JP5277459B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5277459B2
JP5277459B2 JP2008302035A JP2008302035A JP5277459B2 JP 5277459 B2 JP5277459 B2 JP 5277459B2 JP 2008302035 A JP2008302035 A JP 2008302035A JP 2008302035 A JP2008302035 A JP 2008302035A JP 5277459 B2 JP5277459 B2 JP 5277459B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polymer film
mold
transfer
convex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008302035A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010125683A (ja
Inventor
陽明 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2008302035A priority Critical patent/JP5277459B2/ja
Publication of JP2010125683A publication Critical patent/JP2010125683A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5277459B2 publication Critical patent/JP5277459B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、凸部先端に平坦面を有する凹凸パターンが付与された光学フィルムの製造方法に関するものである。
光学フィルムとして、表面に付与された凹凸パターンにおける凸部先端に平坦面を有するものが知られている。そのような凸部平坦フィルムは、凸部頂部での光散乱が少なく、視認性に優れるため、プリズムシート、レンズシート、回折格子、無反射構造体として有用である。
凸部平坦フィルムは、鋳型が有する凹凸を100%の転写率で転写させることによって製造されることが一般的である。例えば、特許文献1では、フィルムに鋳型で凹凸パターンを熱転写させるに際し、鋳型におけるフィルムの凸部先端に対応する部分に予め平坦面を形成しておく。
しかしながら、上記した技術では、フィルムから鋳型を離型するときに、樹脂がフィルムから引き剥がされて、鋳型に移行し、鋳型に樹脂の剥離残りが生じた。特に鋳型の平坦面において樹脂の剥離残りは顕著に生じた。その結果、フィルムにおける凸部先端の平坦面においてフィルム欠陥が発生したり、異物が付着したりして、平滑度が低下した。そのため、フィルムの樹脂組成を鋳型と離型しやすい樹脂処方にするなど、改良がなされてきているが、十分な改良には至っていない。
さらに、上記技術では、一つの鋳型から一種類の凹凸形状しか形成できないため、フィルムに付与される凹凸形状の自由度が低かった。
特開平9−26503号公報
本発明は、凸部先端に、平滑度に優れた平坦面を有する凹凸パターンが付与された光学フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、鋳型への剥離残りを抑制しながらも、凸部先端に、平滑度に優れた平坦面を有し、かつ凹凸高さが均一な凹凸パターンが付与された光学フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、鋳型の凹凸パターンをポリマーフィルムに転写させる光学フィルムの製造方法であって、
以下の式;
転写率=(h/H)×100
(式中、hはポリマーフィルムに形成された凹凸パターンの凹凸高さである;Hは鋳型の凹凸パターンの凹凸高さである)で表される転写率を20〜85%として、ポリマーフィルムに、凸部の先端に平坦面を有する凹凸パターンを形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。
本発明によれば、凸部先端に、平滑度に優れた平坦面を有する凹凸パターンが付与された光学フィルムを製造できる。しかも、鋳型への剥離残りを抑制できる。
また、本発明では、転写率を調整することによって、ポリマーフィルムにおける凸部先端に平坦面を形成するので、転写時の加工条件、例えば、ポリマーフィルムの粘度、鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度等を適宜調整するだけで、平坦面の面積割合や平滑度、ならびに凹凸高さおよびその均一性等の凹凸形状を制御できる。そのため、形成される凹凸形状の自由度が比較的高い。
さらに、転写時の加工条件、例えば、ポリマーフィルムの粘度、鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度等をそれぞれ所定の範囲内に調整することによって、平坦面の平滑度および凹凸高さの均一性をより一層向上させることができ、しかも鋳型への剥離残りをより一層有効に抑制できる。
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、鋳型の凹凸パターンをポリマーフィルムの全面又は一部に転写させる転写工程を有するものである。以下、図面を用いて、転写工程について詳しく説明する。図1(A)は、本発明における光学フィルムの製造方法の一例において転写工程直前のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、図1(B)は図1(A)の後において転写工程時のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、図1(C)は図1(B)の後において転写工程直後のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図である。図2(A)は、本発明における光学フィルムの製造方法の別の一例において転写工程直前のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、図2(B)は図2(A)の後において転写工程時のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、図2(C)は図2(B)の後において転写工程直後のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図である。図3、図4、図5および図6はそれぞれ、本発明の光学フィルムの製造方法を実施する転写装置の一実施形態を示す概略構成図である。本明細書中、凸部に平坦面を有する凹凸パターンが形成されたポリマーフィルムを単に「凸部平坦フィルム」と呼ぶことがある。また、ポリマーフィルムにおいて凹凸パターンが形成される面を第1表面(図中、1a)と呼び、その裏側の表面を第2表面(図中、1b)と呼ぶものとする。
