JP5293129B2 - カーボンナノチューブ薄膜 - Google Patents

カーボンナノチューブ薄膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5293129B2
JP5293129B2 JP2008311262A JP2008311262A JP5293129B2 JP 5293129 B2 JP5293129 B2 JP 5293129B2 JP 2008311262 A JP2008311262 A JP 2008311262A JP 2008311262 A JP2008311262 A JP 2008311262A JP 5293129 B2 JP5293129 B2 JP 5293129B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon nanotube
thin film
nanotube thin
carbon
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008311262A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010132506A (ja
Inventor
浩幸 遠藤
東口  達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2008311262A priority Critical patent/JP5293129B2/ja
Publication of JP2010132506A publication Critical patent/JP2010132506A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5293129B2 publication Critical patent/JP5293129B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ薄膜に関する。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートを円筒状に丸めた構造を有しており、一般的には、ストローもしくは麦わら状の構造を有している。カーボンナノチューブは単一のチューブからなるシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、直径の異なる2本のチューブが積層した構造のダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT)、直径の異なる多数のチューブが積層した構造のマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)に分類され、そのそれぞれの構造において特徴を活かした応用研究が進められている。
例えば、SWCNTは、グラフェンシートの巻き方により半導体特性を有する構造が存在し、高い移動度が期待されることから、薄膜トランジスタ(TFT)への応用が期待され活発に研究が進められている。例えば、カーボンナノチューブを用いたTFTがシリコンもしくはシリコン以上の性能を有することが開示されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
カーボンナノチューブをチャネルの半導体材料として用いる場合、カーボンナノチューブを1本もしくは数本、あるいはカーボンナノチューブを多数本分散させてTFTを製造することになる。カーボンナノチューブを少数本用いる場合、一般的にカーボンナノチューブの長さが1μm程度もしくはそれ以下のものが多いため、TFTを作る際に微細加工が必要となり、ソース電極、ドレイン電極間いわゆるチャネル長をサブミクロンスケールで製造する必要がある。これに対して、カーボンナノチューブを多数本用いる場合、カーボンナノチューブのネットワークをチャネルとして利用するため、チャネル長を大きくすることが可能となり、簡便に製造することができるようになる。このような、多数本のカーボンナノチューブを分散させてTFTを製造する技術が開示されている(例えば、非特許文献5)。
また、DWCNTやMWCNTの場合、高い電気伝導性を示すため、電極材料や配線材料、帯電防止膜、透明電極への応用が期待され研究が進められている。カーボンナノチューブを多数本分散させて薄膜を形成させるためには、カーボンナノチューブの溶液や分散液を用いると容易に薄膜を形成させることができる。例えば、カーボンナノチューブの薄膜を溶液、分散液から形成する方法が開示されている(例えば、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9)。
半導体層の材料としてカーボンナノチューブを使用し、カーボンナノチューブの薄膜を溶液、分散液をもちいた工程で形成することにより、素子・デバイス、製品の基板、材料もガラスなどの硬い材料はもちろんのこと、樹脂やプラスチックを適用することで素子、デバイス、製品全体にフレキシブル性を持たせることが可能となる。さらに、塗布プロセスを採用することができるため、塗布プロセス、印刷プロセスを適用した製造方法により素子・デバイス、製品の低コスト化を実現できる可能性を有している。
しかし、カーボンナノチューブの薄膜は、基板との密着性に乏しく、物理的な接触や特にフレキシブルな基板を用いた場合の折り曲げに弱く、薄膜が破壊されてしまうという問題があった。
上記問題に関連して、インドール誘導体三量体を含有し、水等の溶媒に分散化するカーボンナノチューブ含有組成物の技術が開示されている(例えば、特許文献1)。この技術のカーボンナノチューブ含有組成物を利用したカーボンナノチューブ薄膜は、カーボンナノチューブと水等の溶媒のみからなるカーボンナノチューブ薄膜よりも硬度に優れているため、薄膜の破壊を抑制することが可能である。
また、例えば、カーボンナノチューブの薄膜と基板との密着性を高めるために、樹脂などの結着剤を用いる技術も開示されている。
特開2004−167667号公報 S.J.Tansら、NATURE 、393号、49〜52頁、1998年 R.Martelら、Appl.Phys.Lett.、73巻、17号、2447〜2449頁、1998年 S.windら、Appl.Phys.Lett.、80巻、20号、3817〜3819頁、2002年 K.Xiaoら、Appl.Phys.Lett.、83巻、1号、150〜152頁、2003年 S.Kumarら、Appl.Phys.Lett.、89巻、143501−1〜143501−3頁、2006年 N.Saranら、J.Am.Chem.Soc.、126巻、4462〜4463頁、2004年 Z.Wuら、SCIENCE、305号、1273〜1276頁、2004年 M.Zhangら、SCIENCE、309号、1215〜1219頁、2005年 Y.Zhouら、Appl.Phys.Lett.、88巻、123109−1〜123102−3頁、2006年
しかし、上記特許文献1記載の技術では、ある程度の分散安定性は得られるものの十分ではなく、特に、インドール誘導体三量体の親カーボンナノチューブ性が十分でないため、未だにカーボンナノチューブ薄膜と基板との密着性の課題を解決できないという問題があった。
また、密着性を高めるために樹脂などの結着剤を用いると、基板からのカーボンナノチューブの脱落や薄膜の破壊は抑えることができるが、カーボンナノチューブの電気特性において、特性の低下が起こり、電流低下やヒステリシスなどの特性劣化が起こることが多いという問題があった。
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、基板との密着性に優れ、かつ電気特性の低下を引き起こさないカーボンナノチューブ薄膜を提供することを目的とする。
本発明のカーボンナノチューブ薄膜は、カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ薄膜であって、カーボンナノチューブとフッ素を含有する化合物とを含み、フッ素を含有する化合物は、少なくとも1つのヘプタフルオロイソプロピル基を含有することを特徴とする。
本発明によれば、基板との密着性に優れ、かつ電気特性の低下を引き起こさないカーボンナノチューブ薄膜を実現することが可能となる。
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
(カーボンナノチューブ)
本実施形態に係るカーボンナノチューブは、SWCNT、DWCNT、MWCNTの何れも使用でき、形状に限定されない。半導体材料として用いる場合にはSWCNTを、導電性材料として用いる場合にはSWCNT、DWCNT、MWCNTを用いる。また、カーボンナノチューブの製造方法もCVD法やレーザーアブレーション法等種々存在するが、どの製造方法で製造したカーボンナノチューブでも適用することが可能である。
(カーボンナノチューブ薄膜形成方法)
カーボンナノチューブ薄膜の形成方法としては、対応するカーボンナノチューブインクから種々の薄膜形成手法を用いることができる。特に均一な薄膜を形成する場合、スピンコート法やディップ法、スクリーン印刷法などを用いることが可能である。また、インクジェット印刷法や、ディスペンサを用いた塗布方法でも均一な薄膜を得ることができる。
(カーボンナノチューブ薄膜)
本実施形態に係るカーボンナノチューブ薄膜は、カーボンナノチューブに加え、フッ素を含有させた化合物が添加されている。このカーボンナノチューブとフッ素を含有する化合物とを含むカーボンナノチューブ薄膜において、化合物に含有されるフッ素は、どのような官能基の形態でもある程度の分散安定性を得ることができる。しかし、特にフッ素を含有する置換基がヘプタフルオロイソプロピル基であり、化合物中に少なくとも1つのヘプタフルオロイソプロピル基を含有することが望ましい。フッ素を含有させることで親カーボンナノチューブ性と高い基板との密着性を得ることができるが、ヘプタフルオロイソプロピル基は官能基としてもある程度大きく、また、分岐構造を有しているため、特に親カーボンナノチューブ特性をもたせることができる。
また、フッ素を含有する置換基を有する化合物において、フッ素置換基を結合させる母体構造はポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの高分子化合物や、低分子化合物でも良いが、ポリエチレングリコール構造を有するポリエーテル化合物を適用することが望ましい。フッ素置換基を結合させる母体構造として、ポリエチレングリコール構造を有するポリエーテル化合物を適用する場合、特に高い基板密着性を得ることができる。
フッ素を含有させた化合物の製造方法は、一般的に知られた化学反応を応用することができる。例えば、ポリエチレングリコールを主鎖とし、末端にヘプタフルオロイソプロピル基を含有する化合物の場合、ポリエチレングリコールと過剰のヘプタフルオロイソプロピルアルコールを混合し、酸触媒による縮合反応により得ることができる。また、ポリエチレングリコールを主鎖とし、側鎖としてヘプタフルオロイソプロピル基を導入する場合には、ジエチレングリコールと、1−(ヘプタフルオロイソプロピル)ジエチレングリコールを酸触媒の元、共重合させることにより得ることができる。この場合、反応時間、温度を制御することで、重合度(分子量)を制御することができ、反応の際にジエチレングリコールと、1−(ヘプタフルオロイソプロピル)ジエチレングリコールとの混合比を変えることで、ヘプタフルオロイソプロピル基の導入率を変えることができる。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ薄膜において、フッ素を含有する化合物の含有量は特に限定されないが、重量比でカーボンナノチューブの1%〜100%(同量)が望ましく、さらに5%〜20%であることが望ましい。フッ素化合物の含有量が1%以下になると、基板との密着性が著しく低下し、100%を超えると、電気特性にも若干の低下が見られるようになる。
