JP5308076B2 - 既設管路の更生方法及び通信ケーブル敷設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、下水道管、農業用水管等の既設の管路を更生するとともに、通信ケーブルを敷設する方法に関するものである。
下水道管、上水道管、ガス管などの地中に埋設された既設管路は、長期間の使用によって老朽化してしまい、ひび割れや腐食などを生じてしまう場合がある。
一方、IT社会の実現に向けて、官民をあげて超高速・大容量を可能にする情報基盤の整備が進展している。インターネットもADSL、CATV、FTTH(光ファイバーケーブル)、無線方式などの利用者が急増している。この中でも10ギガの超高速と高度な情報品質を実現する光ファイバーケーブルの敷設は将来のブロードバンド時代のインフラとして、特に大きな期待を担っている。そのため、近年、電気通信線に比べて大量の信号伝送が可能な光ファイバーケーブルの敷設が行われ始めている。
しかし、光ファイバーケーブルを新規に地中に敷設するには、土圧、衝撃等の外的要因からの保護のために、材料費、施工費が増大する。そこで、既存、若しくは新設の下水道管路を利用して光ファイバーケーブルを敷設することが提案され、一部では実現され始めている。
上記事実を考慮して、老朽化した既設管路を更生(ライニング)するとともに光ファイバーケーブルを敷設させる方法が種々提案されており、その一つを以下説明する。まず、ライニング対象の下水道管路の内径と略同一な外径を有し、長尺な熱可塑性樹脂からなるライニング用樹脂管を製造した後、加熱加圧させることで略U字状に変形させる。次に、ライニング用樹脂管の略U字状の溝内に、光ファイバーケーブルが挿通される長尺な小径のケーブル保護管を内包するように成形させる。次に、そのケーブル保護構造を備えたライニング用樹脂管を用いて、加熱軟化状態で下水道管路内に挿通させる。最後に、ライニング用樹脂管を加熱加圧して、下水道管路内面に密着させ、下水道管路とライニング用樹脂管との間に前記ケーブル保護管を敷設させる方法である(特許文献1)。
特開2001−271415号公報
下水道管路に光ファイバーケーブルを敷設させる場合、下水道管路は、通常流れる汚水の量に比べて管径が大きいので、汚水は下水道管路の底部を流れ、下水道管路の上部は空所となっている。従ってその下水道管路内に光ファイバーケーブルを設置する場合には、下水道管路の上部壁面に沿って配置するのが好ましい。しかしながら、上記特許文献1で開示されている方法では、ケーブル保護管が位置決めされないで施工されるため、ケーブル保護管が確実に下水道管路の内面上部に敷設されない虞がある。
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであって、その目的は、既設管路の補修、更生を行うとともに、光ファイバーケーブルを既設管路内面上部に確実に敷設することを可能とする既設管路の更生方法及び通信ケーブル敷設方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明に係る既設管路の更生方法及び通信ケーブル敷設方法は、既設の管路を更生するとともに、通信ケーブルを敷設する方法に関する。そして、本発明に係る既設管路の更生方法及び通信ケーブル敷設方法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の既設管路の更生方法及び通信ケーブル敷設方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
前記課題を解決するための本発明に係る既設管路の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法は、少なくとも硬質熱可塑性樹脂からなる内張り材を軟化させる加熱工程と、前記軟化した内張り材と、テンション材が挿通された通信ケーブル敷設用ガイド管とを既設管路内に挿通する材料挿通工程と、前記テンション材に張力を加えることで、前記既設管路内に挿通された前記通信ケーブル敷設用ガイド管を当該既設管路の内面上部に配置するガイド管配置工程と、前記既設管路内に挿通された前記内張り材の内部から当該内張り材を加熱および加圧することにより当該内張り材を拡張して当該既設管路の内面に密着させる内張り材装着工程と、を備えていることを第1の特徴とする。
この構成によると、通信ケーブル敷設用ガイド管内に予め挿通しておいたテンション材に張力を加えることで、通信ケーブルが挿通可能な通信ケーブル敷設用ガイド管を既設管路内の内面上部に配置することが可能となる。そして、通信ケーブル敷設用ガイド管を配置した後に、既設管路内に挿通された内張り材の内部から内張り材を加熱及び加圧することにより、内張り材を拡張して既設管路内面に密着させる。このため、上記内張り材配置工程時に、通信ケーブル敷設用ガイド管が移動することもない。その結果、既設管路の補修、更生を行うとともに、通信ケーブル敷設用ガイド管を管路内面上部に確実に敷設することができる。