本発明において転写工程は、鋳型の凹凸パターンをポリマーフィルムに転写させるに際し、比較的低い転写率を達成するように転写を行う。すなわち、図1(A)に示すように、鋳型2の凹凸パターンをポリマーフィルム1の第1表面1aに転写させる際、図1(B)に示すように、第1表面1aの一部が平坦面5として残る程度の転写率で転写を行う。詳しくは、以下の式;
転写率=(h/H)×100
で表される転写率が20〜85%となるように転写を行う。これによって、図1(C)に示すように、ポリマーフィルム1に、凸部4の先端に平坦面5を有する凹凸パターンが有効に形成される。
上記式中、hは、ポリマーフィルム1に形成された凹凸パターンの凹凸高さhである(図1(C)参照)。
Hは、鋳型2の凹凸パターンの凹凸高さHである(図1(A)参照)。
転写率が大きすぎると、転写時にポリマーフィルムが弾性変形し、非転写部が曲面形状となるため、凸部先端に平坦面が有効に形成されない。転写率が小さすぎると、形成される凹凸パターンの凹凸高さが小さすぎるために、凸部平坦フィルムとしての使用に耐えない。
本発明において、ポリマーフィルムに形成される凹凸パターンの凹凸高さ均一性の観点からは、転写率は30〜85%、特に40〜80%が好ましい。
本発明において転写は、軟化状態のポリマーフィルムに対して鋳型を押し当てることによって達成されても、または非軟化状態のポリマーフィルムに対して、加熱された鋳型を押し当てることによって達成されてもよい。離型性の観点から、転写は、軟化状態のポリマーフィルムに対して鋳型を押し当てることによって達成されることが好ましい。以下、軟化状態のポリマーフィルムに対して鋳型を押し当てることによって転写を行う場合について説明するが、前記転写率が達成される限り、非軟化状態のポリマーフィルムに対して、加熱された鋳型を押し当てることによって転写を行ってもよいことは明らかである。
転写率は、転写時の加工条件、例えば、ポリマーフィルムの粘度、鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度を調整することによって制御できる。
例えば、ポリマーフィルム粘度を低減すると、転写率は増大し、当該粘度を増大させると、転写率は低減される。
また例えば、鋳型のポリマーフィルムに対する加重を低減すると、転写率は低減され、当該加重を増大させると、転写率は増大する。
また例えば、ポリマーフィルムの搬送速度を低減すると、転写率は増大し、当該搬送速度を増大させると、転写率は低減される。
本発明の転写工程において以下に示す(1)〜(3)の全ての加工条件が採用される。 (1)ポリマーフィルムの粘度が1〜1200Pa・secである。当該粘度が小さすぎると、ポリマーフィルムが軟らかすぎるため、転写率が大きすぎて、平坦面が得られない。当該粘度が大きすぎると、転写率が小さすぎて、形成される凹凸パターンの凹凸高さが小さすぎるために、凸部平坦フィルムとしての使用に耐えない。
ポリマーフィルムの粘度は、平坦面の平滑度および凹凸高さの均一性をより一層向上させ、かつ鋳型への剥離残りをより一層有効に抑制する観点から、1〜1000Pa・sec、特に5〜500Pa・secとすることが好ましい。
ポリマーフィルムの上記粘度は、ポリマーフィルムの少なくとも第1表面近傍で達成されればよい。
本明細書中、粘度は、JIS−K7117に規定された手法で動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製)を用いて測定された値を用いている。
(2)鋳型のポリマーフィルムに対する加重が1〜350N/mmである。当該加重が小さすぎると、転写率が小さすぎて、形成される凹凸パターンの凹凸高さが小さすぎるために、凸部平坦フィルムとしての使用に耐えない。当該加重が大きすぎると、転写率が大きすぎて、平坦面が得られない。
ポリマーフィルムに対する加重は、平坦面の平滑度および凹凸高さの均一性をより一層向上させ、かつ鋳型への剥離残りをより一層有効に抑制する観点から、1〜350N/mm、特に1〜300N/mmとすることが好ましい。
ポリマーフィルムに対して上記範囲内の加重を付与し続ける時間は、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、10−4〜10−1秒間が適当である。
(3)ポリマーフィルムの搬送速度が25〜170m/minである。当該搬送速度が小さすぎると、加工時間が長すぎるため、転写率が大きすぎて、平坦面が得られない。当該搬送速度が大きすぎると、加工時間が短すぎるため、転写形状が安定しなかったり、転写率が小さすぎたりする。そのため、凸部平坦フィルムとしての使用に耐えない。
ポリマーフィルムの搬送速度は、平坦面の平滑度および凹凸高さの均一性をより一層向上させ、かつ鋳型への剥離残りをより一層有効に抑制する観点から、30〜150m/min、特に30〜100m/minとすることが好ましい。
図1(A)〜(C)においてポリマーフィルム1は基材11のみからなる単層構造を有し、基材11に対して鋳型2を押し当てることにより転写を行い、所定の凹凸パターンを基材11に形成しているが、これに制限されるものではない。例えば、図2(A)〜(C)に示すように、ポリマーフィルム1を、基材11上に樹脂層12を形成してなる積層構造とし、当該樹脂層12に対して鋳型2を押し当てることにより転写を行い、所定の凹凸パターンを樹脂層12に形成してもよい。図2(A)〜(C)は、ポリマーフィルム1を、基材11上に樹脂層12を形成してなる積層構造とすること、当該樹脂層12に対して鋳型2を押し当てることにより転写を行うこと、および転写を行いながら、樹脂層12の硬化のための活性線照射を基材11側から光源7により行うこと以外、それぞれ図1(A)〜(C)と同様であるため、図2(A)〜(C)の説明を省略する。
