JP5279063B2 - Hla−a2拘束性抗原ペプチドおよびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、HLA−A2拘束性抗原ペプチドおよびその用途に関する。
癌細胞を排除する機能を有する細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte;CTL)は、癌細胞表面に発現しているHLAクラスI分子と癌特異的タンパク質由来ペプチドとの複合体を認識して、癌細胞を消滅させる。近年、このメカニズムを利用して、細胞障害性T細胞が認識する標的ペプチドを同定し、これを抗原ペプチドとして人為的に宿主に与え、特異的な抗腫瘍免疫を誘導する方法が、研究されている。そして、そのメカニズムから、前記抗原ペプチドは、癌ワクチンとも呼ばれている。これまでに、いくつかの癌細胞に特異的な抗原ペプチドの同定が行われ、癌ワクチンの応用が試みられているが、効果が十分ではないため、新たな抗原ペプチドの同定が求められている。
Aurora−A kinase(以下、「Aurora−A」)は、細胞分裂を制御するserine/threonine kinaseに密接に関連する機能タンパク質であり、遺伝子関連物質を正確にかつ均等に親細胞から娘細胞に分割する機能に関与している。具体的には、細胞分裂に際して、centrosomeの複製、spindleと染色体の並びや位置決定等を制御している。Auroraは、真核生物から哺乳類まで保存されており、その中に、Aurora−A、Aurora−BおよびAurora−Cの3種類がある。これら3種類は、アミノ酸配列の相同性にもかかわらず、生理的分布や機能に違いがみられ、各々、正常な細胞分裂の制御を担っている。
Aurora−Aは、第20番染色体長腕(20q13.2)に位置し、正常組織では、HLA分子の発現がない精巣細胞にのみで発現が認められ、他の正常組織・正常細胞での発現量は極めて低い。他方、腫瘍細胞では、例えば、悪性黒色腫・乳がん、大腸がん、すい臓がん、卵巣がん、膀胱がん、肝がん、胃がんなど多くの固形がん細胞でその増幅が認められている(非特許文献1)。加えて、Aurora−A遺伝子を過剰発現させたNIH3T3線維芽細胞が癌化することから、発癌遺伝子としても確認されている(非特許文献2)。さらに、本発明者らは、血液系腫瘍である悪性リンパ腫においてもAurora−Aが過剰発現し、重要な癌遺伝子として機能していることを、世界で初めて報告している(非特許文献3)。
Bischoff JR et al. A homologoue of Drosophila aurora kinase is oncogenic and amplified in human colorectal cancers. EMBO J 17: 3052-3065, 1998. Zhou H et al. Tumor amplified kinase STK15/BTAK induces centrosome amplification, aneuploidy and transformation. Nat Genet 20:189-193, 1998. Hamada M et al. Aurora2/BTAK/STK15 is involved in cell cycle checkpoint and cell survival of aggressive non-Hodgkin’s lymphoma. Br J Haematol 121: 439-447, 2003.
前述のような背景から、Aurora−Aは、細胞の癌化に密接に関係し、癌細胞特異的に過剰発現しているタンパク質であるため、癌細胞特異的抗原として、様々な癌に対する免疫療法の標的抗原となり得ると考えられる。しかしながら、現実問題として、Aurora−Aから癌ワクチンとして使用できるペプチドの同定が試みられているが、成功に到っていない。
そこで、本発明は、Aurora−A由来のペプチドであって、癌ワクチンとして使用可能な新たな抗原ペプチドの提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のペプチドは、下記(1)〜(3)のいずれかに記載のペプチドである。
(1)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド。
(2)前記(1)のペプチドとのアミノ酸配列の相同性が80%以上であるペプチドであって、HLA−A2分子と結合することでCD8+T細胞に特異的に認識されうるHLA−A2拘束性抗原ペプチド。
(3)前記(1)のペプチドのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであって、HLA−A2分子と結合することでCD8+T細胞に特異的に認識されうるHLA−A2拘束性抗原ペプチド
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドであり、本発明のベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターである。
本発明のCD8+細胞障害性T細胞の製造方法は、下記工程(a)および(b)を含む。
(a)患者のリンパ球を準備する工程
(b)前記リンパ球と、本発明のペプチドまたはその誘導体とをインキュベーションする工程
本発明の抗原提示細胞の製造方法は、本発明のペプチドを提示する抗原提示細胞の製造方法であって、下記工程(a)および(b)を含む。
