JP5294291B2 - 発電設備 - Google Patents

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Description

本発明は、石炭ガス化ガスにより得られた水素及び酸素との電気化学反応により電力を得る溶融炭酸塩形燃料電池を備えた発電設備に関する。
水素と酸素との電気化学反応により電力を得る溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は、例えば、ニッケル多孔質体の燃料極(アノード)と、例えば、酸化ニッケル多孔質体の空気極(カソード)との間に、電解質(炭酸塩)が挟まれて構成されている。そして、天然ガス等の燃料から得られた水素(H)をアノードに供給すると共に、空気(O)と二酸化炭素(CO)をカソードに供給することで、HとOの電気化学反応により発電が行われる。MCFCは高温で作動するため、高効率でCOを回収分離でき、環境への影響が少ない等の特徴を有している。このため、近年は、水力、火力、原子力に続く発電システムとして注目されてきている。
水素と酸素との電気化学反応により電力を得るMCFCでは、燃料としての水素を得るために、天然ガス等の燃料ガスを改質して水素ガスを得ることが考えられる。一方、供給安定性が高く、発熱量あたりの価格が低廉である石炭をガス化して燃料電池の燃料とする技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。石炭は世界の広い地域に存在し、可採埋蔵量が多く、価格が安定しているため、エネルギーの確保、エネルギー価格の安定に重要な役割を果たしている。
しかし、石炭は発熱量あたりのCOの排出量が天然ガスより多いため、COの削減を考慮した発電設備を構築する必要があるのが現状であり、MCFCの性能を維持しつつCOの削減を考慮した石炭ガス化ガスを用いた発電設備の実現が求められているのが実情である。また一方で、COを分離回収し、地中や海底に隔離する技術が種々研究されてきている。このため、COの削減に留まらず、COの分離回収の容易性も考慮した発電設備が求められているのが実情である。
石炭ガス化ガスを用いた発電設備を構築するに際し、MCFCの性能を維持した状態で、COの削減、COの分離回収の容易性を考慮した場合、発電設備全体の効率を低下させることは避けなければならない。このため、石炭ガス化ガスを用いた発電設備であっても、COを有効に利用し、発電効率を高く維持した状態でCOの分離回収の容易性を両立できる発電設備を構築することが求められている。
特開2000−48844号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、石炭ガス化ガスを用いた溶融炭酸塩形燃料電池を備えた発電設備にあって、Cを有効に利用し、しかも、COの分離回収を容易に行うことができる発電設備を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の発電設備は、Oを吹き込むことで石炭を燃焼してガス化ガスを得る石炭ガス化炉と、石炭ガス化炉で得られたガス化ガスがアノードガスとしてアノードに供給されると共に純O及びCOガスを含むカソードガスがカソードに供給され、アノードガス及びカソードガスの電気化学反応により発電を行う溶融炭酸塩形燃料電池と、カソードのカソード排気及びアノードのアノード排気を燃焼する燃焼器と、燃焼器の燃焼ガスを常圧まで達しない圧力に維持して膨張して動力を得る膨張タービンと、膨張タービンで仕事を終えた排気ガスを冷却して水及びCOガスに分離する凝縮手段と、凝縮手段で分離されたCOガスを回収のために縮する回収CO圧縮機と、前記回収CO 圧縮機で圧縮された高圧のCO