JP5304268B2 - 回折素子成形用金型及びその加工方法 - Google Patents

回折素子成形用金型及びその加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5304268B2
JP5304268B2 JP2009016227A JP2009016227A JP5304268B2 JP 5304268 B2 JP5304268 B2 JP 5304268B2 JP 2009016227 A JP2009016227 A JP 2009016227A JP 2009016227 A JP2009016227 A JP 2009016227A JP 5304268 B2 JP5304268 B2 JP 5304268B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tool
cutting
shape
diffractive
straight line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009016227A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010172987A (ja
Inventor
聡 甲斐
英利 寒河江
弘之 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2009016227A priority Critical patent/JP5304268B2/ja
Publication of JP2010172987A publication Critical patent/JP2010172987A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5304268B2 publication Critical patent/JP5304268B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子を切削加工する加工方法または、前記光学素子を成形する金型を切削加工する加工方法に関するものであり、回折光学素子の回折面の形状精度を高めることができるものである。
回折素子を成形する金型を加工する方法に関する発明が特開2007−30055号公報(特許文献1)に記載されている。
この発明は、上記金型を切削加工できる切削工具、加工方法、加工装置に関するものであり、切削工具が鋭角の角部(工具エッジ部分)を有するすくい面を具備していて、回折光学素子の微細階段状の回折面を高精度で切削加工することができるものである。
上記従来技術の場合、直線的な切削部分(刃先)を有する切削工具を用いて、光学素子成形用金型を加工する方法であるが、工具の切削部分の輪郭誤差については考慮されておらず、したがって、輪郭誤差の影響により回折面の形状精度が低下するという問題が残されている。
〔従来技術の問題点〕
光軸1の方向から見た時に同心円形状となる回折素子2を図1(a)に示しており、図1(a)に示す回折素子の光軸1を含む断面の断面図を同図(b)に示している。さらに、図1(b)の矢印で示す方向から、回折素子2を見た様子を図2に示しているが、図2に示されているように直線によって回折面が構成される回折素子や回折素子成形用金型を切削加工する場合、図3のように、切削工具(以下、単に「工具」ともいう)の切削部分の左右の角部(工具エッジ部)A,C間が直線である切削工具3によって、回折面を切削加工する加工方法がある。
図1(a)に示す回折素子2を工具3で切削加工(以下これを単に「加工」ともいう)する様子を図4に示している。回折素子2を光軸1を中心に回転させることによって、工具3で回折面の切削が行われるが、この場合、工具3の部分AB(図5参照)によって、回折素子2の部分A’B’が加工されるため、工具3の部分ABの形状が回折素子2の部分A’B’に転写されることになる。
工具幅Wの工具3を用いて、例えば加工物4に溝5を加工する様子を図6に示しているが、上記溝5の角部A’,C’はそれぞれ工具3の工具エッジ部分A,Cが作用した部分である。また、図6の切削状態において、幅が約400μmの工具3を用いて溝5を加工したときの、当該溝5の形状を精密測定したときの角部A’,C’の形状の一例を示せば図7(a)のとおりであり、この加工に用いた工具3の輪郭形状を精密測定した結果は図7(b)に示すとおりである。図7(a)に示す例では、溝5の中央部5aが両工具エッジ部分A’,C’よりも深く切り込まれており、その中央部5aの円弧状の切り込みの形状は図7(b)に示す工具3の刃先3aの輪郭形状3bと近似しており、工具の輪郭形状3bが加工面5bに転写されていて、その形状が加工面5bに大きく影響していることが明らかである。なお、図7では、縦方向が横方向の1000倍に拡大されている。