また、本発明に係る既設管路の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法は、前記内張り材と前記通信ケーブル敷設用ガイド管とが相互に固定されておらず相互に独立して移動可能とされており、前記材料挿通工程において、前記内張り材と前記通信ケーブル敷設用ガイド管とを同時に既設管路内に挿通することを第2の特徴とする。
この構成によると、内張り材と通信ケーブル敷設用ガイド管とが相互に固定されておらず相互に独立して移動可能とされているため、ガイド管に張力を加えて、既設管路の上部に固定する際に、内張り材に損傷を与えることを防止することができる。また、材料挿通工程において、内張り材と通信ケーブル敷設用ガイド管とを同時に既設管路内に挿通するため、施工時間を短縮することができる。
また、本発明に係る既設管路内の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法は、前記既設管路が、本管と当該本管の途中に設けられた分岐管口から分岐している少なくとも一本以上の分岐管と、当該分岐管の端部に設けられている分岐管桝で構成されており、当該分岐管桝から当該分岐管内にホースを反転挿入し、当該ホースの反転折り返し部を前記分岐管口から突出させるホース挿入工程を備えていることを第3の特徴とする。
この構成によると、分岐管口から既設管路内に突出されたホースの反転折り返し部が膨れることで、通信ケーブル敷設用ガイド管を分岐管口の直下を避けるように配置することも可能となるため、既設管路本来の機能を阻害することも抑制できる。これにより、内張り後に内張り材の分岐管口部分を穿孔する際に、通信ケーブル敷設用ガイド管を傷つけることがなくなる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、以下の説明においては、管路として下水道管路を想定しているが、本発明において管路は、必ずしも下水道管路に限定されず、既設の管路であれば、例えば、鋳鉄管を用いた水道管路、その他に樋管などの農業用水管路、雨水管路等、様々な管路に適用可能である。
図1は、既設管路の一例としての下水道管路に、本発明に係る既設管路の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法の実施形態を示した図である。図中の1は下水道管路の本管であり、マンホール2と他のマンホール3との間に配管されている。通信ケーブル敷設用ガイド管4内に挿通されたテンション材5は一端がウィンチ6に繋がれ、他端はフック等でトラックに固定されている。さらに、通信ケーブル敷設用ガイド管4内には紐7が挿通されており、通信ケーブル敷設用ガイド管4内に(仮)固定されている。内張り材8の一端はボイラー9・コンプレッサー10に、他端がダクト11にそれぞれ蒸気ホース12によって接続されている。
上記通信ケーブル敷設用ガイド管4の材料としては、本管1に引き込むことができる強度を持ち、軽量かつ耐薬品性、可撓性の良好な樹脂管等(例えば、ポリエチレン管)が適しているが、その他の素材でも既設管路の種別によっては選定可能である。また、通信ケーブル敷設用ガイド管4は、内部に光ファイバーケーブル等の通信ケーブルが挿通可能とされている。
上記テンション材5は、高強度低伸度性の材料で形成されている。その一例として、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、アラミド繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維などの高強度低伸度性繊維よりなる、ロープ、紐、ベルトなどの長尺体や、ステンレスワイヤなどを使用することができる。尚、テンション材5は施工が完了すると取り除くことができるので、通信ケーブル敷設用ガイド管4内に挿通される通信ケーブルとの関係は考慮しなくてもよい。
上記ウィンチ6は500kgf以上の力で引き取り可能なもので、テンション材5に十分な張力をかけることができる。そのため、通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1の内面上部に配置することできる。また、通信ケーブル敷設用ガイド管4とテンション材5は一体化されていないため、テンション材5に張力をかけただけではうまく位置調整ができない場合等、通信ケーブル敷設用ガイド管4に直接力を作用させたいときは、通信ケーブル敷設用ガイド管4に挿通され、通信ケーブル敷設用ガイド管内4に(仮)固定された紐7を補助的に使用し通信ケーブル敷設用ガイド管4の配置位置を調整することができる。さらに、紐7は施工が完了すると取り除くことができる。
上記ボイラー9で水が加熱されてできた水蒸気と、上記コンプレッサー10で圧縮された空気が蒸気ホース12により内張り材8に圧送される。これにより、硬質熱可塑性樹脂である内張り材8が加熱加圧されて形状が復元される。そして、本管1の内面に内張り材8の外周が密着すると同時に通信ケーブル敷設用ガイド管4が本管1と内張り材8の間に敷設されるとともに、下水道管路の補修、更生も行われる。尚、最終的に水蒸気及び空気はダクト11に集められ、排気が行われる。
図2は、略U字状に変形された硬質熱可塑性樹脂からなる内張り材8と通信ケーブル敷設用ガイド管4が本管1内に挿通されたときの位置関係を示す。図2(a)、図2(b)は、本管1内の相違する位置に通信ケーブル敷設用ガイド管4が挿通されたときの径方向断面概略図を示す。
図2(a)は、内張り材8を加熱軟化させて略U字状に変形させた後、内張り材8の略U字状の溝内に通信ケーブル敷設用ガイド管4が内包されるように挿通され、内張り材8と、通信ケーブル敷設用ガイド管4とを同時に本管1内に挿通したものを示す。図2(b)は、内張り材8を加熱軟化させて略U字状に変形させた後、内張り材8と、通信ケーブル敷設用ガイド管4とを同時に本管1内に挿通させたものであり、内張り材8が本管1内に挿通されたときにできる隙間のうち、略U字の溝内以外の隙間に通信ケーブル敷設用ガイド管4が挿通されたものを示す。
尚、内張り材8と通信ケーブル敷設用ガイド管4とは固定されておらず、相互に独立して移動可能としている。そのため、通信ケーブル敷設用ガイド管4に張力を加えて、本管1の上部に配置する際、内張り材8に損傷を与えることがない。また、図2(b)に示した位置に通信ケーブル敷設用ガイド管4を挿通させた場合、内張り材8の形状に関係無く、通信ケーブル敷設用ガイド管4の径、形状を変えることができる。尚、図2においては、本管1内に通信ケーブル敷設用ガイド管4を1本挿通させているが、これに限らず、用途・状況に応じて、複数の通信ケーブル敷設用ガイド管4を挿通させてもよい。
尚、図2(a)、(b)に示したどちらの位置に通信ケーブル敷設用ガイド管4が挿通されたとしても、通信ケーブル敷設用ガイド管4にはテンション材5が挿通されているため、テンション材5に張力を加えることで、本管1内に挿通された通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1内の内面上部に配置することができる。
図3は、図2に示した内張り材8と通信ケーブル敷設用ガイド管4が本管1内に挿通された後に、通信ケーブル敷設用ガイド管4内に挿通されたテンション材5に張力を加えることで、通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1内の内面上部に配置した後、本管1内に挿通された内張り材8の内部から当該内張り材8を加熱及び加圧することにより、当該内張り材8を本管1の径方向に拡張して本管1の内面に密着させたものを示す。このようにすることで、本管1内の上部に確実に通信ケーブル敷設用ガイド管4を配置することができる。
図7は、本実施形態に係る内張り材8を示す。内張り材8は、拡張前の外径が本管1の内径とほぼ同一であり、筒状織布21の内面に内面硬質熱可塑性樹脂層19、外面に外面硬質熱可塑性樹脂層20が形成されたものである。ここで、筒状織布21は、経糸22に対してスパイラル状に連続して織り込まれた緯糸23とからなる継ぎ目のない筒状の織布である。このため、筒状織布21は高い破断応力を有し、かつ長手方向にはほとんど収縮しない。よって、内張り材8を本管1に引き込んでも内張り材8にクラックが生じることはない。尚、この筒状織布21は、内側から加圧されたときに、緯糸23が周方向に引っ張られて伸びるとともに屈曲部分が直線状に近づくので、これによって筒状織布21は径方向に拡張する。尚、上記熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等を使用することができる。
ここで、本実施形態においては、筒状織布21の経糸22として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の糸を用い、緯糸23として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の嵩だか加工糸を用いた。このポリエチレンテレフタレートは、非常に熱に強い樹脂であり、約80℃に加熱しても、常温時の強度に対して80%程度の強度を有す。
次に本発明に係る、既設管路の更生方法及び通信ケーブル敷設方法における各工程の実施形態を説明する。
まず、本管1内をTVカメラ等を使用して、マンホール2,3間の距離、マンホール2から本管1内の分岐管13の分岐管口14までの距離、分岐管13から分岐管桝15までの距離、分岐管桝15の深さ等を正確に測定する。以上のような調査を実施した後に、通信ケーブルを収納する通信ケーブル敷設用ガイド管4及び内張り材8を準備する。
