JP5306258B2 - 発電出力制御装置及び発電出力制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、風力発電装置や太陽光発電装置を電力系統に連系する際に、電力系統に出力する電力を制御する装置及び方法に関する。
風力発電においては、風のエネルギーを効率よく取り出すために、風車の羽根(ブレード)のピッチ角の制御が行われている(特許文献1参照)。また、太陽光発電においては、パワーコンディショナにて、太陽電池の出力電力.が最大になる点(最適動作点)に追従する最大電力点追従制御(MPPT[Maximum Power Point Tracking]制御)が行われている(特許文献2参照)。
特開2002−48050号公報 特開平7−281775号公報
ところで、風力発電や太陽光発電を電力系統に連系する際には、風や太陽光の強さにより発電電力が大きく変動しやすいことから、電力系統の調整能力に応じた、連系可能量の制限が存在する。そこで、連系可能量を増大させるために、蓄電池を設置することが提案されている。しかしながら、蓄電池は高価で、その設置には多額の費用がかかり、そのことにより、風力発電・太陽光発電の導入が妨げられるおそれもある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、風力発電や太陽光発電を安価かつ大量に系統連系することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、前記分散型電源の発電電力の上昇速度が所定値より大きく、かつ、前記電力系統の下げ代余力が所定値より小さいときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする。
この構成によれば、発電電力が上昇し、かつ、電力系統の下げ代余力が不十分なときに、電力系統への出力電力を最大からずらす。これにより、上昇前の出力電力と、上昇後の最大からずらした出力電力との差が小さくなるので、出力電力の上昇速度を抑制することができる。これによれば、分散型電源の連系可能量を増加でき、分散型電源を安価かつ大量に系統連系することができる。また、電力系統の下げ代余力が十分なときには、出力電力を最大のままとするので、最大の出力電力を維持することができる。
また、本発明は、電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、前記分散型電源の発電電力が安定し、かつ、前記電力系統の上げ代余力が所定値より小さいときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする。
この構成によれば、発電電力が安定し、かつ、電力系統の上げ代余力が不十分なときに、電力系統への出力電力を最大からずらす。これにより、発電電力が低下した場合に、安定時の最大からずらした出力電力と、低下後の出力電力との差が小さくなるので、出力電力の低下速度を抑制することができる。これによれば、分散型電源の連系可能量を増加でき、分散型電源を安価かつ大量に系統連系することができる。また、電力系統の上げ代余力が十分なときには、出力電力を最大のままとするので、安定的な動作中に最大の出力電力を維持することができる。
また、本発明は、電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、前記分散型電源の発電電力が安定し、前記電力系統の上げ代余力が所定値より小さいとき、かつ、前記発電電力が低下することを予測したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする。
この構成によれば、発電電力が安定し、かつ、電力系統の上げ代余力が不十分な時、かつ、発電電力の低下予測時に、電力系統への出力電力を最大からずらす。これにより、発電電力が低下した場合に、安定時の最大からずらした出力電力と、低下後の出力電力との差が小さくなるので、出力電力の低下速度を抑制することができる。これによれば、分散型電源の連系可能量を増加でき、分散型電源を安価かつ大量に系統連系することができる。また、発電電力の低下を予測しないとき、又は、電力系統の上げ代余力が十分なときには、出力電力を最大のままとするので、安定的な動作中に最大の出力電力を維持することができる。
なお、請求項における分散型電源は、実施の形態における風力発電装置1と、太陽光発電装置3及びパワーコンディショナ4に対応する。請求項における発電電力制御装置は、実施の形態におけるピッチ角制御部16と、パワーコンディショナ4に対応する。請求項における統括電力制御装置は、実施の形態における統括制御装置7に対応する。
なお、本発明は、発電出力制御方法を含む。その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、風力発電や太陽光発電を安価かつ大量に系統連系することができる。