上記のように、直線的な切削部分を有する工具を用いて加工した場合においても、実際には、工具の製作誤差のために工具の切削部分(刃先)が微小に膨らんだ円弧形状になるので、この切削部分の輪郭形状の影響で被加工面が平らにならない。この工具3の切削部分の様子が図8(b)に拡大して示されている。すなわち、この工具3は基本的には幅400μm、角部(工具エッジ部)AとCの間が直線であるが、下方に円弧状に突出していて、これにより、直線状に対して100nmの輪郭誤差がある。
図8(a)では縦横の比1:1で示されているが、(b)では縦方向を横方向の1000倍(1000:1)に拡大して、上記円弧形状の突出が誇張して示されている。
図8に示す工具を用いて高さ300nmの上記回折面を種々の幅bに加工する場合を図9に示している。すなわち、図9(a),(b),(c)はその幅bがそれぞれ20μm、200μm、400μmの3つの場合を示している。なお、図(a),(b)の場合は工具送りピッチはそれぞれ20μm、200μmであるが、図(c)の場合は工具送りピッチを200μmにし、2段階で400μm幅の回折面を加工している。
図9(b)のようにして切削加工した回折面2d(図4)の断面形状は図10(a)のとおりである。この回折面2dの段差の高さ(狙いとする基準高さ)は図10(a)における高さABであるが、この例ではCBDの領域が未加工になっている。
このような形状の回折面2dの上記CBDの面積と等しくなる長方形EBDFを求めて、これに基づいて仮想の回折面AEFを求め、この仮想の回折面AEFの底面EFの段差AEの長さを「段差d’」と定義して、これを用いて回折面の加工精度について説明をする。
この「段差d’」が上記狙いとする段差dsとの差が小さいほど回折面2dの加工精度が高く、大きいほど回折面2dの加工精度が低いことになる。
図9(a),(b),(c)の切削加工による回折面2dの輪郭形状は、それぞれ図11(a),(b),(c)のとおりであり、上記「段差d’」はそれぞれ図示のda,db,dcである。そして、上記各「段差d’」の関係は、ds>dc>db>daとなっており、このことから、図9の形態で回折面2dを加工した場合、回折面2dの幅bによって、上記の「段差d’」が異なってくることが明らかである。
光軸方向から見た場合の回折面2dの形状が直線である回折素子が図12に示されており、また、光軸方向から見た回折面2dの形状が同心円となる回折素子が図13に示されている。
また、図14に図13(b)のcc’断面が示されており、このものの1段目の回折面の幅をW(1)、n段目の回折面の幅をW(n)とすると、下方の段になるほど回折面の幅が狭くなっている。図12に示す回折素子でも同様に下方の段になるほど回折面の幅が狭くなっている。
図12や図13に示す回折素子の回折面は、上記のように、下方の段ほど幅が狭くなり、そのため、図11に示すように、回折面の幅bの違いによってその段差の高さd’に違いが生じる場合、下方の段になるほど、段差の高さd’が小さくなるという問題がある。
光軸方向から見た形状が楕円となる回折素子2が図15に示されており、この回折素子2を光軸方向から見た状態が図16(a)に示されており、また、(a)の長軸AA’方向の断面形状が(b)に示され、(a)の短軸BB’方向の断面形状が図(c)に示されている。また、同図(a)における符号7は任意のn段目の回折面2dの輪帯を示している。回折面2dの長軸方向の幅b1はWA(n)であり、短軸方向の幅b2はWB(n)であり、WA(n)>WB(n)である。そして、その周方向位置によってその幅bが異なっている。したがって、光軸方向から見た形状が楕円形状となる回折素子の場合は、回折面の段位置の違いだけなく、周方向位置の違いによっても回折面2dの段差(図11の段差参照)に違いが生じる。
回折光学素子の成形金型の切削加工又は回折光学素子の切削加工において、切削工具の刃先の輪郭形状の誤差による回折面の加工精度の低下を大幅に低減できるように、その切削加工方法を工夫すること。
〔解決手段1〕
上記課題を解決するための手段は、回折素子成形金型の切削加工において、切削工具の切削部分(刃先)の輪郭形状の直線形状からの形状誤差の値に基づき、当該切削工具の傾き角度を設定することであり、回折面の幅が変動する際の、回折面の段差の変動を抑制することができ、高精度な回折素子成形用金型を製作することができるものであり、具体的には次の(イ)(ロ)によるものである。
(イ)光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折面を備えた回折素子成形用金型の切削成形方法であって、
