JP5302705B2 - レーザ光照射装置及び照射方法 - Google Patents

レーザ光照射装置及び照射方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5302705B2
JP5302705B2 JP2009029934A JP2009029934A JP5302705B2 JP 5302705 B2 JP5302705 B2 JP 5302705B2 JP 2009029934 A JP2009029934 A JP 2009029934A JP 2009029934 A JP2009029934 A JP 2009029934A JP 5302705 B2 JP5302705 B2 JP 5302705B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pattern
irradiation
processing
laser beam
laser light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009029934A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010184265A (ja
Inventor
政明 坂倉
一之 平尾
清貴 三浦
靖彦 下間
昇央 福智
晴康 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Priority to JP2009029934A priority Critical patent/JP5302705B2/ja
Publication of JP2010184265A publication Critical patent/JP2010184265A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5302705B2 publication Critical patent/JP5302705B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、加工対象物に対してパルスレーザ光を照射して、その加工を行うレーザ光照射装置、及びレーザ光照射方法に関するものである。
レーザ光源から出力されたレーザ光を、レンズ等による結像光学系によって集光しつつ加工対象物に照射することにより、その照射位置で加工対象物を加工することができる。また、所定の移動方向(走査方向)にレーザ光の照射位置を変えながら走査を行うことにより、加工対象物に対して様々なパターンで加工を行うことができる。このような加工の例としては、例えば、石英ガラスなどの加工対象物にフェムト秒レーザ光を照射して、その内部の集光点(加工点)のみで起こる非線形光吸収を利用して、所定パターンの光導波路を形成するレーザ加工が挙げられる(特許文献1、2、非特許文献1参照)。
特開2004−196585号公報 特開2005−205464号公報
Ik-Bu Sohn et al., "Fabrication of photonic devices directlywritten within glass using a femtosecond laser", OPTICS EXPRESS Vol.13,No.11, pp.4224-4229 (2005) M. Frigo and S.G. Johnson, "The Design and Implementation of FFTW3", in Proc. IEEE,vol.93, no.2, pp.216-231 (2005)
上記した加工対象物に対する光導波路の形成では、具体的な導波路パターンにより、照射位置の移動方向に沿って複数の光導波路を形成することが必要な場合がある。このような場合、光導波路を形成するためのレーザ光による加工対象物の移動方向への走査を複数回、繰り返して実行することにより、それらの光導波路を形成することが可能である。しかしながら、そのような方法では、加工に要する時間が長くなるという問題がある。
一方、レーザ光照射による加工に要する時間を短縮して、その加工効率を向上する方法として、ホログラムを用いて加工対象物に照射するレーザ光を位相変調する方法が考えられる。具体的には、例えば、位相変調型の空間光変調器において所定のホログラムパターンを呈示し、レーザ光源から出力されたパルスレーザ光を空間光変調器によって位相変調し、その位相変調後の変調レーザ光を加工対象物に照射する。
このような方法では、空間光変調器に呈示されるホログラムパターンを制御することにより、例えば複数の加工点に同時にレーザ光を集光照射する照射パターンを用いた多点同時加工など、複雑な形状の一括加工を実現することができる。また、このようなレーザ光照射において、その照射位置を移動方向に走査することにより、複数の光導波路を同時に形成することが可能となる。しかしながら、ホログラムを用いる加工方法では、例えば所望の加工パターンに斜めパターン、曲線パターン等が含まれている場合に、レーザ光照射によって形成されるパターンの連続性が充分に得られないという問題がある。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、加工対象物に対するレーザ光照射による加工パターンの連続性を向上することが可能なレーザ光照射装置、及びレーザ光照射方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明によるレーザ光照射装置は、加工対象物に対して、所定の移動方向に照射位置を変えながら加工用のパルスレーザ光を照射するレーザ光照射装置であって、(1)加工対象物に対して照射するパルスレーザ光を出力するレーザ光源と、(2)パルスレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素においてレーザ光の位相を変調するホログラムパターンを呈示して、その位相変調後の変調レーザ光を出力する位相変調型の空間光変調器と、(3)変調レーザ光をホログラムパターンに対応する照射パターンで加工対象物に結像する結像光学系と、(4)空間光変調器に呈示されるホログラムパターンを制御する制御部とを備え、(5)制御部は、加工対象物の第1照射位置に対して適用される第1ホログラムパターン及び第1照射パターンと、第1照射位置に隣接する第2照射位置に対して適用される第2ホログラムパターン及び第2照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数が異なるように、ホログラムパターンを制御することを特徴とする。
また、本発明によるレーザ光照射方法は、加工対象物に対して、所定の移動方向に照射位置を変えながら加工用のパルスレーザ光を照射するレーザ光照射方法であって、(1)加工対象物に対して照射するパルスレーザ光を出力する出力ステップと、(2)パルスレーザ光を位相変調型の空間光変調器に入力し、空間光変調器の2次元配列された複数の画素においてレーザ光の位相を変調するホログラムパターンを呈示して、その位相変調後の変調レーザ光を出力する変調ステップと、(3)変調レーザ光をホログラムパターンに対応する照射パターンで加工対象物に結像する結像ステップと、(4)空間光変調器に呈示されるホログラムパターンを制御する制御ステップとを備え、(5)制御ステップにおいて、加工対象物の第1照射位置に対して適用される第1ホログラムパターン及び第1照射パターンと、第1照射位置に隣接する第2照射位置に対して適用される第2ホログラムパターン及び第2照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数が異なるように、ホログラムパターンを制御することを特徴とする。
