JP5286716B2 - フォトマスクの欠陥修正方法および製造方法 - Google Patents
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Description
走査型プローブ顕微鏡の探針によって余剰な遮光膜等を除去する際には、削り屑が出る。通常、削り屑は洗浄処理により除去されるが、フォトマスク表面に存在する吸着水の表面張力や摩擦に伴う帯電によりフォトマスクに削り屑が付着しやすく、このように付着した削り屑は除去するのが困難である。そこで、削り屑を綺麗に除去する方法として、液体中で探針によって余分な遮光膜を除去し、基板表面に削り屑が残らないようにする方法が開示されている(例えば特許文献4参照)。この方法によれば、削り屑は液体中に拡散するため、フォトマスクに残らないのである。
本発明のフォトマスクの欠陥修正方法は、欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去する際に供給する薬液の種類によって2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様について説明する。
本発明のフォトマスクの欠陥修正方法の第1実施態様は、基板上に欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、上記欠陥部に、この欠陥部を分解または溶解する分解・溶解用薬液を供給しながら、上記欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去することを特徴とするものである。
図1は、本実施態様のフォトマスクの欠陥修正方法の一例を示す工程図である。図1(a)に示すように、基板2上に遮光膜3がパターン状に形成されたフォトマスク1には、異物(欠陥部4)が付着している。図1においては、供給口12から欠陥部4に分解・溶解用薬液14が供給され、排出口13から欠陥部4に供給された分解・溶解用薬液14が排出される。このような供給口12および排出口13によって、欠陥部4の周辺に局所的に分解・溶解用薬液14が供給される。
そのため、例えばシリコン等の比較的軟らかい探針を用いて欠陥部を除去することも可能であり、フォトマスクへのダメージを防ぐことができる。例えば、基板上に異物が付着している場合には基板へのダメージを軽減することができ、また遮光膜等の上に異物が付着している場合には遮光膜等へのダメージを軽減することができる。したがって、例えば比較的厚みの薄い異物がフォトマスクに付着している場合であっても、フォトマスクにダメージを与えることなく異物を除去することができる。
本実施態様に用いられる分解・溶解用薬液は、欠陥部を分解または溶解するものである。
本実施態様に用いられる走査型プローブ顕微鏡の探針としては、特に限定されるものではなく、一般的に使用されている探針を用いることができる。
また、通常、欠陥部よりも硬い探針が用いられる。すなわち、フォトマスクの基板よりも軟らかい材質の探針が用いられる。
本実施態様においては、欠陥部に分解・溶解用薬液を供給しながら、欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去する。
本実施態様のフォトマスクの欠陥修正方法は、透過型マスクおよび反射型マスクのいずれも適用することができる。
本発明のフォトマスクの欠陥修正方法の第2実施態様は、基板上に欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、上記欠陥部に、上記基板のゼータ電位と上記欠陥部のゼータ電位とが同符号となるようにpHが調整されたpH調整用薬液を供給しながら、上記欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去することを特徴とするものである。
図4は、本実施態様のフォトマスクの欠陥修正方法の一例を示す工程図である。図4(a)に示すように、基板2上に遮光膜3がパターン状に形成されたフォトマスク1には、有機物の異物(欠陥部4)が付着している。図4においては、供給口12から欠陥部4にpH調整用薬液17が供給され、排出口13から欠陥部4に供給されたpH調整用薬液17が排出される。このような供給口12および排出口13によって、欠陥部4の周辺に局所的にpH調整用薬液17が供給される。そして、pH調整用薬液17は、基板2のゼータ電位と欠陥部4のゼータ電位とがマイナスになるように調整されている。
上述したように、pH調整用薬液17は基板2のゼータ電位と欠陥部4のゼータ電位とがマイナスになるように調整されているので、基板2のゼータ電位はマイナス、欠陥部4のゼータ電位はマイナスとなっている。そのため、欠陥部4は基板2と反発して、基板2から剥がれやすくなる。さらに、掻き落とされた欠陥部4のゼータ電位もマイナスとなっているので、図4(c)に示すように、一旦掻き落とされた欠陥部4は基板2と反発して、基板2に付着しにくくなる。
欠陥部4を探針11で掻き落とす際には、供給口12から欠陥部4にpH調整用薬液17が供給されるとともに、排出口13から欠陥部4に供給されたpH調整用薬液17が排出される。これにより、排出口13から掻き落とされた欠陥部4も排出され、図4(d)に示すように欠陥部が取り除かれる。
ここで、基板および欠陥部のゼータ電位は、pH調整用薬液のpHによって変化する。例えば、SiO2、Si3N4、ポリスチレン(PSL)では、pH調整用薬液のpHが酸性からアルカリ性に変わると、これらのゼータ電位がプラスからマイナスに変化する。
したがって、pH調整用薬液のpHを、基板のゼータ電位と欠陥部のゼータ電位とが同符号となるように調整することにより、欠陥部と基板との反発力を利用して、欠陥部を基板から剥がれやすくすることができる。さらには、掻き落とされた欠陥部が、基板に付着するのを防ぐことができる。
そのため、例えばシリコン等の比較的軟らかい探針を用いて欠陥部を除去することも可能であり、フォトマスクへのダメージを防ぐことができる。例えば、基板上に異物が付着している場合には基板へのダメージを軽減することができ、また遮光膜等の上に異物が付着している場合には遮光膜等へのダメージを軽減することができる。したがって、例えば比較的厚みの薄い異物がフォトマスクに付着している場合であっても、フォトマスクにダメージを与えることなく異物を除去することができる。
本実施態様に用いられるpH調整用薬液は、基板のゼータ電位と欠陥部のゼータ電位とが同符号となるようにpHが調整されたものである。
具体的には、pH調整用薬液のpHは、基板のゼータ電位の絶対値および欠陥部のゼータ電位の絶対値がそれぞれ5mV以上、中でも20mV以上となるように調整されていることが好ましい。
なお、上記ゼータ電位は、電気泳動法または電気浸透法により求めることができる。
例えば、アルカリ性を示すpH調整用薬液としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
このようなpH調整用薬液としては、例えば、アンモニア等が挙げられる。
また、アニオン性界面活性剤の塩のカチオン部としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
本実施態様においては、欠陥部にpH調整用薬液を供給しながら、欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去する。
例えば、欠陥部(異物)が有機物である場合には、まず異物の周辺に分解・溶解用薬液を供給しながら異物を探針で除去することによって、基板に付着した異物を基板から掻き落とし、次いで異物の周辺にpH調整用薬液を供給しながら異物を探針で除去することによって、基板への異物の再付着を防ぐことができる。
本実施態様のフォトマスクの欠陥修正方法は、透過型マスクおよび反射型マスクのいずれも適用することができる。
なお、透過型マスクおよび反射型マスクについては、上記第1実施態様に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明のフォトマスクの製造方法は、フォトマスクの欠陥部を検査する検査工程と、上記検査工程にて上記欠陥部が検出された場合に、上述のフォトマスクの欠陥修正方法を行うことにより、上記欠陥部を除去する修正工程とを有することを特徴とするものである。
本発明における検査工程は、フォトマスクの欠陥部を検査する工程である。
本工程では、フォトマスクに欠陥部が存在するか否かを検査する。異物等が存在する場合には、欠陥部として検出される。
本発明における修正工程は、上記検査工程にて上記欠陥部が検出された場合に、上述のフォトマスクの欠陥修正方法を行うことにより、欠陥部を除去する工程である。
なお、フォトマスクの欠陥修正方法については、上記「A.フォトマスクの欠陥修正方法」に記載したので、ここでの説明は省略する。
図6は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を使用した付着力測定の模式図である。図6(a)〜(b)に示すように試料51を探針52の先端に接触させていくと、探針52は反った状態になる。このとき、試料表面と探針の先端との間に探針の反りがうむ力につり合う斥力が働いている。次いで、図6(b)〜(c)に示すように試料51を探針52の先端から離れさせていくと、試料51と探針52との距離が遠ざかるにつれて、探針52がたわんでいくにもかかわらず、試料51と探針52の先端とが接触し続けている場合がある。この場合、試料と探針の先端との間には探針のたわみがうむ力につり合う引力、すなわち付着力が働いている。このようにして、物質表面間に働く引力と斥力とは探針のたわみまたは反りとして検知することができ、探針の変位とそのバネ定数から、付着力の大きさを求めることができる。このような付着力測定により、図7に示すようなフォースカーブを得ることができる。
自動欠陥検査装置で有機物の欠陥部(異物)が見つかったレベンソンマスクを、修正装置に導入し、欠陥部が見つかった位置にXYステージを移動した。この欠陥部は、レジストの剥膜時に残ったレジストの異物であった。まず、欠陥部の位置と形状を正確に把握するために、バネ定数100N/mの探針を用いて、1nNの力で異物を走査し、異物の形状を観察した。次に、観察した異物の座標に硫酸過水(硫酸:過酸化水素水=1:4)を滴下した。次いで、欠陥部の位置と形状を基に探針の走査範囲を決め、バネ定数100N/mの探針を用いて、10nNの力で異物を走査し異物を除去した。
硫酸過水による化学的な除去力を加えることで、比較的軟らかい針を用いることができ、基板にダメージを与えずに異物を除去することができた。
自動欠陥検査装置で無機物の欠陥部(異物)が見つかったレベンソンマスクを、修正装置に導入し、欠陥部が見つかった位置にXYステージを移動した。この欠陥部は、石英のエッチング時に生じた石英の異物であった。まず、欠陥部の位置と形状を正確に把握するために、バネ定数100N/mの探針を用いて、1nNの力で異物を走査し、異物の形状を観察した。次に、観察した異物の座標に界面活性剤が添加された溶液(pH9)を滴下した。この場合、基板(石英)のゼータ電位は約−60mVとなり、異物のゼータ電位も同じく約−60mVとなり、大きな静電気的な反発力が生じる。次いで、欠陥部の位置と形状を基に探針の走査範囲を決め、バネ定数100N/mの探針を用いて、10nNの力で異物を走査し異物を除去した。
pHが調整された溶液に異物を浸漬させることで、欠陥部と基板との間に静電気的な反発力を加えることができ、そのために比較的軟らかい針を用いても異物を除去することができ、基板にダメージを与えずに異物を除去することができた。
2 … 基板
3 … 遮光膜
4 … 欠陥部
11 … 探針
12 … 供給口
13 … 排出口
14 … 分解・溶解用薬液
19 … pH調整用薬液
Claims (8)
- 基板上に欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、
前記欠陥部に局所的に、当該欠陥部を分解または溶解する分解・溶解用薬液を供給するとともに排出しながら、前記欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去することを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。 - 前記分解・溶解用薬液が、オゾン水または硫酸過水であることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 基板上に欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、
前記欠陥部に局所的に、前記基板のゼータ電位と前記欠陥部のゼータ電位とが同符号となるようにpHが調整されたpH調整用薬液を供給するとともに排出しながら、前記欠陥部を走査型プローブ顕微鏡の探針で除去することを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。 - 前記pH調整用薬液のpHが9以上であることを特徴とする請求項3に記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記pH調整用薬液がさらに添加剤を含有するものであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記pH調整用薬液を供給しながら前記欠陥部を前記探針で除去する前に、前記欠陥部に、当該欠陥部を分解または溶解する分解・溶解用薬液を供給しながら、前記欠陥部を前記探針で除去することを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記探針のバネ定数が1N/m〜1000N/mの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- フォトマスクの欠陥部を検査する検査工程と、
前記検査工程にて前記欠陥部が検出された場合に、請求項1から請求項7までのいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法を行うことにより、前記欠陥部を除去する修正工程と
を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
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