ガスを回収する回収設備とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、Oを吹き込むことで石炭を石炭ガス化炉で燃焼させてガス化ガスを生成し、生成されたガス化ガスをアノードガスとして溶融炭酸塩形燃料電池のアノードに供給し、アノードガスと純O及びCOガスを含むカソードガスとの電気化学反応により溶融炭酸塩形燃料電池で発電を行い、溶融炭酸塩形燃料電池の排気を燃焼器で燃焼させ、燃焼器の燃焼ガスを常圧まで達しない圧力に維持して膨張して膨張タービンで動力を得て、膨張タービンの排気ガスを凝縮手段で冷却してCOガスを分離し、分離されたCOガスの一部をCO圧縮機で圧縮し、所定圧力の純Oと共にカソードに圧送すると共に、分離されたCOガスの一部を回収CO圧縮機で圧縮して高圧状態のCOとして回収設備で回収する。
このため、高い発電効率が維持された状態でCOを有効に利用することができ、しかも、高圧状態のCOとして回収されたCOの分離回収を容易に行なうことができ、例えば、隔離のための動力を要することなく地中や海底へのCOの隔離が容易になり、発電設備を構築するための立地に対する自由度が向上する。
そして、請求項2に係る本発明の発電設備は、請求項1に記載の発電設備において、凝縮手段は、膨張タービンで仕事を終えた排気ガスの熱回収を行なう排熱回収手段に収容され、排熱回収手段には排気ガスの熱回収を行なって蒸気を発生させる蒸気発生手段が備えられ、蒸気発生手段で熱回収された排気ガスが凝縮手段に送られることを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、排気ガスとしてのCOの熱エネルギーを排熱回収手段の蒸気発生手段により有効に回収して蒸気を発生させることができる。
また、請求項3に係る本発明の発電設備は、請求項2に記載の発電設備において、蒸気発生手段で発生した蒸気により動力を得る蒸気タービンと、蒸気タービンで仕事を終えた排気蒸気を復水する復水手段と、復水手段からの復水を蒸気発生手段に給水する給水系とを備えたことを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、蒸気発生手段で発生した蒸気により蒸気タービンを駆動して蒸気タービンによりエネルギーを得ることができ、蒸気タービンで仕事を終えた排気蒸気が復水手段で復水されて給水系により蒸気発生手段に給水される。
また、請求項4に係る本発明の発電設備は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発電設備において、凝縮手段で分離されたCOガスの一部を圧縮してカソードに圧送するCO圧縮機と、所定圧力の純OをCO圧縮器で圧縮されたCOガスに供給する酸素供給系とを備えたことを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、膨張タービンの排気ガスのCOを回収し、CO圧縮器で昇圧してカソードガスとして用いることができる。
また、請求項5に係る本発明の発電設備は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発電設備において、回収CO圧縮機で圧縮されたCOを冷却して液体COとする冷却手段を備えたことを特徴とする。
請求項5に係る本発明では、排気ガスとしてのCOを冷却手段で冷却することで高圧の液体COとして回収することができ、例えば、隔離のための動力を要することなく地中や海底にへのCOの隔離が容易になり、発電設備を構築するための立地に対する自由度が大幅に向上する。
また、請求項6に係る本発明の発電設備は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発電設備において、純Oは、深冷分離方式により得られた純Oであることを特徴とする。
請求項6に係る本発明では、加圧状態のOを容易に得ることができ、Oを加圧する設備を備える必要がない発電設備とすることができる。
本発明の発電設備は、石炭ガス化ガスを用いた溶融炭酸塩形燃料電池を備えた発電設備にあって、高い発電効率を維持した状態でCOを有効に利用し、しかも、COの分離回収を容易に行なうことができる発電設備となる。
