JP5278696B2 - 電動過給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの電動過給装置に係り、詳しくは、コンプレッサを駆動する電動機の制御技術に関する。
近年、エンジンに搭載される過給機として、電動機によりコンプレッサを駆動する構成の電動過給機が開発されている。
電動過給機は、例えばエンジン回転速度及びアクセル開度に基づいて電動機の回転速度が制御されることで、過給圧を任意に設定することができる(特許文献1)。
更に、電動過給機の過給圧が目標過給圧に一致するように、フィードバック制御が行われるものもある。例えばエンジン回転速度及びアクセル開度に基づいて演算した目標過給圧と実過給圧とを比較し、その差に応じて、目標過給圧に基づいて設定された電動過給機の基本目標回転速度を補正して、電動過給機の目標回転速度を決定する。また、目標過給圧の演算は、通常、マップを用いて行われており、マップの容量を低減するためにデータ数を抑え、データ間を補間によって求めている。
特開2007−77909号公報
しかしながら、上記のように電動過給機を制御するものでは、外的要因等でエンジン回転速度が微少変動すると、目標過給圧を求めるマップの設定によっては、目標過給圧が大きく変動する虞がある。このように、目標過給圧が変動すると、これに伴い実過給圧が変動し、エンジントルクが変動するので、エンジン回転速度の変動が増幅され、車両に前後振動、所謂サージやしゃくりが発生してしまう。特に、上記のようにマップにおけるデータ数が少ない場合や、応答性を向上させるためにエンジン回転速度に対して目標過給圧が急激に変化するようにマップが設定されている場合には、エンジン回転速度の変動が大きく増幅されてしまう。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電動過給機の過給圧の変動を抑え、エンジンの回転速度の変動を抑制する電動過給装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の電動過給装置は、電動機によって駆動されたコンプレッサによりエンジンの吸気を過給する電動過給機と、電動機の目標回転速度を演算し、該目標回転速度に応じて電動機を作動制御する制御手段と、を備えた電動過給装置において、制御手段は、電動過給機の目標過給圧を求める目標過給圧演算手段と、目標過給圧演算手段により演算された目標過給圧を1次遅れ処理するフィルタ手段と、フィルタ手段により1次遅れ処理された目標過給圧に基づいて電動機の目標回転速度を演算する目標回転速度演算手段と、を備え、フィルタ手段は、エンジンの実回転速度の所定時間内の変動量が所定値より大きい場合には、目標過給圧を1次遅れ処理させずに出力することを特徴とする。
本発明の請求項1の電動過給装置によれば、電動過給機の目標過給圧に対して1次遅れ処理が施され、該1次遅れ処理した目標過給圧に基づいて電動機の目標回転速度が演算されるので、エンジン回転速度が何らかの原因で変動しても電動機の目標回転速度の変動を抑制することができる。したがって、電動過給機の過給圧の変動が抑制されて、エンジン回転速度の変動の増幅を防止することが可能となり、車両の前後振動の発生を抑制することができる。
特に、目標過給圧演算手段において演算した目標過給圧に対して1次遅れ処理を行うので、目標過給圧の演算時に変動が増幅されたとしても、この変動を確実に抑えることができ、よってエンジン回転速度の変動を確実に抑制することができる。
更に、実回転速度の所定時間内の変動量が所定値より大きい場合には目標過給圧の1次遅れ処理が行われないので、例えば加速時においては過給圧制御の応答性を向上させることができ、加速性能を向上させることができる。
本発明に係る電動過給装置を備えたエンジンの吸気系の概略構成図である。 モータ制御部における目標回転速度の演算手順を示すブロック図である。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る電動過給機の制御装置を備えたエンジン1の吸気系の概略構成図である。
図1に示すように、エンジン1には、電動過給機2が備えられている。電動過給機2は、エンジン1の吸気通路3に介装されたコンプレッサ4と、該コンプレッサ4を回転駆動するモータ5(電動機)とを含んで構成されている。
コンプレッサ4は、吸気通路3に備えられたエアクリーナ6の下流側かつスロットルバルブ7の上流側に備えられており、吸気を圧縮することで、吸気流量を増加させる機能を有している。
吸気通路3には、コンプレッサ4をバイパスするバイパス路8が設けられている。バイパス路8には、リードバルブ9が介装されている。リードバルブ9は、コンプレッサ4停止時でも慣性過給が可能となるように、エアクリーナ6からスロットルバルブ7へ向かう方向にのみ吸気の通過を許容する機能を有している。
スロットルバルブ7より下流側の吸気通路3には、エンジン1に流入する吸気の流量を検出するエアフローセンサ10、及び過給圧を検出する過給圧センサ11が設けられている。
ECU20は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
ECU20の入力側には、上記エアフローセンサ10、過給圧センサ11の他に、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサ21、アクセルの開度を検出するアクセルポジションセンサ22等が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU20の出力側には、上記スロットルバルブ7の他に図示しない燃料噴射弁等の各種出力デバイスが接続されている。ECU20は、各種センサ類からの検出情報に基づいて、吸気量、燃料噴射量、燃料噴射時期等を演算し、各種出力デバイスにそれぞれ出力することで、適正なタイミングでスロットルバルブ7や燃料噴射弁等を制御する。
また、ECU20は、内蔵するモータ制御部30(制御手段)において、エアフローセンサ10から入力した吸気量Q及び過給圧センサ11から入力した実過給圧Pb、アクセルポジションセンサ22よりから入力したアクセル開度APS及びクランク角センサ41から入力したクランク角の推移に基づいて計測されたエンジン回転速度Neに基づいて、モータ5の目標回転速度Ncを演算する。更に、ECU20は、演算した目標回転速度Ncに基づいてモータ5を作動制御する。
図2は、モータ制御部30におけるモータ5の目標回転速度Ncの演算手順を示すブロック図である。
図2に示すように、モータ制御部30は、目標過給圧演算部31、1次遅れ処理部32(フィルタ手段)、基本目標回転速度演算部33(目標回転速度演算手段)、フィードバック制御部34(補正手段)と、を含んで構成されている。
目標過給圧演算部31は、負荷としてアクセルポジションセンサ22よりから入力したアクセル開度APSと、クランク角センサ21から入力したクランク角の推移から計測されたエンジン回転速度Neとに基づいて、目標過給圧Pbtを演算する。目標過給圧Pbtの演算は、あらかじめ記憶したマップからアクセル開度APSとエンジン回転速度Neとの組み合わせに基づいて求められる。目標過給圧演算部31では、容量を節約するために、マップ上の記憶データ数が抑えられている。目標過給圧演算部31は、マップから読み出されたデータを補間処理して目標過給圧Pbtを求める。
1次遅れ処理部32は、具体的には公知のLPF(ローパスフィルタ)であり、目標過給圧演算部31において演算された目標過給圧Pbtを1次遅れ処理して出力する。1次遅れ処理は、例えば以下の(1)式によって行われる。
1次遅れ後の目標過給圧Pbt(n)=前回の1次遅れ後の目標過給圧Pbt(n-1)×FG+マップから読み出した目標過給圧Pbt×(1−FG)・・・(1)
FGは、フィルタゲインであり、例えば1.0以下に適宜設定される。
基本目標回転速度演算部33は、1次遅れ処理部32により1次遅れ処理された目標過給圧Pbtと、エアフローセンサ10から入力した吸気量Qに基づいて基本目標回転速度Ncaを演算する。基本目標回転速度Ncaの演算は、あらかじめ記憶したマップから目標過給圧Pbtと吸気量Qとの組み合わせに基づいて読み出すことで行われる。
フィードバック制御部34は、1次遅れ処理部32により1次遅れ処理された目標過給圧Pbtと過給圧センサ11から入力した実過給圧Pbとに基づいて、基本目標回転速度演算部33において演算された基本目標回転速度Ncaを補正し、目標回転速度Ncを求める。詳しくは、目標過給圧Pbtと実過給圧Pbとの偏差ΔPbを求め、この偏差を比例ゲインKpを掛けて求めた値により、基本目標回転速度Ncaを比例補正する。更に、本実施形態では、目標過給圧Pbtと実過給圧Pbとの偏差ΔPbの積分値に基づき基本目標回転速度Ncaを積分補正するとともに、偏差ΔPbの微分値に基づき基本目標回転速度Ncaを微分補正する。
以上のように、モータ制御部30において目標回転速度Ncを演算する際に、本実施形態ではアクセル開度APSとエンジン回転速度Neから演算した目標過給圧Pbtに対して1次遅れ処理をするので、例え目標過給圧演算部31において演算した目標過給圧Pbtが変動しても、基本目標回転速度演算部33に入力する目標過給圧Pbtの変動が抑制される。
ところで、電動過給機は、通常、エンジン回転速度Ne及び負荷に基づいて目標過給圧Pbtが設定される。このように設定するものにおいて、外的要因等何らかの原因でエンジン回転速度Neが微少に変動した場合、これに伴い目標過給圧Pbtが変動するので、電動過給機の実過給圧が変動する。したがって、エンジントルクが変動して、エンジン回転速度Neの変動が増幅してしまう虞がある。
これに対し、上記のように本実施形態では、目標過給圧Pbtに対して1次遅れ処理を施すことで、エンジン回転速度Neが変動しても、目標過給圧Pbtの変動が抑制されるので、エンジントルクの変動を抑えることができる。よって、エンジン回転速度Neの変動の増幅を防止することができるので、車両の前後振動、所謂サージやしゃくりの発生を防止することができる。
特に、本実施形態では、目標過給圧演算部31におけるマップは、容量を抑制するためにデータ数が抑えられているので、入力信号の1つであるエンジン回転速度Neが微少に変動すると、出力信号である目標過給圧Pbtの変動が大きくなる虞がある。しかしながら、このような場合でも本実施形態では目標過給圧Pbtの変動を確実に抑えることができる。また、目標過給圧演算部31において、エンジン回転速度Neの変化に対して目標過給圧Pbtの変化が大きく設定されているマップが使用されている場合でも、エンジン回転速度Neの変動に対して目標過給圧Pbtの変動の増幅を防止することができる。
更に、目標過給圧Pbtに1次遅れ処理を施すことで例え実過給圧Pbと目標過給圧Pbtとに偏差ΔPbが発生したとしても、基本目標回転速度演算部33の後段に設けたフィードバック制御部34によりこの偏差ΔPbを無くすようにモータ5の目標回転速度Ncを設定するので、正確な過給圧制御を可能にすることができる。
なお、1次遅れ処理に関しては、本実施形態のように目標過給圧Pbtに対して行うだけではなく、例えばエンジン回転速度Neや実過給圧Pbに対して1次遅れ処理を施す方法が考えられる。しかしながら、エンジン回転速度Neに1次遅れ処理を施した場合には、例えばCVT車のように、エンジン回転速度Neが一定になるように変速制御している場合には、エンジン回転速度Neの変動が既に抑えられており、1次遅れ処理を施してもその効果が得られにくい。そして、例えエンジン回転速度Neの変動がある程度抑えられたとしても、その後の目標過給圧演算部31において、変動が増幅する虞があるので、本実施形態ほど過給圧の変動を抑制する効果が得られにくい。
一方、実過給圧Pbに対して1次遅れ処理を施す方法では、回転変動時の目標過給圧Pbtと実過給圧Pbとの偏差が減少してしまう。したがって、フィードバック制御の効果が減少し、制御精度が低下するとともに、フィードバック制御の比例ゲインKpを設定することが困難となる。
これに対し、本実施形態では、目標過給圧Pbtに対して1次遅れ処理を施すことで、上記問題が発生せず、電動過給機2の作動制御の正確性を確保しつつ、電動過給機2の回転速度の変動を抑え、車両の前後振動を防止することができる。
更に、ECU20は、車両の走行速度を入力し、エンジンの実回転速度Neの所定時間内の変動量が所定値より大きい場合には1次遅れ処理部32における1次遅れ処理をせず、即ち定速走行時にのみ1次遅れ処理部32において1次遅れ処理を施すようにする。これにより、定速走行時には確実に車両のサージ等を防止するとともに、車速変動時においては1次遅れ処理が施されず、応答性のよい過給圧制御が行われ、アクセル操作に対する応答性を向上させることができる。
1 エンジン
2 電動過給機
5 モータ
11 過給圧センサ
20 ECU
30 モータ制御部
31 目標過給圧演算部
32 1次遅れ処理部
33 基本目標回転速度演算部
34 フィードバック制御部

Claims (1)

  1. 電動機によって駆動されたコンプレッサによりエンジンの吸気を過給する電動過給機と、
    前記電動機の目標回転速度を演算し、該目標回転速度に応じて前記電動機を作動制御する制御手段と、を備えた電動過給装置において、
    前記制御手段は、
    前記電動過給機の目標過給圧を求める目標過給圧演算手段と、
    前記目標過給圧演算手段により演算された目標過給圧を1次遅れ処理するフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段により1次遅れ処理された目標過給圧に基づいて前記電動機の目標回転速度を演算する目標回転速度演算手段と、を備え、
    前記フィルタ手段は、前記エンジンの実回転速度の所定時間内の変動量が所定値より大きい場合には、前記目標過給圧を1次遅れ処理させずに出力することを特徴とする電動過給装置。
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