以上の課題を解決するために本発明は、所定周期のフレーム内を所定数のスロットで区切って送受信するTDMA方式の第1の通信規格の無線通信装置が、第1の通信規格とは異なる周期のフレームを持つTDMA方式の第2の通信規格で通信する他の無線通信装置からの制御信号の有無を検知する干渉検知方法であって、少なくとも2フレームにまたがる期間でスロット毎に受信電界レベルを測定し、あるスロットで第1の閾値を超え且つ隣接するフレームの同じスロットの電界強度値が第1の閾値を超えない場合は第2の通信規格の制御信号が在ると判定し、あるスロットで第1の閾値を超え、且つ2つのフレームで続けて同じスロットでの電界強度値が第1の閾値を超えた場合は当該2つのフレームのそれぞれの前記スロットの電界強度値の差が第2の閾値を超えるか否かを判定する第1の確認判定を行い、第1の確認判定によって当該2つのフレームのそれぞれの前記スロットでの電界強度値の差が第2の閾値を超えない場合には第2の通信規格の制御信号では無いと判定し、第1の確認判定によって当該2つのフレームのそれぞれの前記スロットでの電界強度値の差が第2の閾値を超える場合には第2の通信規格の制御信号が在ると判定することにより、自営PHSの制御チャネルの存在を判別する干渉種別判別手段を備えたこと特徴としたものである。これにより、自営PHSの保護を行えるという作用を有する。
以上の課題を解決する他の発明は、あるスロットで第1の閾値を超え、隣接するフレームの同じスロットでの測定結果が第1の閾値を超えない場合は、前記隣接するフレームの中の何れかスロットで当該第1の閾値を超えたスロットにおける電界強度値との差が第3の閾値を超えた場合に第2の通信規格の制御信号が在ると判定する干渉種別判別手段を備えたものである。これにより、受信電界強度が比較的小さい場合でも、自営PHSの信号であるか否かの判定をより確実に行えるという作用を有する。
また前記の構成において、所定の閾値以上の受信電界強度が現れた信号の周波数と、当該信号が受信されたタイムスロットに対応するスロット番号とを監視し、それを少なくとも300ms以上の期間で監視するようにしたことにより、自営PHSの保護を行えるという作用を有する。
また前記の構成において、所定の閾値以上の受信電界強度が現れた信号の周波数と、当該信号が受信されたタイムスロットに対応するスロット番号とを監視し、少なくとも300ms以上の期間で監視する中で検出された各スロットの受信電界強度の標準偏差と最大値から、自営PHSの制御チャネルによる干渉があると判別することを特徴としたものである。これにより、自営PHSの保護を行えるという作用を有する。
また前記の構成において、所定の閾値以上の受信電界強度が現れた信号の周波数と、当該信号が受信されたタイムスロットに対応するスロット番号とを監視し、少なくとも300ms以上の期間で監視する中で検出された各スロットの受信電界強度の平均値、最小値および最大値から、自営PHSの制御チャネルによる干渉があると判別することを特徴としたものである。これにより、自営PHSの保護を行えるという作用を有する。
また前記の構成において、所定の閾値以上の受信電界強度が現れた信号の周波数と、当該信号が受信されたタイムスロットに対応するスロット番号とを監視し、少なくとも300ms以上の期間で監視する中でほぼ同じ受信電界強度の信号が125ms以上の周期で現れるか、若しくは、少なくとも1回現れた場合は、更に監視時間を300msの延長し、自営PHSの制御チャネルによる干渉があると判別精度を上げることを特徴としたものである。これにより、より確実に自営PHSの保護を行えるという作用を有する。
以下、本発明にかかる無線通信装置をDECTをベースにした規格のデジタルコードレス電話機に適用した場合の構成および干渉検知方法について、その実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものでは無い。
本無線通信装置の構成について説明する。図1は、本無線通信装置の全体構成の一例を示すブロック図であり、本発明に関係する部分を示している。図1において、101は受信部であり、102は干渉種別判別手段である。干渉種別判別手段102において、103は周波数スロットテーブルである。110はモニタのために受信部101に対して受信周波数を設定する受信チャネル設定手段、111は受信信号の電界強度値と閾値を比較する信号判定手段、112は干渉検知のために用いる各閾値の情報(Thmin、Th1、Ndif1、Ndif2)を記憶する閾値記憶手段である。信号判定手段111は受信された信号の電界強度値と閾値記憶手段112の閾値を比較し、制御部104に通知する。干渉種別判別手段102の以上の手段は、図2および図3に示す処理手順により実現される。104は制御部である。105は送信部であるが、送信部105に関しては詳細な説明を省略する。
図1の受信部101は、高周波信号を増幅するRF増幅部106と、受信した信号を中間周波数帯の信号に変換する受信周波数変換部107と、中間周波数帯の信号の増幅や1つのチャネル(以下、DECTチャネルと称する。)の周波数幅(1.728MHz幅)に制限するIF処理部108と、DECT信号処理部109を備えている。デジタルコードレス電話機に割り当てられた周波数帯域を受信する。受信部101のIF処理部108は、受信した信号の電界強度の値を干渉種別判別手段102に対して出力する機能を有する。
前述のように、日本国内の規格となるデジタルコードレス電話機は、図12に示すように、1893.5MHz〜1906.1MHzの周波数帯域となる。それに対し自営PHSが制御信号を送信するのに使用する周波数は、1898.45MHz、1900.25MHzの何れかである。
図1に戻り、干渉種別判別手段102は、起動時または随時(例えば、通信を開始する前や通信開始を待ち受けている状態のときに)、受信部101により一定時間連続して受信された信号の受信電界強度の出力を監視し、所定の閾値以上の受信電界強度が現れる時間幅および頻度を計測することにより、PHSの固定局から発信される信号による干渉があるか否かを判別する手段である。
概略を説明すると、周波数およびタイムスロットを切り替えながら所定の閾値以上の受信電界強度を持った信号を監視する。所定の閾値以上の受信電界強度を持った信号が検知された場合に、当該信号の周波数と、当該信号を検知したタイムスロットに対応するスロット番号と、そのときのフレームに対応するフレーム番号とを監視し、それら周波数、スロット番号、フレーム番号をメモリに記録する。DECTの周波数チャネルF3、または周波数チャネルF4において、ほぼ同じ受信電界強度の信号が120ms以上の周期の頻度で現れるか、若しくは、1回のみの頻度で現れた場合は、それはPHSの制御信号である可能性が高い。
以下、図13と図14を参照し、干渉種別判別手段102により判別される、自営PHS固定局との干渉、および、他のDECT親機との干渉の一例について説明する。図13は自営PHS固定局との干渉の一例を示す図である。
図13に示すように自営PHS固定局との干渉を検知しようとする場合、干渉種別判別手段102は、所定の閾値以上の受信電界強度を持った信号の周波数と、当該信号が受信されたタイムスロットに対応するスロット番号(例えば、S4、S16など)と、フレームに対応するフレーム番号(例えば、1フレーム、2フレームなど)とを監視し、所定の閾値以上の受信電界強度を持った信号が検知された場合に、当該信号の周波数、スロット番号、フレーム番号をメモリに記録していく。そこで本実施の形態におけるコードレス電話機の受信周波数を自営PHS固定局が制御信号送信に使用する周波数(例えば、図12に示すように、1898.45MHzを含む周波数F3または1900.25MHzを含む周波数F4)に設定し、1スロットまたは2スロット分の時間幅(例えば、S4に対応する1スロット分、または、S4とS5に対応する2スロット分の時間幅)で所定の閾値以上の受信電界強度の信号が検出されるか否かをモニタし、検出された場合に近くに自営PHSの固定局が存在する可能性が高い。
図14は他のDECTとの干渉の一例を示す。この場合も干渉種別判別手段102は、所定の閾値以上の受信電界強度を持った信号の周波数と、当該信号が受信されたタイムスロットに対応するスロット番号(例えば、S5など)と、フレームに対応するフレーム番号(例えば、1フレーム、2フレームなど)とを監視し、所定の閾値以上の受信電界強度を持った信号が検知された場合は当該信号の周波数、スロット番号、フレーム番号をメモリに記録していく。図14(a)に示すように、300ms間監視を続ける中で、あるとき1スロットまたは2スロット分の時間幅(例えば、図14(a)に示すS5に対応する1スロット分の時間幅)で信号が検出され、その後10ms周期(例えば、S5→S5の10ms周期)の頻度で毎回ほぼ同じ受信電界強度の信号が検知される場合に、当該信号がDECTの制御信号であると推定される。
他のDECT端末との間で、周期が僅かに異なっている場合でも、図14(b)に示すように信号の監視を続ける中で、あるとき1スロットまたは2スロット分の時間幅(例えば、S4とS5に対応する2スロット分の時間幅)で信号が検出され、その後ほぼ10ms周期の頻度(次のフレームのS5)で毎回ほぼ同じ受信電界強度の信号が検知される場合に当該信号がDECTの制御信号であると推定され、他のDECT端末の通信チャネルによる干渉があると判別することが可能である。このように、他のDECTの親機が送信するDECTの信号は、周期一致/周期不一致に関わらず、DECTの常にほぼ同じ位置関係のタイムスロットに影響を与える。なお、DECTの通信チャネルの干渉については、同じDECT方式同士であれば、使用する電波の帯域幅や変復調方式、伝送速度が同じであるため、種々の効率的な干渉回避は可能である。
図1に戻り、周波数スロットテーブル103は、モニタ周波数毎に受信した信号の電界強度の値(RSSIレベル)をスロット番号とフレーム番号に対応づけて記録する手段である。ここで、図6を参照し、周波数スロットテーブル103の一例について説明する。図6に示すように、周波数スロットテーブル103は、モニタ周波数毎に、フレーム番号(例えば、300msの一定時間計測する場合、DECTでは1フレーム10msであるため、フレーム番号は1〜30となる)と、スロット番号(例えば、DECTでは1フレームに24個のタイムスロットを含むので、スロット番号はS1〜24となる)とを対応付けて記憶装置に記憶されている。受信部101により一定時間連続して受信された信号の受信電界強度の出力を監視し、所定の閾値以上の受信電界強度が現れる時間幅および頻度が計測され、周波数スロットテーブル103に示すように格納され干渉種別判別に用いられる。
図1に戻り、制御部104は、無線通信装置の全体を制御する手段である。また制御部104は、干渉種別判別手段102とともに図2または図3に示す処理を実行することにより、PHSの制御チャネルの有無を判定する。図2または図3に示す処理を実行することによりPHSの制御チャネルとの干渉があると判別された場合、制御部104は、図4または図5に示す干渉回避モードに入る。この干渉回避モードでは、使用不可となったものを除く周波数帯域およびスロットタイミングの情報(すなわち、周波数スロットテーブル103に記録された設定内容)を送信部105に出力することにより、他のデジタルコードレス電話機の無線通信装置へ通知するように制御する。
次に、このように構成された本実施の形態における無線通信装置における処理の例について、以下図2または図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。
図2に示す干渉種別判別処理の第1の例について説明する。図2に示すように、まず、受信部101は、起動時または随時(例えば、通信を開始する前や通信開始を待ち受けている状態のときに)、干渉があるか否かを判別する処理を実行するため、制御部104および受信チャネル設定手段110は先ずモニタ周波数を設定し(ステップ1)、受信部101にモニタのために周波数チャネルを受信するよう制御する。
図14に示すように、DECTのため割り当てられた周波数には、1895.616MHzを中心とした周波数チャネルF1、1897.344MHzを中心とした周波数チャネルF2、その他F3、F4、F5があるが、判別対象の周波数は自営PHSの制御信号の周波数と重なるF3およびF4とする。ステップ1にて、制御部104は最初はF3を受信するように受信部101の受信周波数を設定する。次に制御部104は、モニタ時間(例えば、300ms以上の一定時間)を設定する(ステップ2)。
そして、制御部104は、その時の受信周波数がチャネルF4より大きいかF4以下かを判定する(ステップ3)。チャネルF3とチャネルF4でのモニタを終了し、その中でPHSが検知されなかった場合、後で説明するステップ7でチャネルF5に更新されるが、チャネルF5でのモニタは不要であるため、モニタ周波数がチャネルF4より大きいと判断された場合(ステップ3:YES)、PHS検知無し(ステップ4)と判断し、処理を終了する。一方、モニタ周波数がチャネルF4以下(F3およびF4)であるなら(ステップ3:NO)、ステップ5の処理へと進む。
制御部104は、受信し始めるスロットをS1に設定する(ステップ5)。そして制御部104は、受信するスロットがS25を越えるか否かを判断し(ステップ6)、S24以下であれば(ステップ6:NO)、ステップ8の処理へと進む。なお、受信するスロットがS25に達したと判断された場合(ステップ6:YES)、制御部104は、全てのフレームでモニタが終了したか否かの判断をする(ステップ17)。
ステップ8では、受信部101で検出される信号の受信電界強度がPHSを判定するための閾値Th1(例えば、−82dBm)以上の電界強度の信号が検出されたか否かを監視する。閾値Th1は閾値記憶手段112に格納されている。受信電界強度が閾値Th1以上であれば(ステップ8:YES)、次のステップ9で受信電界強度カウンタNをカウントアップする(ステップ9)。そして干渉種別判別手段102は周波数スロットテーブル103に、閾値Th1以上の信号が検出された時のチャネル情報、スロット番号、フレーム番号、当該信号の電界強度値の各情報を記録する(ステップ10)。このようにカウントアップおよび周波数スロットテーブル103の記録をした上で、ステップ11に進む。
なお閾値Th1以上の電界強度の信号が検出されない場合(ステップ8:NO)、受信電界強度カウンタNをカウントアップせずにステップ11に進む。
干渉種別判別手段102は、ステップ10において受信電界強度カウンタNは一つでもカウントアップされている場合(ステップ11:YES)、次のステップ12に進む。受信電界強度カウンタNがカウントアップされてない場合(ステップ11:NO)、閾値Th1以上の受信電界強度が現れないことを意味し、その場合は当該スロットにおける以降の処理をせずに次のスロットに更新して(ステップ16)、ステップ6の処理に戻る。例えばスロットS1からスロットS2へ更新する。前述のようにステップ6では、S24以下であればステップ8の処理へと進むが、もしS25に達したならステップ17に移る。
ステップ12において、干渉種別判別手段102は周波数スロットテーブル103に記録された情報を参照し、同じ周波数チャネル(例えばF3)において、隣接する2フレームの同じスロット番号にて、PHSを判定するための閾値Th1(例えば、−82dBm)以上の電界強度の信号が検出されたか否かを監視する。閾値Th1以上の電界強度の信号が同じスロット番号にて隣接2フレーム以上にわたって現れると判定された場合(ステップ12:YES)、ステップ13における確認判定1へ進む。また閾値Th1以上の電界強度の信号が同じスロット番号にて隣接2フレーム以上にわたって現れていないと判定された場合(ステップ12:NO)、PHSが検知されたと判断し(ステップ15)、処理を終了する。
[確認判定1]
ここで、ステップ13における確認判定1の判定処理は、検出された隣接2フレームの同じスロットの受信電界強度値の最大値と最小値の差分が、ある差分閾値Ndif1を超えるか否かを判定する。たとえ隣接2フレームの同じスロットで電界強度が閾値Th1を越えたとしても、両スロットの受信電界強度値の差があまりに大きいと、それは同じ信号源から発したものではないと判定でき、その場合はDECTに信号ではなくPHSの信号であると判定する。それに対して両スロットの受信電界強度値の差がNdif1を超えない程度であると、その場合はDECTの信号である可能性が高い。
ステップ13において、干渉種別判別手段102は、隣接2フレームで現れた閾値以上の信号の電界強度値が確認判定1を満たす否かを判定し、確認判定1を満たさない(最大値と最小値の差分が差分閾値Ndif1を超えない)と判断された場合(ステップ13:NO)、PHSの信号ではないと判定する。そして、スロット番号を更新(例えば、2スロットから4スロットへ更新)し(ステップ16)、ステップ6の処理に戻る。
一方、両スロットの受信電界強度値の差が大きく、確認判定1を満たすと判断された場合(ステップ13:YES)、PHSが検知されたと判断し(ステップ15)、処理を終了する。
そして、制御部104は、干渉種別判別手段102によりPHSが検知されたと判断され、PHSによる干渉があると判別された場合、図4または図5に示す干渉回避モードに入る。例えば図4に示すように、自営PHSの制御チャネルの周波数と重なるデジタルコードレス電話機の周波数チャンネル(例えばチャンネル3)自体を使用不可とする。すなわちデジタルコードレス電話機のチャンネル3(1898.450MHz〜1900.250MHz)全タイムスロットS1〜S24)を使用不可とする。
また干渉回避の他の方法として図5に示すように、自営PHSの制御チャネルの周波数と重なるデジタルコードレス電話機の周波数チャンネル(例えばチャンネル3)において、公衆PHSの制御信号と推測される信号が現れたスロット番号(例えば、図5に示すようにS4とS5)、および当該スロット番号から2.5ms、5ms、または7.5ms離れたスロット番号(例えば図5に示すように、+6スロット目のS10とS11、+12スロット目のS16とS17、+18スロット目のS22とS23)のタイムスロットを使用不可とする。そして使用不可の周波数帯域およびスロットタイミングを除いて、デジタルコードレス電話機が使用する周波数帯域およびスロットタイミングの情報を送信部105に出力することにより、デジタルコードレス電話子機へ通知するように制御する。
図3に示す干渉種別判別処理の他の例について、説明する。ステップ1からステップ6までは、前述の例と共通するので説明を省略する。
ステップ8では、受信部101で検出される信号の受信電界強度が所定の閾値Thmin以上であるか否かが判定される。受信電界強度が閾値Thmin以上であれば(ステップ8:YES)、干渉種別判別手段102は周波数スロットテーブル103に、この閾値Th1以上の信号が検出された時のチャネル情報、スロット番号、フレーム番号、当該信号の電界強度値の各情報を記録する(ステップ9)。ここで閾値Thminは、前述のTh1(例えば、−82dBm)より低い値に設定する。
そして干渉種別判別手段102は周波数スロットテーブル103に、閾値Thmin以上の信号が検出された時のチャネル情報、スロット番号、フレーム番号、当該信号の電界強度値の各情報を記録する(ステップ9)。なお閾値Thmin以上の電界強度の信号が検出されない場合(ステップ8:NO)、周波数スロットテーブル103の当該スロットに情報は空欄にしたままステップ12に進む。
ステップ12において、干渉種別判別手段102は周波数スロットテーブル103に記録された情報を参照し、同じ周波数チャネル(例えばF3)において、隣接する2フレームの同じスロット番号にて、PHSを判定するための閾値Th1(例えば、−82dBm)以上の電界強度の信号が検出されたか否かを監視する。閾値Th1以上の電界強度の信号が同じスロット番号にて隣接2フレーム以上にわたって現れると判定された場合(ステップ12:YES)、前述と同じステップ13における確認判定1へ進む。また閾値Th1以上の電界強度の信号が同じスロット番号にて隣接2フレーム以上にわたって現れていないと判定された場合(ステップ12:NO)、新たに設けたステップ14における確認判定2へ進む。
なお、確認判定1の判定処理はついては前述の第1の例と同様であるため、説明を省略する。
[確認判定2]
干渉種別判別手段102は、ステップ12において閾値以上の受信電界強度が隣接2フレーム以上現れないと判定された場合(ステップ12:NO)ステップ14の確認判定2の判定処理へ進む。
確認判定2の判定処理は、あるスロットで電界強度が閾値Th1を越えており、且つ前記閾値Th1を越えたスロットにおける測定電界強度の値と、当該スロットが属するフレームに隣接するフレームの同じ番号のスロットでの測定電界強度の値との差分が、差分閾値Ndif2を超えるか否かを判定する。ある1つのスロットで電界強度が閾値Th1を越え、隣接2フレームの同じスロットでは閾値Th1を越えない場合であっても、隣接2フレームの同じスロットでの信号が閾値Th1をわずかに下回っただけのDECTの信号である可能性がある。確認判定2では、ある1つのスロットで電界強度が閾値Th1を越えた場合、隣接2フレームの同じスロットでの電界強度値の差分が閾値Ndif2を超えない程度の小さい値であるならDECTの信号が存在し、その差分が閾値Ndif2を超えたならPHSの信号であると判定する。なお、閾値Ndif2は閾値Ndif1より小さい値に設定する。
干渉種別判別手段102は、ステップ14の確認判定2において、確認判定2を満たさないと判断された場合(ステップ14:NO)、スロット番号を更新(例えば、スロットS1からスロットS2へ更新)し(ステップ16)、ステップ6の処理に戻る。一方、確認判定2を満たすと判断された場合(ステップ14:YES)、PHSが検知された(ステップ15)と判断し、処理を終了する。
図7〜図10は周波数スロットテーブル103の状態を記号(●,○,▲,△)によって示したものであり、以下図7〜図10を参照しながらPHSが検知されたと判断する場合について説明する。
図7(a)は、ある周波数において、隣接する2フレーム(フレーム1,フレーム2)の同じスロット番号、例えばスロット4にて、PHSを判定するための閾値Th1以上の電界強度の信号が検出され、且つ両スロットの受信電界強度値の差がNdif1を超えない(確認判定1を満たさない)場合である。図7(b)は閾値Ndif1の例を示す。フレーム1のスロット4における電界強度値とフレーム2のスロット4における電界強度値が比較的近く、両受信電界強度値の差がNdif1を超えない場合に、この場合はPHSではなくDECTの信号である可能性が高いと判定される。
図8(a)は、隣接する2フレームの同じスロット4にて、PHSを判定するための閾値Th1以上の電界強度の信号が検出されたが、一方のスロットの受信電界強度値が比較的低く、両スロットの受信電界強度値の差がNdif1を超える(確認判定1を満たす)場合である。図8(b)のように両受信電界強度値の差がNdif1を超える場合はPHSの信号であると判定される。
図9(a)は、あるフレームのスロット22にて、PHSを判定するための閾値Th1以上の電界強度の信号が検出され、隣接するフレームの同スロット22のうちで一方の隣接フレームのスロット22における受信電界強度値が比較的高い場合である。図9(b)は閾値Ndif2の例を示す。閾値Ndif2は閾値Ndif1より小さい値に設定する。フレーム1のスロット22における電界強度値とフレーム2のスロット22における電界強度値が比較的近く、両受信電界強度値の差がNdif2を超えない(確認判定2を満たさない)場合、PHSではなくDECTの信号である可能性が高いと判定される。
図10(a)は、あるフレームのスロット22にて、PHSを判定するための閾値Th1以上の信号が検出され、隣接する両フレームの同スロット22の何れでも受信電界強度値が低く、閾値Th1以上の電界強度の信号が検出されたスロットとの電界強度値が差分が閾値Ndif2を超える場合である。図10(b)に示すように、フレーム2のスロット22における電界強度値と、フレーム3(若しくはフレーム1)のスロット22における電界強度値が大きく異なり、これらの受信電界強度値の差がNdif2を超える(確認判定2を満たす)場合、PHSであると判定される。この確認判定2は、図11に示すように自営PHSの基地局が比較的遠い場合に有効である。図11に示すような場合は信号強度が小さいので、単に閾値Th1以上の信号が検出されただけで自営PHSの信号であると決定しては誤る可能性が高い。隣接する両フレームの同スロットの受信電界強度値を確認判定1とは異なる閾値で判定することにより、DECTの信号であるか否かをより確実の判定することが可能になる。
ここで制御部104は、ステップ13の確認判定1およびステップ14の確認判定2において、検出された各スロットの受信電界強度の標準偏差と最大値から、確認判定1および確認判定2を満たすか否かを判定してもよい。
また制御部104は、ステップ13の確認判定1およびステップ14の確認判定2において、検出された各スロットの受信電界強度の平均値、最小値および最大値から、確認判定1および確認判定2を満たすか否かを判定してもよい。
また制御部104は、ステップ13の確認判定1およびステップ14の確認判定2において、検出された各スロットの受信電界強度の平均値、最小値および最大値から、確認判定1および確認判定2を満たすか否かを判定してもよい。
そして、制御部104は、干渉種別判別手段102によりPHSが検知されたと判断され、PHSによる干渉があると判別された場合、図4または図5に示す干渉回避モードに入り、周波数スロットテーブル103により設定された使用不可の周波数帯域およびスロットタイミングを除いて、デジタルコードレス電話機が使用する周波数帯域およびスロットタイミングの情報を送信部105に出力することにより、デジタルコードレス電話子機へ通知するように制御する。
上述の処理により、PHSとの干渉を回避しつつ、デジタルコードレス電話機に割り当てられた周波数帯域およびスロットタイミングにより通信データを相手に対して送信することができる。
なお、以上の例ではスロットを一つずつ更新することとしたが、自装置の通信(第1の通信規格)で用いるスロットの時間幅が検出対象の他装置(第2の通信規格)で用いるスロットの時間幅より十分に小さい場合は、スロットを一つおきに更新しても良い。すなわち図2のステップ16にて、スロット番号を一つおきに更新し(例えば2スロットから4スロットへ更新)、偶数スロット(または奇数スロット)のみをモニタして判定することにより、判定に要する処理の時間を短縮することができる。
また以上の例では、DECTの30フレーム(300msの期間)にわたってモニタをするが、その期間だけでは判定が不十分な場合がある。そこで、少なくとも300ms以上の期間で監視する中でほぼ同じ受信電界強度の信号が125ms以上の周期で現れるか、若しくは少なくとも1回現れた場合は、モニタにおける期間を更に監視時間を300msの延長することにより、判別精度を上げることができる。
以上、本実施の形態の構成や処理などについて詳細に説明したが、本実施の形態によれば、本無線通信装置の起動時または随時(例えば、通信を開始する前や通信開始を待ち受けている状態の時に)、干渉種別判別手段102により自営PHSの制御信号を的確に判定し、干渉が生じ得る周波数チャネルおよびタイムスロットを不使用とすることでPHSシステムの制御信号との衝突を回避することができ、PHSシステムとの共存を可能にすることができる。例えば、本無線通信装置をDECT方式のデジタルコードレス電話機にて実施した場合、周囲にPHS方式のデジタルコードレス電話機が存在しても、DECT方式の電話機がPHSの制御信号に対して電波干渉を引き起こさないようにできる。