JP5279310B2 - 岩塩型リチウムフェライトとその製造方法、炭酸ガスの吸収方法、吸収装置及び分離装置 - Google Patents

岩塩型リチウムフェライトとその製造方法、炭酸ガスの吸収方法、吸収装置及び分離装置 Download PDF

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Description

本発明は、優れた炭酸ガス吸収能を有する岩塩型リチウムフェライトとその製造方法、並びにこの岩塩型リチウムフェライトを炭酸ガス吸収材として用いる炭酸ガスの吸収方法、吸収装置及び分離装置に関する。本発明は、特に、200〜450℃付近の温度範囲の燃焼ガスを排出する内燃機関において、その燃焼排ガス中の二酸化炭素を効率よく吸収、分離する技術分野に有用である。
排ガス中からのCO2除去に関する代表的な手法としては、アミン化合物水溶液による接触法、アルカリ土類金属水酸化物などによる固定化法などが公開されている。
排ガス中のCO2をジアミン系水溶液と接触させて除去する方法は、例えば、特開平8−257353号公報(特許文献1)に開示されている。また、排ガス中のCO2をアルカリ金属水酸化物と接触させて炭酸塩として固定化する除去法は、例えば、特開平3−245811号公報(特許文献2)で公開されている。
リチウム系化合物を用いたCO2吸収材の開発に関しては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムをリチウムシリケート(Li4SiO4)に混合することでCO2ガスの吸収速度を向上させる手法が、例えば、特開2006−205023号公報(特許文献3)で公開されている。このLi4SiO4のCO2ガスの吸収温度は500〜750℃程度である。
一方、CO2ガスの吸収温度が300〜500℃程度であるリチウムフェライト(α-LiFeO2)を用いたCO2吸収材が、特開2005−270842号公報(特許文献4)に公開されている。このCO2吸収材は、鉄の一部をコバルトやマンガンで置換して合成したα-LiFeO2であり、CO2ガスの吸収速度の向上とCO2吸収後のα-LiFeO2への再生温度の低温化を目指している。
同様に、リチウムフェライト(α-LiFeO2)を用いたCO2吸収材であって、CO2吸収率を向上させたものとして、α-LiFeO2と炭酸カリウムを混合する手法によって得たリチウムフェライトに関する技術も公開されている[M.Katoら、CO2 absorption property of lithium ferrite for application as a high-temperature CO2 absorption, Journal of the ceramic society of Japan, 113[10], 684-686 (2005)(非特許文献1)]。
特開平8−257353号公報 特開平3−245811号公報 特開2006−205023号公報 特開2005−270842号公報 M.Katoら、CO2 absorption property of lithium ferrite for application as a high-temperature CO2 absorption, Journal of the ceramic society of Japan, 113[10], 684-686 (2005)
一般に、リチウムフェライト(α-LiFeO2)などのリチウム複合酸化物の炭酸ガス吸収反応は可逆である。リチウム複合酸化物と炭酸ガスとの反応生成物から、吸収反応時の温度より高温条件において、炭酸ガスを放出する(放出反応)。従ってこれらの炭酸ガス吸収材は、吸収した炭酸ガスを再度放出してリチウム複合酸化物を再生し、繰り返し利用することが可能である。
リチウムフェライトの炭酸ガス吸収反応は、温度以外の条件によっても変化はするが、一般に、200〜500℃の範囲で生じ、リチウムフェライトが炭酸ガスを吸収して生じた炭酸リチウムは、500℃以上の温度で分解して炭酸ガスを放出する。この炭酸ガス吸収反応と炭酸ガス放出反応を繰り返し行なうことで、炭酸ガスを含有する気体、特に内燃機関や鉄鋼やセメントなどの製造工程からの炭酸ガスの排出を伴う燃焼ガスから、炭酸ガスを分離除去することも可能である。
しかし、上記内燃機関や製造工程からの燃焼ガスの温度は、一般に200〜450℃の範囲であり、上記特許文献4及び非特許文献1に記載のα-LiFeO2は、450℃以下の比較的低温域でのCO2吸収能が依然として低いという問題があった。また、450℃〜500℃の温度域におけるCO2吸収能も、十分に高いとは言えない。即ち、CO2流通下においても相当量のα-LiFeO2が未反応物として残る、という問題点もあった。
特許文献4及び非特許文献1に記載のα-LiFeO2は、炭酸塩を混合しない場合、450℃におけるCO2吸収率は2%程度(重量増加率では0.5%程度)と非常に小さく、炭酸塩を混合した場合でも、450℃におけるCO2吸収率は8%程度(重量増加率では2%程度)である。ここでの反応率とは、以下の化学反応式に従った際のLiFeO2の反応率のことを意味する。
反応式;2LiFeO2 + CO2 → Li2CO3 + Fe2O3
このように、200〜500℃の温度域でCO2吸収能を有するα-LiFeO2ではあるが、全温度域におけるCO2吸収率の著しい向上、特に450℃以下の比較的低温域におけるCO2吸収率の向上については、改良の余地が大きい。さらに、炭酸塩等の混合プロセスを経ない、高いCO2吸収能を有するα-LiFeO2の製造法の開発も、工業的な観点からは大いに望まれている。
そこで、本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであり、具体的には、全温度域におけるCO2吸収率が著しく向上し、450℃以下の比較的低温域におけるCO2吸収率も向上した、新たなα-LiFeO2とその製造方法を提案することを主な目的とする。
さらに本発明は、上記新たなα-LiFeO2を炭酸ガスの吸収剤として用いる、炭酸ガスの吸収方法、炭酸ガス吸収装置、および炭酸ガスの分離装置を提供することも目的とする。
上記課題を解決する本発明は以下のとおりである。
[1]
柱状結晶のα-Fe2O3とLiNO3との混合物であって、α-Fe2O3に対してLiNO3を化学量論比で5〜15%過剰に含む混合物をLiNO3が融解する温度で加熱して岩塩型リチウムフェライトを得る、岩塩型リチウムフェライトの製造方法。
[2]
前記柱状結晶のα-Fe2O3が柱状結晶のα-FeOOHを熱分解して得たものであり、結晶の大きさが1ミクロン以下である、[1]に記載の製造方法。
[3]
格子定数が4.158Åである、岩塩型リチウムフェライト。
[4]
CO2吸収率12%(重量増加率3%)でCO2ガスを吸収反応させた後にも構造相転移しない、[3]に記載の岩塩型リチウムフェライト。
[5]
100mL/minでCO2ガスを流通させながら、10℃/minで昇温して室温から500℃の温度範囲でCO2を吸収反応させたときの325℃でのCO2吸収率が1%以上(重量増加率が0.25%以上)であり、450℃でのCO2吸収率が4%以上(重量増加率が1%以上)である[3]または[4]に記載の岩塩型リチウムフェライト。
[6]
炭酸ガスを含む気体に[3]〜[5]のいずれかに記載の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材を接触させて、前記炭酸ガスを含む気体中の前記炭酸ガスと選択的に反応させる炭酸ガス吸収方法。
[7]
[3]〜[5]のいずれかに記載の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材と、前記炭酸ガス吸収材を収納し、炭酸ガスを導入するための炭酸ガス導入口とを具備することを含む、炭酸ガス吸収装置。
[8]
[3]〜[5]のいずれかに記載の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材に炭酸ガスを反応させて生成した生成物と、前記生成物を加熱し炭酸ガスを放出させるための加熱装置と、前記生成物を収納し、前記炭酸ガスを排出する生成ガス排出口とを具備することを含む、炭酸ガス分離装置。
本発明によれば、全温度域におけるCO2吸収率が著しく向上し、450℃以下の比較的低温域におけるCO2吸収率も向上した、新たなα-LiFeO2とその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、新たなα-LiFeO2を炭酸ガスの吸収剤として用いる、炭酸ガスの吸収方法、炭酸ガス吸収装置、および炭酸ガスの分離装置を提供することができる。
[岩塩型リチウムフェライトの製造方法]
本発明の第1の態様は、岩塩型リチウムフェライトの製造方法である。この製造方法は、柱状結晶のα-Fe2O3とLiNO3との混合物をLiNO3が融解する温度で加熱して岩塩型リチウムフェライトを得る工程を含むものであり、前記混合物がα-Fe2O3に対してLiNO3を化学量論比で5〜15%過剰に含むことを特徴とする。
柱状結晶のα-Fe2O3とLiNO3との混合物は、LiNO3の融点以上の温度で加熱するとLiNO3が融解し、融解して液相状態になったLiNO3がα-Fe2O3の柱状微粒子を覆った形で分解する。これにより、後述する、比較的低温域でも高いCO2吸収率(重量増加率)を有し、CO2吸収後も相転移を起こしにくい、本発明が目的とする結晶が得られる傾向がある。LiNO3以外のリチウム塩では融解する前に分解してしまい、上記のようなに反応は生じない。上記加熱温度は、例えば、450〜600℃の範囲であることができる。加熱時間は、例えば、1〜5時間であることができる。
前記混合物における、α-Fe2O3に対するLiNO3の混合量を、化学量論量より過剰にする。α-Fe2O3とLiNO3を化学量論量で混合した混合物を用いて、上記反応を行なっても、未反応のα-Fe2O3が生成物中に残存し、本発明が目的とする結晶が得られない。それに対して、α-Fe2O3に対するLiNO3の混合量を、化学量論比で5〜15%過剰に含む混合物を用いることで、本発明が目的とする結晶が得られる。特に、化学量論比で6%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは8%以上過剰に含む混合物を用いることが適当であり、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下過剰に含む混合物を用いることが適当である。
上記反応に用いるα-Fe2O3は柱状結晶のα-Fe2O3である。柱状結晶のα-Fe2O3以外の酸化鉄、例えば、γ-Fe2O3を用いても、本発明が目的とする結晶は得られない。柱状結晶のα-Fe2O3は、特に、柱状結晶のα-FeOOHを熱分解して得たものであることが好ましく、かつ結晶の大きさが1ミクロン以下であることが好ましい。いずれも、本発明が目的とする結晶を得るという観点から、好ましい。上記反応に用いる柱状結晶のα-Fe2O3は、例えば、柱状結晶のα-FeOOHを熱分解して得たα-Fe2O3を必要により、粉砕、分級するなどして、結晶の大きさ(粒子径)が1ミクロン以下であるものを用いることが好ましい。
[岩塩型リチウムフェライト]
本発明の第2の態様は、格子定数が4.158Åである、岩塩型リチウムフェライトである。この岩塩型リチウムフェライトは、上記本発明の製造方法で製造することができる。実施例でも示すように、柱状結晶のα-Fe2O3に代えてγ-Fe2O3を用いて合成した岩塩型リチウムフェライトの格子定数は、4.145Åであり、本発明の岩塩型リチウムフェライトとまったく異なる。本発明の格子定数が4.158Åである、岩塩型リチウムフェライトは新規な物質である。
本発明の岩塩型リチウムフェライトは、CO2吸収率が12%(重量増加率3%)となるようにCO2ガスを吸収反応させた後にも構造相転移しない岩塩型リチウムフェライトであることが好ましい。この岩塩型リチウムフェライトは、柱状結晶のα-Fe2O3が柱状結晶のα-FeOOHを熱分解して得たものであり、かつ結晶の大きさが1ミクロン以下であるα-Fe2O3を用いて製造することができる。
本発明の岩塩型リチウムフェライトは、100mL/minでCO2ガスを流通させながら、10℃/minで昇温して室温から500℃の温度範囲でCO2を吸収反応させたときの325℃でのCO2吸収率が1%以上(重量増加率が0.25%以上)であり、450℃でのCO2吸収率が4%以上(重量増加率が1%以上)であることができる。CO2吸収率(重量増加率)は、岩塩型リチウムフェライトの製造条件、特に、α-Fe2O3に対するLiNO3の混合量を、化学量論量よりどの程度過剰にするかによって、コントロールできる。上記325℃でのCO2吸収率は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であり、450℃でのCO2吸収率は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であることができる。
[炭酸ガス吸収方法]
本発明の第3の態様は、炭酸ガス吸収方法である。この炭酸ガス吸収方法は、炭酸ガスを含む気体に本発明の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材を接触させて、前記炭酸ガスを含む気体中の前記炭酸ガスと選択的に反応させるものである。反応式は以下の通りである。
反応式;2LiFeO2 + CO2 → Li2CO3 + Fe2O3
炭酸ガス吸収材は、本発明の岩塩型リチウムフェライトを含有するものであるが、炭酸ガス吸収材は、粉末のままでは作業上扱い難く、特に反応容器に炭酸ガス吸収材を充填して用いる場合には、細かい粉末が密集して圧力損失を生じやすい。そこで炭酸ガス吸収材は、例えば平均粒径0.1〜5.0mmの粒子からなる多孔質体に成形して用いることができる。成形体に加工すれば作業上扱いやすく、炭酸ガスの流通経路を確保すれば圧力損失も生じにくい。成形は、造粒や押し出しなどにより顆粒、円柱状、円盤状、ハニカムなどの形状にすることができる。この多孔質の気孔率は、30〜50%であることが好ましい。気孔率が50%を超えると、炭酸ガス吸収材の成分(岩塩型リチウムフェライト)の体積比率が少なくなり、炭酸ガス吸収特性が低下し、気孔率が30%よりも少ないと炭酸ガス吸収材の比表面積、すなわち炭酸ガスとの接触面積が小さくなり、炭酸ガス吸収速度が低下する恐れがある。
成形には、粒子を結合させるためのバインダ材料(結合材)を用いることができる。バインダには、無機質の材料、有機質の材料のどちらも用いることができる。例えば無機質材料としては粘土、鉱物、石灰乳などが挙げられる。また有機材料としては、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、パラフィンなどが挙げられる。バインダの添加量は、炭酸ガス吸収材成分(岩塩型リチウムフェライト)に対して0.1〜20wt%とするのが好ましい。
炭酸ガスの吸収反応の温度は、炭酸ガス濃度によって多少異なるが、例えば、200〜500℃の温度域で実施することができる。尚、反応生成物であるLi2CO3とFe2O3の混合物は、例えば、炭酸ガスを含まない雰囲気下において加熱することで、炭酸ガスを放出してもとのリチウムフェライトに再生される。このような炭酸ガス吸収材の炭酸ガス吸収と、炭酸ガスを放出し、もとの炭酸ガス吸収材へ戻す(再生する)反応は、繰り返し行なうことができる。
[炭酸ガス吸収装置]
本発明の第4の態様は、炭酸ガス吸収装置である。この炭酸ガス吸収装置は、本発明の岩塩型リチウムフェライトリチウムを含有する炭酸ガス吸収材と、この炭酸ガス吸収材を収納し、炭酸ガスを導入するための炭酸ガス導入口とを具備することを含むものである。
具体的には、本発明の炭酸ガス吸収装置は、反応容器を含み、炭酸ガス吸収材は、反応容器内に充填される。さらに、炭酸ガス含有気体を反応容器内へ導入するための導入管と、この導入管の一端に連結されており、反応容器内にある内管とからなることができる。内管の壁面には通気孔が備えられており、導入管から内管へ導入された気体を反応容器内部へ通気できるようになっている。例えば多孔質アルミナのような多孔質セラミックから作られ、気体の透過性を有するものを使用しても良い。
導入管からCO2含有気体を供給すると、炭酸ガス吸収材は内管から供給されるCO2含有気体を吸収する反応が生じ、反応生成物を生成する(吸収反応)。
[炭酸ガス分離装置]
本発明の第5の態様は、本発明の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材に炭酸ガスを反応させて生成した生成物と、前記生成物を加熱し炭酸ガスを放出させるための加熱装置と、前記生成物を収納し、前記炭酸ガスを排出する生成ガス排出口とを具備することを含むものである。
前記本発明の炭酸ガス吸収装置(本発明の第4の態様)において、吸収反応が終了したら、炭酸ガスの吸収反応によって生成した反応生成物(炭酸塩)が、炭酸ガスの放出が生じる温度領域になるようにヒータなどの加熱手段によって反応容器を加熱する。所定の温度に達すると反応生成物(炭酸塩)からCO2の放出が生じ内管を通じてCO2を導入管より放出させる。加熱手段は任意の加熱されたガスを反応容器の外周に接触させて、反応容器ごと所定の温度まで加温する方法でも良い(再生反応)。
吸収反応及び放出反応のどちらの場合においても、反応容器は接触効率を考慮すると流動床式反応容器をすることもできる。
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
[岩塩型リチウムフェライトリチウムの調製]
3mol/LのNaOH水溶液を0.2mol/LのFeCl3水溶液に滴下して混合することでFe(OH)3ゾルを生成させた後、さらに0.6mol/LのNaOH水溶液をゾル溶液のpHが13になるように滴下した。この手順によって沈殿物を生成させ、濾過・乾燥することで微細な柱状結晶からなるα-FeOOH粉末を得た。
次に、このα-FeOOH柱状結晶を大気中300℃で熱分解することで、粒径500nm程度の柱状のα-Fe2O3結晶からなる微粉末を合成した。このα-Fe2O3結晶は(110)面が顕著に配向しており、市販のα-Fe2O3には見られない特徴を有している。なお、この配向がα-Fe2O3結晶の柱状形態に対応している。図1にはα-FeOOHの各熱処理温度(200〜300℃)でのXRDパターンの変化を示す。図2にはα-Fe2O3粉末の電子顕微鏡写真を示す。
得られた柱状のα-Fe2O3結晶とLiNO3粉末をエタノール溶媒中で混合した。この際、化学量論組成のLi:Fe=1:1(モル比)に対して8mol%過剰となるようにLiNO3粉末とα-Fe2O3粉末をエタノール中で混合した。
調製した混合粉末を乾燥した後、大気中450〜600℃で熱処理することで、粒径300nm程度の粒子からなるリチウムフェライト(α-LiFeO2)の単一相粉末を合成した。図3には、熱処理温度450〜600℃でのα-LiFeO2単一相粉末のXRDパターンを示す。また、図4には、合成したα-LiFeO2粉末の電子顕微鏡写真を示す。
なお、LiNO3は450〜600℃で熱分解するが、350℃付近で融解する性質を有しているためLiNO3粉末の過剰率を5mol%とするとLi源が不足してγ-Fe2O3が生成する。また、LiNO3粉末の過剰率を10及び15 mol%とすると、酸化鉄が不足してLi2CO3が生成する。
上述の理由により、本発明で提案するα-LiFeO2の単一相粉末の合成条件は、化学量論組成に対してLiNO3を8mol%過剰にする必要がある。図5には、LiNO3過剰率の異なる混合粉末を500℃で熱処理して得られた粉末のXRDパターンを示す。
[CO2ガスを吸収]
合成したα-LiFeO2粉末に100mL/minでCO2ガスを流通させながら、10℃/minで昇温して室温から500℃の温度範囲でCO2を吸収させた。比較のため、市販のγ-Fe2O3粉末(粒径1μm程度)とLiNO3粉末を混合した原料を500℃で熱処理して合成したα-LiFeO2粉末にも同条件でCO2ガスを吸収させた。
これら2つのα-LiFeO2粉末のCO2吸収特性を比べるため、室温〜600℃の温度範囲でのTG-DTAによるCO2吸収特性の比較を行った。その結果を図6に示す。500℃では、前者のα-LiFeO2のCO2吸収率は約49%、後者のCO2吸収率は約17%であった。また、325℃では、前者のα-LiFeO2のCO2吸収率はで約8%、後者のCO2吸収率は約3%であった。また、450℃では、前者のα-LiFeO2のCO2吸収率は約37%、後者のCO2吸収率は約11%であった。このように、本発明で提案するLiNO3と微細なα-Fe2O3から合成したα-LiFeO2が著しく高いCO2吸収能を有していた。
合成経路の異なるこれら2つのα-LiFeO2のCO2吸収前後(CO2吸収率11〜12%程度)におけるXRDパターンを調査した。その結果、高いCO2吸収率を有するα-LiFeO2はCO2を吸収してもβ-LiFeO2相に構造相転移することなく、Li2CO3とγ-Fe2O3に分解し(図7)、さらにCO2を吸収させると、完全にLi2CO3とγ-Fe2O3に分解した(図8)。
一方、CO2吸収率の低いα-LiFeO2はCO2吸収によってLi2CO3とγ-Fe2O3へ分解し、同時にα-LiFeO2のβ相への構造相転移がみられた(図9)。
合成した2つのα-LiFeO2の格子定数を調べたところ、CO2吸収率の高いα-LiFeO2は4.158Å、CO2吸収率の小さいα-LiFeO2は4.145Åとなり、格子定数が著しく異なっていた。この結果は、α-LiFeO2結晶内のリチウムイオンや鉄イオンの分布の均一性が合成した2つのα-LiFeO2の間で異なっていることを示唆しており、CO2吸収率の高いα-LiFeO2は結晶内のイオン分布の均一性が増大したと考えられる。
このような陽イオンの均一性の高いα-LiFeO2を合成できたのは、原料に用いた微粒子のα-Fe2O3と昇温過程において融解するLiNO3を原料に用いたため、原料同士の反応性が著しく改善されたことによるところが大きいと考えられる。
この高いCO2吸収率を有するα-LiFeO2粒子を多孔質体に被覆担持することは、CO2ガスとの接触面積の向上につながり、更に高いCO2吸収率が得られる。
本発明は、炭酸ガス吸収材や炭酸ガスの分離が必要な分野に有用である。
α-FeOOHの各熱処理温度(200〜300℃)でのXRDパターンの変化(a)300℃、(b)250℃、(c)200℃ α-Fe2O3粉末の電子顕微鏡写真 α-LiFeO2単一相粉末のXRDパターン(熱処理温度;450〜600℃)(a)600℃、(b)500℃、(c)450℃ α-LiFeO2粉末の電子顕微鏡写真 異なるLiNO3過剰率の混合粉末を熱処理(500℃)した粉末のXRDパターン(a)5mol%、(b)8mol%、(c)10mol%、(d)15mol% TG-DTAによるα-LiFeO2のCO2吸収特性(室温〜600℃)の比較(a)Fe源の原料;合成α-Fe2O3、(b)Fe源の原料;市販γ-Fe2O3 α-Fe2O3微粉末を用いて合成したα-LiFeO2のCO2吸収前後でのXRDパターン(a)吸収前、(b)吸収後;CO2吸収率約12% α-Fe2O3微粉末を用いて合成したα-LiFeO2のCO2吸収によって生成したLi2CO3とγ-Fe2O3のXRDパターン(CO2吸収率100%) 市販のγ-Fe2O3粉末を用いて合成したα-LiFeO2のCO2吸収前後でのXRDパターン(a)吸収前、(b)吸収後;CO2吸収率約12%

Claims (8)

  1. 柱状結晶のα-Fe2O3とLiNO3との混合物であって、α-Fe2O3に対してLiNO3を化学量論比で5〜15%過剰に含む混合物をLiNO3が融解する温度で加熱して岩塩型リチウムフェライトを得る、岩塩型リチウムフェライトの製造方法。
  2. 前記柱状結晶のα-Fe2O3が柱状結晶のα-FeOOHを熱分解して得たものであり、結晶の大きさが1ミクロン以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 格子定数が4.158Åである、岩塩型リチウムフェライト。
  4. CO2吸収率12%(重量増加率3%)でCO2ガスを吸収反応させた後にも構造相転移しない、請求項3に記載の岩塩型リチウムフェライト。
  5. 100mL/minでCO2ガスを流通させながら、10℃/minで昇温して室温から500℃の温度範囲でCO2を吸収反応させたときの325℃でのCO2吸収率が1%以上(重量増加率が0.25%以上)であり、450℃でのCO2吸収率が4%以上(重量増加率が1%以上)である請求項3または4に記載の岩塩型リチウムフェライト。
  6. 炭酸ガスを含む気体に請求項3〜5のいずれかに記載の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材を接触させて、前記炭酸ガスを含む気体中の前記炭酸ガスと選択的に反応させる炭酸ガス吸収方法。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材と、前記炭酸ガス吸収材を収納し、炭酸ガスを導入するための炭酸ガス導入口とを具備することを含む、炭酸ガス吸収装置。
  8. 請求項3〜5のいずれかに記載の岩塩型リチウムフェライトを含有する炭酸ガス吸収材に炭酸ガスを反応させて生成した生成物と、前記生成物を加熱し炭酸ガスを放出させるための加熱装置と、前記生成物を収納し、前記炭酸ガスを排出する生成ガス排出口とを具備することを含む、炭酸ガス分離装置。
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