(ロ)前記金型の回折面を切削工具の刃先の直線部分を転写することによって加工を行うとき、切削工具の切削部分の輪郭形状の直線形状に対する形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、当該工具エッジ部分から送りピッチ分だけ離れた位置での工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度を設定して切削加工を行うことにより回折面を形成すること。
〔解決手段2〕
また、回折素子を切削加工する場合に、切削工具の直線からの形状誤差の大きさに応じて、当該切削工具の傾き角度を設定することであり、切削加工によって高精度の回折素子を製作することができるものであって、具体的には、次の(イ)(ロ)によるものである。
(イ)光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子の切削成形方法であって、
(ロ)前記回折素子の回折面を切削工具の直線部分を転写することによって加工を行うとき、切削工具の直線からの形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、当該工具エッジ部分から送りピッチ分だけ離れた工具稜線上の位置での工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度を設定して切削加工を行うことにより回折面を形成すること。
〔請求項1の発明〕
請求項1に係る発明の効果は次のとおりである。
この発明によれば、光軸を含む回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子の成形金型は、解決手段1によって切削加工されることにより、その回折面の幅が異なる場合の段差誤差が低減され、回折面が高精度に成形され、したがって、高精度の回折素子を型成形することが可能である。
すなわち、前記金型の回折面を工具の刃先の直線部分によって切削するとき、工具の切削部分(刃先)の輪郭形状の直線形状に対する形状誤差の値に基づき、回折面転写成型面の段差部分を切削加工する工具エッジ部分と、形状誤差が工具の切り込み方向で最大となる工具稜線上の点とを結んだ直線が上記回折面転写成型面と平行となるように工具の傾き角度が設定された状態で切削加工がなされるので、工具輪郭形状の直線からの誤差の影響によって加工幅が変化した際に発生する段差誤差の量を抑制することができるため、金型の回折面転写成形面の幅が異なるときの段差誤差が低減される。したがって、段差誤差の小さい高精度の回折面転写成形面を備えた金型が製作され、また、この高精度の金型によって、回折面が高精度の回折光学素子を型成形することができる。
〔請求項3の発明〕
請求項3に係る発明の効果は次のとおりである。
この発明によれば、光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子は、回折面の幅が異なる場合の、段差誤差が抑制されているため、高精度の回折素子が製作される。
すなわち、前記回折素子の回折面を切削工具によって加工するとき、工具の切削部分の輪郭形状の直線形状に対する形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、形状誤差が工具の切り込み方向で最大となる工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度が設定されて状態で切削加工がなされるので、工具輪郭形状の直線からの誤差の影響によって加工幅が変化した際に発生する段差誤差の量を抑制することができるため、回折面の幅が異なるときの段差誤差が低減される。したがって、これにより、回折面の段差誤差が小さい高精度の光学素子が切削成形される。
(a)は、光軸1の方向から見た時に同心円形状となる回折素子2を示す斜視図、(b)は、(a)に示す回折素子の光軸1を含む断面図 は、図1(b)の矢印で示す方向から、回折素子2を見た様子を示す断面図 は、回折素子や、回折素子成形用金型の加工を行う場合の、工具及び回折素子の断面図 は、図1(a)に示す回折素子を切削している様子を示す斜視図 は、加工物である回折素子2を光軸1を中心に回転させることによって、工具3により、回折面の切削が行われる様子を示す断面図 は、工具幅Wの切削工具3を用いて、加工物4に溝5を切削加工する様子を示す断面図 は、図6の溝5の角部A’,C’と切削工具3の角部A、角部Cとの関連を示す模式図 (a)は、切削工具の切削部分の側面図、(b)は、切削部分(刃先)の輪郭形状を縦方向において拡大して示す模式図 (a)は、図8の切削工具を用いて回折面を切削加工する様子を示す模式図であり、(a),(b),(c)は、回折面の幅がそれぞれ異なる場合を示す模式図 (a)は、実際に切削工具で成形した回折面2dの断面形状を示す模式図、(b)は、図(a)の回折面段差と等しい段差の回折面の断面 (a)(b)(c)は、図9(a)(b)(c)により切削加工した回折面2dの輪郭形状を模式的に示す断面図 (a)は、光軸方向から見た回折面の形状が直線状の回折素子の斜視図、(b)は、光軸方向から見た平面図 は、光軸方向から見た回折面の形状が同心円となる回折素子の斜視図、(b)は、光軸方向から見た平面図 は、図13(b)のcc’断面図 (a)は、光軸方向から見た形状が楕円となる回折素子の斜視図、(b)は、光軸方向から見た平面図 (a)は、図15の回折素子を光軸方向から見た平面図、(b)は、図(a)の長軸AA’方向の断面図、図(c)は、図(a)の短軸BB’方向の断面 は、本発明の切削成形方向を実施するための加工装置の一例の斜視図 は、円錐状の被加工物を回転軸線を中心にしてC方向(XYC方向のうちC方向)に回転させて、その円錐面に切削工具で同心円状の回折面を加工している状態を示す斜視図 は、光軸方向から見た回折面の形状が直線となる回折素子の回折面を加工する様子を示す斜視図 は、図15(b)に示すものと同様の光学素子、すなわち、光軸方向からみた形状が楕円形状である回折素子を切削工具で加工の様子を示す斜視図 は、図18,19,20に示す切削加工を行うときの、切削工具と回折面との関係を示す拡大断面図 は、切削加工される回折面と切削工具の傾きとの関係を拡大して示す断面図 は、角度θが90度である回折面を加工する様子を拡大して示す断面図 は、切削工具の直線ACが形状誤差0の直線ではなく、下方に凸の円弧状に輪郭誤差がある場合の切削工具の切削部分の一例を拡大して示す断面図 (a)は、切削工具を左方に角度φだけ傾斜させて切削加工する動作状態の一例の説明図、図(a')は、その切削部分の縦方向を横方向の1000倍に拡大した拡大図、図(b)は、切削工具を傾斜させて切削加工する動作状態の他の一例の説明図、図(b')は、その切削部分の縦方向を横方向の1000倍に拡大した拡大図 は、切削工具を左方に角度φだけ傾けた状態で加工した回折面を拡大して示す断面図
次いで、図17〜図26を参照して、この発明の実施例を説明する。
この発明の切削成形方法を実施するための加工装置の一例が図17に示されている。同図において符号11は被加工物(ワーク)12の回転軸線(Z軸方向軸線)であり、13は切削工具であり、符号14,15,16はそれぞれX軸、Y軸、Z軸方向の移動ステージである。また、符号17はY軸方向の回転軸線を中心としてB方向に回転する回転体であり、当該回転体17に工具(切削工具)13が保持されていて、回転体17の回転によって工具13の傾き角度が調節される。また符号18はZ軸方向の回転軸線を中心としてC方向に回転する回転体であり、当該回転体18に被加工物12が保持されていて、回転体18の回転によって被加工物12が駆動される。さらに符号19は加工機のベースを示している。
被加工物12に対する工具13による切削加工は、加工物12に対する工具13による切削加工は、移動ステージ14,15,16の上記X軸、Y軸、Z軸方向の直線運動と、回転体17のB方向回転運動と、回転体18のC方向回転運動とによって行われる。
被加工物12を回転軸線11を中心にしてC方向に回転させて、切削工具13で回折面20を加工している状態を図18に示している。なお、この場合、上記回転軸線11は回折素子の光軸(図13(a)における光軸1)と一致している。
以上は、図13に示す回折素子の回折面を成形するため加工装置、すなわち、被加工物を回転させて同心円状に回折面を形成する加工装置の基本構造である。
図19は、光軸方向から見た回折面の形状が直線となる回折素子の回折面を加工する様子を示すものであり、同図における符号12は被加工物を、13は切削工具を、20は回折面をそれぞれ示しており、Y軸方向に切削工具13を走査することにより、回折面20を切削加工する。
図20は図15(b)に示すものと同様の光学素子、すなわち、光軸方向からみた形状が楕円形状である回折素子を切削加工する様子を示しており、同図で符号11はZ軸方向の回転軸線を示し、符号12は被加工物を示し、符号13は切削工具を示し、符号20は回折面を示している。矢印31はX軸方向の工具の移動方向を示し、矢印32はZ軸方向の回転軸線回りの回転方向を示している。また、矢印33はY軸方向の回転軸線回りの切削工具の揺動方向を示している。
切削工具13を回折面20の回転中心からの距離に応じて、図の矢印31に示すようにX軸方向に走査させながら、回折素子の光軸と回転軸線11とを一致させた状態で、被加工物12を矢印32方向に回転させることにより、回折面20を加工する。さらに、回折面20の傾き角が段の位置や、輪帯上の位置によって異なる場合は、被加工物12の矢印32方向の回転運動と、切削工具13の矢印31方向の移動と連動して矢印33方向に同工具を揺動させ、適切な角度にして回折面の加工を行う。