(加熱工程)
現場に搬入された硬質熱可塑性樹脂である内張り材8を、約100℃の水蒸気で加熱することにより柔軟性を持たせる。なお、本実施形態における内張り材8は、約80℃〜約100℃に加熱されれば柔軟性を持つため、加熱する温度は100℃に限られない。そして、内張り材8の長手方向に直交する断面の断面積を当該断面が円形状の場合よりも縮小させた略U字状の断面形状に変形させる加熱工程が行われる。
(材料挿通工程)
図4は、既設管路の一例として本管1と当該本管1から分岐している分岐管13で構成される下水道管路を示すものであって、図中の1は下水道管路の本管であり、マンホール2とマンホール3との間に配管されている。そして、その本管1の上部側から、分岐管口14において分岐管13が分岐し、当該分岐管13は、各家庭(図示せず)毎の分岐管桝15まで接続されている。図4に示した本管1内に、上記加熱工程で得た略U字状の内張り材8と、テンション材5が挿通された通信ケーブル敷設用ガイド管4とを、本管1内に挿通する材料挿通工程が行われる。内張り材8を本管1内に挿通させるには、通常その内張り材8を加熱して軟化させておき、予め本管1内に挿通しておいた索体の端末を内張り材8の端末に結合し、当該索体を本管1を通して牽引することにより、内張り材8を本管1に挿通することが考えられるが、この方法に限定されることはない。尚、上記加熱工程で得た内張り材8は略U字状に変形されているため断面積が縮小しており、本管1内に容易に挿通することができる。
(ホース挿入工程)
本発明に係るホース挿入工程の実施形態としては、地上に設置された分岐管桝15から、分岐管13内にホース17が流体圧力で反転しながら挿入されており、反転折り返し部が分岐管口14から少し出た状態で保持され、その反転折り返し部が膨れる構成となっている(図4参照)。
図5は、ホース挿入工程を実施して、分岐管口14の直下を避けて通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1の内面上部に敷設する作業の流れを示したものである。図5(a)は、ホース17の反転折り返し部が分岐管口14から少し出た状態で保持され、その反転折り返し部が膨れた段階を示し、図5(b)は、内張り材8の内部から内張り材8を加熱及び加圧することにより、内張り材8を本管1の径方向に拡張させている段階を示し、図5(c)は、ホース17の反転折り返し部を逆向きに反転させて本管1から引き抜きつつ、内張り材8の内部から内張り材8を加熱及び加圧することにより、内張り材8を本管1の内面に密着させた段階を示す。尚、各図5(a)、(b)、(c)は、分岐管口14付近を本管1の長手方向から見た径方向断面概略図である。
具体的には、まず、ホース17の反転折り返し部に内圧を作用させることにより、反転折り返し部を膨張させることで、通信ケーブル敷設用ガイド管4が分岐管口14の直下を避けて配置された状態(図5(a)参照)とする。次に、内張り材8内部から内張り材8を加熱及び加圧することにより、内張り材8を本管1の径方向に拡張させていく。そして、内張り材8の外周が通信ケーブル敷設用ガイド管4に密着し、通信ケーブル敷設用ガイド管4がホース17の反転折り返し部がなくても本管1周方向に移動しない状態(図5(b)参照)になったならば、ホース17を本管1内から引き抜く。最後に、ホース17が本管1から完全に引き抜かれたならば、内張り材8をさらに拡張して、本管1の内面に密着させる(図5(c)参照)。
尚、ホース挿入工程における、ホース17の反転による設置方法としては、ホース17の一端を、反転機16の一端にある環状固定部(図示せず)に固定し、その固定部の後方に流体圧力を作用させ、そこに形成される折り返し部分においてホース17の内側が外側となるように裏返しつつ、折り返し部分を管路内で前進させるとともに、内張り材8を管路の内面に圧着させることで設置する方法である(図4、図5参照)。
上述したホース挿入工程を行うことにより、通信ケーブル敷設用ガイド管4を配置する際に、反転折り返し部が膨れると、通信ケーブル敷設用ガイド管4を分岐管口14の直下から遠ざけやすくなる(図5(a)参照)。また、内張り材装着工程を行う際に、内張り材8が本管1の径方向に拡張して本管1の内面に密着するまでホース17により通信ケーブル用ガイド管4は、分岐管口14の直下を避けて配置される。そのため、通信ケーブル敷設用ガイド管4を分岐管口14から避けて配置することができるので、分岐管14の機能を損なわずに、通信ケーブル敷設用ガイド管4を配置することができる(図4、図5参照)。さらに、内張り材装着工程後に内張り材8の分岐管口14部分を穿孔する際に、通信ケーブル敷設用ガイド管4を傷つけることがなくなる。