本発明において転写方法は、前記転写率が達成される限り特に制限されず、光学フィルムの分野で公知の凹凸転写方法が採用できる。例えば、いわゆる再軟化プレス転写法、製膜転写法、および活性線硬化転写法等が挙げられ、本発明においては通常、これらの転写方法のうちいずれか1つの方法が採用される。
以下、本発明の実施形態1〜3として、それぞれ再軟化プレス転写法、製膜転写法、および活性線硬化転写法を採用する場合について詳しく説明する。
(実施形態1)
実施形態1では、再軟化プレス転写法に基づいて、ポリマーフィルムを一旦、製膜した後、再軟化させたポリマーフィルムに鋳型を押し当てるに際し、前記したポリマーフィルムの粘度、鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度等の転写加工条件を採用する。
ポリマーフィルムの再軟化方法としては、前記したポリマーフィルム粘度を達成する程度に軟化できればよく、例えば、加熱によって軟化を行う加熱軟化法を採用してもよいし、または溶媒による膨潤によって軟化を行う膨潤軟化法を採用してもよい。
加熱軟化法を採用する場合、例えば、図3に示す転写装置が使用できる。
図3において、ポリマーフィルム1は所定の搬送速度で搬送されながら、加熱室10内での加熱によって所定のポリマーフィルム粘度が達成された後、鋳型ロール2とバックロール3との間を通過することにより、所定加重での転写が行われる。その結果、前記範囲内の転写率が達成される。
膨潤軟化法を採用する場合、例えば、図4に示す転写装置が使用できる。
図4において、ポリマーフィルム1は所定の搬送速度で搬送されながら、膨潤槽20内での膨潤用溶媒21の適用によって所定のポリマーフィルム粘度が達成された後、鋳型ロール2とバックロール3との間を通過することにより、所定加重での転写が行われる。その結果、前記範囲内の転写率が達成される。
膨潤用溶媒21は、所定のポリマーフィルム粘度が達成される限り特に制限されず、ポリマーフィルム1を膨潤させ得る溶媒が使用される。膨潤とはフィルム内に溶媒が浸透し、結果として含浸される現象である。フィルムを膨潤させ得る溶媒として、例えば、フィルムを溶解させ得る、いわゆる良溶媒と、フィルムを溶解させ得ない、いわゆる貧溶媒との混合溶媒が使用できる。良溶媒と貧溶媒とは混合溶媒中、相溶するものが使用される。相溶とは、それらの溶媒を混合しても、白濁せず、透明かつ均一に混合することをいう。
混合溶媒の良溶媒および貧溶媒はフィルムを構成する樹脂種に依存して選択される。
例えばセルロースエステル系樹脂の場合、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶媒となる。
このように使用する樹脂により、良溶剤及び貧溶剤は異なってくるので、セルロースエステル系樹脂の場合の一例について説明する。良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、蟻酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘクサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることが出来、これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
膨潤用溶媒21の適用方法は、図4では浸漬法が採用されているが、これに制限されず、例えば、フィルムに溶媒を噴霧または塗布する方法等であってもよい。
本実施形態においてポリマーフィルム1は、いかなる製膜方法によって製造されたものであってよく、例えば、いわゆる溶液流延法や溶融流延法等によって製造されたものが使用可能である。
ポリマーフィルム1を形成するポリマーは特に制限されず、例えば、光学フィルムの分野で従来より使用されている樹脂が使用可能である。具体的には、セルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。より好ましくはセルロースエステル系樹脂からなるフィルムが使用される。
セルロースエステル系樹脂を用いる場合、セルロースエステル系樹脂の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることが出来る。又それらから得られたセルロースエステル系樹脂はそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステル系樹脂は、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることが出来る。
アシル化剤が酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することが出来る。又、本発明に用いられるセルロースエステル系樹脂は各置換度に合わせて上記アシル化剤を混合して反応させたものであり、アシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)と言う。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネートブチレート樹脂のように、アセチル基の他にプロピオネート基又はブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルであってもよい。尚、プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネート樹脂は耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