図18、図19、図20に示すように、光軸方向から見た形状が同心円、直線、楕円形状と異なっていても、切削工具を回折面に対して相対的に移動させて回折面の切削加工を行う点で違いはない。図21は図18、図19、図20にそれぞれ示している切削加工を行うときの、工具と回折面20との関係を拡大して示しており、同図で符号12は被加工物(回折素子)を示し、符号13は切削工具を示し、符号20は回折面を示している。同図21におけるA’は回折面20の段差部分を示し、Aは回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分(切削部分の角部)であり、Cは工具エッジ部分Aと反対側の工具エッジ部分である。
加工される回折面20と切削工具13の傾きとの関係を図22に示している。
同図22で符号1は回折素子の光軸、符号12は被加工物、符号13は切削工具であり、符号20’は切削加工中の回折面、符号23はZ軸に平行な直線である。上記回折面20’が光軸1に対して角度θだけ傾いているとするとき、この角度θの値は、回折素子の設計によって異なり回折面毎にθの値が異なる場合や、全ての回折面でθが一定となる場合もある。
同図22で、切削工具の切削を行う切削部分(刃先)の稜線を稜線ACとし、この稜線ACが形状誤差0の直線であると仮定すれば、回折面20’を加工するとき、Z軸に平行な直線23に対する上記稜線ACの傾き角が角度θになるように工具13を左方に角度θだけ傾斜させて回折面の切削を行う。
図23は上記角度θが90度の回折面を加工するときの様子を示している。
図23において符号23はZ軸と平行な軸を示しており、符号24は工具13の工具エッジ部分(角部分)AとCを結んだ直線であり、当該直線24が形状誤差0の直線であると仮定すれば、直線23と直線24とがなす角度がθ=90度となるようにして回折面20’を切削する。
しかし、上記直線24が形状誤差0の稜線ACと同じではなくて下方に凸の円弧形状で輪郭誤差がある場合は、前述のとおりの問題が生じる(図8(b)、図11参照)。この場合の工具13の切削部分を拡大して図24に示している(同図では縦方向を横方向の1000倍に拡大)。当該工具13の直線23はZ軸(図23参照)と平行で稜線AC上の点Bをとおる直線であり、工具幅は400μmで、切削部分の稜線ABCの最下点Bが工具エッジ部分(角部)A,Cの中間位置にあって、直線ACからのずれ量は100nmである。
図25に図24に示す工具を用いた際の本発明の動作を示す。図で23は図23でZ軸と平行な直線を、13は切削工具を、25はABを結んだ直線を、26はX軸と平行な直線を示している。またB’はACとZ軸と平行な直線23とが交わる点である。図で、(a)、(b)は縦方向、横方向の比は1:1で示している。(a')、(b')は(a)、(b)の動作を行った際に工具のAC部分を拡大して表示したものである。また、(a')、(b')では縦方向は横方向の1000倍で表示している。図で(a)、(a')はZ軸と平行な直線23とACが直角になっている状態を示している。(a')でA,Cは同じ高さで、BはACより100nm下に突き出ている。図でAB’の長さは工具幅400μmの半分である2000μm,BB’の長さはBのACからのずれ量である100nmとなる。
よって、直線ABと直線26とがなす角度φは約0.029度となる。
工具13を左方向に角度φ(約0.029度)だけ傾斜させて直線ABを上記直線26(点AをとおりX軸と平行な直線)とを重ね合わせ、この状態で回折面(図21の回折面20)を切削加工する。これが図25(b)の状態である。この傾斜角度φは微小であるから、縦横比が1:1である図(b)では目視上は傾きはゼロに等しいが、図(b')では縦方向(Z軸方向)に1000倍に拡大されているので、この傾きも拡大して示されている。
上記のように、切削工具13を左方に角度φだけ傾けた状態で、回折面を加工した状態を図26に示している。同図におけるda,db,dcは図11に示す従来の切削方法による回折面の高さ(段差)を示しており、da’,db’,dc’はこの実施例の切削方法による回折面の高さを示している。da’>da、db’>db、dc’>dcとなっており、いずれの幅においても、本発明を適用することにより、適用前に比べて狙いの段差dに近い値となり、回折面の幅が狭い場合にその効果が一層顕著であることが明らかである。
11:回転軸線
12:被加工物
13:切削工具
14,15,16:移動ステージ
17,18:回転体
19:加工機のベース
20,20’:回折面
23:Z軸と平行な直線
24:工具エッジ部A,Bを結んだ直線
25:稜線AC上の点BとAを結んだ直線
26:X軸と平行で点Bをとおる直線
28:点Aと、点Aから送りピッチ分だけ離れた位置での工具稜線上の点Dとを結んだ直線
A,C:工具の切削部分の工具エッジ部分
B:工具の切削部分の輪郭形状の最下点
D:点Aから送りピッチ分だけ離れた位置の輪郭形状上の点
φ:直線25と26の間の角度
特開2007−30055号公報

Claims (4)

  1. 光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折面を備えた回折素子成形用金型の切削成形方法であって、
    前記金型の回折面を切削工具の刃先の直線部分を転写することによって加工するとき、切削工具の切削部分の輪郭形状の直線形状に対する形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、形状誤差が工具の切り込み方向で最大となる工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度を設定して切削加工を行うことにより回折面を形成することを特徴とする、回折素子成形用金型の切削成形方法。
  2. 光軸を含む平面による回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子を成形する金型であって、前記金型の回折面を切削工具の直線部分を転写することによって加工を行うとき、切削工具の切削部分の輪郭形状の直線形状からの形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、形状誤差が工具の切り込み方向で最大となる工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度を設定して切削加工を行って回折面を形成したことを特徴とする回折素子成形用金型。
  3. 光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子の切削成形方法であって、
    前記回折素子の回折面を切削工具の直線部分を転写することによって加工するとき、切削工具の切削部分の輪郭形状の直線形状からの形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、形状誤差が工具の切り込み方向で最大となる工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度を設定して切削加工を行うことにより回折面を形成することを特徴とする、回折素子の切削成形方法。
  4. 光軸を含む断面における回折面の断面形状が直線で構成され、かつ、光軸方向から見た形状が、同心円、直線、楕円形状となる回折素子であって、
    前記回折素子の回折面を切削工具の直線部分を転写することによって加工を行うとき、切削工具の切削部分の輪郭形状の直線形状からの形状誤差の値に基づき、回折面の段差部分を加工する工具エッジ部分と、形状誤差が工具の切り込み方向で最大となる工具稜線上の点とを結んだ直線が加工対象の回折面と平行となるように工具の傾き角度を設定して切削加工を行うことにより回折面を形成した回折素子。
JP2009016227A 2009-01-28 2009-01-28 回折素子成形用金型及びその加工方法 Expired - Fee Related JP5304268B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009016227A JP5304268B2 (ja) 2009-01-28 2009-01-28 回折素子成形用金型及びその加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009016227A JP5304268B2 (ja) 2009-01-28 2009-01-28 回折素子成形用金型及びその加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010172987A JP2010172987A (ja) 2010-08-12
JP5304268B2 true JP5304268B2 (ja) 2013-10-02

Family

ID=42704430

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009016227A Expired - Fee Related JP5304268B2 (ja) 2009-01-28 2009-01-28 回折素子成形用金型及びその加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5304268B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2476995A1 (en) * 2011-01-12 2012-07-18 Canon Kabushiki Kaisha Apparatus and method for measuring displacement, method of making die for molding optical element, and optical element

