JP5287369B2 - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents
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特に、高温で高効率を維持するためには、電流狭窄構造として、漏れ電流の少ないpn埋込構造を用いるのが好ましいと考えられる。そして、pn埋込構造を用いた半導体光増幅器においてその有効性が確認されている。
しかしながら、pn埋込構造を用いる場合、図9に示すように、複数回の成長を行なってpn接合を形成する過程で成長中にp型不純物(例えばZn)が活性層内に拡散していることが、本発明者の研究で分かってきた。
そこで、活性層へのp型不純物の拡散を抑え、利得、雑音指数の特性劣化が生じないようにしたい。
本実施形態にかかる半導体素子は、半導体レーザや半導体光増幅器(SOA;光増幅素子)などの半導体発光素子(半導体光素子)である。また、本半導体素子は、発光領域(光増幅領域)である活性層をメサストライプ状に加工してメサ構造を形成し、このメサ構造を埋め込む埋込構造(電流狭窄構造)として、pn埋込構造を用いたものである。
ここでは、n型InP基板1上に、n型InP下部クラッド層2、n型InGaAsP下部SCH層3、InAs量子ドット活性層4、n型InGaAsP上部SCH層5を有するメサ構造6を備える。ここで、InAs量子ドット活性層4は、InAs量子ドットとInGaAsPバリア層とからなる。
なお、n型InP基板1の裏面側にはn側電極10が設けられており、p型InP上部クラッド層9上にはp側電極11が設けられている。
ここで、Zn拡散長は、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12内でZnが拡散する領域の長さであり、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まる。Zn拡散長よりも長い領域では、Znはほとんど存在していないものと定義する。このため、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の膜厚がZn拡散長よりも厚くなっていれば、活性層3,4,5へのZn拡散が抑えられることになる。
ここで、図2中、破線Aは、活性層3,4,5内へのZnの拡散がなくなったときのIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の膜厚及びGa組成xの関係(Zn拡散長)を示している。
また、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成xとZn拡散長h(nm)との関係は、次式(1)によって表される。
なお、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12として、p型不純物をドープしたもの(p+層)、n型不純物をドープしたもの(n+層)、不純物をドープしていないもの(Undope層)のいずれを用いた場合も同様の効果が得たれた。但し、ここでの不純物濃度は成長時の平面部分における濃度(平板での仕込みの濃度)である。
ところで、本実施形態では、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12はInPに対して格子整合しないため、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の膜厚を臨界膜厚よりも薄くしている。
ここで、Matthews and Blakesleeの理論に基づいて計算される、InP基板1上のIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まるIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の臨界膜厚は、次式(2)によって表される。
このため、本実施形態では、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の膜厚及びGa組成xを、図2中、破線Aと実線Bとによって囲まれた範囲に設定するようにしている。つまり、本実施形態では、上述のように、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の膜厚を、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まる臨界膜厚よりも薄く、かつ、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まるp型不純物の拡散長(Zn拡散長)よりも厚くなるようにしている。
具体的には、本実施形態では、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12は、In0.8Ga0.2Pブロック層とし、活性層3,4,5の側面を覆う部分の膜厚を7.5nmとしている。
まず、InP基板1上に、活性層3,4,5を有するメサ構造6を形成する(図1参照)。
次いで、少なくとも活性層3,4,5の側面を覆うようにIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12を形成する(図1参照)。
特に、本実施形態では、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12を形成する工程において、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12を、膜厚が、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まる臨界膜厚よりも薄く、かつ、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まるp型不純物の拡散長よりも厚くなるように形成する。
まず、図3(A)に示すように、n型InP基板1上に、格子整合するように、例えばMOVPE(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属気相成長)法によって、n型InP下部クラッド層2、n型InGaAsP下部SCH層3、InAs量子ドット活性層4、n型InGaAsP上部SCH層5を順に積層させて形成する。なお、InAs量子ドット活性層4は、InAs量子ドットとInGaAsPバリア層とからなる。
次に、図3(C),(c)に示すように、メサ構造6の側面及びn型InP下部クラッド層2の表面を覆うようにIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12を形成する。
これにより、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12を、膜厚が、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まる臨界膜厚よりも薄く、かつ、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12のGa組成によって決まるp型不純物の拡散長よりも厚くなるように形成する。
次に、図3(D),(d)に示すように、素子分離溝13を形成する。
次に、図3(F),(f)に示すように、メサ構造6の上方のパッシベーション膜14の一部をエッチングによって除去して開口部15を形成した後、図4(A),(a)に示すように、p側電極11(配線を含む)を構成するバリアメタル16を蒸着する。
次に、図4(D),(d)に示すように、レジスト17を除去した後、バリアメタル16のp側電極11(配線を含む)として不要な部分をドライエッチングによって除去する。
そして、図4(E),(e)に示すように、n型InP基板1の裏面側にメタルを蒸着してn側電極10を形成する。
このようにして、本実施形態にかかる半導体素子が製造される。
このような効果が得られることを確認すべく、図1に示すような構造のpn埋込型SOAを試作した。つまり、InP基板1上に形成されたメサ構造6の側面(活性層3,4,5の側面)を覆うように薄膜のIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12の形成したpn埋込型SOAを試作した。
ここで、図5、図6は、このようにして試作したpn埋込型SOAの利得特性、雑音指数を示している。なお、図5、図6中、実線Aは、本実施形態のpn埋込型SOAの利得特性、雑音指数を示しており、実線Bは、ブロック層を有しない同一構造のpn埋込型SOAの利得特性、雑音指数を示している。
例えば、メサ構造6を形成した後、図7に示すように、表面全体を覆うようにIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12,12Aを形成しても良い。つまり、メサ構造6の上面も覆われるようにIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12,12Aを形成しても良い。この場合、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12,12Aは、メサ構造6の上面と上部クラッド層9との間にも設けられることになる。これにより、上部クラッド層9から活性層3,4,5へのZn拡散を抑えることができる。また、高電流時の上部クラッド層9へのキャリア漏れを抑えることができる。
このような構成にする場合、上述の実施形態における製造方法において、InAs量子ドット活性層4上にn型InGaAsP上部SCH層5を形成した後、図8(A)に示すように、In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12Aを形成すれば良い。そして、図8(B),(b)に示すように、n型InP下部クラッド層2に達するまでエッチングすることによってメサストライプ状に加工して、メサ構造6を形成した後、図8(C),(c)に示すように、メサ構造6の側面及びn型InP下部クラッド層2の表面を覆うようにIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層12を形成すれば良い。なお、その後の工程は上述の実施形態における製造方法と同様である。
2 n型InP下部クラッド層
3 n型InGaAsP下部SCH層
4 InAs量子ドット活性層
5 n型InGaAsP上部SCH層
6 メサ構造
7 第1埋込層(p型導電性半導体層)
8 第2埋込層(n型導電性半導体層)
9 上部クラッド層(p型導電性半導体層)
10 n側電極
11 p側電極
12,12A In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層
13 素子分離溝
14 パッシベーション膜
15 開口部
16 バリアメタル
17 レジスト
18 メタル
Claims (5)
- n型InP基板上に設けられ、活性層を有するメサ構造と、
Znをドープした半導体材料からなり、前記メサ構造の両側を埋め込む第1埋込層と、
少なくとも前記活性層の側面と前記第1埋込層との間に設けられたIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層と、
前記第1埋込層上に形成され、前記メサ構造の両側を埋め込み、n型不純物をドープした半導体材料からなる第2埋込層と、
前記第2埋込層及び前記メサ構造の上に形成され、p型不純物をドープした半導体材料からなるクラッド層とを備え、
前記In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層の膜厚が、臨界膜厚よりも薄く、かつ、Znの拡散長よりも厚いことを特徴とする半導体発光素子。 - 前記In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層のGa組成xと前記Znの拡散長h(nm)との関係は、次式によって表されることを特徴とする、請求項1記載の半導体発光素子。
- 前記In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層は、バンドギャップが前記第1埋込層のバンドギャップよりも広いことを特徴とする、請求項1又は2記載の半導体発光素子。
- 前記In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層が、前記メサ構造の上面と前記クラッド層との間にも設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- n型InP基板上に、活性層を有するメサ構造を形成し、
少なくとも前記活性層の側面を覆うようにIn1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層を形成し、
前記メサ構造の両側を埋め込むように、Znをドープした半導体材料からなる第1埋込層を形成し、
前記第1埋込層上に、前記メサ構造の両側を埋め込むように、n型不純物をドープした半導体材料からなる第2埋込層を形成し、
前記第2埋込層及び前記メサ構造の上に、p型不純物をドープした半導体材料からなるクラッド層を形成する工程を含み、
前記In1−xGaxP(0<x≦1)ブロック層は、膜厚が、臨界膜厚よりも薄く、かつ、Znの拡散長よりも厚くなるように形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
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