セルロースエステル系樹脂の数平均分子量は、40000〜200000が、成形した場合の機械的強度が強く、且つ、溶液流延法の場合は適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、50000〜150000である。又、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.4〜4.5の範囲であることが好ましい。
本明細書中、平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
ポリマーフィルム1のTgは本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば50〜200℃、特に70〜180℃であってよい。
本明細書中、TgはTMA8310(RIGAKU社製)によって測定された値を用いている。
ポリマーフィルム1には紫外線吸収剤、可塑剤、マット剤、酸化防止剤、導電性物質、帯電防止剤、難燃剤、滑剤などの添加剤が含有されていてもよい。
ポリマーフィルム1は延伸処理されていてよく、例えば、直交する2軸において、それぞれの軸方向で1.1〜3倍に延伸させたものを使用してもよい。
ポリマーフィルム1は上記樹脂からなる単層構造を有していてもよいし、または上記樹脂からなる樹脂層を基材層上に有してなる積層構造を有していてもよい。
本実施形態では、そのようなポリマーフィルム1の構造によって、図1(C)に示すような単層構造を有する凸部平坦フィルム6、または図2(C)に示すような積層構造を有する凸部平坦フィルム8が製造できる。
ポリマーフィルム1の厚みは本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば単層構造を有する場合、通常は20〜200μm、特に20〜150μmである。また例えば積層構造を有する場合、樹脂層12の厚みは0.1μm以上、特に0.1〜50μmであり、基材11の厚みは、ポリマーフィルム1が単層構造を有する場合のポリマーフィルム1の上記厚みと同様であってよい。
本実施形態において鋳型2は通常、ロール形状を有するものが使用される。
鋳型ロール2は表面に凹凸パターンを有する。鋳型ロール2が有する凹凸パターンの凹凸は全体として規則的に形成されていても、または不規則的に形成されていてもよい。鋳型ロール2の材質はプレス加重に耐えられる剛性を有するものであればよく、金属、ガラス、セラミックス、合成樹脂、合成樹脂と金属および/またはガラスとのコンポジットなど、限定されず使用できる。鋳型ロールはガラスや金属の表面に凹凸を形成する種々の方法で製造できる。鋳型ロール表面に凹凸を形成する方法としては、放電加工、ショット加工、エッチング加工、レーザー加工等が利用できる。鋳型に用いられる金属は所望の凹凸を付与できる限り特に制限されず、例えば、高炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅などが挙げられる。鋳型表面を硬化する目的で、焼き入れ処理を施したり、ハードクロムなどのメッキ処理の他、カナック処理などの窒化表面処理等を行ってもよい。
鋳型ロール2が有する凹凸形状は、本発明において最終的に得られる凸部平坦フィルムの用途などにより任意に選択してよい。鋳型ロール2が有する凹凸は、樹脂に対する離型性の観点から、凸部先端に頂部を有する断面形状を有することが好ましい。そのような凸部の断面形状として、例えば、略三角形状、球形状などが挙げられる。鋳型ロール2が有する凸部の断面形状としての略三角形状は、フィルムの幅手方向に対する垂直断面または搬送方向に対する垂直断面において有していればよい。鋳型ロール2が有する凸部は通常、フィルムの幅手方向に対する垂直断面においてフィルムの幅手方向で連続して略三角形状を有する。
鋳型ロール2が有する凹凸の寸法は特に制限されず、例えば、凹凸高さ(図1(A)中、H)は100nm〜100μm、および凹凸ピッチ(図1(A)中、p)は100nm〜100μmであってよい。特に鋳型ロール2の凸部が略三角形状の断面を有する場合、頂角(図1(A)中、α)は70〜130°、特に80〜120°が好ましい。
鋳型ロール2の外径は特に限定はなく、ロールとして製作できる50mm以上3000mm以下の外径を適用することができるが、フィルムに凹凸を精度良く付与する点、ならびに重量の肥大化を避ける点により、実質的には50mm以上2000mm以下の外径である。
鋳型ロール2は、周囲温度と同程度の温度で使用されても、またはロール内部に設けられてヒータ等によって加熱下で使用されてもよい。
鋳型ロール2に対向して設置されるバックロール3の材質もプレス加重に耐えられる剛性を有するものであればよく、金属、セラミックス、合成樹脂、合成樹脂と金属および/またはガラスのコンポジットなど、限定されず使用できる。
バックロール3の外径に特に限定はない。ロールとして製作できる50mm以上3000mm以下の外径が適用できるが、フィルムに凹凸を精度良く付与する点、ならびに重量の肥大化を避ける点において、実質的には50mm以上2000mm以下の外径である。バックロール3の代わりに、ここでも鋳型ロール2を用いることによって、フィルムの両面に凸部に平坦面を有する凹凸パターンを精度よく形成できる。
バックロール3は、周囲温度と同程度の温度で使用されても、またはロール内部に設けられてヒータ等によって加熱下で使用されてもよい。
(実施形態2)
実施形態2では、製膜転写法に基づいて、ポリマーフィルムの製膜過程で軟化したポリマーフィルムに鋳型を押し当てるに際し、前記したポリマーフィルムの粘度、鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度等の転写加工条件を採用する。
ポリマーフィルムの製膜方法としては、例えば、いわゆる溶液流延法や溶融流延法等が採用され、そのような製膜方法の途中で前記したポリマーフィルム粘度を達成した後、前記した鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度で転写を行う。
具体的には、例えば、溶液流延法において、フィルム用樹脂溶液を支持体上に流延する流延工程、支持体上で樹脂溶液を乾燥する第1乾燥工程、乾燥によって得られた樹脂膜(ウェブ)を支持体から剥離する剥離工程、剥離された樹脂膜を乾燥してフィルムを得る第2乾燥工程、およびフィルムを巻き取る巻き取り工程を実施するに際し、通常は、第2乾燥工程によって前記したポリマーフィルム粘度を達成した後、前記した鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度で転写を行う。延伸工程を行う場合は、流延工程、第1乾燥工程、剥離工程、第2乾燥工程、転写工程、延伸工程および巻き取り工程を順次、実施すればよい。