(a)患者の樹状細胞を準備する工程
(b)前記樹状細胞と、本発明のペプチドまたはその誘導体とをインキュベーションする工程
本発明の医療組成物は、癌免疫療法に用いる組成物であって、第1の医療組成物は、抗原ペプチドとして、本発明のペプチド、または、その誘導体を含む。また、第2の医療組成物は、本発明のポリヌクレオチド、または、本発明のベクターを含む。さらに、第3の医薬組成物は、本発明の製造方法により製造されたCD8+細胞障害性T細胞を含む。また、第4の医薬組成物は、本発明の製造方法により製造方法された抗原提示細胞を含む。
本発明の活性化誘導剤は、CD8+T細胞の細胞障害性の活性化を誘導する活性化誘導剤であって、本発明のペプチドまたはその誘導体を含む。
一般的に、抗原ペプチドは、T細胞受容体(TCR)に認識される際、特定のHLAクラスΙ分子(ヒト組織適合性抗原;ヒト白血球抗原)に結合することにより、初めてTCRに認識される。このため、白人の約60%、日本人の約20%が占めているHLA−A2分子や、日本人の約60%が占めているHLA−A24分子のように、頻度が高いHLAクラスI分子に対して結合可能なペプチドであれば、その汎用性を担保できると考えられる。そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、HLA−A2と結合するAurora−A由来のペプチドを同定し、本発明に到った。本発明のペプチドは、CD8+T細胞に認識され得る、Aurora−A特異的HLA−A2拘束性抗原ペプチドである。
本発明のペプチドによれば、Aurora−A特異的CD8+T細胞の活性化・増殖を促進できる。この活性化により、Aurora−A特異的CD8+T細胞は、細胞障害活性を有する細胞障害性T細胞(CTL)となるため、悪性腫瘍の破壊による効果的な治療が可能となる。このため、本発明のペプチドは、例えば、癌ワクチン(悪性腫瘍ワクチン)等として使用でき、白血病を含む悪性腫瘍に対するワクチン療法に有用である
また、本発明のペプチドをリンパ球と共培養することで、Aurora−A特異的CD8+細胞障害性T細胞を製造できる。このようにして製造した細胞障害性細胞を、患者の体内に戻すことによって、例えば、白血病を含む悪性腫瘍に対する細胞免疫療法が可能となる。
また、本発明のペプチドを樹状細胞と共培養することで、本発明のペプチドを抗原提示する抗原提示細胞を製造できる。樹状細胞は、主要組織適合抗原(MHC)や共刺激分子を共重合体発現し、抗原未感作のナイーブT細胞をも刺激することができる、極めて強力な抗原提示細胞である。このため、本発明の抗原提示細胞によれば、Aurora−A特異的CD8+T細胞を効果的に活性化して、CTLを誘導できる。したがって、このような抗原提示細胞を、患者の体内に戻すことによって、例えば、白血病等の悪性腫瘍に対して、より効果的な細胞免疫療法が可能となる。
<ペプチド>
本発明のペプチドは、HLA−A2分子上に結合してCD8+T細胞により特異的に認識されうるAurora−Aの抗原ペプチドである。前記HLA−A2分子のHLA遺伝子型は、A0201であることが好ましい。
本発明において、「抗原ペプチド」とは、抗原決定基(エピトープ)を構成するペプチドをいう。前記抗原ペプチドは、抗原決定基の最小単位である必要はなく、例えば、8〜26個、9〜24個、10〜22個又は11〜20個の範囲のアミノ酸により構成されるペプチドが挙げられる。
本発明において、「HLA−A2分子上に結合してCD8+T細胞により特異的に認識される」とは、例えば、あるペプチドが、樹状細胞等の抗原提示細胞表面のHLA−A2分子上に提示された場合、適切な補助刺激因子(共刺激因子)とともに、特異的にCD8+T細胞を活性化しうること等をいう。
本発明のペプチドとHLA−A2分子との結合は、例えば、細胞内部で発現されたペプチド、もしくは、飲食作用により細胞内部に取り込まれたペプチドが、細胞内でHLA−A2分子と結合する場合であってもよく、または、既に細胞表面に存在するHLA−A2分子に、細胞外に存在するペプチドが直接結合する場合であってもよい。
本発明において、HLAクラスI分子とは、ヒトのMHCクラスI分子に対応する分子であり、HLA−A2型とは、HLAクラスI分子が、HLAクラスI分子のアロ抗原型がA2型であること、すなわち、HLA−A2遺伝子の遺伝子産物であることをいい、HLA−A0201型とは、HLA−A2遺伝子の対立遺伝子の遺伝子型がA*0201であることをいう。
本発明のペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含む。配列番号1のアミノ酸配列は、Aurora−Aタンパク質(NCBIアクセッション番号AAH27464)の207番目〜215番目のアミノ酸配列に相当する。
また、本発明のペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドと相同なペプチドを含む。ここで、アミノ酸配列が「相同」であるとは、その機能を維持できるほど十分に類似していることをいう。また、2つ以上のアミノ酸配列において、例えば、80%以上、84%以上、88%以上、92%以上、96%以上の同一性又は類似性を示す場合、これらは相同であるといえる。前記同一性および類似性は、2以上の塩基配列又はアミノ酸配列間で、これらの配列を比較して決定される関係をいう。同一性が、アライメントされた場合の同一文字列の割合を示すのに対し、類似性は、同一文字に加え、同類置換された文字も含む。同一性および類似性は、従来公知の様々なコンピュータープログラムにより、容易に決定できる。本発明のペプチドにおいて、「機能」とは、本発明のペプチドにおいて、前記機能は、HLA−A2分子と結合することでCD8+T細胞に特異的に認識されうることを意味する。
