JP5282510B2 - マイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプの製造方法 - Google Patents
マイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプの製造方法 Download PDFInfo
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このため、本発明によれば均質なパターン印刷を実施することが可能なμCP用スタンプを製造することができる。
このような例において、本発明のμCP用スタンプの製造方法は、上記接着工程において上記PDMS膜1と上記基板2とを接触させる速度が5μm/s以下であることを特徴とするものである。
このため、本発明によればPDMS膜に形成されるパターンが欠損してしまったり、本発明によって製造されるμCP用スタンプを用いてパターン印刷を行う際に、気泡が存在する部位とそうでない部位とにおいて圧力分布が生じ、スタンプのパターン通りに均一に印刷することが困難になったり、さらにはスタンプにインキを付与する際(インキング)に、スタンプに付与されるインク量が気泡が存在する部位とそうでない部位とで差が生じ、結果として均一なパターン印刷が困難になってしまうことを防止できる。
このようなことから本発明によれば、均質なパターン印刷を実施することが可能なμCP用スタンプを製造することができる。
すなわち、固体である基板に液体であるPDMSが接触し、気泡が発生して外に気泡が逃げるスピードより、濡れ広がるスピードつまり接触させるスピードを十分に遅くすることによりPDMSに混在する気泡を完全に除去できたものであると考えられる。逆に、濡れ広がるスピードつまり接触スピードが早すぎると気泡が外に逃げる前に次のPDMSが広がってしまい、結果として気泡を取り込んだ状態になると考えられる。
以下、本発明のμCP用スタンプの製造方法に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本発明に用いられる接着工程について説明する。本工程は、後述する塗布工程においてマスター版上に形成されたPDMS膜上に、基板を接着させる接着工程である。そして、本工程は上記PDMS膜と上記基板とを接触させる接触速度が5μm/s以下であることを特徴とするものである。本発明のμCP用スタンプの製造方法は、本工程における接触速度がこのような範囲内であることにより、基板とPDMS膜との間に気泡が混入することをほぼ完全に防止することができ、その結果、本発明によって均質なパターン印刷をすることが可能なμCP用スタンプを製造することができるのである。
接触速度がこのような範囲内であることにより、本工程において、上記PDMS膜と上記基板との間に気泡が混入する可能性をさらに低減することできるからである。
なお、一般的には上記基板の表面と、上記PDMS膜の表面とが平行な状態を維持したまま接触させると、基板とPDMS版との間に気泡が混入する確率が著しく高くなるが、本発明においては、本工程における上記接触速度を上述した範囲内にすることにより、このような方法で接触させる場合であっても気泡が混入することをほぼ完全に防止することができる。
なお、上述したように、上記基板として平板状のものが用いられると、基板とPDMS版との間に気泡が混入する確率が高くなるが、本発明においては、本工程における上記接触速度を上述した範囲内にすることにより、このような基板を用いる場合であっても気泡が混入することをほぼ完全に防止することができる。
次に、本発明に用いられる塗布工程について説明する。本工程は、表面に微細凹凸パターンが形成されたマスター版を用い、当該マスター版上に、PDMS膜を塗布する工程である。
次に、本発明に用いられる剥離工程について説明する。本工程は、上記マスター版から上記PDMS膜および基板を剥離する工程である。本工程においてPDMS膜および上記基板を上記マスター版から剥離する方法としては、パターンを欠損することのないように剥離することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、上記PDMS膜を上記マスター版から物理的に引き離す方法が用いられる。
本発明のμCP用スタンプの製造方法には、少なくとも上記塗布工程、接着工程、および剥離工程が用いられるものであるが、本発明においてはこれら以外の他の任意の工程が用いられてもよい。本発明に用いられる任意の工程としては、特に限定されるものはなく、本発明によって製造されるμCP用スタンプに所望の機能を付与できる工程等を適宜選択して用いることができる。このような任意の工程としては、たとえば、気泡混入を低減させるためのPDMS膜塗布後のマスター版減圧工程等を挙げることができる。
本発明によって製造されるμCP用スタンプは、基板上に表面に凹凸形状が形成されたPDMS膜が形成された構成を有するものとなる。このようなμCP用スタンプは、マイクロコンタクトプリンティング(μCP)に用いられるものであるが、本発明においては、気泡混入の問題なく製造することができるため、ナノオーダーのパターンであっても高精度で印刷することができるものである。したがって、本発明によって製造されるμCP用スタンプは、たとえば、有機トランジスタが用いられた有機半導体素子の各種電極を形成する工程に用いることができる。
大きさ300mm×400mm、厚さ0.7mmのガラスにフォトレジストSU−8(マイクロケム社製)を回転数1000rpm、保持時間60秒でspinコートした。この時の膜厚は約3μmであった。その後、ホットプレート上にて65℃、30秒プリベイクを行った。次に最小のL&S5μmを有する石英フォトマスク(大きさ450mm×550mm)で露光(20mJ/cm2)を行った。次に、露光した基板をホットプレート上にて65℃、30秒乾燥させた。次いで専用現像液(主成分PGMEA溶媒)で3分現像を行い、未露光部分のレジストを除去した。最後に150℃、30分クリーンオーブンで本硬化させた。完成したマスター版を光学顕微鏡で観察したところ版深3μmであり、最小L&S5μm、最大L&S500μmの凹凸パターンが形成されていた。また、マスター版にはPDMSの離型性を上げるために離型剤(デュラサーフ、ハーベス社製)を回転数1000rpm、保持時間30秒でspinコートした。
上記マスター版に主剤90g:硬化剤9gを混合したPDMS(KE−106信越化学社製)をディスペンサー(サンエイテック社製)にて約2mm厚になるように全面に均一塗布した。その後、パターン内の気泡を除去するために減圧乾燥機に入れ0.1torrまで減圧し5分保持した。
上記PDMS付きマスター版と支持基材(大きさ300mm×400mm、厚さ0.7mm)の接着工程は東芝機械製ST−50(微細転写装置)を用いて行った。東芝機械製ST−50は上部ヘッドと下部ヘッドの接触スピードを最小1μm/sまで制御することが可能である。
上部吸着と下部吸着を解除し、基板とマスター版を装置内から取り出しマスター版からPDMS膜付き基板を手で剥離することにより、μCP用スタンプを作製した。剥離したPDMS膜の表面を光学顕微鏡で観察したところマスター版の反転パターンが観察され、高さ3μm、最小L&S5μm、最大L&S500μmの凹凸パターンが形成されていることが確認された。また、接触スピード1μm/sで作製したPDMS膜は気泡が完全に無い状態で作製できていることが確認された。
上記PDMS膜付マスター版と上部基板の接触スピードを1μm/sで接触させること以外の作製プロセスは同様にして行い、接触スピードを5μm/s、10μm/s、50μm/sと3種類変化させ、μCP用スタンプを作製し気泡の混入程度を評価した。
一方、10μm/sで作製したμCP用スタンプに関しては基板中央部分の気泡は無い状態であったが、基板端面になるに従い微細な気泡が多数存在していることが確認された。
さらに、50μm/sで作製したμCP用スタンプに関しては基板中央部にクレーター形状の窪みが存在し、その窪みから基板端面方向にも大小様々な大きさの気泡が存在していることが確認された。この様に接触スピードを5um/s以下にすることで気泡の無いμCP用スタンプを作製することが可能であった。
2 … 基板
10 … マイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプ
20 … マスター版
100 … マイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプ
101 … PDMS膜
102 … 基板
200 … マスター版
X … 気泡
Claims (3)
- 表面に微細凹凸パターンが形成されたマスター版を用い、当該マスター版上に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を塗布する塗布工程と、平板状の基板を用い、前記塗布された平滑な表面を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)膜上に前記基板を接着させる接着工程と、前記マスター版から前記ポリジメチルシロキサン(PDMS)膜および基板を剥離する剥離工程と、を有するマイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプの製造方法であって、
前記接着工程において、前記ポリジメチルシロキサン(PDMS)膜と前記基板とを接触させる接触速度が5μm/s以下であることを特徴とする、マイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプの製造方法。 - 前記接触速度が0.01μm/s〜1μm/sの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプの製造方法。
- 前記接着工程では、前記基板の表面と、前記PDMS膜の表面とが平行である状態を維持したまま、前記基板と前記PDMS膜とを接触させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のマイクロコンタクトプリンティング(μCP)用スタンプの製造方法。
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