また例えば、溶融流延法において、フィルム用樹脂溶融物を冷却ロール上に流延する流延工程、冷却された樹脂膜を冷却ロールから剥離する剥離工程、剥離された樹脂膜をさらに冷却してフィルムを得る冷却工程、およびフィルムを巻き取る巻き取り工程を実施するに際し、通常は、冷却工程によって前記したポリマーフィルム粘度を達成した後、前記した鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度で転写を行う。延伸工程を行う場合は、流延工程、剥離工程、冷却工程、転写工程、延伸工程および巻き取り工程を順次、実施すればよい。
本実施形態の転写工程では、例えば、図5に示す転写装置が使用できる。
図5において、所定の粘度を有するポリマーフィルム1は所定の搬送速度で搬送されながら、鋳型ロール2とバックロール3との間を通過することにより、所定加重での転写が行われる。その結果、前記範囲内の転写率が達成される。
本実施形態では、ポリマーフィルム1は単層構造を有すること以外、実施形態1においてと同様であり、結果として、図1(C)に示すような単層構造を有する凸部平坦フィルム6が製造できる。
本実施形態において鋳型ロール2およびバックロール3は、実施形態1においてと同様である。
(実施形態3)
実施形態3では、ポリマーフィルム基材に活性線硬化樹脂層を形成し、該樹脂層に鋳型を押し当て、硬化させる活性線硬化転写法において、鋳型を樹脂層に押し当てるに際し、前記したポリマーフィルムの粘度、鋳型のポリマーフィルムに対する加重およびポリマーフィルムの搬送速度等の転写加工条件を採用する。
本実施形態で使用されるポリマーフィルム基材は、実施形態1で使用されるポリマーフィルム1と同様のものであってよい。
樹脂層を構成する活性線硬化樹脂としては、紫外線、X線等の活性線の照射によって重合・硬化可能なモノマーやオリゴマーが使用可能である。例えば、アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマー)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合せが好ましい。中でも(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。
基材に形成される活性線硬化樹脂層の厚みは、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は0.3〜50μm、特に0.5〜30μmである。
本実施形態の転写工程では、例えば、図6に示す転写装置が使用できる。
図6において、ポリマーフィルム1は基材に活性線硬化樹脂層が形成されてなる積層構造を有し、少なくとも第1表面1aが活性線硬化樹脂層の表面となるように使用される。そのようなポリマーフィルム1は、樹脂層の粘度が前記したポリマーフィルムの粘度になるように乾燥された後、所定の搬送速度で搬送されながら、鋳型ロール2と押圧ロール9aとの間を通過することにより、所定加重での転写が行われる。その結果、前記範囲内の転写率が達成される。樹脂層の粘度は、活性線の予備照射によって達成されても、加熱によって達成されてもよい。その後、ポリマーフィルム1は、樹脂層と鋳型ロール2との接触を維持したまま、送りロール9bまで鋳型ロール2の回転によって搬送される。搬送中において、ポリマーフィルム1の樹脂層は、光源7によりポリマーフィルム1の基材側から活性線が照射され、硬化が行われる。
本実施形態では、結果として、図2(C)に示すような積層構造を有する凸部平坦フィルム8が製造できる。
本実施形態において鋳型ロール2は、実施形態1においてと同様である。
押圧ロール9aは、外径が異なること以外、実施形態1のバックロール3と同様である。押圧ロール9aの外径は通常、50〜500mmである。
送りローラ9bは特に制限されず、押圧ロール9aと同様のものが使用可能である。
本発明の方法によって得られた凸部平坦フィルムは、所定の転写率で、鋳型の凹凸パターンが転写されており、結果として凸部に平坦面を有している。
凸部平坦フィルムが有する凹凸パターンについて凸部先端の平坦面5の総面積は凹凸パターン形成面全体に対して15〜75%である。凹凸形成面全体とは、凹凸形成面の総面積を意味し、フィルムの幅手方向両端に、巻き取り時のズレ防止等を目的としてエンボス加工やナーリング加工がなされている場合は、当該加工領域を除いた凹凸形成面の総面積を意味するものとする。
そのような平坦面5の総面積は、転写率によって制御できる。
例えば、転写率を増大させると、平坦面総面積は低減される。転写率を低減すると、平坦面総面積は増大する。
凸部平坦フィルムが有する凹凸パターンの形状は、凹凸高さ(図1(C)および図2(C)中、h)以外は、鋳型が有する凹凸パターンと同様である。例えば、凸部平坦フィルムの凹凸ピッチ(図1(C)および図2(C)中、p)は、鋳型の凹凸ピッチ(図1(A)および図2(A)中、p)と同様であり、好ましくは0.1〜50μmである。
凸部平坦フィルムが有する凹凸パターンの凹凸高さ(図1(C)および図2(C)中、h)は、通常、0.1〜50μmであり、好ましくは0.2〜30μmである。
(用途)
以上の方法で製造された凸部平坦フィルムは光学フィルム、例えば、プリズムシート、レンズシート、回折格子、無反射構造体等としての使用に特に適している。
例えば、凸部平坦フィルムをプリズムシートとして使用する場合、液晶ディスプレイ用バックライト用輝度向上フィルムとして好ましく用いられる。
また例えば、凸部平坦フィルムを無反射構造体として使用する場合、ディスプレイ最表面の反射防止フィルムとして好ましく用いられる。
<実施例1A〜14A/比較例1>
[セルロースエステルフィルムの製造]
