JP5284040B2 - チップ剥離方法、チップ剥離装置、および半導体装置製造方法 - Google Patents

チップ剥離方法、チップ剥離装置、および半導体装置製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、チップ剥離方法、チップ剥離装置、および半導体装置製造方法に関するものである。
半導体装置の製造工程において、ダイシングされた半導体チップ(以下、単にチップという。)を粘着シートからピックアップする必要がある。従来のチップ剥離装置として、粘着シートを保持するステージと、このステージに対して進退する突き上げ台と、この突き上げ台によって突き上げられるニードルとを備えたものがある。すなわち、突き上げ台によって突き上げられたニードルによりステージの粘着シートを裏面側から突いて、チップを粘着シートから離脱させるように構成されている。
しかしながら、ニードルを使用するチップ剥離装置では、ニードルがチップを突き上げて粘着シートから剥離する際に、粘着テープを突き破る場合があり、このような場合にはチップ裏面を傷付けるおそれがある。また、磨滅や破損によって各ニードルの長さが相違することになって、チップが傾いて突き上げられる状態になり、隣合うチップ同士が衝突して傷付け合うおそれがある。
さらに、チップはコレットにて吸着されて取り出される。しかしながら、チップが傾いて突き上げられれば、コレットによるチップの吸着ミスが発生する。コレットのチップ吸着ミスが発生すると、その後の作業に支障を来たすことになる。また、ニードルの突き上げによって、チップが損傷する場合もあった。
そこで、近年このようなニードルを使用しないチップ剥離装置(特許文献1)が提案されている。このチップ剥離装置は、図6に示すように、チップ1が貼り付けられている粘着シート2を保持するステージ3を備える。また、ステージ3には、その上面4aがステージ上面3aより突出する可動ステージ部4が付設される。すなわち、ステージ3に凹所5を設け、この凹所5に可動ステージ部4を嵌合させている。また、可動ステージ部4の端面9よりもチップ1の第1辺1aをはみ出させている。このため、可動ステージ部4の外周側には、粘着シート2との間に隙間6が形成される。さらに、ステージ3には、前記隙間6に連通される吸引孔8(図7参照)が設けられている。
次に、前記チップ剥離装置を使用したチップ剥離方法を説明する。まず、上方から図示省略のコレット(吸着コレット)にてチップ1を吸着(保持)した状態で、吸引孔8を介して粘着シート2を下方に吸引する。これによって、空隙6のエアが吸引され、チップ1のはみ出し部の粘着シート2が吸引され、図6(a)に示すような仮想線で示すように、チップ1のはみ出し部において粘着シート2が剥離する。この場合、可動ステージ部4の上面4aと、ステージ3の上面3aとでS0の段差を有する。すなわち、可動ステージ部4の上面4aは、ステージ3の上面3aよりも鉛直方向にS0だけ上位に位置する。
前記チップ剥離装置を使用した場合、剥離の初期段階においては、チップ1の周縁部の一部(図6に示す場合、チップ1のはみ出し部)の粘着シート2を剥がす必要がある。このチップ1のはみ出し部の粘着シート2は、ダイシング時の応力により貼り付きが強いため、剥離するためには他の箇所よりも大きな応力が必要となる。このため、可動ステージ部4の上面4aを、ステージ上面3aからS0だけ突出させている。これによって、粘着シート2を剥離する応力が大きくなって、チップ1のはみ出し部の粘着シート2を剥離することができる。
その後、図6(b)に示すように、可動ステージ部4を矢印Bの方向へ移動させる。これによって、可動ステージ部4にて受けられているチップ1の受け面積が減少していって、粘着シート2の吸着(吸引)面積が増加して、最終的にこのチップ1から粘着シート2を完全に剥離させることができる。
また、従来には、可動ステージ部4の昇降を可能としたものがある。すなわち、図8(a)に示すように、図示省略の駆動機構によって、可動ステージ部4を上昇させて、可動ステージ部4の上面4aとステージ3の上面3aとの間に段差を設け、これによって、はみ出し部の下部に空隙を設け、この空隙に負圧を作用させて、はみ出し部において粘着シートを剥離する。その後、図8(b)に示すように、可動ステージ部4を矢印B方向にスライドさせることになる。
特許第3209736号明細書
しかしながら、図6に示すように、当初から可動ステージ部4の上面4aとステージ3の上面3aとの間に段差を設けた場合、この段差によって、反はみ出し側において粘着シート2の下方に隙間S1が形成される。このため、負圧を作用させた場合、この隙間S1からエア漏れが発生するおそれがあった。
また、図8に示すように、可動ステージ部4を上昇させた場合、チップ1の反はみ出し側において、凹部5の底面5aとの間に隙間8が生じ、この隙間8の反はみ出し側の開口部8aを介してエア漏れが発生するおそれがあった。
このように図6に示すものであっても、図8に示すものであっても、反はみ出し側においてエア漏れが生じた場合、吸着力(剥離力)が弱くなって、チップ1の外周側において粘着シート2がうまく剥離できないことになる。これによって、剥離機能の低下を招くことになる。
本発明は、上記課題に鑑みて、スライド時の応力における割れを軽減できて、剥離すべきチップを容易に剥離して取り出すことが可能なチップ剥離方法、チップ剥離装置、および半導体装置製造方法を提供する。
本発明の第1のチップ剥離方法は、上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離方法において、固定ステージ部と可動ステージ部とを備えたステージ上に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すように設置した後、可動ステージ部の反はみ出し側の上面に、スライド方向に向けて下り傾斜となるとともに、その下り端が固定ステージ部の上面と同一高さ位置となる傾斜面にて構成したシール手段を介して、反はみ出し側の粘着シートの下方をシールしつつ、はみ出し部の下方に形成される空隙に負圧通路を介して負圧を作用ながら、この空隙が大きくなるように可動ステージ部を水平方向にスライドさせるものである。
第2のチップ剥離方法は、上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離方法において、固定ステージ部と可動ステージ部とを備えたステージ上に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すように設置した後、可動ステージ部の隆起による可動ステージ部と固定ステージ部とに隙間が形成された状態において、この隙間と外部とを遮断する上下動可能な遮断部材にて構成したシール手段を介して、反はみ出し側の粘着シートの下方をシールしつつ、はみ出し部の下方に形成される空隙に負圧通路を介して負圧を作用ながら、この空隙が大きくなるように可動ステージ部を水平方向にスライドさせるものである。
本発明のチップ剥離方法によれば、剥離すべきチップを粘着シートを介して受けて、この可動ステージ部の周縁部の一部(チップのはみ出し部の下部)において粘着シートに負圧を作用させれば、大きな剥離力を付与することができる。このため、チップのはみ出し部において、粘着シートが吸引されて粘着シートがチップから剥離する。反はみ出し側の粘着シート下方をシール手段を介してシールしているので、エア漏れを防止することができる。この状態で、可動ステージ部を、水平方向に沿って移動することによって、可動ステージ部によるチップの受け面積が減少し、粘着シートの吸着(吸引)面積が増加して剥離範囲が広がって、最終的には、この剥離すべきチップから粘着シートを完全に剥離させることができる。
可動ステージ部を水平方向にスライドさせるときには、可動ステージ部を負圧作用開始時よりも下降させるのが好ましい。可動ステージ部を下降させることにより、固定ステージ部の上面と可動ステージ部の上面との間の段差が小さくなる。ところで、可動ステージ部を隆起させることによって、可動ステージ部の上面と、固定ステージ部の上面とに段差を設けるのは、初期段階における可動ステージ部の周縁部の一部(はみ出し部)の剥離のためである。すなわち、チップの周縁部の粘着シートは、ダイシング時の応力により貼り付きが強いため、剥離するためには他の箇所よりも大きな応力が必要となる。このため、空隙を大きくとる必要がある。しかしながら、可動ステージ部をスライドさせて、他の部位を剥離する場合、初期段階のままの段差量では、剥離しようとするチップに隣設する他のチップに対して動的な捻るような応力が付与されるおそれがある。そのため、段差量を小さくすることによって、隣設する他のチップに動的な捻るような応力が付与されるのを防止して、隣設する他のチップに与えられる曲げを小さくすることができる。
本発明の半導体装置製造方法は、チップ剥離方法を用いて半導体装置を製造するものである。
本発明のチップ剥離装置は、上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離装置において、固定ステージ部と可動ステージ部とを備えると共に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すようにした状態で、チップのはみ出し部の下方に空隙を形成するステージと、反はみ出し側の粘着シートの下方をシールするシール手段と、前記空隙に負圧通路を介して負圧を作用させる負圧供給手段と、前記はみ出し側とは反対側に前記可動ステージ部を水平方向にスライドさせるスライド手段とを備えたものである。
可動ステージ部の反はみ出し側の上面に、スライド方向に向けて下り傾斜となるとともに、その下り端が固定ステージ部の上面と同一高さ位置となる傾斜面を設け、この傾斜面にて前記シール手段を構成することができる。このように、下り端が固定ステージ部の上面と同一高さ位置となる傾斜面を設ければ、可動ステージ部の反はみ出し側において、粘着シートの下方に隙間が形成されない。このため、負圧作用時のエア漏れを防止することができる。しかも、このシール手段としては、可動ステージ部に傾斜面を設けるのみでよく、構成の簡略化を図ることができる。
可動ステージ部の隆起による可動ステージ部と固定ステージ部とに隙間が形成された状態において、この隙間と外部とを遮断する上下動可能な遮断部材を配置し、この遮断部材にて前記シール手段を構成したものであってもよい。
このようなシール手段である場合、上下動可能な遮断部材によって、可動ステージ部と固定ステージ部との隙間をシールすることができ、負圧作用時のエア漏れを防止することができる。
本発明では、負圧作用時において、シール手段によって、エア漏れを防止することができる。これによって、安定した剥離作用を発揮することができる。しかも、負圧を作用させるエア吸引手段(負圧供給手段)の真空ポンプの小型化を図ることができ、かつ、エア漏れを防止するために別途シール機構を設ける必要がない。このため、装置全体のコンパクト化及び低コスト化を達成できる。
可動ステージ部を下降させることによって、隣設する他のチップに動的な捻るような応力が付与されるのを防止して、隣設する他のチップに与えられる曲げを小さくすることができる。このため、スライド時の応力における隣設する他のチップ割れを軽減できて、剥離すべきチップを容易に剥離して取り出すことができる。
本発明のチップ剥離装置は、前記チップ剥離方法を安定して行うことができる。
傾斜面にてシール手段を構成するものでは、構成の簡略化を図ることができ、しかも、負圧作用時のエア漏れを安定して防止することができる。また、上下動可能な遮断部材にてシール手段を構成するものでは、前記傾斜面で構成するものに比べて、構成の複雑化を招くが、エア漏れ防止の信頼性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1と図2に本発明のチップ剥離装置を示す。このチップ剥離装置は、粘着シート12上に貼り付けられた複数の矩形薄肉のチップ(半導体チップ)11を、前記粘着シート12から順次剥離して(ピックアップして)取り出す装置である。すなわち、半導体装置としての半導体チップ11を製造する半導体装置製造装置に用いるものである。
チップ11は、ウェーハ10(図3参照)を素材とし、この素材を矩形状に切断することによって最終製品となる。このため、チップ11には正方形や短冊状のもの等がある。すなわち、図3に示すように、ウェーハ10は全体として円形であり、ダイシングにより個々のチップ11に分割され、このチップ11が粘着シート12に貼り付けられている。また、粘着シート12の外周側にはリング体からなるフレーム13が貼着されている。すなわち、このフレーム13と粘着シート12とが一体化されている。そして、フレーム13と粘着シート12とが一体化されている状態で、このチップ剥離装置にてチップ11が取り出される。
チップ剥離装置は、図1に示すように、剥離すべきチップ11を上方から保持する保持手段15と、粘着シート12が載置されるステージ16とを備える。ステージ16は、固定ステージ部16bと、スライド自在な可動ステージ部16aとを備える。すなわち、固定ステージ部16bの上面37には凹所22が設けられ、この凹所22に矩形平板体である可動ステージ部16aが配置されている。この際、可動ステージ部16aの上面34が固定ステージ16bの上面34よりも高位とされ、この上面34、37間に段差S0が設けられている。
また、図2に示すように、可動ステージ部16aの幅寸法Wは、正方形であるチップ11の一辺の長さ(幅寸法)W1よりも小さく設定されている。この場合、可動ステージ部16aの一方の先端面17aが剥離すべきチップ11の第1辺23aに対応し、チップ11の第1辺23aが可動ステージ部16aの先端面17aよりもはみ出している。
また、ステージ16に粘着シート12との境界面に負圧を導入する負圧通路30を設けている。負圧通路30は、チップ11の第1辺23a側に開口する吸引口30a、30bが設けられている。この場合、図2に示すように、各吸引口30a、30bは、平面視で分かるように、チップ11のはみ出し部31に対応している。
負圧通路30には、図示省略の真空ポンプが接続されてなる。すなわち、真空ポンプが駆動することによって、負圧通路30の吸引口30a、30bからエアを吸引することができる。このように、負圧通路30と真空ポンプ等で負圧供給手段(エア吸引手段)を構成することができる。
保持手段15は、チップ11を吸着するヘッド20を有する吸着部材(コレット)21にて構成している。ヘッド20は、その下端面20aに吸着孔が設けられ、この吸着孔を介してチップ11が真空吸引され、このヘッド20の下端面20aにチップ11が吸着する。このため、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、ヘッド20からチップ11が外れる。
可動ステージ部16aは、矩形平板状体からなり、上面34の反はみ出し側に、はみ出し側から反はみ出し側へ下傾斜する傾斜面(テーパ面)35が設けられている。この場合、傾斜面35の下り端36が、固定ステージ部16bの上面37と同一高さ位置に設定される。
可動ステージ部16aは、反はみ出し側へスライドすることができる。このスライドには、図示省略の駆動手段(スライド手段)が用いられる。駆動手段(スライド手段)には、ボルト軸部材とこれに螺合するナット部材からなる往復動機構やシリンダ機構、リニアアクチエータ等の種々の公知公用の機構を用いることができる。
次に、前記チップ剥離装置を使用したチップ剥離方法を説明する。可動ステージ部16aでチップ11(剥離しようとするチップ)を支持した状態で、チップ11の周縁部の少なくとも一部(つまり第1辺23a側)を可動ステージ部16aからはみ出させる。これによって、このはみ出し部31の下方に空隙19を設ける。この空隙19は吸引口30a、30bに連通されている。
この状態で、保持手段15のコレット21を、ヘッド20をチップ1の上面に当接するとともに、吸着孔を介してチップ11を真空吸引して、このヘッド20の下端面20aにチップ11を吸着させる。
前記空隙19は、前記したように、吸引口30a、30bに連通されている。そこで、吸引手段(負圧供給手段)を駆動することによって、吸引口30a、30bを介して空隙19のエアを吸引して負圧を作用させる。これによって、チップ周縁部の粘着シート12の一部、つまりはみ出し側が吸引され、図1(a)の仮想線に示すように、粘着シート12をチップ11から剥離する。
ところで、この実施形態では、可動ステージ部16aには、下り端36が固定ステージ部16bの上面37と同一高さ位置に設定されている傾斜面35が設けられている。このため、図1(a)に示す状態(空隙19に負圧を作用させた状態)で、可動ステージ部16aの反はみ出し側において、エア漏れを防止するシール機能を発揮することができる。すなわち、傾斜面35で、可動ステージ部16aの隆起による負圧作用時のエア漏れを防止するシール手段40を構成することができる。
その後は、図1(b)に示すように、可動ステージ部16aを、はみ出し側と反対方向である矢印B方向にスライドさせる。このスライドによって、可動ステージ部16aによるチップ1の受け面積が順次減少していって、粘着シート12の下方への吸着(吸引)面積が増加していく。この際、チップ11はコレット21に保持(吸着)されているので、粘着シート12が順次チップ11から剥離していく。このため、可動ステージ部16aの先端面17aが、チップ11の第1辺23aから外れたときに、この剥離すべきチップ1から粘着シート12を完全に剥離させることができる。
そして、剥離後は、コレット21を上昇させてステージ16から離すことによって、チップ11を粘着シート12から取り出すことができる。その後は、前記負圧状態を解除して、可動ステージ部16aを前記矢印Bと反対方向にスライドさせて、図1(a)に示すように、可動ステージ部16aの先端面17aが凹所22のはみ出し側端面に位置する状態に戻す。
その後、順次他のチップ11にこのチップ剥離装置を対応させて行けば、粘着シート12上のすべてのチップ11を粘着シート12から剥離して取り出すことができる。このように、このチップ剥離装置を半導体装置を製造する際に用いることができる。ここで、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。また、回路が形成されたウエハ状態のものであっても、ウエハから切り出された個別の半導体チップであっても、ウエハを複数に分割したものであっても、ウエハ状態でパッケージされたものであっても、ウエハ状態でパッケージされたものを複数に分割したものであっても、ウエハ状態でパッケージされたものを切り出して個別の半導体素子にしたものであっても構わない。
本発明では、剥離すべきチップ11を粘着シート12を介して受けて、チップ11のはみ出し部31の下部において負圧を作用させれば、大きな剥離力を付与することができる。このため、チップ11のはみ出し部31において、粘着シート12が吸引されて粘着シート12がチップ11から剥離する。反はみ出し側の粘着シート12の下方をシール手段40を介してシールしているので、エア漏れを防止することができる。これによって、負圧を作用させるエア吸引手段(負圧供給手段)の真空ポンプの小型化を図ることができ、しかも、エア漏れを防止するために別途シール機構を設ける必要がなく、装置全体のコンパクト化及び低コスト化を達成できる。
前記実施形態では、傾斜面35にてシール手段40を構成するので、構成の簡略化を図ることができ、しかも、負圧作用時のエア漏れを安定して防止することができる利点がある。
次に図4と図5に示すチップ剥離装置では、可動ステージ部16aが上下動(昇降)するものである。すなわち、可動ステージ部16aは傾斜面を有さないものであって、駆動手段を介して、昇降及び水平方向の往復動が可能とされる。すなわち、駆動手段には、可動ステージ部16aを昇降させる昇降機構部(昇降手段)と、可動ステージ部16aをスライドさせるスライド機構部(スライド手段)とを備える。昇降機構部(昇降手段)は、例えば、押し上げピンを有し、この押し上げピンを往復動機構を介して上下動させるものである。また、スライド機構部(スライド手段)は、この昇降機構部を略水平方向にスライドさせる往復動機構を備える。なお、昇降機構部及びスライド機構部の往復動機構は、ボルト軸部材とこれに螺合するナット部材からなる往復動機構やシリンダ機構、リニアアクチエータ等の種々の公知公用の機構を用いることができる。
また、このチップ剥離装置では、可動ステージ部16aを上昇させた際には、図4(a)に示すように、可動ステージ部16aの下面と、固定ステージ部16bの凹所22の底面24との間に隙間Sが形成される。このままの状態では、この隙間Sの反はみ出し側の開口部45からエアが漏れる。すなわち、可動ステージ部16aは、図5に示すように、先端面17aが、凹所22のはみ出し側の端面22aに接触し、その側面17b,17cは、それぞれ凹所22の側面22b、22cに接触している。このため、隙間Sの反はみ出し側の開口部45からエアが漏れる。
そこで、図4に示すチップ剥離装置では、開口部45を塞ぐシール手段40が設けられている。このシール手段40は、上下動可能な板状の遮断部材46と、この遮断部材46を上下動させる上下動機構(図示省略)とを備える。上下動機構は、ボルト軸部材とこれに螺合するナット部材からなる往復動機構やシリンダ機構、リニアアクチュエータ等の種々の公知公用の機構を用いることができる。
この場合、図4(a)に示すように、可動ステージ部16aが上昇して、固定ステージ部16bの凹所22の底面24との間に隙間Sが形成される状態において、遮断部材46が上昇して、開口部45を塞ぐ。
そして、この開口部45が塞がれた状態で、空隙19のエアが吸引され、これによって、チップ周縁部の粘着シート12の一部、つまりはみ出し側が吸引され、図4(a)に示すように、粘着シート12をチップ11から剥離する。
その後は、図1(b)に示すように、隙間Sの開口部45を遮断部材46にて塞いでいる状態で、可動ステージ部16aが矢印Bのようにスライドしていけば、粘着シート12が順次チップ11から剥離していく。可動ステージ部16aの先端面17aが、チップ11の第1辺23aから外れたときに、この剥離すべきチップ1から粘着シート12を完全に剥離させることができる。
ところで、チップ11の周縁部の粘着シート12は、ダイシング時の応力により貼り付きが強いため、剥離するためには他の箇所よりも大きな応力が必要となる。このため、空隙19を大きくとる必要がある。しかしながら、可動ステージ部16aをスライドさせて、他の部位を剥離する場合、初期段階のままの段差では、隣設する他のチップ11に動的な捻るような応力が付与されるおそれがある。
そこで、図4(b)に示すように、可動ステージ部16aをスライドさせる際には、図4(a)に示す状態から図4(b)の仮想線で示すように下降させるのが好ましい。この際、可動ステージ部16aをいったん上昇させてから元の位置まで下降させたり、可動ステージ部16aをいったん上昇させてから元の位置よりは高い中間高さ位置まで下降させたりできる。これによって、隣設する他のチップ11に動的な捻るような応力が付与されるのを防止することができる。しかも、このスライド状態では、剥離しようとするチップ11は一部がすでに剥離しているため、大きな剥離力を必要とせず、段差が小であっても、粘着シート2を安定して剥離していくことができる。なお、このように可動ステージ部16aを下降させる場合、この下降に伴って、遮断部材46を下降させることになる。
上下動可能な遮断部材46にてシール手段40を構成するものでは、前記傾斜面35で構成するものに比べて、構成の複雑化を招くが、エア漏れ防止の信頼性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ステージ16に設けられる吸引孔としては、大きさ、数、形状等を、空隙19のエアの吸引可能範囲で任意に設定できる。このため、吸引孔は1個であってもよい。また、剥離すべきチップ11として、正方形に限るものではなく、短辺と長辺とを有する長方形であっても、さらには、短辺に比べて長辺が極めて長い短冊状であってもよい。粘着シート12の厚さとしても、吸引力等によって相違するが、吸引手段(負圧供給手段)にて空隙19のエアを吸引した際に、チップ11から剥離できるように、湾曲変形できるものであればよい。
可動ステージ部16aの上面34の固定ステージ部16bの上面37からの隆起量(可動ステージ部16aの上面34と固定ステージ部16bの上面37との段差)は、空隙19のエアを吸引した際に、チップ11からそのはみ出し側が剥離できる範囲において任意に設定できる。また、隆起量を変更する場合、その変更後の隆起量としては、可動ステージ部16aをスライドさせて、粘着シート12をチップ11から剥離できる範囲で任意に設定できる。粘着シート12上に貼り付けられているチップ11の数としても任意であり、本発明では、数に影響されることなく、粘着シート12上の全てのチップ11を順次剥離して行くことができる。
チップ11のはみ出し部31のはみ出し量としては、チップ11の大きさ、厚さ、材質等に応じて、剥離初期段階で、負圧の作用で粘着シート12が剥離可能な範囲で任意に設定できる。
本発明のチップ剥離装置を用いた剥離工程を示す簡略図である。 前記図1に示すチップ剥離装置の簡略平面図である。 チップ剥離装置の粘着シートに貼り付けたチップを示す簡略平面図である。 本発明の他のチップ剥離装置を用いた剥離工程を示す簡略図である。 前記図2に示すチップ剥離装置の簡略平面図である。 従来のチップ剥離装置を使用した剥離工程を示す簡略断面図である。 前記図6に示すチップ剥離装置の簡略平面図である。 従来の他のチップ剥離装置を使用した剥離工程を示す簡略断面図である。
符号の説明
11 チップ
16 ステージ
16a 可動ステージ部
16b 固定ステージ部
19 空隙
30 負圧通路
31 はみ出し部
35 傾斜面
40 シール手段
46 遮断部材

Claims (6)

  1. 上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離方法において、
    固定ステージ部と可動ステージ部とを備えたステージ上に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すように設置した後、
    可動ステージ部の反はみ出し側の上面に、スライド方向に向けて下り傾斜となるとともに、その下り端が固定ステージ部の上面と同一高さ位置となる傾斜面にて構成したシール手段を介して、反はみ出し側の粘着シートの下方をシールしつつ、はみ出し部の下方に形成される空隙に負圧通路を介して負圧を作用させながら、この空隙が大きくなるように可動ステージ部を水平方向にスライドさせることを特徴とするチップ剥離方法。
  2. 上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離方法において、
    固定ステージ部と可動ステージ部とを備えたステージ上に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すように設置した後、
    可動ステージ部の隆起による可動ステージ部と固定ステージ部とに隙間が形成された状態において、この隙間と外部とを遮断する上下動可能な遮断部材にて構成したシール手段を介して、反はみ出し側の粘着シートの下方をシールしつつ、はみ出し部の下方に形成される空隙に負圧通路を介して負圧を作用させながら、この空隙が大きくなるように可動ステージ部を水平方向にスライドさせることを特徴とするチップ剥離方法。
  3. 可動ステージ部を水平方向にスライドさせるときには、可動ステージ部を負圧作用開始時よりも下降させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチップ剥離方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のチップ剥離方法を用いて半導体装置を製造する半導体装置製造方法。
  5. 上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離装置において、
    固定ステージ部と可動ステージ部とを備えると共に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すようにした状態で、チップのはみ出し部の下方に空隙を形成するステージと、
    反はみ出し側の粘着シートの下方をシールするシール手段と、
    前記空隙に負圧通路を介して負圧を作用させる負圧供給手段と、
    前記はみ出し側とは反対側に前記可動ステージ部を水平方向にスライドさせるスライド手段とを備え、
    可動ステージ部の反はみ出し側の上面に、スライド方向に向けて下り傾斜となるとともに、その下り端が固定ステージ部の上面と同一高さ位置となる傾斜面を設け、この傾斜面にて前記シール手段を構成したことを特徴とするチップ剥離装置。
  6. 上面にチップを貼り付けた粘着シートから前記チップを剥離させるチップ剥離装置において、
    固定ステージ部と可動ステージ部とを備えると共に、剥離すべきチップを可動ステージ部に対応させかつこのチップの周縁部の少なくとも一部が可動ステージ部からはみ出すようにした状態で、チップのはみ出し部の下方に空隙を形成するステージと、
    反はみ出し側の粘着シートの下方をシールするシール手段と、
    前記空隙に負圧通路を介して負圧を作用させる負圧供給手段と、
    前記はみ出し側とは反対側に前記可動ステージ部を水平方向にスライドさせるスライド手段とを備え、
    可動ステージ部の隆起による可動ステージ部と固定ステージ部とに隙間が形成された状態において、この隙間と外部とを遮断する上下動可能な遮断部材を配置し、この遮断部材にて前記シール手段を構成したことを特徴とするチップ剥離装置。
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