また、本発明のペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであって、前記機能を有するものも含む。相違するアミノ酸の残基数としては、例えば、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個である。
本発明のペプチドの製造方法は、特に制限されず、例えば、従来公知の化学合成装置により製造してもよく、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、例えば、大腸菌、酵母、昆虫細胞等の適当な宿主に導入して生物学的に製造してもよい。
本発明のペプチドは、前述のような癌ワクチンとして使用できるたけでなく、例えば、Aurora−A特異的CTLを患者体外で増殖させた後、体内に移入(例えば、点滴投与等)する養子免疫療法等に使用することができる。また、この他にも、例えば、体内に存在するAurora−A特異的CTLを、高感度かつ迅速に検出できるペプチド・HLAテトラマー診断法にも応用可能である。
本発明の第1の医薬組成物は、本発明のペプチドまたはその誘導体を含む。本発明の第1の医薬組成物は、例えば、本発明のペプチドまたは誘導体のみでもよいし、この他に、さらに、薬学的に許容できるアジュバンド、キャリア又は賦形剤を含んでもよい。また、本発明のペプチドの誘導体としては、特に制限されず、例えば、従来公知の修飾方法により修飾されたもの、例えば、塩、糖鎖修飾されたもの、脂質化されたもの等が含まれる。
本発明のペプチドを含む第1の医薬組成物は、例えば、ワクチンとして患者に有効量投与することを含む悪性腫瘍のワクチン療法に使用できる。前記ワクチンが投与されると、患者の体内において、本発明のペプチドが、例えば、樹状細胞等の抗原提示細胞に取り込まれ、HLAクラスI分子に結合して前記抗原提示細胞上に抗原提示される。そして、発現している共刺激分子とともに、Aurora−A特異的CD8+T細胞を刺激、誘導(活性化)する。活性化により細胞傷害性活性を持ったAurora−A特異的CD8+細胞傷害性T細胞は、前記患者の体内で、Aurora−Aを発現する悪性腫瘍細胞を破壊する。これにより、悪性腫瘍の治療が可能になる。なお、HLA−A2のHLA遺伝子頻度は、日本人で約20%、白人で約60を占めるといわれている。したがって、このように高い頻度のHLA−A2に結合できる点からも、本発明のペプチドならびにこれを含む医薬組成物は、臨床的有用性が極めて高いといえる。
本発明のペプチドを含む第1の医薬組成物の調製方法は、例えば、従来公知のワクチンの調製方法を使用できる。前記ワクチンは、例えば、注射剤として使用する溶液や懸濁液として、本発明のペプチドと、薬学的に許容できる賦形剤とから調製してもよい。また、前記ワクチンを、固体に調製してもよい。前記賦形剤としては、例えば、水、塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等及びそれらの組み合わせである。また必要に応じて、ワクチンは少量の補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝薬、又はワクチンの有効性を高めるアジュバントを含んでいてもよい。前記アジュバントとしては、特に制限されず、従来公知のものを使用でき、その中でも、患者の体内で、樹状細胞等の抗原提示細胞による本発明のペプチドの取込みを促進するものが好ましい。また、本発明のペプチドは、中性または薬学的に許容できる塩として、ワクチンに製剤化されてもよい。
ワクチンは、通常、これらに制限されないが、例えば、表皮下、真皮内、真皮下又は筋肉内等の注射によって非経口的に投与される。他の投与方法に適した製剤として、例えば、坐剤や、経口、口腔内、舌下、腹腔内、鞘膜内、肛門及び頭蓋内製剤がある。ワクチンは、患者及び剤形に合わせて、治療的に有効量投与することが好ましい。
本発明において、治療対象となる悪性腫瘍は、例えば、Aurora−Aタンパク質を発現する悪性腫瘍がであって、例えば、各種白血病や各種固形腫瘍等である。前記白血病としては、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)および小児期ALL等があげられ、前記固形腫瘍としては、例えば、肺、乳房、卵巣、肝臓、膵臓、膀胱及び胃腸の癌、並びに黒色腫等が挙げられるが、これらに限定されない。
<ポリヌクレオチドおよびベクター>
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドである。本発明のポリヌクレオチドは、以下に示す塩基配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドを含む。以下に示す塩基配列からなる本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
tacctaattctggaatatgcaccactt(配列番号6)
さらに、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸配列をコードする塩基配列と相同な塩基配列またはその相補配列からなるポリヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチドの塩基配列が「相同」であるとは、前記ポリヌクレオチドがコードするペプチドが、本発明のペプチドとしての機能を維持できるほど十分に類似していることをいう。例えば、塩基配列に、点変異、欠失又は付加による相違があるとしても、これらが前記遺伝子の機能に影響を与えないならば、両者は相同であるといえる。相違する塩基数としては、例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個又は1個である。また、2つ以上の配列において、例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは約99%の同一性を示す場合、これらは相同であるといえる。また、2つのポリヌクレオチドの一方が、他方の相補配列からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする場合には、両者は相同といえる。前記ストリンジェントな条件としては、特に限定されないが、例えば、6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト、0.01%変性サケ精子核酸を含む溶液中、「Tm−25℃」の温度で一晩保温する条件等があげられる。前記Tmは、例えば、下記式により求められる。下記式中、Nはオリゴヌクレオチドプローブの鎖長であり、%G+Cはオリゴヌクレオチドプローブプライマー中のグアニン及びシトシン残基の含有量である。
Tm=81.5−16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)
本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、特に制限されず、例えば、化学合成により製造してもよく、または、公知のAurora−A遺伝子に基づき設計したプライマーを使用して、各種遺伝子増幅法により製造し、または、適当なベクターにクローニングできる。
本発明のベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターである。本発明のベクターは、発現ベクターであることが好ましく、本発明のポリヌクレオチドが、本発明のベクターが導入される宿主細胞内で発現可能に連結されていることが好ましい。本発明のベクターの種類は、特に制限されず、例えば、ウイルスベクターであってよく、プラスミドベクターであってもよい。
本発明の第2の医薬組成物は、本発明のポリヌクレオチドおよびベクターの少なくとも一方を含む。第2の医薬組成物は、例えば、患者の体内、好ましくは、筋肉細胞内に接種し、本発明のペプチドを発現させることで、Aurora−A特異的免疫反応を誘導するDNA(RNA)ワクチン療法に使用できる。第2の医薬組成物の細胞への導入方法は、特に制限されず、ポリヌクレオチドやベクターの種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、例えば、ウイルスベクターを利用する方法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、細胞融合法、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム法等が挙げられる。
ワクチンとしての調製方法は、特に制限されず、前述の本発明のペプチドを含むワクチン(第1の医薬組成物)と同様に調製できる。また、本発明の第2の医薬組成物において、本発明のポリヌクレオチドは、導入される細胞内で本発明のペプチドを発現できる形態であればよい。この場合、第2の医薬組成物は、ベクターに連結されていない本発明のポリヌクレオチドを、例えば、導入剤とともに含んでもよい。前記導入剤としては、特に制限されないが、例えば、リポソーム等の、非ベクター系遺伝子導入方法に使用されるものがあげられる。また、本発明のポリヌクレオチドを含む第2の医薬組成物を、例えば、パーティクルガン等を用いた直接注入法により、接種することもできる。
<CD8+細胞障害性T細胞の製造方法>
本発明のCD8+細胞障害性T細胞の製造方法は、前述のように、下記工程(a)および(b)を含む。
(a)患者のリンパ球を準備する工程
(b)前記リンパ球と、本発明のペプチドまたはその誘導体とをインキュベートする工程
前記工程(b)においては、例えば、前記リンパ球と、本発明のペプチドを提示する抗原提示細胞とをインキュベーションすることが好ましい。前記抗原提示細胞の調製方法は、特に制限されず、後述する方法があげられる。具体例として、前記工程(b)において、例えば、前記リンパ球と、樹状細胞と、本発明のペプチドとをインキュベートすればよい。樹状細胞は、例えば、本発明のペプチドをパルスされることによって、本発明のペプチドを提示する抗原提示細胞となり、前記リンパ球の増殖および活性化を誘導するため、CD8+細胞障害性T細胞が得られる。
前記リンパ球は、通常、患者の血液から採取される。前記抗原提示細胞としては、例えば、リンパ球を採取した患者から採取したものが使用できる。この他にも、例えば、自己、同種同系、および、HLAクラスIについて前記患者と一致する同種異系の抗原提示細胞が使用できる。前記抗原提示細胞としては、本発明のペプチドをCD8+T細胞に対して提示し、これを増殖刺激して活性化し得るHLA−A2分子および補助刺激分子(共刺激分子)を発現するものが好ましく、例えば、樹状細胞があげられる。抗原提示細胞は、例えば、リンパ球を採取した患者から採取または調製することが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるAurora−A特異的CD8+細胞障害性T細胞は、例えば、白血病細胞を含む悪性腫瘍細胞に対してHLA−A2拘束性の細胞傷害性を示すという特徴的機能を有する。このため、Aurora−A特異的CD8+細胞障害性T細胞は、例えば、前記患者の体内で、Aurora−Aを発現する悪性腫瘍細胞を破壊する。
本発明の第3の医薬組成物は、本発明のCD8+T細胞の製造方法により製造されたAurora−A特異的CD8+細胞傷害性T細胞を含む。この医薬組成物を、例えば、患者に有効量投与することで、悪性腫瘍を治療する細胞免疫療法が可能となる。
<抗原提示細胞の製造方法>
本発明の抗原提示細胞の製造方法は、前述のように、下記工程(a)および(b)を含む。
(a)患者の樹状細胞を準備する工程
(b)前記樹状細胞と、本発明のペプチドまたはその誘導体とをインキュベーションする工程
前記(a)工程において、樹状細胞は、例えば、患者血液に存在する細胞でもよいし、人為的に分化誘導することにより調製した樹状細胞でもよい。前者の場合、例えば、患者本人の血液から血液成分分離装置を用いて樹状細胞そのものを採取する方法により得られる。また、後者の場合、患者の未成熟樹状細胞(例えば、末梢血単球(PBMC))を採取し、例えば、サイトカインの1種であるGM−CSF、IL−4、TNF等で樹状細胞に分化させる方法により得られる。そして、このようにして、採取した樹状細胞を本発明のペプチドとインキュベーションすることにより、例えば、Aurora−A特異的CD8+T細胞に対する免疫誘導力が増強された樹状細胞を製造できる。
また、本発明の抗原提示細胞の製造方法において、前記工程(b)に代えて、下記(c)工程を含んでもよい。
(c)前記樹状細胞に、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のベクターを導入する工程
このように、樹状細胞に本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のベクターを導入することで、樹状細胞内で本発明のペプチドが発現され、これが前記細胞表面に提示された抗原提示細胞が得られる。この抗原提示細胞は、Aurora−A特異的CD8+T細胞に対する免疫誘導力が増強された樹状細胞である。ポリヌクレオチドやベクターの遺伝子導入方法としては、特に制限されず、その種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、例えば、ウイルスベクターを利用する方法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、細胞融合法、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム法等が挙げられる。
本発明の抗原提示細胞の製造方法により製造された細胞は、下記医薬組成物として以外に、も、例えば、本発明のAurora−A特異的CD8+T細胞の製造方法における抗原提示細胞としても使用できる。
本発明の第4の医薬組成物は、本発明の抗原提示細胞の製造方法により製造された抗原提示細胞を含む医薬組成物である。本発明の第4の医薬組成物は、Aurora−A特異的に免疫誘導力が向上した樹状細胞を含んでいるため、例えば、悪性腫瘍の樹状細胞療法に利用できる。また、本発明の第4の医薬組成物は、前記樹状細胞に加え、前述のAurora−A特異的CD8+細胞傷害性T細胞をさらに含んでいてもよい。
<活性化誘導剤>
本発明は、さらなる形態として、CD8+T細胞の細胞障害性の活性化を誘導する活性化誘導剤を含む。本発明の活性化剤は、本発明のペプチドまたはその誘導体、本発明のポリヌクレオチド、および、本発明のベクターの少なくともいずれか含む。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
本実施例では、HLAクラスI拘束性抗原ペプチドの同定を行った。
(1)Aurora−Aペプチドの合成
HLA−A2またはHLA−A24と結合可能性のあるペプチドとして、Aurora−Aのアミノ酸配列由来の複数のペプチドを合成した。
(2)Aurora−AペプチドのHLAクラスI分子に対する結合能の測定
T2細胞はTAP欠損細胞であるため、細胞内在性の抗原を、細胞表面のHLA上にHLA−ペプチド複合体として提示することができない変異細胞である。しかし、細胞に添加したペプチドが、前記細胞表面でHLAと結合する場合には、細胞表面にHLA−ペプチド複合体を形成できる。このため、アッセイのターゲット細胞として有用であることが知られている。そこで、まず、HLA-A2を発現するT2細胞またはHLA−A24を発現するT2A24細胞を、培地に1×10個となるようにまき、合成した各種Aurora−Aペプチド10μmol/Lを添加した後、18時間培養を行った。T2細胞の培地としては、10%FCS・RPMI1640培地を、T2−A24の培地としては、Geneticin(終濃度800μg/mL)を添加した10%FCS・RPMI1640培地をそれぞれ使用した。そして、培養細胞を回収し、これに、FITCで標識化した抗HLA−A2抗体または抗HLA−A24抗体を添加した。これらを4℃で20分反応させた後、0.1%FCS・PBS(−)で、前記細胞を2回洗浄し、フローサイトメーターで蛍光強度を測定した。蛍光指数は、下記式より算出した。
蛍光指数=(S−B)/B
S:各サンプルの平均蛍光強度
B:バックグラウンドの平均蛍光強度
各種Aurora−Aペプチドについて、フローサイトメトリー法により、HLAクラスIに対する親和性を調べた結果を下記表に示す。下記表には、HLA−A2またはHLA−24に対して親和性を示したAurora−Aペプチドの情報、ならびに、測定結果を示す。なお、蛍光指数測定値が1.0以上であるものを、HLAクラスIに対する親和性(結合性)を示すと評価した。なお、一般的に、蛍光指数測定値が1.0以上であれば、結合能が十分であると判断でき、より高い値であれば、さらに結合能が高いと判断できる(高親和性)。
Figure 0005279063
前記表1に示すように、HLA−A2分子に結合し得るペプチドとして、Aurora−A207−215(YLILEYAPL;配列番号1)を、また、HLA−A24分子に結合し得るペプチドとして、Aurora−A206−215(VYLILEYAPL;配列番号2)、Aurora−A235−244(TYITELANAL;配列番号3)、Aurora−A333−341(TYQETYKRI:配列番号4)、Aurora−A337−346(TYKRISRVEF;配列番号5)を、それぞれ初めて同定した。ペプチドの名称に付した数字は、Aurora−Aタンパク質におけるアミノ酸部位であり、各ペプチドのN末端アミノ酸残基とC末端アミノ酸残基の位置を示す。
本実施例では、実施例1で同定されたペプチドAurora−A207−215を用いて、Aurora−Aペプチド特異的細胞障害性T細胞を樹立し、その細胞障害性を確認した。
(1)Aurora−Aペプチド特異的細胞障害性T細胞の樹立
HLA−A2(A0201)陽性ドナーまたはHLA−A24(A2402)陽性ドナーから末梢血単核球(PBMC)を採取し、MACS beadsを用いてCD14陽性細胞を回収した。回収したCD14陽性細胞を、GM−CSF(75ng/mL)およびIL−4(8.3ng/mL)を加えた10%FCS・RPMI1640培地で、5日培養した。培養5日目に、さらに、TNF−α(100U/mL)を加えて、単球由来樹状細胞を誘導・樹立した。そして、培養8日目に樹状細胞を回収し、これを抗原提示細胞として用いた。
同一ドナーのPBMCからMACS beadsを用いて、CD8+T細胞を回収した。そして、前記樹状細胞に10μmol/LのAurora−A207−215(YLILEYAPL)を添加し、1ウェルあたり100μLの培地に前記樹状細胞1×10個をまき、さらに、回収したCD8+T細胞約1×10個を加えて、これを刺激した。なお、CD8+T細胞は、10%ヒト血清を含むRPMI1640培地により培養した。培養開始から8日目、さらに、前記樹状細胞1×10およびAurora−A207−215(10μmol/L)を加えて、2回目の刺激を行った。その2日後、さらに、IL−2(10U/mL)を加えて継続培養を行い、培養開始から15日目に、mitomycin C(MMC)で処理した自己PBMC 1×10個およびAurora−A207−215(10μmol/L)を加えて、3回目の刺激を行った。3回目の刺激より4〜5日後、細胞傷害度を、51Cr放出試験によって測定し、ペプチド特異的な反応が見られる細胞傷害性T細胞(CTL)をスクリーニングした。そして、選択した細胞を、Aurora−A207−215(10μmol/L)で繰り返し刺激しながら培養した。Aurora−A207−215に対する応答が陽性を示した細胞は、IL−2を添加した培地で継続的に培養した。以後、4回目、5回目の刺激には、MMCで処理した自己PBMCを、6回目の刺激以降は、MMCで処理した自己LCLを、それぞれ抗原提示細胞として用いた。
(2)細胞障害性の測定
前記(1)において樹立したCTLについて、従来公知の51Cr放出試験により細胞障害性を確認した。なお、細胞障害性は、Aurora−A207−215を添加する場合と、添加しない場合とで測定した。
まず、51Cr(Na 51CrO)でラベルされた標的細胞を準備した。96穴丸底プレートに、1ウェルあたり200μLの10%FCS・RPMI1640培地とCTL0.5×10個とを加え、さらに、所定の細胞数のCTLを添加して、5時間培養を行った。なお、Aurora−A207−215を添加する場合は、予め、Aurora−A207−215の存在下で標的細胞を2時間培養した後に、CTLを添加した。標的細胞としては、抹消血Bリンパ球にEBウイルスを感染させ腫瘍化させることによって樹立した、Bリンパ球様細胞(LCL;LCL#1〜LCL#5)を使用した。CTLと標的細胞との割合(E/T比)は、10:1、5:1および2.5:1とした。そして、培養により標的細胞とCTLとを反応させた後、培養液の上清を回収して51Cr放出試験を行った。細胞障害度は、下記式より算出した。これらの結果を、下記表2に示す。
細胞傷害度=(各サンプル放出量−自然放出量)/(最大放出量−自然放出量)
Figure 0005279063
前記表に示すように、樹立したCTL株は、Aurora−A207−215を添加された場合のみ、自己LCLおよびアロジェニック(同種異系)細胞に対する障害性を示し、Aurora−A207−215無添加の細胞には、影響を与えなかった。また、このCTL株は、HLA−A2(A0201)陰性細胞(LCL#3〜#5)に対しては、Aurora−A207−215の添加の有無にかかわらず、細胞障害性を示さなかった、よって、本実施例で樹立されたCTLの細胞障害性は、HLA−A2拘束性を示すことが証明された。
(3)樹立したCTL株のHLA−A2拘束性の確認
CTL株のHLA−A2拘束性を確認するために、各種標的細胞を用いて、同様にCTL株の細胞障害性を調べた。標的細胞としては、HLA−A2(A0201)陽性のGANMO−1(急性骨髄性白血病M0型ヒト株化細胞)、CMK11−5急性骨髄性白血病M7型ヒト株化細胞)およびKT−1(慢性骨髄性白血病急性転化型ヒト株化細胞)、ならびに、HLA−A2(A0201)陰性のK562(慢性骨髄性白血病急性転化型ヒト株化細胞)を使用した。白血病細胞の培養には、10%FCS・RPMI1640培地を使用した。また、エフェクターであるCTL株を添加する前、必要に応じて、前記標的細胞に対して、抗HLA−classI抗体(w6/32)、抗HLA−classII抗体(L243)を10μg/mL加えて1時間培養し、その後、CTLを添加した。コントロールとしては、抗体に代えてPBSを添加した。なお、Aurora−A207−215は無添加とした。Aurora−A細胞障害度の算出は、前述の通りである。ペプチド無添加での細胞障害活性の結果を表3に、抗体を添加した場合の結果を、表4に示す。
Figure 0005279063
Figure 0005279063
なお、前記各種標的細胞におけるAurora−A発現量を、予めリアルタイムPCRにより確認した。まず、各腫瘍細胞よりRNAを抽出し、RNA1μgと逆転写酵素とを用いて、公知の方法によりcDNAを調製した。そして、このcDNAを鋳型として、市販のキット(TaqMan(商標) Gene Expression assays、Aurora-A primer、GAPDH primer、Applied Biosystems社製)を用いてリアルタイムPCRを行った。解析は、ABI Prism 7700r(Applied Biosystems社製)により行った。そして、Comparative Ct法を用いて、K562細胞株のAurora−A発現量を1としたときの、各種細胞における発現の相対値を計算した。その結果を以下に示す。下記表に示すように、GANMO-1細胞、CMK11−5細胞が、Aurora−AのmRNAを高発現しており、HLA−A2陽性細胞KT−1は、Aurora−Aをほとんど発現しないこが確認された。
Figure 0005279063
前記表3に示すように、CTLは、Aurora−Aを強く発現しているHLA−A2陽性白血病細胞(GANMO−1、CMK11−5)に対して、Aurora−A207−215無添加であっても、細胞障害性を示すことが確認された。他方、表5に示すようにAurora−Aを強く発現している細胞であっても、HLA−A2陰性白血病細胞(K562)に対しては、細胞障害性は示さなかった。なお、Aurora−Aを発現していないHLA−A2陽性細胞KT−1は、CTL感受性を示さなかった。また、前記表4に示すように、CTLの細胞障害性は、抗HLA−classI抗体を添加することによって阻害された。このことから、CTLは、HLA−A2拘束性細胞障害であることが確認された。これらの結果は、Aurora−Aが、腫瘍細胞内で断片化され、細胞表面のHLA−A2分子に、Aurora−A207−215が提示されていることを意味している。また、この抗原ペプチドAurora−A207−215を標的として、CTLをHLA−A2陽性者に誘導できることを意味している。また、本来、Aurora−Aは、正常組織において、HLA分子が発現されない精巣のみで発現が確認されることから、本発明による正常組織への障害は発生せず、極めて安全性が高いといえる。これらの結果から、本発明者らが新規に同定したAurora−A由来抗原ペプチドAurora−A207−215(YLILEYAPL)は、例えば、癌ワクチンとして極めて有効であることがわかった。
本実施例では、Aurora−Aが、癌免疫療法の標的分子になり得ることをさらに検証する目的で、白血病患者の末梢血中でのAurora−A特異的CTLの存在を調べた。
(1)白血病細胞でのAurora−A発現の定量
HLA−A2陽性の急性骨髄性白血病患者および急性リンパ性白血病患者の各種細胞について、前述と同様のリアルタイムPCR法により、Aurora−A mRNAの発現を定量した。その結果を下記表6に示す。
Figure 0005279063
(2)CTL頻度の測定
まず、HLA−A2陽性の急性骨髄性白血病患者(同種骨髄移植後)および急性リンパ性白血病患者(化学療法後)より末梢血単核球(PBMC)を分離し、1×10〜2×10個となるようにまき、さらにAurora−A207−215(10μmol/L)を加えた。前記PBMCは、IL−7(5ng/mL)およびIL−12(100pg/mL)を含有する10%ヒト血清・RPMI1640培地で培養し、1週間ごとに、Aurora−A207−215(10μmol/L)を添加した。培養4日目からは、IL−2(10U/mL)を加えて継続培養し、培養16日目頃に、ELISPOT法により、Aurora−A特異的CTLの頻度を測定した。
ELISPOT法は、以下の通り行った。まず、底がニトロセルロース膜で形成された96穴MultiScreen−HAプレートに、抗IFN−γモノクローナル抗体(10μg/mL)を添加し、4℃で18時間放置することによって、前記膜に抗体を結合させた。前記膜をPBS(−)で洗浄し、10%FCS・RPMI1640で、37℃、1時間、前記膜をコーティーングした後、T2細胞5×10個をまき、Aurora−A207−215(10μmol/L)を添加して、1時間培養を行った。前記T2細胞は、10%FCS・RPMI1640により培養し、その後、各患者のPBMCをまいて、18時間反応させた。0.1%Tween20を含有するPBS(−)で前記プレートを洗浄し、ウサギ抗IFN−γ抗体を加えて90分、続いて、ヤギ抗ウサギIgG抗体を加えて90分おいた。そして、最後に、混合液(0.1mol/L酢酸ナトリウム(pH5.0)/3−amino−9−Ethylcarbazole/N,N dimethylformamide/0.015% H2O2)100μLを加えて40分反応させて、発色させた。前記プレートを水でよく洗浄し、乾燥させた後、倒立顕微鏡により、スポットを確認した。この結果を、図1の写真に示す。同図は、PMBCについてのELISPOTアッセイの写真であり、(A)が、HLA−A2陽性の急性骨髄性白血病患者の結果、(B)が、急性リンパ性白血病患者の結果を、それぞれ示す。
まず、前記表6に示すように、白血病細胞において、Aurora−Aの高発現が確認された。また、図1に示すように、ELISPOTアッセイにより、それぞれの患者末梢血中に、Aurora−A207−215(YLILEYAPL)を特異的に認識するCTLが存在することが確認された。この結果は、白血病患者内でAurora−A207−215がCTLの標的抗原として、実際に機能していることを示している。このため、ペプチドワクチンAurora−A207−215によれば、これらのCTLを活性化させ、腫瘍細胞を排除できるといえる。以上のように、これらの結果から、Aurora−A207−215が癌ワクチンとして有用であることが臨床的に証明されたといえる。
また、本発明者らは、すでに、Aurora−Aが、悪性リンパ腫にも過剰発現していることを報告しており、加えて、様々な固形癌にも過剰発現している。このことから、本発明のAurora−A207−215は、前述のような白血病のみならず、様々な固形癌に対しても、広汎な腫瘍抗原ペプチドとして機能し、より広範な癌免疫療法としての臨床的有用性が向上するといえる。
以上のように、本発明は、例えば、白血病を含む悪性腫瘍の医療分野、特に、細胞免疫療法、ワクチン療法、遺伝子治療等を含む免疫療法の分野で有用である。
図1は、本発明の一実施例におけるELISPOTアッセイの結果を示す写真である。

Claims (11)

  1. 癌免疫療法に用いる医薬組成物であって、
    抗原ペプチドとして、下記(1)のペプチド、またはその誘導体を含む医薬組成物。
    (1)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド
  2. 前記HLA−A2分子の遺伝子型が、A0201である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 癌免疫療法に用いる医薬組成物であって、
    下記(1)のペプチドをコードするポリヌクレオチド、または前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む医薬組成物。
    (1)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド
  4. 癌免疫療法に用いる医薬組成物の製造方法であって、CD8+細胞傷害性T細胞を製造する下記工程(b)を含む製造方法。
    (b)採取したリンパ球と、下記(1)のペプチド、またはその誘導体とをインキュベーションする工程
    (1)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド
  5. 前記工程(b)において、前記リンパ球と、前記(1)のペプチドを提示する抗原提示細胞とをインキュベーションする、請求項4記載の製造方法。
  6. 癌免疫療法に用いる医薬組成物の製造方法であって、抗原提示細胞を製造する下記工程(b)を含む製造方法。
    (b)採取した樹状細胞と、下記(1)のペプチド、またはその誘導体とをインキュベーションする工程
    (1)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド
  7. 採取した単球を分化誘導することにより、前記樹状細胞を調製する、請求項6記載の製造方法。
  8. 前記工程(b)に代えて、下記(c)工程を含む、請求項6記載の製造方法。
    (c)前記採取した樹状細胞に、前記(1)のペプチドをコードするポリヌクレオチド、または前記ポリヌクレオチドを含むベクターを導入する工程。
  9. 癌免疫療法に用いる医薬組成物であって、
    請求項4または5に記載の製造方法により製造されたCD8+細胞傷害性T細胞、および、請求項6〜8のいずれか一項に記載の製造方法により製造された抗原提示細胞の少なくとも一方を含む医薬組成物。
  10. CD8+T細胞の細胞傷害性の活性化を誘導する活性化誘導剤であって、
    下記(1)のペプチド、またはその誘導体を含む活性化誘導剤。
    (1)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド
  11. 癌免疫療法に用いる医薬組成物であって、
    請求項10記載の活性化誘導剤を含む医薬組成物。
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