上記ホース17は、反転挿入時・挿入後に空気圧等の内圧が作用するので、反転前の外面又は両面に、気密層となる被膜が必要である。また、内圧、分岐管13内面で擦られて摩耗するのを防止し、損傷などに耐えられるよう、強度のあるものを使用する。また、分岐管口14から本管1内に突き出た反転折り返し部に内圧が作用したときに反転折り返し部が膨張しやすいものを用いる。よって、ホース17の構成としては、例えば、ポリエステル繊維(PET、PBTなど)で織成された筒状織布24の外面に、ゴム又は柔軟な合成樹脂からなる被膜層25が形成されたものなどが挙げられる(図11参照)。
(ガイド管配置工程)
上記ホース挿入工程の後、上記材料挿通工程において、本管1内に挿通された通信ケーブル敷設用ガイド管4内に予め挿通しておいた、ウィンチ6とフック等で構成されたテンション付加機構よりなる、テンション材5に張力を付加して通信ケーブル敷設用ガイド管4をつり上げることにより、通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1の内面上部に配置することができる。このため、後述する内張り材装着工程時において、通信ケーブル敷設用ガイド管4が移動することもない。
(内張り材装着工程)
上記工程を経た後に、まず、本管1に挿入された内張り材8の内部から内張り材8を加熱及び加圧することにより、略U字状に変形させていた内張り材8を本管1の径方向へと拡張させる。内張り材8の加熱および加圧は、例えばボイラー9等から供給される加圧水蒸気により行われる。これにより、長手方向に直交する断面の断面積を筒状体の場合よりも縮小させられた内張り材8は筒状に膨らみ、本管1の内面に密着する。その後、ボイラー9の運転を停止し、例えば空気圧縮機から圧縮空気を内張り材8内に供給して加圧状態を保ったまま内張り材8を冷却する。尚、内張り材8を早く冷却するために水を用いてもよい。内張り材8が冷却されて形状が安定すれば、空気圧縮機を停止して内張り材8内の圧力を抜き、内張り材8の端部を本管1の端部に合わせて切断する。これにより、ライニング工程が終了するとともに、通信ケーブル敷設用ガイド管4が本管1の内面と内張り材8の間に敷設されることになる(図3参照)。
図6及び図8に示すように、テンション材5と固定バンド18(≒たるみ防止材)を併用することにより、分岐管口14を避けて通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1内の内面上部に配置することも可能である。尚、図8(a)は図6において図示した、A−A断面の径方向断面概略図を示し、図8(b)は図6において図示したB−B断面の径方向断面概略図を示す。固定バンド18は、円弧状またはリング状で、材質は例えば、硬質塩化ビニルや高密度ポリエチレンなどの樹脂、またはステンレスなどの金属を採用することができる。固定バンド18の外周面には、通信ケーブル敷設用ガイド管4を収納可能な凹部が形成されている。固定バンド18の装着方法は、円弧状またはリング状の固定部を縮径しておいて管内に挿入し、バッグ等のジグにより拡径して、その凹部で通信ケーブル敷設用ガイド管4を収容しながら、固定部を本管1の内壁に圧着させる。尚、固定バンド18は、自らの弾性力による、管内を外側に広げようとする付勢力によって固定されるものであり、ピン等を使用せずに固定することができるため、管内面に孔開け加工を行う必要がなく、管路の種類に限定されることもない。
分岐管口14を避けて通信ケーブル敷設用ガイド管4を配置する方法としては、まず、テンション材5が挿通された通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1内に挿通する。次に、テンション材5に張力を加えることで通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1内の内面上部に配置した後、中央部に凹部を有する略C型固定部からなる固定バンド18を、図6に示すように本管1内において分岐官口14を中心として適宜間隔を取って複数個配置する。このとき、分岐管口14の両側に配置した固定バンド18は凹部を周方向にずらした状態で、且つガイド管4を収容するように配置することで、通信ケーブル敷設用ガイド管4が分岐管口14を塞がないようにする。これにより、通信ケーブル敷設用ガイド管4が本管1の内径方向へ弛むことを補助的に防止するとともに、必要に応じて、通信ケーブル敷設用ガイド管4の配置位置を本管1内面周方向に適宜調整することができる(図8参照)。よって、固定バンド18を複数個用いることにより、分岐管口14を避けて、通信ケーブル敷設用ガイド管4を配置することができる(図6参照)。そのため、管路本体の機能を阻害することも抑制できる。さらに、内張り材装着工程後に内張り材8の分岐管口14部分を穿孔する際に、通信ケーブル敷設用ガイド管4を傷つけることがなくなる。
一方、固定バンド18を単独で使用すると、固定バンド18の使用個数が多くなるため、テンション材5と、固定バンド18を適宜併用することで、より効果的に通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1の内面上部に配置することができる。
図9、10はテンション材5と固定バンド18を使用して、分岐管口14の直下を避けて通信ケーブル敷設用ガイド管4を本管1の内面上部に敷設した形態を示したもので、図9は、通信ケーブル敷設用ガイド管4を分岐管口14の左側に配置した場合、また、図10は、通信ケーブル敷設用ガイド管4を分岐管口14の右側に配置した場合を示す。
図9、図10に示すように、テンション材5と固定バンド18を併用することで、例えば、本管1内に分岐管13が複数あり、分岐管13の位置が左右(前後)異なる場合等、複雑な分岐管13の敷設状況にも対応することができる。そのため、通信ケーブル敷設用ガイド管4を分岐管口14の直下を避けて配置することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
既設管路の一例である下水道管路において、本発明の実施形態を示した図である。 内張り材と通信ケーブル敷設用ガイド管を既設管路内に挿通させたときの径方向断面概略図である。 内張り材と通信ケーブル敷設用ガイド管を既設管路内に敷設させたときの径方向断面概略図である。 既設管路の一例である下水道管路において、分岐管口を避けて通信ケーブル敷設用ガイド管を配置するための本発明に係る実施形態を示した図である。 分岐管口付近を本管の長手方向から見た径方向断面概略図である。 既設管路の一例である下水道管路において、テンション材と固定バンドにより通信ケーブル敷設用ガイド管が配置されたものを示した図である。 内張り材の一実施形態を示す概略の斜視図である。 図8に示す(a)は図6において図示した、A−A断面の径方向断面概略図を示し、(b)は図6において図示したB−B断面の径方向断面概略図を示す。 既設管路の一例として下水道管路内で、固定バンドを使用した場合の実施形態を示した図である。 既設管路の一例として下水道管路内で、固定バンドを使用した場合の実施形態を示した図である。 ホースの一実施形態を示す概略の斜視図である。
符号の説明
1 本管
2、3 マンホール
4 通信ケーブル敷設用ガイド管
5 テンション材
6 ウィンチ
7 紐
8 内張り材
9 ボイラー
10 コンプレッサー
11 ダクト
12 蒸気ホース
13 分岐管
14 分岐管口
15 分岐管桝
16 反転機
17 ホース
18 固定バンド
19 内面硬質熱可塑性樹脂層
20 外面硬質熱可塑性樹脂層
21 筒状織布
22 経糸
23 緯糸

Claims (2)

  1. 本管と、当該本管の途中に設けられた分岐管口から分岐している少なくとも一本以上の分岐管と、当該分岐管の端部に設けられている分岐管桝とで構成されている既設管路の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法において、
    少なくとも硬質熱可塑性樹脂からなる内張り材を軟化させる加熱工程と、
    前記軟化した内張り材と、テンション材が挿通された通信ケーブル敷設用ガイド管とを前記本管内に挿通する材料挿通工程と、
    前記テンション材に張力を加えることで、前記本管内に挿通された前記通信ケーブル敷設用ガイド管を当該本管の内面上部に配置するガイド管配置工程と、
    前記分岐管桝から前記分岐管内にホースを反転挿入し、当該ホースの反転折り返し部を前記分岐管口から突出させることで、前記通信ケーブル敷設用ガイド管を前記分岐管口の直下を避けて配置するホース挿入工程と、
    前記本管内に挿通された前記内張り材の内部から当該内張り材を加熱および加圧することにより当該内張り材を拡張して当該本管の内面に密着させ、前記通信ケーブル敷設用ガイド管が前記ホースの反転折り返し部がなくても本管周方向に移動しない状態となった後に、前記ホースを前記本管内から引き抜き、その後、前記内張り材をさらに拡張して前記本管の内面に密着させる内張り材装着工程と、
    を備えていることを特徴とする、既設管路の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法。
  2. 前記内張り材と前記通信ケーブル敷設用ガイド管とが相互に固定されておらず相互に独立して移動可能とされており、
    前記材料挿通工程において、前記内張り材と前記通信ケーブル敷設用ガイド管とを同時に前記本管内に挿通することを特徴とする、請求項1に記載の既設管路の更生方法及び通信ケーブルの敷設方法。
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