JP5284675B2 - 粉体塗装装置 - Google Patents
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Description
粉体塗料はノズルから吐出された後大気中に飛散するため、通常、密閉された塗装ブース内で行うことで外部への汚染が極力防止されている。また、塗装ブースには集塵装置の吸気口が接続されて、ワークに塗着せずに浮遊している粉体塗料がエアと共にその吸気口から吸引されて外部に排出されるようになっており、飛散により浮遊した粉体塗料の速やかな沈静化が図られている。
しかしながら、塗装ガンから吐出された粉体塗料がワークに塗着する塗装効率は未だ高いとは言えない。塗装効率の向上のみに着目すれば多関節ロボット方式の塗装装置を使用し塗装ガンを効率の良い位置にもってきて塗装することも可能だが、その主の塗装装置はレシプロ方式の塗装装置に比べてかなり高価である。
また、多関節ロボット方式では、塗装ガンのノズルの位置角度が変化するため、塗着しなかった粉体塗料を回収して再使用するにも、塗装ブース全体から回収することになる。そのため、回収率は低く、同一の塗料を大量に使用したような場合でなければ回収量が再使用処理費用に見合う量にはならない。而して、最近では、小ロットで多色の要求が増えていることや、再使用不可能な粉体塗料も多々あることから、大部分の粉体塗料はそのまま廃棄処理されてしまっている。最近では、高価なメタリック塗料の使用も増えていることもあり、経済的に見合うかたちで塗装効率を向上させることが強く求められている。
さらに、別の色の塗料に変更する際には、静電付着ブース内に前の粉体塗料が残っているとその前の塗料の色が塗膜に混ざって色斑になってしまったり焼付けの際に欠けてハジキを形成してしまったりする。そのため、予め静電付着ブースの内壁面や集塵装置を綺麗に洗浄しなければならず、手間が掛かる上に、塗装作業が長時間中断されてしまう。それを解決するために、塗装ブースを多数設けて塗料の色毎に使い分けたり、集塵装置を多数設け、塗装ブースのみを洗浄したりすることも試みたがその主の工夫には限界がある。
加えて、塗装ブース全体から粉体塗料を回収するときには、集塵装置の容量を大きくする必要がある。
従って、これらの清掃作業や集塵容器の容量の観点からも改善が求められている。
図1は粉体塗装装置1の全体を示す斜視図である。符号3は気密性の円筒形の側壁を示し、この側壁3により粉体塗装装置1の処理ブースが画定されている。側壁3内は中心の六角状部とその周りの6つのブースに隔壁を介して区画されている。各ブースは、処理内容に応じて、受け渡しブース5と、塗装ブース7、7と、加熱ブース9と、冷却ブース11、11とになっており、その周囲には必要な付属設備(1つの塗装ブース7を除いて図示省略)が配置されている。受け渡しブース5の側壁3は開口され、隣接するブースどうしの間は隔壁に設けられた開閉自在のシャッター(図示省略)を開けると連通状態となるよう構成されている。ワークWの隣り合うブース間の移動の際にシャッターは開けられる。
符号23はワークハンガーを示し、このワークハンガー23のフックに多数のワークWが吊下げられている。ワークハンガー23の上部には被掛け部25が形成されており、その被掛け部25がハンガー吊下げバー19のハンガー掛け部21に掛けられるとワークハンガー23が吊下げ支持される。
符号27はワーク反転手段を示す。
そして、回転軸13の回転により、図1では時計回り方向に塗装ブース7、7、加熱ブース9、冷却ブース11、11に順次搬送され、それぞれのブースで静電塗装、高周波誘導加熱による焼付け、送風ファンによる冷却を経て、受け渡しブース5で再び搬送コンベアに渡されて搬出されていく。
まず、構成について説明する。
塗装ブース7、7は2つ設けられており、使用する塗料の色によって使い分けられている。従って、ワークWはいずれか一方の塗装ブース7、7で処理され、残りの塗装ブースは素通りする。塗装処理部はいずれの塗装ブース7、7を用いた場合でも同じように構成されているので、ここでは、1つの塗装ブース7に関して説明する。
符号29はレシプロケーター(自動昇降装置)を示す。このレシプロケーター29の本体31には図示しないが、モーターと上下に配置された一対のスプロケットとその間に張設されたチェーンとからなる駆動機構が配設されており、そのチェーンの途中に棒状の支持アーム33が取り付けている。従って、支持アーム33が上下動可能になっている。
符号35は取付板を示し、この取付板35が支持アーム33の先端側の上部に固定されている。
支持フレーム37の基端側の横枠の中心部分が支持アーム33に固定されており、さらに、支持フレーム37の対向する一対の縦枠と支持アーム33との間には一対の斜めフレーム部材43がそれぞれ連結されている。従って、支持フレーム37は支持アーム33に安定的に取り付けられている。
塗装ガン45、45は塗料供給ホース49、49を介して粉体塗料貯留槽(図示省略)に接続されている。
吸引口57、57は互いに並列して配置されており、この配置状態で、吸引口57、57が塗装ガン45、45のノズル47、47にそれぞれ一対一で対向しており、且つ対応している吸引口57と塗装ガン45のノズル47との距離は同じになっている。
従って、塗装ガン45、45と吸引口57、57とが支持アーム33と取付板35と支持フレーム37とからなる一つの支持体に取り付けられており、互いの相対的な配置状態を変えずに上下に同期移動することになる。
処理すべきワークWが吊下げられたワークハンガー23が塗装ブース7内に搬送されてくると、塗装ガン45、45と吸引口57、57との間の所定の処理位置で停止されて被処理姿勢となる。
塗装はレシプロ方式で行われる。従って、レシプロケーター29の支持アーム33の上下動により、図3に示すように下から始まり、図4に示すように上まで移動する。それで、上下2往復塗装される。その後、ワーク反転手段27によりワークWが反転されてその裏側も同様に上下2往復塗装される。
吐出された粉体塗料Pは、その気流Kに乗って運ばれる。従って、一部はワークWに静電付着作用により塗着され、残りはそのまま気流Kに乗って吸引口57まで到達し、そこからエアと共に吸引ダクト55に吸い込まれていく。
レシプロ塗装なので支持アーム33の上下動により塗装ガン45、45が上下動するが、各塗装ガン45と吸引口57との間の配置関係は常に維持される。従って、塗装作業中、上記した効果が一貫して得られるので、塗装効率が高くなる。また、塗着しなかった粉体塗料Pの回収率も高いので、従来より粉体塗料Pの使用量が少なくとも再使用にまわせる可能性が高くなる。
また、回収装置51は、塗装ブース7全体からエアを吸引する必要は無いので、容量を小さくできる。
例えば、図示した態様は一例であり、塗装ガンと吸引口との距離や、吸引口の大きさ等はワークの種類等に応じて適宜設計していくことになる。
23……ワークハンガー 29……レシプロケーター
33……支持アーム 35……取付板
37……支持フレーム 45、45……塗装ガン
47…ノズル 51……粉体塗料の回収装置
55……吸引ダクト 57、57……吸引口
P……粉体塗料
W……ワーク
K……気流
Claims (2)
- 塗装ブースと、前記塗装ブース内に挿入された塗装ガンと、前記塗装ブース内で開口した吸引口を有する塗料回収手段とを有し、前記塗装ブース内に搬送されてきたワークに対して前記塗装ガンのノズルから吐出された粉体塗料が塗着される粉体塗装装置において、
前記塗装ガンと前記塗料回収手段の吸引口が一つの支持体に取り付けられており、その支持体が上下動自在になっており、
ワークを挟んで前記塗装ガンのノズルに前記塗料回収手段の吸引口が対向配置されており、前記塗料回収手段の吸引作用により前記ノズル側から前記吸引口に流れる気流が形成されることを特徴とする粉体塗装装置。 - 請求項1に記載した粉体塗装装置において、塗装ガンは複数設けられており、各塗装ガンに対して塗料回収手段の吸引口が1つずつ対向配置されていることを特徴とする粉体塗装装置。
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