以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本実施例におけるレンズ鏡筒について説明する。図1は、本実施例におけるレンズ鏡筒の分解斜視図である。
図1に示されるレンズ鏡筒は、2段沈胴型の3つのレンズ群構成を有している。被写体側(図1中の左側)から順に、ズームレンズ101(第1レンズ群)、シフトレンズ102(第2レンズ群)、及び、フォーカスレンズ103(第3レンズ群)が配置されている。
シフトレンズ102は、撮像光軸に垂直に移動可能な手振れ補正光学系である。また、フォーカスレンズ103は、撮像光軸に沿って移動可能な焦点調節光学系である。
ズームレンズ101、シフトレンズ102、及び、フォーカスレンズ103は、被写体像を撮像素子に結像させるように配置されている。ズームレンズ101は、第1鏡筒105により保持される。シフトレンズ102は、第2鏡筒106に保持される。また、フォーカスレンズ103は、第3鏡筒107により保持される。
3つのレンズ群(ズームレンズ101、シフトレンズ102、フォーカスレンズ103)を透過した被写体像は、ローパスフィルタ110を介して撮像素子104で光電変換される。撮像素子104は、撮像素子地板109により保持される。また、撮像素子地板109には、カバー鏡筒111が固定される。
カバー鏡筒111及び撮像素子地板109には、駆動筒112が回動可能に保持されている。
駆動筒112は、円筒形状を有し、その外周部にはギア112aが設けられている。ギア112aには駆動ギア113が噛み合い、駆動筒112は、ズームモータ114の回転により回転駆動される。
また、駆動筒112の内周壁には、光軸方向に延びる直進溝112bが周方向に等間隔で3箇所形成されている。駆動筒112の内側には、カバー鏡筒111及び撮像素子地板109に固定された固定筒115が配置されている。
固定筒115には、貫通溝形状の繰り出しカム115aが周方向に等間隔で3箇所形成されている。また、固定筒115の内周壁には、繰り出しテーパカム115bが周方向に等間隔で3箇所形成されている。更に、固定筒115の内周側には、光軸方向に延びる直進溝115cが周方向に等間隔で3箇所形成されている。
固定筒115の内側には、移動カム筒116が配置されている。移動カム筒116は、円筒形状を有し、その外周部にはカムフォロワとなるフォロワピン116aと駆動ピン116bが設けられている。駆動ピン116bは、フォロワピン116aよりも撮像素子104の側に位置している。フォロワピン116aの先端には、テーパ部が形成されており、このテーパ部は、固定筒115の繰り出しテーパカム115bに係合している。また、駆動ピン116bは、固定筒115の繰り出しカム115aに係合するとともに、繰り出しカム115aを貫通して直進溝112bにも係合している。
このように、駆動ピン116bは直進溝112bに係合している。このため、駆動筒112がズームモータ114の駆動力により光軸回りで回転駆動すると、移動カム筒116のフォロワピン116aが固定筒115のテーパカム115bのリフトにより光軸方向に移動する。
移動カム筒116の内側には直進筒117が配置されている。直進筒117は円筒形状を有し、その後端側外周部において、突起部117aが周方向に等間隔で3箇所形成されている。この突起部117aは、固定筒115の内周側に形成された直進溝115cに係合している。このため、直進筒117は、固定筒115に対して、光軸方向には移動可能であるが、光軸回りには回転しない。
また、直進筒117の先端部外周には、突起部117bが周方向に等間隔で3箇所形成されている。この突起部117bは、移動カム筒116の先端に当接している。このため、移動カム筒116が光軸方向に移動すると、直進筒117は移動カム筒116と一体的に光軸方向に回転するが、直進筒117は回転しない。また、直進筒117には、光軸方向に延びる貫通溝形状の直進溝117cが周方向に等間隔で3箇所形成されている。
一方、第1鏡筒105の外周部には、フォロワピン105aが周方向に等間隔で3箇所形成されている。このフォロワピン105aは、直進筒117の直進溝117cと貫通して、フォロワピン105aの先端に形成れているテーパ部がテーパカム115bに係合している。このため、第1鏡筒105は、移動カム筒116が回転しながら光軸方向に移動するのに連動して、テーパカム115bのリフトにより光軸方向に移動する。
また、第2鏡筒106の外周部には、フォロワピン106aが周方向に等間隔で3箇所形成されている。このフォロワピン106aは、直進筒117の直進溝117cと貫通して、フォロワピン106aの先端に形成れているテーパ部がテーパカム115bに係合している。このため、第1鏡筒105は、移動カム筒116が回転しながら光軸方向に移動するのに連動して、テーパカム115bのリフトにより光軸方向に移動する。
なお、第2鏡筒106には、シフトレンズ102の他に、シャッタ・絞りユニット108が搭載されている。
次に、第2鏡筒106のシフトレンズ102を駆動する駆動機構について、図7を用いて説明する。図7は、本実施例におけるシフトレンズを移動させる駆動機構(手振れ補正機構)の概略構成図である。
図7(a)は、手振れ補正機構の正面図である。図7(a)において、102は手振れ補正に用いられるシフトレンズ、701はシフトレンズ102を保持する可動枠、703は鏡筒に取り付けられた固定部、704は可動枠上の支持/案内部、705は支持/案内部と同軸に取り付けられたバネである。また、706a、706bは固定部に取り付けられたコイル、707a、707bは可動枠に取り付けられたマグネットである。
図7(b)は、図7(a)に示される手振れ補正機構の右側面図である。図7(b)において、710、712は図7(a)には図示されていないヨークである。711は、図7(a)には図示されていない可動部の位置検出センサとしてのホール素子である。
図7(c)は図7(a)中の矢印702から見た側面図である。可動枠701は、支持/案内部704によって固定部703に対して平面運動可能に案内支持されている。図7(c)では、長円形の案内溝713の中に、円形の支持/案内部704が挿入されている。
手振れ補正機構は、3箇所とも同一の構造とすることによって、シフトレンズ102の光軸1000の方向には拘束されている。一方、光軸1000に直行する平面上では移動可能に構成されている。可動枠701上には、シフトレンズ102及び駆動用のマグネット707a、707bが取り付けられている。
また、可動枠701は支持/案内部704と同軸に取り付けられたバネ705によって弾性支持されており、駆動力が発生していないときは、シフトレンズ102(シフトレンズ)の中心が光軸1000に略一致するように配置されている。駆動部分は、図7(b)に示されるように、マグネット707aの両側をヨークで挟み込み、片側にコイル706aを備えた構成をしている。
次に、駆動部分の原理について、図8を参照して説明する。図8は、本実施例における手振れ補正機構の駆動力発生部の断面図である。図8(a)、(b)は、図7(a)に示される点線708の断面について駆動回路部分を抜粋した断面図である。
駆動用のマグネット707aは、2極で厚み方向に着磁されている。さらに、マグネット707aの着磁方向の両側にはヨーク710、712が設けられており、多くの磁束は外に漏れることなく、図8(a)の中に示される矢印方向の磁界を発生させている。
この状態でコイル706aに通電すると、コイル706a上の領域801と802には、それぞれ反対方向の電流が流れる。一方、磁界の方向も反対であるため、フレミング左手の法則によって同一方向の力が発生する。このとき、コイルが固定されているため、作用反作用の法則によって可動部に取り付けられたマグネット707aが力を受けて駆動される(図8(b))。
この駆動力は、コイル706aの電流に比例し、コイル706aに流す電流の向きを反対方向にすることによって、マグネット707aが受ける駆動力も反対にすることができる。駆動力が発生すると、可動部がバネ705によって弾性支持されているため、バネ力と釣り合う点まで変位する。つまり、コイル706aの電流を適切に制御することによって、可動部の位置を制御することができる。
さらに、ヨーク710上にはホール素子711(位置検出センサ)が取り付けられている。図8(b)に示されるように、コイル706aに電流を印加することにより発生した駆動力によってマグネット707aが変位すると、ホール素子711上の磁気バランスも変化する。このため、ホール素子711の信号を得ることによって、マグネット707aの位置を検出することが可能となる。
図7及び図8では、可動部にマグネットが配置され、固定部にコイルが配置されたムービングマグネット方式での実施形態を例示した。ただし本実施例は、可動部にコイルが配置され、固定部にマグネットが配置されたムービングコイルやその他の駆動方法を用いた手振れ補正機構を備えた撮像装置についても適用可能である。
次に、ボイスコイルモータで駆動される第3鏡筒107(フォーカスレンズ103)の構成に関して説明する。図4は、本実施例におけるフォーカスレンズ103の駆動機構及び撮像素子地板109の分解斜視図である。また、図5は、本実施例におけるフォーカスレンズ103の駆動機構及び撮像素子地板109の組立図である。
第3鏡筒107を駆動するボイスコイルモータは、コイル118a、マグネット118b、及びヨーク118cを備える。コイル118aは、第3鏡筒107に固定されている。フレキシブル基板119からコイル118aに通電すると、撮像素子地板109に固定部材120を介して固定されたマグネット118b及びヨーク118cで形成される磁気回路の作用により、第3鏡筒107はガイド軸121に沿い、光軸方向に駆動される。なお、第3鏡筒107の駆動範囲は、撮像素子地板109と第3鏡筒107との突き当て面から撮像素子地板109にビス止め固定された部材122と第3鏡筒107との突き当て面までである。
第3鏡筒107の光軸方向の位置は、センサ123aとスケール123bにより、次のようにして検出される。スケール123bは、弾性保持部材124により第3鏡筒107に弾性保持されている。このスケール123bには、所定のピッチで溝部が形成されている。
また、撮像素子地板109には、スケール123bに対向するように、センサ123aが所定のギャップを挟み固定部材120により取り付けられている。 センサ123aには発光素子と受光素子が実装されており、発光素子から発光される光束がスケール123bの溝部に反射して、その反射光束を受光素子により受光することで出力信号を得る。
固定のセンサ123aに対し、スケール123bを固定した第3鏡筒107が移動すると、センサ123aから90度(deg)の位相差を有する正弦波信号が出力される。これらの2相の出力により、スケール123bの移動量及び移動方向を判定することができる。
第3鏡筒107の初期位置は、第3鏡筒107と撮像素子地板109との突き当てにより決定される。なお、センサ123aの出力は、3相以上の出力でもよい。また、位相角(位相差)も90度(deg)以外の角度でもよい。また、初期位置検出用のセンサを取り付けて、第3鏡筒107の初期位置を検出するように構成することもできる。 次に、本実施例における撮像装置について説明する。図2は、本実施例における撮像装置のブロック図である。
第1鏡筒105により保持されているズームレンズ101は、光軸方向に位置を変更することが可能な倍率変更を行うズームレンズである。
401はズーム駆動制御部であり、第1鏡筒105(ズームレンズ101)を駆動制御する。
108はシャッタ・絞りユニットである。また、402はシャッタ・絞りユニット駆動制御部であり、シャッタ・絞りユニット108を駆動制御する。
第2鏡筒106により保持されているシフトレンズ102は、光軸に対して略垂直な平面での位置を変更することが可能な振れ補正光学系としてのシフトレンズである。また、403はシフトレンズ駆動制御部であり、第2鏡筒106(シフトレンズ102)を駆動制御する。
第3鏡筒107により保持されているフォーカスレンズ103は、光軸方向に位置を変更することが可能なピント調整を行うフォーカスレンズである。また、404はフォーカス駆動制御部であり、第3鏡筒107(フォーカスレンズ103)を駆動制御する。
撮像素子104は、各レンズ群(ズームレンズ101、シフトレンズ102、フォーカスレンズ103)を通ってきた光像を電気信号に変換する。
405は撮像信号処理部であり、撮像素子104から出力された電気信号を映像信号に変換処理する。また、406は映像信号処理部であり、撮像信号処理部405から出力された映像信号を用途に応じて加工する。
407は表示部であり、映像信号処理部406から出力された信号に基づき、必要に応じて画像表示を行う。408は表示制御部であり、撮像部及び表示部の動作及び表示を制御する。409はシステム全体を制御する制御部である。
410は電源部であり、システム全体に用途に応じて電源を供給する。
また、411は外部入出力端子部であり、外部との間で通信信号及び映像信号を入出力する。412はシステムを操作するための操作部である。
413は記憶部であり、映像情報など様々なデータを記憶する。
次に、上記のような構成を有する本実施例の撮像装置の動作について説明する。
操作部412は、押し込み量に応じて第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が順にオンするように構成されたシャッタレリーズボタンを有している。シャッタレリーズボタンは、このボタンを約半分押し込んだときに第1スイッチSW1がオンし、最後まで押し込んだときに第2スイッチSW2がオンする構造となっている。
操作部412の第1スイッチSW1がオンされると、フォーカス駆動制御部404がフォーカスレンズ103を駆動してピント調整を行う。またこのとき、シャッタ・絞りユニット駆動制御部402がシャッタ・絞り108を駆動して適正な露光量に設定する。
さらに、操作部412の第2スイッチSW2がオンされると、撮像素子104に露光された光像から得られた画像データを記憶部413に記憶する。このとき、操作部412より振れ補正機能オンの指示があれば、制御部409は、シフトレンズ駆動制御部403に振れ補正動作を指示する。これを受けたシフトレンズ駆動制御部403は、振れ補正機能オフの指示がなされるまで振れ補正動作を行う。
また、操作部412が一定時間操作されなかった場合、制御部409は、省電力のためにディスプレイの電源を遮断する指示を出す。
また、本実施例の撮像装置では、静止画撮像モード及び動画撮像モードのうちの一方を操作部412より選択可能である。それぞれのモードにおいて、各アクチュエータ制御部の動作条件を変更することができる。
なお、操作部412に対してズームレンズによる変倍の指示があると、制御部409を介して指示を受けたズーム駆動制御部401がズームレンズ101を駆動して、指示されたズーム位置にズームレンズ101を移動する。それとともに、撮像素子104から送られ、撮像信号処理部405及び映像信号処理部406にて処理された画像情報に基づき、フォーカス駆動制御部404がフォーカスレンズ103を駆動してピント調整を行う。
次に、図6を参照して、本実施例におけるフォーカス駆動制御部の構成について説明する。図6は、本実施例におけるフォーカス駆動制御部404のブロック図である。フォーカス駆動制御部404は、PID制御部を備えている。 図6に示されるように、フォーカス駆動制御部404は、フィードバック制御手段(第1のフィードバック制御手段)を備える。このフィードバック制御手段は、制御部409によって決定されたフォーカスレンズの目標位置とセンサ123aによって検出されたフォーカスレンズの実位置との偏差が小さくなるように制御する。
このように、フォーカス駆動制御部404は、撮像光軸に沿って移動可能なフォーカスレンズ103(焦点調節光学系)を制御する第1の制御手段である。フォーカス駆動制御部404には、フォーカスレンズ103の目標位置と実位置との偏差が小さくするように制御する第1のフィードバック制御手段が含まれる。
ピントを合わせるため、フォーカスレンズ103の駆動範囲内においてフォーカスレンズ103を走査するとき、フォーカスレンズ103の目標位置が制御部409から指令される。このように、制御部409は、被写体との距離に応じてフォーカスレンズ103の目標位置を決定する目標位置決定手段として用いられる。
一方、センサ123aの出力値であるフォーカスレンズ位置信号は、アナログ信号であるため、AD変換部507によりデジタル信号に変換される。センサ123aから出力されたフォーカスレンズ位置信号は、フォーカスレンズの実位置を示している。このため、AD変換部507を介することにより、フォーカスレンズの実位置をデジタル信号として取得することができる。
次に、フォーカスレンズの実位置と目標位置との差分(偏差)を偏差算出部501により計算する。偏差算出部501にて算出された偏差は、比例制御部502(P制御部)、微分制御部503(D制御部)、及び、積分制御部504(I制御部)においてそれぞれ所定の制御が実行される。
比例制御部502(P制御部)では、偏差をゼロに近づける制御、すなわち目標位置と実位置とを近づけるための制御を行う。ここで、比例制御部502(P制御部)のみでは、定常的に、偏差にオフセット成分が生じる。このため、積分制御部504(I制御部:第1の積分制御手段)により、このオフセット成分をゼロに漸近させる制御を行う。
撮像装置の姿勢が変化した場合、すなわちフォーカスレンズ103に掛かる重力の方向が変化した場合、偏差に生じるオフセット成分は、フォーカスレンズ103の実位置と同様に、撮像装置の姿勢変化に従って変動する。
撮像装置を水平上側に傾けた場合、フォーカスレンズ103に掛かる重力の方向は、傾けた姿勢方向(上方向)と一致しない。このため、フィードバック制御における重力の影響は大きくなり、偏差に生じるオフセット成分も大きくなる。
一方、撮像装置を水平下側に傾けた場合、フォーカスレンズ103に掛かる重力の方向は、傾けた姿勢方向(下方向)と一致する。このため、フィードバック制御における重力の影響は小さくなり、偏差に生じるオフセット成分も小さくなる。
本実施例において、積分制御部504(I制御部)をフィードバック制御の中に含まない等の場合には、センサ123a(フォーカスセンサ)により検出されたフォーカスレンズ103の実位置を用いて、撮像装置の姿勢方向を検知(判定)することができる。
撮像装置を水平上側に傾けた場合、フォーカスレンズ103に掛かる重力の方向(下方向)は傾けた姿勢方向(上方向)と一致しない。このため、フォーカスレンズ103の実位置の重力方向(下方向)へのずれは、撮像装置を水平下側に傾けたほど大きくはない。
撮像装置を水平下側に傾けた場合、フォーカスレンズ103に掛かる重力の方向(下方向)は傾けた姿勢方向(下方向)と一致する。このため、実位置は重力方向へ比較的大きくずれる。
この点について、図23を参照しながら詳細に説明する。図23は、撮像装置の姿勢とAD変換部507の出力との関係を示す図である。
AD変換部507の出力は、フォーカスレンズの実位置を表す。例えば、撮像装置の姿勢が水平に位置している場合には、AD変換部507の出力はαとなる。
撮像装置を水平上側に傾けた場合、フォーカスレンズに掛かる重力の方向(下方向)は、傾けた撮像装置の姿勢方向(上方向)と一致しない。このため、フォーカスレンズの実位置の重力方向(下方向)へのずれは、撮像装置を水平に配置した場合に比べて小さくなる。このとき、AD変換部507の出力は、出力αより小さいβとなる(α>β)。
一方、撮像装置を水平下側に傾けた場合、フォーカスレンズに掛かる重力の方向(下方向)は、傾けた姿勢方向(下方向)と一致する。このため、フォーカスレンズの実位置は、撮像装置を水平に配置した場合に比べて、重力方向へ比較的大きくずれる。このとき、AD変換部507の出力は、出力αより大きいγとなる(α<γ)。
上述のような撮像装置の姿勢とAD変換部507の出力との関係から、撮像装置の姿勢方向を検知することができる。すなわち、AD変換部507の出力がαの場合、撮像装置は水平に位置していると判定される。AD変換部507の出力がβ(α>β)の場合、フォーカスレンズに掛かる重力の方向は撮像素子側である(撮像装置は上方向に傾いている)と判定される。一方、AD変換部507の出力がγ(α<γ)の場合、フォーカスレンズに掛かる重力の方向は被写体側である(撮像装置は下方向に傾いている)と判定される。
具体的には、例えば、AD変換部507の出力について、α1(α>α1)、α2(α<α2)の2つのしきい値を用いることにより、撮像装置の3つの姿勢方向(水平、上方向、下方向)を判定することができる。AD変換部507の出力が、しきい値α1より小さい出力βの場合、撮像装置は上方向に傾いており、しきい値α2より大きい出力γの場合、撮像装置は下方向に傾いていると判定される。
実位置(センサ123aからの出力のデジタル信号、すなわちAD変換部507の出力)、及び、偏差の積分制御部504(I制御部)からの出力信号(第1の検出信号)は、共に、姿勢判定部509(第1の受信手段)へ出力される。実位置及び積分制御部504(第1の積分制御手段)からの出力信号は、フォーカス駆動制御部404の制御量である。姿勢判定部509は、これらの制御量の少なくとも一つに基づいて撮像装置の姿勢(姿勢方向)を検出(判定)し、その結果を制御部409へ出力する。
このように、フォーカス駆動制御部404(第1の制御手段)は、第1のフィードバック制御手段から得られる第1の検出信号に基づいて、撮像光軸と重力とが平行な方向に関する第1の姿勢を判定する姿勢判定部509(第1の判定手段)を備える。
第1の検出信号は、焦点調節光学系としてのフォーカスレンズ103にかかる重力に対応した信号であり、姿勢判定部509の第1の受信手段により受信される。姿勢判定部509は、後述の姿勢判定部211とともに、第1の検出信号及び第2の検出信号に基づいて姿勢を判定する判定手段となる。これらの処理は、信号処理装置により実行可能である。
また、フォーカス駆動制御部404においては、目標位置に対するフォーカスレンズ駆動の応答性を高めるために、偏差に対して微分制御部503(D制御部)を設けることが望ましい。最終的に、比例制御部502(P制御部)、微分制御部503(D制御部)、及び、積分制御部504(I制御部)における各制御結果を和算出部505において足し合わせる。
和算出部505で算出された値は、ドライブ出力部506に伝達される。ドライブ出力部506は、和算出部505における算出値に基づいて、コイル118aへ所定の電流を流すことにより、フォーカスレンズが目標位置に移動するように駆動させることができる。
図3は、本実施例におけるシフトレンズ駆動制御部のブロック図である。図3に示されるように、シフトレンズ駆動制御部403は、PID制御部を備えている。 シフトレンズ駆動制御部403(第2の制御手段)は、手振れを検出する手振れ検出手段(ジャイロセンサ等)からの出力信号に基づいて、撮像光軸に垂直に移動可能なシフトレンズ102(手振れ補正光学系)を制御する。シフトレンズ102の詳細については、図10を用いて後述する。
なお、第2の制御手段は、手振れ補正光学系であるシフトレンズ102の代わりに、手振れ補正光学系としての撮像素子104を制御するように構成することができる。このような構成でも、シフトレンズ102を制御する場合と同様の効果を得ることが可能である。
制御部409は、手振れ補正位置(目標位置)に相当する出力信号をシフトレンズ駆動制御部403に出力する。また、ホール素子209は、シフトレンズの位置信号に相当する出力信号をAD変換部308に出力する。AD変換部308は、アナログ信号であるホール素子209の出力信号をデジタル信号に変換する。偏差算出部302は、制御部409から出力された振れ補正位置とホール素子209からの出力信号(実位置)と偏差(差分)を算出する。
この偏差は、比例制御部303(P制御部)、微分制御部304(D制御部)、及び、積分制御部305(I制御部)においてそれぞれ所定の演算が行われる。
比例制御部303では、偏差をゼロに近づける、すなわち目標位置である振れ補正位置と実位置とを近づけるための制御を行う。ただし、比例制御部303のみでは、定常的に偏差にオフセット成分が生じる。このため、偏差のオフセット成分を小さくするように制御する積分制御部305が設けられている。
撮像装置の姿勢が変化した場合、すなわちシフトレンズ102に加わる重力の方向が変化した場合、偏差のオフセット成分は、シフトレンズ102の実位置と同様に、姿勢変化に応じた変動を示す。
実位置(ホール素子209からの出力のデジタル信号)、及び、偏差の積分制御部305(I制御部:第2の積分制御手段)からの出力信号は、共に、姿勢判定部211(第2の判定手段)へ出力される。実位置及び積分制御部305からの出力信号は、シフトレンズ駆動制御部403に含まれる第2のフィードバック制御手段から得られる信号(第2の検出信号)である。姿勢判定部211は、これらの信号の少なくとも一つに基づいて撮像装置の姿勢(姿勢方向)を検出(判定)し、その結果を制御部409へ出力する。
このように、シフトレンズ駆動制御部403(第2の制御手段)は、撮像光軸と重力とが垂直な方向に関する第2の姿勢を判定する姿勢判定部211(第2の判定手段)を備える。姿勢判定部211は、シフトレンズ駆動制御部403に含まれる第2のフィードバック制御手段から得られる第2の検出信号に基づいて、第2の姿勢を判定する。
第2の検出信号は、手振れ補正光学系にかかる重力に対応した信号であり、姿勢判定部211の第2の受信手段により受信される。姿勢判定部211は、前述の姿勢判定部509とともに、第1の検出信号及び第2の検出信号に基づいて姿勢を判定する判定手段となる。これらの処理は、信号処理装置により実行可能である。
また、シフトレンズ102の応答性を高めるため、偏差に対して微分制御を行う微分制御部304が設けられている。
最終的には、比例制御部303、微分制御部304、及び、積分制御部305の結果を和算出部306により足し合わせる。和算出部306における算出値は、DA変換307を介してアナログ信号に変換され、ドライブ部208へ出力される。シフトレンズ102は、ドライブ部208からの出力信号により駆動される。
上述のとおり、シフトレンズ102の制御もフォーカスレンズ103と同様に、PID制御を用いたフィードバック制御手段により実行される。フィードバック制御に用いられる比例制御部303(P制御部)、微分制御部304(D制御部)、及び、積分制御部305(I制御部)の制御量により、重力方向を判断することができる。
次に、光軸及びレンズの制御方向(移動方向)に関して、図9乃至図11を用いて説明する。
図9は、本実施例におけるカメラ1001(撮像装置)と光軸1000との関係を示す模式図である。図10は、本実施例におけるシフトレンズ102と光軸1000との関係を示す模式図である。図11は、本実施例におけるフォーカスレンズ103と光軸1000との関係を示す模式図である。
図9(a)は、カメラ1001の正面図である。1002はストロボであり、被写体の露出が不足する場合、発光することにより露出を適正にすることができる。カメラ1001を正面から見た場合、光軸1000は鏡筒1003の中心となる。
図9(b)は、カメラ1001の側面図である。カメラ1001を横から見た場合、光軸1000は被写体側からカメラ内の撮像素子104方向に直線で表すことができる。
図10(a)はシフトレンズ102の正面図である。シフトレンズ102を正面から見た場合、シフトレンズ102の制御方向は、光軸に対して垂直方向1101及び水平方向1102となる。また、図10(b)はシフトレンズ102の側面図である。
図11(a)は、フォーカスレンズ103の正面図である。また、図11(b)は、フォーカスレンズ103の側面図である。
フォーカスレンズ103を横から見た場合、フォーカスレンズ103の制御方向は、光軸に対して平行方向1201となる。
次に、図12乃至図14を用いて、シフトレンズ102の制御量を用いた傾き姿勢検出に関して説明する。
図12は、本実施例におけるシフトレンズ102の制御量を示す模式図である。図13は、本実施例におけるカメラ1001(撮像装置)を、カメラの光軸1000と重力方向とが垂直の状態で回転させた場合を示す模式図である。図14は、本実施例におけるカメラ1001を光軸1000と重力方向とが水平の状態((a)上向き、(b)下向き)を示す模式図である。
上述のとおり、シフトレンズ102は、正面から見ると光軸に対して垂直及び水平方向に駆動する。シフトレンズ駆動制御部403で制御されるシフトレンズ102の制御量は、重力に反発する方向の制御量が大きくなる。
図10(a)を用いて説明したシフトレンズ102の制御方向は、図13(a)に示される垂直方向1101と水平方向1102である。図12では、垂直方向1101の制御量をX方向制御量、水平方向1102の制御量をY方向制御量として示されている。
図12において、1300は光軸1000と重力を垂直に保ちながら傾けた時のX方向及びY方向の制御量の軌跡を示している。カメラ1001を正位置(0度の位置)(図13(a))にした場合、重力がX方向の下側にかかるため、1301で表される制御量となる。
カメラ1001を90度回転させる(図13(b))と、重力がY方向の下側にかかるため、1302で表される制御量となる。カメラ1001を180度回転させる(図13(c))と、重力が図13(a)とは逆側にかかるため、1303で表される制御量となる。また、カメラ1001を270度回転させる(図13(d))と、重力が図13(b)とは逆側にかかるため、1304で表される制御量となる。
このように、本実施例によれば、シフトレンズ102の制御量を用いて、光軸1000を重力と垂直にした場合のカメラ1001の傾き量を検出することが可能となる。
ここで、カメラ1001を、光軸1000と重力とが水平になるように上向き(図14(a))や下向き(図14(b))に構えた場合、それぞれの制御量は、いずれも1305の軌跡の位置となる。このため、シフトレンズ102の制御量のみでは、カメラ1001が上を向いているか、又は、下を向いているかの判断が難しい。
次に、フォーカスレンズ103の制御量を用いた傾き姿勢検出に関して、図15を用いて説明する。図15は、本実施例において、カメラ1001の光軸1000を重力方向に対して垂直の状態と水平の状態との間で変化させた場合のフォーカスレンズ103の制御量の変化を示す模式図である。
フォーカス駆動制御部404で制御されるボイスコイルモータを用いたフォーカスレンズ103の制御量は、シフトレンズ102の場合と同様に、重力に反発する方向の制御量が大きくなる。
フォーカスレンズ103に掛かる重力は、カメラ1001の光軸を重力方向に対して水平方向に変えたときに変化する。つまり、図14(a)、(b)に示されるように、カメラ1001を上向き又は下向きにしたときに重力が変化する。
カメラ1001の光軸1000を重力方向と垂直にしたときの制御量は、図15に示されるように、カメラ向き1605が示す位置における制御量1602となる。光軸と重力方向とが水平になるようにカメラ1001を上向き(図14(a))にすると、図15では、カメラ向き1606が示す位置における制御量1603となり、制御量1602と比較して大きい値となる。
一方、光軸1000と重力方向とが水平になるように下向き(図14(b))にしたときの制御量は、図15では、1604が示す位置における制御量1601となり、制御量1602と比較して小さくなる。
このように、本実施例によれば、フォーカスレンズ103の制御量を用いて、カメラ1001の上向き又は下向きの制御量を検出することが可能である。
次に、図16乃至図19を用いて、本実施例における姿勢検知の方法を説明する。
図16は、本実施例における姿勢判定のフローである。図17は、本実施例における記憶部413の閾値のデータ構造を示す模式図である。図18は、図12と同様に、本実施例におけるシフトレンズ102の制御量を示す模式図である。図18において、図12と同一箇所は同一の符号を用いている。図19は、図15と同様に、本実施例におけるフォーカスレンズ103の制御量を示す模式図である。図19において、図15と同一箇所は同一の符合を用いている。
上述のとおり、フォーカスレンズ103の制御量でカメラ1001の上下判断を行うことができる。図19に示されるように、上下判断を行うためには、カメラ1001を重力に対して垂直に構えたときの制御量1602を中心として、上向き又は下向きの判定の閾値を決めれば良い。制御量1602を中心に所定の範囲2001では、カメラ1001は重力に対して垂直に位置しており、それより制御量が小さい範囲2000では下向き、また、それより制御量の大きい範囲2002では上向きであるとする。
範囲の境界を示す閾値2003、2004は、上下判定の閾値となる。本実施例では、上下及びそれ以外の判定例(3状態)を示すが、閾値を複数設けて、上下の間を細かく判定してもよい。実際の上向き判定閾値及び下向き判定閾値は、図17に示されるように、記憶部413における所定のアドレス(XXXXh、XXXXh+1)に保存される。
姿勢判定(上下方向判定:光軸と重力方向との平行方向に関する判定)を行う場合、まず、図16に示されるステップS1700において、記憶部413から閾値を取得する。そして、上下判定を行うためにフォーカスレンズ103の制御量を取得する(S1701)。
次に、ステップS1700で取得した上向き判定閾値とステップS1701で取得したフォーカス制御量とを比較し、上向き状態にあるか否かを判定する(S1702)。この判定で上向きと判定された場合、上向き状態を示すフラグをセットし(S1703)、判定処理を終了する。
ステップS1702で上向きでないと判定された場合、フォーカス制御量と下向きの判定閾値とを比較し、下向き状態にあるか否かを判定する(S1704)。この判定で下向きと判定された場合、下向き状態を示すフラグをセットし(S1705)、判定処理を終了する。
カメラ1001が上下判定いずれでもないと判定された場合、カメラ1001は、その光軸1000と重力方向とが垂直状態にある。この状態の場合、シフトレンズ102の制御量を用いて、さらに傾き検知を行う。
上述のように、カメラ1001を傾けると、制御量は軌跡1300を描く。姿勢判定(傾き判定:光軸と重力方向との垂直方向に関する判定)は、軌跡の座標に閾値1900、1901を設けて実施される。閾値1900、1901は、0度の制御量1301、90度の制御量1302、180度の制御量1303、及び、270度の制御量1304を基準として、座標領域を分割する閾値に設定される。本実施例では4等分の例を示すが、細かく分割して傾斜の判断を細かく行ってもよい。
0度の制御量1301を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1902を、カメラ1001の傾きが0度の領域とする。90度回転の制御量1302を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1903を、カメラ1001の傾きが90度の領域とする。180度回転の制御量1303を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1904を、カメラ1001の傾きが180度の領域とする。270度回転の制御量1304を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1905を、カメラ1001の傾きが270度の領域とする。
なお、本実施例では具体的に示さないが、領域の境界値で判定がふらつく場合は、各領域にヒステリシスを持たせてもよい。
姿勢判定(傾き判定)の際には、ステップS1706、S1707でシフトレンズ102のX方向及びY方向の制御量を取得し、制御量が図18で表される座標のどこに位置するかを算出する(S1708)。
次に、ステップS1708で算出された制御量の座標が属する領域判断を行う。
まず、ステップS1708で算出された制御量の座標が領域1902にあるか否かの判定を行い(S1709)、その制御量が領域1902にある場合、傾き0度フラグを設定して処理を終了する(S1710)。領域1902にない場合、領域1903にあるか否かの判定を行い(S1711)、領域1903にある場合、傾き90度フラグを設定して処理を終了する(S1712)。
ステップS1708で算出された制御量が領域1903にない場合、その制御量が領域1904にあるか否かの判定を行い(S1713)、領域1904にある場合、傾き180度フラグを設定して処理を終了する(S1714)。ここまでの判定において、いずれの領域にも属さない場合、傾き270度フラグを設定して処理を終了する(S1715)。
次に、カメラ1001が再生時の姿勢検知で省電力を行う制御の切り替えに関して、図20乃至図22を用いて説明する。
図20は、本実施例における姿勢判定で省電力制御を行う場合のフローである。図20は、図16に付け加えた形で作成しており、図16と同様な処理は同じ参照符号で示されている。図21は、本実施例におけるシフトレンズ102の制御量を示す模式図である。図21は、図18に付け加えた形で作成しており、図18と同様な処理は同一の参照符合で示されている。図22は、本実施例におけるフォーカスレンズ103の制御量を示す模式図である。図22は、図19に付け加えた形で作成しており、図19と同様な処理は同一の参照符合で示されている。
記憶部413に保存された画像データ等の再生時には、撮像を行う必要はない。このため、シフトレンズ制御やフォーカスレンズ制御は基本的には不要である。ただし、カメラ1001の姿勢を検知するためには、これらのレンズ制御が必要となる。
ここで、撮像と同様に、シフトレンズ制御やフォーカスレンズ制御を行うと、必要以上に電力を消費することになる。そこで、姿勢判定の際に用いられない部位への電力供給を停止して、そのレンズ制御を停止することにより、カメラ1001の省電力化を図ることができる。
前述のとおり、シフトレンズ102の制御量は、カメラ1001の光軸1000を重力方向と水平(平行)にすると、図21の1300から1305に近づく。また、フォーカスレンズ103の制御量は、光軸1000を重力方向と垂直な方向にすると、図22に示される範囲2001になる性質がある。この制御量の性質を利用することにより、制御の切り替えを行うことができる。
再生時に姿勢判定を行う場合、レンズの制御は実行されている。したがって、姿勢検知のためには、図20に示されるように、まずフォーカス制御の電源を入れる(S2100)。制御の安定を待って、ステップS1700で記憶部413から閾値を取得する。次に、上下判定を行うためにフォーカスレンズ103の制御量を取得する(S1701)。
ステップS1700で取得した上向き判定閾値とステップS1701で取得したフォーカス制御量とを比較し、カメラ1001が上向き状態にあるか否かを判定する(S1702)。この判定で上向きと判定された場合、上向き状態を示すフラグをセットする(S1703)。
ステップS1703で上向きでないと判定された場合、フォーカス制御量と下向きの判定閾値とを比較し、下向き状態にあるか否かを判定する(S1704)。この判定で下向きと判定された場合、下向き状態を示すフラグをセットする(S1705)。
上向きのフラグ又は下向きのフラグをセットした後、シフトレンズ制御電源ONの判定を行う(S2102)。この判定は、フォーカスレンズ103の制御量が、所定値より上向き又は下向きであるか否かにより実施される。所定値より上向き又は下向きでない場合、シフトレンズの制御電源をONにする。シフトレンズ制御が安定するまでには時間がかかるため、シフトレンズで姿勢判定を行う前に電源を入れ(S2103)、制御を開始する。
カメラの光軸が上向きから重力方向に垂直な方向に近づくと、フォーカスレンズ103の制御量は、図22に示される範囲2002から範囲2001の方向に変化する。範囲2002から範囲2001へ変化する前に、閾値2301を設定し、制御量が閾値2301より範囲2001側に近づいた場合、シフトレンズ制御の電源を入れる。閾値2301は、境界の閾値2004を基準として、制御が安定するために必要な所定量とすれば良い。
同様に、カメラの光軸が下向きから重力方向に垂直な方向に近づくと、制御量の範囲が図22に示される範囲2000から範囲2001の方向に変化する。範囲2000から範囲2001へ変化する前に、閾値2300を設定し、制御量が閾値2300より範囲2001側に近づいた場合、シフトレンズ制御の電源を入れる。閾値2300は、境界の閾値2003を基準として、制御が安定するための所定量とすれば良い。
フォーカスレンズ103の制御量に基づいて、カメラ1001が上向き又は下向きのいずれでもないと判定された場合、カメラ1001は光軸1000と重力方向が垂直状態にある。そこで、この状態の時は、シフトレンズ102の制御量を用いて、さらに姿勢判定を行う。このとき、フォーカスレンズ103の制御は不要になるため、フォーカスレンズ103の制御電源を切ることができる(S2101)。
上述のとおり、カメラ1001を傾けると、シフトレンズ102の制御量は、軌跡1300を描く。姿勢判定(傾き判定)は、軌跡の座標に閾値1900、1901を設定して行われる。閾値1900、1901は、0度の制御量1301、90度回転の制御量1302、180度回転の制御量1303、及び、270度回転の制御量1304を基準として、座標領域を分割する閾値として設定される。本実施例では4等分の例を示すが、細かく分割して傾斜の判断をさらに細かくしてもよい。
0度の制御量1301を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1902を、カメラ1001の傾きが0度の領域とする。90度回転の制御量1302を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1903を、カメラ1001の傾きが90度の領域とする。180度回転の制御量1303を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1904を、カメラ1001の傾きが180度の領域とする。270度回転の制御量1304を基準として、閾値1900、1901に囲まれた領域1905を、カメラ1001の傾きが270度の領域とする。
なお、本実施例では具体的に示さないが、領域の境界値で判定がふらつく場合、各領域にヒステリシスを持たせても良い。
姿勢判定(傾き判定)では、ステップS1706、S1707において、シフトレンズ102のX方向及びY方向それぞれの制御量を取得し、制御量が図18に示される座標のどの場所に位置するかを算出する(S1708)。
次に、ステップS1708で算出された制御量の座標が属する領域判定が行われる。ここで制御量の座標は、上述のとおり、カメラ1001の光軸1000が上又は下を向いて光軸1000と重力方向が水平に近づくと、制御量の座標は、図21の制御量1305に近づく。そして、光軸1000が重力方向と水平になると、制御量1305の座標になる。このとき、カメラ1001は上向き又は下向きの状態(上下位置)にある。
制御量の座標が制御量1305の位置にあるか否かによりカメラ1001の上下位置を判断し(S2104)、カメラ1001が上下位置にある場合、ステップS2107でシフトレンズ制御に用いられる部位への電力供給を停止する。そして、フォーカスレンズ103の制御量の取得に戻り(S1701)、上下方向の姿勢検出ルーチンを実行する。
ステップS1708で算出された制御量の座標が図21の制御量1305の位置にない場合、制御量の座標が領域1902にあるか否かの判定を行い(S1709)、この座標が領域1902にある場合、傾き0度フラグを設定する(S1710)。
制御量の座標が領域1902にない場合、次にその座標が領域1903にあるか否かの判定を行い(S1711)、領域1903にある場合、傾き90度フラグを設定する(S1712)。
制御量の座標が領域1903にない場合、次にその座標が領域1904にあるか否かの判定を行い(S1713)、領域1904にある場合、傾き180度フラグを設定する(S1714)。これまでの判定で、いずれの領域にも属さない場合、傾き270度フラグを設定する(S1715)。
傾きのフラグを設定した後、ステップS2105に進み、光軸1000が重力方向に対して水平方向に近づいているか否かを判定する。シフトレンズの制御量が図21の制御量1305の座標位置に来たとき、光軸1000が重力方向に水平になった状態である。このとき、フォーカスレンズの制御で姿勢検知を行う。
ただし、フォーカスレンズの制御が安定するまでに所定の時間が必要である。このため、図21の制御量1305から安定に必要な所定量手前の範囲2200に到達したか否かを判定する。範囲2200から制御量1305の範囲に移動した場合、所定量より上向き又は下向きであると判定される。このとき、ステップS2106において、フォーカス制御の電源を入れ、制御量を取得するステップS1706へ戻る。
以上は再生時に関して説明したが、再生時以外で姿勢検知のみを行う時も、再生時と同様であることはいうまでもない。例えば、光学ファインダーを用いている状態でシフトレンズ制御やフォーカスレンズ制御が姿勢検知以外に不要な場合にも、再生時と同様の動作を行うことができる。
上記実施例では、光軸方向に駆動するレンズの例としてフォーカスレンズを用いた。ただしこれに限定されるものではなく、他の光軸方向に駆動するアクチュエータの制御量を用いても構わない。例えば、ズームレンズをボイスコイルモータで制御する場合、ズームレンズの制御量を用いることができる。
また、光軸方向に垂直に駆動するレンズの例としてシフトレンズを用いたが、他の光軸方向に垂直に駆動するアクチュエータの制御量を用いても構わない。例えば、手振れ補正に撮像素子を用いる場合、撮像素子の制御量を用いることもできる。 上記実施例によれば、専用の姿勢検知センサを用いることなく、姿勢判定が可能な撮像装置及び姿勢判定方法を提供することができる。
以上、本発明の実施例について具体的に説明した。ただし、本発明は上記実施例として記載された事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。