上記したレーザ光照射装置、及び照射方法では、空間光変調器に呈示されたホログラムパターンによってパルスレーザ光を位相変調する。そして、得られた変調レーザ光を対応する照射パターンで加工対象物に結像して、レーザ光照射による対象物の加工を行うとともに、その照射位置を所定の移動方向に走査する構成としている。このような構成では、例えば光導波路の形成において加工対象物に複数の光導波路を同時に形成するなど、様々な加工パターンでの対象物の効率的な加工が可能となる。
さらに、レーザ光照射による対象物の加工において、第1照射位置でのホログラムパターン及び照射パターンと、隣接する第2照射位置でのホログラムパターン及び照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数(分割数)が異なるように、ホログラムパターンを制御している。
このような構成によれば、例えば目的とする加工パターンに斜めパターン、曲線パターン等が含まれている場合であっても、照射位置の走査に伴ってホログラムパターン及びレーザ光の照射パターンでのパターンの要素数を可変に設定することにより、レーザ光照射による加工パターンの連続性を充分に向上して、滑らかなパターンを形成することが可能となる。上記したパターン要素数は、数値計算によってホログラムパターン(CGHパターン)を作成する際に、その元となるパターンであってレーザ光の照射パターンに対応するターゲットパターンでのパターン要素数の設定によって制御することができる。
ここで、レーザ光照射装置は、制御部が、第1照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素と、第2照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素とについて、それらを合わせた全体の加工パターンにおいて加工対象要素同士が接続された状態となるように、ホログラムパターンを制御することが好ましい。同様に、レーザ光照射方法は、制御ステップにおいて、第1照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素と、第2照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素とについて、それらを合わせた全体の加工パターンにおいて加工対象要素同士が接続された状態となるように、ホログラムパターンを制御することが好ましい。レーザ光照射に用いるホログラムパターンを、連続する照射パターン間での加工対象要素の接続を考慮して上記のように作成、制御することにより、照射位置の移動方向に沿った加工パターンの連続性を確実に得ることができる。
また、照射装置は、制御部が、各照射パターンでの加工対象要素の要素幅について、加工対象要素内で照射されるレーザ光の強度分布及び加工閾値によって決まる加工幅を考慮し、加工幅の範囲内で加工対象要素同士が接続された状態となるように、ホログラムパターンを制御することが好ましい。同様に、照射方法は、制御ステップにおいて、各照射パターンでの加工対象要素の要素幅について、加工対象要素内で照射されるレーザ光の強度分布及び加工閾値によって決まる加工幅を考慮し、加工幅の範囲内で加工対象要素同士が接続された状態となるように、ホログラムパターンを制御することが好ましい。これにより、レーザ光照射による加工幅がパターンの要素幅(分割幅)よりも小さいなどの場合であっても、加工パターンの連続性を確実に得ることができる。
レーザ光照射によって形成される加工パターンについては、照射装置は、制御部が、第1照射パターン及び第2照射パターンのそれぞれが、その照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素として複数の加工対象要素を有するように、ホログラムパターンを制御することとしても良い。同様に、照射方法は、制御ステップにおいて、第1照射パターン及び第2照射パターンのそれぞれが、その照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素として複数の加工対象要素を有するように、ホログラムパターンを制御することとしても良い。このような構成によれば、例えば複数の光導波路を含む導波路パターンなどの加工パターンでの対象物の加工において、多点同時加工、走査によってレーザ光照射による加工に要する時間を短縮して、その加工効率を向上することが可能となる。
また、照射装置は、ホログラムパターンによって変調された変調レーザ光が所定の照射位置に照射されるように加工対象物を支持する加工ステージと、加工対象物に対する変調レーザ光の照射位置を移動方向に可変に設定する照射位置設定部とをさらに備える構成としても良い。この場合、制御部は、空間光変調器に呈示されるホログラムパターン、及び照射位置設定部によって設定される照射位置を制御することが好ましい。
同様に、照射方法は、ホログラムパターンによって変調された変調レーザ光が所定の照射位置に照射されるように加工対象物を支持する加工ステージと、加工対象物に対する変調レーザ光の照射位置を移動方向に可変に設定する照射位置設定部とをさらに用いる構成としても良い。この場合、制御ステップにおいて、空間光変調器に呈示されるホログラムパターン、及び照射位置設定部によって設定される照射位置を制御することが好ましい。
このような構成によるレーザ光照射装置及び照射方法は、例えば、上記した光導波路素子の製造などに用いられる対象物加工装置及び加工方法として、好適に用いることが可能である。
本発明のレーザ光照射装置、及びレーザ光照射方法によれば、空間光変調器に呈示されたホログラムパターンによってパルスレーザ光を位相変調し、変調レーザ光を対応する照射パターンで加工対象物に結像し、その照射位置を所定の移動方向に走査するとともに、第1照射位置でのホログラムパターン及び照射パターンと、隣接する第2照射位置でのホログラムパターン及び照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数が異なるように、ホログラムパターンを制御することにより、レーザ光照射による加工パターンの連続性を充分に向上することが可能となる。
レーザ光照射装置の一実施形態の構成を概略的に示す図である。 レーザ光照射による光導波路の形成について示す図である。 ホログラムを用いた場合のレーザ光の照射パターンについて示す図である。 空間光変調器に呈示されるホログラムパターン及び対応するレーザ光の照射パターンの例を示す図である。 空間光変調器に呈示されるホログラムパターン及び対応するレーザ光の照射パターンの例を示す図である。 ホログラムを用いた場合のレーザ光の照射パターンについて示す図である。 レーザ光の照射パターンでのパターン要素数、及び加工対象要素の要素番号の設定の例を示す図である。 光導波路素子の作製に用いられるレーザ光の照射パターンを示す図である。 レーザ光照射による光導波路素子の作製例を示す図である。
