JP5281307B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に、コントラスト向上が図られた液晶表示装置に関する。
車載用情報表示装置として、外観上の高級感を得るために、背景や暗表示部分の表示輝度が非常に低く、明表示部分とのコントラストの高い表示装置が求められている。従来、蛍光表示管(VFD)が広く使われてきたが、VFDは、ディスプレイ自体に使用されているガラス基板の厚さが厚く重量も重く、また、駆動用電源が特殊である。表示装置の重量を軽くでき、車載電源をそのまま使用可能なデバイスとして、液晶表示装置が挙げられる。
最近は、バックライトの光源に発光波長がほぼ単波長の発光ダイオード(LED)を用い、その波長に対し特に高いコントラストが得られるノーマリーブラック型液晶表示装置が開発され、車載用情報表示装置として搭載されてきている。
バックライトの発光波長に依存せずに、良好なノーマリーブラック表示を実現する液晶表示装置として、垂直配向型液晶セルを用いた垂直配向型液晶表示装置が挙げられる。垂直配向型液晶セルでは電圧無印加時の液晶分子配向が基板に対して垂直またはほぼ垂直にされ、垂直配向型液晶セルをクロスニコル配置の偏光板間に配置することにより、ガラス基板法線方向からの観察時の光学特性がクロスニコル配置の偏光板とほぼ同等となり、非常に低い光透過率が得られる。
さらに、特許文献1に示されるように、液晶セルの上下ガラス基板と、上下偏光板との間の少なくとも一方に、負の一軸光学異方性または負の二軸光学異方性を有する視角補償板を挿入することにより、液晶表示装置を基板法線方向に対し左右斜めから観察した場合でも、光透過率の上昇を抑え、コントラスト低下を抑えことができる。なお、このような視角補償方法については、負の二軸光学異方性を有する視角補償板の面内位相差や面内遅相軸の配置に関して、特に有効な条件が特許文献2に開示されている。
電圧印加時においても良好な視角特性を獲得するために、液晶の配向方向が1つの画素内で複数の方向に向くようにした「マルチドメイン配向」が有効である。これを垂直配向型液晶表示装置で実現する方法としては、例えば特許文献3に開示されているような、電極形状の工夫により液晶層内で斜め方向に電界を発生させ、その方向に配向制御を行う「斜め電界配向制御法」や、また例えば、特許文献4に開示されているような、基板表面形状を工夫することにより配向制御を行う方法等が提案されている。
なお、液晶表示装置の左右方位の視角特性を特に重視する場合は、マルチドメイン配向でなく、液晶表示装置全面で均一な配向状態、すなわちモノドメイン配向とすることも有効である。良好なモノドメイン配向を実現するために、例えば特許文献5に開示されたような、垂直配向膜に対する光配向処理方法や、特許文献6に開示されたような、特定の範囲の表面自由エネルギーを有する垂直配向膜に対するラビング処理方法等が提案されている。
特許2047880号明細書 特許3330574号公報 特許3834304号公報 特許2947350号公報 特許2872628号公報 特開2005−234254号公報
本発明の一目的は、例えば車載用情報表示装置に用いられるような、セグメント表示、ドットマトリクス表示、またはこれらの混合表示を行い、コントラスト向上が図られた液晶表示装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、第1の偏光板と、前記第1の偏光板の上方に配置され、第1の基板、前記第1の基板と対向する第2の基板、それぞれ前記第1の基板上及び第2の基板上に形成された第1及び第2の電極からなる第1の電極対、及び、前記第1及び第2の基板間に挟まれた第1の液晶層を有する第1の液晶セルと、前記第1の液晶セルの上方に配置された第2の偏光板と、前記第2の偏光板の上方に配置され、第3の基板、前記第3の基板と対向する第4の基板、それぞれ前記第3の基板上及び第4の基板上に形成された第3及び第4の電極からなる第2の電極対、及び、前記第3及び第4の基板間に挟まれた第2の液晶層を有する第2の液晶セルと、前記第2の液晶セルの上方に配置された第3の偏光板と、駆動装置とを有し、前記第1の基板、第2の基板、第3の基板、または第4の基板の表面に平行な表示面を考えたとき、前記第1及び第2の液晶セルの一方のセルである表示セルは、その電極対の前記表示面内での重なり部分が、セグメント表示