JP5288216B2 - ディスクブレーキ - Google Patents

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Description

本発明は、ディスクブレーに関する。
シリンダ内を摺動すディスクブレーキ用ピストンにおいては、その摺動面にクロムめっき層を形成してピストンとピストンシールとの摺動抵抗を小さくすることで、ブレーキフィーリングを向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来、この種のピストンにおいては、ピストン基体をアルミニウム合金とした場合、耐熱衝撃および耐食性を確保してディスクブレーキ用ピストンとして成立させるため、クロムめっき層の下地として鉄めっき層を形成する必要があった。アルミニウム合金により構成されるピストン基体に鉄めっき層を形成する場合、前処理として亜鉛置換処理を2回繰り返して当該ピストン基体表面の酸化皮膜を完全に除去する必要がある。その結果、表面処理工程が煩雑化している。
特開2006−292119号公報
このように、上記従来技術においては、ディスクブレーにおける製造が煩雑となっていた。本発明の目的は、その製造が容易となるディスクブレーを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のディスクブレーキは、ピストンは、アルミニウム合金により構成されるピストン基体の表面に、陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮膜層と、該陽極酸化皮膜層のうち外周の表面に直接形成されたクロムめっき層と、を積層して構成され、前記陽極酸化皮膜層は、膜厚が1.0〜10.0μmであり、陽極酸化処理により生成される直径が40nm以上の細孔が30〜100個/μm 2 の密度で表面に分布することを特徴とする
ディスクブレーの製造を容易にすることができる。
本実施形態のディスクブレーキの構造を示す断面図である。 本実施形態のディスクブレーキ用ピストンの構造を示す断面図である。 本実施形態の別のディスクブレーキの外観を示す外観図である。 本実施形態の別のディスクブレーキの構造を示す断面図である。 試験1における陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件を示す図表である。 試験2における陽極酸化処理条件を示す図表である。 試験2における陽極酸化皮膜層の表面の光学顕微鏡による画像であり、特に、陽極酸化処理液として硫酸溶液を使用した場合の表面の画像である。 試験2における陽極酸化皮膜層の表面の光学顕微鏡による画像であり、特に、陽極酸化処理液としてりん酸溶液を使用した場合の表面の画像である。 試験2における陽極酸化皮膜層の表面の光学顕微鏡による画像であり、特に、陽極酸化処理液としてクロム酸溶液を使用した場合の表面の画像である。 試験3における陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件を示す図表である。 試験3におけるピストンの測定部位を示す説明図である。 試験3におけるピストンの外径変化量の測定結果を示す図表である。 試験3における断面膜厚(陽極酸化皮膜層とクロムめっき層との合計膜厚)の測定結果を示す図表である。 試験4における陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件を示す図表である。 試験4における陽極酸化皮膜層の表面の物理的性状を示す図である。 試験4の結果を示す図表である。 試験5における陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件を示す図表である。 試験5の結果を示す図表である。 試験5におけるアドミッタンスの測定方法を説明するための図である。 試験6における陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件を示す図表である。 試験7における仕上げ加工の仕上げ条件およびピストン表面の光学顕微鏡による画像を仕上げ前後で比較した図表である。 試験8における仕上げ加工の仕上げ条件およびピストン表面の光学顕微鏡による画像を仕上げ前後で比較した図表である。 実施例1における表面処理工程の説明図である。
図1に、本発明を適用した場合に好適なディスクブレーキで、キャリパ浮動型と呼ばれるディスクブレーキの全体構造を示す。この図に示されるように、ディスクブレーキは、シリンダ1(キャリパ)、ディスクロータ2、該ディスクロータ2の両側に配置された一対のブレーキパッド3,4を有する。シリンダ1およびブレーキパッド3,4は、車両の非回転部に固定されたキャリア(図示省略)により、ディスクロータ2の軸方向(図1における左右方向)へ移動可能に支持される。シリンダ1は、シリンダ本体5と、該シリンダ本体5の基端部に設けられた有底のボア6にピストンシール7を介して摺動可能に設けられたカップ形状のピストンとを有する。該ピストン8は、図1に示されるシリンダ1がキャリアに支持された状態で、開口側端部を車両内側のブレーキパッド3に向けて配置される。
シリンダ本体5の先端部には爪部9が設けられ、該爪部9は、シリンダ1がキャリアに支持された状態で、車両外側のブレーキパッド4に対向して配置される。なお、各ブレーキパッド3,4は、裏板3a,4aと、各裏板3a,4aに接合されたライニング材3b,4bとにより構成される。なお、シリンダ本体5のボア6の底面とピストン8の非開口側端面との間には、液圧室10が形成される。そして、ブレーキペダルの操作に応じて該液圧室10にブレーキ液が供給されると、ピストン8が推進して車両内側のブレーキパッド3がディスクロータ2の一方の面に押し付けられ、この時の反力により、シリンダ本体5が車両内側へ移動する。その結果、爪部9により車両外側のブレーキパッド4がディスクロータ2の他方の面に押し付けられ、ディスクロータ2が一対のブレーキパッド3,4により挟圧されることで制動力が発生する。
図2に、ピストン8の断面図を示す。この図に示されるように、ピストン8は、アルミニウム合金により構成されるピストン基体11の表面に皮膜12を形成することにより構成される。皮膜12は、ピストン基体11の全表面に形成される陽極酸化皮膜層13と該陽極酸化皮膜層13上に積層されるクロムめっき層14とにより構成される。クロムめっき層14は、陽極酸化皮膜層13上の全面に形成されるのではなく、ピストン基体11の外側表面、すなわち、ピストンシール7に接触する外周面と液圧室10内のブレーキ液が接触する面とに形成される。
また、上記ピストン8は、図3,4に示されるような、いわゆる対向型キャリパのディスクブレーキにも適用することができる。この対向型キャリパのディスクブレーキは、キャリパ1’、ディスクロータ2’、該ディスクロータ2’の両側に配置された一対のブレーキパッド3’,4’を有する。キャリパ1’は、キャリパ本体5’に形成された一対の取付孔5a’に図示せぬ取付ボルトが挿通され、この取付ボルトが車両の非回転部に締結されることで、車両の非回転部に固定されるようになっている。
一対のブレーキパッド3’,4’は、キャリパ本体5’にディスクロータ2’の回転方向に沿って形成された空間5b’内に、パッドピン21,21に吊り下げられて配置されている。また、ブレーキパッド3’,4’は、キャリパ本体5’に固定されるパッドスプリング22によってディスクロータ2’の径方向内方へ付勢されるようになっている。
シリンダ本体5’には、ディスクロータ2’を挟んで設けられた少なくとも一対の有底のボア6’,6’が形成されている。シリンダ1’は、シリンダ本体5’と、有底のボア6’,6’にピストンシール7’,7’を介して摺動可能に設けられたカップ形状のピストン8’、8’とを有する。なお、図3,4に示すキャリパ1’においては、ボア6’及びピストン8’が計4個設けられている対向4ポッド形式となっている。
上記ピストンシール7’,7’は、ゴム硬度70〜85IRHDのエチレンプロピレンゴム(EPDM)製の環状体であり、断面が長方形となっている。また、ボア6’のピストンシール7’よりも開口側には、ゴム製のダストシール23,23が設けられている。
ピストン8’、8’は、開口側端部をそれぞれブレーキパッド3’,4’に向けて配置されている。シリンダ本体5’のボア6’、6’の底面とピストン8’、8’の非開口側端面との間でピストンシール7’,7’により密封される空間には、液圧室10’,10’が形成されている。そして、ブレーキペダルの操作に応じて該液圧室10’,10’にブレーキ液が供給されると、ピストン8’、8’が推進してブレーキパッド3’,4’がディスクロータ2の両面に押し付けられ、ディスクロータ2が一対のブレーキパッド3,4により挟圧されることで車両への制動力が発生する。
ここで、ディスクブレーキのピストンは、ゴム製のピストンシールの弾性によりブレーキ操作の解除後に一定量後退する、いわゆるロールバックするようになっている一方、ブレーキパッドの摩耗に応じてピストンシールによって締め付けられる部位が移動するようになっている。このため、ピストンの外周側表面は、ピストンシールに対して、ある程度密着し、ある程度すべるような特性が必要となっており、この特性を満足させるためにピストンの外表面にクロムめっきを施すようになっている。
しかし、ディスクブレーキのピストンにアルミニウム合金基体を用いる場合、アルミニウム合金基体に対して直接クロムめっきを施そうとしても、アルミニウム合金基体が空気中の酸素と反応することで表面にできる薄い酸化皮膜により、クロムめっきがアルミニウム合金基体に密着しにくいため、クロムめっき処理前に何らかの表面処理が必要となっていた。そこで、本願出願人は、先行特許文献に示すように、クロムとの密着性がよい鉄めっきをアルミニウム合金基体に施した後にクロムめっきを行なうようにしていた。しかし、鉄めっきを行なうためには、アルミニウム合金基体を脱脂した後に、エッチング処理、デスマット処理、及び亜鉛置換めっき処理の前処理と、鉄めっき後の防錆処理が必要となっており、製造が煩雑となっていた。
そこで、本願出願人は、製造工程を簡素にし、かつ、耐熱衝撃および耐食性を確保して、ディスクブレーキ用ピストンとして成立させるために鋭意研究を重ねた結果、陽極酸化処理によりアルミニウム合金製のピストン基体11の全表面に1.0〜10.0μmの膜厚の陽極酸化皮膜層13を形成した後、該ピストン基体11の外側表面全体、若しくは、少なくともピストンシール7を摺動する部位に約40μm程度の膜厚のクロムめっき層14を積層し、さらに、ピストン8の外周面に形成されたクロムめっき層14を仕上げ加工し、仕上げ後の外周面全体、若しくは、少なくともピストンシール7を摺動する部位のクロムめっき層14の膜厚を15〜35μm、残留応力を−500 MPa以下、且つ表面粗さを0.07〜0.30μmRaとすることにより、耐熱衝撃および耐食性に優れた高品質のディスクブレーキ用ピストン8が得られるという結論に至った。以下、本発明を発明する上で本願出願人が実施したいくつかの試験の内容およびその結果を説明する。
(試験1)
試験1では、良好な密着性を得るための陽極酸化処理条件を選定するための試験を行う。試験1においてピストン基体11として使用されたのは、二輪車のディスクブレーキ用のピストン素材(材質:A6061)である。また、選定対象に選ばれた処理液は、硫酸溶液、りん酸溶液、クロム酸溶液およびシュウ酸溶液の4種であり、各処理液の陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件は、図5に示される図表中のとおりである。ここで、各処理液の評価には、目視による外観評価およびロックウェル硬さ測定器による密着性評価を採用した。なお、密着性評価とは、ピストン8の外周面にロックウェル硬さ測定器のHRBスケールにて圧痕を形成し、該圧痕上にセロファンテープを圧着して剥離試験を実施し、圧痕周辺のめっきの剥離の程度により密着性を評価するものである。
試験1における評価の結果、図5に示される図表のりん酸溶液を使用して陽極酸化処理を行った場合に、良好な密着性が得られることが判明した。なお、硫酸溶液による陽極酸化処理の場合、ピストン8の外周面は、外観評価において、りん酸溶液による陽極酸化処理の場合と比較して外観に艶がなく、両端部に剥離が見られた。また、剥離試験の結果、圧痕周辺のめっきが環形状に剥離した。他方、クロム酸溶液およびシュウ酸溶液による陽極酸化処理の場合については、外観評価の結果、いずれの場合も剥離が認められた。
(試験2)
上記試験1の試験結果から、クロムめっきの密着性は、陽極酸化処理に使用される処理溶液によって異なる陽極酸化皮膜層13(多孔質層)の性状に起因する影響を受けることが判明した。そこで、試験2では、硫酸溶液、りん酸溶液およびクロム酸溶液の各処理溶液により試料の表面を陽極酸化処理し、各試料の陽極酸化処理後の表面を光学顕微鏡で観察することにより、陽極酸化皮膜層13の性状とクロムめっきの密着性との因果関係を考察する。なお、試験2において試料として使用されたのは、アルミニウム合金により構成される板厚5mmのプレートである(材質:A6061)。また、各処理溶液による陽極酸化処理条件は、図6に示される図表中のとおりである。
図6の試験2における試験結果を図7〜図9を参照して考察する。図8に示すように、りん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13には、その表面に、図7、図9に示す他の処理溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13と比較して、顕著に大きい孔径(直径)を有する細孔(空孔)が形成されていることがわかる。なお、図7に示す硫酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13の表面に形成された細孔の孔径は10nm程度、図9に示すクロム酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13の表面に形成された細孔の孔径は20nm程度であるのに対し、図8に示すりん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13の表面に形成された細孔の孔径は40〜60nmであった。したがって、試験1においてりん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13を下地とする場合、クロムめっきの密着性が確保されたのは、細孔の孔径に起因すると推測することができる。
(試験3)
試験3では、図10に示された図表中の条件で、りん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13(多孔質層)上にクロムめっきを積層した試料(ピストン8)を使用し、陽極酸化処理時間を5分間、10分間および20分間と3段階に変化させた場合の基礎データを取得すると共に耐熱衝撃性・耐食性の評価試験を行い、ディスクブレーキ用ピストン8としての成立性を評価する。試験3においてピストン基体11として使用されたのは、外径が30mmのピストン素材(材質:A6061)である。なお、上記試験における評価は、外観目視の他、外径変化量、断面膜厚および耐熱衝撃性・耐食性の3項目について行われる。
外径変化量は、クロムめっき前後における外径(クロムめっき前の外径は素材の外径)の変化量を、図11におけるX−X´およびY−Y´の2方向について2回づつ測定することで取得する。断面膜厚は、図11におけるR部、中央部および端部の3位置の膜厚を、X、X´、YおよびY´の4箇所について測定することで取得する。耐熱衝撃性・耐食性の評価試験は、300℃を30分間保持した後に急水冷する熱衝撃試験を5サイクル実施した後、JASO M610による複合サイクル試験を50サイクル実施した時の、外観の腐食や膨れの有無に基づき評価する。なお、試験3では、クロムめっきされた試料表面に研磨による仕上げ加工が施されており、研磨条件は、バフホイール粒度♯240、回転速度1300 rpm、押付圧力0.5 MPa、研磨時間5秒×5回である。
上記試験後の目視による外観評価では、いずれの試料(ピストン8)についても、外周面に深刻な腐食は見られず、ディスクブレーキ用ピストン8としての性能が確保されていた。また、図12に示されるピストン8の外径変化量の測定結果および図13に示される断面膜厚の測定結果により、陽極酸化処理時間が長い試料ほど、クロムめっき後の外径が小さく且つ断面膜厚が大きくなることが判明した。いずれの条件においても、図10に示される図表にあるように、クロムめっきの処理時間が30分間で同一であることから、外径変化量および断面膜厚の相違は、陽極酸化処理時間に起因するものと推定することができる。
(試験4)
試験4では、陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状とクロムめっきの密着性との因果関係を考察する。なお、陽極酸化処理条件およびクロムめっき処理条件は、図14に示される図中のとおりである。また、試験4では、陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状として、細孔直径(nm)、細孔壁厚(nm)および細孔密度(個/μm2)を観察する(図15参照)。なお、試験4において試料として使用されたのは、アルミニウム合金により構成される板厚5mmのプレートである(材質:A6061)。
図16を参照すると、クロムめっきの良好な密着性が得られる浴温20〜50℃で処理された陽極酸化皮膜層13の物理的性状は、膜厚(層の厚さ)が1.0〜10.0μmで、表面に、直径が40nm以上の細孔が30〜100個/μm2の密度で分布している状態を含むことがわかる。なお、りん酸溶液を使用した陽極酸化処理により得られる陽極酸化皮膜層13の膜厚は、概ね1.0〜10.0μmとなっている。また、クロムめっきの良好な密着性が得られる陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状は、表面の細孔の直径が240nm以下であることを含むことがわかる。さらに、図16から、クロムめっきの良好な密着性が得られる陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状は、細孔壁厚(細孔間の壁の厚さ)が10〜110nmであることがわかる。ここで、細孔の直径とは、必ずしも細孔が円形状とはならないため、細孔の開口部分の最大長さ寸法について、直径と称している。また、細孔壁厚の寸法については、全体の80%ぐらいの範囲で10〜110nmであることが望ましくなっている。
(試験5)
試験4の考察から、りん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層(多孔質層)13上にクロムめっきを積層する場合、陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状とクロムめっきの密着性との間に上述した因果関係があることがわかった。そこで、本願出願人は、陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状、すなわち、細孔直径、細孔壁厚、細孔密度ならびに皮膜厚さに応じて、当該陽極酸化皮膜層13のアドミッタンスが変化することから、アドミッタンスが陽極酸化皮膜層13の表面の物理的性状を総合的に捉える指標になるのではないかと考えた。
試験5では、りん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13上にクロムめっきを積層した試料(ピストン8)を使用した場合の、陽極酸化皮膜層13のアドミッタンスとクロムめっきの密着性との因果関係を考察する。なお、陽極酸化皮膜層13のアドミッタンスの測定は、JIS H8683-3:1999に準じて実施した。また、試験5では、図17に示されるように、試料(ピストン8)の非開口部側端面15にリング状のセル16をセットするとともに該セル16の中空部16aを電解液(硫酸カリウム水溶液)で満たし、さらに、試料(ピストン8)の開口部側端面17を研磨により母材(ピストン素材)を露出させておき、図17におけるPQ間のアドミッタンスを周波数1kHzで測定した。ここで、試験5において試料として使用されたのは、外径が30mmのピストン素材(材質:A6061)である。。さらに、陽極酸化処理条件は、図18に示される図中のとおりである。
図19は、りん酸濃度と浴温とが異なる場合のアドミッタンスの測定結果を示す表であり、この表を参照し、上記試験4の結果を考慮して検討すると、りん酸溶液による陽極酸化処理によりアルミニウム合金製のピストン基体11の表面に陽極酸化皮膜層13を形成し、該陽極酸化皮膜層13上にクロムめっき層14を形成する場合、クロムめっきの良好な密着性が得られる望ましい陽極酸化皮膜層13のアドミッタンスは、0.89〜2.00mSであることがわかる。本願出願人は、試験5の結果に基づき、りん酸溶液による陽極酸化処理により陽極酸化皮膜層13を形成する場合のクロムめっきの良好な密着性を得るための望ましい陽極酸化皮膜層13のアドミッタンスを0.9〜2.0mSとした。なお、上記試験5においては、陽極酸化皮膜層13のみを形成した状態でアドミッタンスを測定したが、陽極酸化皮膜層13の表面にクロムめっき層14を積層した状態においては、クロムめっき層14はピストン8の内周面側には殆ど積層されないため、非開口部側端面15に代えてピストン8の内周面側でアドミッタンスの測定を行なうようにしても良い。
(試験6)
試験6では、りん酸溶液による陽極酸化処理により得られた陽極酸化皮膜層13(多孔質層)上にクロムめっきを積層した試料(ピストン8)の表面を仕上げ加工し、仕上げ面の物理的性状による耐熱衝撃性・耐食性を評価した。試験6において試料のピストン基体11として使用されたのは、外径が30mmのピストン素材(材質:A6061)である。なお、陽極酸化処理条件およびクロムめっき条件は、図20に示される図表のとおりである。また、試料(ピストン8)の表面(クロムめっき層14)の仕上げ条件は、図21に示される図表中のとおりであり、センタレス式研削機により試料(ピストン8)の外径寸法を調整した後、研磨(バフ仕上げ)により表面を仕上げた。
図21を参照すると、試験6の試料は、外観および表面粗さから、仕上げ後の表面は、仕上げ前の表面に対して平滑であることがわかる。また、仕上げ後の表面の残留応力は、X線応力測定法で測定した結果、仕上げ前の表面の残留応力127MPa(引張り応力)から−689MPaの圧縮応力へ変化している。その結果、表面のクロムめっき層14を上記条件により仕上げ加工した試験6の試料においては、300℃を30分間保持した後に急水冷する熱衝撃試験を5サイクル実施した場合であっても、外観上に膨れや剥離が認められず、密着性が良好であった。さらに、JASO M610による複合サイクル試験を50サイクル実施して耐食性を評価した結果、10サイクル後の腐食面積率がレイティングNo.9以上であり、耐食性も良好であった。なお、ここで示される残留応力の測定は、日本非破壊検査協会編「非破壊検査」第37巻第8号636〜642頁に記載される「X線応力測定法」に基づき実施している。この他に残留応力は、歪ゲージ法、X線回折法あるいはバルクハウゼン法等により測定することもできる。
(試験7)
試験7では、試験6の比較例として、試料(ピストン8)の表面(クロムめっき層14)の仕上げ条件が異なる場合について耐熱衝撃性・耐食性を評価する。具体的には、試験6においては、センタレス式研削機により試料(ピストン8)の外径を調整した後、研磨(バフ仕上げ)により表面を仕上げたが、試験7では、センタレス式研削機による外径調整を行わず、研磨のみを実施して表面を仕上げたものを評価した。なお、試料表面の仕上げ条件は、図22に示される図表中のとおりであり、他の諸条件(陽極酸化処理条件、クロムめっき条件等)は、比較のために上記試験6と同一であり、図20に示される図表のとおりである。
図22を参照すると、研削機による研削を実施していない場合、すなわち、外径の調整を行っていない場合、試験7の比較試料は、外観および表面粗さから、表面の凹凸が十分に平滑になっておらず、試験6の試料の表面粗さと比較して粗くなっていることがわかる。また、仕上げ後の表面(クロムめっき層14)の残留応力は、−361MPaであり、試験6における試料表面の残留応力が−689MPaであるのに対して圧縮応力が減少する結果となった。そこで、熱衝撃試験(300℃を30分間保持した後に急水冷するを5サイクル)を実施した後、JASO M610による複合サイクル試験を50サイクル実施した結果、10サイクル後の腐食面積率がレイティングNo.8以下であり、耐食性に問題有りの結果となった。これは、試験7の比較試料は、表面の凹凸が十分に平滑になっていないため、クロムめっき後の表面の凹部に存在するチャンネルクラックを介して、下地のアルミニウム合金が腐食するためと推測することができる。
本願出願人は、試験6および7の試験結果に基づいて、アルミニウム合金製のピストン基体11の表面にりん酸溶液による陽極酸化処理により陽極酸化皮膜層13(多孔質層)を形成し、該陽極酸化皮膜層13上にクロムめっき層14を形成する場合における、耐熱衝撃性・耐食性を確保するための条件を、仕上げ加工(研削または研磨)後の表面の残留応力が−500MPa以下(より圧縮応力が大きくなる方向)が望ましいものとした。これに加え、表面粗さをJIS B 0651−2001に示される触針式表面粗さ測定器で測定して、0.06〜0.34μmRa、望ましくは、0.07〜0.30μmRaとした。ここで、ピストン8外周面の表面粗さが、0.05μmRa以下である場合には、ブレーキ解除時にピストンシール7対するピストン8のすべりが生じて、ディスクロータ2からブレーキパッド3,4が離間しきらずに、いわゆるブレーキパッドの引き摺りが過大となってしまい、車両の燃費に悪影響を与えてしまうことになる。また、ピストン11外周面の表面粗さが、0.35μmRa以上である場合には、ブレーキ解除時のピストンシール7によるピストン8のロールバック量が過大になることから、次回のブレーキ作動時の液量が大きくなってしまい、ブレーキ操作フィーリングに悪影響を与えてしまうことになる。なお、上記残留応力は、必ずしも−500MPa以下となるようにしなくてもよく、ディスクブレーキのピストンとしての耐熱衝撃および耐食性を許容できる範囲となれば、クロムめっき層に少なくとも圧縮応力が作用している状態となっていればよい。
図23に基づいて、カップ形状のピストン基体11を表面処理する手順を説明する。なお、ピストン基体11として使用されたのは、ピストン素材(材質:A6061)である。まず、脱脂処理工程においてピストン基体11の表面を脱脂処理する。次に、水洗・乾燥工程において、脱脂処理が完了したピストン基体11を、水洗する。次に、陽極酸化処理工程では、りん酸溶液による陽極酸化処理によりピストン基体11の表面全体に陽極酸化皮膜層13を形成する。当該陽極酸化処理工程における陽極酸化処理条件は、図20に示される図表のとおりである。
この条件で陽極酸化処理することで、陽極酸化皮膜層13は、膜厚(層の厚さ)が1.0〜10.0μm、細孔直径が40〜240nm、細孔壁厚(細孔間の壁の厚さ)が10〜110nm、細孔密度が30〜100個/μm2、アドミッタンスが0.9〜2.0mSの物理的性状を得ることができる。このような物理的性状を有する陽極酸化皮膜層13が表面に形成されたピストン基体11は、後述するクロムめっき処理工程において、クロムめっきの良好な密着性を得ることができる。なお、陽極酸化処理が完了したピストン基体11は、水洗工程において水洗する。
次に、クロムめっき処理工程では、陽極酸化皮膜層13が形成されたピストン基体11の表面にクロムめっき層14が積層される。なお、当該クロムめっき処理工程におけるクロムめっき処理条件は、図20に示される図表のとおりである。また、図2に示されるように、クロムめっき層14は、ピストン8の外観部分のみに形成される。クロムめっき処理が完了したピストン基体11は、水洗・乾燥工程において、水洗した後、乾燥される。陽極酸化皮膜層13にクロムめっき層14が積層されたピストン8は、仕上げ工程において、外周部分(ピストンシール7と摺動する部分)が仕上げ加工される。
仕上げ工程では、まず、センタレス式研削機によりピストン8の外径を調整した後、研磨(バフ仕上げ)により表面が仕上げられる。なお、ピストン8の表面の仕上げ条件は、図21に示される図表中のとおりである。上記仕上げ工程により、ピストン8の外周を形成するクロムめっき層14は、チャンネルクラックが閉塞されると共に表面の微細な凹凸が除去される。また、このような工程を経ることで、外周を形成するクロムめっき層14の残留応力が−500MPa以下、且つ表面粗さが0.07〜0.30μmRaのピストン8を得ることができ、このようなピストン8は、ディスクブレーキ用ピストン8として耐熱衝撃性・耐食性を確保することができる。
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、アルミニウム合金製のピストン基体11の表面にりん酸溶液による陽極酸化処理により陽極酸化皮膜層13を形成し、さらに、該陽極酸化皮膜層13上にクロムめっき層14を形成するに際して、陽極酸化処理により得られる陽極酸化皮膜層13の物理的性状を、膜厚(層の厚さ)が1.0〜10.0μm、細孔直径が40〜240nm、細孔壁厚(細孔間の壁の厚さ)が10〜110nm、細孔密度が30〜100個/μm2、アドミッタンスが0.9〜2.0mSとなるように陽極酸化処理条件を設定することにより、クロムめっき処理工程において、クロムめっきの良好な密着性を得ることができる。
また、本実施形態によれば、クロムめっき処理により陽極酸化皮膜層13上にクロムめっき層14を形成した後、外周を形成するクロムめっき層14の残留応力が−500MPa以下、且つ表面粗さが0.07〜0.30μmRaとなるようにピストン8の外周を研削および研磨により仕上げたことにより、クロムめっき層14の密着性が確保され、ディスクブレーキに使用するに向けて耐熱衝撃性・耐食性が良好なピストン8を提供することができる。また、従来、クロムめっき層の密着性を確保するため、クロムめっき層の下地として鉄めっき層が必要であったことから、亜鉛置換処理の工程が必須であり、これにより工程が煩雑化すると共にピストン8の製造コストが増大されていたが、本実施形態では、当該亜鉛置換処理の工程が不要であり、工程の煩雑化および製造コストの増大を抑制することができる。
上記実施形態によれば、ブレーキパッドをディスクロータに押し付けるピストンと、該ピストンがピストンシールを介して摺動可能に設けられて液圧により前記ピストンを推進するキャリパと、を有するディスクブレーキであって、前記ピストンは、アルミニウム合金により構成されるピストン基体の表面に、陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮膜層と、該陽極酸化皮膜層の表面に直接形成されたクロムめっき層と、を積層して構成されるようになっている。このように構成することで、ディスクブレーキの製造工程の増大を抑制することができる。また、ディスクブレーキのピストンの耐熱衝撃および耐食性を確保することができる。
上記実施形態によれば、前記陽極酸化皮膜層は、膜厚が1.0〜10.0μmであり、陽極酸化処理により生成される直径が40nm以上の細孔が30〜100個/μm2の密度で表面に分布するようになっている。このように構成することで、ピストン基体に対するクロムめっき層の密着性を良好なものとし、ディスクブレーキのピストンの耐熱衝撃および耐食性を確保することができる。
上記実施形態によれば、前記陽極酸化皮膜層は、前記細孔の直径が240nm以下となるようにしている。このように構成することで、ピストン基体に対するクロムめっき層の密着性を良好なものとし、ディスクブレーキのピストンの耐熱衝撃および耐食性を確保することができる。
上記実施形態によれば、前記陽極酸化皮膜層は、前記細孔間の間隔が10〜110μmとなるようにしている。このように構成することで、ピストン基体に対するクロムめっき層の密着性を良好なものとし、ディスクブレーキのピストンの耐熱衝撃および耐食性を確保することができる。
上記実施形態によれば、前記陽極酸化皮膜層は、アドミッタンス値が0.9〜2.0mSとなるようにしている。このように構成することで、ピストン基体に対するクロムめっき層の密着性を良好なものとし、ディスクブレーキのピストンの耐熱衝撃および耐食性を確保することができる。また、製造時の陽極酸化皮膜層のアドミッタンス値を計測することで、容易な検査でピストンの品質を確保することができる。
上記実施形態によれば、前記ピストンは、外周面を構成する前記クロムめっき層が研磨され、該クロムめっき層の研磨後の前記残留応力が−500MPa以下となるようにしている。このように構成することで、ディスクブレーキのピストンの耐熱衝撃および耐食性を確保することができる。なお、上記残留応力は、必ずしも−500MPa以下となるようにしなくてもよく、ディスクブレーキのピストンとしての耐熱衝撃および耐食性を許容できる範囲となれば、クロムめっき層に少なくとも圧縮応力が作用している状態となっていればよい。
上記実施形態によれば、前記ピストンは、外周面を構成する前記クロムめっき層が研磨され、該クロムめっき層の研磨後の表面粗さが0.07〜0.30μmRaとなるようにしている。このように構成することで、車両の燃費やブレーキ操作フィーリングに悪影響を及ぼすことを抑制できる。
1 シリンダ(キャリパ)、2 ディスクロータ、3,4 ブレーキパッド、7 ピストンシール、8 ピスト

Claims (6)

  1. ブレーキパッドをディスクロータに押し付けるカップ形状のピストンと、該ピストンがピストンシールを介して摺動可能に設けられて液圧により前記ピストンを推進するキャリパと、を有するディスクブレーキであって、
    前記ピストンは、アルミニウム合金により構成されるピストン基体の表面に、陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮膜層と、該陽極酸化皮膜層のうち外周の表面に直接形成されたクロムめっき層と、を積層して構成され
    前記陽極酸化皮膜層は、膜厚が1.0〜10.0μmであり、陽極酸化処理により生成される直径が40nm以上の細孔が30〜100個/μm 2 の密度で表面に分布することを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 前記陽極酸化皮膜層は、前記細孔の直径が240nm以下であることを特徴とする請求項に記載のディスクブレーキ。
  3. 前記陽極酸化皮膜層は、前記細孔間の間隔が10〜110μmであることを特徴とする請求項またはに記載のディスクブレーキ。
  4. 前記陽極酸化皮膜層は、アドミッタンス値が0.9〜2.0mSであることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
  5. 前記ピストンは、外周面を構成する前記クロムめっき層が研磨され、該クロムめっき層の研磨後の前記残留応力が−500MPa以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のディスクブレーキ。
  6. 前記ピストンは、外周面を構成する前記クロムめっき層が研磨され、該クロムめっき層の研磨後の表面粗さが0.07〜0.30μmRaであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のディスクブレーキ。
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