以下、図面とともに本発明によるレーザ光照射装置、及びレーザ光照射方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、レーザ光照射装置の一実施形態の構成を概略的に示す図である。本実施形態によるレーザ光照射装置1Aは、加工対象物30に対して所定の移動方向(走査方向)に照射位置を変えながら加工用のパルスレーザ光を照射して、対象物30の加工を行う装置である。このレーザ光照射装置1Aは、レーザ光源10と、空間光変調器15と、縮小光学系20と、対物レンズ25と、加工ステージ35と、レーザ光照射制御部50とを備えて構成されている。
レーザ光源10は、加工対象物30に対して照射されるべき加工用のパルスレーザ光を出力する光源である(出力ステップ)。このようなレーザ光源10としては、例えばチタンサファイヤレーザ光源、Yb:KGWレーザ光源、Yb:KYWレーザ光源、Yb:YAGレーザ光源、Cr:Forsteriteレーザ光源、アレキサンドライトレーザ光源、Nd:YAGレーザ光源、Nd:YLFレーザ光源などのパルスレーザ光源を好適に用いることができる。レーザ光源10から出力されたパルスレーザ光は、直接に、あるいは所定の光学系を介して、空間光変調器15へと入力される。
空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)15は、2次元配列された複数の画素を有する位相変調型の変調器である。この変調器15は、レーザ光源10からのパルスレーザ光を入力するとともに、複数の画素においてレーザ光の位相を変調するホログラムパターンを呈示して、その位相変調後の変調レーザ光を出力する(変調ステップ)。
この空間光変調器15は、反射型のものであっても良いし、透過型のものであっても良い。反射型の空間光変調器15としては、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)型、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型、及び光アドレス型の変調器などを用いることができる。また、透過型の空間光変調器15としては、LCD(Liquid Crystal Display)などを用いることができる。図1においては、空間光変調器15として、LCOS型空間光変調器(LCOS−SLM)を用いた場合を例示している。
空間光変調器15の動作、及び空間光変調器15に呈示されるホログラムパターンは、SLM駆動部16によって駆動制御されている。駆動部16は、空間光変調器15の複数の画素のそれぞれにおける位相変調量を設定するものであり、その画素毎の位相変調量を設定するための信号を変調器15に供給することによって、変調器15において、所定のホログラムパターンを呈示させる。
空間光変調器15においてホログラムパターンに応じて位相変調された加工用のパルスレーザ光である変調レーザ光に対し、加工対象物30は、加工ステージ35上に載置されている。この加工ステージ35は、変調レーザ光が所定の照射位置に照射されるように加工対象物30を支持する支持ステージである。
加工ステージ35としては、具体的には例えば、光学系に対する加工対象物30の位置を水平方向(x軸方向、y軸方向)に移動することが可能なXYステージを用いることができる。また、加工ステージ35については、加工対象物30の位置を垂直方向(z軸方向)についても調整する必要がある場合には、水平方向及び垂直方向に移動することが可能なXYZステージを用いても良い。なお、以下においては、加工対象物30へのレーザ光照射による加工において、水平方向の2軸のうちで、レーザ光の照射位置の移動方向をy軸方向、移動方向に直交する方向をx軸方向とする。
加工ステージ35の動作、及びステージ35上に設置されている加工対象物30の位置は、ステージ駆動部36によって駆動制御されている。本実施形態においては、このような構成により、可動ステージである加工ステージ35及びステージ駆動部36によって、加工対象物30に対する変調レーザ光の照射位置を移動方向(y軸方向)に可変に設定する照射位置設定部が構成されている。
空間光変調器15と、加工ステージ35上の加工対象物30との間には、変調器15からの変調レーザ光を所定の導光条件で導光し、ホログラムパターンに対応する照射パターンで加工対象物30に結像する結像光学系が設けられている(結像ステップ)。図1に示す構成では、この結像光学系は、レンズ21、22を有する縮小光学系20と、縮小光学系20を通過したレーザ光を対象物30に集光照射する対物レンズ25とによって構成されている。
また、レンズ21、22の間には、空間光変調器15からの変調レーザ光のうちで、所望の次数の回折光のみを通過させるマスク(例えば0次光カットマスク)23が設けられている。また、レンズ22、対物レンズ25の間には光分岐ミラー27が設けられ、加工対象物30から光分岐ミラー27を介して導かれた光を撮像装置(例えばCCDカメラ)28で撮像することで、加工対象物30の像を観測することが可能となっている。なお、これらのマスク23、光分岐ミラー27、及び撮像装置28等については、不要であれば設けない構成としても良い。
これらのレーザ光源10、空間光変調器15、縮小光学系20及び対物レンズ25による結像光学系、及び加工ステージ35を含むレーザ光照射装置1Aに対し、装置の各部の動作を制御するレーザ光照射制御部50が設けられている。この照射制御部50は、空間光変調器15に呈示されるホログラムパターン、及び照射位置設定部によって設定される加工対象物30へのレーザ光の照射位置を制御することで、レーザ光照射における加工対象物30への照射条件、及びその加工動作を制御する(制御ステップ)。このような制御部50は、例えばCPU、ROM、RAM等を有するコンピュータによって構成することができる。
図1に示す構成では、制御部50は、照射条件制御部51からの指示により、SLM駆動部16を介して空間光変調器15の動作を制御することで、変調器15に呈示されるホログラムパターンを制御する。また、制御部50は、照射位置制御部52からの指示により、ステージ駆動部36を介して加工ステージ35の動作を制御することで、加工対象物30に対するレーザ光の照射位置を制御する。
さらに、制御部50は、レーザ光照射の移動方向への走査において、加工対象物30の第1照射位置に対して適用される第1ホログラムパターン及び第1照射パターンと、第1照射位置に隣接する第2照射位置に対して適用される第2ホログラムパターン及び第2照射パターンとで、照射位置の移動方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)でのパターンの要素数Nが異なるように、すなわち、パターンの要素数Nが可変に設定されるように、ホログラムパターンを制御する。
上記のホログラムパターンの制御において、各照射位置で用いられるホログラムパターンは、あらかじめ作成されて対応する照射位置の情報等とともに制御部50内のメモリに格納しておくことが好ましい。あるいは、各位置でのレーザ光照射において、その都度、ホログラムパターンを作成する構成としても良い。また、空間光変調器15において呈示されるホログラムパターンとしては、好ましくは数値計算によって求められるホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)が用いられる。なお、制御部50によるホログラムパターンの制御、及びそれによる対象物30へのレーザ光の照射パターンの制御については、具体的には後述する。