部及びドットマトリクス表示部の少なくとも一方を含む表示部を構成し、前記第1及び第2の液晶セルの他方のセルであるエリア指定セルは、その電極対の前記表示面内での重なり部分が、ドットマトリクス表示部を構成し、前記駆動装置は、前記表示セルの電極対への印加電圧を制御して、該表示セルの表示部内に定められた表示パターンを透光状態にし、該表示パターンの外側を遮光状態にするとともに、前記エリア指定セルの電極対への印加電圧を制御して、該エリア指定セルのドットマトリクス表示部内に定められ前記表示面内で前記表示パターンを内包する光透過領域を透光状態にし、該光透過領域の外側を遮光状態にする液晶表示装置が提供される。
表示セルの表示パターンは、エリア指定セルの光透過領域に含まれ、観察者に対して白表示(明表示)される。表示セルとそれを挟む上下偏光板で構成される第1の液晶表示素子と、エリア指定セルとそれを挟む上下偏光板で構成される第2の液晶表示素子とを考えたとき、表示セルの遮光状態の領域かつエリア指定セルの遮光状態の領域は、第1の液晶表示素子の遮光状態の光透過率と、第2の液晶表示素子の遮光状態の光透過率との積で見積もられる低い光透過率の黒表示(暗表示)となり、表示パターンに対し高いコントラストが得られる。
エリア指定セルの光透過領域は、表示セルの表示パターンを内包する大きさに設定されている。エリア指定セルの光透過領域の内側の領域かつ表示セルの表示パターンの外側は、エリア指定セルでは透光状態だが、表示セルでは遮光状態の領域なので、観察者に黒表示される。従って、観察者が観察する表示の縁を、表示セルの表示パターンの縁が画定する。
エリア指定セルの光透過領域が、表示セルの表示パターンと一致するような液晶表示装置を考えると、このような液晶表示装置では、光透過領域の縁及び表示パターンの縁の両方が、観察者が観察する表示の縁を画定する。このような液晶表示装置では、例えば、斜め観察時に視差に起因して、表示の縁が二重に見えるような不具合が発生しやすい。エリア指定セルの光透過領域が、表示セルの表示パターンを内包する大きさに設定されていることにより、例えばこのような不具合が抑制される。
まず、図1を参照して、本発明の実施例及び比較例の液晶表示装置に共通な構成について説明する。図1は、実施例または比較例の液晶表示装置の概略斜視図である。実施例及び比較例の液晶表示装置は、セグメント表示、または、ドットマトリクス表示、または、セグメント表示及びドットマトリクス表示の混在表示を行うものであり、上側液晶セルCUと下側液晶セルCLとが積層された構成を有する。
まず、上側液晶セルCUについて説明する。上側ガラス基板3と下側ガラス基板13とが相互に平行に対向配置されている。上側ガラス基板3または下側ガラス基板13の表面に平行な面を、表示面と定義する。上側から観察者が観察する。
表示面内に方位角を定義する。液晶表示装置を正面(表示面法線方向)から見たとき、右方向を0°方向とし、左方向を180°方向とし、上方向を90°方向とし、下方向を270°方向とする。
上側ガラス基板3の内面に、基板側から、所望の形状で形成されたコモン電極4、及び垂直配向膜5が形成されており、下側ガラス基板13の内面に、基板側から、所望の形状で形成されたセグメント電極14、及び垂直配向膜15が形成されている。なお、必要に応じてセグメント電極を上側ガラス基板側に形成し、コモン電極を下側ガラス基板側に形成することもできる。
上下の垂直配向膜5、15の間に、誘電率異方性Δεが負の液晶材料からなる液晶層6が挟まれている。上下の垂直配向膜5、15に、例えばラビングや光配向処理により、例えばモノドメイン配向となるようにアンチパラレルの配向処理が施され、液晶層6の液晶分子に、表示面法線方向(垂直方向)から微小に傾斜するようプレチルト角が付与されている。プレチルト角付与により、電圧印加時に液晶分子の倒れこむ方位角方向が、例えば90°−270°方向に制御される。
上下ガラス基板3及び13、コモン電極4及びセグメント電極14、上下垂直配向膜5及び15、及び液晶層6を含んで、上側液晶セルCUが構成される。駆動装置7が、所望の表示が行われるように、コモン電極4とセグメント電極14との間に印加される電圧を制御する。