密閉容器にメチレンクロライド440重量部およびエタノール35重量部を投入し、攪拌しながら、セルロースエステル(アセチル基置換度2.9、Mn=16万、Mw/Mn=2.0)100重量部、トリメチロールプロパントリベンゾエート5重量部、エチルフタリルエチルグリコレート5重量部、チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製)1重量部、チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製)1重量部、およびアエロジルR972V(日本アエロジル(株)社製)0.3重量部を順に投入し、加熱、攪拌しながら完全に溶解し、混合した。微粒子は溶剤の一部で分散して添加した。溶液を流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、セルロースエステル溶液を得た。
次に、33℃に温度調整したセルロースエステル溶液を、ダイに送液して、ダイスリットからステンレスベルト上に均一に流延した。ステンレスベルトの流延部は裏面から37℃の温水で加熱した。流延後、金属支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブということにする)に44℃の温風を当てて乾燥させ、剥離の際の残留溶媒量が120質量%で剥離した。次いで、剥離されたウェブを、125℃に設定された乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、表面が平滑なセルロースエステルフィルムを製造した。製造されたセルロースエステルフィルムについて、膜厚は100μm、フィルム幅は2000mm、Tgは160℃であった。
[転写工程]
図3に示す装置を用いて、上記セルロースエステルフィルム1を所定の搬送速度で搬送しながら、以下に示す転写工程(再軟化プレス転写法)を実施した。詳しくは、平滑フィルム1を加熱室10中、所定の粘度に加熱し(図1(A))、所定の加重にて鋳型ロール2(アルミニウム製、直径φ=100mm、ロール長l=2000mm)と、表面が鏡面加工されたバックロール3(アルミニウム製、直径φ=100mm、ロール長l=2000mm、表面粗さRa=15nm)との間を通過させて、鋳型ロール2の凹凸パターンを所定の転写率でフィルム1の第1表面1aの全面に転写させた(図1(B))。その後、フィルムを鋳型から離型し(図1(C))、凸部平坦フィルムを巻き取った。鋳型ロール2が表面に有する凹凸パターンは、図1(A)に示すように、頂角α90°、高さH10μm、ピッチp20μmの一次元プリズム形状を有し、得られた凸部平坦フィルムが有する凸部はフィルムの幅手方向に対する垂直断面において略台形形状を有し、フィルムの幅手方向で連続して形成されていた。
<比較例2>
鋳型ロールを以下に示す凹凸形状を有するものに変更したこと以外、実施例1Aと同様の方法によりフィルムを製造した。
鋳型ロールが有する凹凸形状は、フィルムの凸部がフィルムの幅方向に対する垂直断面において台形形状を有し、かつフィルムの幅方向で連続した形状を有するような形状であった。フィルムが有する台形形状の凸部は、詳しくはフィルムの幅方向に対する垂直断面において高さ5μm、上底10μm、下底20μmの寸法を有しており、ピッチは20μmであった。
Figure 0005277459
<実施例1B〜4B/比較例3>
実施例1Aにおいてセルロースエステルフィルムを製造するに際し、ウェブをステンレスベルトから剥離した後、剥離されたウェブを、125℃に設定された乾燥ゾーンで搬送させて乾燥を行い、フィルム1を得た。乾燥は、フィルム1が所定の粘度を達成するまで行い、図4に示す装置を用いて、当該フィルム1を所定の搬送速度で搬送しながら、以下に示す転写工程(製膜転写法)を実施した。詳しくは、図1(A)に示すように、所定の粘度を有する平滑フィルム1を、所定の加重にて鋳型ロール2(アルミニウム製、直径φ=100mm、ロール長l=2000mm)と、表面が鏡面加工されたバックロール3(アルミニウム製、直径φ=100mm、ロール長l=2000mm、表面粗さRa=15nm)との間を通過させて、鋳型ロール2の凹凸パターンを所定の転写率でフィルム1の第1表面1aの全面に転写させた(図1(B)。その後、フィルム1を鋳型ロール2から離型し(図1(C))、凸部平坦フィルムを巻き取った。鋳型ロール2が表面に有する凹凸パターンは、実施例1Aにおける鋳型ロール2の一次元プリズム形状と同様であった。
Figure 0005277459
<実施例1C〜4C/比較例4>
実施例1Aで得られたセルロースエステルフィルムを基材11として用い、当該基材11上に紫外線硬化樹脂を20μm厚で塗布して樹脂層12を形成し、これをフィルム1として用いた。フィルム1を所定の搬送速度で搬送しながら、図6に示す装置を用いて、以下に示す転写工程(活性線硬化転写法)を実施した。詳しくは、まず、樹脂層12が所定粘度になるまでフィルム1の乾燥を行った(図示せず)。次いで、樹脂層12が所定の粘度を有するフィルム1を、所定の加重にて鋳型ロール2(アルミニウム製、直径φ=100mm)と、表面が鏡面加工された押圧ロール9a(アルミニウム製、直径φ=100mm、表面粗さRa=15nm)との間を通過させて、鋳型ロール2の凹凸パターンを所定の転写率でフィルム1の樹脂層12に転写させた(図2(B))。その後、フィルム1を、図2(B)に示すように、樹脂層12と鋳型ロール2との接触を維持したまま、送りロール9bまで鋳型ロール2の回転によって搬送した。搬送中において、フィルム1の樹脂層12に対して、光源7によりフィルム1の基材側から活性線を照射し、硬化させた。その後、フィルム1を送りローラ9bにより鋳型ロール2から離型し(図2(C))、凸部平坦フィルムを巻き取った。鋳型ロール2が表面に有する凹凸パターンは、実施例1Aにおける鋳型ロール2の一次元プリズム形状と同様であった。
Figure 0005277459
[評価手法]
最終的に製造された凸部平坦フィルムにおける凹凸形成面のAFM画像を観測し、以下の項目について評価した。
(平坦面割合)
凸部の先端に形成された平坦面の総面積の、凹凸形成面全体に対する割合をAFM画像より求めた。当該値は任意の10ヶ所におけるAFM画像についての平均値である。
(平坦度)
凸部の先端の平坦面の有無を評価した。
(平滑度)
任意の10点における平坦面の表面粗さRaをAFMにより計測し、それらの平均値に基づいて評価した。