本発明の一実施形態例に係る発電設備は、Oを吹き込むことで石炭を燃焼して得られるガス化ガス(アノードガス)と、純O及びCOガスを含むカソードガスとで発電を行なう溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を備え、MCFCの排気ガス(COガス)を膨張タービンで膨張させて発電を行ない、膨張タービンの排気ガスを熱回収して蒸気タービンで発電を行い、COガスの一部をCO圧縮機で圧縮して純Oと共にカソードガスとして循環させる。これにより、COの排出量が多い石炭をガス化したガスを用いた場合でも、COガスを有効に利用してMCFCの性能を維持しつつ、高い発電効率を維持してCOの削減を考慮した発電設備となる。
また、COガスの一部を回収CO圧縮機で圧縮し、更に、冷却して高圧の液体COの状態で回収するようになっている。これにより、高圧の液体COとしてCOを回収することができ、地中や海底に隔離するための動力分の圧力を確保した状態でCOの回収が可能になり、COの削減に留まらず、高い発電効率を維持した状態でCOの分離回収の容易性も考慮した発電設備となる。
この結果、石炭ガス化ガスを用いた発電の高効率化とCOの回収の容易性を両立させたMCFCを備えた発電設備の構築が可能になる。
図1に基づいて本発明の一実施形態例に係る発電設備を具体的に説明する。図1には本発明の一実施形態例に係る発電設備の概略系統を示してある。
図に示すように、本実施形態例の発電設備には、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)1が備えられている。MCFC1は、例えば、ニッケル多孔質体の燃料極(アノード)11と、例えば、酸化ニッケル多孔質体の空気極(カソード)12との間に、電解質(炭酸塩)が挟まれて構成されている。そして、石炭ガス化ガスから得られた水素(H)をアノード11に供給すると共に、純OとCOをカソード12に供給することで、HとOの電気化学反応により発電が行われる。
MCFC1の出口ガス(排気ガス)が導入されて燃焼が行なわれる燃焼器3が設けられ、燃焼器3で燃焼された燃焼ガスを膨張する膨張タービン(ガスタービン)31が設けられている。ガスタービン31には発電機32が同軸上に設けられ、ガスタービン31の駆動により発電機32が作動して発電が行なわれる。
ガスタービン31の下流にはガスタービン31で仕事を終えた排気ガスの熱回収を行なう排熱回収手段としての排熱回収ボイラ4が備えられ、排熱回収ボイラ4は蒸気発生手段としての蒸気発生器5及び凝縮手段としての凝縮器6を備えている。
蒸気発生器5で発生した蒸気が送られる蒸気タービン7が設けられ、蒸気タービン7には発電機8が同軸上に設けられ、蒸気タービン7の駆動により発電機8が作動して発電が行なわれる。蒸気タービン7で仕事を終えた排気蒸気は復水手段としての復水器9で復水され、給水ポンプ10により蒸気発生器5に給水される(給水系)。蒸気発生器5で熱回収された排気ガスは凝縮器6で凝縮されて水(HO)と非凝縮ガス(CO)に分離される。
凝縮器6で分離されたCOの一部はCO圧縮機13で圧縮され、CO圧縮機13で圧縮されたCOに所定の圧力の純Oを供給する酸素供給系として酸素製造装置14が備えられている。CO圧縮機13で圧縮されたCOに所定の圧力の純Oが供給されてカソードガスが生成され、カソードガスはMCFC1のカソード12に供給される。酸素製造装置14は、深冷分離方式により純Oを得る深冷設備からの純Oを所定圧力に加圧して供給する装置で構成されている。
一方、酸素製造装置14で得られた純Oと共に石炭を燃焼して石炭ガス化ガス(炭化水素系のガス化ガス)を得るガス化設備としての石炭ガス化炉15(O吹きのガス化炉)が備えられ、石炭ガス化炉15で得られた石炭ガス化ガスは、ガス冷却器16で冷却された後、ポーラスフィルタ17を通って脱硫装置18で脱硫される。石炭ガス化炉15で発生した蒸気は蒸気タービン7に供給される(図中※2)。
脱硫装置18で脱硫された石炭ガス化ガスは、シフト反応器19で化学反応(発熱反応)によりHとCOに反応され、所望のアノードガスを得てMCFC1のアノード11に供給される。脱硫後の石炭ガス化ガスに異物が残留した場合、異物をシフト反応器19でトラップすることができる。
シフト反応器19は石炭ガス化ガスが流通する配管内に所望の触媒が配されたもので、石炭ガス化ガスを発熱反応によりHとCOに反応させて電気化学反応に用いられるHを含むアノードガスとされる。シフト反応器19では、
CO+HO→H+COの発熱反応が行なわれる。
発熱反応によりHを得ているので、アノードガスを所望の温度に昇温させるための熱交換器(ガス/ガス熱交換器)を用いることなく、即ち、他の機器からの熱を必要とせずにHを含むアノードガスをMCFC1のアノード11に供給することができる。このため、発熱量を維持することでアノードガスの温度を所望温度に維持することができ、アノードガスの温度を調整するための余分な熱交換用の熱源や冷却源(アノード排ガスの循環等)をなくした状態で、放射熱が生じない状態でアノードガスを得ることができる。
また、従来までMCFC1の内部で起こっていたシフト反応による発熱をMCFC1の外部で行うため、シフト反応による発熱分だけ、MCFC1での冷却が不要となり、カソードガスによる電池の冷却動力が削減される。
脱硫装置18は湿式の装置で、前述した排熱回収ボイラ4の凝縮器6で凝縮された凝縮水(回収水)の一部が導入される。また、凝縮器6で凝縮された凝縮水(回収水)はポンプ21によりガス冷却器16に送られ、石炭ガス化ガスの冷却用の媒体とされる。凝縮水(回収水)はガス冷却器16で熱交換により加熱されて蒸気とされ、脱硫装置18で脱硫された石炭ガス化ガスに供給される。
燃焼器3に送られるMCFC1のカソード排気の一部を冷却する冷却器23が備えられ、冷却器23で冷却されたカソード排気はブロア24でカソード12の入口側のカソードガス(純OとCOガスを含むカソードガス)に供給され、カソードガスが所望の温度に昇温される。冷却器23には冷却媒体として給水ポンプ10で蒸気発生器5に送られる給水の一部が送られ、熱回収された冷却媒体である給水は冷却器23に送られ(図中※1)、冷却器23で蒸気とされて蒸気タービン7に送られる。
このため、カソードガスを所望の温度に昇温させるための熱交換器(ガス/ガス熱交換器)を用いることなくカソードガスをMCFC1のカソード12に供給することができる。尚、ブロア24に代えてエジェクタを設けることも可能である。
アノードガスはシフト反応器19で昇温され、カソードガスはカソード排気の循環により昇温されているので、MCFC1に熱交換器(ガス/ガス熱交換器)を備える必要がなく、機器の設置スペースを省略して設計の自由度が増すと共にコンパクト化を図ることが可能になる。
一方、凝縮器6で分離されてCO圧縮機13で圧縮される一部のCO以外のCO(COの一部)は回収系を構成する回収CO圧縮機26で所定の圧力(例えば、10MPa)に圧縮され、冷却器27で冷却されて液体CO(L・CO)として回収設備28に回収される。MCFC1の排気ガスは膨張タービン31で任意の圧力(完全には常圧までに達しない圧力)に膨張され、常圧まで達しない任意の圧力が維持された状態でCOガスに分離され、圧力が維持されたCOガスの一部が回収CO圧縮機26で所定の圧力(例えば、10MPa)に圧縮されている。
COの回収系では、膨張タービン31で任意の圧力(常圧に達しない圧力)に膨張された後COガスの一部が回収CO圧縮機26で回収のために圧縮され、更に、冷却器27で冷却されて高圧の液体COを得ることができる。このため、最小限の圧縮動力の回収CO圧縮機26により回収用の高圧の圧縮COガスを得て液体COとしてCOを回収することができる。高圧の液体COとしてCOが回収されるため、地中や海底に隔離するための動力分の圧力を確保した状態でCOが回収され、COの分離回収の容易性が考慮された発電設備となる。また、膨張タービン31は、MCFC1の排気ガスの膨張後の圧力を完全に常圧には達しない任意の圧力に膨張するように設定することができるので、膨張タービン31での膨張状態の設定を任意に行なうことにより、COの利用形態の自由度を増すことができる。
尚、圧力が維持された状態のCOガスの一部を回収CO圧縮機26で圧縮せずに、そのままの圧力状態で回収することも可能である。
上述した発電設備では、石炭を石炭ガス化炉15で燃焼させ、ガス冷却器16で石炭ガス化ガスが冷却されると共にポーラスフィルタ17を通って脱硫装置18で脱硫処理されてアノードガスが生成される。石炭ガス化ガスはシフト反応器19で発熱反応によりHとCOに反応され、Hを含むアノードガスがMCFC1のアノード11に供給される。MCFC1では、Hを含むアノードガスと純O及びCOガスを含むカソードガスとの電気化学反応により発電が行なわれる。
このため、余分な熱源及び熱交換源をなくした状態で、石炭ガス化ガスから所望のアノードガスを得ることができる。
MCFC1の排気は燃焼器3で燃焼され、膨張タービンで膨張されることなく圧力が維持された状態で排熱回収ボイラ4の蒸気発生器5で熱回収され、凝縮器6で冷却されてCOガスと水に分離される。分離されたCOガスはCO圧縮機13で圧縮され、酸素製造装置14からの純Oと共にカソードガスとしてカソード12に圧送される。カソードガスにはカソード側の排気が冷却器23で冷却されてブロア24で循環供給され、カソードガスが所望の温度に維持される。
上述した発電設備では、アノードガスをシフト反応器19で発熱反応させているので、他の機器からの熱源がないため冷却の必要がない。このため、COガスと純Oからなるカソードガスを適用している場合でも(限られた流量のカソードガスを用いている場合でも)、MCFC1の性能を維持した状態でCOの削減を考慮した設備とすることができる。
一方、凝縮器6で分離されたCOの一部は回収CO圧縮機26で所定の圧力(例えば、10MPa)に圧縮され、冷却器27で冷却されて液体CO(L・CO)として回収設備28に回収される。MCFC1の排気ガスはガスタービン31で膨張されて発電動力とされ、COガスに分離されて回収CO圧縮機26で所定の圧力(例えば、10MPa)に圧縮されている。
MCFC1の排気ガスの圧力、即ち、MCFC1に供給されるアノードガス及びカソードガスの圧力(運転圧力)は、ガスタービン31の負荷、CO圧縮機13及び回収CO圧縮機26の回転数を調整して圧縮比を変更することで任意の圧力に調整することができる。そして、ガスタービン31の負荷が変更された際には、CO圧縮機13及び回収CO圧縮機26の動力を調整し、即ち、ガスタービン31の出力を減少させて排気ガスの圧力が高い状態に維持されている際には、CO圧縮機13及び回収CO圧縮機26の動力を減少させて所望の圧力を確保し、効率よく任意の負荷で運転を行なうことができる。
このため、発電効率を高く維持した状態で、回収CO圧縮機26により回収用の高圧の圧縮COガスを得て液体COとしてCOを回収することができる。高圧の液体COとしてCOが回収されるため、地中や海底に隔離するための動力分の圧力を確保した状態でCOが回収され、COの分離回収の容易性が考慮された発電設備となる。
従って、地中や海底にCOを隔離することを想定した発電設備を構築する場合に、COの圧送動力や圧送経路(手段)を考慮することなく、所望の隔離場所に発電設備を建設することが可能になり、発電設備の構築に対する自由度が向上する。しかも、COを有効に用いた発電設備とされているため、高い効率を維持した状態でCOの回収を容易性が考慮された設備とすることができる。
このため、石炭ガス化ガスを用いた発電の高効率化とCOの回収の容易性を両立させたMCFC1を備えた発電設備の構築が可能になる。
上述した発電設備は、ガスタービン31の負荷を下げた場合に発電効率が低下すると考えられる。しかし、ガスタービン31の負荷を下げた分だけ排気ガスの圧力が高くなり、排気ガスの潜熱回収エネルギーが多くなって、蒸気タービン7側での熱回収量を多くして高い熱効率を維持することができる。
COガスの一部が回収CO圧縮機26で所定の圧力(例えば、10MPa)に圧縮されているので、COを高圧状態で回収することができる。そして、ガスタービン31の負荷に応じて蒸気タービン7側での熱回収量を適宜確保し、蒸気タービン7の出力を維持している。更に、ガスタービン31の負荷に応じて水分が凝縮する際に最大限の温度の温水として潜熱回収が行なわれ、潜熱損失が最小限にされて蒸気タービン7での出力向上に寄与している。
上述した発電設備では、57%(HHV)を超える送電端効率での運転が可能である。図2〜図4に基づいて発電設備の性能を説明する。図2にはMCFC1の運転条件、性能、ガス化効率の一例、図3には発電設備の性能及び動力の一例、図4には発電設備の熱損失と動力損失の一例、図5には本実施形態例の発電設備の効率の内訳の一例を示してある。図に示した数値の一例は実際の設備に適用したと仮定した時の試算値であり、本願発明の発電設備の効率を定量的に説明したものである。このため、実際の設備とした場合には、機器の配置や適用種類により数値は変化するものであるが、全体の傾向は(概略)同程度であり、トータルでの効率である57%(HHV)を超える送電端効率は確保できるものである。
図2に示すように、MCFC1の運転条件は、燃料利用率が92.3%、酸素利用率及びCO利用率が10.9%(カソードリサイクルの内側の利用率)、電流密度が2000A/m、CO分圧が1.7MPa、カソードリサイクル率が98.9%、ガス化炉空気比が0.39、冷ガス効率が83.3%、熱ガス効率が98.1%となっている。
発電設備の性能及び動力は、図3に示す通りであり、発電設備の熱損失と動力損失は、図4に示す通りとなり、発電端効率が68.5%、送電端効率が58.2%(いずれもHHV)となる。つまり、2.2MPaの高圧で運転し、2000A/mの高い運転密度を維持し、10MPaの液体COの回収を行なった場合でも、COの液化動力を含めて58.2%の送電端効率を達成することができる。
つまり、図5に示すように、送電端出力が300MW級で、運転圧力が2.2MPa、運転電流密度が2000A/m、MCFC1の出力割合が61.8%、ガスタービン31の出力割合が18.6%、蒸気タービン7の出力割合が19.6%となる。そして、CO圧縮機13の動力割合が4.4%、回収CO圧縮機26の動力割合が3.7%、酸素製造動力割合が9.2%であり、COの液化動力を含んだ送電端効率が58.2%(HHV)となる。
例えば、地中に液体COを貯留するためには8MPa程度の圧力が必要とされるが、10MPaの液体COとして回収することで、地中貯留に対応できる充分な圧力状態で回収されている。これにより、石炭火力の発電設備をCO地下貯留のしやすい任意の場所に建設することが可能になる。
以上が石炭から動力に変わった割合(gross)の変換効率に対し、石炭から生成された電気の消費動力、その他プラント全体補機動力、機器の損失(図3、図4参照)を差し引いて送電端効率が58.2%(HHV)となる。58.2%を算出するにあたり用いた数値は、既存の機器による運転により過去に得られた既知の数値であるので、技術は日々進歩しているものであり、運転条件の最適化も日々向上していることにより、58.2%は最低限の値であるといえる。このため、MCFC1、蒸気タービン7、ガスタービン31の運転条件を変更することなく高い側の数値の発電効率(例えば、60%)を達成することが可能である。
上述した発電設備は、MCFC1とガスタービン31及び蒸気タービン7を用いて高出力の高圧のシステムを構築し、更に、COを高圧の液体COとして回収すると共にカソードガスとして循環させて閉サイクルを構成して高出力が維持され、高い熱効率を達成して高い発電効率を達成している。
このため、石炭ガス化ガスを用いたMCFC1を備えた発電設備であっても、発電効率を高く維持してCOを有効に利用し、しかも、分離したCOを回収CO圧縮機26で圧縮してCOの分離回収を高圧の状態で容易に行ない、回収したCOの用途の自由度が高い発電設備となる。