次に、下側液晶セルCLについて説明する。上側液晶セルCUの下側に、上下ガラス基板3、13と平行に、上側ガラス基板23と下側ガラス基板33とが対向配置されている。上側ガラス基板23の内面に、基板側から、所望の形状で形成されたコモン電極24、及び垂直配向膜25が形成されており、下側ガラス基板33の内面に、基板側から、所望の形状で形成されたセグメント電極34、及び垂直配向膜35が形成されている。なお、必要に応じてセグメント電極を上側ガラス基板側に形成し、コモン電極を下側ガラス基板側に形成することもできる。
上下の垂直配向膜25、35の間に、誘電率異方性Δεが負の液晶材料からなる液晶層26が挟まれている。上側液晶セルCUと同様に、上下の垂直配向膜25、35に配向処理が施され、液晶層26の液晶分子にプレチルト角が付与されており、電圧印加時に液晶分子の倒れこむ方位角方向が、例えば90°−270°方向に制御される。
上下ガラス基板23及び33、コモン電極24及びセグメント電極34、上下垂直配向膜25及び35、及び液晶層26を含んで、下側液晶セルCLが構成される。駆動装置27が、所望の表示が行われるように、コモン電極24とセグメント電極34との間に印加される電圧を制御する。
上下各液晶セルCU、CLにおいて、コモン電極とセグメント電極との表示面内での重なり部分が、印加電圧変化により液晶分子配向を変化させ遮光状態と透光状態とを切り替えて表示可能な表示部となる。必要とする表示部の形状に応じて、上下各液晶セルCU、CLのコモン電極及びセグメント電極のパターンが設計されている。
上側液晶セルCUの上方に上側偏光板1が配置され、上側液晶セルCUと下側液晶セルCLとの間に中間偏光板11が配置され、下側液晶セルCLの下方に下側偏光板31が配置される。上側偏光板1の吸収軸Ab1は135°−315°方向に配置され、中間偏光板11の吸収軸Ab11は45°−225°方向に配置され、下側偏光板31の吸収軸Ab31は135°−315°方向に配置されている。
上側偏光板1の吸収軸Ab1及び中間偏光板11の吸収軸Ab11の方位が相互になす角は90°であり、上側偏光板1及び中間偏光板11は相互にクロスニコル配置されている。また、中間偏光板11の吸収軸Ab11及び下側偏光板31の吸収軸Ab31の方位が相互になす角も90°であり、中間偏光板11及び下側偏光板31も相互にクロスニコル配置されている。
つまり、クロスニコル配置された上側偏光板1及び中間偏光板11で上側液晶セルCUを挟んだ上側液晶表示素子DUと、クロスニコル配置された中間偏光板11及び下側偏光板31で下側液晶セルCLを挟んだ下側液晶表示素子DLとを積層した構造が形成されている。中間偏光板11が、上下の液晶表示素子DU及びDLに共用されている。
さらに、上側偏光板1と上側液晶セルCUとの間、上側液晶セルCUと中間偏光板11との間、中間偏光板11と下側液晶セルCLとの間、及び、下側液晶セルCLと下側偏光板31との間に、それぞれ、負の二軸光学異方性を有する視角補償板2、12、22、及び32が配置されている。
上側視角補償板2の面内遅相軸Sl2は、隣接する上側偏光板1の吸収軸Ab1の方位と直交する45°−225°方向に配置され、中間上側視角補償板12の面内遅相軸Sl12は、隣接する中間偏光板11の吸収軸Ab11の方位と直交する135°−315°方向に配置され、中間下側視角補償板22の面内遅相軸Sl22は、隣接する中間偏光板11の吸収軸Ab11の方位と直交する135°−315°方向に配置され、下側視角補償板32の面内遅相軸Sl32は、隣接する下側偏光板31の吸収軸Ab31の方位と直交する45°−135°方向に配置されている。
なお、上下の液晶表示素子DU、DLのそれぞれで、液晶セルと上下偏光板との間の両方に視角補償板を配置した例を説明しているが、上下の液晶表示素子DU、DLのどちらとも、視角補償板は、液晶セルと上下偏光板との間の少なくとも一方に配置される。
所望の発光色の光源9を含むバックライト8が、下側偏光板31の下方に配置され、上方に光を放出する。駆動装置40が、バックライト8の発光状態、上側液晶セルCUの駆動装置7、及び下側液晶セルCLの駆動装置27を同期制御する。なお、駆動装置40、7、及び27をまとめて、液晶表示装置の駆動装置と捉えることができる。
上下の液晶表示素子DU、DLそれぞれで、電圧無印加時は液晶分子がほぼ垂直に配向しており表示面内の屈折率異方性がなく、液晶セル上下にクロスニコル配置された偏光板を光がほぼ透過しない。つまりノーマリーブラックの黒表示(暗表示)が得られる。
電圧無印加時の各液晶表示素子DU、DLの光透過率は、クロスニコル配置された2枚の偏光板の微小な光透過率と同等になる。2枚の偏光板としてヨウ素系偏光板を用いる場合、正面観察時の光透過率は約0.001%となる。なお、クロスニコル配置された2枚の偏光板として染料系の偏光板を用いる場合、正面観察時の光透過率は約0.01%となる。以下、実施例及び比較例は、偏光板としてすべてヨウ素系のものを用いるとして説明を続ける。
中間偏光板11を共用して2つの液晶表示素子DU及びDLが積層された液晶表示装置の両表示素子電圧無印加時の正面観察時光透過率は、0.001%×0.001%=0.000001%と見積もられる。
上下の液晶表示素子DU、DLそれぞれで、電圧印加により液晶分子が垂直方向から倒れこんで表示面内での屈折率異方性が生じ、液晶セル上下にクロスニコル配置された偏光板を光が透過するようになる。つまり白表示(明表示)が得られる。
電圧印加時の各液晶表示素子DU、DLの最大光透過率は25%程度にできる。中間偏光板11を共用して2つの液晶表示素子DU及びDLが積層された液晶表示装置の両表示素子電圧印加時の光透過率は、20%程度にできると見積もられる。
従って、2つの液晶表示素子DU及びDLが積層された液晶表示装置の、遮光状態の光透過率に対する透光状態の光透過率であるコントラストは、正面観察時について最大で、20%/0.000001%=2000万程度にできる。
なお、1層の液晶表示素子で構成された液晶表示装置のコントラストは、正面観察時について最大で、25%/0.001%=2.5万程度となる。実施例及び比較例のように液晶表示素子を2層積層することにより、例えば800倍(2000万/2.5万)程度の大幅なコントラスト向上が図られる。
なお、偏光板の吸収軸方位について観察角度(表示面法線方向からの極角角度)を変化させた場合は、正面観察時のコントラストに近い値からそれの1/5程度の値までの高いコントラストを、深い観察角度まで維持できる。一方、偏光板吸収軸に対して45°方位では、視角補償板のパラメータを最適に調整して最も光抜けを少なくしても、観察角度変化に起因して、コントラストが正面観察時の1/50以下に低下することがある。
実施例及び比較例の液晶表示装置では、1層の液晶表示素子で構成された液晶表示装置に比べて、正面観察時のコントラストが例えば800倍程度と大幅に向上するので、偏光板吸収軸方位及び偏光板吸収軸から45°方位について観察角度を変化させた斜め観察時のコントラストも、大幅に向上する。
次に、比較例の液晶表示装置についてさらに説明する。比較例の液晶表示装置は、上下の液晶セルCU、CLのコモン電極4、24が同一のパターンで形成され、セグメント電極14、34も同一のパターンで形成され、上側液晶表示素子DUと下側液晶表示素子DLとが、同一の表示パターンを表示する。上下液晶表示素子DU、DLの表示パターンの縁が一致するように、上下の液晶セルCU、CLの位置合わせが行われる。
しかし、上下の液晶表示素子DU、DLの表示パターンを完全に一致させる位置合わせは困難である。位置ずれが生じれば、正面観察時でも表示パターンが二重に見えたり、立体的に観察されたりして、表示品位が低下する懸念がある。
また、上下液晶表示素子DU、DLの液晶層6、26間にはガラス基板(この例では2枚のガラス基板13及び23)が介在する。ガラス基板1枚の厚さは、例えば0.7mm程度であり、上下液晶表示素子DU、DLの表示パターンは高さ方向にずれる。従って、位置合わせが精度良くできたとしても、観察方向が正面からずれた斜め観察のときに視差が生じて、二重表示等の表示不具合が生じる。
次に、実施例の液晶表示装置についてさらに説明する。実施例の液晶表示装置は、上下液晶表示素子DU及びDLの一方の液晶表示素子(例えば上側液晶表示素子DU)が、観察者に所望の表示パターンを表示し、他方の液晶表示素子(例えば下側液晶表示素子DL)が、所望の表示パターンよりも一回り大きな光透過領域を設定する。所望の表示パターンを表示する液晶セルを表示セルと呼ぶこととし、所望の表示パターンよりも一回り大きな光透過領域を設定する液晶セルをエリア指定セルと呼ぶこととする。
図2(A)は、表示セルの表示可能な領域である表示部を示す概略平面図である。表示面内に、「STANLEY」という1セグメントの表示部50と、「R&D」という1セグメントの表示部51と、2桁の7セグメント表示部52とが配置されている。表示セルのコモン電極及びセグメント電極は、重なり部分がこれらのセグメント表示部50〜52を構成するパターンに設計されている。
図2(B)は、エリア指定セルの表示可能な領域である表示部を示す概略平面図である。表示面内で表示セルの表示部50〜52を内包する大きさの領域内に、四角形のドット状表示部(画素)が行列状に配置されている。つまり、エリア指定セルは、ドットマトリクス表示部を有し、そのコモン電極及びセグメント電極は、重なり部分がドットマトリクス表示部を構成するパターンに設計されている。図2(B)の例では、38行×38列の1444個の画素(seg1〜seg1444)が配置されている。
図3(A)は、表示セルの表示部のうち白表示(透光状態)にされる部分である表示パターンの例を示す概略平面図である。図2(A)に示した「STANLEY」という表示部50は黒表示(遮光状態)のままにされ、「R&D」という表示部51は白表示にされ、2桁の7セグメント表示部52は「24」という部分が白表示にされている。つまり、この例では、「R&D」と「24」という文字から構成される表示パターンが、観察者に提供される所望の表示パターンとなる。表示部50〜52の外側は、電圧が印加されず常に黒表示となる。
図3(B)は、エリア指定セルの表示部のうち白表示にされる部分である表示パターンの例を示す概略平面図である。エリア指定セルの表示パターンを、表示セルの所望の表示パターンと区別するために、エリア指定セルの光透過領域と呼ぶこととする。また、表示セルの所望の表示パターンを、単に表示パターンと呼ぶこととする。
表示セルの表示パターンの「R&D」という部分より一回り大きい領域60内の画素、及び、表示パターンの「24」という部分より一回り大きい領域61内の画素が、白表示にされている。つまり、表示面内で表示パターンを内包する領域60及び61が、エリア指定セルの光透過領域である。光透過領域の外側は、黒表示のままである。
表示セルの表示パターンの内側の領域は白表示であり、この領域は、エリア指定セルの光透過領域の内側でもあるので、所望の表示パターンが観察者に白表示される。
エリア指定セルの光透過領域の外側の領域は黒表示なので、観察者に黒表示される。この領域は、さらに表示セルでも黒表示の領域なので、エリア指定セルを含む液晶表示素子の黒表示での光透過率と、表示セルを含む液晶表示素子の黒表示での光透過率との積で与えられる非常に低い光透過率を示す。表示パターンに対して、非常に高いコントラストが得られる。
なお、表示セルの表示パターンの外側かつエリア指定セルの光透過領域の内側の領域は、表示セルの黒表示の領域なので、エリア指定セルの光透過領域の外側に比べれば光透過率は高いものの、観察者に黒表示される。
表示パターンに対して非常に高いコントラストが得られる黒表示領域を広くするためには、エリア指定セルの光透過領域を、表示セルの表示パターンに近い形状にするのが好ましい。ただし、エリア指定セルの光透過領域と表示セルの所望の表示パターンとを一致させると、比較例で説明したように、位置合わせが困難となったり、視差による二重表示が発生したりする。
実施例の液晶表示装置では、表示面内で、エリア指定セルの光透過領域の縁から表示セルの表示パターンの縁までの最短距離を1.5mm以上、より好ましくは2.0mm以上確保する。
エリア指定セルの光透過領域内に表示パターンが配置されるように表示セルを位置合わせすればよくなるので、上下液晶セルの位置合わせが容易になる。また、所望の表示パターンの縁を一方のセル(表示セル)が画定しているので、斜め観察時の視差に起因する二重表示も抑制される。
なお、光透過領域を表示パターンに近い形状とするために、表示面内において、エリア指定セルの光透過領域の縁から表示セルの表示パターンの縁までの最短距離は、3.0mm以下とすることが好ましい。
さらに、エリア指定セルとしてドットマトリクス表示のものを採用したことにより、光透過領域の形状を高い自由度で設定することができる。表示セルの表示パターンを変化させたとき、それに応じた光透過領域を容易に設定できる。複数の、所望の表示パターンと光透過領域との対応関係を、駆動装置に記憶させ、表示パターンを別のものに切り替えたとき、対応するように光透過領域も切り替えることができる。
次に、上記実施例の変形例による液晶表示装置について説明する。変形例は、表示セルとエリア指定セルとを用いる点は実施例と同様であるが、表示パターンが異なる。
図4(A)は、変形例の表示セルの表示可能な領域である表示部を示す概略平面図である。実施例と同様に、表示面内に、「STANLEY」という1セグメントの表示部50と、「R&D」という1セグメントの表示部51と、2桁の7セグメント表示部52とが配置されており、変形例ではさらに、これらのセグメント表示部50〜52の横に、ドットマトリクス表示部53が追加されている。表示セルのコモン電極及びセグメント電極は、重なり部分がセグメント表示部50〜52及びドットマトリクス表示部53を構成するパターンに設計されている。
図4(B)は、変形例のエリア指定セルの表示可能な領域である表示部を示す概略平面図である。実施例と同様に、エリア指定セルは、ドットマトリクス表示部を有し、そのコモン電極及びセグメント電極は、重なり部分がドットマトリクス表示部を構成するパターンに設計されている。変形例のエリア指定セルのドットマトリクス表示部は、表示セルのセグメント表示部50〜52及びドットマトリクス表示部53を内包するように配置されている。
図5(A)は、変形例の表示セルの表示部うち白表示にされる部分である表示パターンの例を示す概略平面図である。「STANLEY」という表示部50が白表示にされ、「R&D」という表示部51は黒表示のままにされ、2桁の7セグメント表示部52は「33」という部分が白表示にされている。
さらに、ドットマトリクス表示部53の、「STANLEY」という文字部分の画素が白表示にされている。ドットマトリクス表示部53の「STANLEY」という文字部分以外の画素は、黒表示のままである。つまり、この例では、セグメント表示の「STANLEY」及び「33」という文字と、ドットマトリクス表示の「STANLEY」いう文字とから構成される表示パターンが、所望の表示パターンとなる。表示部50〜53の外側は、電圧が印加されず常に黒表示となる。
図5(B)は、エリア指定セルの表示部うち白表示にされる部分である光透過領域の例を示す概略平面図である。表示セルの表示パターンのセグメント表示の「STANLEY」という部分より一回り大きい領域62内の画素、表示パターンのセグメント表示の「33」という部分より一回り大きい領域63l及び63r内の画素、及び、表示パターンのドットマトリクス表示の「STANLEY」という部分より一回り大きい領域64内の画素が、白表示にされている。つまり、表示面内で表示パターンを内包する領域62、63l、63r及び64が、変形例の光透過領域である。光透過領域の外側は、黒表示のままである。
変形例でも実施例と同様に、表示セル及びエリア指定セル両方で黒表示されている領域と、表示パターンとのコントラストを非常に高くできる。表示面内で、エリア指定セルの光透過領域の縁から表示セルの表示パターンの縁までの最短距離を1.5mm以上、より好ましくは2.0mm以上確保し、さらに3.0mm以下とすることが特に好ましいことは、実施例と同様である。
変形例では、表示セルがドットマトリクス表示部を含む。ドットマトリクス表示部は、セグメント表示部に比べれば高い自由度で表示形状を設定できる。表示セルのドットマトリクス表示部内に表示された表示パターンに対して、それに近い形状で一回り大きい光透過領域の設定を容易とするために、エリア指定セルのドットマトリクス表示部の各画素は、表示セルのドットマトリクス表示部の各画素に内包される細かさの形状とすることが好ましい。さらに、エリア指定セルのドットマトリクス表示部の各画素の面積を、表示セルのドットマトリクス表示部の各画素の面積の1/2以下とすることがより好ましい。
なお、以上では、上側液晶表示素子DUの上下偏光板1、11の吸収軸方位同士がなす角を90°とし、下側液晶表示素子DLの上下偏光板11、31の吸収軸方位同士がなす角も90°としたが、上下偏光板の吸収軸方位同士がなす角は、90°から5°程度までずれていてもよい。上下偏光板の吸収軸方位同士がなす角が85°〜95°の範囲である場合を、クロスニコル配置と呼ぶこととする。
図6は、実施例の液晶表示装置の光透過率の左右観察角度依存性(電圧無印加時)が、上側偏光板1、中間偏光板11、及び下側偏光板31の吸収軸方位同士のなす角を変化させた場合にどのように変化するか調べた結果を示すグラフである。
偏光板として、すべて、住友化学製の視角補償板付きヨウ素系偏光板を用いた。視角補償板の遅相軸方位は、偏光板吸収軸方位と90°をなす。
曲線C1は、上側偏光板1の吸収軸方位及び下側偏光板31の吸収軸方位が135°−315°方向であり、中間偏光板11の吸収軸方位が45°−225°方向である場合、つまり、上側偏光板1及び中間偏光板11の吸収軸方位同士が90°をなし、中間偏光板11及び下側偏光板31の吸収軸方位同士も90°をなす場合の光透過率を示す。この場合を「なす角90°の場合」と呼ぶこととする。
曲線C2は、上側偏光板1の吸収軸方位及び下側偏光板31の吸収軸方位が136°−316°方向であり、中間偏光板11の吸収軸方位が44°−224°方向である場合、つまり、上側偏光板1及び中間偏光板11の吸収軸方位同士が92°(または88°)をなし、中間偏光板11及び下側偏光板31の吸収軸方位同士も92°(または88°)をなす場合の光透過率を示す。この場合を「なす角92°の場合」と呼ぶこととする。
曲線C3は、上側偏光板1の吸収軸方位及び下側偏光板31の吸収軸方位が137°−317°方向であり、中間偏光板11の吸収軸方位が43°−223°方向である場合、つまり、上側偏光板1及び中間偏光板11の吸収軸方位同士が94°(または86°)をなし、中間偏光板11及び下側偏光板31の吸収軸方位同士も94°(または86°)をなす場合の光透過率を示す。この場合を「なす角94°の場合」と呼ぶこととする。
なす角90°の場合は、正面観察時(左右観察角度0°)に0.000001%(1×10−6%)に近い非常に低い光透過率が得られている。ただし、観察角度が大きくなるにつれて光透過率が急激に上昇し、例えば、左右とも観察角度50°程度で0.01%程度に達する。観察角度変化に対する光透過率変化の幅が大きい。
なす角92°の場合は、正面観察時の光透過率が0.01%まで高くなっているが、観察角度が変化しても、光透過率があまり変化しない。例えば、左右とも観察角度50°程度まで0.01%程度のほぼ一定の光透過率となる。
なす角94°の場合は、正面観察時の光透過率が0.1%近くまで高くなっているが、なす角92°の場合と同様に、観察角度が変化しても、光透過率があまり変化しない。例えば、左右とも観察角度60°程度まで0.1%程度のほぼ一定の光透過率となる。
このように、液晶表示素子の上下偏光板を、吸収軸方位同士のなす角が90°からずれたクロスニコル配置とすることにより、観察角度変化に対する光透過率変化の幅を抑制することができる。正面観察時と斜め観察時とのコントラストの異差を減らすことにより、表示品位の差を減らすことができる。
吸収軸方位同士のなす角が90°からずれると、クロスニコル配置された上下偏光板の光透過率は上昇するものの、上下偏光板がクロスニコル配置された構造を2層積層することにより、1層の場合よりも大幅に低い光透過率を得ることができる。
なす角92°の場合、吸収軸方位が90°をなすようにクロスニコル配置された染料系の偏光板の光透過率0.01%と同程度のオーダの低い光透過率が、広い観察角度範囲でほぼ一定に得られている。なお、実際は、光透過率0.02%くらいが良いと考えられるので、なす角が92°程度のクロスニコル配置とするのが特に好適となる。
以上の結果を踏まえ、正面観察時と斜め観察時とのコントラストの差を減らす観点からは、上下の液晶表示素子の各々について、上下偏光板の吸収軸方位同士がなす角を、91°〜95°(または85°〜89°)の範囲とすることが好ましく、91°〜93°(または87°〜89°)の範囲とすることがより好ましい。
なお、上下の液晶セルに対し別々の駆動電圧、または別々の階調表示を行うように駆動装置を制御することにより、表示階調数を大幅に増加させて、細やかな中間調表示を行うこともできると考えられる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
図1は、本発明の実施例、または比較例の液晶表示装置の概略斜視図である。 図2(A)は、実施例の液晶表示装置の表示セルの表示部を示す概略平面図であり、図2(B)は、実施例の液晶表示装置のエリア指定セルの表示部を示す概略平面図である。 図3(A)は、実施例の液晶表示装置の表示セルの表示パターンの例を示す概略平面図であり、図3(B)は、実施例の液晶表示装置のエリア指定セルの光透過領域の例を示す概略平面図である。 図4(A)は、変形例の液晶表示装置の表示セルの表示部を示す概略平面図であり、図4(B)は、変形例の液晶表示装置のエリア指定セルの表示部を示す概略平面図である。 図5(A)は、変形例の液晶表示装置の表示セルの表示パターンの例を示す概略平面図であり、図5(B)は、変形例の液晶表示装置のエリア指定セルの光透過領域の例を示す概略平面図である。 図6は、光透過率の左右観察角度依存性が、偏光板吸収軸方位同士のなす角によってどのように変化するか調べた結果を示すグラフである。
符号の説明
1、11、31 偏光板
2、12、22、32 視角補償部材
3、13、23、33 ガラス基板
4、24 コモン電極
14、34 セグメント電極
5、15、25、35 垂直配向膜
6、26 液晶層
CU 上側液晶セル
CL 下側液晶セル
DU 上側液晶表示素子
DL 下側液晶表示素子
7、27、40 駆動装置
8、バックライト
9 光源

Claims (7)

  1. 第1の偏光板と、
    前記第1の偏光板の上方に配置され、第1の基板、前記第1の基板と対向する第2の基板、それぞれ前記第1の基板上及び第2の基板上に形成された第1及び第2の電極からなる第1の電極対、及び、前記第1及び第2の基板間に挟まれた第1の液晶層を有する第1の液晶セルと、
    前記第1の液晶セルの上方に配置された第2の偏光板と、
    前記第2の偏光板の上方に配置され、第3の基板、前記第3の基板と対向する第4の基板、それぞれ前記第3の基板上及び第4の基板上に形成された第3及び第4の電極からなる第2の電極対、及び、前記第3及び第4の基板間に挟まれた第2の液晶層を有する第2の液晶セルと、
    前記第2の液晶セルの上方に配置された第3の偏光板と、
    駆動装置と
    を有し、
    前記第1の基板、第2の基板、第3の基板、または第4の基板の表面に平行な表示面を考えたとき、
    前記第1及び第2の液晶セルの一方のセルである表示セルは、その電極対の前記表示面内での重なり部分が、セグメント表示部及びドットマトリクス表示部の少なくとも一方を含む表示部を構成し、前記第1及び第2の液晶セルの他方のセルであるエリア指定セルは、その電極対の前記表示面内での重なり部分が、ドットマトリクス表示部を構成し、
    前記駆動装置は、前記表示セルの電極対への印加電圧を制御して、該表示セルの表示部内に定められた表示パターンを透光状態にし、該表示パターンの外側を遮光状態にするとともに、前記エリア指定セルの電極対への印加電圧を制御して、該エリア指定セルのドットマトリクス表示部内に定められ前記表示面内で前記表示パターンを内包する光透過領域を透光状態にし、該光透過領域の外側を遮光状態にする液晶表示装置。
  2. 前記表示面内で、前記光透過領域の縁から前記表示パターンの縁までの最短距離が、1.5mm以上確保されている請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記表示セルの表示部がドットマトリクス表示部を含み、前記エリア指定セルのドットマトリクス表示部の各画素は、該表示セルのドットマトリクス表示部の各画素に内包される大きさである請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記表示面内で、前記第2の偏光板の吸収軸方向が、前記第1の偏光板の吸収軸方向に対して85°〜95°の範囲の角度をなすようにクロスニコル配置され、前記第3の偏光板の吸収軸方向が、前記第2の偏光板の吸収軸方向に対して85°〜95°の範囲の角度をなすようにクロスニコル配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記表示面内で、前記第2の偏光板の吸収軸方向が、前記第1の偏光板の吸収軸方向に対して85°〜89°または91°〜95°の範囲の角度をなし、前記第3の偏光板の吸収軸方向が、前記第2の偏光板の吸収軸方向に対して85°〜89°または91°〜95°の範囲の角度をなす請求項4に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1及び第2の液晶セルの両方が、ノーマリーブラックモードの動作を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1及び第2の液晶セルの両方が、垂直配向型である請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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