JP5291556B2 - 電力系統安定化装置の演算割付方法 - Google Patents

電力系統安定化装置の演算割付方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力系統安定化装置において、安定度計算を複数の計算機で実施する際の演算割付方法に関する。
電力系統とは発電所、変電所、送電線、配電線および負荷を含む系統において前記要素が連系され、時々刻々と変化する負荷の消費電力を過不足なく、発電、配送する機能を持つシステムである。また、前記電力設備は屋外に設置され、厳しい自然環境にさらされることも多く、様々な原因による事故が発生することがある。これらに対しては、事故を検出し、事故部分を切り離し、発生した擾乱を抑制し、鎮静化する手段を講じなければならない。
したがって、電力系統は安定的な電力供給のために、地絡などの予期せぬ事故に対しても、オンライン情報に基づき、高速のシミュレーションなどを用いて、素早く対応策を立て、措置する必要がある。このために導入されているのが電力系統安定化装置である。
電力系統の安定化装置においては、想定故障ケースが安定か不安定かを判定し、不安定な場合には最適な制御対象を選択(電制)し、安定化させるための詳細安定度計算のシミュレーションを行う。
詳細安定度計算において、想定故障ケース毎のシミュレーションは独立なので並列計算が可能である。しかし、同一故障ケースにおいて、安定化させるための制御対象の選択において故障様相毎の包含関係を考慮する際には、上位の故障条件でのシミュレーションが完了し、その結果を元に下位の故障条件でのシミュレーションを開始する必要があるため、直列に演算する必要がある。そのため、複数の計算機で最適な割付を行う方法として、特許文献1、特許文献2、および特許文献3の方法が提案されている。
特許文献1では、演算時間のかかるケースを優先的に空いている計算機に割付を行うことで、効率的な割付を行う方法であり、特許文献2では、想定故障ケースの発生頻度、重要度を考慮して演算割付を行う方法であり、また、特許文献3では安定化計算の階層毎の演算を指示する方法である。
なお、演算割り付けに関するものではないが、詳細安定度計算の具体的計算手法を示したものとして非特許文献1がある。
特開平7−298498号公報 特開平9−056069号公報 特開2000−270477号公報
電力系統技術計算の応用、354頁〜357頁、株式会社電気書院発行、新田目倖造著
前記の特許文献1〜特許文献3の方法では、複数の計算機で最適な割付を行う方法が提案されているが、包含関係を考慮した直列演算により演算開始ケースの待ちが生じたり、計算機の空きがあるにもかかわらず上位ケースの終了待ちで最適な演算割付が行えないケースが見られた。
また、前記の特許文献2の方法で過去の実績に基づく選定指標を求め、その選定指標が大きな想定故障ほど優先選択する方法では、例えば系統構成が変更になり、過去の実績と異なる系統になった場合に対応できない場合があった。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、複数の計算機(演算装置)で演算割付を行う際に、包含関係を考慮した直列演算による演算開始ケースの待ちや、上位ケースの終了待ちを考慮し、あるいは演算状況を反映した、最適な演算割付方法を開発し、提供することである。
また、過去の実績と異なる系統になった場合にも対応できる最適な演算割付方法を開発し、提供することである。
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、複数の発電機から電力を供給される電力系統の複数の想定故障を演算装置でシミュレーション演算し、前記電力系統の安定を維持する電制条件を事前決定する電力系統の安定化方法において、
複数の演算装置を備える系統安定化装置が前記演算装置の演算の処理工程である演算プロセス数を変えながら故障ケース割付演算を行うことによって、総演算時間が最も短くなる演算プロセス数を算出し、該演算プロセス数で想定故障のシミュレーション演算を行う。
また、記演算装置からの前記想定故障のシミュレーション演算結果をに、シミュレーション演算の演算割付における故障ケース割付を補正して前記総演算時間をさらに短くする。
また、前記系統安定化装置が前記電力系統からのオンライン情報によって前記電力系統の状態変化を検出したとき、前記系統安定化装置は前記故障ケース割付演算優先順位の指標である選定指標の優先度をあげて前記総演算時間をさらに短くする
かかる構成により、最適な演算装置のプロセス数と演算割付が得られる。また、実際の演算装置の演算状況が反映する。また、状態変化時の最短の演算時間となる演算割付となる。
本発明によれば、複数の計算機で演算割付を行う際に、包含関係を考慮した直列演算による演算開始ケースの待ちや、上位ケースの終了待ちを考慮し、あるいは演算状況を反映した、最適な演算割付手法が提供できる。
また、過去の実績と異なる系統になった場合にも対応できる最適な演算割付手法が提供できる。
本発明を適用する電力系統安定化システムの概略の構成図である。 本発明の実施形態である電力系統安定化装置の機能構成図である。 本発明の実施形態である電力系統安定化装置の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態である故障ケース演算割付部の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態である演算装置における演算プロセス数の相違による割付結果を示す説明図である。 本発明を適用する電力系統安定化システムにおける地絡の想定故障の形態と各ケースの記号表記との関係を示す説明図である。 本発明を適用する電力系統安定化システムにおける想定故障ケースの包含関係を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は電力系統の安定度計算を複数の計算機プロセスで実施する際の演算割り付け方法に関するものであるが、電力系統の安定化システムを先に説明し、その後、本発明の実施形態や関連する諸事項を以下の順で説明する。
1.電力系統安定化システム
2.系統安定化装置の演算割付について
3.系統安定化装置における全体の処理フロー
4.指標演算部と故障ケース演算部の詳細フロー
5.演算プロセス数の相違について
6.地絡の想定故障について
7.想定故障ケースの包含関係
(1.電力系統安定化システム)
本発明が適用、実施される電力系統安定化システムからまず説明する。
図1は、本発明が適用される電力系統安定化システムの概略の構成図である。系統安定化装置1は、電力系統2からのオンライン情報201を常時収集している。このときのオンライン情報201の内容としては、ディジタル量(デジタルデータ)である電力系統の機器の入り切り情報(開閉状態)や、アナログ量(アナログデータ)である電力系統の機器の有効電力量・無効電力量・電圧値等が、周期的(例えば5秒周期)に収集される。
電力系統2においては、送電線4を介して電力の供給源である複数の発電機3や需要家等の複数の負荷6が接続されている。また、複数の発電機3と送電線4の間には複数の遮断器5がそれぞれに設置され、子局10(10a、10b)からの指令で切り制御可能な構成となっている。
定常時は、複数の発電機3の総発電量と複数の負荷6の総負荷量がバランスしており、また複数の発電機3が互いに同期して運転している(安定状態)。もし、例えば図1に示すように送電線4において落雷等により地絡故障が発生すると、故障に係るエネルギー(地絡そのもの、および事故によって生じた総発電量と総負荷量のアンバランスに由来する過渡的なエネルギー)による影響で、各発電機3の同期がずれる。このずれが、一定の限度を超えると各発電機3は同期運転が出来なくなり、正常な運転点からずれて、幾つかの発電機3が正常に出力を出せなくなり、大規模な停電を引き起こすことがある(不安定状態)。
この停電を防ぐための方法として、送電線の故障発生時に、故障のエネルギーを最小化できる適切な発電機3を遮断器5で高速に遮断(例えば150ms)することで実現できることが知られている。しかし、故障が発生してから遮断個所の発電機選択の演算を行うことは、演算能力やデータ収集の速度の制約等で実現が困難であるために、予め、子局10(10a、10b)において、どこの事故でどこの発電機を遮断すべきかの対応テーブル100(100a、100b)を設定しておくことで実現する。電力系統2の状態は、時々刻々変化するので、系統安定化装置1において、オンラインデータ201を用いて、想定故障ケース毎の遮断すべき発電機を計算して、計算結果を子局の対応テーブル100(100a、100b)へ送信(204)し、最新の情報に更新する。
(2.系統安定化装置の演算割付について)
図2は本発明の実施形態による系統安定化装置1を説明する機能構成図のうち、演算割付に関する部分の構成を示した図である。
図2において、電力系統2からのオンライン情報201は指標演算部21に入力される。指標演算部21では、予めデータベース等で定義された想定故障ケースや故障様相の演算ケースに、演算時間のかかるものほど大きな指標を与える指標値の計算を行う。ここでの指標値の与え方として、例えば、
(I1)前回結果等の過去の演算結果を用いて指標値を与えることが可能である。
(I2)また、高速な簡略安定度計算を行って、指標値を与えることも可能である。
(I3)更に、前回結果を用いる際に、前回と系統構成の変化があった想定故障ケース(例えば、回線数の変更や、故障ケースの属する系統構成がループ/放射状の変化があった場合)の指標値を大きくして優先して計算することも可能である。
また、指標演算部21の指標値を元に、故障ケース割付演算部22で、複数個で構成される演算装置30への割付順を決定する。故障ケース割付演算部22での割付方法は、
(W1)指標演算部21で求めた指標の大きいものほど、演算時間がかかるので優先して割り付ける。
(W2)後記する図7で示す包含関係を考慮して直列に演算する必要のあるケースを優先して割り付ける。
(W3)更に後記する図4のフローチャートに従い、複数の演算装置30の中のプロセス数を考慮して演算割付を行う。
以上により、総演算時間の一番短い割付で最適な演算割付を行うことになる。
また、故障ケース割付演算部22での演算割付とプロセス情報は演算装置プロセス情報202として演算装置30((a)、(b)、(c)、(d))に送られる。
(W4)演算装置30で演算された結果は、故障ケース割付演算部22にフィードバックして、入力され、故障ケース割付順が必要であれば変更される。
ここでは、例えば、上位故障は下位故障より過酷度が高いので、上位故障が安定であれば、下位故障は演算しなくても安定であることがわかり、演算の省略が行われ、割付順が変更される。
なお、以上において、「包含関係」、「上位故障」、「下位故障」についての詳しい意味は後記する。
(3.系統安定化装置における全体の処理フロー)
図3は、系統安定化装置1における全体の処理フローの一実施形態である。以下にこの処理フローについて説明する。
まず、電力系統2からの前記アナログデータおよび前記ディジタルデータのオンライン情報201が定周期(例えば30秒周期)で取り込まれる(S101)。
次に、取り込まれたデータを元に、発電機や負荷の接続状態や出力値、送電線の接続やインピーダンスを考慮した、電力系統2のモデル化が行われる。ここでのモデル化に際し、アナログデータは等時性の保証がない(通常、電力系統2からのオンライン情報201に含まれるデータは、時刻同期は行わず収集される)ため、データ不一致による誤差が生じる可能性がある。そのために、最小二乗化手法を用いて、誤差を最小にしてアナログデータをモデルの初期値とする処理をして状態決定が行われる(S102)。
次に、前記の状態決定処理により作成された電力系統モデルを用いて、系統安定化装置1におけるデータベースに定義された想定故障点(想定故障ケース)の指標値演算が行われ、演算時間のかかる想定故障点(想定故障ケース)ほど大きな値となるような指標値が求まる(S103)。
次に、前記の指標値演算結果を元に演算割付が行われ、詳細安定度計算が行われる(S104)。
なお、ここでの詳細安定度計算(S104)は、発電機モデルの微分方程式と、送電線モデルのネットワーク方程式を組み合わせて、想定故障ケースの条件で一定時間刻み(例えば10ms)ごとのシミュレーション計算を行うものである。また、この詳細安定度計算の具体的計算手法としては非特許文献1に詳しく記載されています。
次に、前記の詳細安定度計算結果を元に、安定判別が行われる(S105)。
なお、安定判別の方法として、例えば同期ずれが起きるかどうかは、電力系統モデル中の基準発電機(一般的にはモデル中の最も容量の大きな発電機)と各発電機の間の位相角差が一定のしきい値を超えた場合に不安定と判定する。なお、安定と判定した場合は演算を終了する。
ここで、不安定と判定した際は、安定化するために効果のある発電機を選定する電制発電機選定が行われる(S106)。
なお、ここでの電制発電機選定の処理として、例えば各発電機の加速エネルギー(系統を不安定化させるためのエネルギーに相当)の最も大きい発電機を選定する。選定した電制発電機を制御する条件で、再度詳細安定度計算が行われ、最終的に安定化するまで、演算が繰り返される。
更に、全ての故障ケースの電制発電機の選定が終了すると、子局に対する電制情報出力が行われる(S107)。
ここで、前記電制情報が出力されると、ステップS101〜ステップS107で説明した周期処理が完了する。そして、次の周期のために、情報取り込み処理(S101)に戻り、以上の図3のフローチャートに示した処理が繰りかえされる。
(4.指標演算部と故障ケース割付演算部の詳細フロー)
図4は、本発明における指標演算部と故障ケース割付演算部の詳細フローの一実施形態を示している。以下にこのフローチャートにしたがって演算手順を説明する。
まず、何を優先して演算するかを選定する際の指標である「選定指標」の演算(S201)が行われ、
次に、その演算(S201)の結果としての選定指標が求まった後に、(S202)〜(S205)まで、演算プロセス数nを1からmまで変えて、故障ケース割付演算が行われ各総演算時間ttotal(n)を求める。なお、mは演算プロセス数が設定可能な上限の値である。
ここで、この(S202)〜(S205)のフローを詳しく説明する。
まずステップS202において、演算プロセス数nをn=1とする。
次にステップS203において、演算プロセス数nで故障ケース割付演算を行い、総演算時間ttotal(n)を求める。
次にステップS204において、演算プロセス数nをn=n+1として、ひとつ演算プロセス数を進める。
次にステップS205において、演算プロセス数nが所定の設定値であるmに達しているか否かの判断を行う。達していなければ(No)ステップ203に戻り、演算プロセス数n=n+1と進めた場合の演算を繰り返す。また、ステップS205において、演算プロセス数nが所定の設定値であるmに達していれば(Yes)ステップ206に進む。
なお、mは前記したように演算プロセス数が設定可能な範囲において、整数の所定値とすることが可能であるが、例えば、前回の最適なプロセス数n+α=mとして、繰り返し演算回数をα回分だけ減らすことも可能である。
次にステップS206において、総演算時間ttotal(n)が最も小さい演算プロセスを見つけ、そのときの故障ケースでの割付結果を最良として演算装置30への割付を行う。
なお、従来技術では、演算プロセス数を固定で考えていたため、最適な割付が行えない場合があったが、本実施形態では、総演算時間による評価で最適化を行っている。
次にステップ207では前記ステップS206での割付結果に対して、故障ケース割付の補正が行われる。これはまた別途のステップS208で演算装置への割付を行い、演算した結果(S208)を元に、補正を行うものも含める。
ここでの補正として、例えば、上位故障が安定であれば、下位故障は演算しなくても安定であることがわかるので、演算の省略が行われ割付順が変更されることが考えられる。なお、上位故障、下位故障については後記する。
また、演算割付の想定と実際の演算時間が異なり、割付順を変更したほうが、総演算時間が短くなる際は演算割付を補正する。
次に、ステップS209において、想定される全故障ケースに対する演算が行われたか否かを判定する。まだ演算されていない故障ケースが残っていれば(No)、ステップS207に戻り、それらの故障ケースに対して、演算を続ける。
また、ステップS209において、全故障ケースに対する演算が行われていた場合(Yes)には、以上の演算を終了し、演算結果を確保する。
以上の本フローチャートにおいては、複数の演算装置を内蔵する計算機が1つである条件で説明したが、前記計算機が複数個あり、それぞれの計算機のプロセス数を考慮する場合も同様の処理で実現可能である。
(5.演算プロセス数の相違について)
図5は演算プロセス数の相違による演算割付の例と演算結果を示す説明図であり、本発明により、演算プロセス数を変える事で、上位故障、下位故障の包含関係の制約があっても最適な演算割付ができることを示した一実施形態である。
一般的に演算装置におけるプロセス数と、各演算ケースの演算時間の関係は図5(c)に示すように、プロセス数xが増加すると演算時間f(x)も増加する。これは演算装置というハードの資源は変わらずに、計算プロセスを複数にして、時分割などで、それぞれの演算を行った場合には、同一演算における単位時間当たりの演算割り当て時間が減少したり、また、それぞれの計算プロセスを別々に制御し、統合したりするオーバヘッドが生ずるためである。ここで、f(x)については、例えば、線図による形式で示したり、過去の実績により対応テーブルで値を決定することが可能である。
図5(a)、(b)を参照しながら、想定故障ケースA,Bで包含関係を考慮した演算割付を行う場合について、プロセス数が2と3の場合の例で説明する。
各ケースの個別の演算時間は前記した理由で、f(2)<f(3)となる。
例えば、プロセス1において、「A:3φ4」という演算は図5(a)プロセス=2にも、図5(b)プロセス=3にもある。ここで、図5(a)プロセス=2にはf(2)と表現し、図5(b)プロセス=3にはf(3)と表現してあるが、図5(a)と(b)を比較して同じ「A:3φ4」という同じ演算でありながら、f(2)<f(3)となっている。また、「A:3φ4」のみならず、「A:2φ3」、「A:1φ2」、「A:3φ3」、「B:3φ4」、「B:2φ3」、「B:1φ2」、「B:3φ3」は図(a)と図(b)の両方で行われていて、個々を比較すると、すべて、f(2)<f(3)の関係となっている。つまり、プロセス数xが増加すると演算時時間f(x)も増加する関係となっている。
しかし、図5(a)プロセス=2においては、「A:3φ4」、「A:2φ3」、「A:1φ2」、「A:3φ3」はすべて直列に計算が実行されている。また、「B:3φ4」、「B:2φ3」、「B:1φ2」、「B:3φ3」もすべて直列に計算が実行されている。
これに対し、図5(b)プロセス=3においては、プロセスが3系列になっているため、「A:2φ3」、「A:1φ2」および「B:2φ3」、「B:1φ2」が実行されている途中において、「A:3φ3」、「B:3φ3」が実行できるために、結果としては図5(b)プロセス=3の総演算時間(b)は、図5(a)プロセス=2の総演算時間(a)に比較して短くなっている。つまり、プロセスを増やし、かつ演算割り当てを適正に行えば、個々の演算は長くなっても、総演算時間は短縮できることを示している。
なお、以上において、「A:3φ4」、「B:2φ3」という表現を用いたが、例えば「A:3φ4」は3φ4の故障シミュレーションを行うAの演算という意味であるが、ここで、3φ4や2φ3がどのような故障の場合に対応しているかは後記する。
(6.地絡の想定故障について)
送電線などに地絡が起こる場合に想定される故障の形態について図6を参照しながら以下に説明する。
図6(a)は屋外における自然環境で電気を送電する架空送電線と、それを支える鉄塔を示した模式図である。送電線の標準形状は「2回線左右垂直配列」と呼ばれているものである。つまり、一般的な送電線の鉄塔には3相交流の2回線分が設けられている。以下においてはこの標準的な鉄塔と、そこに設けられた送電線の例で説明する。
図6(a)において鉄塔601には架線を支持するアームが3段設けられている。前記各アームの左端には上段にA、中段にB、下段にCとそれぞれ記した送電線が架けられている。送電線A、B、Cには3相交流の各相の電位がそれぞれ掛けられていて、送電線A、B、Cの組によって3相交流の1回線が送電されている。なお、図6(a)では第1回線と表記している。また、前記各アームの右端には上段にA、中段にB、下段にCとそれぞれ記した送電線が架けられている。送電線A、B、Cには3相交流の各相の電位がそれぞれ掛けられていて、送電線A、B、Cの組によって3相交流の他の1回線が送電されている。なお、図6(a)では第2回線と表記している。
さて、通常は鉄塔601のアームと送電線の間は碍子(不図示)と大気によって絶縁が保たれているが、激しい落雷があると、大気や碍子表面などの絶縁性が過渡的であっても破壊され、送電線が鉄塔を経由して大地と同電位となるいわゆる地絡が起こることがある。以下に地絡が生じた場合について述べる。
図6(b)は落雷の衝撃によって鉄塔の上段のアームの左右に配置された送電線Aと送電線Aに地絡が起きた場合を示している。地絡が起きた送電線Aと送電線Aは○の中に×印で表記することによって地絡状態を示している。また、地絡が生じていない他の送電線B、C、B、Cは単に○印で表記している。
ここで、地絡の生じたのはA、A(A、Aは同相)という3相交流の1相分であるので、1φ(位相は慣例的にφで表すことが多い)であり、線の本数としては2本であるので、「1φ2」もしくは「1φ2LG」と表記する。なお、LはLine、GはGroundから由来する。
図6(c)は他の地絡の例である。図6(c)において、鉄塔の上段のアームの左右に配置された送電線Aと送電線A、および中断のアームの右端に配置されたBに地絡が起きた場合を示している。AとBは相が異なるので、3相交流の2相分に地絡が生じたことになり、かつA、A、Bの3本が係っているので「2φ3」もしくは「2φ3LG」と表記する。「2φ3」のような表記は図5において用いており、「2φ3LG」のような表記は後記する図7で用いている。
なお、図6(c)のA、A、Bの3本の送電線に落雷で当初から地絡が生ずることは勿論あるが、まず、図6(b)のように、A、Aの2本の送電線に落雷で地絡が起こり、その結果として送電線AとB近辺の大気の絶縁性が崩れて、送電線Bも地絡に発展するケースもある。
また、地絡として影響は図6(b)の「1φ2LG」よりも、図6(c)の「2φ3LG」の方が過酷な状況である。
以上のように1φ2LGの地絡は2φ3LGの地絡に発展する可能性があり、かつ1φ2LGよりも2φ3LGの方が地絡としての影響の過酷度が高い。このような関係の場合において、1φ2LGを下位故障、2φ3LGを上位故障と表現する。
また、以上は2本、もしくは3本の送電線に地絡が生じるケースについて記したが、4本以上の送電線に地絡が生じるケースもある。
また、落雷による地絡が生じた場合は自動的に遮断器が作動するようになっている場合が一般的であるが、落雷による地絡の影響は過渡的であるとして、遮断器(開閉器)を復帰させた場合にそのまま復旧する場合もあり、また遮断器が再度、動作する場合もある。
(7.想定故障ケースの包含関係)
図7は、演算割付の制約条件となる想定故障ケースの包含関係について、放射状送電線2回線の場合で説明する。
送電線の故障は図7に示すようにいくつかの故障様相が考えられ、想定される故障様相毎にデータベース定義に従い、その故障に対処し、電力系統を安定化させるための、電制選定発電機がそれぞれ選定される。
ここで、送電線故障の特徴として、前記したように下位の故障様相(例えば1φ2LG)の故障の状態から、保護装置の動作やタイミングにより、上位の故障(例えば2φ3LG)に進展することが考えられる。このときの下位と上位の故障様相に関係があることを「包含関係」と以下記載する。
図7において、1φ2LGは2φ3LGに囲まれている。これは前記したように1φ2LGと2φ3LGの関係において、1φ2LGが下位の故障であり、2φ3LGは上位の故障であることを示している。したがって、前記したように、1φ2LGは2φ3LGの間には2φ3LGを上位とする包含関係がある。
また、2φ3LGと3φ3LGは囲いが横並びであるが、これは故障という観点では上位、下位の関係ではなく、実質的に対等の位置関係にあることを示している。
また、2φ3LGと3φ3LGはともに3φ4LGに囲われている。これは2φ3LGと3φ3LGはともに3φ4LGの下位の故障であり、3φ4LGは上位の故障であることを示している。したがって、2φ3LGと3φ3LGと3φ4LGの間には3φ4LGを上位とする包含関係がある。
また、放射状送電線2回線の場合においては3φ4LGが最も上位の故障であることを示している。なお、3φ5LG、3φ6LGは故障という観点では実質的に3φ4LGと対等の位置関係にある。
以上は、放射状送電線2回線の場合であったが、ループ状2回線の場合においては、詳細な説明と図は省略して結論のみを以下に記す。
3φ6LGの過酷度が最も厳しく、以下3φ4LGがその下位の故障であり、更に3φ4LGの下位の故障として3φ3LGと2φ3LGがあり、更に2φ3LGの下位の故障として1φ2LGがある。
以上のように下位故障と上位故障の包含関係が各故障様相に存在する。
下位故障から上位故障へと進展するいわゆる進展故障が発生した場合は、子局はまず下位故障の条件で発電機を制御し、次いで上位故障の条件で発電機を制御する。このとき、上位と下位の電制発電機が独立で選定されていると、上位故障を制御する発電機は下位故障を制御する発電機との単純な組み合わせになるために過剰な制御になる可能性がある。
例えばN個の発電機G1〜GNがあったと仮定して、1φ2LGでは発電機G1、G2で対応し、2φ3LGでは発電機G3、G4で対応する場合には、1φ2LGと2φ3LGを別々に考えると、G1、G2、G3、G4が必要という結論に達するが、併せて演算するとG1、G2、G3で済む場合がある。
この過剰制御を防ぐために、下位故障の制御発電機は上位故障の選定した発電機の中から選定する必要がある。つまり、上位故障の選定結果が決定されていないと下位故障の計算が出来ないために、包含関係のある故障は、直列に計算する必要がある。
(その他の実施形態)
本実施形態においては複数の演算装置はひとつのモジュールとしての計算機のなかに内蔵した複数の演算装置を想定して説明したが、モジュールとしての計算機を複数個、用いてもよいし、また複数のモジュールとしての計算機にそれぞれ内蔵するすべての演算装置を用いてもよいし、また複数の演算装置を内蔵する計算機と演算装置1個からなる複数の計算機を併用してもよい。
また、演算割付の制約条件となる想定故障ケースの包含関係について、放射状送電線2回線の場合で説明したが、本実施形態の演算割付手法はこの場合に限定されるものではなく、前記したループ状送電線2回線の場合にも適用でき、また3回線以上でも適用できる。このように回線数が多くなり、演算が複雑多岐にわたる場合には、本実施形態の演算割付手法は更にその高速性における効果が明確になる。
安定した電力供給は産業上において必須の要件である。産業の発展にともない電力系統はますます巨大化し、かつ地絡などの不測の事態に迅速な対処の重要性がますます高まっている。本発明による電力系統安定化装置の演算割付方法は従来の方式に比較して、より効率的に、柔軟に演算を行える条件が整えられ、その結果、シミュレーションは高速になり、地絡などの事故に素早く対応でき、電力系統の信頼性がより高まるので、電力系統における安定化装置の標準的な手法として広く利用されていく可能性がある。
1 系統安定化装置
2 電力系統
3 発電機
4、A、A、B、B、C、C 送電線
5 遮断器
6 負荷
10(10a、10b) 子局
21 指標演算部
22 故障ケース割付演算部
30 演算装置
100(100a、100b) 子局の対応テーブル
601 鉄塔

Claims (3)

  1. 複数の発電機から電力を供給される電力系統の複数の想定故障を演算装置でシミュレーション演算し、前記電力系統の安定を維持する電制条件を事前決定する電力系統の安定化方法において、
    複数の演算装置を備える系統安定化装置が前記演算装置の演算の処理工程である演算プロセス数を変えながら故障ケース割付演算を行うことによって、総演算時間が最も短くなる演算プロセス数を算出し、該演算プロセス数で前記演算装置に想定故障のシミュレーション演算を行わせることを特徴とする電力系統安定化装置の演算割付方法。
  2. 請求項1の電力系統安定化装置の演算割付方法において、
    記演算装置からの前記想定故障のシミュレーション演算の結果をに、シミュレーション演算の演算割付における故障ケース割付を補正して前記総演算時間をさらに短くすることを特徴とする電力系統安定化装置の演算割付方法。
  3. 請求項1の電力系統安定化装置の演算割付方法において、
    前記系統安定化装置が前記電力系統からのオンライン情報によって前記電力系統の状態変化を検出したとき、前記系統安定化装置は前記故障ケース割付演算優先順位の指標である選定指標の優先度をあげて前記総演算時間をさらに短くすることを特徴とする電力系統安定化装置の演算割付方法。
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