◎:Raの平均値が5nm以下であった;
○:Raの平均値が10nm以下であった;
△:Raの平均値が20nm以下であった;
×:Raの平均値が20nmより大きかった。
(凹凸高さ均一性)
形成された凹凸パターンの凹凸高さhを幅手方向について100mm間隔で観測し、平均値からの差を平均値に対する割合で示した。
◎:当該割合が±3%の範囲内であった;
○:当該割合が±5%の範囲内であった;
△:当該割合が±10%の範囲内であった;
×:当該割合が±10%の範囲を超えていた。
(剥離残り)
凸部平坦フィルムを連続生産しながら、レーザー検出器で鋳型の凹凸パターンの反射強度を測定し、鋳型への剥離残りの検出を行った。
◎:48時間の連続生産で、剥離残りが検出されなかった;
○:36時間の連続生産で、剥離残りが検出されなかった;
△:12時間の連続生産で、剥離残りが検出されなかった;
×:12時間の連続生産で、剥離残りが検出された。
(転写率)
図1および図2に示すような、フィルム1に付与された凹凸の凹凸高さhおよび鋳型の凹凸高さHを、AFM画像より求めた。これらの値は任意の10ヶ所におけるAFM画像についての平均値である。次いで、式;
(h/H)×100
に基づいて、転写率を算出した。
(A)は、本発明における光学フィルムの製造方法の一例において転写工程直前のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、(B)は(A)の後において転写工程時のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、(C)は(B)の後において転写工程直後のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図である。 (A)は、本発明における光学フィルムの製造方法の別の一例において転写工程直前のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、(B)は(A)の後において転写工程時のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図であり、(C)は(B)の後において転写工程直後のポリマーフィルム1と鋳型2を示す概略断面図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する転写装置の一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する転写装置の一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する転写装置の一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する転写装置の一実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1:ポリマーフィルム、1a:第1表面、1b:第2表面、2:鋳型ロール、3:バックロール、4:凸部、5:平坦面、6:凸部平坦フィルム、7:光源、8:凸部平坦フィルム、9a:押圧ロール、9b:送りロール、10:加熱室、11:基材、12:樹脂層、20:膨潤槽、21:膨潤用溶媒。

Claims (4)

  1. 鋳型の凹凸パターンをポリマーフィルムに転写させる光学フィルムの製造方法であって、
    以下の式;
    転写率=(h/H)×100
    (式中、hはポリマーフィルムに形成された凹凸パターンの凹凸高さである;Hは鋳型の凹凸パターンの凹凸高さである)で表される転写率を20〜85%として、ポリマーフィルムに、凸部の先端に平坦面を有する凹凸パターンを形成し、
    ポリマーフィルムに形成された凹凸パターンについて凸部先端の平坦面の総面積が凹凸パターン形成面全体に対して15〜75%であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 鋳型の凹凸パターンをポリマーフィルムに転写させる光学フィルムの製造方法であって、
    以下の式;
    転写率=(h/H)×100
    (式中、hはポリマーフィルムに形成された凹凸パターンの凹凸高さである;Hは鋳型の凹凸パターンの凹凸高さである)で表される転写率を20〜85%として、ポリマーフィルムに、凸部の先端に平坦面を有する凹凸パターンを形成し、
    転写時において以下に示す全ての加工条件を採用することを特徴とする光学フィルムの製造方法;
    (1)ポリマーフィルムの粘度が1〜1200Pa・secである;
    (2)鋳型のポリマーフィルムに対する加重が1〜350N/mmである;
    (3)ポリマーフィルムの搬送速度が25〜170m/minである。
  3. 転写方法として、以下に示すいずれか1つの転写方法を採用する請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法;
    ポリマーフィルムを製膜した後、再軟化させたポリマーフィルムに鋳型を押し当てる再軟化プレス転写法;
    ポリマーフィルムの製膜過程で軟化したポリマーフィルムに鋳型を押し当てる製膜転写法;および
    ポリマーフィルム基材に活性線硬化樹脂層を形成し、該樹脂層に鋳型を押し当て、硬化させる活性線硬化転写法。
  4. ポリマーフィルムに形成された凹凸パターンのピッチが0.1〜50μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
JP2008302035A 2008-11-27 2008-11-27 光学フィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP5277459B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008302035A JP5277459B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 光学フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008302035A JP5277459B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 光学フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010125683A JP2010125683A (ja) 2010-06-10