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6248407A (ja) * 1985-08-28 1987-03-03 Hitachi Ltd 切削工具設定装置
JPH01193103A (ja) * 1988-01-27 1989-08-03 Komatsu Ltd 前切刃角調整装置及びその調整方法
JPH07237004A (ja) * 1993-12-28 1995-09-12 Matsushita Electric Ind Co Ltd 切削工具セッティング装置及びその方法
JP3963750B2 (ja) * 2002-03-25 2007-08-22 日本電産サンキョー株式会社 曲面切削加工方法
JP2004058235A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Canon Inc 加工方法、加工装置および回折格子金型
JP2007030055A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Konica Minolta Opto Inc 切削工具、加工方法、加工装置及び光学素子成形用金型
JP5035962B2 (ja) * 2007-03-15 2012-09-26 株式会社リコー 回折光学素子成形金型の加工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010172987A (ja) 2010-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060032346A1 (en) Curved surface cutting processing method
JP4658667B2 (ja) 輪帯光学素子の製造方法および輪帯光学素子用金型の製造方法
JP5355206B2 (ja) 加工装置および加工方法
US20170010599A1 (en) Cutting method and tool path generating device
US20080273253A1 (en) Method for producing mold for zonal optical element
JP6006959B2 (ja) 凹部の形成方法、角隅部の仕上げ加工方法および金型の製造方法
JP2009184066A (ja) 凹型フレネルレンズ形状部材の加工方法及び凹型フレネルレンズ形状部材
JP4702951B2 (ja) 数値制御単一刃具による輪郭面及び立体の加工方法
JP5304268B2 (ja) 回折素子成形用金型及びその加工方法
US20070212177A1 (en) Machining tools having concave cutting surfaces for precision machining and methods of manufacturing such
JP2006334767A (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
CN109676803B (zh) 一种圆盘锯粗加工石材多边形区域的方法
JP5035962B2 (ja) 回折光学素子成形金型の加工法
JP5705355B1 (ja) 壁部の加工方法および工具経路生成装置
JP2004219494A (ja) 光学素子の製造方法
JP2014151396A (ja) 旋削による非円形加工方法
JP4556676B2 (ja) プレス金型の抜き刃の二番逃がし部加工方法
JP2006289871A (ja) 輪帯光学素子の製造方法および輪帯光学素子用金型の製造方法
JPH10142405A (ja) フレネルレンズおよびフレネルレンズ成形用金型
JP2007090489A (ja) 金型の切削加工方法及び装置
US20100035524A1 (en) Method of producing optical element, and optical element
JP2010188525A (ja) 加工方法
JP2008142799A (ja) 回折溝の加工方法
US11642748B2 (en) Machining program creation method, workpiece machining method, and machine tool control device
JP2008023687A (ja) 軸非対称非球面の作製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130610

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5304268

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees