度や温度のばらつきを防止できて均一な加熱を行うことが可能である。
このようにしてワークWを所望の温度まで昇温させた後には、直ちに、或いは、必要に応じて通電を所定時間継続して所定温度を保持した後、通電を停止して冷却することで、ワークWの各種の熱処理が行なうことができる。
なお、この鋼材加熱装置110では、第一電極部120及び第二電極部130のそれぞれで、ワークWが各電極組立体121,122,131,132により挟持されているが、引張部150のエアーシリンダ152に供給される空気圧のような流体圧により、第一電極部120に対して第二電極部130が離間方向に引っ張られている。そのため、加熱時及び冷却時にワークWが熱膨張及び熱収縮して長さが変化したとき、ワークWの長さ変化に追従して移動ベース138が移動できる。従って、ワークWを各電極組立体121,122,131,132により挟持していても、熱膨張及び熱収縮による変形を防止することが可能である。
10 電源用トランス
11 鉄芯
12 中空部
20 一次巻線
21,22 接続端子
30 二次巻線
31,81 第一硬質導電部材
32,33,82 第二硬質導電部材
34,35、83 第三硬質導電部材
36,37 ボルト(締結具)
38,39 ブスバー
41〜45 冷却手段
50 鋼材加熱装置
53,54 電極
84 第四硬質導電部材
120、130 電極部
W ワーク

Claims (4)

  1. 一方の端面から他方の端面まで貫通した中空部を有する環状の鉄芯と、
    上記中空部の内面、上記鉄芯の一方の端面、上記鉄芯の一方の端面と上記鉄芯の他方の端面とをつなぐ側面及び上記鉄芯の他方の端面に沿って、上記中空部の内面に戻るように中空パイプを複数ターン巻回して成り、上記中空パイプ内部に冷却媒体が流れる一次巻線と、
    上記環状の鉄芯及び上記一次巻線に巻回した二次巻線と、
    を備え、
    上記二次巻線が、
    上記鉄芯の中空部に挿通され、一端が上記鉄芯の一方の端面から外側に突出し、他端が上記鉄芯の他方の端面から外側に突出するように配置された板状の第一硬質導電部材と、
    上記鉄芯の一方の端面よりも外側で、一端が上記第一硬質導電部材の一端に接続され、他端が上記鉄芯の側面から外側に突出するように配置された板状の一方の第二硬質導電部材と、
    上記鉄芯の他方の端面よりも外側で、一端が上記第一硬質導電部材の他端に接続され、他端が上記鉄芯の側面から外側に突出するように配置された板状の他方の第二硬質導電部材と、
    上記鉄芯の側面よりも外側で一端が上記一方の第二硬質導電部材の他端と接続された一方の第三硬質導電部材と、
    上記鉄芯の側面よりも外側で一端が上記他方の第二硬質導電部材の他端と接続された他方の第三硬質導電部材と、
    を備え、
    上記第一硬質導電部材の一端と上記一方の第二硬質導電部材の一端とが連結され、上記第一硬質導電部材の他端と上記他方の第二硬質導電部材の一端とが連結され、上記一方の第二硬質導電部材の他端と上記一方の第三硬質導電部材の一端とが連結され、かつ上記他方の第二硬質導電部材の他端と上記他方の第三硬質導電部材の一端とが連結されることにより、上記二次巻線がワンターンを構成し、
    上記一方の第三硬質導電部材の他端に一方のブスバーが接続され、上記他方の第三硬質導電部材の他端に他方のブスバーが接続され、上記一方のブスバー及び上記他方のブスバーにそれぞれ電極部を介してワークに接続されて、上記一次巻線に商用周波数又はそれよりも低い周波数の交流電流を流すことにより、上記二次巻線、上記ブスバー、上記電極部及び上記ワークで形成される閉回路に電流が流れ、上記ワークを直接通電加熱する、鋼材加熱装置の電源用トランス。
  2. 前記第一硬質導電部材、前記一方の第二硬質導電部材、前記他方の第二硬質導電部材、前記一方の第三硬質導電部材及び前記他方の第三硬質導電部材には、それぞれ冷却用パイプが個別に接触するように設けられている、請求項1に記載の鋼材加熱装置の電源用トランス。
  3. 前記第一硬質導電部材、前記一方の第二硬質導電部材、前記他方の第二硬質導電部材、前記一方の第三硬質導電部及び前記他方の第三硬質導電部材における各断面積が同じである、請求項1又は2に記載の鋼材加熱装置の電源用トランス。
  4. 請求項1乃至の何れかに記載の鋼材加熱装置の電源用トランスと、
    上記電源用トランスの一次巻線に供給される電流の周波数を調整する周波数調整部と
    を備える、鋼材加熱装置。
JP2009177123A 2009-07-29 2009-07-29 鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置 Expired - Fee Related JP5311257B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009177123A JP5311257B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009177123A JP5311257B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011035014A JP2011035014A (ja) 2011-02-17
JP5311257B2 true JP5311257B2 (ja) 2013-10-09

Family

ID=43763833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009177123A Expired - Fee Related JP5311257B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5311257B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6106381B2 (ja) * 2012-08-21 2017-03-29 Art−Hikari株式会社 トランス及びトランスを搭載した装置
CN103014274A (zh) * 2012-12-13 2013-04-03 江苏腾奇电力设备科技有限公司 变压器用片式散热器的脱氢装置
JP7183310B2 (ja) * 2021-01-04 2022-12-05 住友重機械工業株式会社 成形装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0447943Y2 (ja) * 1984-10-27 1992-11-12
JPS6398613U (ja) * 1986-12-17 1988-06-25
JPH03126810A (ja) * 1989-10-12 1991-05-30 Nippon Steel Corp 通電加熱方法
JP2618300B2 (ja) * 1991-07-30 1997-06-11 新日本製鐵株式会社 通電加熱装置
JPH10106861A (ja) * 1996-09-30 1998-04-24 Soshin Denki Kk ノイズフィルタ
DE102004039230A1 (de) * 2004-08-12 2006-02-23 Epcos Ag Induktives Bauelement für hohe Ströme und Verfahren zu dessen Herstellung
JP4233102B2 (ja) * 2005-12-05 2009-03-04 株式会社アイキューフォー 高周波超軽量水冷式溶接用トランスとその出力コイル
JP5072234B2 (ja) * 2006-02-21 2012-11-14 株式会社ミヤデン ラックバーの高周波焼入装置
JP5088929B2 (ja) * 2006-11-29 2012-12-05 高周波熱錬株式会社 通電加熱方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011035014A (ja) 2011-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2617288C2 (ru) Устройство для термической обработки для снятия напряжений
US4258241A (en) Slot furnace for inductively heating axially spaced areas of a workpiece
RU2605020C2 (ru) Нагревательное устройство и содержащий его аппарат для нагревания непрерывного металлического листа
JP2007296553A (ja) 薄板の電磁成形装置
JP5311257B2 (ja) 鋼材加熱装置の電源用トランス及び鋼材加熱装置
US20200290147A1 (en) Electromagnetic pulse welding coil with exchangeable conductor
JP5473127B2 (ja) 誘導加熱コイル
JP6921085B2 (ja) ワークピース加熱用の微調整された出力を有する高周波電源システム
US20190039109A1 (en) Device for Producing Hardened Steel Components and Hardening Method
KR20110051335A (ko) 가열영역 가변형 유도가열장치
JP5445999B2 (ja) 鋼材加熱装置の電極構造及び鋼材加熱方法
RU2551045C1 (ru) Способ термообработки сварных соединений, полученных линейной сваркой трением
JPH0327310B2 (ja)
US3485983A (en) Apparatus for induction heating of slabs
WO2018153976A1 (en) Heating apparatus for metal products
KR102209890B1 (ko) 거더-바닥판 분리용 고주파유도가열기
US20030047558A1 (en) Device for heating metallic items
CN109385511B (zh) 一种金属材料连续感应加热退火装置
JP6057329B2 (ja) ラックバーの高周波焼入装置
JP3689331B2 (ja) 円筒状金属コイルの加熱方法
KR20220079496A (ko) 금속 제품을 가열하기 위한 장치
JP5477738B2 (ja) 鋼材加熱装置
JP2023514418A (ja) 横流誘導により製品を加熱するための装置
JP6077356B2 (ja) 通電加熱装置
EP3415261B1 (en) Method for producing tubular radiators by welding and corresponding welding apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120608

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130621

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5311257

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees