JP5283335B2 - 各種癌の治療を目的とした腫瘍関連抗原の組合せ - Google Patents

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Description

本明細書には、さまざまな組合せの腫瘍関連抗原に対する免疫応答を誘導する方法及び組成物が開示されており、それらにより発病過程において効果的な免疫学的介入を促進することができる。
[関連技術の説明]
米国癌学会は、年間、百万を超える人々が癌にかかり、米国人男性の約2人に1人及び米国人女性の約3人に1人が、人生のある時点で何らかの種類の癌を有するであろうと推定している。
癌は通常、体の一部の細胞が制御不能に増殖し始めると成長する。さまざまな種類の癌があるが、これらは大抵、異常細胞の制御不能な成長によって始まる。
正常な体細胞は、規則的な様式で成長し、分裂し、死ぬ。癌細胞は、成長及び分裂し続けるとういう点で異なっている。死ぬ代わりに、癌細胞は正常細胞よりも長く生き、且つ新たな異常細胞を形成し続ける。
癌に対する通常の治療の選択としては、手術、放射線療法及び化学療法が挙げられる。第四の治療分野が開発されており、免疫療法と呼ばれる。免疫療法は、免疫系が癌細胞を認識することを助け、且つ/又は癌を消滅させるために癌細胞に対する応答を強めることを試みている。免疫療法には、能動的免疫療法及び受動的免疫療法が含まれる。能動的免疫療法は、体自体の免疫系を刺激して病気と戦わせる。受動的免疫療法は、通常、体が病気を攻撃することを当てにはしておらず、代わりに、体の外で作られた免疫系成分(抗原等)を用いる。
各種の治療法があるにもかかわらず、さらに他の治療法の選択肢が引き続き必要とされている。
本明細書中に開示される本発明の実施の形態は、各種癌を有する患者の免疫療法のための、TuAAの効果的な組合せの使用を目的とする。これらの抗原の組合せに対する免疫応答を誘導する免疫原性組成物、及びその使用方法の両方が開示される。
いくつかの実施の形態は、腫瘍性疾患(neoplastic diseases)を治療する方法に関する。これらの方法には、例えばPRAME、及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原に対する免疫を患者に与える工程を含ませることができる。抗原(例えばPRAME)に対する免疫を患者に与えることは、該抗原に対する特異的免疫応答を誘導することができる、該抗原のいくつかの部分又はいくつかの他の免疫原性の薬剤を患者に投与することを意味する。したがって、いくつかの実施の形態においては、PRAMEに対する免疫化は、完全且つ無傷なPRAME抗原を患者に投与することを含むことができ、一方、他の実施の形態においては、PRAMEの1以上のエピトープ、1以上のエピトープクラスタ及び1以上の断片等を投与すること、及び/又は、例えば、上記のエピトープ(複数可)、クラスタ(複数可)及び断片(複数可)等のいずれかをコードする核酸を投与することを含むことができる。本考察においては、PRAMEは簡単のため例として使用されるが、患者がいかなる抗原に対して免疫を与えられたとしても原則は適用できる。
一つの実施の形態は、卵巣癌又は結腸直腸癌を治療する方法に関する。本方法は、患者に、例えばPRAME、及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。いくつかの実施の形態において、腫瘍関連抗原としては、例えばSSX−2、NY−ESO−1及びPSMA等を挙げることができる。好ましくは、本方法は、例えば、PRAME、NY−ESO−1及びSSX−2に対する免疫化を含むことができる。より好ましくは、本方法は、例えば、PRAME、NY−ESO−1、SSX−2及びPSMAに対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫化の工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、本方法は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
一つの実施の形態において、卵巣癌又は結腸直腸癌の治療において細胞傷害性T細胞応答を誘導する方法が開示される。本方法は、例えば、患者に、PRAME及び少なくとも1つの腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。いくつかの実施の形態において、腫瘍関連抗原としては、例えばSSX−2、NY−ESO−1及びPSMA等を挙げることができる。例えば本方法は、PRAME、NY−ESO−1及びSSX−2に対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、PSMAに対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫化の工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。
他の実施の形態は、膵臓癌を治療する方法に関する。本方法は、例えば、PSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍関連抗原は、例えばSSX−2及びNY−ESO−1であり得る。好ましくは、本方法は、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2に対する免疫を与えることを含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、本方法は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
さらに、一つの実施の形態において、膵臓癌の治療において細胞傷害性T細胞応答を誘導する方法が開示される。本方法は、例えば、患者に、PSMA及び少なくとも1つの腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。いくつかの実施の形態において、腫瘍関連抗原としては、例えばSSX−2及びNY−ESO−1等を挙げることができる。例えば本方法は、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2に対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。
さらに他の実施の形態は、非小細胞肺癌を治療する方法に関連する。本方法は、患者に、例えば、PSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。例えば、腫瘍関連抗原は、MAGE−3、SSX−2及びNY−ESO−1等であり得る。好ましくは、本方法は、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2に対する免疫を与えることを含むことができる。より好ましくは、本方法は、例えば、PSMA、NY−ESO−1、SSX−2及びMAGE−3に対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、本方法は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
さらなる実施の形態において、非小細胞肺癌の治療において細胞傷害性T細胞応答を誘導する方法が開示される。本方法は、例えば、患者に、PSMA及び少なくとも1つの腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍関連抗原としては、例えばMAGE−3、SSX−2及びNY−ESO−1等を挙げることができる。例えば本方法は、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2に対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、PSMA、NY−ESO−1、SSX−2及びMAGE−3に対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。
別の実施の形態は、腎細胞癌を治療する方法に関連する。本方法は、患者に、例えば、PSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍関連抗原は、例えば、PRAME及びSSX−2等であり得る。好ましくは、本方法は、例えばPSMA、PRAME及びSSX−2に対する免疫を与えることを含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、本方法は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
さらに、一つの実施の形態において、腎細胞癌の治療において細胞傷害性T細胞応答を誘導する方法が開示される。本方法は、例えば、患者に、PSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。いくつかの実施の形態において、腫瘍関連抗原は、例えばPRAME及びSSX−2等であり得る。例えば本方法は、PSMA、PRAME及びSSX−2に対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。
いくつかの実施の形態は、メラノーマを治療する方法に関連する。本方法は、患者に、例えば、以下の2群からそれぞれ選択される少なくとも1つの腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。第一群は、例えばチロシナーゼ及びMelan−A等を含み得る。第二群は、例えばSSX−2及びNY−ESO−1等を含み得る。好ましくは、本方法は、例えばMelan−A、SSX−2及びNY−ESOに対する免疫を与えることを含むことができる。より好ましくは、本方法は、例えばMelan−A、SSX−2及びチロシナーゼに対する免疫を与えることを含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、本方法は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
一つの実施の形態において、メラノーマの治療において細胞傷害性T細胞応答を誘導する方法が開示される。本方法は、以下の2群からそれぞれ選択される少なくとも1つの腫瘍関連抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。第一群は、例えばチロシナーゼ及びMelan−A等を含み得る。第二群は、例えばSSX−2及びNY−ESO−1等を含み得る。例えば本方法は、Melan−A、SSX−2及びNY−ESOに対する免疫化を含むことができる。あるいは、本方法は、例えば、Melan−A、SSX−2及びチロシナーゼに対する免疫化を含むことができる。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。
いくつかの実施の形態は、卵巣癌又は結腸直腸癌を治療するための薬剤の調製における、例えばPRAME及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施の形態において、腫瘍関連抗原は、例えばSSX−2、NY−ESO−1及びPSMA等であり得る。好ましくは、腫瘍関連抗原は、例えばNY−ESO−1及びSSX−2であり得る。より好ましくは、腫瘍関連抗原は、例えばNY−ESO−1、SSX−2及びPSMAであり得る。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫を与える工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、該薬剤は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
一つの実施の形態は、膵臓癌を治療するための薬剤の調製における、例えばPSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原を含む組成物の使用に関する。腫瘍関連抗原は、例えばSSX−2及びNY−ESO−1であり得る。該薬剤は、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2を含むことが好ましい。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫化の工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、該薬剤は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
さらに他の実施の形態は、非小細胞肺癌を治療するための薬剤の調製における、PSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施の形態において、腫瘍関連抗原は、MAGE−3、SSX−2及びNY−ESO−1であり得る。組成物は、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2を含むことが好ましい。組成物は、例えばPSMA、NY−ESO−1、SSX−2及びMAGE−3を含むことがより好ましい。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫化の工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、該薬剤は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
別の実施の形態は、腎細胞癌を治療するための薬剤の調製における、PSMA及び少なくとも1つの他の腫瘍関連抗原を含む組成物の使用に関する。腫瘍関連抗原は、例えばPRAME及びSSX−2等であり得る。組成物は、例えばPSMA、PRAME及びSSX−2を含むことが好ましい。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫化の工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、薬剤は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
さらに他の実施の形態は、メラノーマを治療するための薬剤の調製における、以下の2群からそれぞれ選択される少なくとも1つの腫瘍関連抗原を含む組成物の使用に関する。第一群は、例えばチロシナーゼ及びMelan−A等を含み得る。第二群は、例えばSSX−2及びNY−ESO−1等を含み得る。該組成物は、Melan−A、SSX−2及びNY−ESOを含むことが好ましい。該組成物は、例えばMelan−A、SSX−2及びチロシナーゼを含むことがより好ましい。本方法はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原に対する免疫化の工程を含むことができる。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。好ましい実施の形態において、薬剤は細胞傷害性T細胞応答を誘導することができる。
他の実施の形態は、例えば、卵巣癌又は結腸直腸癌を治療するための、又は卵巣癌又は結腸直腸癌に対するT細胞応答を誘導するための免疫原性組成物に関する。該組成物は、例えば、1)全抗原、2)抗原の断片、3)抗原由来のエピトープクラスタ、4)抗原由来のエピトープ、5)1〜4のいずれかをコードする核酸等、を個々に又は組合せて含む
ことができ、ここで該抗原はPRAME及び腫瘍関連抗原(例えばSSX−2、NY−ESO−1及びPSMA等を含む)を含むことができる。該組成物はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原を含み得る。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。
さらに他の実施の形態は、膵臓癌を治療するための、又は膵臓癌に対するT細胞応答を誘導するための免疫原性組成物に関する。組成物は、例えば、1)全抗原、2)抗原の断片、3)抗原由来のエピトープクラスタ、4)抗原由来のエピトープ、5)1〜4のいずれかをコードする核酸、を個々に又は組合せて含むことができ、ここで該抗原はPSMA及び少なくとも1つの腫瘍関連抗原を含むことができる。好ましい実施の形態において、腫瘍関連抗原は、例えばSSX−2及びNY−ESO−1から選択することができる。該組成物はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原を含み得る。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。
別の実施の形態は、非小細胞肺癌を治療するための、又は非小細胞肺癌に対するT細胞応答を誘導するための免疫原性組成物に関する。該組成物は、例えば、1)全抗原、2)抗原の断片、3)抗原由来のエピトープクラスタ、4)抗原由来のエピトープ、5)1〜4のいずれかをコードする核酸、を個々に又は組合せて含むことができ、ここで該抗原はPSMA及び少なくとも1つの腫瘍関連抗原(例えばMAGE−3、SSX−2及びNY−ESO−1を含む)を含むことができる。組成物はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原を含み得る。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。
いくつかの実施の形態は、腎細胞癌を治療するための、又は腎細胞癌に対するT細胞応答を誘導するための免疫原性組成物に関する。該組成物は、例えば、1)全抗原、2)抗原の断片、3)抗原由来のエピトープクラスタ、4)抗原由来のエピトープ、5)1〜4のいずれかをコードする核酸、を個々に又は組合せて含むことができ、ここで該抗原はPSMA及び少なくとも1つの腫瘍関連抗原を含むことができる。好ましい実施の形態において、腫瘍関連抗原はPRAME又はSSX−2であり得る。該組成物はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原を含み得る。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばVEGFR2及びTie−2であり得る。
さらに他の実施の形態は、メラノーマを治療するための、又はメラノーマに対するT細胞応答を誘導するための免疫原性組成物に関する。該組成物は、例えば、1)全抗原、2)抗原の断片、3)抗原由来のエピトープクラスタ、4)抗原由来のエピトープ、5)1〜4のいずれかをコードする核酸、を個々に又は組合せて含むことができ、ここで該抗原は以下の2群からそれぞれ選択することができる。ここで、第一群は、例えばチロシナーゼ及びMelan−Aを含み、第二群はSSX−2及びNY−ESO−1等を含む。該組成物はさらに、腫瘍の血管新生に関連する少なくとも1つの抗原を含み得る。腫瘍の血管新生に関連する抗原は、例えばPSMA、VEGFR2及びTie−2であり得る。
さらなる実施の形態は、腫瘍関連抗原(腫瘍関連抗原の断片、クラスタ及びエピトープを含む)の組合せを用いた、CTL応答を誘導する組成物及び方法に関する。該組成物は、核酸構築物、例えば全ての所望の抗原をコードする単一の構築物を含むことができる。他の実施の形態においては、単一の構築物は単一の抗原をコードする。一方、その他の実施の形態においては、1個の構築物は類似の免疫原性を有するエピトープの組合せを有することができ、且つ別の構築物は類似の免疫原性を有するエピトープを有することができる。
さらに他の実施の形態は、免疫原性組成物を設計及び作成する方法に関し、本方法は腫
瘍上の1以上の抗原の有無を決定する工程、及びCTLを誘導する組成物中に含めるための1以上の抗原を得る工程を含むことができる。
多くの腫瘍関連抗原(TuAA)の、さまざまな種類の癌における発現頻度が知られている。しかし、ある抗原の出現頻度、特にさまざまな種類の癌におけるTuAAの特定の組合せの出現頻度は報告されていない。腫瘍組織におけるTuAAの存在を正確に測定することは、特定の種類の癌の治療に対してどのTuAAが有用であるかを決定する手助けになる。
癌に対する能動的免疫療法を開発する多くの試みにおいて、単一抗原が利用されてきた。これは、2つの明確な理由により問題がある。第一に、癌におけるあらゆる特定のTuAAの発現はモザイク様であり得る(その抗原の発現は、腫瘍中のいくつかの細胞においては高いが、他の細胞においては全く無い)。さらに、TuAAはいくつかの病巣において発現され得るが、その他では発現されない。2以上の抗原に対して免疫応答を導くことにより、適切に選択すれば、認識できる腫瘍細胞の数を最大化できる。第二に、免疫化の後に、腫瘍がTuAA発現を失い、耐性集団を生じさせる例も観察された。免疫応答が2以上のTuAAに対して導かれた場合、それを回避するには各抗原の発現を同時に失わなければならないため、耐性の腫瘍が生じるのははるかに難しくなる。このように、免疫療法を用いた癌の治療において、使用したTuAAの少なくとも2つに対して腫瘍が陽性であるならば、TuAAの組合せを用いることは、腫瘍細胞の集団をより完全にカバーできること、及び抗原のTuAA発現の消失で抗原が消失することにより腫瘍が免疫を回避する機会が少なくなると考えられること、の2つの理由により有利であり得る。
定義:
以下に列挙された用語は、通常、本明細書の目的にふさわしい、以下に示された意味を有するべきである。ただし、本明細書中における文脈からそのような意味ではないことが明らかである場合は除く。
プロフェッショナル抗原提示細胞(pAPC):T細胞共刺激(costimulatory)分子を有し、且つT細胞応答を誘導することができる細胞。特性がかなり明らかにされているpAPCとしては、樹状細胞、B細胞及びマクロファージが挙げられる。
周辺細胞:pAPCではない細胞。
ハウスキーピングプロテアソーム:通常は周辺細胞中で活性化しているプロテアソームであって、かつ、通常はpAPC中には存在しないか、又はpAPC中では強い活性を示さない。
免疫プロテアソーム:通常はpAPC中で活性化しているプロテアソーム。免疫プロテアソームも、感染組織において、又はその後のインターフェロンへの暴露によって周辺細胞中でも活性化していることがある。
エピトープ:免疫応答を刺激することができる分子又は物質。好ましい実施形態において、本定義によるエピトープは、ポリペプチド又はポリペプチドをコードする核酸(ここで、該ポリペプチドは免疫応答を刺激することができる)を含むが、必ずしもこれらに限定されない。他の好ましい実施形態において、本定義によるエピトープは、細胞表面に提示されたペプチド(該ペプチドは、T細胞受容体(TCR)と相互作用できるように、クラス1MHCの結合溝(cleft)に非共有結合的に結合している)を含むが、必ずしもこれらに限定されない。クラス1MHCにより提示されるエピトープは、未成熟型でも成熟型でもよい。「成熟」としては、あらゆる前駆体(「未成熟」)と区別されるMHCエピ
トープ(これはハウスキーピングエピトープを含んでも良く、又は本質的にハウスキーピングエピトープから構成されていても良い)が挙げられるが、プロセッシング(プロテアソーム消化、N末端トリミング、又は外来性酵素活性の作用を、単独で、又は任意の組合せで含むが、それらに限定されない)により除去される一次翻訳産物中の他の配列も含まれる。このように、成熟エピトープは若干長いポリペプチド中に埋め込まれていてもよいが、その免疫学的な潜在能力は、少なくとも部分的には、埋め込まれたエピトープに起因するものである。同様に、成熟エピトープは、MHC結合溝に結合してTCRにより認識され得る最終的な形態として提供され得る。
MHCエピトープ:哺乳類のクラス1又はクラス2主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に対する、既知の又は予測された結合親和力を有するポリペプチド。
ハウスキーピングエピトープ:好ましい実施形態において、ハウスキーピングエピトープは、MHCエピトープであり、且つハウスキーピングプロテアソームが優勢に活性化している細胞上に提示されるポリペプチド断片として定義される。別の好ましい実施形態においては、ハウスキーピングエピトープは、1〜複数個の付加的なアミノ酸が隣接している、上述の定義によるハウスキーピングエピトープを含有するポリペプチドとして定義される。別の好ましい実施形態において、ハウスキーピングエピトープは、上述の定義によるハウスキーピングエピトープをコードする核酸として定義される。例示的なハウスキーピングエピトープは、2002年4月4日付で出願された米国出願第10/117,937号(公開番号20030220239 A1)及び同10/657,022号、2003年5月9日付で出願された国際出願PCT/US2003/027706(公開番号WO04022709A2)、2001年4月6日付で出願された米国仮出願第60/282,211号、2001年11月7日付で出願された同60/337,017号、2002年7月3日付で出願された同60/363210号、及び2002年9月5日付で出願された同60/409,123号中に提供される。列挙された各出願は、「エピトープ配列」と題されている。
免疫エピトープ:好ましい実施形態において、免疫エピトープは、MHCエピトープであり、且つ免疫プロテアソームが優勢に活性化している細胞上に提示されるポリペプチド断片として定義される。別の好ましい実施形態において、免疫エピトープは、1〜複数個の付加的なアミノ酸が隣接した、上述の定義による免疫エピトープを含むポリペプチドとして定義される。別の好ましい実施形態において、免疫エピトープは、クラス1MHCに対する既知の又は予測された親和力を有する少なくとも2つのポリペプチド配列を有する、エピトープクラスタ配列を含むポリペプチドとして定義される。さらに別の好ましい実施形態において、免疫エピトープは、上述のいずれかの定義による免疫エピトープをコードする核酸として定義される。
標的細胞:好ましい実施形態において、標的細胞とは、免疫系要素の作用を受け得る発病状態と関連した細胞、例えば、ウイルス若しくは他の細胞内寄生生物に感染した細胞、又は腫瘍細胞である。別の実施形態において、標的細胞は本発明のワクチン及び方法により標的とされる細胞である。本定義による標的細胞の例として、腫瘍細胞及び細胞内寄生生物(例えばウイルス、細菌又は原生生物)を保持する細胞が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。また、標的細胞は、免疫プロテアソームを発現している細胞による適切なエピトープの遊離及びプロセッシングを判断又は確認するための検定の一部として、CTLにより標的とされる細胞も含み、これにより所望のエピトープに対するT細胞の特異性又は免疫原性を判断できる。そのような細胞を形質転換して遊離配列を発現させることができ、あるいは、該細胞をペプチド/エピトープとともに単に電気パルスすることもできる。
標的関連抗原(TAA):標的細胞中に存在するタンパク質又はポリペプチド。
腫瘍関連抗原(TuAA):標的細胞が腫瘍細胞であるTAA。
HLAエピトープ:ヒトのクラス1又はクラス2のHLA複合体分子に対して、既知の又は予測される結合親和力を有するポリペプチド。
抗体:天然免疫グロブリン(Ig)、ポリ又はモノクローナル、又はIg結合ドメインの全て若しくは一部から成る任意の分子であって、生化学的に又は組み換えDNAを用いて、又は任意の他の手段を用いて得られる分子。例として、特に、F(ab)、単鎖Fv及びIg可変領域−ファージコートタンパク質融合体が挙げられる。
実質的類似性:本用語は、配列の調査によって判断する場合に、参照配列と重要ではない点において異なる配列を示すために用いられる。同じアミノ酸配列をコードする核酸配列は、縮重位置の違い、又は任意の非コード領域の長さ又は組成におけるわずかな違いがあるにもかかわらず、実質的に類似している。保存的置換又はわずかな長さの変異のみにより異なるアミノ酸配列は、実質的に類似している。さらに、N末端に隣接している残基の数が異なるハウスキーピングエピトープ、又は両末端において隣接している残基の数が異なる免疫エピトープ及びエピトープクラスタを含むアミノ酸配列は、実質的に類似している。実質的に類似しているアミノ酸配列をコードする核酸も、それら自体が実質的に類似している。
機能的類似性:本用語は、配列が実質的に類似していなくとも、生物学的又は生化学的特性の検査から判断する場合に、参照配列と重要ではない点において異なる配列を示す。例えば、2つの核酸が、同一の配列に対するハイブリダイゼーションプローブとして有用であるが、異なるアミノ酸配列をコードすることもあり得る。交差反応性CTL応答を誘導する2つのペプチドは、それらが非保存的アミノ酸置換により異なっていても(したがって、実質的類似性の定義の範囲ではない)、機能的に類似である。同じエピトープを認識する一対の抗体又はTCRは、どのような構造的差異が存在しようとも、互いに機能的に類似であり得る。免疫原性の機能的類似性の試験は、「改変」抗原で免疫化すること及び誘発された応答(抗体応答、CTL応答及びサイトカイン応答等を含むが、これらに限定されない)の標的抗原を認識する能力を調べることにより実施できる。したがって、2つの配列は、同じ機能を有しながら、ある観点では異なるように設計されてもよい。このように設計された、本願明細書中に開示される配列又は本願請求項の配列の配列変異体は、本発明の実施態様の一つである。
発現カセット:プロモータ並びに他の転写及び翻訳制御要素と操作可能に連結された、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列であって、エンハンサー、終止コドン、内部リボソーム侵入部位及びポリアデニル化部位を含むが、これらに限定されない。該カセットは、1つの宿主分子から別の分子への移動を容易にする配列も含むことができる。
埋め込みエピトープ:いくつかの実施形態において、埋め込みエピトープとは、より長いポリペプチド内に完全に含まれているエピトープである。他の実施形態において、本用語は、N末端又はC末端のみが埋め込まれたエピトープ(エピトープが、より長いポリペプチドに対して完全に内側にはない)も含むことができる。
成熟エピトープ:エピトープがMHCペプチド結合溝中に結合する際に、その配列以外の付加的配列が存在しないペプチド。
エピトープクラスタ:ポリペプチド又はこれをコードする核酸配列であって、天然のタ
ンパク質を含むタンパク質配列の断片であり、共通のMHC拘束要素に対する結合親和力を有する、2以上の既知の又は予測されるエピトープを含む。好ましい実施形態において、クラスタ中のエピトープの密度は、完全なタンパク質配列中の共通のMHC拘束要素に対する結合親和力を有する、全ての既知の又は予測されるエピトープの密度よりも大きい。エピトープクラスタは、「エピトープクラスタ」と題される米国出願第09/561,571号に開示され、且つより完全に定義されている。
遊離配列:より大きな配列中に埋め込まれたハウスキーピングエピトープを含むあるいはコードするように設計又は遺伝子操作された配列であって、プロセッシング活性(免疫プロテアソーム活性、N末端トリミング、及び/又はその他の過程又は作用を、単独で、又は任意の組合せで含む)によりハウスキーピングエピトープが遊離される状況をもたらす。
CTLp:CTL前駆体は、細胞溶解活性の発現が可能なT細胞である。二次的なin
vitro溶解活性(通常、この活性によりCTLpが観察される)は、in vivoで、ナイーブ、エフェクター及びメモリーCTLの任意の組合せから得られる。
メモリーT細胞:体内の位置に関係なく、抗原により事前に活性化されたT細胞であるが、エフェクター機能を獲得するためには抗原への再暴露が必要な静止生理的状態にある。これらは通常、表現型としてはCD62L-、CD44hi、CD107α-、IGN−γ-、LTβ-及びTNF−α−であり、細胞周期のG0にある。
エフェクターT細胞:抗原と接触すると直ちにエフェクター機能を示すT細胞。エフェクターT細胞は、通常リンパ系から出て、周囲の免疫系に入ることができる。表現型としては、これらは通常、CD62L-、CD44hi、CD107α+、IGN−γ+、LTβ+及びTNF−α+であり、活発に循環(cycling)している。
エフェクター機能:通常、細胞溶解活性及び/又はサイトカイン分泌の獲得を含む、T細胞の活性化。
T細胞応答の誘導:多くの実施形態において、ナイーブ細胞、又は状況によっては静止細胞から、T細胞応答を生じさせる過程を含む;T細胞を活性化すること。
T細胞応答の増幅:多くの実施形態において、細胞数、活性化細胞数、活性のレベル、増殖速度、又は特定の反応に関与するT細胞の同様のパラメータを増加させる過程を含む。
同調:多くの実施形態において、誘導されたT細胞系統の免疫プロファイルに特定の安定性を与える誘導を含む。
トール様受容体(TLR):トール様受容体(TLR)は、微生物の特異的成分及び特定の宿主分子により活性化される、パターン認識受容体である。先天性免疫系の一部として、これらは多くの病原体に対する防御の第一線に寄与するが、適応免疫においても役割を果たす。
トール様受容体(TLR)リガンド:トール様受容体に結合し、且つ活性化することができる任意の分子。例として、インターフェロンを誘導することで知られる、ポリIC A合成二本鎖RNAが挙げられるが、これに限定されない。上記ポリマーは、ポリイノシン酸及びポリシチジル酸の各一本鎖、二本鎖RNA、非メチル化CpGオリゴデオキシリボヌクレオチド又は他の免疫刺激配列(ISS)、リポ多糖(LPS)、β−グルカン類
、及びイミダゾキノリン類、並びにこれらの誘導体及び類似体から成る。
免疫強化アジュバント:pAPC又はT細胞を活性化するアジュバントであって、例えばTLRリガンド、エンドサイトーシスパターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン類(quillaja saponins)、ツカレソール(tucaresol)及びサイトカイン等を含む。いくつかの好ましいアジュバントが、Marciani, D. J. Drug Discovery Today 8: 934-943, 2003に開示されている。
免疫刺激配列(ISS):通常は、非メチル化CpG配列を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチドである。該CpGは、細菌により生産されたDNA(特にプラスミド)中に埋め込まれてもよい。さらなる実施形態は、さまざまな類似体を含み、好ましい実施形態として、ホスホロチオエート結合又は非生理的塩基を1以上有する分子が挙げられる。
ワクチン:好ましい実施形態において、ワクチンは、病気の予防あるいはその手助けとなる免疫原性組成物であり得る。他の実施形態において、ワクチンは、病気の治療あるいはその手助けとなる組成物である。その他においては、ワクチン組成物は、病気の改善あるいはその手助けとなり得る。ワクチン免疫原性組成物のさらなる実施形態は、治療薬及び/又は予防薬として使用することができる。
免疫化:病気に対して、部分的な又は完全な防御を誘導する過程。あるいは、抗原に対する免疫系応答を誘導又は増幅する過程。第二の定義では、防御免疫応答、特に炎症誘発性又は能動的免疫を暗示し得るが、調節的応答(regulatory response)も含み得る。したがって、いくつかの実施形態においては、免疫化は寛容化(免疫系が、炎症誘発性又は能動的免疫を生成することを回避する過程)とは区別される一方、他の実施形態においてはこの用語は寛容化を含む。
コードする:ある特定のアミノ酸配列をコードする核酸が、その(ポリ)ペプチドを特定するコドンからなり得るが、翻訳可能な、又は転写、翻訳若しくは複製を制御するために、又はある宿主核酸構築物の取り扱いを容易にするために、付加的な配列も含み得るような、制約のない用語。
カバー率(coverage):ある特定のTuAA、又は選択された一連のTuAAに由来する少なくとも1つのTuAAを発現している腫瘍細胞の比又は割合。
重複性(redundancy):腫瘍細胞集団又はそれらのサブセットが、選択された一連のTuAAのうち2以上のTuAAを発現する程度。
腫瘍関連抗原
本明細書中に開示される実施形態において有用なTuAAの例として、チロシナーゼ(配列番号1)、Melan−A(配列番号2)、SSX−2(配列番号3)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)(配列番号4)、MAGE−1(配列番号5)、MAGE−3(配列番号6)、NY−ESO−1(配列番号7)、PRAME(配列番号8)及びHer2/Neu(配列番号9)が挙げられる。これら9個のタンパク質に対する天然のコード配列、又はこれらの任意の断片は、これらのcDNA又は完全コード配列(cds)(それぞれ配列番号10〜18)より決定することができる。
Figure 0005283335
チロシナーゼは、メラニン細胞分化の最も特異的なマーカーの一つであると考えられているメラニン生合成酵素である。チロシナーゼはわずかな細胞型(主にメラニン細胞)で発現しており、しばしばメラノーマにおいて高レベルであることが分かった。TuAAとしてのチロシナーゼの有用性は、「異常細胞がHLA−A2/チロシナーゼ由来ペプチドの複合体を提示する細胞異常を患う個体を識別する方法、及び該個体を治療する方法」と題される米国特許第5,747,271号に教示されている。
PMel17としても知られているGP100も、メラノーマにおいて高レベルで発現するメラニン生合成タンパク質である。TuAAとしてのGP100は、「メラノーマ抗原及び診断並びに治療方法におけるその使用」と題される米国特許第5,844,075号に開示されている。
MART−1(T細胞により認識されるメラノーマ抗原)とも呼ばれるMelan−Aは、メラノーマにおいて高レベルで発現する別のメラニン生合成タンパク質である。TuAAとして有用なMelan−A/MART−1は、「メラノーマ抗原及び診断並びに治療方法におけるその使用」と題される米国特許第5,874,560号及び5,994,523号の両方、さらに「HLA−A2により提示される、少なくとも1つの腫瘍拒絶抗原へとプロセッシングされる腫瘍拒絶抗原前駆体をコードする単離された核酸分子」と題される米国特許第5,620,886号に教示されている。
Hom−Mel−40としても知られているSSX−2は、高度に保存された癌・精巣抗原のファミリーの一員である(Gure, A. O.他、Int. J. Cancer 72: 965-971, 1997)。SSX−2のTuAAとしての識別は、「メラノーマ特異的抗原をコードする単離された核酸分子及びその使用」と題される米国特許第6,025,191号に教示されている。癌・精巣抗原は、さまざまな腫瘍において見られるが、通常は、精巣以外の正常な成人組織には存在しない。SSXファミリーの種々のメンバーの発現は、さまざまな腫瘍細胞系において見られる。SSXファミリーのメンバー間の高度の配列同一性によって、ファミリーの2以上のメンバーから類似したエピトープが生じ、且つMHC分子に結合することができ、その結果このファミリーの1メンバーに対して作られたいくつかのワクチンは交差反応することができ、且つこのファミリーの他のメンバーに対しても有効である。
MAGE−1(メラノーマ関連抗原−1)、MAGE−2(メラノーマ関連抗原−2)及びMAGE−3(メラノーマ関連抗原−3)は、癌・精巣抗原の別のファミリーのメンバーであり、もともとはメラノーマ中で発見されたが、さまざまな腫瘍中に見られる。TuAAとしてのMAGEタンパク質の識別は、「腫瘍拒絶抗原前駆体をコードする核酸配列(MAGE−1)」と題される米国特許第5,342,774号及びそれに続く多数の特許に教示されている。現在、SWISSタンパク質データベースには、(ヒト)MAGEに関して17個の登録がある。これらのタンパク質には広範な類似性があり、多くの場合、あるものからのエピトープは、ファミリーの他のメンバーに交差反応応答を誘導することができる。少数のMAGEファミリーのメンバー、とりわけ、それぞれ精巣及び脳、並びに骨髄間質細胞において発現しているMAGE−H1及びMAGE−D1は腫瘍中では観察されていない。これらが、他のMAGEタンパク質と非常に類似性が低いものの一つであるという事実により、正常組織における交差反応の可能性は改善される。
GAGE−1は、癌・精巣抗原のGAGEファミリーの1メンバーである(Van den Eynde, B.他、J. Exp. Med. 182: 689-698, 1995;米国特許第5,610,013号;同5648226号;同5,858,689号;同6,013,481号;及び同6,069,001号)。PubGeneデータベースは現在、12個の異なったアクセス可能な成員を列挙しており、そのうちのいくつかはPAGE又はXAGEというシノニムで知られている。GAGE−1からGAGE−8は、非常に高度の配列同一性を有し、それゆえほとんどのエピトープがファミリーの複数のメンバーによって共有され得る。
BAGEは、一般に、メラノーマ、特に転移性メラノーマ、並びに肺、乳房、膀胱及び頭部及び頚部の扁平上皮細胞の癌腫において発現する癌・精巣抗原である。そのTuAAとしての有用性は、「腫瘍拒絶抗原前駆体BAGE中のアミノ酸配列に対応する腫瘍拒絶抗原、及びその使用」と題される米国特許第5,683,88号、及び「BAGE腫瘍拒絶抗原前駆体をコードする単離された核酸分子」と題される同5,571,711号に、それぞれ教示されている。
CTAG−1(癌・精巣抗原−1)及びCAG−3(癌抗原−3)としても知られているNY−ESO−1は、多種多様な腫瘍において見られる癌・精巣抗原である。TuAAとしてのNY−ESO−1は、「食道癌関連抗原をコードする単離された核酸分子、抗原自体、及びそれらの使用」と題される米国特許第5,804,381号に開示されている。広範な配列同一性を有する抗原をコードするパラロガス(paralogous)な遺伝子座であるLAGE−1a/s及びLAGE−1b/Lは、公的に入手可能なヒトゲノムのアセンブリ中に開示されており、選択的スプライシングを介して生じると結論付けられている。さらに、CT−2(又はCTAG−2、癌・精巣抗原−2)は、LAGE−1b/Lの対立遺伝子、突然変異体又は配列の不一致のいずれかであるように思われる。広範な配列同一性により、NY−ESO−1からの多くのエピトープはまた、これら他の抗原を発現している腫瘍に対する免疫も誘導することができる。図1を参照。NY−ESO−1及びLA
GEは、アミノ酸70までは事実上同一である。アミノ酸71からアミノ酸134では、2つのタンパク質間で同一の箇所は最長でも6残基であるが、潜在的に交差反応可能な配列が存在する。アミノ酸135からアミノ酸180では、NY−ESO及びLAGE−1a/sは、ただ一つの残基以外は同一であるが、LAGE−1b/Lは選択的スプライシングにより関連性がない。CAMEL及びLAGE−2抗原は、LAGE−1のmRNA由来とは思われるものの、別のリーディングフレームに由来し、その結果関連性のないタンパク質配列が生じるものと思われる。つい最近、GenBankアクセッション番号AF277315.5(ヒト染色体XのクローンであるRP5−865E18及びRP5−1087L19、完全配列)は、この領域内の3つの独立遺伝子座を報告しており、LAGE1(ゲノムアセンブリ中のCTAG−2に相当)、LAGE2−A及びLAGE2−B(両者ともゲノムアセンブリ中のCTAG−1に相当)と名づけられている。
MAPE、DAGE及びOIP4としても知られているPRAMEは、もともとはメラノーマ抗原として観察された。その後、これは癌・精巣(CT)抗原として認識されたが、多くのCT抗原(MAGE、GAGE及びBAGE等)とは異なり、PRAMEは急性骨髄性白血病において発現する。PRAMEは、その大部分が仮想タンパク質から構成されるMAPEファミリーの一員であって、それらとの配列類似性は限定的である。TuAAとしてのPRAMEの有用性は、「腫瘍拒絶抗原前駆体DAGEをコードする単離された核酸分子、及びその使用」と題される米国特許第5,830,753号に教示されている。
「前立腺特異的膜抗原」と題される米国特許第5,538,866号に記載されるTuAAであるPSMA(前立腺特異的膜抗原)は、正常な前立腺上皮により発現され、前立腺癌中において高レベルである。これは、非前立腺腫瘍の新生血管系においても見られる。したがって、PSMAは前立腺癌及び他の腫瘍の両者の新生血管系に対して作られたワクチンの基礎となり得る。後者の概念は、2001年3月7日付で出願された「癌に対する抗血管新生ワクチン」と題される米国仮出願第60/274,063号、及び2002年3月7日付で出願された「癌に対する抗血管新生製剤」と題される米国出願第10/094,699号(公開番号20030046714 A1)により完全に記載されている。要約すると、腫瘍はその成長に従い、新たな血管の内部成長を強化する。このことは成長の維持にとって必要であると理解されているが、その理由としては、血管を発達させていない腫瘍の中心は通常壊死すること、また、血管形成阻害剤は腫瘍退縮を起こすと報告されてきたことがある。このような新たな血管すなわち新生血管系は、既に存在している血管には認められない抗原を発現しているため、それを特異的に標的化することができる。新生血管系抗原に対するCTLを誘導することにより、該血管を崩壊させることができ、腫瘍への栄養分の流れ及び腫瘍からの老廃物の除去を妨げ、腫瘍の退縮につなげられる。
PSMAmRNAの選択的スプライシングによって、見かけ上Met58から始まるタンパク質が生じ、「選択的にスプライシングされた前立腺特異的膜抗原をコードする単離された核酸分子、及びその使用」と題される米国特許第5,935,818号に記載されるように、PSMAの推定膜アンカー領域を欠失する。PSMA様タンパク質と称されるタンパク質(Genbankアクセッション番号AF261715)はPSMAのアミノ酸309〜750とほぼ同一であるが、異なる発現プロファイルを有する。したがって、最も好ましいエピトープは、アミノ酸58〜308に位置するN末端を有するものでる。
PSA(前立腺特異的抗原)は、カリクレインファミリーのペプチダーゼであり、前立腺の分化抗原である。乳房組織における発現も報告されている。別名として、γ−セミプロテイン、カリクレイン3、セミノゲラーゼ(seminogelase)、セミニン及びP−30抗原が挙げられる。PSAは、さまざまな選択的スプライシング産物(前立腺/腺カリクレ
イン−1及び−2、並びにカリクレイン−4)と高度の配列同一性を有し、前立腺及び乳房組織においても発現する。他のカリクレインは、通常、配列同一性はより低く、且つ異なる発現プロファイルを有する。とはいえ、ワクチンの設計時には、任意の特定のエピトープにより引き起こされ得る交差反応性の他、そのエピトープが非標的組織中におけるプロセッシング(最も一般的には、ハウスキーピングプロテアソームによる)により遊離される可能性についても考慮されるべきである。
SCAH−2としても知られているPSCA(前立腺幹細胞抗原)は、前立腺上皮細胞において選択的に(preferentially)発現し、且つ前立腺癌において過剰発現する分化抗原である。低レベルの発現は、消化管及び腎臓の集合管の神経内分泌細胞を含むいくつかの正常細胞において見られる。PSCAは、「ヒト幹細胞抗原」と題される米国特許第5,856,136号に記載されている。
HOM−TES−14としても知られているシナプトネマ構造タンパク質1(SCP−1)は、減数分裂関連タンパク質であり、癌・精巣抗原でもある(Tureci, O.他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 5211-5216, 1998)。癌抗原としては、その発現は細胞周期により制御されてはおらず、しばしばグリオーマ、乳房、腎細胞及び卵巣癌において見られる。ミオシンといくらかの類似性を有するが、交差反応性エピトープを即座に生じさせないには十分な程度に同一性は低い。
フィブロネクチンのED−Bドメインもまた、潜在的標的である。フィブロネクチンは、ED−Bドメインが、主として腫瘍胎児組織中で使用される単一エクソンにコードされる、発生学的に制御される選択的スプライシングを受けやすい(Matsuura, H.及びS. Hakomori、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 6517-6521, 1985;Carnemolla, B.他、J. Cell
Biol. 108: 1139-1148, 1989;Loridon-Rosa, B.他、Cancer Res. 50: 1608-1612, 1990;Nicolo, G.他、Cell Differ. Dev. 32: 401-408, 1990;Borsi, L.他、Exp. Cell Res.
199: 98-105, 1992;Oyama, F.他、Cancer Res. 53: 2005-2011, 1993;Mandel, U.他、APMIS 102: 695-702, 1994;Farnoud, M. R.他、Int. J. Cancer 61: 27-34, 1995;Pujuguet, P.他Am. J. Pathol. 148:579-592, 1996;Gabler, U.他、Heart 75: 358-362, 1996;Chevalier, X. Br. J. Rheumatol. 35: 407-415, 1996;及びMidulla, M. Cancer Res. 60:164-169, 2000)。
ED−Bドメインは、新生血管系のフィブロネクチンにおいても発現する(Kaczmarek,
J.他、Int. J. Cancer 59: 11-16, 1994;Castellani, P.他、Int. J. Cancer 59: 612-618, 1994;Neri, D.他、Nat. Biotech. 15: 1271-1275, 1997;Karelina, T. V.及びA. Z. Eisen, Cancer Detect. Prev. 22: 438-444, 1998;Tarli, L.他、Blood 94: 192-198, 1999;及びCastellani, P.他、Acta Neurochir. (Wien) 142: 277-282, 2000)。腫瘍胎児性ドメインとして、ED−Bドメインは一般に、新生血管系により発現されるのに加えて、腫瘍細胞により発現されるフィブロネクチンにおいて見られる。したがって、ED−Bドメインを標的とするCTL誘導ワクチンは、2つの作用機構を示すことができる:腫瘍細胞の直接的溶解、及び腫瘍に関連した新生血管系の崩壊による腫瘍への血液供給の阻害である。CTL活性はワクチンの使用中止後迅速に減衰するため、正常な血管形成への干渉は最小化され得る。新生血管系を標的とするワクチンの設計及び試験は、2001年3月7日付で出願された「癌に対する抗新生血管系ワクチン」と題される米国仮出願第60/274,063号、及び2002年3月7日付で出願された「癌に対する抗新生血管系製剤」と題される米国出願第10/094,699号(公開番号20030046714 A1)に記載されている。腫瘍細胞系統は、2002年3月7日付けで出願された「HLAトランスジェニックマウス腫瘍細胞系統」と題される米国仮出願第60/363,131号に記載されている。
癌胎児性抗原(CEA)は、1965年に始めて記載された例証的な(paradigmatic)腫瘍胎児タンパク質である(Gold及びFreedman, J. Exp. Med. 121: 439-462, 1965)。より詳細な参考文献は、「オンライン・人類のメンデル遺伝;登録番号114890(the Online Medelian Inheritance in Man; record* 114890)」に見出すことができる。これは、癌胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)と公式に改名された。その発現は、消化管及び胎児の結腸の上皮層の腺癌と、最も強く関連する。CEAは免疫グロブリン超遺伝子ファミリーの一員であって、且つCEAサブファミリーを特徴付ける一員である。
バキュロウイルスIAPリピート含有タンパク質5(BIRC5)としても知られているスルビビンは、腫瘍胎児発現パターンを有する別のタンパク質である。これはアポトーシス阻害タンパク質(IAP)遺伝子ファミリーの一員である。これは癌において広範に過剰発現され(Ambrosini, G.他、Nat. Med. 3: 917-921, 1997;及びVelculiscu V. E.他、Nat. Genet. 23: 387-388, 1999)、アポトーシス阻害剤としてのその機能は、悪性の表現型に寄与すると信じられている。
HER2/NEUは上皮成長因子受容体に関係する癌遺伝子であり(van de Vijver他、New Eng. J. Med. 319: 1239-1245, 1988)、c−ERBB2癌遺伝子とおそらく同一である(Di Fiore他、Science 237: 178-182, 1987)。ERBB2の過剰発現は、前立腺癌の腫瘍化形質転換に関係があるとされてきた。HER2に関しては、発現レベルが腫瘍の悪性度と相関する他の腫瘍の内では、乳癌の25〜30%において増幅且つ過剰発現される(Slamon他、New Eng. J. Med. 344: 783-792, 2001)。より詳細な記載は、オンライン・人類のメンデル遺伝;登録番号164870において入手可能である。
腫瘍関連抗原のさらなる例として、Melan−A(MART−1)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15(58)、CEA、RAGE、NY−ESO(LAGE)、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、H−Ras、HER−2/neu、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、エプステイン・バー・ウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CA 19−9、CA 72−4、CAM 17.1、NuMa、K−ras、β−カテニン、CDK4、Mum−1、p16、TAGE、PSMA、PSCA、CT7、テロメラーゼ、43−9F、5T4、791Tgp72、α−フェトプロテイン、β−HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15−3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA−50、CAM43、CD68/KP1、CO−029、FGF−5、G250、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90(Mac−2結合タンパク質/シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP並びにTPS等が挙げられる。
さらなる腫瘍関連抗原は、www.cancerimmunotherapy.org/SEREX/における「血清学的発現クローニングによるヒト腫瘍抗原の同定:SEREXについてのオンラインレビュー("Identification of human tumor antigens by serological expression cloning: an online review on SEREX")」、Chen, YT、Cancer Immun. 2004(2004年3月10日更新;2004年4月1日引用);及び「T細胞によって認識される腫瘍抗原の列挙("A listing of tumor antigens recognized by T cells")」、Renkvist, N.他、Cancer Immunology Immunotherapy, 50: 3-15 (2001)に記載されている。
Scanlan他、「癌/精巣遺伝子:レビュー、標準化及び論評("The cancer/testis genes: Review, standardization, and commentary")」、Cancer Immunity 4: 1(2004年1月23日)を出典とする表2は、CT抗原のリストを提供する。表3は、表2のCT抗原に対する、さまざまな腫瘍型におけるmRNAの発現頻度を提供する。Scanlan他、「癌/精巣遺伝子:レビュー、標準化及び論評」、Cancer Immunity 4: 1(2004年1月23日)。
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腫瘍の血管新生と関連するさらなる抗原は、米国特許第6,342,221号に記載さ
れているVEGFR2(血管内皮成長因子受容体2);及び国際特許WO9943801に記載されている内皮特異的受容体トリプシンキナーゼであるTie−2である。
当業者は、血管細胞に関連する任意の他の抗原又はタンパク質(現在知られているもの及び未同定のものを含む)が、本願の免疫原性組成物の標的になり得ることを理解するであろう。
組成物
例えばワクチンを含む免疫原性組成物は、完全な抗原又はエピトープ性ペプチドを用いて調製することができる。ペプチド免疫原は、例えば、当業者に既知である標準的ペプチド合成手段を用いて容易に調製することができる。免疫原は、化学合成を行う多数の企業のいずれかにより商業的に作製することができる。このような企業の例として、アメリカン・ペプチド社(American Peptides, Inc.)があり、その販売業者はクリナルファAG(CLINALFA AG)(Laufelfingen、スイス)である。抗原あるいは免疫原はGMPスタンダードに基づいて調製することができ、HPLC解析により純度を評価することができる。該産物は、アミノ酸解析により特徴付けることができ、無菌性及び発熱物質の不在を検査することができる。
抗原は、直接的に又は間接的に動物の系に送達されてもよい。例えば、ポリペプチドは、ポリペプチドとして直接的に送達されてもよく、又は例えばDNA構築物又はベクター若しくは所望の抗原をコードする組み換えウイルスを用いて、間接的に送達されてもよい。プロフェッショナル抗原提示細胞中における発現を促すベクターであれば、いずれもこの目的に好適であり得る。間接的送達において、抗原は細胞中で発現され、次いで細胞表面上のMHCクラス1により提示され、CTL応答を刺激する。抗原の分泌型の発現は、膜タンパク質である抗原を認識する抗体応答を誘導するのに有用であり得る。
好ましい実施形態において、コードされた抗原は、裸のプラスミド発現ベクターの型で送達されることができる。特に有用な構築物は、「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター」と題される米国出願第09/561,572号、「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びその設計方法」と題される米国出願第10/292,413号(公開番号20030228634 A1)、米国出願第10/225,568号(公開番号2003−0138808)、国際出願PCT/US2003/026231(公開番号WO2004/018666)、「プラスミド増殖における望ましくない複製中間産物の回避」と題される米国特許第6,709,844号、及び「抗原提示細胞におけるエピトープ同調」と題される米国出願第10/026,066号(公開番号20030215425 A1)に開示されている。付加的な方法論、組成物、ペプチド及びペプチド類似体が、「SSX−2ペプチド類似体」と題される本願と同じ日付で出願された米国仮出願 / , (代理人整理番号 MANNK. 038PR)に開示されている。さらなる方法論、組成物、ペプチド及びペプチド類似体が、「NY−ESOペプチド類似体」と題される当該出願と同じ日付で出願された米国仮出願 / , (代理人整理番号 MANNK. 039PR)に開示されている。免疫化に対する裸DNAの使用の実行可能性及びそれに関連した一般的手順は、「DNA配列の注射による哺乳類における防御免疫応答の誘導」と題される米国特許第5,589,466号、及び「腫瘍関連抗原ペプチドをコードする裸ポリヌクレオチドの投与による、腫瘍関連抗原に対して宿主を免疫化する方法及び装置」と題される米国特許第5,679,647号に記載されている。前者は、筋肉内又は皮内注射のみを教示し、後者は皮膚又は粘膜への投与のみを教示する。
好ましい実施形態において、抗原は、直接的にリンパ系に投与することができる。CTL産生を目的とした節内投与が、それぞれ「CTL応答を誘導する方法」と題される、米国出願第09/380,534号及び同09/776,232号(公開番号200200
07173 A1)並びに国際出願PCTUS98/14289(公開番号WO9902183 A2)に教示されている。リンパ節内(i.ln.)への単回ボーラス注射は、筋肉内(i.m.)注射によって同レベルのCTL応答を得るために必要な用量の0.1%しか必要としなかった。したがって、i.ln.送達される単回ボーラスによって全身ウイルス感染に対する防御応答を確立することができるが、これは実用上の限界に近い用量のi.m.送達では不可能である。i.m.ボーラス注射を繰り返しても末梢ウイルス感染又は移植腫瘍に対する防御応答を確立することに失敗した一方で、低用量をi.ln.投与すると十分に効果的であった。特に有用な節内免疫化プロトコルは、「MHCクラス1拘束性免疫応答の規模及び質を制御する方法」と題される米国仮出願第60/479,393号、及び本願と同日付で出願された「予防又は治療を目的とした、MHCクラス1拘束性エピトープに対する免疫応答を誘発、増強及び維持する方法」と題される米国出願 / , (代理人整理番号、MANNK. 034A)(公開番号 )に教示されている。
抗癌性免疫原性組成物において有利であり得るエピトープクラスは、ハウスキーピングエピトープである。これらはハウスキーピング(すなわち標準的な)プロテアソームの作用により生成される。ハウスキーピングエピトープは、プロフェッショナル抗原提示細胞(pAPC)の免疫プロテアソームによるタンパク質分解プロセッシングを介して、発現ベクターの翻訳産物から遊離され得る。本発明の一実施形態においては、ハウスキーピングエピトープ(複数可)に隣接している配列を、所望の位置(複数可)で免疫プロテアソームによる切断を促進するように改変することができる。ハウスキーピングエピトープ、その使用及び同定は、2000年4月28日付で出願された米国出願第09/560,465号、及び2001年12月7日付で出願された「抗原提示細胞におけるエピトープ同調」と題される米国出願第10/026,066号(公開番号20030215425 A1)、並びに2000年4月28日付で出願された「エピトープの発見方法」と題される米国出願第09/561,074号に記載されている。
ハウスキーピングエピトープの例は、2001年4月6日付で出願された米国仮出願第60/282,211号;2001年11月7日付で出願された同60/337,017号;2002年3月7日付で出願された同60/363210号;及び2002年9月5日付で出願された同60/409,123号;2002年4月4日付で出願された米国出願第10/117,937号(公開番号20030220239A1);並びに両者とも「エピトープ配列」と題される米国出願第10/657,022号及び国際出願PCT/US2003/027706(公開番号WO04022709A2)に開示されている。
本発明の他の実施形態において、ハウスキーピングエピトープ(複数可)は、任意の配列、又は免疫プロテアソーム切断部位の中で好ましいことが知られている残基を組込んだ配列に隣接していても良い。本明細書中で使用する場合、「任意の配列」とは、エピトープの天然の配列関係、それらのプロセッシングを促進する能力又は免疫学的機能を考慮せずに選択される配列を意味する。本発明のさらなる実施形態において、複数のエピトープを、頭−尾状に配置させることができる。これらの配置は、全体をハウスキーピングエピトープから構成することができる。同様に、該配置は、ハウスキーピングエピトープ及び免疫エピトープの交互配列を含むことができる。あるいは、該配置は、完全であるか、又は末端が切断されているかによらず、免疫エピトープに隣接するハウスキーピングエピトープを含むことができる。さらに、該配置は、任意の他の類似した配置であり得る。該配置の末端位置にハウスキーピングエピトープを置くことになんら制限はない。ベクターは、免疫エピトープ源としてのエピトープクラスタを含有する、真正のタンパク質コード配列又はそのセグメントを付加的に含有することができる。「真正の」という用語は、天然のタンパク質配列を示す。
エピトープクラスタ及びその使用は、2000年4月28日付で出願された「エピトー
プクラスタ」と題される米国出願第09/561,571号;2001年11月7日付で出願された「抗原提示細胞におけるエピトープ同調」と題される同10/005,905号;及び2001年12月7日付で出願された同じく「抗原提示細胞におけるエピトープ同調」と題される同10/026,066号に記載されている。
本発明の別の実施形態において、コードされた抗原は、ウイルスベクターの型で送達することができる。挿入されたリーディングフレームを発現するが、ウイルスタンパク質をしばしば全く発現しないよう、あるいは少なくともより少数を発現するよう改変したゲノムを有する多彩なウイルスが当業者には知られている。このようなものとして、レンチウイルスを含むレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルスを含むパルボウイルス、ヘルペスウイルス、及びワクシニアウイルスを含むポックスウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。このようなウイルスベクターは、細胞内への核酸成分の送達を容易にし、発現を可能にする。これらベクターのサブセット(例えばレトロウイルスとパルボウイルス)は、これらの核酸成分の宿主ゲノム内への取り込みを促進するが、他のものはそうではない。
また、細菌もベクターとして働くことができる。すなわち抗原の発現を起こすことができる核酸分子を送達するのに用いることができる。例えば、Listeria monocytogenesの株は、マクロファージ(その通常の標的)の細胞質に進入する際、それ自体が溶解するように工夫されており、その結果、プラスミドが放出されて次いで抗原が発現する(Dietrich, G.他、Biotechnology 16: 181-185, 1998)。Shigela
flexneri及びEscherichia coliも同様に使用されてきた(それぞれ、Sizemore, D. R.他、Science 270: 299-302, 1995、及びCourvalin, P.他、Life
Sci. 318: 1207-1212, 1995)。
核酸送達を目的とした微生物ベクターの使用は、ベクター自体が招く免疫反応によって複雑化され得る。長期又は繰り返しの投与が必要な場合、早い時期の治療によって誘発された抗体は、有用な量のベクターが、意図された宿主に届くのを妨げる。しかし、リンパ節への直接投与により、例えば、宿主細胞の近傍に非常に少なくした有効量を投与する組合せにより、存在する抗体力価を避ける又は圧倒することができる用量を投与することが可能になる。
ベクターという単語は、本明細書中及び他において、いくつかの様相で、且つさまざまに変更されて使用されてきた(例えば、発現ベクター、ウイルスベクター、送達ベクター等)。根底にある原理は、抗原自体よりもむしろ、抗原の発現を生じさせることが可能な核酸が最終的にAPCに到達するということである。はっきりと、又は特定の文脈により修正されない限り、本明細書中で使用されるベクターという用語は、このような可能性全てを包含することが意図される。
上記で論じられた技術は、抗原が微生物の成分として生成され、次いでそれ自体が免疫原として投与されるような、微生物ゲノムを修飾する手法(染色体外DNAを含む)からは明確に区別される。ゲノム修飾手法において使用される微生物の例として、ウイルス、細菌、菌類及び原生生物が挙げられる。本明細書中で記載される本発明の実施形態において、ワクチンを含む組成物は、合成済み抗原又はin vivoで抗原を発現するAPCを生じることができる核酸を含むことができる。別の実施形態において、これら2つの技術の組合せが使用される。例えば、一実施形態では、上記で論じられたような、カプシド又はエンベロープタンパク質中に標的エピトープも組込むウイルスベクターの使用が意図される。
抗原は、単独で使用してもよく、他の抗原又はサイトカインのような他の化合物と組み
合わせて送達してもよい。サイトカインは、CTL応答の免疫刺激を増強することが知られており、例えばGM−CSF、IL−12、IL−2、TNF、IFN、IL−18、IL−3、IL−4、IL−8、IL−9、IL−13、IL−10、IL−14、IL−15、G−SCF、IFNアルファ、IFNベータ、IFNガンマ、TGFアルファ及びTGFベータ等を含む。サイトカインは当業者に既知であり、文献的に又は商業的に入手可能である。多くの動物及びヒトの腫瘍は、免疫応答の強力な調節因子で且つ免疫介在性の破壊から腫瘍を防御するサイトカイン(IL−4、IL−10、TGF−B等)を生成することが示されている。腫瘍によるIL−4、IL−10又はTGF−Bの生成は、CTL応答の確立を含む細胞性免疫の誘導を抑制することにより、この防御効果を達成しているかもしれない。あるいは、CTL応答を助けるサイトカインは、抗腫瘍細胞介在性応答と非腫瘍破壊性の体液性応答との間の調和を助けるため、外来的に添加することができる。いくつかのこのような外来性サイトカインは、CTL応答(GM−CSF、IFN及びIF−2を含む)が強いことが知られている実験的マウスワクチン接種モデルにおいて、有用性を示した。使用され得る効果的な外来性サイトカインの例は、GM−CSFである。GM−CSFは、抗原提示細胞(APC)上のB7−1又はB7−2のようないわゆる「共刺激」分子の発現を増強することが報告されている。これらの共刺激分子は、APCによるCTLの刺激中に起こるさまざまな相互作用において、重要な役割を演じる。また、GM−CSFはAPCの活性化を誘導すること、及びAPCの成長及び分化を促進することが知られており、重要なCTL刺激細胞であるこれらAPCの、数及び潜在能力の両方を増大する。
抗原の送達
いかなる特定の仮説によっても縛られたくはないが、T細胞は長命の機能的な記憶を有さないと考えられている。一方、抗体介在性B細胞記憶は、長命のエフェクター記憶を有するように思われる。したがって、標的細胞を攻撃するように患者の免疫系が適切に刺激される状態を保持するためには、CTL応答を誘導する抗原を長期にわたって送達することが最も好ましい。一手法において、「CTL応答を誘導する方法」と題される米国出願第09/776,232号(公開番号20020007173 A1)(参照により本明細書中に明確に援用される)に開示されているように、エフェクターCTLの機能を維持するために、抗原は事実上、リンパ系中に継続的に維持される。別の手法では、「MHCクラス1拘束性免疫応答の規模及び質を制御する方法」と題される米国仮出願第60/479,393号、及び本願と同じ日付で出願された「予防又は治療の目的で、MHCクラス1拘束性エピトープに対する免疫応答を誘発、増強及び維持する方法」と題される米国出願 / , (代理人整理番号、番号MANNK. 034A)(公開番号 )に記載されているように、T細胞記憶は繰り返し誘導され、再増幅且つ再活性化される。抗体及びアジュバントは、生分解性ミクロスフェア又はリポソームとして調製され得ることが示唆される一方、これらの製剤のどれもが、これまでは、癌細胞又は病原体を長期間にわたって攻撃するに有用なCTL応答を提供しなかった。好ましくは、抗原の送達は、所望の期間を通じて、所望の応答を得るための抗原レベルを維持するに十分なレベルに維持される。一実施形態においては、液体の抗原組成物を入れた容器(reservoir)を、該抗原を動物のリンパ系に到達するように送達するために用いることができる。以下の考察のほとんどは、抗原を送達するための注入(infusion)の使用に焦点を当てているが、リンパ系へ直接的にボーラス注射を用いることも可能である(その回数及び頻度は、使用する抗原の特定の型及び配合により授与される抗原の持続性に依存するだろう)。
最終的には、抗原は、CTLを最も効果的に刺激するために、リンパ系への道を見つける。抗原の送達は、体のさまざまな区画への注入を包含し得る(皮下、静脈内、腹腔内及びリンパ管内が含まれ、後者が好ましいが、これらに限定されない)。これらの箇所への注入はそれぞれ、リンパ系への抗原取り込みにつながるが、有益なCTL応答を誘導するのに必要な抗原の相対量は注入部位に応じて変化する。一般的に、リンパ系への抗原の直
接的注入は、CTL応答を誘導する最も効果的な手段であると見なされるが、いかなる送達経路を使用してもよい。ポンプシステムは、体の全区画への送達を介して、実質的な量の抗原を、CTL応答を誘導するのに好適な範囲で送達することが可能である。さまざまな経路を介した抗原の送達に続くCTL刺激は、種々の抗原の特性に応じて変化するであろう(体液中での抗原の安定性、体液中での抗原の溶解性、HLAへの結合親和力及びCTL刺激物質としての能力などの、体内での抗原の挙動やリンパ液との平衡に達する速度(すなわちリンパ液中での寿命)に影響する因子を含む)。
好ましい実施形態において、抗原の導入は、体内での代謝による抗原の崩壊を回避するため、可能な限りリンパ系へ直接的に行われる。液体抗原を皮下に導入する場合、十分な抗原を確実にリンパ系へ到達させるために、より大量の抗原が必要である。このような皮下注入は本明細書中に開示される発明により意図されるが、コスト、抗原の安定性、どれくらいの速さで抗原がリンパ系へ到達するか、これがどの程度リンパ液により平衡化されるか、及び主治医又は担当の専門家が認識すると思われる他の因子等に依存するものである。皮下送達は、通常、リンパ系への直接送達よりも100〜1,000倍多い抗原を必要とし得る。したがって、抗原組成物は、局所投与用装置を通じてリンパ系(例えば脾臓、リンパ節又はリンパ管)に導入されることが好ましい。局所投与用装置は、患者の体外に設置されるか、患者の体内に移植され得る。どちらの場合においても、液体抗原を含有する組成物を入れた容器、上記組成物を輸送するポンプ、及び患者の体の好ましい投与領域に直接的に向けられた、上記容器に通じる伝送路を有し得る。どちらの場合においても、携帯可能であることが好ましい。
患者の体外に設置された装置(外部装置)としては、糖尿病患者にインスリンを送達するのに用いられる数々の装置があり、これらは本明細書中に記載の実施形態による抗原を送達するのに有用である。一般的に、これらの装置は、抗原組成物(インスリンの代わり)を保持する容器、容器から上記組成物を送り出すプログラム制御可能なポンプ、伝達路あるいは上記組成物を伝達するライン(line)、及び上記組成物を動物の体内に導入し、最終的にリンパ系に到達させる手段を有し得る。
好ましくは、抗原組成物のための容器は、長期にわたって所望量の抗原を送達するに十分な大きさを有するべきであって、かつリンパ系へ抗原組成物を導入する手段を使用者が再度挿入することなく、容易に詰め替え可能又は入れ替え可能であるべきである。
本明細書中に開示される発明の実施形態の抗原組成物の調製において、組成物(好ましくは水性)は、リンパ系と適合性であり、且つ治療される動物に対して生理学的に許容可能であるように調製され得る。これに関連して、例えば抗原の物理化学的特性(等電点、分子量、グリコシル化又は他の翻訳後修飾及び全アミノ酸組成等)を考慮することになる。これらの特性と、種々の溶液(例えば、種々の緩衝液、補因子等)中での該薬剤のあらゆる既知の挙動、並びにそのin vivoでの挙動とをあわせて、処方成分の選択の手助けとすることができる。全ての主要な分解経路に影響を与える一つのパラメータは、溶液のpHである。したがって、初期の処方(initial formulations)では、分解反応のpH依存性及び分解のメカニズム(これらは各溶液中でのタンパク質の安定性を決定するために、pH依存性からしばしば決定できる)も評価する。迅速なスクリーニング方法としては、通常、当該分野で既知の技術を用いた、高温条件(例えば40℃)での、安定性に関する加速試験の利用が挙げられる。
一般に、本明細書中に記載される実施形態において有用である抗原組成物は、極少量での非経口注射に好適であり得る。このような組成物としては、汚染物を含まず、且つリンパ系のpHに適合性であるべきである。しかし、上記抗原組成物は非常に少量が送達されることになるため、血液又はリンパ液と同じpHである必要はなく、且つ水性(aqueous-
based)である必要もない。適合性である好ましいpH範囲は、約6.7〜7.3であり、USP規格を満たすため、注射用水を用いて調製することができる(Remington:「薬学の科学及び実践」19版;86〜88章(The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Edition; Chapters 86-88)参照)。溶解しにくい抗原に対しては、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はPLURONICブランドの界面活性剤等の、適当な補助溶剤又は界面活性剤を使用してもよい。一般的に、生理学的に許容可能な弱酸及びその共役塩基(base conjugate)で緩衝された標準生理食塩溶液(例えば、リン酸塩又はクエン酸緩衝系)が、抗原組成物の基材となるであろう。いくつかの場合において、少量の抗酸化剤が、組成物を安定化し、且つ酸化を防止するのに有用であり得る。抗原組成物の調製において考慮すべき因子は、Jeffery L. Cleland及びRovert Langer(編集者)による「タンパク質及びペプチドの処方及び送達("Formulation and Delivery of Proteins and Peptides"」(Acs Symposium Series, No. 567)と題される米国化学会の本(1994年
)に見出され得る。
ポリペプチドで問題となるさまざまな物理化学的特性は存在しないが、核酸にコードされた抗原に関しても同様に考えて、許容可能な処方をほぼ普遍的に適用可能にすることができる。実施例6から実施例10に示すように、標準的なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のプラスミドDNAは、許容可能且つ効果的な配合物である。本発明のいくつかの実施形態において、DNAは、患者の体に装着又は移植された容器から、連続的に又は短い間隔で断続的に投与される。DNAは、溶解した安定的な形態に、体温で又は体温近くで、最低でも数日間にわたって維持されることが好ましい。配合された核酸が数日の期間又はそれ以上にわたって容器から送達されるような用途において、その期間における室温又は体温での核酸の安定性は、その滅菌性の持続と同様に重要である。静菌剤(例えばベンジル又はエチルアルコール)及びキレート剤(例えばEDTA)の添加は、これらの目的に対して有用である。約0.5〜2%のエチルアルコール、0.25〜0.5mMEDTAを含有する配合物は、通常うまく機能する。このような配合物はボーラス注射にも適切である。
一般的に、抗原組成物中の抗原の量は、患者ごと及び抗原ごとに異なることになるが、これは抗原が応答を誘導する活性及び患者の系をリンパ液が流れる速度等の因子に依存する。一般に、抗原組成物は、約1〜約500μl/時、又は約24〜1,2000μl/日の速度で送達されればよい。抗原の濃度は、約0.1μg〜約10,000μgの抗原が24時間中に送達される濃度である。流速は、1分間に約100〜約1,000μlのリンパ液が成人の鼠径リンパ節を流れるという知見に基づいている。目的は、ワクチン配合物のリンパ系における局所濃度を最大化することである。患者に関する一定量の実験的調査が、特定のワクチン製剤に対する、ヒトにおける最も有効な注入レベルを決定するのに必要であろう。
患者のリンパ系内に抗原組成物を導入するために、組成物はリンパ管、リンパ節、脾臓又はリンパ系の他の適切な部分に向けられることが好ましい。好ましくは、組成物は、鼠径部又は腋下の節等のリンパ節に向けられるが、これはカテーテル又は針をリンパ節に挿入し、カテーテル又は針を送達の間維持することによって行われる。好適な針又はカテーテルは、金属又はプラスチック(例えばポリウレタン、ポリ塩化ビニル[PVC]、テフロン(登録商標)、ポリエチレン等)から作製することが可能である。カテーテル又は針を鼠径節に挿入する際に、例えば、鼠径節は、Vialon(商標)Insyte−W(商標)カニューレ及びTegaderm(商標)透明包帯(transparent dressing)(Tegaderm(商標)1624、3M、St. Paul, MN 55144, USA)で固定された24G3/4(Beckton Dickinson, USA)のカテーテルを用いて、超音波診断装置の制御下で穿刺される。この手順は、通常熟練した放射線医により行われる。鼠径リンパ節内のカテーテルチップの位置は、最低容量の生理食塩水の注射(これにより、直ちに且つ可視的に、
リンパ節の大きさが増す)により確認される。後者の手順により、チップが節内にあることを確認できる。この手順は、チップがリンパ節から滑り出ないことを保証するのに実行することができ、且つカテーテルの移植後さまざまな日に繰り返すことができる。チップがリンパ節内の位置から滑り出てしまった場合、新たなカテーテルを移植することができる。
処方及び治療プロトコル
TuAAとDNAワクチンとの組合せを利用するいくつかのアプローチがある。第一のアプローチは、単一のDNA発現ベクター中に、所定の組成物中の全ての抗原又は全ての抗原由来のエピトープを含めることである。このアプローチは、製造及び患者への投与に関する簡便性という利点を有する。しかし、場合によっては、エピトープの競合がこのアプローチの有用性を限定し得る。すなわち、複数のエピトープが該組成物中の全てのTuAAを提示しているワクチンを患者に与えたとき、最も免疫原性が強いエピトープのみが免疫応答を誘発する可能性がある。また、全てのエピトープが高い有効性で発現するDNAワクチンを設計且つ構築することは、より難しい。それにもかかわらず、各種類の癌において患者を治療する手順が簡便且つ均一であるため、そのコストは以下に記載される他のアプローチよりも低くなる見込みがある。
別のアプローチは、1つの抗原のみ、又は1つの抗原のエピトープのみをDNA発現ベクター中に含むものである。このアプローチは、DNAベクターを設計且つ構築することにおける簡便性、柔軟性、及び患者へのカスタマイズされた投与といった利点を有する。多数の単一のTuAAワクチンが入手できれば、各患者個人のTuAA発現プロファイルを基に、彼又は彼女の腫瘍に対する治療をカスタマイズできる。例えば、所定の種類の癌を治療する標準的な組合せがTuAA−A、B及びC(ここでA、B及びCは外なる腫瘍関連抗原を意味する)であって、患者の腫瘍はTuAA−A、C及びZ(Bではない)を発現している場合、A、C及びZのそれぞれに対する別個のワクチンで患者を治療することができる。抗原の重複性が各患者に対して達成され得るため、この柔軟性及びカスタマイズの可能性(customizability)は、免疫療法の成功率を改善するであろうと期待される。しかし、患者を治療する手順は、より複雑であってもよい。例えば、このアプローチを用いた送達は、逐次的投与スキーム(1度に1抗原)、又は患者の複数の解剖学上別個の部位への、ほぼ同時の注射を含んでもよい。
さらに別のアプローチは、DNA発現ベクター(いくつかの組合せに関して、2以上のベクターを使用してもよい)中に、類似した免疫原性を有する複数のTuAA由来のエピトープを組み合わせて含めることである。このアプローチは、上記した2つのアプローチのいくつかの利点を有し得るが、前述の2つの不利点も被り得る。
特定の腫瘍の抗原発現のプロファイルは、どの抗原あるいは抗原の組合せを用いるかを決定するために用いることができる。例示的な方法論は、本願と同日付で出願された、「さまざまな種類の癌の診断における腫瘍関連抗原の組合せ」と題される米国出願 / ,
(代理人整理番号:MANNK. 035PR2)に見出される。
このような免疫化の方法により利益を受け得る患者は、彼等のMHCタンパク質発現プロファイル及び免疫応答性の全般的なレベルを決定する方法を用いて募ることができる。さらに、彼等の免疫化のレベルは、末梢血の利用を伴った標準的技術を用いてモニターすることができる。最終的に、治療プロトコルは、誘導又は増幅相への応答性及び抗原発現の変動に基づいて調整することができる。例えば、決められた回数の同調用量を投与した後に増幅用量を投与するのではなく、検出可能な応答が得られるまで同調用量を繰り返して投与し、次いで、増幅用量のペプチドを投与する(複数回可)ことができる。同様に、増幅用量又は維持用量のペプチドの有効性が衰退し、抗原特異的制御性T細胞数が増加し
、又はいくつかの他の寛容化の証拠が観察されたら、予定されていた(scheduled)それらペプチドの投与は中断することができ、且つ該ペプチドによる増幅を再開する前にさらに同調用量を投与することができる。免疫応答性を評価且つモニターする診断技術と免疫化の方法との統合は、本出願と同じ日付で出願された、「診断と治療方法との統合による、能動的免疫療法の改善された効果」と題される米国仮出願 / , (代理人整理番号、No. MANNK. 040PR)に、より完全に記載されている。
本発明の多くのバリエーション及び代替的要素が開示されてきた。さらなるバリエーション及び代替的要素は、当業者には明白であろう。本発明のさまざまな実施形態は、これらのバリエーション又は要素のいずれかを明確に含むか、あるいは除外し得る。
以下の実施例は、例示的な目的のみを意図したものであって、本実施形態の範囲を限定することを決して意図しない。
TuAAの解析及び組合せの選択
TuAAの存在を、リアルタイムPCR(RT−PCR)により測定した。要約すると、全RNAを標準的な方法によって腫瘍検体から単離し、cDNAを標準的な逆転写手順を用いて調製した。相補的DNA(cDNA)を、cDNAのみとアニールするがゲノムDNAとはアニールしない、特異的に設計された遺伝子特異的プライマーを用いて増幅した。12個の卵巣腫瘍検体及び7個の結腸直腸腫瘍検体のTuAA発現パターンを、RT−PCRにより解析した。以下の表4に結果をまとめた。
Figure 0005283335
<実施例1>
卵巣癌
卵巣癌の場合、解析したすべてのサンプルはPRAMEに対して陽性であった。したがって、該組合せへのPRAMEの包含は、卵巣癌の症例におけるカバー率を改善する。
抗原の重複性を達成するため、及び大集団のカバー率を改善するため、他の抗原の組合せが、PRAMEに加えて考慮された。SSX−2並びにPSMAは、それぞれ、12の症例のうち6の症例に存在したが、SSX−2とPSMAとの組合せについては12の症例のうち9の症例のカバー率であった。NY−ESO−1及びSSX−2はそれぞれ12の症例のうち5及び6の症例にしか存在しないにもかかわらず、NY−ESO−1又はSSX−2のどちらかであれば、12の症例のうち7の症例で検出された。
したがって、PRAME、SSX−2及びPSMA、又はPRAME、NY−ESO−1及びSSX−2の組合せは、PRAME及びPSMAの組合せ又はPRAME及びSSX−2の組合せと比較して、好ましいカバー率及び重複性を示した。解析した卵巣腫瘍サンプルの大部分は、本願組成物中の4つのTuAAのうち少なくとも2つを有していたため、PRAME、SSX−2及びPSMAの組合せは、優れたカバー率及び良好な抗原の重複性をもたらした。PRAME、SSX−2、PSMA及びNY−ESO−1の組合せは、より好ましい抗原の重複性をもたらしたため、腫瘍の逃避の可能性が低くなった。
<実施例2>
結腸直腸癌
結腸直腸癌の場合、PRAME及びPSMAはそれぞれ、解析された7サンプルのうち5サンプルで検出された。7症例のうち6症例で、PRAME又はPSMAのいずれかが検出された。SSX−2は7症例のうち2症例でしか検出されなかったが、SSX−2−PRAME及びSSX−2−PSMAの組合せの両方で、カバー率が7症例のうち6症例に増加した。同様に、NY−ESO−1は7症例のうち1症例のみで検出されたが、NY−ESO−1−PRAMEの組合せ、並びにNY−ESO−1−PSMAの組合せでは、カバー率が7症例のうち6症例に増加した。PRAME及びPSMAの組合せに、SSX−2又はNY−ESO−1を加えると、カバー率が、7症例のうち7症例へと改善した。したがって、PRAME、PSMA及びNY−ESO−1の組合せ、又はPRAME、PSMA及びSSX−2の組合せは、患者の大部分に対して良好なカバー率及び抗原の重複性をもたらした。PRAME、PSMA、NY−ESO−1及びSSX−2の組合せはさらなる重複性をもたらした。
<実施例3>
膵臓癌
膵臓癌検体において、NY−ESO−1及びSSX−2の存在はそれぞれ、検体の40%及び20%で検出された。PSMA、及びHER2/neuの過剰発現がそれぞれ、膵臓腫瘍の100%及び21%に存在すると報告された(Chang SS他、Cancer Res 1999, 59: 3192;Safran H他、Am J Clin Oncol. 2001, 24: 496)。HER2/neuの過剰発現は、癌組織を好ましい標的たらしめ、免疫療法に対するいくらかの特異性を提供するが、正常組織でのHER2/neuの低レベルの発現が懸念される。したがって、NY−ESO−1、SSX−2及びPSMAの組合せは、膵臓癌の治療にふさわしい優れたカバー率及びいくらかの重複性をもたらす。
<実施例4>
非小細胞肺癌
非小細胞肺癌に関しては、NY−ESO−1、SSX−2、MAGE−3、BAGEの存在、Her2/neuの過剰発現、及びPSMAの存在は、それぞれ、21、15、60、6、16及び100%であったと報告されている(Scanlan MJ他、Cancer lett 2000, 150: 155;Chang SS他、Cancer Res 1999, 59: 3192;Selvaggi G他、Cancer 2002, 94: 2669)。したがって、NY−ESO−1、SSX−2、MAGE−3及びPSMAは、非小細胞肺癌の免疫療法にふさわしいカバー率及び抗原の重複性をもたらす。
<実施例5>
腎細胞癌
腎細胞癌に関しては、SSX−2、PSMA及びPRAMEがそれぞれ、5、100及び40%の頻度で検出された(Sahin, U他、Clin Cancer Res. 2000, 6: 3916;Chang SS他、Urology 2001, 57: 801;Neumann E他、Cancer Res. 1998, 58: 4090)。したがって、PSMA及びPRAMEの組合せは、腎細胞癌に対して優れたカバー率及び重複性を提供する。PSMA及びPRAMEの組合せにSSX−2を加えると、重複性が改善される。
<実施例6>
メラノーマ
メラノーマに関しては、Melan−A、チロシナーゼ、NYESO−1及びSSX−2がそれぞれ、腫瘍検体の92、92、41及び35%に存在すると報告された(Fetsch
PA他、Cancer 1999, 87: 37;Fetsch PA他、Cancer 2000, 90: 252;Schultz-Thater E
他、Br J Cancer 2000, 83:204;Sahin, U他、Clin Cancer Res. 2000, 6: 3916)。したがって、Melan−A、チロシナーゼ、NYESO−1及びSSX−2の組合せは、メラノーマの免疫療法にふさわしい優れたカバー率及び抗原の重複性をもたらす。有意な重複性が、チロシナーゼ及びMelan−Aを共に使用すること、又はNYESO−1及びSSX−2とチロシナーゼ又はMelan−Aのいずれかを組み合わせることにより達成される。
<実施例7>
2つの抗原からのエピトープ発現プラスミドを用いた免疫化のスケジュール
2群のHHDマウス(n=4)を、図1に示されるように、Melan−A26-35A27L(ELA)発現pSEM及びSSX−241-49発現pCBPを混合物として、又はpSEMを左の鼠径リンパ節に、かつpCBPを右の鼠径リンパ節に2回(0日目及び4日目)、リンパ節内注射により免疫化した。プラスミド量は25μg/プラスミド/1回量であった。2週間後、動物を屠殺し、ペプチドとともに電気パルスをかけた、あるいはパルスをかけないT2細胞に対する細胞傷害性を計測した。
<実施例8>
相異なる(distinct)抗原を担持する異なるベクターの同時投与
実施例7に記載されたように免疫化した動物を屠殺し、各群からの腎細胞をプールし、2つのペプチド(ELA又はSSX−241-19)で並行して刺激した。細胞傷害性を、Cr51で標識された、ペプチドを負荷したT2標的細胞とインキュベートすることにより計測した。図2のデータは、さまざまな標的細胞に対する特異的細胞傷害性の平均(n=4/群)を示す。
上記の結果から、プラスミド混合物の使用は、pCBPプラスミドにより誘発された応答を妨げることが示されるが、2つのプラスミドの投与部位を隔離すると、pCBPの活性が回復する。したがって、異なる抗原を担持する異なるベクターの同時投与は、免疫原性に関する序列を確立し得る。ベクターの隔離により、非優性成分の免疫原性を取り戻すことができ、多面的な(multivalent)応答を生じさせることができる。
<実施例9>
ペプチドによる追加免疫工程の付加による多面的応答の回復
4群のHHDマウス(n=6)を、図3に示されるように、pSEM及びpCBPを混合物として、又はpSEMを左の鼠径リンパ節に、かつpCBPを右の鼠径リンパ節に2回(0日目及び4日目)、リンパ節内注射により免疫化した。対照として、pSEM又はpCBPPプラスミドのいずれかでマウスを免疫化した。プラスミド量は25μg/プラスミド/1回量であった。2週間後、プラスミドでの免疫化用量及び組合せに基づき(mirroring)、該動物をMelan−A及び/又はSSX−2ペプチドで追加免疫した。2週間後、該動物を、CFSEで染色し、且つMelan−A又はSSX−2ペプチドを負荷した又は負荷しないT2細胞脾臓細胞でチャレンジし、in vivoでの細胞傷害性を評価した。
<実施例10>
ペプチドによる増幅は、非優性エピトープの免疫原性を回復させる
実施例9に記載されたようにマウスを免疫し、ELA又はSSX−2ペプチドでコートしたHHD同腹子脾臓細胞でチャレンジした。同時に2つの抗原標的の特異的な溶解を評価することが可能な3ピークCFSE in vivo細胞傷害性検定を採用した。同数の対照CFSElo、SSX−241-49−CFSEmed、及びELA−CFSEhi細胞を、免疫化マウスに静脈内注入し、18時間後にマウスを屠殺し、脾臓における標的細胞の消失を、フローサイトメトリーを用いて、CFSE蛍光により計測した(図4)。図4は、個
々のマウスからのSSX−2及びMelan−A抗原標的の特異的な溶解割合、並びに各群に対する平均及びSEMを示す。
結果から、プラスミドを含む2つのワクチンの混合物に続けてペプチドで動物を免疫すると、両方の抗原に対する免疫を生じ、最も高い免疫応答を起こすことが示され、脾臓におけるSSX−2特異的溶解の割合は平均で30+/−11、及びMelan−A特異的溶解の割合は平均で97+/−1であることが示された。
<実施例11>
同調−及び−増幅免疫化に関する実際の臨床
図2及び図4のデータは、図5に示されるように、臨床における強い多面的応答を達成する2つのシナリオを示唆する。第一のシナリオ(A)では、追加免疫のためのペプチドの使用により、プラスミド及びペプチドが混合物として使用された場合であっても、多面的免疫応答が回復する。第二のシナリオ(B)では、各プラスミド及びペプチド成分の隔離により、多面的免疫応答の誘導が可能になる。
<実施例12>
抗原配列
以下は、表1に記載された抗原の配列である。
Figure 0005283335
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Figure 0005283335
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2つのプラスミド(SSX2 41−49を発現するpCBP及びMelanAを発現するpSEM)を用いた免疫化のスケジュールを示す図である。 図1のプロトコルを用いて得られたCTL活性を示す棒グラフである。 2つのエピトープを提示しているプラスミド及びペプチドを用いた同調−及び−増幅免疫化プロトコルの、免疫化のスケジュールを示す図である。 図3のプロトコルに従って免疫化したマウスにおける、エピトープをパルス導入した細胞のin vivoでの除去を示す表である。 多面的応答を誘導する好ましい免疫化プロトコルを示す図である。 多面的応答を誘導する好ましい免疫化プロトコルを示す図である。

Claims (13)

  1. 腎細胞癌を治療するための薬剤であって、
    第一の抗原及び第二の抗原を少なくとも含み、前記第一の及び第二の抗原は個々に又は組合せて含まれ、各々の抗原は1)全抗原、2)抗原由来のエピトープクラスタ、3)抗原由来のエピトープ、又は4)1)〜3)のいずれかをコードする核酸であり、
    前記第一の抗原はPRAMEであり、前記第二の抗原はSSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される抗である、薬剤。
  2. 前記請求項1に記載の薬剤であって、少なくとも、該薬剤が第一及び第二の抗原を含む、1回の処方用である、薬剤。
  3. 前記薬剤各々が、前記第一及び第二の抗原の一方を含む、少なくとも2回の別個の処方用である、請求項1に記載の薬剤。
  4. 腎細胞癌を治療するための免疫原性の薬剤であって、
    第一の抗原及び第二の抗原を少なくとも含み、前記第一の及び第二の抗原は個々に又は組合せて含まれ、各々の抗原は1)全抗原、2)抗原由来のエピトープクラスタ、3)抗原由来のエピトープ、又は4)1)〜3)のいずれかをコードする核酸であり、
    前記第一の抗原はPRAMEであり、前記第二の抗原は、SSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される抗であり、前記薬剤はリンパ節内投与により投与されることを特徴とする、薬剤。
  5. 前記第二の抗原が腫瘍関連抗原を含む、請求項4に記載の薬剤。
  6. 腎細胞癌を治療するための免疫原性の薬剤であって、PRAMEと、SSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗原を含む、少なくとも第一の抗原及び第二の抗原に対するT細胞応答が誘導される薬剤を含み、
    各々の抗原は1)全抗原、2)抗原由来のエピトープクラスタ、3)抗原由来のエピトープ、又は4)1)〜3)のいずれかをコードする核酸である、免疫原性の薬剤。
  7. 腎細胞癌を治療するための免疫原性の薬剤であって、
    PRAMEと、SSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される腎細胞癌に関連する少なくとも1つの他の抗原を含む、少なくとも第一の抗原及び第二の抗原に対するT細胞応答が誘導される成分を含み、
    前記薬剤はさらに生理学的に許容される緩衝液を含む、薬剤。
  8. 腎細胞癌を治療するための免疫原性の薬剤であって、
    前記薬剤が、PRAMESSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される腎細胞癌関連する少なくとも1つの他の抗原を含む、少なくとも第一の抗原及び第二の抗原に対するT細胞応答を誘導する、薬剤。
  9. 腎細胞癌を治療するための免疫原性の薬剤であって、少なくとも第一の抗原及び第二の抗原を含み、
    前記第一の抗原及び第二の抗原は個々に又は組合せて含まれ、各々の抗原は1)全抗原、2)抗原由来のエピトープクラスタ、3)抗原由来のエピトープ、又は4)1)〜3)のいずれかをコードする核酸であり、
    前記薬剤はPRAME並びにSSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される少なくとも1つの他の抗原を含み、
    前記薬剤はリンパ内投与で処方されることを特徴とする、免疫薬剤。
  10. 腎細胞癌を治療するための免疫原性の薬剤であって、PRAMEと、SSX−2、NY−ESO−1、及びPSMAからなる群から選択される腎細胞癌に関連する少なくとも1つの他の抗原を含む、少なくとも第一の抗原及び第二の抗原に対するT細胞応答を誘導する成分を含み、前記T細胞応答が腫瘍の血管新生に応答することを含む、生理学的に許容される緩衝液を含む、免疫原性の薬剤。
  11. 前記第一の抗原がPRAMEであり、第二の抗原がPSMAである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤。
  12. SSX−2をさらに含む、請求項11に記載の薬剤。
  13. 前記第一の抗原がPRAMEであり、前記第二の抗原がSSX−2である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤。
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