また、上述したカーボンナノチューブ組成物に、含フッ素化合物のほかに、炭素数が10以上のアルコキシ基を置換基として含有するポリエチレングリコール化合物をさらに含有させることにより、さらに基板との密着性を高めることができる。
炭素数が10以上のアルコキシ基としては飽和アルコキシ基でも不飽和アルコキシ基でもどちらでもよく、また、直鎖アルコキシ基でも分岐アルコキシ基でも高い分散安定性を得ることができるが、炭素数が18〜20の直鎖飽和アルコキシ基を用いた場合に特に高い基板密着性を有する。この炭素数が10以上のアルコキシ基を置換基として含有するポリエチレングリコール化合物を添加することにより、非常に耐久性の優れたカーボンナノチューブ薄膜を得ることができる。
また、炭素数が10以上のアルコキシ基を置換基として含有するポリエチレングリコール化合物の添加量に特に限定はないが、重量比でカーボンナノチューブの添加量の50%〜1000%(10倍量)添加することで高い基板密着性を保持できる。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ薄膜は、薄膜組成の混合比率に対応したカーボンナノチューブインクから容易に作製することができる。
以下、実施例をもとに本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1では、カーボンナノチューブ薄膜1を以下の手順で作製した。
まず、ガラス製の容器にHipco法で作成したシングルウォールカーボンナノチューブを10mg秤量し、末端にヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコール(分子量1000)を1mg加えた。ついで、ガラス容器に水を10g添加し、超音波装置を用いて、1時間超音波処理を行い、カーボンナノチューブインクを作製した。このカーボンナノチューブインクをスピンコート法により、ポリイミド基板に塗布し、カーボンナノチューブ薄膜1を得た。
カーボンナノチューブ薄膜1を直径1cmの曲率でおり曲げたところ外観上変化は見られなかった。また、前記折り曲げ試験を100回、及び500回行った後に外観観察をしたところ、同様に外観上の変化は見られなかった。
(比較例1)
末端にヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコール(分子量1000)を用いない以外は実施例1と全く同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜101を得た。
上記実施例1と同様の折り曲げ試験を行ったところ、一部ナノチューブ薄膜の欠落が見られた。また、前記折り曲げ試験を100回行ったところ、半分以上のカーボンナノチューブ薄膜が欠落した。
(比較例2)
末端にヘプタフルオロイソプロピル基を導入しないポリエチレングリコール(分子量1000)を用いた以外は実施例1と全く同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜102を得た。
上記実施例1と同様の折り曲げ試験を行ったところ、外観上の変化は見られなかった。また、前記折り曲げ試験を100回行ったところ、一部のカーボンナノチューブ薄膜薄膜が欠落した。
(実施例2)
ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてC7F15O(CH2CH2O)nOR(R=HもしくはC2H5もしくはC7F15)(分子量1000)を0.1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜2を得た。
(実施例3)
ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてC7F15O(CH2CH2O)nOR(R=HもしくはC2H5もしくはC7F15)(分子量500)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜3を得た。
(実施例4)
ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてRO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR(R=HもしくはC2H5)(分子量500、m:n=1:1)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜4を得た。
(実施例5)
ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてRO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR(R=HもしくはC2H5)(分子量500、m:n=3:1)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜5を得た。
(実施例6)
カーボンナノチューブをダブルウォールカーボンナノチューブとし、ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてRO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR(R=HもしくはC2H5)(分子量500、m:n=1:1)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜6を得た。
(実施例7)
カーボンナノチューブをダブルウォールカーボンナノチューブとし、ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてRO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR(R=HもしくはC2H5)(分子量500、m:n=3:1)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜7を得た。
(実施例8)
カーボンナノチューブをマルチウォールカーボンナノチューブとし、ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてC7F15O(CH2CH2O)nOR(R=HもしくはC2H5もしくはC7F15)(分子量1000)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜8を得た。
(実施例9)
カーボンナノチューブをマルチウォールカーボンナノチューブとし、ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてRO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR(R=HもしくはC2H5)(分子量500、m:n=1:1)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜9を得た。
(実施例10)
カーボンナノチューブをマルチウォールカーボンナノチューブとし、ヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコールとしてRO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR(R=HもしくはC2H5)(分子量500、m:n=3:1)を1mg加える以外は、実施例1と同様にカーボンナノチューブ薄膜を作製し、カーボンナノチューブ薄膜10を得た。
上記カーボンナノチューブ薄膜2〜10について、実施例1と同様の折り曲げ試験を行い、1回後、100回後、500回後の外観を観察した結果を下記の表1に示す。(A)はカーボンナノチューブ、(B)はフッ素含有化合物を示す。また、表中カーボンナノチューブ比とは、カーボンナノチューブ薄膜中のカーボンナノチューブ(A)の重量を基準としたフッ素化合物(B)の重量比率を示している。評価欄の◎は欠落なし、△は一部欠落あり、×は半分以上欠落あり、を示す。
また、フッ素化合物(B)は以下の通りである。
B−1:C7F15O(CH2CH2O)nOR、分子量1000(R=HもしくはC2H5もしくはC7F15
B−2:C7F15O(CH2CH2O)nOR、分子量500(R=HもしくはC2H5もしくはC7F15
B−3:RO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR、分子量500(R=HもしくはC2H5
m:n=1:1
B−4:RO(CH2CH2O)m(CH2CH(C7F15)O)nOR、分子量500(R=HもしくはC2H5
m:n=3:1
Figure 0005293129
上記表1に示すように、実施例2〜10により得られた何れのカーボンナノチューブ薄膜でも良好な基板との密着性を得ることができた。
(実施例11)
実施例11では、カーボンナノチューブ薄膜11を以下の手順で作製した。
まず、ガラス製の容器にHipco法で作成したシングルウォールカーボンナノチューブを100mg秤量し、末端にヘプタフルオロイソプロピル基を導入したポリエチレングリコール(分子量1000)を10mg加えた。さらに、末端にC18H37O(ラウリルアルコキシ基)を導入したポリエチレングリコール(分子量1000)を100mg加えた。ついで、ガラス容器に水を10g添加し、超音波装置を用いて、1時間超音波処理を行った。超音波処理直後の分散液は均一な黒色形態を示し、残留物、沈殿物は見られなかった。このカーボンナノチューブインクをスピンコート法により、ポリイミド基板に塗布し、カーボンナノチューブ薄膜11を得た。
カーボンナノチューブ薄膜11を直径1cmの曲率でおり曲げたところ外観上変化は見られなかった。また、前記折り曲げ試験を100回、及び500回行った後に外観観察をしたところ、同様に外観上の変化は見られなかった。さらに、1000回行った後に外観観察を行ったが、外観上の変化は見られなかった。
(実施例12)
実施例1で作製した、カーボンナノチューブ薄膜1に一組の金属電極(電極幅10mm、電極間長さ200μm)を形成し、金属電極間に5Vの電圧を加え、電極間の電流値を測定した。測定された電流値は50.6μAであった。通電させた状態で5分後、10分後の電流値を測定したところ、それぞれ50.6μAで、初期状態からの変化は見られず安定であった。
(比較例3)
比較例2で作製した、カーボンナノチューブ薄膜102を用いた以外は、実施例12とまったく同様に薄膜の電流値を測定した。測定直後の電流値は、35.4μAであった。実施例12と同様に通電させた状態で5分後、10分後の電流値を測定したところ、それぞれ48.2μA、52.7μAで時間と共に電流値は増大し、安定した通電状態を得ることはできなかった。
図1は、実施例12及び比較例3のカーボンナノチューブ薄膜の電流値を測定した結果を示す。図示するように、比較例3のカーボンナノチューブ薄膜102では時間経過とともに電流値が増大してしまったのに対し、実施例12のカーボンナノチューブ薄膜1では初期状態から安定している。
上述したように、本実施形態に係るカーボンナノチューブ薄膜によると、基板との密着性も良く、カーボンナノチューブ薄膜を用いた電子デバイスにおいても電気特性の優れた特性を有するカーボンナノチューブ薄膜を得ることが可能となる。
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明に係るカーボンナノチューブ薄膜は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したカーボンナノチューブ薄膜も、本発明の範囲に含まれる。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ薄膜を用いた電流値の例を示すグラフである。

Claims (7)

  1. カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ薄膜であって、
    カーボンナノチューブとフッ素を含有する化合物とを含み、
    前記フッ素を含有する化合物は、少なくとも1つのヘプタフルオロイソプロピル基を含有する分子性化合物であることを特徴とするカーボンナノチューブ薄膜。
  2. 前記フッ素を含有する化合物は、ポリエチレングリコールを主鎖とする化合物であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ薄膜。
  3. 前記フッ素を含有する化合物の含有量は、重量比で前記カーボンナノチューブの5%〜20%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ薄膜。
  4. 炭素数が10以上のアルコキシ基を置換基として含有するポリエチレングリコール化合物を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のカーボンナノチューブ薄膜。
  5. 前記炭素数が10以上のアルコキシ基を置換基として含有するポリエチレングリコール化合物の含有量は、重量比で前記カーボンナノチューブの50%〜1000%であることを特徴とする請求項4記載のカーボンナノチューブ薄膜。
  6. 前記炭素数が10以上のアルコキシ基は、炭素数が18〜20の直鎖飽和アルコキシ基であることを特徴とする請求項4又は5に記載のカーボンナノチューブ薄膜。
  7. 前記カーボンナノチューブは、シングルウォールカーボンナノチューブ、ダブルウォールカーボンナノチューブ及びマルチウォールカーボンナノチューブの少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のカーボンナノチューブ薄膜。
JP2008311262A 2008-12-05 2008-12-05 カーボンナノチューブ薄膜 Expired - Fee Related JP5293129B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008311262A JP5293129B2 (ja) 2008-12-05 2008-12-05 カーボンナノチューブ薄膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008311262A JP5293129B2 (ja) 2008-12-05 2008-12-05 カーボンナノチューブ薄膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010132506A JP2010132506A (ja) 2010-06-17
JP5293129B2 true JP5293129B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=42344204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008311262A Expired - Fee Related JP5293129B2 (ja) 2008-12-05 2008-12-05 カーボンナノチューブ薄膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5293129B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019144347A (ja) * 2018-02-19 2019-08-29 株式会社Screenホールディングス 表示装置の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62266727A (ja) * 1986-05-13 1987-11-19 Sony Corp 磁気記録媒体
JP2003137939A (ja) * 2001-11-05 2003-05-14 Central Glass Co Ltd 含フッ素高分子化合物および感光性コーティング材料
JP4908136B2 (ja) * 2005-12-06 2012-04-04 三菱レイヨン株式会社 カーボンナノチューブ含有組成物、複合体、およびそれらの製造方法
JP4997773B2 (ja) * 2006-02-03 2012-08-08 ダイキン工業株式会社 アクチュエータ素子
JP5194480B2 (ja) * 2007-02-20 2013-05-08 東レ株式会社 カーボンナノチューブコーティング膜およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010132506A (ja) 2010-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Nirmalraj et al. Electrical connectivity in single-walled carbon nanotube networks
Dalton et al. Selective interaction of a semiconjugated organic polymer with single-wall nanotubes
Schindler et al. Solution-deposited carbon nanotube layers for flexible display applications
JP5577089B2 (ja) カーボンナノチューブ複合構造体および粘着部材
JP5374354B2 (ja) カーボンナノチューブ複合構造体および粘着部材
Cardenas et al. In-place printing of carbon nanotube transistors at low temperature
Roy et al. Room temperature sensor based on carbon nanotubes and nanofibres for methane detection
JP5333221B2 (ja) カーボンナノチューブ構造物及び薄膜トランジスタ
John et al. Sequential electrochemical unzipping of single-walled carbon Nanotubes to graphene ribbons revealed by in situ raman spectroscopy and imaging
WO2011111736A1 (ja) 電界効果型トランジスタ及びその製造方法
Zhou et al. A method for fabrication of graphene oxide nanoribbons from graphene oxide wrinkles
US20120295406A1 (en) Carbon nanotube dispersion liquid and method for manufacturing semiconductor device
Zhong et al. Tailored field-emission property of patterned carbon nitride nanotubes by a selective doping of substitutional N (sN) and pyridine-like N (pN) atoms
Singh et al. Fabrication of graphene, graphite and multi wall carbon nano tube based thin films and their potential application as strain sensor
JP5780156B2 (ja) カーボンナノチューブインク組成物
JP5942854B2 (ja) カーボンナノチューブインク組成物とその塗布方法、カーボンナノチューブ含有薄膜の形成方法
JPWO2010053171A1 (ja) スイッチング素子及びその製造方法
JP5293129B2 (ja) カーボンナノチューブ薄膜
Peng et al. Effect of the Reynolds and Richardson numbers on the growth of well-aligned ultralong single-walled carbon nanotubes
JP5526534B2 (ja) カーボンナノチューブインク組成物及びカーボンナノチューブインク組成物の噴霧方法
Massey et al. Electrical behavior of Langmuir–Blodgett networks of sorted metallic and semiconducting single-walled carbon nanotubes
Kundu et al. Electro-polymerization of polyaniline on CVD grown transferrable vertically aligned CNT forest and its application in resistive detection of relative humidity
Park et al. Electrical properties and conductivity mapping of thin multilayered films containing different types of carbon nanotubes
Hegde et al. Polymer nanocomposite thin films prepared using single-and multi-walled carbon nanotubes for flexible electronics
Yoon et al. Fabrication of Stretchable Single‐Walled Carbon Nanotube Logic Devices

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110908

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20110920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130527

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5293129

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees