以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、いわゆるセパレート型の空気調和装置(150)である。また、この空気調和装置(150)の冷媒回路(160)には、スクロール圧縮機(171)が接続されている。
〈空気調和装置〉
空気調和装置(150)の全体構成について、図1を参照しながら説明する。この空気調和装置(150)は、一台の室外ユニット(151)と、二台の室内ユニット(153a,153b)とを備えている。なお、室内ユニット(153a,153b)の台数は、単なる一例であって、一台でもよく、また三台以上であってもよい。
室外ユニット(151)には、室外回路(170)が設けられている。各室内ユニット(153a,153b)には、室内回路(175a,175b)が一つずつ設けられている。空気調和装置(150)では、室外回路(170)と各室内回路(175a,175b)を液側連絡配管(161)及びガス側連絡配管(162)で接続することによって、冷媒回路(160)が形成されている。この冷媒回路(160)において、各室内回路(175a,175b)は、互いに並列に配置されている。
室外回路(170)には、スクロール圧縮機(171)と、室外熱交換器(172)と、室外膨張弁(173)と、四方切換弁(174)とが接続されている。また、スクロール圧縮機(171)は、圧縮機本体(10)と、上流側冷却器(181)とを備えている。
室外回路(170)において、スクロール圧縮機(171)の圧縮機本体(10)は、その吐出管(13)が四方切換弁(174)の第1のポートに接続され、その吸入管(12)が四方切換弁(174)の第2のポートに接続されている。室外熱交換器(172)は、その一端が四方切換弁(174)の第3のポートに接続され、その他端が室外膨張弁(173)の一端に接続されている。室外膨張弁(173)の他端は、室外回路(170)の液側端に接続されている。四方切換弁(174)の第4のポートは、室外回路(170)のガス側端に接続されている。
スクロール圧縮機(171)の詳細な構造は後述する。ここでは、スクロール圧縮機(171)の概要を説明する。スクロール圧縮機(171)の圧縮機本体(10)は、いわゆる全密閉型圧縮機である。圧縮機本体(10)には、上流側冷却器(181)が接続されている。この上流側冷却器(181)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、ケーシング(11)内に貯留された冷凍機油(即ち、潤滑油)を室外空気と熱交換させることによって冷却する。
室外熱交換器(172)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒回路(160)内を循環する冷媒を室外空気と熱交換させる。室外膨張弁(173)は、いわゆる電子膨張弁である。四方切換弁(174)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
各室内回路(175a,175b)には、室内熱交換器(176a,176b)と室内膨張弁(177a,177b)とが一つずつ接続されている。各室内回路(175a,175b)では、そのガス側端から液側端に向かって順に、室内熱交換器(176a,176b)と室内膨張弁(177a,177b)が直列に配置されている。各室内回路(175a,175b)は、その液側端が液側連絡配管(161)を介して室外回路(170)の液側端に接続され、そのガス側端がガス側連絡配管(162)を介して室外回路(170)のガス側端に接続されている。
室内熱交換器(176a,176b)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒回路(160)内を循環する冷媒を室内空気と熱交換させる。室内膨張弁(177a,177b)は、いわゆる電子膨張弁である。
室外ユニット(151)には、室外ファン(152)が設けられている。室外ファン(152)は、室外熱交換器(172)と上流側冷却器(181)の両方へ室外空気を供給するためのものである。つまり、室外ファン(152)を運転すると、室外ユニット(151)へ吸い込まれた室外空気の一部が上流側冷却器(181)を、残りが室外熱交換器(172)をそれぞれ通過する。また、各室内ユニット(153a,153b)には、室内ファン(154a,154b)が一つずつ設けられている。室内ファン(154a,154b)は、室内熱交換器(176a,176b)へ室内空気を供給するためのものである。つまり、室内ファン(154a,154b)を運転すると、室内ユニット(153a,153b)へ吸い込まれた室内空気が室内熱交換器(176a,176b)を通過する。
〈スクロール圧縮機〉
スクロール圧縮機(171)の全体構成について、図2を参照しながら説明する。上述したように、スクロール圧縮機(171)は、圧縮機本体(10)と上流側冷却器(181)とを備えている。また、このスクロール圧縮機(171)は、冷却用流体回路(180)を備えている。上流側冷却器(181)は、冷却用流体回路(180)に接続されている。冷却用流体回路(180)の詳細については、後述する。
上述したように、圧縮機本体(10)は、いわゆる全密閉型圧縮機であって、ガス冷媒を被圧縮ガスとして吸入して圧縮する。圧縮機本体(10)は、縦長円筒形の密閉容器状に形成されたケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)の内部空間には、圧縮機構(20)と、駆動軸(100)と、電動機(110)と、下部軸受部材(115)と、油ポンプ(120)とが収容されている。ケーシング(11)の内部空間では、その上部に圧縮機構(20)が配置され、圧縮機構(20)の下方に電動機(110)が配置され、電動機(110)の下方に下部軸受部材(115)が配置されている。また、ケーシング(11)の内部空間では、その底部に冷凍機油(即ち、潤滑油)が貯留されている。
ケーシング(11)には、吸入管(12)と、吐出管(13)とが設けられている。吸入管(12)は、ケーシング(11)を貫通しており、その一端が圧縮機構(20)に接続されている。一方、吐出管(13)は、ケーシング(11)を貫通しており、その一端がケーシング(11)の内部空間における圧縮機構(20)と電動機(110)の間の部分に開口している。また、ケーシング(11)には、上流側油導出管(14)と上流側油導入管(15)とが設けられている。上流側油導出管(14)及び上流側油導入管(15)については、後述する。
圧縮機構(20)には、固定スクロール(30)と、旋回スクロール(50)と、ハウジング部材(70)とが設けられている。圧縮機構(20)の詳細な構造については、後述する。
電動機(110)は、固定子(111)と、回転子(112)とを備えている。固定子(111)は、ケーシング(11)に固定されている。回転子(112)は、固定子(111)の内側に挿入されている。また、回転子(112)には、駆動軸(100)が挿通されている。
駆動軸(100)は、主軸部(101)と、偏心部(102)と、下端軸部(103)と、バランスウェイト(104)とを備えている。偏心部(102)は、主軸部(101)の上端面に突設されており、その中心軸が主軸部(101)の中心軸に対して偏心している。バランスウェイト(104)は、主軸部(101)の上端寄りの部分に配置されている。主軸部(101)は、バランスウェイト(104)よりも上側の部分が圧縮機構(20)のハウジング部材(70)を貫通しており、この部分がハウジング部材(70)によって回転自在に支持されている。下端軸部(103)は、主軸部(101)の下端面に突設されており、その中心軸が主軸部(101)の中心軸と一致している。
駆動軸(100)には、軸内通路(105)と、上側分岐通路(106)と、下側分岐通路(107)とが形成されている。軸内通路(105)は、主軸部(101)の中心軸に沿って延びている。また、軸内通路(105)は、その一端が下端軸部(103)の下端面に開口し、その他端が偏心部(102)の上端面に開口している。上側分岐通路(106)は、主軸部(101)のうちハウジング部材(70)を貫通している部分に形成されている。この上側分岐通路(106)は、主軸部(101)の半径方向へ延びる通路であって、その一端が軸内通路(105)に連通し、その他端が主軸部(101)の外周面に開口している。下側分岐通路(107)は、下端軸部(103)に形成されている。この下側分岐通路(107)は、下端軸部(103)の半径方向へ延びる通路であって、その一端が軸内通路(105)に連通し、その他端が下端軸部(103)の外周面に開口している。
下部軸受部材(115)は、概ね平板状に形成され、ケーシング(11)に固定されている。下部軸受部材(115)では、その中央部に貫通孔が形成されており、この貫通孔に軸受メタル(116)が圧入されている。この軸受メタル(116)には、駆動軸(100)の下端軸部(103)が挿入されている。そして、下部軸受部材(115)は、駆動軸(100)の下端軸部(103)を回転自在に支持するジャーナル軸受を構成している。
油ポンプ(120)は、下部軸受部材(115)の下面に取り付けられている。図5に示すように、この油ポンプ(120)は、容積型ポンプの一種であるトロコイドポンプである。具体的に、油ポンプ(120)では、円筒ハウジング(121)の内側にアウターロータ(124)が回転自在に収容されている。円筒ハウジング(121)の端面には、吸入口(122)と吐出口(123)とが形成されている。この吸入口(122)は、ケーシング(11)内の底部に貯留された冷凍機油に浸っている。アウターロータ(124)の内側には、インナーロータ(125)が収容されている。インナーロータ(125)とアウターロータ(124)の間には、流体室(126)が形成される。インナーロータ(125)の回転軸は、アウターロータ(124)の回転軸に対して偏心している。また、インナーロータ(125)は、駆動軸(100)に直結され、あるいは歯車等を介して駆動軸(100)に連結されており、駆動軸(100)によって回転駆動される。インナーロータ(125)が回転すると、冷凍機油が吸入口(122)を通って流体室(126)へ吸い込まれ、流体室(126)内の冷凍機油が吐出口(123)へと押し出される。
〈圧縮機構〉
圧縮機構(20)の詳細な構造について、図3と図4を参照しながら説明する。
上述したように、圧縮機構(20)は、固定スクロール(30)と、旋回スクロール(50)と、ハウジング部材(70)とを備えている。また、圧縮機構(20)では、ハウジング部材(70)の上に固定スクロール(30)が載置され、固定スクロール(30)とハウジング部材(70)によって囲まれた空間に旋回スクロール(50)が収容されている。
図3に示すように、ハウジング部材(70)は、ハウジング本体部(71)と、中央膨出部(74)とを備え、ケーシング(11)に固定されている。また、ハウジング本体部(71)は、円板部(72)と外側縁部(73)とを備えている。円板部(72)は、肉厚の円板状に形成されている。外側縁部(73)は、肉厚の短い円筒状に形成されており、円板部(72)の外側の縁部から図3における上方へ延びている。ハウジング本体部(71)の外周面(即ち、円板部(72)及び外側縁部(73)の外周面)は、ケーシング(11)の内周面に密着している。一方、中央膨出部(74)は、全体として肉厚の円板状に形成され、円板部(72)の背面(図3における下面)から下方へ向かって膨出している。
ハウジング部材(70)では、中央膨出部(74)の中央部に貫通孔が形成されており、この貫通孔に軸受メタル(82)が圧入されている。この軸受メタル(82)には、駆動軸(100)の主軸部(101)が挿通されている。そして、ハウジング部材(70)は、駆動軸(100)の主軸部(101)を回転自在に支持するジャーナル軸受を構成している。
また、ハウジング部材(70)では、ハウジング本体部(71)の円板部(72)に、中央凹部(75)と環状凸部(76)とが形成されている。中央凹部(75)は、円板部(72)の前面(図3における上面)に開口する有底の窪みであって、その軸方向と直交する断面が円形となっている。軸受メタル(82)が挿入された中央膨出部(74)の貫通孔は、この中央凹部(75)の底面に開口している。環状凸部(76)は、中央凹部(75)の外周縁に沿って形成され、円板部(72)の前面(図3における上面)から突出している。環状凸部(76)の突端面(図3における上面)は、平面に形成されていて旋回スクロール(50)と摺接する。
環状凸部(76)には、その突端面に開口する環状溝(77)が形成されている。この環状溝(77)は、環状凸部(76)の周方向に延びる円環状の溝であって、旋回スクロール(50)との摺接面に開口する窪み部を構成している。また、環状凸部(76)の突端面では、環状溝(77)の内側と外側のそれぞれに、環状溝(77)と同心の円環状の溝が形成されている。そして、環状溝(77)の内側の溝には内側シールリング(80)が嵌め込まれ、環状溝(77)の外側の溝には外側シールリング(81)が嵌め込まれている。内側シールリング(80)及び外側シールリング(81)は、窪み部である環状溝(77)の周囲を囲むシール部材を構成している。
固定スクロール(30)は、固定側本体部材(31)と、固定側背面部材(35)とを備えている。また、固定側本体部材(31)は、固定側平板部(32)と、固定側ラップ(33)と、外周部(34)とを備えている。
固定側平板部(32)は、概ね円板状に形成されている。固定側ラップ(33)は、固定側平板部(32)の前面(図3における下面)に立設されている。図4に示すように、固定側ラップ(33)は、固定側平板部(32)の中心付近から外周側へ向かって渦巻き状に延びる壁状に形成されている。外周部(34)は、肉厚の短い円筒状に形成されており、固定側平板部(32)の周縁部分から図3における下方へ延びている。この外周部(34)は、固定側ラップ(33)の外周側を囲っている。
固定側本体部材(31)は、固定側ラップ(33)の先端(図3における下端)がハウジング部材(70)側を向く姿勢で、ハウジング部材(70)の上に載置されている。固定側本体部材(31)は、ボルト等によってハウジング部材(70)に固定されている。この状態において、固定スクロール(30)の外周部(34)の突端面(図3における下面)は、ハウジング部材(70)の外側縁部(73)の突端面(図3における上面)に密着する。
固定側背面部材(35)は、概ね円板状に形成され、固定側本体部材(31)の上に載置されている。具体的に、固定側背面部材(35)は、固定側本体部材(31)の固定側平板部(32)の上に重ねられており、固定側平板部(32)の背面(図3における上面)を全体に亘って覆っている。また、固定側背面部材(35)は、ボルトや接着剤等によって固定側本体部材(31)に固定されている。そして、固定スクロール(30)では、固定側本体部材(31)の固定側平板部(32)と固定側背面部材(35)とが、固定側鏡板部(36)を構成している。
固定スクロール(30)には、吸入ポート(21)と、吐出ポート(22)とが形成されている。吸入ポート(21)は、固定側本体部材(31)の外周部(34)に形成されており、外周部(34)をその径方向に貫通している。また、吸入ポート(21)には、吸入管(12)の一端が挿入されている。吐出ポート(22)は、固定側鏡板部(36)の中央部に形成されている。そして、この吐出ポート(22)は、固定側背面部材(35)と固定側本体部材(31)の固定側平板部(32)とを、それぞれの厚み方向へ貫通している。
また、固定スクロール(30)には、逆止弁(25)が取り付けられている。この逆止弁(25)は、弁体(26)と弁押え(27)とを備えており、固定側背面部材(35)の背面(図3における上面)に設置されている。この逆止弁(25)は、スクロール圧縮機(171)の停止中に吐出ポート(22)を塞ぐためのものである。スクロール圧縮機(171)の運転中において、吐出ポート(22)は常に開口状態に保たれる。
旋回スクロール(50)は、旋回側本体部材(51)と、旋回側背面部材(54)とを備えている。また、旋回側本体部材(51)は、旋回側平板部(52)と、旋回側ラップ(53)とを備えている。
旋回側平板部(52)は、概ね円板状に形成されている。旋回側ラップ(53)は、旋回側平板部(52)の前面(図3における上面)に立設されている。旋回側ラップ(53)は、旋回側平板部(52)の中心付近から外周側へ向かって渦巻き状に延びる壁状に形成されている。
旋回側背面部材(54)は、概ね円板状に形成されており、旋回側平板部(52)の背面(図3における下面)を全体に亘って覆っている。つまり、旋回スクロール(50)では、旋回側背面部材(54)の上に旋回側本体部材(51)が載置されている。また、旋回側背面部材(54)は、ボルトや接着剤等によって旋回側本体部材(51)に固定されている。そして、旋回スクロール(50)では、旋回側本体部材(51)の旋回側平板部(52)と旋回側背面部材(54)とが、旋回側鏡板部(56)を構成している。
旋回側背面部材(54)には、円筒凸部(55)が一体に形成されている。円筒凸部(55)は、円筒状に形成され、旋回側背面部材(54)の背面(図3における下面)に突設されている。この円筒凸部(55)には、軸受メタル(57)が圧入されている。この軸受メタル(57)には、駆動軸(100)の偏心部(102)が、円筒凸部(55)の突端側(図3における下端側)から挿入されている。また、円筒凸部(55)の内側では、駆動軸(100)の偏心部(102)の上端面の上側に上端空間(66)が形成されている。この上端空間(66)は、偏心部(102)の上端面に開口する軸内通路(105)と連通している。
旋回スクロール(50)は、その旋回側ラップ(53)が固定スクロール(30)の固定側ラップ(33)と噛み合わされている。そして、固定スクロール(30)と旋回スクロール(50)の間には、固定側鏡板部(36)、固定側ラップ(33)、旋回側鏡板部(56)、及び旋回側ラップ(53)によって囲まれた圧縮室(23)が形成される。
また、旋回スクロール(50)は、ハウジング部材(70)の環状凸部(76)の上に載置されており、旋回側背面部材(54)の背面(図3における下面)が環状凸部(76)の突端面(図3における上面)と摺接する。ただし、ハウジング部材(70)の環状凸部(76)と旋回側背面部材(54)とは、物理的に接触してはおらず、両者の間には微小な隙間が形成される。そして、ハウジング部材(70)の環状凸部(76)と旋回側背面部材(54)との隙間は、内側シールリング(80)及び外側シールリング(81)によってシールされる。
旋回スクロール(50)とハウジング部材(70)との間には、オルダム継手(89)が設けられる。このオルダム継手(89)は、自転防止機構(88)を構成している。つまり、オルダム継手(89)は、旋回スクロール(50)とハウジング部材(70)の両方に対してスライド自在に係合し、旋回スクロール(50)の自転を規制する。
〈冷却用流体回路、固定側通路、旋回側通路〉
上述したように、スクロール圧縮機(171)には、冷却用流体回路(180)が設けられている。この冷却用流体回路(180)では、冷凍機油(即ち、潤滑油)が冷却用流体として流通する。また、固定スクロール(30)には、冷却用流体を流すための固定側通路(40)が形成され、旋回スクロール(50)には、冷却用流体を流すための旋回側通路(60)が形成されている。
図3及び図4に示すように、固定スクロール(30)には、ラップ内通路(41)と、鏡板内通路(42)と、本体側連通路(45)と、導入通路(43)と、導出通路(44)とが形成されており、これらが固定側通路(40)を構成している。
ラップ内通路(41)及び鏡板内通路(42)は、固定側本体部材(31)に形成されている。ラップ内通路(41)は、固定側平板部(32)の背面に開口する比較的深くて幅の狭い溝状の通路であって、固定側平板部(32)から固定側ラップ(33)に亘って形成されている。このラップ内通路(41)は、固定側ラップ(33)に沿った渦巻き状に形成されている。鏡板内通路(42)は、固定側平板部(32)の背面に開口する比較的浅くて幅の広い溝状の通路であって、固定側平板部(32)のみに形成されている。この鏡板内通路(42)は、ラップ内通路(41)に沿った渦巻き状に形成されている。ラップ内通路(41)及び鏡板内通路(42)は、固定側背面部材(35)によって覆われている。
本体側連通路(45)は、固定側本体部材(31)の外周部(34)に形成されている。この本体側連通路(45)は、外周部(34)をその厚み方向へ貫通しており、その一端が外周部(34)の突端面(図3における下面)に開口し、その他端が固定側本体部材(31)の背面(図3における上面)に開口している。導入通路(43)及び導出通路(44)は、固定側背面部材(35)に形成されている。導入通路(43)は、固定側本体部材(31)の背面に開口する本体側連通路(45)と、ラップ内通路(41)及び鏡板内通路(42)の最外周側の端部とを接続している。導出通路(44)は、その一端がラップ内通路(41)及び鏡板内通路(42)の最内周側の端部に連通し、その他端が固定側背面部材(35)の外周面に開口している。つまり、導出通路(44)は、その他端においてケーシング(11)の内部空間と連通している。
図3に示すように、旋回スクロール(50)には、ラップ内通路(61)と、鏡板内通路(62)と、導入通路(63)と、導出通路(64)とが形成されており、これらが旋回側通路(60)を構成している。
ラップ内通路(61)及び鏡板内通路(62)は、旋回側本体部材(51)に形成されている。ラップ内通路(61)は、旋回側平板部(52)の背面に開口する比較的深くて幅の狭い溝状の通路であって、旋回側平板部(52)から旋回側ラップ(53)に亘って形成されている。このラップ内通路(61)は、旋回側ラップ(53)に沿った渦巻き状に形成されている。鏡板内通路(62)は、旋回側平板部(52)の背面に開口する比較的浅くて幅の広い溝状の通路であって、旋回側平板部(52)のみに形成されている。この鏡板内通路(62)は、ラップ内通路(61)に沿った渦巻き状に形成されている。ラップ内通路(61)及び鏡板内通路(62)は、旋回側背面部材(54)によって覆われている。
導入通路(63)及び導出通路(64)は、旋回側背面部材(54)に形成されている。導入通路(63)は、円筒凸部(55)の内側に形成された上端空間(66)と、ラップ内通路(61)及び鏡板内通路(62)の最外周側の端部とを接続している。導出通路(64)は、その一端がラップ内通路(61)及び鏡板内通路(62)の最内周側の端部に連通し、その他端が旋回側背面部材(54)の背面(図3における下面)に開口している。この導出通路(64)の他端は、ハウジング部材(70)の環状溝(77)に連通している。
旋回スクロール(50)に形成された導出通路(64)は、旋回スクロール(50)の位置に拘わらず常に環状溝(77)と連通する。具体的に、旋回側背面部材(54)の背面における導出通路(64)の開口端は、その形状が円形となっている。一方、環状溝(77)の径方向の幅Wは、旋回側背面部材(54)の背面における導出通路(64)の開口端の半径r1と旋回スクロール(50)の公転半径r2の和(r1+r2)の二倍以上となっている(W≧2(r1+r2))。従って、旋回スクロール(50)の公転中においても、導出通路(64)は環状溝(77)と常に連通する。
ハウジング部材(70)には、接続用通路(83)が形成されている。この接続用通路(83)は、その一端が環状溝(77)の底面に開口し、その他端が外側縁部(73)の突端面(図3における上面)に開口している。この接続用通路(83)の他端は、固定側本体部材(31)の外周部(34)の突端面(図3における下面)に開口する本体側連通路(45)に連通している。
上述したように、スクロール圧縮機(171)のケーシング(11)には、上流側油導出管(14)と上流側油導入管(15)とが設けられている(図2を参照)。上流側油導出管(14)及び上流側油導入管(15)は、ケーシング(11)の下部を貫通している。上流側油導出管(14)は、その一端が油ポンプ(120)の吐出口(123)に接続され、その他端が上流側冷却器(181)の入口端に接続されている。上流側油導入管(15)は、その一端が上流側冷却器(181)の出口端に接続され、その他端が駆動軸(100)の下端軸部(103)の端面に開口する軸内通路(105)に接続されている。
スクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120)と、上流側油導入管(15)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導出管(14)と、軸内通路(105)と、上端空間(66)と、旋回側通路(60)と、環状溝(77)と、接続用通路(83)と、固定側通路(40)とによって、冷却用流体回路(180)が構成されている。この冷却用流体回路(180)では、ケーシング(11)の内部空間に貯留された冷凍機油が、冷却用流体として流通する。そして、冷却用流体回路(180)を冷却用流体として流れる冷凍機油は、上流側冷却器(181)において冷却されてから旋回側通路(60)と固定側通路(40)を順に通過し、旋回スクロール(50)及び固定スクロール(30)から吸熱する。また、冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油の一部は、駆動軸(100)の軸受や圧縮機構(20)の摺動部分を潤滑するためにも利用される。
−運転動作−
空気調和装置(150)の運転動作と、そこに設けられたスクロール圧縮機(171)の運転動作について説明する。
〈空気調和装置の運転動作〉
空気調和装置(150)は、冷房運転と暖房運転を切り換えて実行する。
先ず、空気調和装置(150)の冷房運転について説明する。冷房運転時には、四方切換弁(174)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外熱交換器(172)が凝縮器として動作し、室内熱交換器(176a,176b)が蒸発器として動作する。具体的に、スクロール圧縮機(171)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(172)で室外空気へ放熱して凝縮し、その後に各室内回路(175a,175b)へ分配される。各室内回路(175a,175b)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(177a,177b)を通過する際に減圧されてから室内熱交換器(176a,176b)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。室内ユニット(153a,153b)は、室内熱交換器(176a,176b)を通過する際に冷却された室内空気を室内へ供給する。各室内熱交換器(176a,176b)において蒸発した冷媒は、室外回路(170)へ戻ってスクロール圧縮機(171)に吸入される。
次に、空気調和装置(150)の暖房運転について説明する。暖房運転時には、四方切換弁(174)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室内熱交換器(176a,176b)が凝縮器として動作し、室外熱交換器(172)が蒸発器として動作する。具体的に、スクロール圧縮機(171)から吐出された冷媒は、各室内回路(175a,175b)へ分配され、室内熱交換器(176a,176b)で室内空気へ放熱して凝縮する。室内ユニット(153a,153b)は、室内熱交換器(176a,176b)を通過する際に加熱された室内空気を室内へ供給する。各室内回路(175a,175b)において凝縮した冷媒は、室外回路(170)へ戻って室外膨張弁(173)を通過する際に減圧され、その後に室外熱交換器(172)で室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(172)において蒸発した冷媒は、スクロール圧縮機(171)に吸入される。
〈スクロール圧縮機の運転動作〉
スクロール圧縮機(171)の動作について説明する。
電動機(110)に通電すると、駆動軸(100)に係合する旋回スクロール(50)が駆動される。旋回スクロール(50)は、自転運動は行わずに公転運動だけを行う。旋回スクロール(50)が公転すると、固定スクロール(30)との間に形成された圧縮室(23)の容積が変化し、吸入管(12)を通って圧縮機構(20)へ流入した低圧ガス冷媒が圧縮室(23)へ吸い込まれる。圧縮室(23)へ吸い込まれたガス冷媒は、圧縮されて高圧ガス冷媒となり、吐出ポート(22)を通ってケーシング(11)の内部空間へ吐出される。ケーシング(11)内の高圧ガス冷媒は、吐出管(13)を通ってケーシング(11)の外部へ吐出されてゆく。
駆動軸(100)が回転すると、この駆動軸(100)によって油ポンプ(120)が駆動される。油ポンプ(120)は、ケーシング(11)の内部空間に貯留された冷凍機油を吸い込み、吸い込んだ冷凍機油を上流側油導入管(15)へと押し出す。つまり、ケーシング(11)の内部空間に貯留された冷凍機油が、冷却用流体として冷却用流体回路(180)へ送り込まれる。
油ポンプ(120)から上流側油導入管(15)へ吐出された冷凍機油は、上流側冷却器(181)へ流入して室外空気へ放熱する。つまり、上流側冷却器(181)では、冷凍機油が室外空気によって冷却される。上流側冷却器(181)において冷却された冷凍機油は、上流側油導出管(14)を通って軸内通路(105)へ流入する。軸内通路(105)を流れる冷凍機油は、その一部が下側分岐通路(107)及び上側分岐通路(106)へ流入し、残りが上端空間(66)へ流入する。
下側分岐通路(107)へ流入した冷凍機油は、下部軸受部材(115)に設けられた軸受メタル(116)と駆動軸(100)の隙間へ供給されて潤滑に利用される。上側分岐通路(106)へ流入した冷凍機油は、ハウジング部材(70)に設けられた軸受メタル(82)と駆動軸(100)の隙間へ供給されて潤滑に利用される。また、上端空間(66)へ流入した冷凍機油は、その一部が旋回スクロール(50)に設けられた軸受メタル(57)と偏心部(102)の隙間へ供給されて潤滑に利用され、残りが旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)へ流入する。
旋回側通路(60)へ流入した冷凍機油は、導入通路(63)を通過後にラップ内通路(61)と鏡板内通路(62)とに分配される。ラップ内通路(61)と鏡板内通路(62)に流入した冷凍機油は、それぞれの外周側の端部から内周側の端部へ向かって流れ、その間に旋回スクロール(50)から吸熱する。その後、冷凍機油は、導出通路(64)を通ってハウジング部材(70)の環状溝(77)へ流入する。環状溝(77)へ流入した冷凍機油は、接続用通路(83)を通って固定スクロール(30)の固定側通路(40)へ流入する。
固定側通路(40)へ流入した冷凍機油は、本体側連通路(45)と導入通路(43)を順に通過し、その後にラップ内通路(41)と鏡板内通路(42)とに分配される。ラップ内通路(41)と鏡板内通路(42)に流入した冷凍機油は、それぞれの外周側の端部から内周側の端部へ向かって流れ、その間に固定スクロール(30)から吸熱する。その後、冷凍機油は、導出通路(44)へ流入し、導出通路(44)の終端からケーシング(11)の内部空間へ流出する。導出通路(44)から流出した冷凍機油は、ケーシング(11)の底部へと流れ落ちてゆく。
このように、スクロール圧縮機(171)の冷却用流体回路(180)では、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)と固定スクロール(30)の固定側通路(40)とが、互いに直列に配置されている。従って、冷却用流体回路(180)では、固定側通路(40)を冷却用流体として流れる冷凍機油の流量と、旋回側通路(60)を冷却用流体として流れる冷凍機油の流量とが等しくなる。
ここで、ハウジング部材(70)の環状溝(77)は、環状凸部(76)の全周に亘って形成されている。また、環状溝(77)には、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)を通過した冷凍機油が流入する。この環状溝(77)へ流入する冷凍機油の圧力は、ケーシング(11)の内部空間の圧力(即ち、圧縮機構(20)から吐出された高圧ガス冷媒の圧力)よりも高くなっている。そして、旋回スクロール(50)の旋回側背面部材(54)の背面(図3における下面)のうち内側シールリング(80)と外側シールリング(81)の間の部分には、環状溝(77)へ流入した冷凍機油の圧力が作用する。その結果、旋回スクロール(50)には、旋回スクロール(50)を固定スクロール(30)側へ押し付ける力が作用し、圧縮室(23)の気密性が確保される。つまり、スクロール圧縮機(171)では、固定スクロール(30)や旋回スクロール(50)を冷却するために冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油が、旋回スクロール(50)に対して固定スクロール(30)側への押付け力を作用させるためにも利用される。
−実施形態1の効果−
本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、固定スクロール(30)に形成された固定側通路(40)と、旋回スクロール(50)に形成された旋回側通路(60)とが、冷却用流体回路(180)において互いに直列に配置されている。このため、冷却用流体回路(180)では、固定側通路(40)を冷却用流体として流れる冷凍機油の流量と、旋回側通路(60)を冷却用流体として流れる冷凍機油の流量とが等しくなる。つまり、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、冷却用流体としての冷凍機油の流量が固定側通路(40)と旋回側通路(60)の一方に偏ることは無く、固定側通路(40)と旋回側通路(60)の両方に対して充分な量の冷凍機油を確実に供給することが可能となる。従って、本実施形態のスクロール圧縮機(171)によれば、固定スクロール(30)と旋回スクロール(50)の両方を確実に冷却することが可能となり、その結果、圧縮機構(20)において圧縮されるガス冷媒の温度上昇を確実に抑制することが可能となる。
また、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、ケーシング(11)の内部空間に貯留された冷凍機油が、圧縮機構(20)を潤滑するためだけでなく、固定スクロール(30)や旋回スクロール(50)を冷却するための冷却用流体としても利用される。つまり、本実施形態では、固定スクロール(30)や旋回スクロール(50)の冷却を行わない場合でも圧縮機構(20)の動作に必要となる冷凍機油を、冷却用流体として利用している。従って、本実施形態によれば、固定スクロール(30)や旋回スクロール(50)の冷却を行うことに起因するスクロール圧縮機(171)の構成の複雑化を抑制できる。
また、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、旋回スクロール(50)に係合する駆動軸(100)の内部に軸内通路(105)が形成される。そして、本実施形態の冷却用流体回路(180)において、冷却用流体としての冷凍機油は、軸内通路(105)を通って旋回スクロール(50)の近傍に到達した後に先ず旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)へ流入し、旋回側通路(60)を通過後に固定スクロール(30)の固定側通路(40)へ流入する。従って、本実施形態によれば、軸内通路(105)を流れる冷凍機油を先に固定側通路(40)へ導入してから旋回側通路(60)へ導入する場合に比べ、冷却用流体回路(180)の長さを短縮することができ、冷却用流体回路(180)を流れる間における冷凍機油の圧力損失を低く抑えることができる。
また、本実施形態のスクロール圧縮機(171)において、上流側冷却器(181)は、冷却用流体回路(180)を冷却用流体として流れる冷凍機油を、室外空気と熱交換させることによって冷却する。また、本実施形態の室外ユニット(151)では、室外熱交換器(172)へ室外空気を供給するための室外ファン(152)を利用し、スクロール圧縮機(171)の上流側冷却器(181)へも室外空気を供給している。従って、本実施形態によれば、スクロール圧縮機(171)の上流側冷却器(181)へ室外空気を供給するためのファンを室外ファン(152)とは別に設ける場合に比べ、室外ユニット(151)の構成を簡素化することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、上記実施形態1において、スクロール圧縮機(171)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態のスクロール圧縮機(171)について、上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)と異なる点を説明する。
図6に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)は、圧縮機構(20)の構成が上記実施形態1のものと相違している。具体的には、固定スクロール(30)、旋回スクロール(50)、及びハウジング部材(70)の構成が、それぞれ実施形態1のものと相違している。また、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、圧縮機構(20)の構成が変更されたことに伴って、冷却用流体回路(180)の構成も実施形態1のものと相違している。
本実施形態のハウジング部材(70)では、環状溝(77)と接続用通路(83)とが省略されている。また、このハウジング部材(70)では、内側シールリング(80)及び外側シールリング(81)が設けられておらず、それらを嵌め込むための溝も省略されている。
本実施形態の固定スクロール(30)には、円形凹部(46)が形成されている。円形凹部(46)は、固定側本体部材(31)の外周部(34)の突端面(図6における下面)に開口する円形の窪みであって、旋回スクロール(50)の旋回側平板部(52)の前面(図6における上面)と対面する位置に形成されている。円形凹部(46)の底面には、本体側連通路(45)が開口している。この円形凹部(46)は、固定側通路(40)の一部を構成している。また、円形凹部(46)には、シールリング(47)が嵌め込まれている。
本実施形態の旋回スクロール(50)には、本体側連通路(65)が形成されている。この本体側連通路(65)は、旋回側通路(60)の一部を構成している。本体側連通路(65)は、旋回側本体部材(51)の旋回側平板部(52)の外周縁付近に形成され、旋回側平板部(52)をその厚み方向へ貫通している。また、旋回スクロール(50)では、導出通路(64)が本体側連通路(65)と連通している。つまり、本実施形態の旋回スクロール(50)に形成された導出通路(64)は、ラップ内通路(61)及び鏡板内通路(62)の最内周側の端部と、旋回側平板部(52)の背面(図6における下面)に開口する本体側連通路(65)とを接続している。
旋回スクロール(50)に形成された本体側連通路(65)は、旋回スクロール(50)の位置に拘わらず常に円形凹部(46)におけるシールリング(47)の内側の部分と連通する。具体的に、旋回側平板部(52)の前面における本体側連通路(65)の開口端は、その形状が円形となっている。一方、円形凹部(46)に嵌め込まれたシールリング(47)の内径Dは、旋回側平板部(52)の前面における本体側連通路(65)の開口端の半径r3と旋回スクロール(50)の公転半径r2の和(r3+r2)の二倍以上となっている(D≧2(r3+r2))。従って、旋回スクロール(50)の公転中においても、本体側連通路(65)は円形凹部(46)と常に連通する。
本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120)と、上流側油導入管(15)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導出管(14)と、軸内通路(105)と、上端空間(66)と、旋回側通路(60)と、固定側通路(40)とによって、冷却用流体回路(180)が構成されている。そして、本実施形態の冷却用流体回路(180)において、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)を通過した冷凍機油は、固定スクロール(30)の固定側通路(40)を構成する円形凹部(46)へ流入する。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。本実施形態は、上記実施形態1において、スクロール圧縮機(171)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態のスクロール圧縮機(171)について、上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)と異なる点を説明する。
図7に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、冷却用流体回路(180)に中間冷却器(182)が追加されている。中間冷却器(182)は、冷却用流体回路(180)における旋回側通路(60)と固定側通路(40)の間に配置される。また、中間冷却器(182)の追加に伴い、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、ケーシング(11)に中間油導出管(16)及び中間油導入管(17)が追加されると共に、圧縮機構(20)の構成が実施形態1のものから変更されている。
中間冷却器(182)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷却用流体回路(180)を冷却用流体として流れる冷凍機油を室外空気と熱交換させることによって冷却する。また、本実施形態の室外ユニット(151)では、室外熱交換器(172)及び上流側冷却器(181)だけでなく、中間冷却器(182)に対しても室外ファン(152)によって室外空気が供給される。
本実施形態の圧縮機構(20)では、ハウジング部材(70)に形成された接続用通路(83)の構成と、固定スクロール(30)に形成された本体側連通路(45)の構成とが、上記実施形態1と相違している。具体的に、ハウジング部材(70)の接続用通路(83)は、その一端が環状溝(77)の底面に開口し、その他端がハウジング本体部(71)の外周面に開口している。また、固定スクロール(30)の本体側連通路(45)は、その一端が導入通路(43)に接続され、その他端が固定側本体部材(31)の外周部(34)の外周面に開口している。
中間油導出管(16)及び中間油導入管(17)は、ケーシング(11)を貫通している。中間油導出管(16)は、その一端がハウジング部材(70)の接続用通路(83)に接続され、その他端が中間冷却器(182)の入口端に接続されている。中間油導出管(16)は、その一端が中間冷却器(182)の出口端に接続され、その他端が固定スクロール(30)の本体側連通路(45)に接続されている。
本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120)と、上流側油導入管(15)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導出管(14)と、軸内通路(105)と、上端空間(66)と、旋回側通路(60)と、環状溝(77)と、接続用通路(83)と、中間油導出管(16)と、中間冷却器(182)と、中間油導入管(17)と、固定側通路(40)とによって、冷却用流体回路(180)が構成される。
本実施形態の冷却用流体回路(180)において、冷却用流体として流れる冷凍機油は、上流側冷却器(181)において冷却された後に旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)へ導入され、旋回スクロール(50)を冷却するために利用される。この点は、上記実施形態1の場合と同じである。一方、本実施形態の冷却用流体回路(180)において、旋回側通路(60)から流出した冷凍機油は、中間油導出管(16)を通って中間冷却器(182)へ流入し、室外空気へ放熱した後に中間油導入管(17)を通って固定スクロール(30)の固定側通路(40)へ流入する。つまり、固定側通路(40)へは、中間冷却器(182)において冷却された冷凍機油が供給される。そして、固定側通路(40)へ流入した冷凍機油は、固定スクロール(30)を冷却するために利用される。
−実施形態3の効果−
このように、本実施形態では、冷却用流体回路(180)に中間冷却器(182)が接続され、旋回側通路(60)を通過後に固定側通路(40)へ向かって流れる冷凍機油が、中間冷却器(182)において冷却される。つまり、本実施形態の冷却用流体回路(180)では、上流側冷却器(181)において冷却された冷凍機油が旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)に供給され、中間冷却器(182)において冷却された冷凍機油が固定スクロール(30)の固定側通路(40)に供給される。このため、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)と旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)の両方に対して、温度の低い冷凍機油を確実に供給することができる。従って、本実施形態によれば、固定スクロール(30)と旋回スクロール(50)の両方を一層確実に冷却することが可能となる。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4について説明する。本実施形態は、上記実施形態1において、スクロール圧縮機(171)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態のスクロール圧縮機(171)について、上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)と異なる点を説明する。
図8に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、冷却用流体回路(180)に下流側冷却器(183)及び動力回収機(184)が追加されている。また、下流側冷却器(183)及び動力回収機(184)の追加に伴い、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、ケーシング(11)に下流側油導出管(18)及び下流側油導入管(19)が追加されている。
冷却用流体回路(180)において、下流側冷却器(183)及び動力回収機(184)は、固定側通路(40)の下流側に配置されている。また、冷却用流体回路(180)では、下流側冷却器(183)の下流側に動力回収機(184)が配置されている。つまり、下流側冷却器(183)の出口端は、動力回収機(184)の入口端に接続されている。
下流側冷却器(183)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷却用流体回路(180)を冷却用流体として流れる冷凍機油を室外空気と熱交換させることによって冷却する。また、本実施形態の室外ユニット(151)では、室外熱交換器(172)と上流側冷却器(181)だけでなく、下流側冷却器(183)に対しても室外ファン(152)によって室外空気が供給される。
動力回収機(184)は、例えばロータリ式流体機械等の流体機械によって構成され、冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油によって駆動される。この動力回収機(184)は、冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油が持つエネルギを回転動力に変換する。図示しないが、動力回収機(184)には発電機が連結されている。動力回収機(184)において発生した回転動力は、発電機を駆動するために利用される。つまり、冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油のエネルギが、電力に変換される。動力回収機(184)に連結された発電機において発生した電力は、スクロール圧縮機(171)の電動機(110)へ供給され、商用電源から供給された電力と共に圧縮機構(20)を駆動するために利用される。
下流側油導出管(18)は、ケーシング(11)を貫通している。下流側油導出管(18)は、その一端が固定スクロール(30)に形成された導出通路(44)の終端に挿入され、その他端が下流側冷却器(183)の入口端に接続されている。一方、下流側油導入管(19)は、その一端が動力回収機(184)の出口端に接続され、その他端が吸入管(12)に接続されている。
本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120)と、上流側油導入管(15)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導出管(14)と、軸内通路(105)と、上端空間(66)と、旋回側通路(60)と、環状溝(77)と、接続用通路(83)と、固定側通路(40)と、下流側油導出管(18)と、下流側冷却器(183)と、動力回収機(184)と、下流側油導入管(19)とによって、冷却用流体回路(180)が構成される。
本実施形態の冷却用流体回路(180)において、冷却用流体として流れる冷凍機油は、上流側冷却器(181)において冷却された後に旋回側通路(60)と固定側通路(40)を順に通過し、旋回スクロール(50)と固定スクロール(30)から吸熱する。その後、冷凍機油は、下流側油導出管(18)を通って下流側冷却器(183)へ流入し、室外空気に対して放熱する。下流側冷却器(183)から流出した冷凍機油は、動力回収機(184)を駆動する。動力回収機(184)を通過する際に圧力が低下した冷凍機油は、下流側油導入管(19)を通って吸入管(12)内を流れる低圧のガス冷媒へ供給され、このガス冷媒と共に圧縮機構(20)の圧縮室(23)へ吸入される。
このように、本実施形態の冷却用流体回路(180)では、下流側冷却器(183)において冷却された冷凍機油が、吸入管(12)を流れる低圧のガス冷媒と共に圧縮機構(20)の圧縮室(23)へ吸入される。ガス冷媒と共に圧縮機構(20)へ吸い込まれた冷凍機油は、圧縮機構(20)において圧縮されつつあるガス冷媒と直接に接触し、このガス冷媒から吸熱する。従って、本実施形態によれば、上流側冷却器(181)において冷却された冷凍機油を固定側通路(40)や旋回側通路(60)へ供給して固定スクロール(30)や旋回スクロール(50)を冷却することだけでなく、下流側冷却器(183)において冷却された冷凍機油をガス冷媒と共に圧縮機構(20)へ吸い込ませることによっても、圧縮機構(20)の圧縮室(23)において圧縮されつつあるガス冷媒の温度上昇を抑えることができる。
ここで、本実施形態の冷却用流体回路(180)において、その始端となる油ポンプ(120)の吸入口(122)は、ケーシング(11)内に貯留された冷凍機油(即ち、圧縮機構(20)から吐出された高圧のガス冷媒と圧力が実質的に等しい冷凍機油)に浸される一方、その終端となる下流側油導入管(19)は、吸入管(12)(即ち、圧縮機構(20)へ吸入される低圧のガス冷媒が流れる部分)に接続されている。つまり、この冷却用流体回路(180)では、その始端の圧力が圧縮機構(20)から吐出された高圧ガス冷媒の圧力と実質的に等しくなり、その終端の圧力が圧縮機構(20)へ吸入される低圧ガス冷媒の圧力と実質的に等しくなっている。従って、本実施形態の冷却用流体回路(180)では、冷却用流体としての冷凍機油を流すための駆動力として、その始端と終端の圧力差を利用することができ、油ポンプ(120)を駆動するのに必要な動力を削減することができる。
−実施形態4の変形例1−
図9に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、冷却用流体回路(180)に中間冷却器(182)が追加されていてもよい。上記実施形態3について説明した通り、この中間冷却器(182)は、冷凍機油を室外空気と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷却用流体回路(180)における旋回側通路(60)と固定側通路(40)の間に配置され、旋回側通路(60)から固定側通路(40)へ向かって流れる冷凍機油を室外空気によって冷却する。また、本変形例の室外ユニット(151)では、室外熱交換器(172)と上流側冷却器(181)と下流側冷却器(183)だけでなく、中間冷却器(182)に対しても室外ファン(152)によって室外空気が供給される。
本変形例のスクロール圧縮機(171)では、中間冷却器(182)の追加に伴い、ケーシング(11)に中間油導出管(16)及び中間油導入管(17)が追加されると共に、圧縮機構(20)の構成が図8に示すものから変更されている。上記実施形態3について説明した通り、中間油導出管(16)は、ハウジング部材(70)の接続用通路(83)と中間冷却器(182)の入口端を接続し、中間油導入管(17)は、中間冷却器(182)の出口端と固定スクロール(30)の本体側連通路(45)を接続している。また、本変形例の圧縮機構(20)と図8に示す圧縮機構(20)との相違点は、図7に示す上記実施形態3の圧縮機構(20)と図2に示す上記実施形態1の圧縮機構(20)との相違点と同じである。
本変形例のスクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120)と、上流側油導入管(15)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導出管(14)と、軸内通路(105)と、上端空間(66)と、旋回側通路(60)と、環状溝(77)と、接続用通路(83)と、中間油導出管(16)と、中間冷却器(182)と、中間油導入管(17)と、固定側通路(40)と、下流側油導出管(18)と、下流側冷却器(183)と、動力回収機(184)と、下流側油導入管(19)とによって、冷却用流体回路(180)が構成される。
−実施形態4の変形例2−
図10に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、冷却用流体回路(180)から油ポンプ(120)が除外されていてもよい。本変形例の冷却用流体回路(180)において、上流側油導入管(15)の入口端は、ケーシング(11)の内部空間に開口しており、ケーシング(11)内に貯留された冷凍機油に浸っている。
本変形例の冷却用流体回路(180)において、その始端となる上流側油導入管(15)の入口端は、圧縮機構(20)から吐出された高圧ガス冷媒の圧力と実質的に等しくなっている。このため、本変形例の冷却用流体回路(180)では、冷却用流体としての冷凍機油を流すための駆動力として、その始端と終端の圧力差を利用することができる。そして、冷却用流体回路(180)の始端と終端の圧力差だけで冷却用流体回路(180)における冷凍機油の流量を充分に確保できる場合は、本変形例のように冷却用流体回路(180)から油ポンプ(120)を省略してもよい。
本変形例のスクロール圧縮機(171)において、油ポンプ(120)は、冷却用流体回路(180)からは省略されているが、依然として下部軸受部材(115)に取り付けられている。そして、本変形例の油ポンプ(120)は、その吐出口(123)が駆動軸(100)に形成された軸内通路(105)に直接に接続されており、圧縮機構(20)へ潤滑用の冷凍機油を供給する。なお、圧縮機構(20)を潤滑するのに必要な冷凍機油の流量は、固定スクロール(30)や旋回スクロール(50)を冷却するのに必要な冷凍機油の流量に比べて少ない。従って、本変形例の油ポンプ(120)としては、トロコイドポンプ等の容積型ポンプではなく、駆動軸(100)の回転によって生じる遠心力を利用して冷凍機油を昇圧させる遠心ポンプを用いてもよい。
《発明の実施形態5》
本発明の実施形態5について説明する。本実施形態は、上記実施形態2において、スクロール圧縮機(171)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態のスクロール圧縮機(171)について、上記実施形態2のスクロール圧縮機(171)と異なる点を説明する。
図11に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、駆動軸(100)に形成された軸内通路(105)と、旋回スクロール(50)の円筒凸部(55)の内側に形成された上端空間(66)とが、冷却用流体回路(180)から除外されている。また、それに伴い、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、圧縮機構(20)、上流側油導入管(15)、及び油ポンプ(120)の構成が、上記実施形態2のものと相違している。
本実施形態の固定スクロール(30)には、円形凹部(46)が形成され、この円形凹部(46)にシールリング(47)が嵌め込まれている。また、この固定スクロール(30)では、円形凹部(46)の底面に、本体側連通路(45)が開口している。本実施形態の固定スクロール(30)と上記実施形態1の固定スクロール(30)との相違点は、上記実施形態2の固定スクロール(30)と上記実施形態1の固定スクロール(30)との相違点と同じである。
本実施形態の旋回スクロール(50)において、導入通路(63)の一端は、旋回側背面部材(54)の背面(図11の下面)のうち環状溝(77)に臨む部分に開口している。そして、この導入通路(63)は、ラップ内通路(61)と鏡板内通路(62)の両方を環状溝(77)と連通させている。
旋回スクロール(50)に形成された導入通路(63)は、旋回スクロール(50)の位置に拘わらず常に環状溝(77)と連通する。具体的に、旋回側背面部材(54)の背面における導入通路(63)の開口端は、その形状が円形となっている。一方、環状溝(77)の径方向の幅Wは、旋回側背面部材(54)の背面における導入通路(63)の開口端の半径r4と旋回スクロール(50)の公転半径r2の和(r4+r2)の二倍以上となっている(W≧2(r4+r2))。従って、旋回スクロール(50)の公転中においても、導入通路(63)は環状溝(77)と常に連通する。
また、本実施形態の旋回スクロール(50)では、旋回側本体部材(51)に本体側連通路(65)が形成され、導出通路(64)がラップ内通路(61)と鏡板内通路(62)の両方を本体側連通路(65)に接続している。この旋回スクロール(50)における導出通路(64)及び本体側連通路(65)の構成は、上記実施形態2におけるものと同じである。また、旋回スクロール(50)の本体側連通路(65)が旋回スクロール(50)の位置に拘わらず常に円形凹部(46)におけるシールリング(47)の内側の部分と連通する点についても、上記実施形態2と同様である。
本実施形態のハウジング部材(70)において、接続用通路(83)は、その一端が環状溝(77)の底面に開口し、その他端がハウジング本体部(71)の外側縁部(73)の外周面に開口している。この外側縁部(73)の外周面における接続用通路(83)の開口端には、上流側油導入管(15)が挿入されている。つまり、本実施形態の上流側油導入管(15)は、ケーシング(11)を貫通して上流側油導入管(15)に連通し、上流側冷却器(181)の出口端を接続用通路(83)に連通させている。
本実施形態の油ポンプ(120)は、その吐出口(123)が、上流側油導出管(14)と駆動軸(100)に形成された軸内通路(105)との両方に接続されている。油ポンプ(120)から吐出された冷凍機油は、その一部が軸内通路(105)へ流入して圧縮機構(20)へ供給され、残りが上流側油導出管(14)へ流入して冷却用流体回路(180)を冷却用流体として流れる。
本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120)と、上流側油導入管(15)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導出管(14)と、接続用通路(83)と、環状溝(77)と、旋回側通路(60)と、固定側通路(40)とによって、冷却用流体回路(180)が構成されている。そして、本実施形態の冷却用流体回路(180)において、上流側冷却器(181)において冷却された冷凍機油は、ハウジング部材(70)に形成された接続用通路(83)及び環状溝(77)を通って旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)へ流入する。また、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)を通過した冷凍機油は、固定スクロール(30)の固定側通路(40)を構成する円形凹部(46)へ流入する。
また、油ポンプ(120)から吐出されて軸内通路(105)へ流入した冷凍機油は、駆動軸(100)と軸受メタル(57,82,116)の摺動箇所や、圧縮機構(20)における部材同士の摺動箇所へ供給され、これら摺動箇所の潤滑に利用される。
−実施形態5の変形例−
図12に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(171)には、二つの油ポンプ(127,128)が設けられていてもよい。具体的に、本変形例のスクロール圧縮機(171)には、潤滑用油ポンプ(127)と冷却用油ポンプ(128)とが設けられている。潤滑用油ポンプ(127)及び冷却用油ポンプ(128)は、何れもトロコイドポンプであって駆動軸(100)によって回転駆動される。潤滑用油ポンプ(127)の吐出口(123)は、駆動軸(100)の下端に開口する軸内通路(105)だけに接続されている。一方、冷却用油ポンプ(128)の吐出口(123)は、上流側油導出管(14)だけに接続されている。なお、潤滑用油ポンプ(127)及び冷却用油ポンプ(128)の吸入口(122)は、ケーシング(11)内に貯留された冷凍機油に浸っている。
潤滑用油ポンプ(127)へ吸い込まれた冷凍機油は、軸内通路(105)へ向かって吐出される。軸内通路(105)へ流入した冷凍機油は、駆動軸(100)と軸受メタル(57,82,116)の摺動箇所や、圧縮機構(20)における部材同士の摺動箇所へ供給され、これら摺動箇所の潤滑に利用される。一方、冷却用油ポンプ(128)へ吸い込まれた冷凍機油は、上流側油導出管(14)へ向かって吐出される。上流側油導出管(14)へ流入した冷凍機油は、冷却用流体として冷却用流体回路(180)を流れ、旋回スクロール(50)と固定スクロール(30)を冷却するために利用される。
《その他の実施形態》
−第1変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)では、オルダム継手(89)以外の機構が自転防止機構(88)として用いられていてもよい。ここでは、本変形例の自転防止機構(88)について、それを上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)に適用した場合を例に説明する。
本変形例の自転防止機構(88)は、少なくとも三つの継手ユニット(90)によって構成されている。図13に示すように、各継手ユニット(90)は、固定側ピン(91)と旋回側ピン(92)と円筒部材(93)とを一つずつ備え、旋回スクロール(50)の旋回側鏡板部(56)の周方向において概ね等角度間隔に配置されている。
旋回側ピン(92)は、円柱状あるいは円管状に形成され、旋回スクロール(50)に取り付けられている。具体的に、旋回側ピン(92)は、旋回側背面部材(54)の背面(図13における下面)から突出する姿勢で、旋回側背面部材(54)における周縁付近に埋設されている。旋回側ピン(92)の軸方向は、旋回側背面部材(54)の背面と実質的に直交している。
固定側ピン(91)は、円柱状あるいは円管状に形成され、ハウジング部材(70)に取り付けられている。具体的に、固定側ピン(91)は、ハウジング部材(70)の円板部(72)の前面(図13における上面)から突出する姿勢で、環状凸部(76)の外側の位置に埋設されている。固定側ピン(91)の軸方向は、円板部(72)の前面と実質的に直交している。
円筒部材(93)は、比較的短い円筒状に形成され、ハウジング部材(70)と旋回スクロール(50)の間に挟み込まれている。この円筒部材(93)は、その一端面(図13における下端面)がハウジング部材(70)の円板部(72)の前面と摺接し、その他端面(図13における上端面)が旋回スクロール(50)の旋回側背面部材(54)の背面と摺接する。また、円筒部材(93)には、旋回側ピン(92)のうち旋回スクロール(50)から突出した部分と、固定側ピン(91)のうちハウジング部材(70)から突出した部分とが挿入されている。
各継手ユニット(90)において、円筒部材(93)の内周面には、固定側ピン(91)の外周面と、旋回側ピン(92)の外周面とが接している。円筒部材(93)の内周面における固定側ピン(91)との接触箇所と、円筒部材(93)の内周面における旋回側ピン(92)との接触箇所とは、円筒部材(93)の中心軸を挟んで反対側に位置している。そして、スクロール圧縮機(171)の運転中に旋回スクロール(50)が移動しても、円筒部材(93)の内周面が固定側ピン(91)と旋回側ピン(92)の両方の外周面と摺接し続け、その結果、旋回スクロール(50)の自転が規制される。
なお、図13に示す圧縮機構(20)において、ハウジング部材(70)に形成された環状凸部(76)の幅は、図3に示す実施形態1の圧縮機構(20)に形成された環状凸部(76)に比べて狭くなっている。そして、図13に示す圧縮機構(20)では、環状凸部(76)の突端面にシールリング(84)が設けられている。このシールリング(84)は、旋回スクロール(50)の旋回側背面部材(54)の背面と環状凸部(76)の突端面との隙間をシールしている。
圧縮機構(20)に設けられた継手ユニット(90)の一つは、冷却用流体回路(180)の一部を構成している。図13に示す圧縮機構(20)では、同図の右側に設けられた継手ユニット(90a)が、冷却用流体回路(180)の一部を構成している。
図14に示すように、冷却用流体回路(180)を構成する継手ユニット(90a)において、固定側ピン(91a)と旋回側ピン(92a)のそれぞれは、両端が開口した円管状に形成される。固定側ピン(91a)の内部空間は、ハウジング部材(70)に形成された接続用通路(83)に連通している。旋回側ピン(92a)の内部空間は、旋回スクロール(50)に形成された導出通路(64)に連通している。
また、この継手ユニット(90a)において、円筒部材(93a)には、二つのシールリング(94,95)が設けられている。具体的に、この円筒部材(93a)の両端面には、その内周縁に沿った円周状の段差部が形成されており、この段差部にシールリング(94,95)が嵌め込まれている。そして、図14における円筒部材(93a)の上端側に配置されたシールリング(94)は、旋回スクロール(50)の旋回側背面部材(54)の背面と摺接し、旋回側背面部材(54)と円筒部材(93a)の隙間をシールする。一方、同図における円筒部材(93a)の下端側に配置されたシールリング(95)は、ハウジング部材(70)の円板部(72)の前面と摺接し、ハウジング部材(70)と円筒部材(93a)の隙間をシールする。
この継手ユニット(90a)において、円筒部材(93a)の内側の空間は、旋回側ピン(92)を介して旋回スクロール(50)の導出通路(64)に連通し、固定側ピン(91)を介してハウジング部材(70)の接続用通路(83)に連通する。また、円筒部材(93a)の内側の空間は、円筒部材(93a)に設けられたシールリング(94,95)によって外部からシールされている。そして、冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油は、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)から旋回側ピン(92a)を通って円筒部材(93a)の内側の空間へ流入し、その後に固定側ピン(91a)を通って接続用通路(83)へ流入し、固定スクロール(30)の固定側通路(40)へ向かって流れてゆく。
−第2変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)では、オルダム継手(89)以外の機構が自転防止機構(88)として用いられていてもよい。ここでは、本変形例の自転防止機構(88)について、それを上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)に適用した場合を例に説明する。
本変形例の自転防止機構(88)は、少なくとも三つの継手ユニット(90)によって構成されている。図15に示すように、各継手ユニット(90)は、ピン部材(96)と突出部(97)とを一つずつ備え、旋回スクロール(50)の旋回側鏡板部(56)の周方向において概ね等角度間隔に配置されている。
ピン部材(96)は、円柱状あるいは円管状に形成され、旋回スクロール(50)に取り付けられている。具体的に、ピン部材(96)は、旋回側背面部材(54)の背面(図15における下面)から突出する姿勢で、旋回側背面部材(54)における周縁付近に埋設されている。ピン部材(96)の軸方向は、旋回側背面部材(54)の背面と実質的に直交している。
突出部(97)は、ハウジング部材(70)と一体に形成されている。具体的に、突出部(97)は、ハウジング部材(70)の円板部(72)の前面(図15における上面)から突出しており、上端が平面となった短い柱状に形成されている。円板部(72)の前面において、突出部(97)は、旋回スクロール(50)に設けられたピン部材(96)と対面する位置に、各ピン部材(96)に対応して一つずつ配置されている。また、突出部(97)の突端面(図15における上面)は、旋回側背面部材(54)の背面と摺接する。
各突出部(97)には、ガイド穴(98)が一つずつ形成されている。このガイド穴(98)は、断面が円形で有底の穴であって、突出部(97)の突端面に開口している。ガイド穴(98)には、対応するピン部材(96)のうち旋回スクロール(50)から突出した部分が挿入されている。
本変形例の自転防止機構(88)において、ガイド穴(98)の壁面は、ピン部材(96)の外周面と接する。また、ガイド穴(98)の内径Dgは、ピン部材(96)の外径dpと旋回スクロール(50)の公転半径r2を2倍した値との和(dp+2×r2)と等しくなっている(Dg=dp+2×r2)。そして、スクロール圧縮機(171)の運転中に旋回スクロール(50)が移動しても、ガイド穴(98)の壁面がピン部材(96)の外周面と摺接し続け、その結果、旋回スクロール(50)の自転が規制される。
圧縮機構(20)に設けられた継手ユニット(90)の一つは、冷却用流体回路(180)の一部を構成している。図15に示す圧縮機構(20)では、同図の右側に設けられた継手ユニット(90a)が、冷却用流体回路(180)の一部を構成している。
図16に示すように、冷却用流体回路(180)を構成する継手ユニット(90a)において、ピン部材(96a)は、両端が開口した円管状に形成される。このピン部材(96a)の内部空間は、旋回スクロール(50)に形成された導出通路(64)に連通している。また、この継手ユニット(90a)では、突出部(97a)に形成されたガイド穴(98a)の底面に、接続用通路(83)が開口している。
この継手ユニット(90a)において、突出部(97a)には、シールリング(99)が設けられている。具体的に、この突出部(97a)の突端面には、その内周縁に沿った円周状の溝が形成されており、この溝にシールリング(99)が嵌め込まれている。このシールリング(99)は、旋回スクロール(50)の旋回側背面部材(54)の背面と摺接し、旋回側背面部材(54)と突出部(97a)の隙間をシールする。
この継手ユニット(90a)において、ガイド穴(98a)は、ピン部材(96a)を介して旋回スクロール(50)の導出通路(64)に連通すると共に、その底面に開口する接続用通路(83)に連通している。また、ガイド穴(98a)は、突出部(97a)に設けられたシールリング(99)によって外部からシールされている。そして、冷却用流体回路(180)を流れる冷凍機油は、旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)からピン部材(96a)を通ってガイド穴(98a)へ流入し、その後に接続用通路(83)へ流入して固定スクロール(30)の固定側通路(40)へ向かって流れてゆく。
−第3変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)に設けられた冷却用流体回路(180)では、固定スクロール(30)の固定側通路(40)の下流に旋回スクロール(50)の旋回側通路(60)が配置されていてもよい。ここで、本変形例を上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)に適用したものについて、上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)と異なる点を説明する。
図17に示すように、本変形例のスクロール圧縮機(171)では、駆動軸(100)に形成された軸内通路(105)と、旋回スクロール(50)の円筒凸部(55)の内側に形成された上端空間(66)とが、冷却用流体回路(180)から除外されている。また、それに伴い、本実施形態のスクロール圧縮機(171)では、圧縮機構(20)及び上流側油導入管(15)の構成が、上記実施形態1のものと相違している。更に、このスクロール圧縮機(171)には、二つの油ポンプ(127,128)が設けられている。
本変形例の圧縮機構(20)では、固定スクロール(30)に形成された導入通路(43)及び導出通路(44)の構成が、上記実施形態1と相違している。具体的に、導入通路(43)は、固定側背面部材(35)の背面(図17における上面)に開口している。固定側背面部材(35)の背面における導入通路(43)の開口端には、ケーシング(11)を貫通して設けられた上流側油導入管(15)が挿入されている。この導入通路(43)は、上流側油導入管(15)を、ラップ内通路(41)と鏡板内通路(42)の両方に連通させている。一方、導出通路(44)は、固定側本体部材(31)に形成された本体側連通路(45)に接続されている。この導出通路(44)は、本体側連通路(45)を、ラップ内通路(41)と鏡板内通路(42)の両方に連通させている。
また、本変形例の圧縮機構(20)では、旋回スクロール(50)に形成された導入通路(63)及び導出通路(64)の構成が、上記実施形態1と相違している。具体的に、導入通路(63)の一端は、旋回側背面部材(54)の背面(図17の下面)のうち環状溝(77)に臨む部分に開口している。この導入通路(63)は、ラップ内通路(61)と鏡板内通路(62)の両方を環状溝(77)に連通させている。上記実施形態5について説明した通り、この導入通路(63)は、旋回スクロール(50)の位置に拘わらず常に環状溝(77)と連通する。一方、導出通路(64)は、旋回側背面部材(54)の背面のうちハウジング部材(70)の中央凹部(75)に臨む部分に開口している。この導出通路(64)は、ラップ内通路(61)と鏡板内通路(62)の両方を中央凹部(75)に連通させている。
また、本変形例の圧縮機構(20)では、ハウジング部材(70)に排出通路(85)が形成されている。この排出通路(85)は、その一端が中央凹部(75)の壁面の下端付近に開口し、その他端がハウジング部材(70)の外側の表面に開口している。そして、この排出通路(85)は、中央凹部(75)をケーシング(11)の内部空間における圧縮機構(20)の外側に連通させている。
本変形例のスクロール圧縮機(171)には、潤滑用油ポンプ(127)と冷却用油ポンプ(128)とが設けられている。潤滑用油ポンプ(127)及び冷却用油ポンプ(128)は、何れもトロコイドポンプであって駆動軸(100)によって回転駆動される。潤滑用油ポンプ(127)の吐出口(123)は、駆動軸(100)の下端に開口する軸内通路(105)だけに接続されている。一方、冷却用油ポンプ(128)の吐出口(123)は、上流側油導出管(14)だけに接続されている。なお、潤滑用油ポンプ(127)及び冷却用油ポンプ(128)の吸入口(122)は、ケーシング(11)内に貯留された冷凍機油に浸っている。
本変形例のスクロール圧縮機(171)では、冷却用油ポンプ(128)と、上流側油導出管(14)と、上流側冷却器(181)と、上流側油導入管(15)と、固定側通路(40)と、接続用通路(83)と、環状溝(77)と、旋回側通路(60)と、中央凹部(75)と、排出通路(85)とによって、冷却用流体回路(180)が構成されている。
冷却用油ポンプ(128)へ吸い込まれた冷凍機油は、上流側油導出管(14)へ向かって吐出される。上流側油導出管(14)へ流入した冷凍機油は、冷却用流体として冷却用流体回路(180)を流れ、固定スクロール(30)と旋回スクロール(50)を冷却するために利用される。
つまり、冷却用油ポンプ(128)から吐出された冷凍機油は、上流側冷却器(181)において冷却された後に固定側通路(40)へ流入し、固定スクロール(30)から吸熱する。その後、冷凍機油は、接続用通路(83)と環状溝(77)を順に通過してから旋回側通路(60)へ流入し、旋回スクロール(50)から吸熱する。旋回側通路(60)を通過した冷凍機油は、中央凹部(75)へ流入し、その後に排出通路(85)を通って圧縮機構(20)の外部へ排出される。圧縮機構(20)から排出された冷凍機油は、ケーシング(11)の底部へと流れ落ちてゆく。
一方、潤滑用油ポンプ(127)へ吸い込まれた冷凍機油は、軸内通路(105)へ向かって吐出される。軸内通路(105)へ流入した冷凍機油は、駆動軸(100)と軸受メタル(57,82,116)の摺動箇所や、圧縮機構(20)における部材同士の摺動箇所へ供給され、これら摺動箇所の潤滑に利用される。
−第4変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)に設けられた冷却用流体回路(180)では、図18に示すように、上流側冷却器(181)の下流側に油ポンプ(120)が配置されていてもよい。本変形例のスクロール圧縮機(171)において、上流側油導出管(14)の始端は、ケーシング(11)の内部空間に開口し、ケーシング(11)内に貯留された冷凍機油に浸される。また、上流側油導入管(15)の終端は、油ポンプ(120)の吸入口(122)に接続される。油ポンプ(120)の吐出口(123)は、駆動軸(100)の下端に開口する軸内通路(105)に接続される。本変形例の冷却用流体回路(180)において、冷却用流体としての冷凍機油は、上流側冷却器(181)において冷却されから油ポンプ(120)へ吸い込まれ、油ポンプ(120)から軸内通路(105)へ吐出される。
−第5変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)は、圧縮機構(20)から吐出されたガス冷媒によってケーシング(11)の内部空間が満たされる高圧ドーム型に構成されているが、これら各実施形態のスクロール圧縮機(171)は、圧縮機構(20)へ吸入されるガス冷媒によってケーシング(11)の内部空間が満たされる低圧ドーム型に構成されていてもよい。ここでは、本変形例を上記実施形態1のスクロール圧縮機(171)に適用したものについて、上記実施形態1と異なる点を説明する。
図19に示すように、本変形例の圧縮機構(20)には、カバー部材(28)が設けられている。このカバー部材(28)は、固定スクロール(30)の固定側背面部材(35)の背面(図19における上面)に、逆止弁(25)を覆うように設けられている。この圧縮機構(20)では、カバー部材(28)と固定側背面部材(35)とによって、吐出ポート(22)に連通する閉空間が形成されている。本変形例の吐出管(13)は、その一端がカバー部材(28)に取り付けられており、カバー部材(28)の内側に形成されて吐出ポート(22)と連通する空間に接続している。この吐出管(13)は、ケーシング(11)を貫通してケーシング(11)の外部へ延びている。
また、本変形例の圧縮機構(20)では、吸入ポート(21)がハウジング部材(70)に形成されている。この吸入ポート(21)は、ハウジング本体部(71)をその背面(図19における下面)からその前面(同図における上面)へ向かって貫通している。そして、吸入ポート(21)は、ケーシング(11)の内部空間における圧縮機構(20)と電動機(110)の間の部分を、ハウジング部材(70)と固定スクロール(30)によって囲まれた空間に連通させている。本変形例の吸入管(12)は、ケーシング(11)を貫通しており、その一端がケーシング(11)の内部空間における圧縮機構(20)と電動機(110)の間の部分に開口している。
本変形例のスクロール圧縮機(171)において、吸入管(12)を通ってケーシング(11)の内部空間へ流入した低圧のガス冷媒は、吸入ポート(21)を通って圧縮室(23)へ吸入されて圧縮される。圧縮室(23)内で圧縮されたガス冷媒は、吐出ポート(22)を通ってカバー部材(28)の内側の空間へ流入し、その後に吐出管(13)を通ってケーシング(11)の外部へ流出してゆく。
−第6変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)では、油ポンプ(120,127,128)としてトロコイドポンプを用いているが、油ポンプ(120,127,128)として使用できるポンプはこれに限定されるものではなく、例えば歯車ポンプを油ポンプ(120,127,128)として用いてもよい。
−第7変形例−
上述した各実施形態では、空気調和装置(150)の冷媒回路(160)にスクロール圧縮機(171)を設けているが、スクロール圧縮機(171)の用途はこれに限定されるものではない。上述したスクロール圧縮機(171)は、例えば冷蔵庫内を冷却する冷凍装置の冷媒回路(160)に設けられていてもよいし、冷媒によって水を加熱する給湯機の冷媒回路(160)に設けられていてもよい。また、上述したスクロール圧縮機(171)は、冷媒を圧縮するためだけでなく、例えば空気を圧縮するために用いられてもよい。
−第8変形例−
上述した各実施形態のスクロール圧縮機(171)では、冷却用流体として冷凍機油を用いているが、冷却用流体として冷凍機油以外の流体を用いてもよい。例えば、冷媒回路(160)内の冷媒や冷却水などを、冷却用流体として用いてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。