JP5308951B2 - 成形同時転写用金型、成形同時転写装置及び成形同時転写品の製造方法 - Google Patents
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Description
この成形金型においては、第1キャビティ面の温度を、樹脂注入に適した高温と樹脂成形品の冷却に適した低温とに調節するために、第1型の全体を加熱又は冷却する温調回路が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、第1キャビティ面の温度を樹脂注入に適した高温に調節することにより、キャビティに注入された溶融樹脂の流動性を確保して、キャビティの全体に溶融樹脂を確実に充填できるようにし、第1キャビティ面の温度を樹脂成形品の冷却に適した低温に調節することにより、成形された樹脂を急冷して成形品の反りなどの変形を防止できるようにしてある。
したがって、このような公知技術を上記成形同時転写用金型に適用した場合は、第1キャビティ面の温度を調節するために、第1型の全体を加熱又は冷却する温調回路を設けることになる。
また、従来の成形同時転写用金型では、金型内に配置された転写シートをキャビティ面に吸引保持するために、キャビティ面に開口する多数の吸引孔を金型に形成して、それらの吸引孔を通して転写シートをキャビティ面に吸引保持できるように構成してある(例えば、特許文献2参照。)。
このため、第1型の熱容量が大きい場合は、第1キャビティ面の温度調節に時間が掛かり、その結果、樹脂成形に要する時間が長くなる欠点がある。
また、成形同時転写用金型において、第1型に形成した多数の吸引孔を通して転写シートを第1キャビティ面の側に吸引するように構成してあると、転写シートを転写層が所定の転写位置に転写されるように確実に吸引保持できないおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、樹脂成形に要する時間を短縮することができ、しかも、転写層を所定の転写位置に外観を損なうことなく確実に転写できる成形同時転写用金型と成形同時転写装置及び成形同時転写品の製造方法を提供することを目的とする。
したがって、第1キャビティ面の温度を調節するために要する時間を、第2成形部の熱容量の大きさに応じた時間にすることができ、第1型の全体を加熱又は冷却する場合に比べて、その時間を短縮することができる。
また、第2成形部は、当該第2成形部の冷却時には転写シートを吸引するための隙間を第1成形部との間に空け、当該第2成形部の加熱時には隙間を小さくする第1温調回路を有するので、転写シートを装着する第2成形部の冷却時には、転写シートを第1キャビティ面のうちの周縁部分に沿って確実に吸引して第1キャビティ面の側の所定位置に転写層を保持することができる。
しかも、溶融樹脂を注入する第2成形部の加熱時には隙間が小さくなるので、転写シートが当該隙間に吸引されることによる転写シートの変形が少なくなり、転写層の転写面の外観を損なうことがない。
よって、樹脂成形に要する時間を短縮することができ、しかも、転写層を所定の転写位置に外観を損なうことなく転写することができる。
尚、「加熱時には隙間を小さくする」とは、成形同時転写品に、射出成形時に隙間に溶融樹脂が流入することによる不良品が発生しない大きさにすることであり、隙間をなくすことも含む概念である。
したがって、第1キャビティ面のうちの、ゲートから射出された直後の高温の溶融樹脂が転写シートを介して接触するゲート対向領域を積極的に冷却して、第1キャビティ面の全体における温度分布を均等化することができる。
この結果、第1キャビティ面が局所的に高温となることを防ぎ、転写シートの転写層の溶融や変形を防止できる。また、成形同時転写品の各部の冷却速度を均一化してその変形を防止できる。
すなわち、パーティング面に転写シートの一部が溶融付着すると、型締めしたときに、第1成形部と転写シートとの間や第2型と転写シートとの間に隙間が生じ易く、その隙間に溶融樹脂が入り込んで成形同時転写品にバリが発生し易い。
上記に対して、本構成では、第1成形部又は第2型の転写シートと接触するパーティング面を冷却するので、転写シートがパーティング面に溶融付着し難くなり、上記バリの発生を防止することができる。
したがって、第2キャビティ面の側においても、キャビティに注入された溶融樹脂の流動性を確保して、キャビティの全体に溶融樹脂を一層確実に充填できるとともに、第2キャビティ面の温度を成形同時転写品の冷却に適した低温に調節して、成形品の反りなどの変形を一層防止できる。
すなわち、型締め装置で成形同時転写用金型を開いて転写シート送り装置で成形同時転写用金型内に転写シートを送り込み、第1温調装置の第1温調回路に冷却媒体を通すことにより、第2成形部を冷却して第1成形部と第2成形部との間に隙間を形成して、その隙間を介して吸引装置で転写シートを吸引保持し、型締め装置で成形同時転写用金型を閉じると共に、第1温調装置の第1温調回路に加熱媒体を通すことにより第2成形部を加熱して隙間を小さくした状態で、射出装置でキャビティに溶融樹脂を射出し、第1温調装置の第1温調回路に冷却媒体を通すことにより、第2成形部を冷却して樹脂部を急冷し、型締め装置で成形同時転写用金型を開いて成形同時転写品を取り出すという一連の成形作業を繰り返し易い。
したがって、第1キャビティ面の温度を調節するために要する時間を、第2成形部の熱容量の大きさに応じた時間にすることができ、第1型の全体を加熱又は冷却する場合に比べて、その時間を短縮することができる。
また、第2成形部を冷却して第1成形部と第2成形部との間に隙間を形成する工程の後の、転写シートが第1キャビティ面に沿うように隙間を介して吸引する工程において、転写シートを第1キャビティ面のうちの周縁部分に沿って確実に吸引して第1キャビティ面の側の所定位置に転写層を保持することができる。
しかも、型締めしてキャビティを形成し、第2成形部を加熱して、隙間を小さくする工程の後の、キャビティに溶融樹脂を射出して樹脂部を成形すると同時に、その樹脂部の表面に転写層を密着させる工程において、転写シートが当該隙間に吸引されることによる転写シートの変形が少なくなり、転写層の転写面の外観を損なうことがない。
よって、樹脂成形に要する時間を短縮することができ、しかも、転写層を所定の転写位置に外観を損なうことなく転写することができる。
尚、「第2成形部を加熱して、隙間を小さくする工程」とは、成形同時転写品に、射出成形時に隙間に溶融樹脂が流入することによる不良品が発生しない大きさにする工程であり、隙間をなくすことも含む概念である。
図1〜図3は、本発明による射出成形同時転写装置を示す。
成形同時転写装置は、図1に示すように、射出成形と同時に表面に転写層16が形成される成形同時転写品Aの製造に用いることができる成形同時転写用金型Bと、成形同時転写用金型B内に転写シート17を送り込む転写シート送り装置3と、キャビティ25に溶融樹脂cを射出する射出装置4と、成形同時転写用金型Bを開閉させる型締め装置34と、後述する隙間12を介して転写シート17を吸引する吸引装置20とを備えている。
可動型1及び固定型2の夫々は、その全体が例えば40℃〜60℃になるように冷却するための図外の温調回路を備えている。
つまり、固定型2は成形同時転写品Aの裏面を成形することが多く、その表面形状は、表面(意匠面)ほど完全に形成しなくても良い場合がある。よって、当該第2温調装置23を省略することで当該装置の構成を簡略化することができる。
可動型1と固定型2との型締めが完了すると同時に、射出装置4は、キャビティ25に対して例えば260℃〜300℃程度の溶融樹脂cを射出する。
尚、第2冷却装置は、第1成形部7と固定型2とのいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
成形同時転写品Aの製造方法は、成形同時転写用金型Bを用いて、第1キャビティ面5に転写層16を有する転写シート17を配置する第1工程と、第2成形部9を冷却して第1成形部7と第2成形部9との間に隙間12を形成する第2工程と、転写シート17が第1キャビティ面5に沿うように隙間12を介して吸引する第3工程と、型締めしてキャビティ25を形成し、第2成形部9を加熱して、隙間12を小さくする第4工程と、キャビティ25に溶融樹脂cを射出して樹脂部dを成形すると同時に、その樹脂部dの表面に転写層16を密着させる第5工程と、樹脂部dを冷却して固化させる第6工程と、射出成形用金型Bを型開きすると同時に又は型開きした後に、表面に転写層16が密着して固化した樹脂部dから基体シート15を剥離する第7工程と、成形同時転写品Aをキャビティ25から取り出す第8工程とを記載順に備えている。
また、第6工程〜第8工程、及び、次の成形同時転写品Aを成形するための第1工程〜第3工程に同時に並行して連続する第2工程を備えていてもよい。
また、多数の成形同時転写品Aを連続して成形するにあたって、1個目の成形同時転写品Aの成形開始時には、第1冷却装置29と第2冷却装置31,32が冷却停止状態に切り換えられていてもよい。
このようにして成形同時転写品Aが製造される。
したがって、図4〜図6に示した動作を繰り返すことにより、転写層16が転写された成形同時転写品Aを、不良品の発生を低減させるとともに効率的に連続成形することができる。
1.本発明による成形同時転写装置は、第1型に対して型締め位置と型開き位置とに往復駆動移動自在な第2型を備えていてもよい。
2.本発明による成形同時転写装置は、第1型の第1キャビティ面に加えて、第2型の第2キャビティ面にも転写シートが配置されるように構成してあってもよい。
B 成形同時転写用金型(射出成形金型)
a 冷却媒体
b 加熱媒体
c 溶融樹脂
d 樹脂部
1 第1型
2 第2型
2a パーティング面
3 転写シート送り装置
4 射出装置
5 第1キャビティ面
6 周縁部分
7 第1成形部
7a パーティング面
8 内側部分
9 第2成形部
12 隙間
13 第2キャビティ面
16 転写層
17 転写シート
20 吸引装置
21 第1温調装置
22 第1温調回路
24 第2温調回路
25 キャビティ
26 ゲート
28 ゲート対向領域
30 第1冷却回路
33 第2冷却回路
34 型締め装置
Claims (7)
- 射出成形と同時に表面に転写層が形成される成形同時転写品の製造に用いることができる成形同時転写用金型であって、
前記転写層を有する転写シートが配置され、前記成形同時転写品の一方面に対応する第1キャビティ面が形成された第1型と、
前記成形同時転写品の他方面に対応する第2キャビティ面が形成され、前記第1型との型締めによりキャビティを形成する第2型とを備え、
前記第1型は、前記第1キャビティ面のうちの周縁部分を形成する第1成形部と、前記第1キャビティ面のうちの内側部分を形成するとともに、冷却時には前記転写シートを吸引するための隙間を前記第1成形部との間に空け、加熱時には前記隙間を小さくする第1温調回路を有する第2成形部とを含む、成形同時転写用金型。 - 前記キャビティに溶融樹脂を射出する、前記第2キャビティ面に形成されたゲートを更に備え、
前記第2成形部に、前記第2キャビティ面のうちの前記ゲートに対向するゲート対向領域を前記加熱時に冷却する第1冷却回路が形成された、請求項1記載の成形同時転写用金型。 - 前記第1冷却回路は、前記第1温調回路より前記第1キャビティ面側を通過するように形成された、請求項2記載の成形同時転写用金型。
- 前記第1成形部及び前記第2型の少なくとも1つに、前記転写シートと接触するパーティング面を冷却する第2冷却回路が形成された、請求項1〜3のいずれか1項記載の成形同時転写用金型。
- 前記第2型に、前記第2キャビティ面を前記第1温調回路と同一温度により冷却・加熱する第2温調回路が形成された、請求項1〜4のいずれか1項記載の成形同時転写用金型。
- 請求項1記載の成形同時転写用金型と、
前記成形同時転写用金型内に前記転写シートを送り込む転写シート送り装置と、
前記キャビティに溶融樹脂を射出する射出装置と、
前記成形同時転写用金型を開閉させる型締め装置と、
前記第1温調回路に冷却媒体を通すことにより、前記第2成形部を冷却して前記第1成形部と前記第2成形部との間に隙間を形成すると共に、前記第1温調回路に加熱媒体を通すことにより、前記第2成形部を加熱して前記隙間を小さくする第1温調装置と、
前記隙間を介して前記転写シートを吸引する吸引装置とを備えた、成形同時転写装置。 - 射出成形と同時に表面に転写層が形成される成形同時転写品の製造方法であって、
前記成形同時転写品の一方面に対応した第1キャビティ面が形成された第1型と前記成形同時転写品の他方面に対応した第2キャビティ面が形成された第2型とを有し、前記第1型は、前記第1キャビティ面のうちの周縁部分を形成する第1成形部と、前記第1キャビティ面のうちの内側部分を形成する第2成形部とを含む射出成形用金型が用いられ、
前記第1キャビティ面に前記転写層を有する転写シートを配置する工程と、
前記第2成形部を冷却して前記第1成形部と前記第2成形部との間に隙間を形成する工程と、
前記転写シートが前記第1キャビティ面に沿うように前記隙間を介して吸引する工程と、
型締めしてキャビティを形成し、前記第2成形部を加熱して、前記隙間を小さくする工程と、
前記キャビティに溶融樹脂を射出して樹脂部を成形すると同時に、その樹脂部の表面に前記転写層を密着させる工程と、
前記樹脂部を冷却して固化させる工程とを備えた、成形同時転写品の製造方法。
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