JP5277459B2 true JP5277459B2 (ja) 2013-08-28

Family

ID=42326400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008302035A Expired - Fee Related JP5277459B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 光学フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5277459B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103052504B (zh) * 2010-08-31 2014-12-10 美国圣戈班性能塑料公司 带图案的保护膜
JP5982816B2 (ja) * 2011-12-27 2016-08-31 日本ゼオン株式会社 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
WO2023282034A1 (ja) * 2021-07-08 2023-01-12 コニカミノルタ株式会社 支持体フィルムのリユース可否判定方法、支持体フィルムの洗浄方法、支持体フィルムのリユース方法、支持体フィルムロールの製造方法、転写性積層フィルムロールの製造方法、支持体フィルムのリユース可否判定プログラム、及び支持体フィルムのリユース可否判定システム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3676896B2 (ja) * 1996-11-28 2005-07-27 帝人化成株式会社 低光沢マットフィルムの製造法
JP2005305971A (ja) * 2004-04-26 2005-11-04 Alps Electric Co Ltd 凹凸形成装置および微細凹凸形状加工方法、およびそれを用いた液晶表示素子
JP2008132699A (ja) * 2006-11-29 2008-06-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 表面形状転写樹脂シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010125683A (ja) 2010-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20040086112A (ko) 방현성 반사 방지 필름의 제조 방법 및 장치 및 방현성반사 방지 필름
JP2014178709A (ja) 偏光板の製造方法
JP2009286981A (ja) ハードコート塗液、ハードコートフィルム、偏光板及び透過型液晶表示装置
JP2010274615A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
CN104422981A (zh) 光学膜的制造方法
WO2010095316A1 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5277459B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2005111669A (ja) ポリマーフィルムの製造方法
JP6642434B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いてなる偏光膜
JP6586787B2 (ja) 樹脂フィルムの製造方法
JP2010089298A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2021002061A (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜
KR20180013848A (ko) 폴리비닐 알코올계 필름, 폴리비닐 알코올계 필름의 제조 방법 및 편광막
CN104640695A (zh) 光学膜
JP2010023312A (ja) フィルムおよびその製造方法
JP5707855B2 (ja) ハードコートフィルムの製造方法
JP2008242003A (ja) ハードコートフィルムの製造方法、光学フィルム及び反射防止フィルム
JP2009226829A (ja) 凹凸フィルムの製造方法
WO2011093222A1 (ja) 光制御フィルムとその製造方法
JP2010139585A (ja) 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び液晶表示装置
KR20120078472A (ko) 셀룰로오스 에스테르 필름
JP2002264152A (ja) フィルム製造方法及び偏光板用保護フィルム
JP2017007262A (ja) 光学フィルムの製造方法
JPWO2010119732A1 (ja) 偏光子保護フィルム、それを用いた偏光板及びその製造方法
JPWO2009041298A1 (ja) 防眩フィルム、及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130327

TRDD Decision of grant or rejection written
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130415

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130416

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130429

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees