JP5306965B2 - 新規ポリウレタン及びそれを用いた乳化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、グリセリルエーテル類を含む有機ジオールと水溶性ポリアルキレングリコールを有機ジイソシアネートによりウレタン化させることで得られる新規のポリウレタンに関し、より詳細には、例として乳化剤として用いることができるポリウレタンに関するものである。また、該ポリウレタンを含む乳化剤、及び、該乳化剤を用いた水中油型乳化組成物に関する。
水性樹脂乳化物等の水中油型乳化組成物は、その無公害性、安全性、作業性の利点から塗料、接着剤、紙加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤等の広範囲な用途に用いられている。しかしながら、樹脂を乳化する際に乳化剤を用いて水不溶性の油性成分である樹脂を水中へ安定に乳化、分散させることは難しく、特に溶剤等の共雑物を含有する系での安定乳化は困難である。
そのため、例えば、下記特許文献1には、ラジカル重合可能なモノマー類を、塩基性化合物とポリアクリル酸と水の存在下で共重合させるという乳化重合法により水分散体を調製する方法が開示されている。また、下記特許文献2には、溶剤に溶解した樹脂を乳化剤を用いて水中へ乳化した後、溶剤を除去して水分散体を調製する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法では樹脂の種類や濃度などの制限が多く、限られた範囲のもののみしか調製できないという問題があり、かつその乳化安定性も満足できるものではない。
特開2008−007628号公報 特開2008−056746号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、樹脂やオイルなどの油性成分に対する乳化安定性及び流動性に優れた乳化剤として好適に用いることができる新規なポリウレタンを提供することを目的とする。
本発明によれば、下記一般式(1)で表される化合物を含むグリセリル基含有ジオール類(a)と、エチレンオキサイドの含有率が60重量%以上である水溶性ポリアルキレングリコール(b)とを、有機ジイソシアナート(c)によりウレタン化させることで得られるポリウレタンが提供される。
Figure 0005306965
(式中、R、Rは、炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、フェニル基、フェノール誘導体残基、又は、炭素数7〜20のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基を表し、RとRは同じでも違ってもよい。R、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、RとRは同じでも違ってもよい。n、mはその平均値が0〜30の数であり、nとmは同じでも違ってもよい。Xは、炭素数2〜16のグリコール又はポリアルキレングリコールのエーテル結合残基である。)
本発明はまた、該ポリウレタンを含有する乳化剤を提供するものであり、更に、油性成分を該乳化剤で水に乳化することにより得られる水中油型乳化組成物を提供するものである。
本発明に係るポリウレタンであると、乳化剤として用いたときに、樹脂やオイル等の油性成分を水中へ安定に乳化させることができ、流動性にも優れる。また、この乳化剤を用いた水中油型乳化組成物は、水溶液濃度の影響を受けにくく、希釈安定性に優れる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明に用いられるグリセリル基含有ジオール類(a)は、上記一般式(1)で表される化合物を含むものである。該化合物は、分子内にグリセリルエーテル類からなるユニットを含む有機ジオールであり、詳細には、2分子のグリセリルエーテル類が1分子のグリコール又はポリアルキレングリコールを介して結合された形態をなして、R、Rで表される疎水基を有する。
かかるグリセリル基含有ジオール類(a)としては、公知の方法で合成されたグリシジルエーテル類を、酸性開環触媒または塩基性開環触媒の存在下、炭素数2〜16のグリコール又はポリアルキレングリコールで開環することにより得たものが好適に使用できる。また、グリコール又はポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル類を、アルコールのアルキレンオキサイド付加物又はアルコールで開環しても同様のものが得られ、好適に使用できる。
上記グリシジルエーテル類としては、例えば、炭素数が4〜18のアルコール類のグリシジルエーテル類、該アルコール類のアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類、フェノールのグリシジルエーテル、フェノールのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類、フェノール誘導体のグリシジルエーテル類、該フェノール誘導体のアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類、炭素数が7〜20のアルキル置換乃至アルケニル置換フェノール類のグリシジルエーテル類、該アルキル置換乃至アルケニル置換フェノール類のアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類などが挙げられる。これらはいずれか単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このようにR、Rで表される疎水基は、炭素数が4以上のものである。炭素数が4より小さいと、例えば上記ポリウレタンを乳化剤として用いたときに、油性成分との親和力の不足から乳化性能が不足する。逆に疎水基R、Rの炭素数が20より大きいと乳化作業時の粘度が高くなり、良好な粒子径の乳化物が得られない。疎水基R、Rは、炭素数が4〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数7〜18のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基であることが好ましい。
上記アルコール類のグリシジルエーテル類としては、具体的には、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、オレイルグリシジルエーテルなどが挙げられる。上記アルコール類としては、直鎖状でも分岐していてもよく、また1級アルコールでも2級アルコールでもよく、更には飽和でも不飽和でもよい。
上記フェノール誘導体のグリシジルエーテル類としては、具体的には、フェニルフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテル、スチレン化フェニルグリシジルエーテル、クミルフェニルモノグリシジルエーテルなどの化合物が挙げられる。
上記アルキル置換乃至アルケニル置換フェノール類のグリシジルエーテル類としては、具体的には、トルイルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル、ドデシルフェニルグリシジルエーテル、テトラデシルフェニルグリシジルエーテルなどの化合物が挙げられる。
該アルコール類、フェノール、該フェノール誘導体、該アルキル置換乃至アルケニル置換フェノール類のアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類も用いることが出来る。該アルキレンオキサイド(すなわち、式(1)中のRO及びROで表されるオキシアルキレン基)としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、より好ましくはエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドである。これらのアルキレンオキサイドは単独または複数の混合でも良く、複数の混合の場合、その結合様式はブロック、ランダムが挙げられる。また、その繰り返し数を表す式(1)中のn及びmは、平均値で0〜30であり、より好ましくは0〜10である。これらROとROのアルキレンオキサイドと、nとmの付加モル数の平均値は同じであっても違ってもよい。
上記グリシジルエーテル類間を繋ぐグリコール類は、炭素数が2〜16であるグリコール又はポリアルキレングリコールであり、式(1)中のXがそのエーテル結合残基に該当する。かかるグリコール類の炭素数が16よりも大きいと、開環反応の反応性の低下から未反応のグリコール類が残りやすくなり、またこれらを蒸留等により除去することも困難なため、これらの未反応物もウレタン化されることになる。これらの未反応物は疎水基を持たないが(a)と同じくポリウレタンの主鎖に導入されることから、ポリウレタン中の疎水基の分布にバラツキができ、乳化安定性の低下に繋がることがある。
該グリコール類の具体例は、グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。また、ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ジエチレングリコールの他、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのグリコールの重合体(但し、炭素数が平均で16以下のもの)が挙げられる。これらは、いずれか1種、または2種以上組み合わせて用いることができる。特に好ましいのは、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールである。
上記グリセリル基含有ジオール類(a)を後述するポリウレタンの合成に用いる際、上掲の種々のグリセリル基含有ジオール類(a)はいずれか単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
なお、上記酸性開環触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素(エーテラート)、塩化アルミニウム、ホウフッ化亜鉛などのルイス酸類や、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸などのプロトン酸類が挙げられる。また、塩基性開環触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物や、水素化リチウムアルミニウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウムなどの金属水素化物や、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドなどのアルカリメトキシドや、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類が挙げられる。
上記グリセリル基含有ジオール類(a)としては、好ましくは、下記一般式(2)で表されるグリセリル基含有ジオール類(a’)を用いることである。
Figure 0005306965
式(2)中のR、R及びXは、式(1)と同じあり、具体例及び好ましい態様も上述した通りである。
上記グリセリル基含有ジオール類(a)(グリセリル基含有ジオール類(a’)についても同様である。)は、グリコール類(グリコール又はポリアルキレングリコール)1分子にグリシジルエーテル類が2分子付加した上記一般式(1)で表される2分子付加体の他に、グリコール類1分子にグリシジルエーテル類が1分子付加した1分子付加体、グリコール類1分子にグリシジルエーテル類が3分子付加した3分子付加体、グリコール類1分子にグリシジルエーテル類が4分子以上付加した4分子以上の付加体のうち、いずれか1以上を含んでもよい。特に、上記のように、グリシジルエーテル類を、酸性開環触媒または塩基性開環触媒の存在下、グリコール類で開環することにより、グリセリル基含有ジオール類(a)を得る場合、これらの2分子付加体以外の付加体も合成される。
ここで、1分子付加体は、グリシジルエーテル類:グリコール類=1:1の反応物であり、下記一般式(3)で表される。3分子付加体は、2分子付加体の水酸基に更にグリシジルエーテル類が付加したグリシジルエーテル類:グリコール類=3:1の反応物であり、下記一般式(4)で表される。4分子以上の付加体についても同様である。
Figure 0005306965
Figure 0005306965
式(3)及び(4)中の、R、R、R、R、n、m及びXは、上記式(1)と同じである。Rは、R、Rと同様、炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、フェニル基、フェノール誘導体残基、又は、炭素数7〜20のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基を表し、R及びRとは同じでも違ってもよい。Rは、R、Rと同様、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R及びRとは同じでも違ってもよい。pは、その平均値が0〜30の数であり、n及びmとは同じでも違ってもよい。
このように2分子付加体とともにそれ以外の付加体を含む場合、グリセリル基含有ジオール類(a)は、グリシジルエーテル類とグリコール類の平均構成比が、グリシジルエーテル類/グリコール類=1.4〜2.6であることが好ましく、より好ましくは1.6〜2.3である。平均構成比が1.4より小さいと油性成分への立体的な吸着の不足から希薄状態での乳化安定性が不足し、また2.5より大きくても乳化性能の向上は特に見られないうえ、開環反応の時間が長くなりコスト的にメリットがない。この平均構成比は、ガスクロマトグラフィー(GC)から求めた反応物の面積%からの加重平均により、即ち以下の式により求めることができる。
Figure 0005306965
式中、Sは、反応物全体の面積に対するi分子付加体の面積の比率(%)であり、即ち、Sは1分子付加体の面積%、Sは2分子付加体の面積%、Sは3分子付加体の面積%を示す。
なお、GC測定条件は以下の通りである。
・ガスクロマトグラフ:HP−5890シリーズII(ヒューレットパッカード社製)
・カラム:DB−01、0.53mmφ×15m、膜圧0.15μm(J&W社製)
・検出器:FID検出器、300℃
・キャリアーガス:ヘリウム、0.2bar(at.100℃)constant.flow.on
また、グリセリル基含有ジオール類(a)は、上記のように2分子付加体以外を含む場合でも、2分子付加体を主成分とすることが好ましく、2分子付加体の占める比率、即ち、2分子付加体の面積%が、40%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる上記水溶性ポリアルキレングリコール(b)は、少なくとも高分子鎖の両末端に水酸基を有するアルキレンオキサイドの重合体である。単量体のアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどがあるが、水溶性を高めるためにはエチレンオキサイドの含有率が60重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、エチレンオキサイドの重合物(すなわち、ポリエチレングリコール)を用いることである。
該水溶性ポリアルキレングリコール(b)の分子量は、水酸基価(OHV)換算値の分子量で400〜30,000のものが好ましい。より好ましくは1,000〜20,000であり、更に好ましくは3000〜10,000である。該分子量が400未満では、水溶性が低く、上記ポリウレタンを乳化剤として用いたときに十分な乳化性を得ることができないおそれがある。また該分子量が30,000を超えると、乳化作業時の粘度が高くなり良好な粒子径の乳化物が得られないおそれがある。ここで、OHV換算値の分子量は、トルエン共沸により乾燥させたポリアルキレングリコールを、JIS K0070(1992)に記載の方法で測定した値より算出される。
上記水溶性ポリアルキレングリコール(b)としては、OHV換算値の分子量が400〜20,000のポリエチレングリコールが好ましく用いられ、より好ましくは、OHV換算値の分子量が1,000〜20,000のポリエチレングリコールを用いることである。
本発明に用いられる上記有機ジイソシアナート(c)としては、鎖状脂肪族ジイソシアナート類、環状脂肪族ジイソシアナート類、芳香族ジイソシアナート類などよりなる一群のジイソシアナート化合物から選ばれた炭素数が3〜18のジイソシアナート化合物が挙げられる。例えば、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、シクロヘキサンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、取り扱い易さ、価格面から、好ましくはイソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)を用いることである。
本発明に係るポリウレタンは、上記グリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングリコール(b)とを、有機ジイソシアナート(c)によりウレタン化させることで得られるものである。詳細には、グリセリル基含有ジオール類(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(b)の有するヒドロキシル基(OH)と、有機ジイソシアナート(c)の有するイソシアナート基(NCO)とが反応することにより、ウレタン結合(−NHCOO−)が形成されるので、得られる化合物はポリウレタンであり、該ウレタン結合を分子内に複数有するものである。
該ポリウレタンは、有機ジイソシアナート(c)を介してグリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングルコール(b)とを繋げてなる構造、すなわち(a)−(c)−(b)を含むものであり、通常、末端にはグリセリル基含有ジオール類(a)及び/又は水溶性ポリアルキレングルコール(b)が結合される。好ましくは、グリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングルコール(b)を、有機ジイソシアナート(c)を介して、交互に連結した構造を持つこと、すなわち、−(a)−(c)−(b)−(c)−を主たる繰り返し単位として持つことである。但し、有機ジイソシアナート(c)を介して、グリセリル基含有ジオール類(a)同士や水溶性ポリアルキレングルコール(b)同士が連結した構造、すなわち、(a)−(c)−(a)、(b)−(c)−(b)等を含んでもよく、また、通常、副反応としてこれらの構造も含まれる。
該ポリウレタンは、ポリオール成分として含まれる上記グリセリル基含有ジオール類(a)により、高分子の主鎖に、油性成分へ溶解・吸着する疎水基の集団R、Rが立体的にグラフトしており、この点に特徴の一つがある。高分子の主鎖に疎水基をグラフトすることで1分子あたりの油性成分への吸着点が多く、水和層への脱着が困難になり界面膜が強固になる。それゆえ幅広い油性成分の安定な乳化ができることのみならず、希釈安定性にも優れ、また溶剤等の共雑物の存在下でも良好な効果を発揮する。このような観点から、高分子の末端と主鎖の双方に疎水基が導入された形態となるように、上記グリセリル基含有ジオール類(a)が高分子の末端にも結合されていることがより好ましい。
該ポリウレタンの重量平均分子量は、8千〜15万の範囲にあることが好ましい。特に乳化剤として用いるには、重量平均分子量が1万〜10万の範囲にあることがより適している。更に好ましくは重量平均分子量が、1万5千〜5万の範囲にあることである。重量平均分子量が8千未満では十分な乳化性が得られず、また15万を超えると乳化作業時の粘度が高くなり、良好な粒子径の乳化物が得られないおそれがある。
該ポリウレタンを構成するグリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性アルキレングリコール(b)は、モル比で(a)/(b)=0.5〜2.0が好ましく、より好ましくは0.7〜1.3である。上記のように、(a)−(b)の繋がり、および副反応として起こる(a)−(a)、(b)−(b)等の繋がりは全て有機ジイソシアネート(c)を介すので、ポリウレタンを構成する(c)のモル比は、上記(a)/(b)と得られるポリウレタンの分子量により決まる。
該ポリウレタンを得るための合成方法としては、特に限定するものではないが、好ましくは、(i)水溶性ポリアルキレングリコール(b)に過剰の有機ジイソシアナート(c)を反応させた後、得られた反応物にグリセリル基含有ジオール類(a)を加えて反応させる方法、及び、(ii)グリセリル基含有ジオール類(a)に過剰の有機ジイソシアナート(c)を反応させた後、得られた反応物に水溶性ポリアルキレングリコール(b)を加えて反応させる方法が挙げられる。特に(i)のようにして反応させることにより、高分子の末端と主鎖の双方にグリセリル基含有ジオール類(a)に由来する疎水基が導入された形態となりやすく、好ましい。
上記合成に際して仕込む3成分の比は特に限定されるものではないが、グリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングリコール(b)とがモル比で、(a)/(b)=0.5〜5.0であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0である。また、ポリオール成分であるグリセリル基含有ジオール類(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(b)と有機ジイソシアナート(c)とがモル比で、{(a)+(b)}/(c)=1.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.5である。
また、この合成に際しては公知のウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、錫系触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等)、アミン触媒(例えば、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチルジアミン等)、チタン系触媒(例えば、テトラブチルチタネート等)などが挙げられる。
本発明に係る乳化剤は、上記ポリウレタンを含有するものであり、該ポリウレタンを主成分とすることにより、樹脂やオイル等の油性成分を水中へ安定に乳化させることができ、また流動性や希釈安定性にも優れる。
本発明の乳化剤は、該ポリウレタン単独でもよいが、他の界面活性剤を含有してもよい。また、必要により、該ポリウレタンを、溶剤、水またはそれらの混合物に溶解して用いることもできる。
上記ポリウレタンと併用することができる他の界面活性剤としては、特に限定されず、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性の公知の界面活性剤を1種類乃至2種類以上組み合わせて使用することができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルコールのアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物、スチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アミノポリエーテル変性ポリシロキサン、フルオロアルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロースなどが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、モノアシルグリセリン硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、マレイン化ポリブタジエン、スチレンマレイン酸コポリマー、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アシルアミノアルキル型アンモニウム塩、アシルアミノアルキルピリジニウム塩、ジアシロキシエチルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリン、ポリエチレンポリイミン、カチオン化セルロース、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノ酢酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルジメチルアンモニオ酢酸塩、アルキルアミドプロピルジメチルアンモニオ酢酸塩、アルキルスルホベタインなどが挙げられる。
本発明に係る乳化組成物は、油性成分を上記乳化剤で水に乳化することにより得られる水中油型乳化組成物である。
該油性成分としては、常温の形態として固体状、ペースト状、液体状のいずれでも良く、樹脂、油、有機溶剤等の水不溶成分が挙げられる。樹脂としては、例えば、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ブロックイソシアナート、アミノ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。油としては、例えば、パラフィン、脂肪酸とアルコールのエステル、トリグリセライド、シリコーン油等が挙げられる。有機溶剤としては、常温で液体であるなら揮発性、不揮発性のどちらでも良く、例えば、低級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、低級脂肪酸、芳香族炭化水素、ハロゲン化アルキルなどが挙げられる。該油性成分としては、これらの樹脂、油及び有機溶剤の2種以上を混合したものであってもよく、また、例えば、樹脂や油にブタノールやブチルセロソルブ等の低級アルコール系溶剤(親水性有機溶剤)などを含有させたものであってもよい。
本発明における乳化組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、難燃剤、加水分解防止剤、潤滑剤、可塑剤、充填剤、貯蔵安定剤といった添加剤を適宜配合することができる。
乳化方法としては特に限定されず、公知の強制乳化法、転相乳化法、D相乳化法、ゲル乳化法等のいずれの方法でも構わず、使用機器は、例えば、攪拌羽、ディスパー、ホモジナイザー等による単独攪拌、およびこれらを組み合わせた複合攪拌など、種々使用可能である。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[製造例1]ブタノール−2PО−4EОグリシジルエーテルの合成
500mLのガラス製セパラフラスコに、石井義朗著「非イオン界面活性剤」(誠文堂新光社)第2章に記載の方法で得たブタノール−2PО−4EО付加体(ブタノールのプロピレンオキサイド2モル及びエチレンオキサイド4モル付加体、水酸基価(OHV)換算値で分子量347)100g(0.29mol)、エピクロロヒドリン40.0g(0.43mol)、48重量%水酸化ナトリウム水溶液96.1g(4当量)及びテトラメチルアンモニウムクロライド2.21g(0.07当量)を仕込み、激しく撹拌しながら50℃で3時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、有機層を水洗した。この有機層を減圧乾燥し、ブタノール−2PО−4EОグリシジルエーテルを得た。
[製造例2]エチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物の合成
300mLのガラス製セパラフラスコに、エチレングリコール50.0g(0.81mol)及び28重量%ナトリウムメチラートメタノール溶液0.160gを仕込み、90℃、少なくとも10mbarの減圧下でメタノールを除去した。次いで、窒素下でDY−BP(四日市合成(株)製、ブチルグリシジルエーテル、エポキシ当量換算値で分子量133)214g(2.0当量)を加え、150℃まで昇温し4時間反応させた。反応終了後に再び少なくとも10mbarに減圧し、未反応のエチレングリコールを除去し、70℃まで冷却した後、キョーワード700(協和化学工業(株)製、合成ケイ酸アルミニウム)1.50gを加えてそのまま10分撹拌した。この混合液をろ過し、エチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物(上記式(2)中のR、Rがブチル基であり、Xがエチレングリコール残基である2分子付加体を含むもの)を得た。GC分析の結果、得られた付加物の平均構成比は、ブチルグリシジルエーテル/エチレングリコール=2.2であった。
[製造例3]ネオペンチルグリコールの2−エチルヘキシルグリシジルエーテル付加物の合成
300mLのガラス製セパラフラスコに、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学(株)製)50g(0.48mol)及び28重量%ナトリウムメチラートメタノール溶液0.300gを仕込み、130℃で窒素ガスを吹き込みメタノールを除去した。次いで、エポゴーセー2EH(四日市合成(株)製、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エポキシ当量換算値で分子量189)163g(1.8当量)を加え、180℃まで昇温し6時間反応させた。反応終了後に少なくとも10mbarに減圧し、未反応のネオペンチルグリコールを除去し、70℃まで冷却した後、キョーワード700(協和化学工業(株)製、合成ケイ酸アルミニウム)2.00gを加えてそのまま10分撹拌した。この混合液をろ過し、ネオペンチルグリコールの2−エチルヘキシルグリシジルエーテル付加物(上記式(2)中のR、Rが2−エチルヘキシル基であり、Xがネオペンチルグリコール残基である2分子付加体を含むもの)を得た。GC分析の結果、得られた付加物の平均構成比は1.8であった。
[製造例4]ポリエチレングリコールのステアリルグリシジエルエーテル付加物の合成
300mLのガラス製セパラフラスコに、PEG300(第一工業製薬(株)製、ОHV換算値で分子量302)60.0g(0.20mol)及び28重量%ナトリウムメチラートメタノール溶液0.300gを仕込み、90℃、少なくとも10mbarの減圧下でメタノールを除去した。次いで、窒素下でS−EP(四日市合成(株)製、ステアリルグリシジルエーテル、分子量320)114g(1.8当量)を加え、180℃まで昇温し6時間反応させた。70℃まで冷却した後、キョーワード700(協和化学工業(株)製、合成ケイ酸アルミニウム)2.00gを加えてそのまま10分撹拌した。この混合液をろ過し、ポリエチレングリコールのステアリルグリシジエルエーテル付加物(上記式(2)中のR、Rがオクタデシル基であり、Xがポリエチレングリコール残基(炭素数は平均で約13)である2分子付加体を含むもの)を得た。GC分析の結果、得られた付加物の平均構成比は1.6であった。
[製造例5]ジエチレングリコールのp−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル付加物の合成
300mLのガラス製セパラフラスコに、ジエチレングリコール30g(0.28mol)及び28重量%ナトリウムメチラートメタノール溶液0.160gを仕込み、90℃、少なくとも10mbarの減圧下でメタノールを除去した。次いで、窒素下でエピオールSB(日油(株)製、p−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル、エポキシ当量換算値で分子量238)135g(2.0当量)を加え、160℃まで昇温し5時間反応させた。反応終了後に180℃まで昇温し、少なくとも10mbarに減圧して未反応のジエチレングリコールを除去し、70℃まで冷却した後、キョーワード700(協和化学工業(株)製、合成ケイ酸アルミニウム)1.50gを加えてそのまま10分撹拌した。この混合液をろ過し、ジエチレングリコールのp−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル付加物(上記式(2)中のR、Rがp−ブチルフェニル基であり、Xがジエチレングリコール残基である2分子付加体を含むもの)を得た。GC分析の結果、得られた付加物の平均構成比は2.1であった。
[製造例6]テトラメチレングリコールのブタノール−2PО−4EОグリシジルエーテル付加物の合成
300mLのガラス製セパラフラスコに、テトラメチレングリコール20.0g(0.22mol)及び28重量%ナトリウムメチラートメタノール溶液0.160gを仕込み、90℃、少なくとも10mbarの減圧下でメタノールを除去した。次いで、窒素下において、製造例1で得られたブタノール−2PО−4EОグリシジルエーテル168g(1.9当量)を加え、150℃まで昇温し5時間反応させた。反応終了後に180℃まで昇温し、少なくとも10mbarに減圧して未反応のテトラメチレングリコールを除去し、70℃まで冷却した後、キョーワード700(協和化学工業(株)製、合成ケイ酸アルミニウム)1.50gを加えてそのまま10分撹拌した。この混合液をろ過し、テトラメチレングリコールのブタノール−2PО−4EОグリシジルエーテル付加物(上記式(1)中のR、Rがブチル基、(RO)、(RO)が2PО−4EОであり、Xがテトラメチレングリコール残基である2分子付加体を含むもの)を得た。GC分析の結果、得られた付加物の平均構成比は1.9であった。
[製造例7]ポリウレタン(A)の合成
500mLのガラス製セパラフラスコに、PEG6000(第一工業製薬(株)、OHV換算値で分子量8,200)を150g(1.0mol部)仕込み、90〜100℃、少なくとも10mbarの減圧下でトルエンとの共沸蒸留により乾燥した。次いでトルエン300gを加えて再び減圧下でトルエン約50mLを留去した後、窒素下で80℃まで冷却し、イソホロンジイソシアナート9.76g(2.4mol部)、ジブチルスズジラウレート0.0856gを順次加え、そのまま1時間半反応させた。この混合液を90℃に昇温し、製造例2で得られたエチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物10.7g(1.8mol部)を加えて4時間攪拌した。反応終了物からトルエンを留去し、ポリウレタン(A)を得た。
[製造例8]ポリウレタン(B)の合成
エチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物に代えて、製造例3で得られたネオペンチルグリコールの2−エチルヘキシルグリシジルエーテル付加物を14.0(1.8mol部)を使用した他は、製造例7と同様の方法でポリウレタン(B)を得た。
[製造例9]ポリウレタン(C)の合成
PEG6000に代えて、エパン485(第一工業製薬(株)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレンオキサイド含有率=85重量%、OHV換算値で分子量7100)130g(1.0mol部)を使用し、かつ、エチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物に代えて、製造例4で得られたポリエチレングリコールのステアリルグリシジエルエーテル付加物27.1g(1.8mol部)を使用した他は、製造例7と同様の方法でポリウレタン(C)を得た。
[製造例10]ポリウレタン(D)の合成
イソホロンジイソシアナートに代えて、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート11.5g(2.4mol部)を使用し、かつ、エチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物に代えて、製造例5で得られたジエチレングリコールのp−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル付加物19.7g(1.8mol部)を使用した他は、製造例7と同様の方法でポリウレタン(D)を得た。
[製造例11]ポリウレタン(E)の合成
PEG6000に代えて、PEG4000(第一工業製薬(株)、OHV換算値で分子量3100)120g(1.0mol部)を使用し、かつ、エチレングリコールのブチルグリシジルエーテル付加物に代えて、製造例6で得られたテトラメチレングリコールのブタノール−2PО−4EОグリシジルエーテル付加物27.4g(1.8mol部)を使用した他は、製造例7と同様の方法でポリウレタン(E)を得た。
[分子量の測定]
得られたポリウレタン(A)〜(E)の重量平均分子量を測定した。重量平均分子量は、GPCにより求めた。GPC装置及び分析条件は以下の通りであり、標準サンプルとして分子量327、2000、8250、19700のポリエチレングリコールで校正したものを用いた。結果を下記表1に示す。
・GPC装置:システムコントローラー:SCL−10A(株式会社島津製作所)
・検出器:RID−10A(株式会社島津製作所)
・カラム:Shodex GPC KF−G、KF−803、KF802.5、KF−802、KF−801(昭和電工株式会社)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・サンプル注入:0.5重量%溶液、80μL
・流速:0.8mL/min
・温度:25℃
[ポリウレタン組成の測定]
ポリウレタン(A)〜(E)を構成するグリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングリコール(b)のモル比(a)/(b)は、下記GPC装置及び条件によって高分子部分を分取し、分取した高分子部分を重クロロホルムに溶解して13C−NMRにより、(a)の末端炭素と(b)のアルキレングリコール鎖の比から求めた。結果を表1に示す。
・GPC装置:システムコントローラー:SCL−10A(株式会社島津製作所)
・検出器:RID−10A(株式会社島津製作所)
・カラム:Megapak GEL 210FP×1、Megapak GEL 201F×2(日本分光株式会社)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・サンプル注入:1重量%溶液、1mL
・流速:3mL/min
・温度:25℃
Figure 0005306965
表1に記載されている製造例7〜11で合成された化合物は、いずれも投入原料に対して分子量が伸長しており、グリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングリコール(b)を分子中に有するものであった。グリセリル基含有ジオール類(a)と水溶性ポリアルキレングリコールがウレタン結合を介さずに(a)−(b)や(a)−(a)、(b)−(b)のように直接結合することは理論上ありえないことから、得られた化合物がウレタン結合を介して伸長していること、即ちポリウレタンであることは明らかである。また、上記(a)/(b)の測定に際してGPCで分取した高分子部分を、赤外分光法(IR)測定したところ、1700cm−1付近にピークを有しており、ウレタン結合の存在を確認することができた。
[乳化試験例]
下記表2〜3に示す配合(重量部)に従い、油性成分と、上記製造例7〜11により得られた乳化剤としてのポリウレタン(A)〜(E)または比較の乳化剤を、ディスパーにて混合しながら、水を徐々に加えて水中油型乳化組成物を調製した。得られた乳化組成物はガラス瓶に入れ、25℃または40℃恒温槽に放置し乳化安定性を評価した。また、25℃の保存で1週間以上の安定性が確認されたものについてはB型粘度計にてその粘度を測定し、流動性の目安とした。粘度の測定に際しては、回転数30rpmで行い、粘度が6千mPa・sを超える高粘度のものについては回転数6rpmで測定した。また、調製した乳化組成物に該組成物と同量の水を加えて均一になるまでディスパーにて混合し、上記と同様の方法にて25℃と40℃の希釈安定性を評価した。
表2、3に記載した油性成分、及び比較の乳化剤の詳細は下記の通りである。また、乳化安定性、希釈安定性及び流動性の評価基準は下記の通りである。
・油性成分
アルキド樹脂:PCF−30(伊藤製油(株)製、ヒマシ油脂肪酸縮合物)
アミノ樹脂:MX−410((株)三和ケミカル製、70%混合エーテル化メラミン樹脂)
エポキシ樹脂:jER828(ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
流動パラフィン:ハイホワイト(新日本石油株式会社製)
シリコーン油:KF−96−100CS(信越化学工業株式会社製、ジメチルシリコーンオイル)
・比較の乳化剤
ノイゲンTDS−120:ポリオキシエチレントリデシルエーテル(第一工業製薬(株)製、HLB=15)
ネオゲンS−20F:20%アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬(株)製)
エパンU−108:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(第一工業製薬(株)製)
シャロールAN−103P:44%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬(株)製)
DKSディスコートN−14:30%スチレン−マレイン酸ハーフエステルコポリマーアンモニウム塩水溶液(第一工業製薬(株)製)
ディスコールN−518:ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキサイド付加物(第一工業製薬(株)製)
・乳化安定性
◎:均一な乳化状態を1ヶ月間以上維持するもの
○:均一な乳化状態を1週間以上、1ヶ月未満維持するもの
△:均一な乳化状態を3日以上、1週間未満維持するもの
×:3日以内に分離または沈殿するもの
・希釈安定性
乳化安定性と同じ基準で判定した。
・流動性
○:25℃での粘度が5千mPa・s未満のもの
△:25℃での粘度が5千mPa・s以上、1万mPa・s未満のもの
×:25℃での粘度が1万mPa・s以上のもの
−:乳化安定性が1週間未満であるため、粘度測定せず
Figure 0005306965
Figure 0005306965
結果は表2、3に示した通りである。実施例1〜10の結果から明らかなように、本発明品に係るポリウレタン(A)〜(E)からなる乳化剤であると、幅広い組成、材質の油性成分に対して、乳化性、流動性、及びそれらの保持性(安定性)に優れていた。また、これらの乳化剤を用いた乳化組成物は水溶液濃度の影響を受けにくく、希釈安定性にも優れていた。さらに、実施例2〜5、7、9及び10に示されているように、溶剤を含む系でも安定であった。
このように幅広い種類の樹脂、オイル等の油性成分を水中へ安定に乳化でき、また、流動性及び希釈安定性に優れており、更には溶剤を含む系でも安定であるため、配合系における多くの用途に利用することができる。
本発明に係るポリウレタンは、例として乳化剤として用いることができ、塗料、接着剤、紙加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤等に配合する樹脂の乳化に好適に利用することができ、これら用途の樹脂の水系化の幅を広げることができる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含むグリセリル基含有ジオール類(a)と、エチレンオキサイドの含有率が60重量%以上である水溶性ポリアルキレングリコール(b)とを、有機ジイソシアナート(c)によりウレタン化させることで得られるポリウレタン。
    Figure 0005306965
    (式中、R、Rは、炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、フェニル基、フェノール誘導体残基、又は、炭素数7〜20のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基を表し、RとRは同じでも違ってもよい。R、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、RとRは同じでも違ってもよい。n、mはその平均値が0〜30の数であり、nとmは同じでも違ってもよい。Xは、炭素数2〜16のグリコール又はポリアルキレングリコールのエーテル結合残基である。)
  2. 前記グリセリル基含有ジオール類が、下記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン。
    Figure 0005306965
    (式中、R、Rは、炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、フェニル基、フェノール誘導体残基、又は、炭素数7〜20のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基を表し、RとRは同じでも違ってもよい。Xは、炭素数2〜16のグリコール又はポリアルキレングリコールのエーテル結合残基である。)
  3. 請求項1又は2に記載のポリウレタンを含有することを特徴とする乳化剤。
  4. 油性成分を請求項3に記載の乳化剤で水に乳化することにより得られる水中油型乳化組成物。
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