上述した実施形態例では、MCFC1の排気をガスタービン31で動力を回収した後にCOに分離し、分離したCOをカソードガスとして用いて閉サイクルの設備としているが、ガスタービン31で動力を回収した後の排気を全量回収し、他の設備からのCOをカソードガスとして用いる設備を構築することも可能である。
本発明は、石炭ガス化ガスにより得られた水素及び酸素との電気化学反応により電力を得る溶融炭酸塩形燃料電池を備えた発電設備の産業分野で利用することができる。
本発明の一実施形態例に係る発電設備の概略系統図である。 MCFC1の運転条件、性能、ガス化効率の一例を示す表図である。 発電設備の性能及び動力の一例を示す表図である。 発電設備の熱損失と動力損失の一例を示す表図である。 本実施形態例の発電設備の効率の内訳の一例を示す表図である。
符号の説明
1 溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)
3 燃焼器
4 排熱回収ボイラ
5 蒸気発生器
6 凝縮器
7 蒸気タービン
8、32 発電機
9 復水器
10 給水ポンプ
11 燃料極(アノード)
12 空気極(カソード)
13 CO圧縮機
14 酸素製造装置
15 石炭ガス化炉
16 ガス冷却器
17 ポーラスフィルタ
18 脱硫装置
19 シフト反応器
21 ポンプ
23、27 冷却器
24 ブロア
26 回収CO圧縮機
28 回収設備
31 膨張タービン

Claims (6)

  1. を吹き込むことで石炭を燃焼してガス化ガスを得る石炭ガス化炉と、
    石炭ガス化炉で得られたガス化ガスがアノードガスとしてアノードに供給されると共に純O及びCOガスを含むカソードガスがカソードに供給され、アノードガス及びカソードガスの電気化学反応により発電を行う溶融炭酸塩形燃料電池と、
    カソードのカソード排気及びアノードのアノード排気を燃焼する燃焼器と、
    燃焼器の燃焼ガスを常圧まで達しない圧力に維持して膨張して動力を得る膨張タービンと、
    膨張タービンで仕事を終えた排気ガスを冷却して水及びCOガスに分離する凝縮手段と、
    凝縮手段で分離されたCOガスを回収のために縮する回収CO圧縮機と、
    前記回収CO 圧縮機で圧縮された高圧のCO ガスを回収する回収設備とを備えた
    ことを特徴とする発電設備。
  2. 請求項1に記載の発電設備において、
    凝縮手段は、膨張タービンで仕事を終えた排気ガスの熱回収を行なう排熱回収手段に収容され、排熱回収手段には排気ガスの熱回収を行なって蒸気を発生させる蒸気発生手段が備えられ、蒸気発生手段で熱回収された排気ガスが凝縮手段に送られる
    ことを特徴とする発電設備。
  3. 請求項2に記載の発電設備において、
    蒸気発生手段で発生した蒸気により動力を得る蒸気タービンと、
    蒸気タービンで仕事を終えた排気蒸気を復水する復水手段と、
    復水手段からの復水を蒸気発生手段に給水する給水系とを備えた
    ことを特徴とする発電設備。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発電設備において、
    凝縮手段で分離されたCOガスの一部を圧縮してカソードに圧送するCO圧縮機と、
    所定圧力の純OをCO圧縮器で圧縮されたCOガスに供給する酸素供給系とを備えた
    ことを特徴とする発電設備。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発電設備において、
    回収CO圧縮機で圧縮されたCOを冷却して液体COとする冷却手段を備えた
    ことを特徴とする発電設備。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発電設備において、
    純Oは、深冷分離方式により得られた純Oである
    ことを特徴とする発電設備。
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