JP5309356B2 - セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なセラミックスを作製することができる、新規なセラミックスの製造方法に関する。
従来、チタン酸バリウムセラミックスの作製は通常の電気炉を用いた焼結方法により作製され、チタン酸バリウムセラミックスの圧電定数としては高くてもd33=200pC/N程度に留まっていた。
これに対し、2006年、高橋らは、水熱合成法により作製したチタン酸バリウム粒子を用いて圧粉体を作製し、マイクロ波焼結方法を用いることで平均粒子径が2μm程度の緻密なチタン酸バリウムセラミックスを作製し、その圧電特性が最高でd33=350pC/Nになることを報告した(非特許文献1参照。)。
更に、2007年、唐木らは2段階焼結法を用いることで平均粒子径が1μm程度の緻密なチタン酸バリウムセラミックスを作製し、その圧電特性が最高でd33=460pC/Nになることを報告した(非特許文献2参照。)。
ここまでが無配向のチタン酸バリウムセラミックスにおける圧電定数の最高値である。
これに対し、[110]配向チタン酸バリウムセラミックスでは、斉藤らにより、[001]方向に配向させた[110]配向チタン酸バリウムセラミックスにおいて、d33=529pC/Nという値が報告されており、これがチタン酸バリウムセラミックスにおける最高の圧電定数となっている(特許文献1参照。)。なお、斉藤らの方法では、配向セラミックスを作製する際に、テンプレートとなる[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子が存在しないため、他の組成の板状粒子を出発原料とし、最終的なセラミックスになった際に組成がBaTiO3になるようにする反応性テンプレート粒子成長(RTGG)法を用いた。
これまで発明者は、チタン酸バリウム単結晶のドメイン構造を制御するドメインエンジニアリング技術を用いて、圧電特性を飛躍的に向上させる研究を行ってきた。特に、チタン酸バリウム単結晶の[111]方向、及び[110]方向の2方向に電場を印加することにより、ドメイン壁が外部電場の有無にかかわらず移動せず、ドメイン構造が結晶中に安定に存在できる特殊なドメイン構造、すなわちエンジニアード・ドメイン構造を導入することにより、ドメイン構造のないシングルドメインのチタン酸バリウム単結晶の圧電定数よりも大きく向上できる。特にこのエンジニアード・ドメイン構造において、ドメイン壁密度を向上させることで圧電特性が飛躍的に向上することを見いだした(非特許文献3,4参照。)。
特開2005-255424号公報 Hirofumi Takahashi, Yoshiki Numamoto, Junji Tani, Kazuya Matsuta, Jinhao Qiu and Sadahiro Tsurekawa, "Lead-Free Barium Titanate Ceramics with Large Piezoelectric Constant Fabricated by Microwave Sintering", Japanese Journal of Applied Physics Vol. 45, No. 1, 2006, pp. L30-L32. Tomoaki Karaki, Kang Yan, Toshiyuki Miyamoto, and Masatoshi Adachi, "Lead-Free Piezoelectric Ceramics with Large Dielectric and Piezoelectric Constants Manufactured from BaTiO3 Nano-Powder", Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 46, No. 4, 2007, pp. L97-L98. Satoshi Wada, Hirofumi Kakemoto and Takaaki Tsurumi, "Enhanced Piezoelectric Property of Piezoelectric Single Crystals by Domain Engineering", Materials Transactions, Vol. 45, No. 2, 2004, 178-187. Satoshi Wada, Koichi Yako, Takanori Kiguchi, Hirofumi Kakemoto, and Takaaki Tsurumi, "Enhanced Piezoelectric Properties of Barium Titanate Single Crystals with the Different Engineered Domain Sizes", Journal of Applied Physics, Vol. 98, 2005,014109.
しかしながら、チタン酸バリウム単結晶は高価であり、機械的にもろく実用材料としては大きな問題がある。
そのため、このような課題を解決する、新規なセラミックスの開発が望まれている。
また、前記セラミックスを作製することができる、新規なセラミックスの製造方法の開発が望まれている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規なセラミックスを作製することができる、新規なセラミックスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のセラミックスの製造方法は、[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子とし、無配向のチタン酸バリウム球状粒子をマトリックス粒子とし、前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製し、前記スラリーからシートを作製し、前記シートを積層して積層体を作製し、前記積層体を焼成して、セラミックスを作製し、前記所定の割合が、60:40〜80:20の範囲内にあり、前記セラミックスの配向度が、76.7%より大きく、98.6%より小さく、前記セラミックスの圧電定数d33が、600pC/N以上である。
本発明のセラミックスの製造方法は、[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子とし、無配向のチタン酸バリウム球状粒子をマトリックス粒子とし、前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製し、前記スラリーからシートを作製し、前記シートを積層して積層体を作製し、前記積層体を焼成して、セラミックスを作製し、前記所定の割合が、60:40〜80:20の範囲内にあり、前記セラミックスの配向度が、80〜90%の範囲内にあり、前記セラミックスの圧電定数d33が、700〜900pC/Nの範囲内にある。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明のセラミックスの製造方法は、[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子とし、無配向のチタン酸バリウム球状粒子をマトリックス粒子とし、前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製し、前記スラリーからシートを作製し、前記シートを積層して積層体を作製し、前記積層体を焼成して、セラミックスを作製し、前記所定の割合が、60:40〜80:20の範囲内にあり、前記セラミックスの配向度が、76.7%より大きく、98.6%より小さく、前記セラミックスの圧電定数d33が、600pC/N以上であるので、新規なセラミックスの製造方法を提供することができる。

以下、セラミックスおよびその製造方法にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。
セラミックスの製造方法について説明する。本発明のセラミックスの製造方法は、[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子とし、無配向のチタン酸バリウム球状粒子をマトリックス粒子とし、前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製し、前記スラリーからシートを作製し、前記シートを積層して積層体を作製し、前記積層体を焼成して、セラミックスを作製する方法である。
テンプレート粒子としては、[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子を使用する。
チタン酸バリウム板状粒子の平面方向の平均長さは、0.5〜10μmの範囲内にあることが好ましい。平面方向の平均長さが0.5μm以上であると、板状粒子とともに使用するマトリックス粒子は平面方向の平均長さより小さいことが要求されるため、マトリックス粒子に市販のBT01(平均粒径:100nm)、BT03(平均粒径:300nm)等が使用できるという利点がある。平面方向の平均長さが10μm以下であると、作製した焼結体のグレインサイズを小さくでき、その結果圧電特性が上昇するという利点がある。
チタン酸バリウム板状粒子の平均厚さは0.1〜1μmの範囲内にあることが好ましい。平均厚さが0.1μm以上であると、機械的に強くなるためスラリー作製時の混合で割れにくいという利点がある。平均厚さが1μm以下であると、焼結時での厚み方向の結晶成長速度より、平面方向の結晶成長速度が速くなるという利点がある。
テンプレート粒子の形状は、上述の板状に限定されるものではない。このほか形状としては、針状、立方体状など特定の面が出ている粒子などを採用することができる。
マトリックス粒子としては、無配向のチタン酸バリウム球状粒子を使用する。
チタン酸バリウム球状粒子の平均粒径は0.1〜1μmの範囲内にあることが好ましい。平均粒径が0.1μm以上であると、マトリックス粒子同士で結晶成長しにくいという利点がある。平均粒径が1μm以下であると、テンプレート粒子がマトリックス粒子を取り込む結晶成長が速いという利点がある。
マトリックス粒子の形状は、上述の球状に限定されるものではない。このほか形状としては、立方体形状のように等方的な形状を持つ粒子などを採用することができる。
前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製する。
テンプレート粒子とマトリックス粒子の配合割合は、60:40〜80:20の範囲内にあることが好ましい。配合割合が60:40以上であると、高密度で50%以上の配向度を持つ[110]配向チタン酸バリウムセラミックスを得ることができるという利点がある。配合割合が80:20以下であると、実用に耐えうる密度(95%以上)と高い配向度を有し、その結果圧電特性を最も高くできるという利点がある。
スラリーの作製に用いる可塑剤としては、ジブチルフタレートなどを採用することができる。
スラリーの作製に用いるバインダとしては、ポリビニルブチラールなどを採用することができる。
前記スラリーからシートを作製する。
シートの厚さは100μm〜500μmの範囲内にあることが好ましい。厚さが100μm以上であると、シートを基板材料であるフッ素樹脂シートからはがしやすいという利点がある。厚さが500μm以下であると、板状試料の平面方向がシートキャスト方向に平行になるシートを得ることができるという利点がある。
前記シートを積層して積層体を作製し、前記積層体を焼成してセラミックスを作製する。
焼結温度は1300〜1450℃の範囲内にあることが好ましい。焼結温度が1300℃以上であると、緻密な焼結体を得ることができるという利点がある。焼結温度が1450℃以下であると、正方晶のチタン酸バリウム焼結体を得ることができるという利点がある。
焼結時間は1〜48時間の範囲内にあることが好ましい。焼結時間が1時間以上であると、高密度、高配向のチタン酸バリウム焼結体を得ることができるという利点がある。焼結時間が48時間以下であると、グレインサイズの粗大化が抑制されるという利点がある。
セラミックスについて説明する。本発明のセラミックスは、チタン酸バリウムを含有し、[110]方向に配向している。
[110]方向の配向度は、76.7%より大きく、98.6%より小さいことが好ましい。また、配向度は、80〜90%の範囲内にあることがさらに好ましい。
配向度が、76.7%より大きく、98.6%より小さいと、圧電定数d33が600 pC/N以上になるという利点がある。また、配向度が、80〜90%の範囲内にあると、圧電定数d33が700〜900 pC/Nになるという利点がある。
本発明のセラミックスは、圧電材料、誘電材料などの用途がある。
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの作製方法について説明する。
サンプル1
本実施例では[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子に用いた。この配向粒子は、神島化学工業(株)から購入したものである(図1)。[110]配向板状粒子の平面方向の平均長さは5μmである。また、[110]配向板状粒子の平均厚さは0.1μmである。
マトリックス粒子には堺化学工業(株)から購入したチタン酸バリウム球状粒子(BT03(平均粒径:300nm))を用いた。テンプレート粒子8.40gとマトリックス粒子(BT03)3.36gを秤量した(配合割合=70:30)。秤量を行なった後、テンプレート粒子とマトリックス粒子を混合・粉砕のためナロゲンポット容器に入れた。ナロゲンポットには250mlの容器を使用し、約250gのジルコニアボール(ボール径3mm)を用いた。その後、容器を溶媒で満たす。溶媒には、トルエン(和光純薬工業株式会社製)とエタノール(和光純薬工業株式会社製)の体積比で60:40の混合物を19.8ml用いた。エタノールは原料粉の良い分散媒となり、トルエンはこの後加えるバインダの溶剤になる。ナロゲンポットの蓋を閉め、ボールミルにかけた。かける時間は24時間とした。
24時間経過後、ナロゲンポットにバインダとしてポリビニルブチラール(和光純薬工業株式会社製)を0.54gと、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業株式会社製)を0.83g追加して、更に3時間ボールミルにかけてスラリーを作製した。
出来たスラリーを泡立たないようにビーカーにいれ、ドクターブレードで成形する。使用したドクターブレードは二枚歯のものであり、キャスト方向を見送る位置から見て手前側のブレードを500μm、奥側のブレード厚を400μmにしてキャストした。これにより厚さ500μmのシートが得られた。キャスト後室温で24時間乾燥した。シートを4cm程度の正方形に切り出し、20枚重ねた後80℃、0.5tで加圧し、積層体を作製した。
積層体を匣鉢にいれる。これを電気炉に入れ、650℃までゆっくりと1℃/minで温度を上げ、2時間保持することで脱脂処理を行った。その後、800℃まで10℃/minで昇温後、1300℃の焼結温度まで2.5℃/minで昇温し、焼結温度で12時間保持後、800℃まで2.5℃/minで降温し、その後室温まで炉冷することで焼結体を作製した。
サンプル2
テンプレート粒子を5.04g、マトリックス粒子を3.36g(配合割合=60:40)、バインダを0.54g、溶媒を19.8ml、可塑剤を0.83gとし、焼結温度を1350℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル3
テンプレート粒子を5.92g、マトリックス粒子を3.95g(配合割合=60:40)、バインダを0.63g、溶媒を23.28ml、可塑剤を0.96gとし、焼結温度を1400℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル4
テンプレート粒子を5.92g、マトリックス粒子を3.95g(配合割合=60:40)、バインダを0.66g、溶媒を23.3ml、可塑剤を1.95gとし、焼結温度を1450℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル5
テンプレート粒子を5.92g、マトリックス粒子(BT01(平均粒径:100nm))を1.97g、(BT03)を1.97g(配合割合=60:20:20)、バインダを0.66g、溶媒を23.3ml、可塑剤を1.95gとし、焼結温度を1400℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル6
テンプレート粒子を5.92g、マトリックス粒子(BT01)を1.97g、(BT03)を1.97g(配合割合=60:20:20)、バインダを0.66g、溶媒を23.3ml、可塑剤を1.95gとし、焼結温度を1450℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル7
テンプレート粒子を5.92g、マトリックス粒子(BT03)を3.95g(配合割合=60:40)、バインダを0.63g、溶媒を23.28ml、可塑剤を0.98gとし、焼結温度を1400℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル8
テンプレート粒子を6.91g、マトリックス粒子(BT03)を2.96g(配合割合=70:30)、バインダを0.66g、溶媒を23.3ml、可塑剤を1.95gとし、焼結温度を1400℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
サンプル9
テンプレート粒子を6.91g、マトリックス粒子(BT01)を0.99g、(BT03)を1.97g(配合割合=70:10:20)、バインダを0.66g、溶媒を23.3ml、可塑剤を1.95gとし、焼結温度を1400℃とした以外は、サンプル1と同じ条件により、焼結体を作製した。
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの評価方法について説明する。
配向度測定方法
焼結体の表面を#1200研磨紙で軽く乾式研磨を行い、焼結体表面のX線測定を行った。得られたXRD回折パターンからロットゲーリング法による配向度測定を行った。焼結体を研磨紙で研磨した程度ではX線測定面と[110]配向方向が90°より±5°程ずれているのでこれを補正するために背面ラウエによる測定を行い、ずれた角度分研磨し光軸合わせを行った。
密度測定方法
焼結体を水中で真空脱泡を行い、アルキメデス法による密度測定を行った。理論密度を6.01g/cmとし、測定した密度から相対密度を算出した。
表面観察方法
焼結体を配向面に垂直に切断し、切断面を#2000湿式研磨し、焼結温度より50℃低い温度で1時間30分保持することによりヒートエッチングを行った。その後DCスパッタにより表面を100nmの金スパッタをし、SEMによる表面観察を行った。
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの評価結果について説明する。
表1からわかるように、配合割合や焼結温度を制御することで、配向度Fを18.9%から98.6%まで制御できることがわかった。また、このときの種々の配向度Fにおけるチタン酸バリウムセラミックスの相対密度はほぼ96%であった(表1、図2)。
Figure 0005309356
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの断面を、SEMを用いて観察した結果、ほぼ平均粒子径が50〜100μmであり、その粒子形状に異方性は認められず、配向度によらずこの傾向は変わらなかった(図3,4)。なお、図上方から下方がドクターブレード成形方向であり、右方が[110]配向方向である。
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの圧電特性について説明する。
31振動子の作製方法について説明する。
31の振動子は矩形状振動子の長辺方向伸び振動をするような形に作製する。振動子の作製法は、焼結体をオイルの浸ったダイヤモンドカッターで切り出し、寸法に合わせて研磨した。このときの寸法は4.0mm×1.2mm×0.3mmとした。試料洗浄後、面が平行な治具にワックスを用いて試料を固定して、ガラス板に9.5μmのアルミナ研磨粉と水をのせ、試料を研磨した。このとき4.0mm×1.2mmの面がX線測定面になるようにした。その後、振動子の4.0mm×1.2mmの面にDCスパッタによる金電極を形成した。電極の厚みは100nmとした。
この振動子を高圧電源に接続し、シリコーンオイルバス中に浸し、温度を100℃まで上げた。100℃になった後、徐々に電圧を印加し、最終的に電界を2kV/mmにした後、10分間保持した。その後、電圧を印加したまま温度を下げ、30℃になったとき、電圧を0にした。
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの圧電特性の評価方法について説明する。
圧電特性はまず共振・反共振法により、圧電定数d31、弾性コンプライアンスs11 E、電気機械結合係数k31および比誘電率ε33 Tを測定した。
また、d33メータを用いて、圧電定数d33を求めた。一方、圧電定数d33は分極処理した圧電試料に電界を印加しその歪量を測定することで算出することができる。つまり圧電性の逆効果を利用した算出法である。具体的には横軸を電界、縦軸を歪量としてグラフを作り、その傾きを求めることで算出できる。歪みの電場依存性を0.2kV/mm以下の弱い電場で測定し、その傾きから圧電定数d33を求めた。この装置は発明者が作製したもので周波数4Hzの三角波で電界を印加して、その電界に対する歪量を測定する装置である。
[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの圧電特性の評価結果について説明する。
種々の配向度Fを持つ[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの圧電特性を測定した結果を表1に示す。配向度Fの増加とともに比誘電率ε33 T、電気機械結合係数k31、および圧電定数d31(図6)ほとんど変化せず、ほぼ一定であった。一方、配向度Fの増加とともに、弾性コンプライアンスs11 E(図5)、および圧電定数d33(図6)は増加し、配向度Fが80%以上で急激に増大した。更に配向度Fが100%に近づくと、弾性コンプライアンスs11 E、および圧電定数d33は急激に減少した。配向度Fが約84.6%のときに、圧電定数d33は最大値788pC/Nを示した。
配向度が85%を超えると単結晶的な性質が現れ、室温での電場印加により正方晶から斜方晶への電界誘起相転移現象が確認され、電場の除去とともに正方晶へと戻るが、このとき分極が外れることがわかった。従って、通常の分極処理で[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの分極を行うには、配向度90%以下であることが必要である。以上から配向度が80〜90%の[110]配向チタン酸バリウムセラミックスにおいて、非常に高い圧電定数を得られることがわかった。
図6からわかるように、圧電定数d33が増大する一方で、圧電定数d31は配向度に関わらずほぼ一定であった。これは面内方向には結晶軸はランダムであるため、ある方向のd31が増大しても打ち消し合い、振動子全体として常に一定の値を示すためと考えられる。
歪測定から算出したd33の値と比較のためd33メータの測定値を表2に示す。歪測定による算出結果とd33メータによる測定結果がおおよそ一致している。
Figure 0005309356
80〜90%程度の配向度を持つ[110]配向チタン酸バリウムセラミックスを作製することにより、初めてd33が500pC/Nを超える非鉛系圧電材料を作製できた。特に788pC/Nという値は現在の鉛系圧電セラミックス材料と比較しても非常に高い値であり、圧電定数d33という指標では初めて鉛系圧電体セラミックスを超えた材料である。
このような配向セラミックスは圧電特性に大きな異方性があるという特徴を持つ。これは3軸方向が[110]方向にほぼ揃っているため3軸方向には大きく伸びるものの、1軸、2軸方向には完全にランダムであるため、面内方向には大きな歪みが発生してもお互いに打ち消しあうため結果として面内方向には大きな伸びを示さない。このような材料は内部電極を持つ多層構造にした場合に電場印加方向には大きく歪むものの、それと垂直な面内方向にはあまり歪まないため電極とセラミックス界面で大きな応力が発生せず、信頼性の向上が期待できる。このため積層アクチュエータ材料として、[110]配向チタン酸バリウムセラミックスは有効である。また、このような異方性はランジュバン型のように締め付けて使用する圧電素子タイプや、基板に圧電セラミックスを接着させて使用する場合にも有効である。
[110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子を示す電子顕微鏡写真である。 種々の配向度における[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの相対密度を示す図である。 配向度36.1%の[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの電子顕微鏡写真である。 配向度40.3%の[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの電子顕微鏡写真である。 種々の配向度における[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの弾性コンプライアンスs11 Eを示す図である。 種々の配向度における[110]配向チタン酸バリウムセラミックスの圧電定数d33およぴ圧電定数d31を示す図である。

Claims (2)

  1. [110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子とし、
    無配向のチタン酸バリウム球状粒子をマトリックス粒子とし、
    前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製し、
    前記スラリーからシートを作製し、
    前記シートを積層して積層体を作製し、
    前記積層体を焼成して、セラミックスを作製し、
    前記所定の割合が、60:40〜80:20の範囲内にあり、
    前記セラミックスの配向度が、76.7%より大きく、98.6%より小さく、
    前記セラミックスの圧電定数d33が、600pC/N以上であ
    セラミックスの製造方法。
  2. [110]方向に配向したチタン酸バリウム板状粒子をテンプレート粒子とし、
    無配向のチタン酸バリウム球状粒子をマトリックス粒子とし、
    前記テンプレート粒子と前記マトリックス粒子を所定の割合で配合して、スラリーを作製し、
    前記スラリーからシートを作製し、
    前記シートを積層して積層体を作製し、
    前記積層体を焼成して、セラミックスを作製し、
    前記所定の割合が、60:40〜80:20の範囲内にあり、
    前記セラミックスの配向度が、80〜90%の範囲内にあり、
    前記セラミックスの圧電定数d33が、700〜900pC/Nの範囲内にあ
    セラミックスの製造方法。
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