JP5287404B2 - 還元性ガス発生装置及び触媒還元システム - Google Patents

還元性ガス発生装置及び触媒還元システム Download PDF

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本発明は、固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる還元性ガス発生装置、及び還元性ガス発生装置を備える触媒還元システムに関する。
この種の還元性ガス発生装置の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1においては、密閉容器である還元性ガス発生容器の内部に収められた炭酸水素アンモニウムやステアリン酸アンモニウム等の固体還元剤を加熱分解することで、アンモニアガス等の還元性ガスを発生させる。固体還元剤の加熱分解により還元性ガスを発生させる際には、固体還元剤の下面を均一に加熱することで、還元性ガスを安定的に発生させるようにしている。
特開2008−267321号公報
「化学大辞典第5巻」、共立出版社、1984年
還元性ガス発生容器の内部に収められた固体還元剤を加熱分解することで発生した還元性ガス(例えばアンモニアガス)とその他の成分(例えば二酸化炭素や水等)は、加熱終了後に温度低下すると固体(固体還元剤)となって析出し、還元性ガス発生容器から還元性ガスを噴射する噴射ノズルまでの至る所で析出する。次に固体還元剤の加熱分解を開始するときには、噴射ノズルは冷えた状態であるので、噴射ノズル内の析出物(固体還元剤)は直ちにガス化することがない。このような状態を噴射ノズルを作動させると、シート近傍での析出物を噛み込む(シート不良が生じる)可能性があり、噴射ノズルを閉弁状態にしても還元性ガスを供給し続けるという問題を発生する。また、析出物が剥がれて噴射ノズルのシート部への噛み込みによるシート不良や、噴射ノズルの噴孔等の調量部への噛み込みによる流量特性の変化によって、所望する量の還元性ガスを供給することができなくなるという問題を発生する。そこで、固体還元剤の加熱分解終了後に、温度低下によって析出物(固体還元剤)が還元性ガス発生容器の外部に析出するのを抑えることが望ましい。
本発明は、還元性ガス発生容器の内部に収められた固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる場合に、固体還元剤の加熱分解終了後に、温度低下によって析出物が還元性ガス発生容器の外部に析出するのを抑えることを目的とする。
本発明に係る還元性ガス発生装置及び触媒還元システムは、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る還元性ガス発生装置は、固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる還元性ガス発生装置であって、加熱分解により還元性ガス及び水を発生する固体還元剤が内部に収められた還元性ガス発生容器と、該収められた固体還元剤を加熱することにより還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる加熱手段と、該発生させた還元性ガスの供給を許容または阻止する供給調整手段と、還元性ガス発生容器内部の温度を検出する温度検出手段と、還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる場合に、固体還元剤の加熱分解により発生した水が液相状態で還元性ガス発生容器内部に留まるように、還元性ガス発生容器内部の圧力を、温度検出手段で検出された温度に対応する水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御する制御手段と、を備えることを要旨とする。
また、本発明に係る還元性ガス発生装置は、固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる還元性ガス発生装置であって、加熱分解により還元性ガスを発生する固体還元剤と水とが内部に収められた還元性ガス発生容器と、該収められた固体還元剤を加熱することにより還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる加熱手段と、該発生させた還元性ガスの供給を許容または阻止する供給調整手段と、還元性ガス発生容器内部の温度を検出する温度検出手段と、還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる場合に、還元性ガス発生容器内部の水が液相状態で留まるように、還元性ガス発生容器内部の圧力を、温度検出手段で検出された温度に対応する水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御する制御手段と、を備えることを要旨とする。
本発明の一態様では、内部に水が収められた密閉容器と、還元性ガス発生容器内部の圧力が許容圧力よりも高い場合に還元性ガス発生容器内部のガスを密閉容器内部へ逃がす弁と、をさらに備えることが好適である。
本発明の一態様では、固体還元剤は、その加熱分解により還元性ガスとしてアンモニアガスを発生するものであることが好適である。
また、本発明に係る触媒還元システムは、本発明に係る還元性ガス発生装置と、前記還元性ガス発生装置で発生させた還元性ガスを利用して窒素酸化物を還元するための触媒と、を備えることを要旨とする。
本発明によれば、還元性ガス発生容器の内部に収められた固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる場合に、固体還元剤の加熱分解終了後に、温度低下によって析出物が還元性ガス発生容器の外部に析出するのを抑えることができる。
本発明の実施形態1に係る還元性ガス発生装置を備える触媒還元システムの概略構成を示す図である。 固体還元剤の加熱分解により還元性ガスを発生させる実験に用いた実験装置の概略構成を示す図である。 水の飽和蒸気圧に対する密閉容器内圧力とアンモニアガス発生量との関係を示す図である。 炭酸水素アンモニウムの加熱分解前後の赤外スペクトルを示す図である。 炭酸水素アンモニウムの加熱分解後の冷却による析出物が存在する領域を説明する図である。 本発明の実施形態2に係る還元性ガス発生装置を備える触媒還元システムの概略構成を示す図である。 カルバミン酸アンモニウムに水を添加しない場合においてカルバミン酸アンモニウムの加熱分解後の冷却による析出物が存在する領域を説明する図である。 カルバミン酸アンモニウムに水を添加した場合においてカルバミン酸アンモニウムの加熱分解後の冷却による析出物が存在する領域を説明する図である。 カルバミン酸アンモニウムの加熱分解前後の赤外スペクトルを示す図である。 本発明の実施形態2に係る還元性ガス発生装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る還元性ガス発生装置を備える触媒還元システムの概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る還元性ガス発生装置10を備える触媒還元システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る還元性ガス発生装置10は、固体還元剤14を加熱分解して還元性ガスを発生させるものである。
密閉された容器である還元性ガス発生容器12の内部には、固体還元剤14が収められている。ここでの固体還元剤14は、加熱分解により還元性ガスと水、及びそれ以外の物質を発生するものであり、例えば炭酸水素アンモニウムやステアリン酸アンモニウム等、加熱分解によりアンモニアガスと水を発生するものを使用することができる。炭酸水素アンモニウムは、加熱分解すると、アンモニアと水、及び二酸化炭素に分解する。
還元性ガス発生容器12には、内部に収められた固体還元剤14を加熱するためのヒータ16が装着されており、例えば電気的手段や排気熱を利用するものである。ここでのヒータ16は、還元性ガス発生容器12の外周に配置する形式であってもよいし、還元性ガス発生容器12の内部に挿入する形式であってもよい。また、熱面と固体還元剤14との接触面積を増加させるためのフィンやハニカム等を還元性ガス発生容器12の内部に設けてもよい。熱電対(温度センサ)22は還元性ガス発生容器12の内部の温度を検出し、圧力センサ24は還元性ガス発生容器12の内部の圧力を検出する。温調器18は、熱電対22で検出された還元性ガス発生容器12の内部の温度や、圧力センサ24で検出された還元性ガス発生容器12の内部の圧力に基づいて、ヒータ16による固体還元剤14の加熱状態を制御することで、還元性ガス(アンモニアガス)の発生状態を制御する。なお、ヒータ16として自己温度制御機能を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを使用すれば、ヒータ固有の温度に調整されるので、熱電対22の省略が可能となる。
ヒータ16により固体還元剤14を加熱することで、還元性ガス発生容器12の内部で還元性ガスが発生する。還元性ガス発生容器12の内部は密閉されているため、固体還元剤14が加熱分解して発生したガスによって還元性ガス発生容器12の内部の圧力が上昇する。還元性ガス発生容器12の内部で発生した還元性ガスは、還元性ガス発生容器12の上部に接続された還元性ガス供給管25を介してレギュレータ26へ供給され、さらに噴射ノズル28へ供給される。レギュレータ26は、還元性ガス発生容器12の内部で発生した還元性ガスを調圧して噴射ノズル28へ供給する。噴射ノズル28は、還元性ガス発生容器12の内部で発生し且つレギュレータ26で調圧された還元性ガスをエンジン(内燃機関)の排気通路30へ噴射する(供給する)。排気通路30には、エンジンの排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を還元するためのSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒32が設けられており、還元性ガスは、噴射ノズル28から排気通路30におけるSCR触媒32より上流部に噴射される。噴射ノズル28が開くことで、還元性ガスがSCR触媒32へ供給されるのが許容され、噴射ノズル28が閉じることで、還元性ガスがSCR触媒32へ供給されるのが阻止される。SCR触媒32では、還元性ガス発生容器12の内部で発生し且つ噴射ノズル28から供給された還元性ガス(アンモニアガス)を利用して、エンジンの排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)が窒素(N2)に還元されることにより浄化される。
還元性ガス発生容器12の内部では、固体還元剤14の加熱分解により還元性ガスとともに水も発生する。本実施形態では、還元性ガス発生容器12の内部で還元性ガスを発生させる場合に、温調器18は、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が水の飽和蒸気圧より高い圧力になるように、ヒータ16による固体還元剤14の加熱状態を制御する。温調器18では、熱電対22で検出された還元性ガス発生容器12の内部の温度に対応する水の飽和蒸気圧よりも圧力センサ24で検出された還元性ガス発生容器12の内部の圧力が高くなるように、ヒータ16による固体還元剤14の加熱状態が制御される。このように、還元性ガス発生容器12の内部の圧力を水の飽和蒸気圧より高くすると、固体還元剤14の加熱分解により発生した水分は沸騰することがないので、液相状態の水が還元性ガス発生容器12の内部に留まる。したがって、固体還元剤14の加熱分解により発生した水分が噴射ノズル28等、還元性ガス発生容器12の外部に存在するのを防止することができる。
本願発明者は、図2に示す実験装置を用いて、密閉容器(還元性ガス発生容器)12の内部に固体還元剤(炭酸水素アンモニウム)14を入れ、密閉容器12の内部の圧力を水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御した場合でも、固体還元剤14が加熱分解して還元性ガス(アンモニアガス)が発生することを実験で確認した。実験では、固体還元剤(炭酸水素アンモニウム)14が収められた常温の密閉容器12を120℃の一定温度に保ったオイルバス42に浸し、密閉容器12の内部の温度と圧力から還元性ガス(アンモニアガス)の発生量を求めた。固体還元剤14として炭酸水素アンモニウムを用いた場合の実験結果を図3に示す。ここで、図3(a)は水の飽和蒸気圧に対する密閉容器12の内部の圧力の関係を示し、図3(b)は水の飽和蒸気圧に対するアンモニアガスの発生量の関係を示す。図3に示すように、密閉容器12の内部の圧力が水の飽和蒸気圧より高い状態においても還元性ガス(アンモニアガス)が発生することがわかる。なお、この実験では、固体還元剤14の加熱分解により発生した水分(液相)は、密閉容器12の底面部に存在する。
図1に示す構成例において、エンジンが停止し、ヒータ16による固体還元剤14の加熱を終了して還元性ガス発生装置10の温度が低下すると、固体が析出する。本願発明者は、図2に示す実験装置を用いて、固体還元剤(炭酸水素アンモニウム)14の全量を加熱分解した後に室温まで冷却すると、固体が析出することを実験で確認した。析出した物質を調べるために、加熱分解前の固体還元剤14と加熱分解後の冷却により析出した物質とをフーリエ変換赤外分光分析装置(FT−IR)で分析した結果を図4に示す。図4(a)は加熱分解前の固体還元剤(炭酸水素アンモニウム)14の赤外スペクトルを示し、図4(b)は加熱分解後に冷却して析出した物質の赤外スペクトルを示す。析出物の赤外スペクトルは加熱分解前とほぼ一致していることから、加熱分解前の物質である固体還元剤(炭酸水素アンモニウム)14が析出したものと考えられる。また、図5に示すように、冷却後に析出物19が存在する領域は、固体還元剤14の加熱分解により発生した水分(液相)が存在する密閉容器12の底面部であった。この実験結果から、温度低下後の析出は、水分が存在する領域(密閉容器12の底面部)で発生することがわかる。アンモニアは水に対する溶解度が高く、また温度が低下するとアンモニアガスの水への溶解度が増加する。そのため、密閉容器12の内部の温度が低下すると、アンモニアガスが水に溶解してアンモニア水になるものと考えられる。また、アンモニア水が二酸化炭素の加圧下に放置されると結晶が析出することが非特許文献1に記述されており、この現象によって水が存在する領域に固体が析出したものと考えられる。
したがって、本実施形態では、還元性ガス発生容器12の内部で固体還元剤14の加熱分解により還元性ガス(アンモニアガス)を発生させる場合に、還元性ガス発生容器12の内部の圧力を水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御することで、温度低下後の析出物(固体還元剤)は、液相状態の水が存在する還元性ガス発生容器12の内部で析出し、水分が存在しない還元性ガス発生容器12の外部では析出が抑制される。これによって、固体還元剤14の加熱分解終了後に、温度低下によって析出物が噴射ノズル28等、還元性ガス発生容器12の外部に析出するのを抑えることができる。その結果、噴射ノズル28のシート部や調量部(噴孔)に析出物が噛み込むのを防止することができ、噴射ノズル28のシート不良や流量特性の変化を防止することができる。なお、還元性ガス発生容器12の内部から還元性ガス供給管25の内部へ還元性ガスが流出する部分にフィルタを配置すれば、温度低下後の析出物が還元性ガス発生容器12の外部に析出するのをさらに確実に防止することができ、噴射ノズル28のシート部や調量部に析出物が噛み込むのをさらに確実に防止することができる。
また、本実施形態では、触媒温度の低下を抑制することができる。通常の電磁弁形式の噴射ノズルでは、噴射可能なガス温度は触媒の活性温度より低いので、還元性ガスであるアンモニアガス以外の成分の噴出量を抑制することが望まれる。これに対して本実施形態では、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御することで、水分が還元性ガス発生容器12の外部に存在するのを抑制することができる。その結果、噴射ノズル28からの水分の噴出を抑制することができ、これによって、触媒温度の低下を抑制することができる。
「実施形態2」
図6は、本発明の実施形態2に係る還元性ガス発生装置10を備える触媒還元システムの概略構成を示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
実施形態1では、固体還元剤14として加熱分解時に水を発生するものを使用したのに対して、本実施形態では、固体還元剤14として加熱分解時に水を発生しないものを使用する。加熱分解時に水を発生しない固体還元剤14としては、例えばカルバミン酸アンモニウム(分子式:NH4CO2NH2)等を使用することが可能である。さらに、本実施形態では、還元性ガス発生容器12の内部には、加熱分解により還元性ガスを発生する固体還元剤14の他に、水15が収められている。図6に示す例では、還元性ガス発生容器12の内部に、固体還元剤14と水15とが互いに分離されて収められている。ただし、例えば固体還元剤14に水15を直接垂らして添加する等、固体還元剤14と水15とを分離しないで還元性ガス発生容器12の内部に収めることも可能である。そして、本実施形態でも、還元性ガス発生容器12の内部で還元性ガスを発生させる場合に、温調器18は、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が水15の飽和蒸気圧より高い圧力になるように、ヒータ16による固体還元剤14の加熱状態を制御する。これによって、水15は液相状態で還元性ガス発生容器12の内部に留まり、水分が噴射ノズル28等、還元性ガス発生容器12の外部に存在するのが抑制される。
本願発明者は、前述の図2に示す実験装置を用いて、密閉容器12の内部に水を添加することなく固体還元剤(カルバミン酸アンモニウム)14の全量を加熱分解した後に室温まで冷却すると、前述の炭酸水素アンモニウムの場合と同様に、固体が析出することを実験で確認した。図7に示すように、冷却後に析出物19が存在する領域は、密閉容器12の内面全体であった。この実験結果から、加熱分解時に水を発生しない固体還元剤14では、温度低下後の析出物が還元性ガス発生容器12の外部に析出しやすくなると考えられる。
次に、本願発明者は、図2に示す実験装置を用いて、密閉容器12の内部に固体還元剤(カルバミン酸アンモニウム)14と水15を入れ(固体還元剤14に水15を垂らして添加し)、密閉容器12の内部の圧力を水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御した状態で、固体還元剤14の加熱分解により還元性ガス(アンモニアガス)を発生させた。水15の添加量はカルバミン酸アンモニウム14の質量の30wt%で実験した。そして、固体還元剤(カルバミン酸アンモニウム)14の全量を加熱分解した後に室温まで冷却すると、図8に示すように、水分(液相)が存在する密閉容器12の底面部のみに析出物19が析出することを実験で確認した。この実験結果から、温度低下後の析出は、水分が存在する領域(密閉容器12の底面部)で発生することがわかる。さらに、冷却によって析出した物質を加熱するとアンモニアが発生し、再び冷却すると図8に示した実験結果と同様に密閉容器12の底面部のみに析出物19が析出した。
析出した物質を調べるために、加熱分解前の固体還元剤14と加熱分解後の冷却により析出した物質とをフーリエ変換赤外分光分析装置(FT−IR)で分析した結果を図9に示す。図9(a)は加熱分解前の固体還元剤(カルバミン酸アンモニウム)14の赤外スペクトルを示し、図9(b)は加熱分解後に冷却して析出した物質の赤外スペクトルを示す。図9に示す赤外スペクトルの分析結果から、冷却によって析出した物質は、炭酸アンモニウム(分子式:(NH4)2CO32O)が主成分であり、その他に炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムが混在していると推定される。例えば、析出物が炭酸アンモニウムのみであるとして必要な水分量を計算すると、カルバミン酸アンモニウムの質量の46wt%の水分量になる。実際には、冷却後もアンモニアガスと二酸化炭素が残存するために、30wt%の水分量で足りたものと推定される。したがって、カルバミン酸アンモニウムを使用する場合には、密閉容器12の内部で加熱分解するカルバミン酸アンモニウムの46wt%に相当する水分量を添加すれば、水分が不足することはない。
したがって、本実施形態でも、還元性ガス発生容器12の内部で固体還元剤14の加熱分解により還元性ガス(アンモニアガス)を発生させる場合に、還元性ガス発生容器12の内部の圧力を水15の飽和蒸気圧より高い圧力に制御することで、温度低下後の析出物は、液相状態の水15が存在する還元性ガス発生容器12の内部で析出し、水分が存在しない還元性ガス発生容器12の外部では析出が抑制される。これによって、固体還元剤14の加熱分解終了後に、温度低下によって析出物が噴射ノズル28等、還元性ガス発生容器12の外部に析出するのを抑えることができる。その結果、噴射ノズル28のシート部や調量部(噴孔)に析出物が噛み込むのを防止することができ、噴射ノズル28のシート不良や流量特性の変化を防止することができる。
なお、本実施形態に係る還元性ガス発生装置10を車両に搭載する場合は、還元性ガス発生容器12の内部に収められた水15が車両の振動によって飛び跳ねる可能性があるため、例えば図10に示すように、水15の飛散防止のための穴あき部材(例えばパンチングメタル)17を還元性ガス発生容器12の内部に設置してもよい。
以上の実施形態2では、固体還元剤14として加熱分解時に水を発生しないものを使用する場合について説明した。ただし、実施形態2でも実施形態1と同様に、固体還元剤14として加熱分解時に水を発生するもの(例えば炭酸水素アンモニウムやステアリン酸アンモニウム等)を使用することも可能であり、この場合でも、固体還元剤14の加熱分解終了後に、温度低下によって析出物が噴射ノズル28等、還元性ガス発生容器12の外部に析出するのを抑えることができる。
「実施形態3」
図11は、本発明の実施形態3に係る還元性ガス発生装置10を備える触媒還元システムの概略構成を示す図である。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1,2と同様である。
本実施形態では、密閉容器34と安全弁36とがさらに設けられている。図11に示す例では、実施形態1の構成に対して密閉容器34と安全弁36とを追加しているが、実施形態2の構成に対して密閉容器34と安全弁36とを追加することも可能である。密閉容器34の内部には水15が収められている。安全弁36は、還元性ガス発生容器12の内部と密閉容器34の内部とを接続するためのガス排出管35に設けられている。還元性ガス発生容器12の内部の圧力が許容圧力以下である場合は、安全弁36が閉じており、還元性ガス発生容器12の内部と密閉容器34の内部との連通が安全弁36により遮断される。一方、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が許容圧力よりも高い場合は、安全弁36が開くことで、還元性ガス発生容器12の内部と密閉容器34の内部との連通が安全弁36により許容される。これによって、還元性ガス発生容器12の内部のガスが密閉容器34の内部に逃げることで、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が許容圧力より低くなるよう低下する。ここでの安全弁36は、リリーフバルブのような機械的なものであってもよいし、還元性ガス発生容器12の内部の圧力を圧力センサ24で検出して許容圧力よりも高くなったときに開くように作動する電磁バルブのようなものであってもよい。
何らかの要因で還元性ガス発生装置10が誤作動して、還元性ガス発生容器12の内部で還元性ガスが大量に発生すると、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が過度に高くなる可能性がある。これに対して本実施形態では、還元性ガス発生容器12の内部で固体還元剤14の加熱分解により還元性ガス(アンモニアガス)を発生させる場合に、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が許容圧力よりも高くなると、安全弁36が開いて還元性ガス発生容器12の内部のガスを密閉容器34の内部へ逃がすことで、還元性ガス発生容器12の内部の圧力が過度に高くなるのを防止することができる。安全弁36から流出したガスは、水15が収められた密閉容器34の内部に流入し、温度が低下する。これは、加熱しない密閉容器34の内部の温度が流入するガスの温度より低いこと、さらに、還元性ガス発生容器12の内部の圧力より密閉容器34の内部の圧力が低いために流入したガスが膨張して温度が低くなることによる。密閉容器34の内部で温度低下したガスは、水15が存在する部分で固形物(固体還元剤)になる。この相変化が密閉容器34の内部で発生するため、密閉容器34の内部の圧力も過度に高くなることはない。
以上の各実施形態では、還元性ガス発生装置10(還元性ガス発生容器12の内部)で発生させた還元性ガス(アンモニアガス)を利用して、エンジン(内燃機関)の排気中に含まれるNOxを還元(浄化)する場合について説明した。ただし、各実施形態では、還元性ガス発生装置10(還元性ガス発生容器12の内部)で発生させた還元性ガス(アンモニアガス)を噴射ノズル28から例えばエンジンの吸気管内へ噴射することでエンジン(内燃機関)の燃料として使用することも可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 還元性ガス発生装置、12 還元性ガス発生容器(密閉容器)、14 固体還元剤、15 水、16 ヒータ、17 穴あき部材、18 温調器、19 析出物、22 熱電対、24 圧力センサ、25 還元性ガス供給管、26 レギュレータ、28 噴射ノズル、30 排気通路、32 SCR触媒、34 密閉容器、35 ガス排出管、36 安全弁、42 オイルバス。

Claims (5)

  1. 固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる還元性ガス発生装置であって、
    加熱分解により還元性ガス及び水を発生する固体還元剤が内部に収められた還元性ガス発生容器と、
    該収められた固体還元剤を加熱することにより還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる加熱手段と、
    該発生させた還元性ガスの供給を許容または阻止する供給調整手段と、
    還元性ガス発生容器内部の温度を検出する温度検出手段と、
    還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる場合に、固体還元剤の加熱分解により発生した水が液相状態で還元性ガス発生容器内部に留まるように、還元性ガス発生容器内部の圧力を、温度検出手段で検出された温度に対応する水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御する制御手段と、
    を備える、還元性ガス発生装置。
  2. 固体還元剤を加熱分解して還元性ガスを発生させる還元性ガス発生装置であって、
    加熱分解により還元性ガスを発生する固体還元剤と水とが内部に収められた還元性ガス発生容器と、
    該収められた固体還元剤を加熱することにより還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる加熱手段と、
    該発生させた還元性ガスの供給を許容または阻止する供給調整手段と、
    還元性ガス発生容器内部の温度を検出する温度検出手段と、
    還元性ガスを還元性ガス発生容器内部で発生させる場合に、還元性ガス発生容器内部の水が液相状態で留まるように、還元性ガス発生容器内部の圧力を、温度検出手段で検出された温度に対応する水の飽和蒸気圧より高い圧力に制御する制御手段と、
    を備える、還元性ガス発生装置。
  3. 請求項1または2に記載の還元性ガス発生装置であって、
    内部に水が収められた密閉容器と、
    還元性ガス発生容器内部の圧力が許容圧力よりも高い場合に還元性ガス発生容器内部のガスを密閉容器内部へ逃がす弁と、
    をさらに備える、還元性ガス発生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の還元性ガス発生装置であって、
    固体還元剤は、その加熱分解により還元性ガスとしてアンモニアガスを発生するものである、還元性ガス発生装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の還元性ガス発生装置と、
    前記還元性ガス発生装置で発生させた還元性ガスを利用して窒素酸化物を還元するための触媒と、
    を備える、触媒還元システム。
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