第1の実施の形態に係る発電装置の構成を示す図であり、(a)は風力発電装置及びその周辺の構成を示し、(b)は電力系統における電力調整能力の限界を示し、(c)は太陽光発電装置及びその周辺の構成を示す。 発電電力の時間的な変動例を示す図である。 電力変動に対応した発電出力制御方法の詳細を示す図であり、(a)は風力発電装置1の制御方法を示し、(b)は太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4の制御方法を示す。 第2の実施の形態に係る発電出力制御システムの構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る発電出力制御装置は、風力発電や太陽光発電等の発電装置による発電電力に基づいて、電力系統への出力電力を最大にする制御を行う際に、発電電力の変動と、出力電力に対する電力系統の余力とが所定の条件を満たすときに、最大点から動作点をずらす制御を行うものである。出力電力に対する電力系統の余力に関しては、需要家の負荷の変動に、風力・太陽光等の自然エネルギーによる発電電力の変動を加えた系統全体の負荷変動量が、電力系統の調整能力の範囲(LFC[Load Frequency Control]制御範囲。詳細は後記)に対してどの程度かを把握する。
これによれば、発電電力の変動後又は変動前に出力電力を抑制することにより、出力電力の変動速度を抑制することができるので、発電装置の電力系統への連系可能量を増加させることができる。換言すれば、分散型電源の発電電力が急に上がったり、下がったりすると、出力電力に対する電力系統側の調整能力が付いて行かないことがあるが、出力電力の変動速度を抑制することにより、電力系統側の調整範囲内に収めることができる。
≪第1の実施の形態≫
本発明に係る第1の実施の形態では、個別に発電装置単体の出力制御を行う。図1は、第1の実施の形態に係る発電装置の構成を示す図である。図1(a)は、風力発電装置及びその周辺の構成を示す。風力発電装置1は、電力系統2に接続され、風力により発電した電力を電力系統2に出力するものであり、ブレード11、可変ピッチ12、ロータ13、増速機14、発電機15及びピッチ角制御部16を備える。ブレード11は、風車の羽根である。可変ピッチ12は、ブレード11と、ロータ13とを接続するとともに、ブレード11の向き、すなわち、ピッチ角を変更する駆動機構である。ロータ13は、可変ピッチ12を介してブレード11を支持し、ブレード11が受風することにより回転する。増速機14は、ロータ13と、発電機15との間にあって、ロータ13の回転速度を増加させて、発電機15に伝達する。発電機15は、増速機14から伝達された回転により発電を行う。
ピッチ角制御部16は、風力発電装置1に内蔵又は外付け接続されるCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサで構成され、発電機15の出力電力を取得しながらブレード11のピッチ角が適切になるように可変ピッチ12を制御する。通常時は、動作点が最高効率点になる最適ピッチ角にする制御を行うが、発電機15の出力電力の変動速度(単位は、例えば、[%/分])や電力系統2の余力に応じて、ピッチ角を最適ピッチ角から少しずらして、変動速度を抑制する。ピッチ角をずらす量としては、例えば、風力発電装置1の定格出力の数%程度の出力低下分に相当する角度だけずらす。
電力系統2は、発電所、変電所、制御所、配電線等を備える。変電所、制御所のコンピュータは、発電所の出力電力、風力発電装置1の出力電力、配電線につながる需要家の負荷の消費電力等を取得し、それらに基づいて電力系統の上げ代余力及び下げ代余力(詳細は後記)を計算し、その上げ代余力及び下げ代余力の情報を風力発電装置1のピッチ角制御部16に送信する。
図1(b)は、太陽光発電装置及びその周辺の構成を示す。太陽光発電装置3は、パワーコンディショナ4を通じて電力系統5につながり、パワーコンディショナ4と、電力系統5との間に電力モニタ6が設けられる。太陽光発電装置3は、太陽光を受けて発電し、発電した電力をパワーコンディショナ4に出力するものであり、例えば、太陽電池により実現される。パワーコンディショナ4は、CPU、DSP等のマイクロプロセッサ及びHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置を備え、電力系統5に出力する電力を調整する装置であり、太陽光発電装置3からの発電電力を受け、その発電電力の変動や電力系統5の余力に応じて、最適動作点からわずかにずれた点で動作するように制御し、その動作点に対応する出力電圧を100Vに変換して、電力系統5に出力する。動作点は、太陽光発電装置3の電圧・電流特性に沿って調整される。電力モニタ6は、パワーコンディショナ4から電力系統5に出力される電力を監視する。
電力系統5は、発電所、変電所、制御所、配電線等を備える。変電所、制御所のコンピュータは、発電所の出力電力、太陽光発電装置3の出力電力、配電線につながる需要家の負荷の消費電力等を取得し、それらに基づいて電力系統の上げ代余力及び下げ代余力(詳細は後記)を計算し、その上げ代余力及び下げ代余力の情報をパワーコンディショナ4に送信する。
なお、変電所のコンピュータが風力発電装置1やパワーコンディショナ4に系統余力の情報を送信する際には、例えば、転送遮断の親局(転送遮断信号伝送装置)から子局(転送遮断装置)へ転送遮断信号を伝送する経路(IP[Internet Protocol]網等)を用いる。
図2及び図3は、発電出力制御方法の詳細を示す図である。図2(a)は、発電電力の時間的な変動例を示し、横軸を時間として、縦軸を発電電力とするグラフである。風力発電装置1や太陽光発電装置3による発電電力は、例えば、上昇→安定→降下のように変動する。そして、風力発電装置1の電力変動に対しては、風力発電装置1に備えられたピッチ角制御部16がブレード11のピッチ角を制御することにより、風力発電装置1から電力系統2への出力電力を調整する。つまり、風力発電装置1の発電電力そのものを調整する。一方、太陽光発電装置3の電力変動に対しては、太陽光発電装置3に接続されたパワーコンディショナ4が、太陽光発電装置3から受けた発電電力に応じて、電力系統5へ出力する電力を調整する。従って、太陽光発電装置3の発電電力そのものを調整することはしない。それらの詳細は後記する。
図2(b)は、電力系統における電力調整能力の限界を示し、横軸を時間とし、縦軸を発電機出力とするグラフである。LFCは、需要予測困難な電力変動(数分から十数分程度の周期)や需給ミスマッチに対応する制御であり、LFC制御範囲は、そのLFCにより許容可能な電力変動範囲を示し、実際には発電機出力の±5%程度の範囲になる。ガバナフリーは、LFCでは追従できないような電力変動(数秒から数分程度の周期)に対応する制御であり、例えば、タービン等の機械的な慣性力による吸収等による。EDC(Economic Load Dispatching Control)は、比較的長時間の電力変動(十数分から数時間程度の周期)に対応する制御であり、需給予測に合わせて先行的に制御する。
そして、分散型電源から受ける電力変動に対する電力系統の余力として、上げ代余力及び下げ代余力がある。上げ代余力は、出力電力の降下に対する余力であり、詳細には、電力系統においてLFC制御を行っている発電所の発電出力上限と、現在の発電電力との差である。下げ代余力は、出力電力の上昇に対する余力であり、詳細には、電力系統においてLFC制御を行っている発電所の発電電力下限と、現在の発電電力との差である。また、ガバナフリーとは、電力系統に接続される発電所の、ボイラの蒸気、タービンの慣性等による瞬間的な電力調整能力をいう。従って、出力電力の変動が上げ代余力及び下げ代余力の範囲内に収まれば、そのままの出力制御を行い、当該余力の範囲内に収まらなければ、出力電力の変動を抑制する必要がある。
逆に言えば、上げ代余力及び下げ代余力が十分であれば、そのままの出力制御を行い、当該余力が十分でなければ、出力電力の変動を抑制する必要がある。すなわち、下げ代余力が不十分な場合、出力電力の降下方向には電力系統の調整力が十分にあるので、出力電力の上昇方向に対する制御に重点を置き、降下速度を抑制するために出力電力を下げる制御は行わない。一方、上げ代余力が不十分な場合、出力電力の上昇方向には電力系統の調整力が十分あるので、出力電力の降下方向に対する制御に重点を置き、上昇速度を抑制するための制御は行わない。
そこで、電力系統2は、上げ代余力及び下げ代余力の情報を風力発電装置1のピッチ角制御部16に対して逐次送信する。また、電力系統5は、上げ代余力及び下げ代余力の情報を、太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4に対して逐次送信する。系統余力の情報は、発電所の運転状態や配電線の送電状態を常に監視することで取得され、例えば、全体の出力電力がLFC制御範囲の上限値に対して80%で動いていれば、20%の上げ代余力があるということになる。また、全体の出力電力がLFC制御範囲の下限値に対して110%で動いていれば、10%の下げ代余力があるということになる。それに対して、ピッチ角制御部16及びパワーコンディショナ4は、受信した上げ代余力及び下げ代余力の情報と、発電電力の変動とに基づいて、電力系統への出力電力を制御する。その詳細を、次に説明する。
図3(a)は、図2(a)の電力変動に対応した、風力発電装置1の制御方法を示し、周速比を横軸とし、ブレード11のピッチ角を縦軸とするグラフである。グラフに描かれた曲線は、ブレード11の周速比と、最大出力を得るための最適ピッチ角との関係を示す。周速比とは、羽根に当たる風速[m/秒]に対する羽根の外周部の回転速度[m/秒]の比であり、風車翼端速度を風速で除算することにより算出される。ピッチ角制御部16は、この曲線の示す特性データを記憶し、通常は、記憶した特性データに従い、周速比に応じてブレード11のピッチ角を最適値に調整する制御を行うが、電力変動及び系統余力に対しては、以下のような制御を行う。
(1)発電電力が上昇し、かつ、下げ代余力が不十分である場合(電力の上昇を検知又は予測し、かつ、下げ代余力が不十分な場合)
発電電力の上昇速度が所定値(例えば、5[%/分])を超え、かつ、電力系統2の下げ代余力が所定値(例えば、20[%])より小さい場合、最適ピッチ角からずれたピッチ角にすることにより、発電電力の上昇を極力抑える。これにより、上昇の傾きが小さくなり、発電電力の上昇速度を抑制することができる。「最適ピッチ角からずれたピッチ角」とは、その時点の周速比に対応する最適ピッチ角に対して、所定値を引いたピッチ角又は所定の比率(<1)を乗じたピッチ角をいう。なお、下げ代余力が十分でなくても、天候がよくなって発電電力が上昇することを予測しなければ、ピッチ角をずらすことなく、そのまま最適ピッチ角による動作を続ける。
電力の上昇を検知するには、電力を逐次計測し、上がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を上昇速度に換算し、その換算した上昇速度を所定値と比較する。
(2)発電電力が安定し、かつ、上げ代余力が不十分である場合
発電電力が安定し、かつ、上げ代余力が所定値(例えば、10[%])より小さい場合には、発電電力の降下に備えて、ピッチ角をあえて最適ピッチ角の手前にずらす。これにより、安定時の電力と、降下後の電力との差が小さくなり、降下時の傾斜が小さくなる。なお、発電電力が降下することを予測し、かつ、上げ代余力が所定値より小さいときに、ピッチ角を最適ピッチ角からずらすようにしてもよい。逆に言えば、発電電力の降下を予測しないとき、又は、上げ代余力が所定値以上であるときには、そのまま最適動作点で動作させる。これによれば、安定時の電力損失を減らし、最大出力を維持することができる。
電力の安定を検知するには、電力を逐次計測し、上がり、下がりがないことを検知する。
(3)発電電力が降下している場合
安定時にピッチ角を最適ピッチ角の手前にした後、発電電力の降下が始まって、降下速度が所定値(例えば、−5[%/分])を下回る場合、ピッチ角を最適ピッチ角に戻す。これにより、降下後の電力を上げることができ、安定時の電力と、降下後の電力との差を小さくすることができ、その結果、発電電力の降下速度を抑制することができる。
電力の降下を検知するには、電力を逐次計測し、下がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を降下速度に換算し、その換算した降下速度を所定値と比較する。
なお、風力発電装置1の発電電力を予測するには、気象情報のデータから風速及び風向を予測したり、過去の実績データを用いたりする方法があり、その一例として、オンラインで風力発電によって給電される電力量を把握する風力発電予測ツールAWPT(Advanced Wind Power Prediction Tool)がある。
図3(b)は、図2(a)の電力変動に対応した、太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4の制御方法を示し、横軸を電圧Vとし、縦軸を電流Iとするグラフである。グラフに描かれた曲線は、一定の光源下における太陽電池のV−I出力特性を示す。それぞれの破線で囲まれた矩形の面積が出力電力になる。
最適動作点Pでは、電圧Vと、電流Iとのバランスがよく、出力電力が最大になる。電圧Vの動作点では、電流は大きいが、電圧が低いので、出力電力が小さい。電圧Vの動作点では、電圧は高いが、電流が小さいので、出力電力が小さい。なお、開放電圧はVで示し、短絡電流はIで示す。
パワーコンディショナ4は、この曲線の示す特性データを記憶し、通常は、記憶した特性データに従い、太陽光に応じて最適に動作するように制御を行うが、電力変動に対しては、以下のような制御を行う。なお、動作点は、一定の光源下における特性データの曲線上を移動するものとする。
(1)発電電力が上昇し、かつ、下げ代余力が不十分である場合(電力の上昇を検知又は予測し、かつ、下げ代余力が不十分な場合)
発電電力の上昇速度が所定値(例えば、5[%/分])を超え、かつ、下げ代余力が所定値(例えば、20[%])より小さい場合、最適動作点からずれた動作点で動作させることにより、出力電力の上昇を極力抑える。これにより、上昇後の出力電力が小さくなり、上昇の傾きが小さくなるので、出力電力の上昇速度を抑制することができる。「最適動作点からずれた動作点で動作させる」とは、最適動作点における電力に対して、所定値を引いた電力又は所定の比率(<1)を乗じた電力を出力すること、又は、最適動作点における電圧若しくは電流を所定値分増加又は減少させたときの動作点に対応する電力を出力することをいう。なお、下げ代余力が十分でなくても、天候がよくなって発電電力が上昇することを予測しなければ、動作点をずらすことなく、そのまま最適点による動作を続ける。
発電電力の上昇を検知するには、発電電力を逐次計測し、上がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を上昇速度に換算し、その換算した上昇速度を所定値と比較する。
(2)発電電力が安定し、かつ、上げ代余力が不十分である場合
発電電力が安定し、かつ、上げ代余力が所定値(例えば、10[%])より小さい場合には、発電電力の降下に備えて、動作点をあえて最適動作点の手前にずらして動作させる。これにより、安定時の出力電力と、降下後の出力電力との差が小さくなり、降下時の傾斜が小さくなる。なお、発電電力が降下することを予測し、かつ、上げ代余力が所定値より小さいときに、動作点を最適動作点からずらすようにしてもよい。逆に言えば、発電電力の降下を予測しないとき、又は、上げ代余力が所定値以上であるときには、そのまま最適動作点で動作させる。これによれば、安定時の電力損失を減らし、最大出力を維持することができる。
発電電力の安定を検知するには、発電電力を逐次計測し、上がり、下がりがないことを検知する。
(3)発電電力が降下している場合
安定時に動作点を最適動作点の手前にして動作させた後、発電電力の降下が始まって、降下速度が所定値(例えば、−5%/分)を下回る場合、動作点を最適動作点に戻す。これにより、降下後の出力電力を上げることができ、安定時の出力電力と、降下後の出力電力との差を小さくすることができる。これによれば、出力電力の降下速度を抑制することができる。
発電電力の降下を検知するには、発電電力を逐次計測し、下がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を降下速度に換算し、その換算した降下速度を所定値と比較する。
なお、太陽光発電装置3の発電電力を予測するには、例えば、気象情報のデータから日射量を予測し、その日射量から発電量を予測する方法がある。
≪第2の実施の形態≫
本発明に係る第2の実施の形態では、あるエリア内に位置する複数の発電装置につながる制御装置を統括制御する。図4は、発電出力制御システムの構成を示す図である。発電出力制御システム10は、限られたエリアに位置する複数の発電装置の出力を合わせることにより、急な出力変動を抑えることを可能とするものであり、複数の風力発電装置1(ピッチ角制御部16)及び複数のパワーコンディショナ4と、統括制御装置7とがネットワーク8を介して通信可能に接続される。統括制御装置7は、通信部(NIC[Network Interface Card]等)、処理部(CPU)及び記憶部(HDD、SSD等)を備えたPC(Personal Computer)やサーバによって実現され、風力発電装置1やパワーコンディショナ4のそれぞれから出力電力を受信し、その出力電力に応じて、個々の風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送る。
詳細には、エリア内の風力発電装置1と、太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4との出力電力の総和を計算し、その総和に基づく電力変動速度が規定値を超えていた場合には、風力発電装置1及びパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送信する。その際に、各々の風力発電装置1及びパワーコンディショナ4に対して優先順位を付けて抑制指令を送る。優先順位の付け方には、以下の2通りが考えられる。
(1)各装置が電力上昇中、安定運転中及び電力降下中のうち、どの状態にあるかを見て、必要な状態のものの電力抑制を行う。電力抑制が必要な状態のものとは、例えば、電力の合計値が上昇していれば、出力電力が上昇中の装置を抑制の対象とするわけであり、すなわち、変動の原因になっているものを抑制する。これは、抑制効果の大きい方法である。
(電力上昇抑制が必要なら、電力上昇中の装置だけを選択して、抑制指令を送る)
具体的には、電力上昇中の装置に対しては、動作点を最適点からずらす指令を出す。電力降下中の装置に対しては、動作点を最適点に戻す指令を出す。
(2)出力電力の小さいものから優先的に電力抑制(カット)する。これは、コストを優先する(発電した電力を有効に使う)方法であり、出力電力の小さいものは、十分な風・光が当たっておらず、最高効率点で動作していないという考え方に基づく。
なお、風力発電装置1(ピッチ角制御部16)やパワーコンディショナ4による個々の発電装置の制御と、統括制御装置10によるエリア全体の制御とを両方組合せてもよいし、エリア全体の制御だけを行ってもよい。また、統括制御装置10は、他のエリアに位置する発電装置を監視制御する統括制御装置10や、発電装置が連系する電力系統2、5と情報をやりとりすることにより、より細やかな制御を行うようにしてもよい。例えば、統括制御装置10が、複数のエリアにおける発電出力の総和を計算して、その総和出力の変動速度が所定値を超えた場合に、特定の風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送ったり、電力系統2、5の電力調整能力が不足した場合に、風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送ったりすることが考えられる。
なお、上記実施の形態では、図1(a)に示す風力発電装置1のピッチ角制御部16や、図1(c)に示すパワーコンディショナ4を機能させるために、CPUやDSPで実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係るピッチ角制御部16やパワーコンディショナ4が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
以上説明した本発明の実施の形態によれば、風力発電装置1や太陽光発電装置3について、発電電力が上昇し、かつ、電力系統の下げ代余力が不十分な場合に、電力系統への出力電力を最大からずらすことにより、上昇前の出力電力と、上昇後の最大からずらした出力電力との差が小さくなる。次に、発電電力が安定し、かつ、電力系統の上げ代余力が不十分な時に、電力系統への出力電力を最大からずらすことにより、発電電力が低下した場合に、安定時の最大からずらした出力電力と、低下後の出力電力との差が小さくなる。そして、実際に発電電力が低下した場合に、電力系統への出力電力を最大に戻すことにより、安定時の最大からずらした出力電力と、低下後の最大に戻った出力電力との差が小さくなる。
以上によれば、蓄電池を用いずに、風力発電装置1や太陽光発電装置3から電力系統に出力する電力が変化する傾斜、すなわち、変動速度を抑制することにより、連系可能量を増やすことができる。これによれば、連系可能量に制約のある風力発電装置1や太陽光発電装置3を、安価かつ大量に系統連系することができる。さらに、これにより、風力発電装置1や太陽光発電装置3の導入を促進する効果が期待できる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施の形態では、風力発電装置1や太陽光発電装置3のように、単体の分散型電源の出力制御について説明したが、上記の発電出力制御方法をウインドファームやメガソーラ等の大規模な発電装置に適用することが考えられる。大規模な発電装置の場合、発電電力を精度よく予測できるので、さらに有効に系統連系することができる。
1 風力発電装置
2 電力系統
3 太陽光発電装置
4 パワーコンディショナ(発電出力制御装置)
5 電力系統
7 統括制御装置(統括電力制御装置)
16 ピッチ角制御部(発電出力制御装置)

Claims (6)

  1. 電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、
    前記分散型電源の発電電力の上昇速度が所定値より大きく、かつ、前記電力系統の下げ代余力が所定値より小さいときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらす
    ことを特徴とする発電出力制御装置。
  2. 電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、
    前記分散型電源の発電電力が安定し、かつ、前記電力系統の上げ代余力が所定値より小さいときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらす
    ことを特徴とする発電出力制御装置。
  3. 電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、
    前記分散型電源の発電電力が安定し、前記電力系統の上げ代余力が所定値より小さいとき、かつ、前記発電電力が低下することを予測したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらす
    ことを特徴とする発電出力制御装置。
  4. 電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置による発電出力制御方法であって、
    前記発電出力制御装置は、
    前記分散型電源の発電電力の上昇速度が所定値より大きく、かつ、前記電力系統の下げ代余力が所定値より小さいときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらす
    ことを特徴とする発電出力制御方法。
  5. 電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置による発電出力制御方法であって、
    前記発電出力制御装置は、
    前記分散型電源の発電電力が安定し、かつ、前記電力系統の上げ代余力が所定値より小さいときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらす
    ことを特徴とする発電出力制御方法。
  6. 電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置による発電出力制御方法であって、
    前記発電出力制御装置は、
    前記分散型電源の発電電力が安定し、前記電力系統の上げ代余力が所定値より小さいとき、かつ、前記発電電力が低下することを予測したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらす
    ことを特徴とする発電出力制御方法。
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