また、本実施形態では、照射制御部50に対して、表示装置56、及び入力装置57が接続されている。表示装置56は、加工対象物30に対するレーザ光照射に関して必要な情報を操作者に表示する場合に用いられる。また、入力装置57は、レーザ光照射の条件設定、あるいはその実行等に必要な情報、指示の入力に用いられる。
上記実施形態によるレーザ光照射装置1A、及び照射装置1Aにおいて行われるレーザ光照射方法の効果について説明する。
図1に示したレーザ光照射装置1A、及びレーザ光照射方法では、空間光変調器15に呈示されたホログラムパターンによってレーザ光源10から供給されるパルスレーザ光を位相変調する。そして、得られた変調レーザ光を対応する照射パターンで加工対象物30に結像して、レーザ光照射による対象物30の加工を行うとともに、その照射位置を所定の移動方向(y軸方向)に走査する構成としている。このような構成では、様々な加工パターンでの対象物の効率的な加工が可能となる。
さらに、レーザ光照射による対象物30の加工において、制御部50によって、第1照射位置でのホログラムパターン及び照射パターンと、隣接する第2照射位置でのホログラムパターン及び照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数(分割数)が異なるように、ホログラムパターンを制御している。このような構成によれば、照射位置の走査に伴ってパターンの要素数を可変に設定することにより、レーザ光照射による加工パターンの連続性を充分に向上することが可能となる。
加工対象物30に対するレーザ光照射による対象物30の加工、図1に示した照射装置1Aの動作、及びその効果についてさらに説明する。なお、以下においては、加工対象物30として、石英ガラスなどの所定材料からなる基板を用い、その内部のレーザ光集光点で起こる非線形光吸収による屈折率変化を利用して、基板の内部に所定パターンの光導波路を形成する場合を例として説明する。ここで、図2は、レーザ光照射による光導波路の形成について模式的に示す図である。
加工対象物30に対するレーザ光照射による光導波路の形成において、照射位置の移動方向に沿って複数の光導波路を形成する場合、レンズ等による通常の結像光学系を用いてレーザ光を照射する構成では、上述したように、レーザ光による加工対象物30の走査を複数回、繰り返して実行する必要がある。
そのような光導波路素子の作製の一例として、図2(a)に示すY分岐構造を有する光分波素子を考える。この光分波素子の加工において、図中の横方向をレーザ光の照射位置の移動方向とし、この移動方向に沿って、光導波路が1本の左側の領域の長さをl1=1mm、光導波路が2本の中央の領域の長さをl2=5mm、光導波路が4本の右側の領域の長さをl3=4mmとし、また、加工時におけるレーザ光の走査速度を10μm/sとする。このとき、レーザ光による走査を1回のみ行う場合には1000sの時間で加工が可能であるのに対して、光導波路1本毎に1回の走査が必要な場合には、合計で100s+500s×2+400s×4=2700sの長い加工時間を要することとなる。
これに対して、上記したようにホログラムを用いて加工対象物へのレーザ光の照射パターンを制御する構成では、図2(a)に示す例のように複数本の光導波路を形成するなどの場合でも、その加工に要する時間を短縮することが可能である。すなわち、ホログラムを用いる方法では、図2(b)に示すように、加工対象物30に対する1回のレーザ光照射での照射パターンPの複数の要素(画素)において、レーザ光が集光照射されて対象物30に対して加工が行われる加工対象要素として、移動方向に直交する方向について複数の加工対象要素(加工対象部位)A、Bを設定することが可能である。この場合、加工対象要素A、Bを移動方向に走査することにより、複数本の光導波路を同時に一括加工することができる。
一方、このようにホログラムを用いる構成では、図2(c)に示すように、レーザ光の照射位置の走査において、走査される加工パターンが滑らかにならず、加工パターンの変化に対応する加工対象要素の切替点Sにおいて、パターンの連続性が充分に得られない場合がある。これに対して、上記したレーザ光照射装置1Aでは、ホログラムパターン及びレーザ光の照射パターンでのパターンの要素数を固定とするのではなく、移動方向への照射位置の走査に伴って、パターンの要素数を可変に設定している。これにより、例えば目的とする加工パターンに斜めパターン、曲線パターン等が含まれている場合であっても、レーザ光照射による加工パターンの連続性を充分に向上して、滑らかなパターンを形成することが可能となる。
ホログラムパターン及びレーザ光の照射パターンでの上記したパターン要素数は、数値計算によってホログラムパターン(CGHパターン)を作成する際に、その元となるパターンであってレーザ光の照射パターンに対応するターゲットパターンでのパターン要素数の設定によって制御することができる。したがって、上記構成を実現するためには、複数のレーザ光照射位置に対するホログラムパターンの作成において、パターン要素数を可変とした条件下で、所望の加工パターンに応じて各照射位置でのターゲットパターンを設定し、そのターゲットパターンからホログラムパターンを作成することが好ましい。
図3は、空間光変調器15に呈示されるホログラムパターンによる変調を用いた場合の加工対象物30へのレーザ光の照射パターンについて模式的に示す図である。レーザ光を変調するホログラムパターンにおいて、パターンの要素数をx軸方向、及びy軸方向ともにNとした場合、そのN×Nのホログラムパターンによって得られるレーザ光の照射パターンは、その全体の照射領域をN×Nの領域に分割したパターンとなる。このような照射パターンは、上述したように、CGHパターンを作成する際に元パターンとして用いられるターゲットパターンに対応している。
図3(a)は、そのような照射パターンの一例として、N=10とした場合のパターンの構成を示している。ここでは、x軸方向でのパターンの要素番号をn=1、2、…、Nとし、y軸方向(照射位置の移動方向)でのパターンの要素番号をn=1、2、…、Nとしている。また、このような構成において、ホログラムパターンによって生成されるレーザ光の照射パターンでの最大の光像の大きさLは、下記の式

によって与えられる。ここで、λは加工用のレーザ光の波長、fは結像光学系でのレンズの焦点距離、Mは光像の縮小倍率、Δdは空間光変調器の画素サイズを示している。
また、このような照射パターンにおいて、対象物30の加工での加工対象要素(レーザ光照射要素)となる要素番号(n,n)のパターン要素を考え、CGHパターン作成時のターゲットパターンでの各パターン要素の中心点(代表点)の座標を
(x,y)=(n−0.5,n−0.5)
とする。このとき、加工対象物30へのレーザ光の照射パターンにおいて、パターン要素の中心点に対応する光像の中心点の座標P(x,y)は、

となる。
このようなホログラムを用いた加工において、照射位置を移動方向に変えながらパルスレーザ光を照射して、光導波路の形成などの対象物30の加工を行う場合、対象物30に対するk回目のレーザ光照射での加工対象要素と、それに続くk+1回目のレーザ光照射での加工対象要素とが、全体の加工パターンにおいて接続されている必要がある。
具体的には、k回目のレーザ光照射での照射パターンにおける加工対象要素の中心点の座標を
(P(x),P(y))
とし、また、k+1回目のレーザ光照射での加工対象要素の中心点の座標を
(P(xk+1),P(yk+1))
とする。この場合、これらの中心点間の距離Δは、

によって求められる。
この場合、これらの加工対象要素が加工パターンにおいて接続されるためには、レーザ光照射による対象物30の加工幅をwとした場合、上記した距離Δが加工幅wよりも小さくなっている(Δ<w)必要がある。ここで、以下においては、説明の簡単のため、加工対象物30へのレーザ光の照射パターンを、照射位置の移動方向であるy軸方向に直交するx軸方向に延びる1次元の照射パターンとして説明する。
図3(b)は、レーザ光の照射パターンにおけるx軸方向でのパターンの要素数を固定とした場合の加工パターンについて示している。ここでは、y軸方向に移動するレーザ光照射位置に対し、第1照射位置における第1照射パターンP1でのパターン要素数をN=10とし、加工対象要素A1の要素番号をn=5としている。また、第1照射位置に隣接する第2照射位置における第2照射パターンP2でのパターン要素数を同じくN=10とし、加工対象要素A2の要素番号をn=6としている。
この場合、第1照射パターンP1での加工対象要素A1の中心点の座標は
P1(n=5)=(L/10)×4.5=0.45L
となる。また、第2照射パターンP2での加工対象要素A2の中心点の座標は
P2(n=6)=(L/10)×5.5=0.55L
となる。このとき、y軸方向へのレーザ光の照射位置の移動距離が充分に小さいと仮定すると、照射パターンP1、P2間での中心点の移動距離はΔx=0.10Lである。
一方、図3(c)は、レーザ光の照射パターンにおけるx軸方向でのパターンの要素数を可変とした場合の加工パターンについて示している。ここでは、第1照射位置における第1照射パターンP1でのパターン要素数をN=10とし、加工対象要素A1の要素番号をn=5としている。また、第1照射位置に隣接する第2照射位置における第2照射パターンP2でのパターン要素数を第1照射位置とは異なるN=11とし、加工対象要素A2の要素番号をn=6としている。
この場合、第1照射パターンP1での加工対象要素A1の中心点の座標は
P1(n=5)=(L/10)×4.5=0.45L
となる。また、第2照射パターンP2での加工対象要素A2の中心点の座標は
P2(n=6)=(L/11)×5.5=0.50L
となる。このとき、照射パターンP1、P2間での中心点の移動距離は、図3(b)の場合よりも小さくΔx=0.05Lとなる。
このように、y軸方向へのレーザ光の走査による対象物30の加工において、ホログラムパターン及びレーザ光の照射パターンにおけるx軸方向でのパターンの要素数を可変に設定することにより、隣接する照射パターン間での加工対象要素(加工点)の移動距離を小さくして、加工パターンの連続性を向上することが可能となる。このようなホログラムパターン及び照射パターンについてのシミュレーション結果を図4、図5に示す。
図4は、x軸方向でのパターン要素数を固定とする従来法を用いた場合のホログラムパターン、及び対応するレーザ光の照射パターンの例を示す図である。この図4において、図4(a)、(b)は、それぞれパターン要素数をN=512とした場合のホログラムパターン、及びレーザ光の照射パターン(加工対象物30でのレーザ光の結像パターン)を示している。また、図4(c)、(d)は、パターン要素数を同じくN=512とした場合のホログラムパターン及び照射パターンを示している。この例では、パターン要素数を固定としていることにより、対象物30での被加工部位となるレーザ光照射部位(加工対象要素)の連続性が充分に得られていない。
これに対して、図5は、x軸方向でのパターン要素数を可変とする上記方法を用いた場合のホログラムパターン、及び対応するレーザ光の照射パターンの例を示す図である。この図5において、図5(a)、(b)は、パターン要素数をN=128とした場合のホログラムパターン及び照射パターンを示している。また、図5(c)、(d)は、パターン要素数をN=126とした場合のホログラムパターン及び照射パターンを示している。また、図5(e)、(f)は、パターン要素数をN=124とした場合のホログラムパターン及び照射パターンを示している。この例では、パターン要素数を可変としていることにより、対象物30へのレーザ光照射部位の連続性が得られている。
ここで、上記したようにパターン要素数を可変としたホログラムパターン(CGHパターン)の生成、及び制御は、例えばFFTW(非特許文献2参照)を用いたフーリエ変換演算によって実現することが可能である。すなわち、通常のFFTでは、CGH生成におけるパターン要素数Nは2に限定される。これに対して、上記したFFTW等の演算方法を用いることにより、そのパターン要素数Nを可変に設定しつつ、レーザ光照射に用いられるホログラムパターンを好適に作成、制御することができる。なお、ホログラムパターンの作成に用いる演算方法については、具体的にはFFTWに限られるものではなく、他の演算方法を用いても良い。
また、図1に示したレーザ光照射装置1Aにおいて、制御部50によって制御されるレーザ光の照射条件については、上述したように、第1照射パターンP1でレーザ光が照射される加工対象要素A1と、第2照射パターンP2でレーザ光が照射される加工対象要素A2とについて、それらを合わせた全体の加工パターンにおいて加工対象要素A1、A2同士が接続された状態となるようにホログラムパターンを制御することが好ましい。レーザ光照射に用いるホログラムパターンを、連続する照射パターン間での加工対象要素の接続を考慮して上記のように作成、制御することにより、照射位置の移動方向に沿った加工パターンの連続性を確実に得ることができる。
また、レーザ光照射によって形成される加工パターンについては、制御部50は、第1照射パターンP1及び第2照射パターンP2のそれぞれが、その照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素として複数の加工対象要素を有するようにホログラムパターンを制御することとしても良い。このような構成によれば、例えば複数の光導波路を含む導波路パターンなどの加工パターンでの対象物の加工において、多点同時加工、同時走査によってレーザ光照射による加工に要する時間を短縮して、その加工効率を向上することが可能となる。
また、レーザ光照射装置1Aの具体的な構成については、図1に示したように、ホログラムパターンによって変調された変調レーザ光が所定の照射位置に照射されるように加工対象物30を支持する加工ステージ35と、加工対象物30に対する変調レーザ光の照射位置を移動方向に可変に設定する照射位置設定部として機能するステージ駆動部36とを備える構成としても良い。このような構成によるレーザ光照射装置及び照射方法は、例えば、上記した光導波路素子の製造などに用いられる対象物加工装置及び加工方法として、好適に用いることが可能である。
また、レーザ光照射装置1Aにおいて、制御部50は、各照射パターンでの加工対象要素の要素幅について、加工対象要素内で照射されるレーザ光の強度分布及び加工閾値によって決まる加工幅を考慮し、加工幅の範囲内で加工対象要素同士が接続された状態となるようにホログラムパターンを制御することが好ましい。これにより、レーザ光照射による加工幅が要素幅(パターンの分割幅)よりも小さいなどの場合であっても、加工パターンの連続性を確実に得ることができる。
ホログラムを用いたレーザ光照射における加工対象要素の要素幅、及びその実際の加工幅について、図6とともに説明する。図6(a)に模式的に示すように、レーザ光の照射パターンで加工対象(レーザ光の照射対象)として設定された要素内において、レーザ光の照射強度は一定ではなく、例えば中心点で強度が最も大きいガウシアン型の強度分布を示す。このような強度分布において、対象物30を加工するための照射強度の加工閾値Tを考慮すると、実際に対象物30が加工される加工幅w1は、加工対象要素の要素幅w0よりも小さくなる。したがって、レーザ光照射においては、このような実際の加工幅を考慮して、加工に用いるホログラムパターンを作成、制御することが好ましい。
図6(b)は、パターン要素数を可変とした場合の加工パターンの一例を示している。ここでは、図3(c)と同様に、第1照射位置における照射パターンP1でのパターン要素数をN=10とし、加工対象要素A1の要素番号をn=5としている。また、第2照射位置における照射パターンP2でのパターン要素数をN=11とし、加工対象要素A2の要素番号をn=6としている。このとき、照射パターンP1、P2間での中心点の移動距離は、上述したようにΔx=0.05Lとなる。このような照射パターンを用いた場合においても、レーザ光照射による加工幅が要素幅よりも小さい場合、図6(b)に示すように、被加工部位の連続性が充分に得られない場合がある。
一方、図6(c)は、同じくパターン要素数を可変とした場合の加工パターンの他の例を示している。ここでは、第1照射位置における照射パターンP1でのパターン要素数をN=10とし、加工対象要素A1の要素番号をn=5としている。また、第2照射位置における照射パターンP2でのパターン要素数をN=20とし、加工対象要素A2の要素番号をn=10としている。
この場合、第1照射パターンP1での加工対象要素A1の中心点の座標は
P1(n=5)=(L/10)×4.5=0.45L
となる。また、第2照射パターンP2での加工対象要素A2の中心点の座標は
P2(n=10)=(L/20)×9.5=0.475L
となる。このとき、照射パターンP1、P2間での中心点の移動距離は、図6(b)の場合よりも小さくΔx=0.025Lとなる。このように、レーザ光の照射パターンでのパターン要素数、及び加工対象要素の要素番号を好適に設定することにより、対象物30の加工条件を、レーザ光照射による実際の加工幅に応じて制御することが可能である。
上記したレーザ光の照射パターンでのパターン要素数、及び加工対象要素の要素番号の設定については、目的とする加工パターン、及び実際の加工条件でのレーザ光照射による加工幅w1等に基づいて適宜設定すれば良い。図7は、レーザ光の照射パターンでのパターン要素数、及び加工対象要素の要素番号の設定の例を示す図である。
図7(a)は、要素数N=128の照射パターンとN=132の照射パターンとを組み合わせた例を示している。この例では、N=128の照射パターンで要素番号n=7、9の加工要素において、連続的な加工パターンが得られている。また、図7(b)は、要素数N=128の照射パターンとN=164の照射パターンとを組み合わせた例を示している。この例では、N=128の照射パターンで要素番号n=1、5、12の加工要素において、連続的な加工パターンが得られている。また、図7(c)は、要素数N=128の照射パターンとN=226の照射パターンとを組み合わせた例を示している。この例では、N=128の照射パターンで要素番号n=7、11、12、16の加工要素において、連続的な加工パターンが得られている。
上記したレーザ光照射装置及び照射方法を用いた加工対象物30の具体的な加工例として、光導波路素子の作製例について説明する。ここでは、加工対象物を石英ガラスとし、光導波路の形成方向(レーザ光照射での照射位置の移動方向)に沿って導波路間の距離が変化する4本の光導波路を有する導波路パターンを目的の加工パターンとした。また、この導波路パターンにおいて、最も間隔が狭い側での両端の光導波路間の距離を65μm、間隔が広い側での両端の光導波路間の距離を130μmに設定した。
図8は、光導波路素子の作製に用いられるレーザ光の照射パターンを示す図である。図8(a)は、4本の光導波路A〜Dの形成において、x軸方向のパターン要素数Nを64〜128(偶数のみ)で変化させる方法を用いて光導波路の曲線パターンを形成する例を示している。また、図8(b)は、4本の光導波路A〜Dの形成において、x軸方向のパターン要素数Nを512に固定する従来法を用いて光導波路の曲線パターンを形成する例を示している。図8からわかるように、ホログラムパターン及び照射パターンの要素数を固定とした図8(b)の加工パターンに比べ、要素数を可変に設定した図8(a)の加工パターンでは、隣接するパターン同士の接続、連続性が改善されている。
図8(a)の加工パターンを用いて、実際に光導波路素子の作製を行った。ここでは、対象物30の加工に用いるパルスレーザ光の波長をλ=800nm、繰返し周波数を1kHz、パルス幅を100fs、レーザ光の照射位置の移動速度(加工ステージ35の移動速度)を100μm/sとした。また、対物レンズ25としては、Nikon社製で焦点距離がf=9mmのLU Plan 20X(N.A.=0.45)を用いた。対物レンズの通過後でのレーザ光強度は、0.2mW〜1mW/spotであった。
また、レーザ光変調用のホログラムパターンを呈示する空間光変調器15としては、浜松ホトニクス社製のLCOS−SLMを用いた。この変調器の画素サイズはΔd×Δd=20μm×20μm、画素数は800×600である。対象物の石英ガラスの加工においては、レーザ光源から出力されたパルスレーザ光は、上記の空間光変調器において反射され、拡大率M=0.3の光学系及び対物レンズを介して対象物に集光照射される構成とした。図9に、レーザ光照射による光導波路素子の作製例を示す。
このような構成によるレーザ光照射において、加工対象物への照射位置におけるレーザ光の集光点の直径dspot

と求められる。ここで、図8(b)に示したようにパターン要素数をN=512で固定とした場合、レーザ光照射による加工点の最小間隔Δxは

となる。この場合、レーザ光照射による加工パターン同士は部分的には重なるものの、充分に光が導波可能な構造を実現することは難しい。
これに対して、図8(a)に示したようにパターン要素数を可変として加工を行った場合、レーザ光照射による加工点の最小間隔Δxは、要素数N=64からN=66への切り替え時に最大となり、その間隔は

となる。このように、要素数を可変に設定することにより、隣接するパターン同士の連続性を改善して、好適な光導波路パターンを形成することが可能となる。
本発明によるレーザ光照射装置、及びレーザ光照射方法は、上記実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、加工対象物に対するレーザ光の照射位置を可変に設定する照射位置設定部については、図1においては、可動加工ステージ35及びステージ駆動部36によって照射位置を設定する例を示したが、このような構成に限らず、例えば加工ステージを固定とし、光学系側を駆動することで照射位置を可変に設定する構成としても良い。また、加工ステージ及び照射位置設定部については、レーザ光照射装置とは別に設ける構成としても良い。
また、レーザ光源10からのレーザ光を空間光変調器15へと導く導光光学系の構成、及び空間光変調器15からのレーザ光を加工対象物30に結像する結像光学系の構成についても、図1に示した構成に限らず、空間光変調器15の種類や加工対象物30の加工条件等に応じて、具体的には様々な構成の光学系を用いて良い。また、レーザ光照射による具体的な加工の対象については、上記した光導波路素子の作製はその一例を示すものであり、具体的にはそれ以外にも様々な加工に適用することが可能である。
本発明は、加工対象物に対するレーザ光照射による加工パターンの連続性を向上することが可能なレーザ光照射装置、及びレーザ光照射方法として利用可能である。
1A…レーザ光照射装置、10…レーザ光源、15…空間光変調器(SLM)、16…SLM駆動部、20…縮小光学系、21、22…レンズ、23…マスク、25…対物レンズ、27…光分岐ミラー、28…撮像装置、30…加工対象物、35…加工ステージ、36…ステージ駆動部、50…レーザ光照射制御部、51…照射条件制御部、52…照射位置制御部、56…表示装置、57…入力装置。

Claims (10)

  1. 加工対象物に対して、所定の移動方向に照射位置を変えながら加工用のパルスレーザ光を照射するレーザ光照射装置であって、
    加工対象物に対して照射するパルスレーザ光を出力するレーザ光源と、
    前記パルスレーザ光を入力し、2次元配列された複数の画素において前記レーザ光の位相を変調するホログラムパターンを呈示して、その位相変調後の変調レーザ光を出力する位相変調型の空間光変調器と、
    前記変調レーザ光を前記ホログラムパターンに対応する照射パターンで前記加工対象物に結像する結像光学系と、
    前記空間光変調器に呈示される前記ホログラムパターンを制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記加工対象物の第1照射位置に対して適用される第1ホログラムパターン及び第1照射パターンと、前記第1照射位置に隣接する第2照射位置に対して適用される第2ホログラムパターン及び第2照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数が異なるように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とするレーザ光照射装置。
  2. 前記制御部は、前記第1照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素と、前記第2照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素とについて、それらを合わせた全体の加工パターンにおいて加工対象要素同士が接続された状態となるように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とする請求項1記載のレーザ光照射装置。
  3. 前記制御部は、各照射パターンでの前記加工対象要素の要素幅について、前記加工対象要素内で照射されるレーザ光の強度分布及び加工閾値によって決まる加工幅を考慮し、前記加工幅の範囲内で加工対象要素同士が接続された状態となるように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とする請求項2記載のレーザ光照射装置。
  4. 前記制御部は、前記第1照射パターン及び前記第2照射パターンのそれぞれが、その照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素として複数の加工対象要素を有するように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のレーザ光照射装置。
  5. 前記ホログラムパターンによって変調された前記変調レーザ光が所定の照射位置に照射されるように前記加工対象物を支持する加工ステージと、
    前記加工対象物に対する前記変調レーザ光の前記照射位置を前記移動方向に可変に設定する照射位置設定部とを備え、
    前記制御部は、前記空間光変調器に呈示される前記ホログラムパターン、及び前記照射位置設定部によって設定される前記照射位置を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のレーザ光照射装置。
  6. 加工対象物に対して、所定の移動方向に照射位置を変えながら加工用のパルスレーザ光を照射するレーザ光照射方法であって、
    加工対象物に対して照射するパルスレーザ光を出力する出力ステップと、
    前記パルスレーザ光を位相変調型の空間光変調器に入力し、前記空間光変調器の2次元配列された複数の画素において前記レーザ光の位相を変調するホログラムパターンを呈示して、その位相変調後の変調レーザ光を出力する変調ステップと、
    前記変調レーザ光を前記ホログラムパターンに対応する照射パターンで前記加工対象物に結像する結像ステップと、
    前記空間光変調器に呈示される前記ホログラムパターンを制御する制御ステップとを備え、
    前記制御ステップにおいて、前記加工対象物の第1照射位置に対して適用される第1ホログラムパターン及び第1照射パターンと、前記第1照射位置に隣接する第2照射位置に対して適用される第2ホログラムパターン及び第2照射パターンとで、照射位置の移動方向に直交する方向でのパターンの要素数が異なるように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とするレーザ光照射方法。
  7. 前記制御ステップにおいて、前記第1照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素と、前記第2照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素とについて、それらを合わせた全体の加工パターンにおいて加工対象要素同士が接続された状態となるように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とする請求項6記載のレーザ光照射方法。
  8. 前記制御ステップにおいて、各照射パターンでの前記加工対象要素の要素幅について、前記加工対象要素内で照射されるレーザ光の強度分布及び加工閾値によって決まる加工幅を考慮し、前記加工幅の範囲内で加工対象要素同士が接続された状態となるように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とする請求項7記載のレーザ光照射方法。
  9. 前記制御ステップにおいて、前記第1照射パターン及び前記第2照射パターンのそれぞれが、その照射パターンでレーザ光が照射される加工対象要素として複数の加工対象要素を有するように、前記ホログラムパターンを制御することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載のレーザ光照射方法。
  10. 前記ホログラムパターンによって変調された前記変調レーザ光が所定の照射位置に照射されるように前記加工対象物を支持する加工ステージと、
    前記加工対象物に対する前記変調レーザ光の前記照射位置を前記移動方向に可変に設定する照射位置設定部とを用い、
    前記制御ステップにおいて、前記空間光変調器に呈示される前記ホログラムパターン、及び前記照射位置設定部によって設定される前記照射位置を制御することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項記載のレーザ光照射方法。
JP2009029934A 2009-02-12 2009-02-12 レーザ光照射装置及び照射方法 Active JP5302705B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009029934A JP5302705B2 (ja) 2009-02-12 2009-02-12 レーザ光照射装置及び照射方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009029934A JP5302705B2 (ja) 2009-02-12 2009-02-12 レーザ光照射装置及び照射方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010184265A JP2010184265A (ja) 2010-08-26
JP5302705B2 true JP5302705B2 (ja) 2013-10-02

Family

ID=42765243

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009029934A Active JP5302705B2 (ja) 2009-02-12 2009-02-12 レーザ光照射装置及び照射方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5302705B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6014168B2 (ja) 2012-12-21 2016-10-25 株式会社日立製作所 光記録装置及び光記録方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002049002A (ja) * 2000-08-03 2002-02-15 Hamamatsu Photonics Kk レーザ加工装置
JP2003337523A (ja) * 2002-05-17 2003-11-28 Pioneer Electronic Corp ホログラム記録装置及びホログラム再生装置
JP2004196585A (ja) * 2002-12-18 2004-07-15 Nippon Sheet Glass Co Ltd レーザビームにより材料内部に異質相を形成する方法、構造物および光部品
JP2005205464A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Okamoto Glass Co Ltd レーザ加工法、構造物および光学素子
JP4606831B2 (ja) * 2004-08-31 2011-01-05 浜松ホトニクス株式会社 光パターン形成方法および装置、ならびに光ピンセット装置
JP4690066B2 (ja) * 2005-02-07 2011-06-01 株式会社リコー 加工方法、加工装置、回折光学素子の加工方法及びフォトニック結晶の加工方法
JP4947639B2 (ja) * 2007-01-19 2012-06-06 浜松ホトニクス株式会社 反射型位相変装置及び反射型位相変調装置の設定方法
JP4999546B2 (ja) * 2007-05-17 2012-08-15 三菱電機株式会社 レーザビーム強度パターン形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010184265A (ja) 2010-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Geng et al. Ultrafast multi-focus 3-D nano-fabrication based on two-photon polymerization
US10207365B2 (en) Parallel laser manufacturing system and method
JP6022038B2 (ja) レーザビームによるワークピースの処理方法および処理装置
CN102665999B (zh) 激光加工方法
JP3775250B2 (ja) レーザー加工方法及びレーザー加工装置
US20180161923A1 (en) Light modulation control method, control program, control device and laser beam irradiation device
US20220227051A1 (en) Method and Device for Producing a Three-Dimensional Object in an Optically Reactive Starting Material
KR102018412B1 (ko) 광조사 장치
JP2023081899A (ja) シングルプレーンイルミネーション顕微鏡
JP2008272830A (ja) レーザ加工装置
JP2007114403A (ja) 光ピンセット装置
JP4647965B2 (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工装置及びにこれよって作製された構造体
WO2011079006A1 (en) Laser patterning using a structured optical element and focused beam
CN111033350B (zh) 在激光扫描显微镜中扫描激发辐射和/或操纵辐射的光学组件以及激光扫描显微镜
KR101918203B1 (ko) 레이저 처리 장치 및 방법
JP6419558B2 (ja) 観察装置
CN112764320A (zh) 一种多焦点激光并行直写密排纳米结构的光刻曝光系统及方法
CN113985708B (zh) 可连续像旋转调制的超分辨高速并行激光直写方法与装置
CN107209360B (zh) 图像取得装置以及图像取得方法
JP5302705B2 (ja) レーザ光照射装置及び照射方法
EP2453285B1 (en) Illumination optical system
JP4477893B2 (ja) レーザ加工方法及び装置、並びに、レーザ加工方法を使用した構造体の製造方法
JP2013063467A (ja) レーザ加工装置,レーザ加工方法,レーザ照射装置およびレーザ照射方法
JP2008060314A (ja) レーザアニール装置、レーザアニール方法、及び半導体装置の製造方法
JP5199734B2 (ja) レーザ加工装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130621

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5302705

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150