近年、平面型の表示装置として面放電を行う交流型プラズマディスプレイ装置が実用化され、パーソナルコンピュータやワークステーション等の表示装置、平面型の壁掛けテレビジョン、或いは、広告や情報等を表示するための装置として広く使用されている。面放電を行うプラズマディスプレイ装置は、前面ガラス基板の内面に一対の電極が形成され、内部に希ガスが封入された構造になっており、電極間に電圧を印加すると、電極面上に形成された誘電体層および保護層の表面で面放電が起こり、紫外線が発生する。そして、背面ガラス基板の内面には、3原色である赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の蛍光体が塗布されており、紫外線によりこれらの蛍光体を励起発光させることによってカラー表示を行うようになっている。
図1は表示装置の一例としてのプラズマディスプレイ装置の全体構成を概略的に示すブロック図であり、現在実用化されている一般的な三電極面放電交流駆動型プラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたプラズマディスプレイ装置を示すものである。なお、図1に示すプラズマディスプレイ装置は、単なる一例であり、後述する本発明は図1に示すプラズマディスプレイ装置以外に様々な構成の表示装置に対して適用することができる。
プラズマディスプレイ装置100は、PDP10と、該PDP10の各セルを駆動するためのX側共通ドライバ32,Y側共通ドライバ33,Y側スキャンドライバ34およびアドレスドライバ35と、これら各ドライバを制御する制御回路(ロジック部)31とを備えている。制御回路31には、TVチューナやコンピュータ等の外部装置からR,G,Bの3色の輝度レベル(入力輝度レベル)を示す多値画像データである入力データDin、ドットクロックCLK、および、各種の同期信号(水平同期信号Hsync,垂直同期信号Vsync等)が入力され、上記入力データDin,ドットクロックCLKおよび各種の同期信号からそれぞれのドライバ32〜35に適した制御信号を出力して所定の画像表示を行うようになっている。
制御回路31は、PDP10の輝度および消費電力の制御を行う輝度/電力制御部311、Y側スキャンドライバ34を介してY電極の走査を制御すると共に、X側共通ドライバ32およびY側共通ドライバ33等を介してX電極およびY電極間における維持放電を制御するスキャン/共通ドライバ制御部312、並びに、アドレスドライバ35を介してPDP10で表示するデータを制御する表示データ制御部313を備えている。
図2は図1に示すプラズマディスプレイ装置におけるプラズマディスプレイパネル(PDP10)の一例を模式的に示す図であり、三電極面放電AC型プラズマディスプレイパネルを示すものである。
図2において、参照符号10はプラズマディスプレイパネル(PDP)、11は前面側の基板、12はX電極用の透明電極、13はX電極用のバス電極、14はY電極用の透明電極、15はY電極用のバス電極、16は背面側の基板、17はアドレス電極、18は隔壁(リブ)、そして、19R,19G,19Bはそれぞれ赤色(R),緑色(G),青色(B)の蛍光体層を示している。なお、実際のPDP10は、X電極およびY電極上に誘電体層並びに保護膜が設けられ、また、アドレス電極上に誘電体層が設けられている。
さらに、X電極(12,13)およびY電極(14,15)が設けられた前面側の基板11とアドレス電極17が設けられた背面側の基板16との間には、ネオンとキセノンの混合ガスなどの放電ガスが充填され、X電極およびY電極とアドレス電極との交差部の放電空間が1つの放電セルを構成することになる。
図3は従来のプラズマディスプレイ装置100の制御回路31における表示データ制御部313の一例の部分構成を概略的に示すブロック図であり、図4は従来の階調駆動シーケンスの一例を示す図である。
表示データ制御部313は、例えば、R,G,Bの各色256階調(入力輝度レベルが0〜255)の入力データDinを、図4に示すような複数(例えば、8個)のサブフィールドSF1〜SF8に変換するサブフィールド変換回路3130を備え、これらのサブフィールドSF1〜SF8によりPDP10を駆動するようになっている。
すなわち、図4に示されるように、プラズマディスプレイ装置における従来の階調駆動シーケンスは、1フィールド(1フレーム)をそれぞれ所定の輝度の重みを有する複数(例えば、8個)のサブフィールド(サブフレーム)SF1〜SF8で構成し、各サブフィールドの組み合わせにより所望の階調表示を行うようになっている。ここで、8個のサブフィールドSF1〜SF8は、例えば、2の巾乗の輝度重みを有し、各サブフィールドSF1〜SF8の維持放電回数の比が1:2:4:8:16:32:64:128になっていて、これにより256階調(出力輝度レベルが0〜255)の表示を行うようになっている。
各サブフィールド(SF1〜SF8)は、それぞれ表示領域における全てのセルの壁電荷を均一にするリセット期間(初期化過程:リセット工程を行う期間)TR、点灯セルを選択するアドレス期間(アドレス過程:アドレス工程を行う期間)TA、および、選択されたセルを輝度に応じた回数だけ放電(点灯)させるサステイン期間(維持放電期間:表示過程:サステイン工程を行う期間)TSで構成され、各サブフィールドの表示毎に、輝度に応じてセルを点灯させ、例えば、8つのサブフィールド(SF1〜SF8)を表示することで1フィールドの画像表示を行うようになっている。
図5は図4の階調駆動シーケンスによるサブフィールドの組み合わせと出力輝度レベルとの関係を示す図である。
図5に示されるように、入力(出力)輝度レベルがレベル0からレベル255に順次増加するとき、輝度の重みが『1』のサブフィールドSF1は入力輝度レベルの増加に従って交互に点灯と非点灯を繰り返し、また、輝度の重みが『2』のサブフィールドSF2は入力輝度レベルの増加に従って2レベル毎に点灯と非点灯を繰り返し、さらに、輝度の重みが『4』のサブフィールドSF3は入力輝度レベルの増加に従って4レベル毎に点灯と非点灯を繰り返し、そして、輝度の重みが『8』のサブフィールドSF4は入力輝度レベルの増加に従って8レベル毎に点灯と非点灯を繰り返すことになる。
そのため、サブフィールドの組み合わせによる階調表示によっては、放電がある程度の時間生じないために、次のサブフィールドのアドレス放電(アドレス期間TA)並びにサステイン放電(サステイ期間TS)に要する時間が長くなっていた。これは、例えば、PDPのセルは、直前の放電からの経過時間が長くなると、セル内の放電経路が消失して次の放電が起こり難くなったり、アドレス放電による十分な壁電荷の形成に時間が必要になるためである。
図6は関連技術の階調駆動シーケンスの一例を示す図であり、階調表現力を向上させるために単純に輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFexを追加したものである。
図7は図6の階調駆動シーケンスにおける駆動波形の一例を示す図であり、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFexと輝度の重みが『1』のサブフィールドSF1の駆動波形を示すものである。
すなわち、図6および図7に示されるように、追加サブフィールドSFexは、通常のサブフィールドSF1〜SF8と同様に、リセット期間(リセット工程を行う期間)TR、アドレス期間(アドレス工程を行う期間)TAおよびサステイン期間(サステイン工程を行う期間)TSを有している。
まず、追加サブフィールドSFexのリセット期間TRにおいて、パルスP1によりセルに壁電荷を書き込み、さらに、パルスP2により壁電荷を消去しながら壁電圧を調整する。続くアドレス期間TAにおいて、Y電極(Y:14,15)に対して順次スキャンパルスPscを印加し、同時に、表示データに基づいて点灯させるべきセルに対してアドレス電極(A:17)に対してアドレスパルスPaを印加してアドレス放電を起こし、壁電荷を蓄積する。
そして、続くサステイン期間Tsにおいて、X電極(X:12,13)およびY電極にサステインパルスPsuを印加して、アドレス放電により壁電荷が蓄積されていたセルのみ点灯する。この維持放電パルスの回数により、セルの輝度が制御される。
ここで、図6および図7から明らかなように、追加サブフィールドSFexとサブフィールドSF1の駆動波形は、実質的に同様のものとされている。ただし、図7では、示していないが、追加サブフィールドSFexとサブフィールドSF1とでは、サステイン期間TSにおけるサステインパルスPsu(サステイン放電)の数が異なっており、例えば、追加サブフィールドSFexの輝度の重みが『0.5』でサブフィールドSF1の輝度の重みが『1』のときは、追加サブフィールドSFexにおけるサステインパルスPsuの数は、サブフィールドSF1におけるサステインパルスの数の約半分とされている。なお、他のサブフィールドSF2〜SF8の駆動波形も実質的に同様のものとされ、サステインパルスPsuが各サブフィールドの輝度の重みに対応した数とされている。
また、従来、入力映像データを、該入力映像データの階調ステップよりも小さい階調ステップの出力表示データに変換することで、輝度の階調解像度を高くするようにした表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、従来、輝度レベルの重みが『1』よりも小さい微小輝度サブフィールド(輝度レベルの重みが『0.5』のサブフィールド)を新たに設け、この微小輝度サブフィールドを用いることで従来の入力映像データの階調数を変えることなく輝度の階調解像度を増加するようにしたプラズマディスプレイ装置が提案されている。
以下、本発明に係る表示装置およびその駆動方法の実施例を、添付図面を参照して詳述する。
図8は本発明に係る表示装置の制御回路における表示データ制御部の一例の部分構成を概略的に示すブロック図であり、図9は本発明に係る表示装置の駆動方法の第1実施例としての階調駆動シーケンスの一例を示す図である。
図8に示されるように、本発明に係る表示装置の制御回路31における表示データ制御部313の一例は、シフト回路3131およびサブフィールド変換回路3132を備えている。
シフト回路3131は、例えば、R,G,Bの各色256階調(入力輝度レベルが0〜255)の入力データDinをスキャン/共通ドライバ制御部312からの制御信号CSに従ってシフトし、すなわち、輝度レベルが0〜255(シフトなし)、1〜256(1だけシフト)、或いは、2〜257(2だけシフト)のデータを出力する。サブフィールド変換回路3132は、シフト回路3131からの出力および制御信号CSを受け取って、例えば、図9に示すようなサブフィールドSF1〜SF8および追加サブフィールドSFexに変換して出力し、これらのサブフィールドSF1〜SF8および追加サブフィールドSFexによりPDP10を駆動するようになっている。
ここで、シフト回路3131の出力が輝度レベル1〜256(実際には、255まで)になるのは、例えば、図9および図10に示されるような追加サブフィールドSFexを使用する場合であり、また、シフト回路3131の出力が輝度レベル2〜257(実際には、255まで)になるのは、例えば、図17および図18に示されるような追加サブフィールドSFex1およびSFex2を使用する場合である。なお、サブフィールド変換回路3132は、シフト回路3131の出力が輝度レベル255までを対象としており、シフト回路3131の出力が輝度レベル256および257になる場合はサブフィールドの組み合わせを出力しないことになる。
すなわち、図9に示されるように、本発明に係る表示装置(例えば、プラズマディスプレイ装置)の駆動方法の第1実施例の階調駆動シーケンスは、1フィールドをそれぞれ所定の輝度の重みを有する複数(例えば、9個)の追加サブフィールドSFexおよびサブフィールドSF1〜SF8で構成し、各サブフィールドの組み合わせにより所望の階調表示を行うようになっている。ここで、8個のサブフィールドSF1〜SF8は、例えば、従来と同様に2の巾乗の輝度重みを有し、各サブフィールドSF1〜SF8の維持放電回数の比が1:2:4:8:16:32:64:128になっていて、これにより256階調の表示を行うようになっている。また、追加サブフィールドSFexは、例えば、『0.5』の輝度重みを有し、すなわち、維持放電回数が『1』の輝度重みを有するサブフィールドSF1の半分になっている。
サブフィールドSF1〜SF8は、従来と同様に、それぞれ表示領域における全てのセルの壁電荷を均一にするリセット期間TR、点灯セルを選択するアドレス期間TA、および、選択されたセルを輝度に応じた回数だけ放電させるサステイン期間TSで構成されている。これに対して、追加サブフィールドSFexは、アドレス期間TAおよびサステイン期間TSで構成されている。そして、各サブフィールドの表示毎に輝度に応じてセルを点灯させ、例えば、9つのサブフィールド(SFexおよびSF1〜SF8)を表示することで1フィールドの表示を行うようになっている。
図10は図9の階調駆動シーケンスによるサブフィールドの組み合わせと出力輝度レベルとの関係を示す図である。
図10に示されるように、追加サブフィールドSFexは、入力(出力)輝度レベルがレベル0のときを除いて常に点灯するようになっている。また、他の8つのサブフィールドSF1〜SF8は、シフト回路3131により入力輝度レベルが0〜255から1〜256(255)にシフトされたのに伴って、入力輝度レベルが0,1,2,3,…,255と順次増加するのに伴って、追加サブフィールドSFexおよびサブフィールドSF1〜SF8による出力輝度レベルは、0,0.5,1.5,2.5,…,254.5と変化する。これは、低輝度部が1階調増えた形になるため、階調表現力が2倍相当になる。また、その他の階調表現については、出力輝度レベルが0.5減る形になるが輝度ステップは変わらないため従来と同等である。
図11は図9の階調駆動シーケンスにおける駆動波形の一例を示す図であり、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFexと輝度の重みが『1』のサブフィールドSF1の駆動波形を示すものである。
すなわち、図9および図11に示されるように、追加サブフィールドSFexを、1フィールドの最初に点灯するサブフィールドとして配置するようになっている。ここで、追加サブフィールドSFexは、通常のサブフィールドSF1〜SF8からリセット期間TRを削除した、すなわち、アドレス期間TAおよびサステイン期間TSだけで構成されるようになっている。
追加サブフィールドSFexのアドレス期間TAにおいて、Y電極(Y:14,15)に対して順次スキャンパルスPscを印加し、同時に、表示データに基づいて点灯させるべきセルに対してアドレス電極(A:17)に対してアドレスパルスPaを印加してアドレス放電を起こし、壁電荷を蓄積する。ここで、追加サブフィールドSFexにおけるアドレス期間TAは、全てのアドレスを選択してアドレス放電を行う。そして、続くサステイン期間Tsにおいて、X電極(X:12,13)およびY電極にサステインパルスPsuを印加して、アドレス放電により壁電荷が蓄積された全てのセルを点灯する。
次に、サブフィールドSF1のリセット期間TRにおいて、パルスP1によりセルに壁電荷を書き込み、さらに、パルスP2により壁電荷を消去しながら壁電圧を調整する。続くアドレス期間TAにおいて、Y電極(Y)に対して順次スキャンパルスPscを印加し、同時に、表示データに基づいて点灯させるべきセルに対してアドレス電極(A)に対してアドレスパルスPaを印加してアドレス放電を起こし、壁電荷を蓄積する。
ここで、図11に示されるように、例えば、サブフィールドSF1のアドレス期間TAにおけるアドレス放電に要する時間、すなわち、表示データに基づいて点灯させるべきセルに対して十分な壁電荷を蓄積して次のサステイン放電を正しく行わせるために必要とされる時間は、直前に追加サブフィールドSFexのアドレス期間TAにより全てのセルのアドレス放電が行われているために、短時間とすることが可能である。このことは、他のサブフィールドでも同様であり、追加サブフィールドSFexによる放電が入力輝度レベル0を除き、全てのセルに対して1フィールドに必ず1回は行われるため、長時間にわたって放電が行われないセルが存在しないことになり、アドレス期間TAを比較的短時間とすることができる。
このように、本第1実施例に係る表示装置の駆動方法によれば、通常階調表現に使用するサブフィールド群(SF1〜SF8)における最小輝度(サブフィールドSF1の輝度重み『1』)よりも小さい輝度のサブフィールド(輝度重み『0.5』の追加サブフィールドSFex)を付加することにより、背景輝度を上昇させることなく低輝度部の階調表現力を拡大(2倍に)することができる。すなわち、追加サブフィールドSFexは常時点灯するため、黒以外の階調を表示する場合は消去する必要がなくリセット期間TRが不要になり背景輝度も追加サブフィールドSFexを付加する前と同等になる。
ここで、付加した追加サブフィールドSFexが出力輝度レベルのLSB(最下位ビット)になるため、通常階調表現に使用するサブフィールド群(SF1〜SF8)を入力輝度レベル(0〜255)に対して+1レベルずらして(1〜256(255))点灯させる。これにより、入力輝度レベル0,1〜255に対して、追加サブフィールドSFexおよびサブフィールドSF1〜SF8による出力輝度レベルは、0,0.5〜254.5と変化する。
さらに、本第1実施例に係る表示装置の駆動方法によれば、追加サブフィールドSFexは常時点灯(入力輝度レベル0以外で常時点灯)することになるため、その追加サブフィールドSFexの書き込みに必要なリセットパルス(リセット期間TR)が不要になり、その結果、駆動に要する時間を短縮することができ、表示画像の背景輝度の上昇を抑制することが可能になる。また、常時点灯する追加サブフィールドSFexが存在することにより、追加サブフィールドSFex以外のサブフィールド(SF1〜SF8)の点灯状態が安定することになり、サブフィールドSF1〜SF8のアドレス期間TAおよびサステイン期間TSを短縮して、駆動に要する時間を大幅に低減することができる。
なお、各サブフィールドが点灯している状態から黒にする場合は点灯セルを消去するためにリセット期間が必要になってくるが、追加サブフィールドSFexに隣接する2番目のサブフィールド(SF1)のリセット期間TRを利用して先頭サブフィールドを消去することが可能なので問題ない。
しかしながら、黒から任意の階調に表示が切り替わる場合、リセットしない状態で先頭サブフィールドを点灯させようとすると、壁電荷の形成が不安定になって点灯し難くなる場合がある。そこで、次に説明する本第1実施例の変形例では、追加サブフィールドSFexの最初に前処理期間TPを設けるようになっている。
図12は図11の駆動波形の変形例を示す図である。
図12と図11との比較から明らかなように、本第1実施例の変形例では、追加サブフィールドSFexの最初に前処理期間TPを設けるようになっている。ここで、前処理期間TPでY電極に与えるパルスPpは、例えば、リセット期間TRにおける壁電荷を消去しながら壁電圧を調整する2つ目のパルスP2に相当するものであり、各フィールドの先頭(追加サブフィールドSFexの最初)に前処理期間TPを設けることにより、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFexを安定して点灯させることができる。すなわち、本変形例のように追加サブフィールドSFexの最初に前処理期間TPを設けると、前述した第1実施例よりも駆動時間は多少長くなるが、追加サブフィールドSFexの点灯をより安定して行うことが可能になる。なお、この変形例の場合でも、例えば、図6および図7を参照して説明した関連技術よりは、必要とされる駆動時間を短くすることができるのはいうまでもない。
図13は発明に係る表示装置の駆動方法の第2実施例としての階調駆動シーケンスの一例を示す図であり、図14は図13の階調駆動シーケンスにおける駆動波形の一例を示す図である。
図13および図14と図9および図11との比較から明らかなように、本第2実施例では、上述した第1実施例の変形例における追加サブフィールドSFexと輝度の重みが『1』のサブフィールドSF1との順番が入れ替わるようになっている。すなわち、追加サブフィールドSFexは、各サブフィールドの最初に点灯するサブフィールドとして配置する必要はなく、1フィールドの任意の位置に配置することもできる。すなわち、入力輝度レベル0を除く全ての入力輝度レベルで点灯する追加サブフィールドSFexが1フィールドの任意の位置に配置した場合でも、全てのセルは、入力輝度レベル0を除き1フィールドで必ず1回は点灯することになるため、追加サブフィールドSFex以降のサブフィールドにおけるアドレス期間TAを短縮することが可能になる。
なお、本第2実施例では、前述した第1実施例の変形例における前処理期間TPでY電極に与えるパルスPpに相当するパルスPfを最初に点灯するサブフィールドSF1の後処理期間TFで与えるようになっている。もちろん、サブフィールドSF1の後の追加サブフィールドSFexの前処理期間TPで同様のパルスをY電極に与えてもよく、また、このようなパルスを省略することも可能である。
サブフィールドSF1の後処理期間TFでパルスPfを与えて後処理放電を行った場合、例えば、黒から任意の階調に表示が切り替わるときでも追加サブフィールドSFexにリセット期間TRがなくても正常に点灯させることができる。この時、パルスPpを与える前処理期間TPは、通常のリセット期間TRに比べて十分小さいため駆動時間への影響は少ない。
また、本第2実施例においては、例えば、サブフィールドSF1および追加サブフィールドSFexのアドレス期間TA(Y電極に対して順次スキャンパルスPsc1およびPscを印加して行うアドレス放電に要する時間)の短縮を行うことはできないが、追加サブフィールドSFex以降のサブフィールドSF2〜SF8におけるアドレス期間TAおよびサステイン期間TSを短縮することができ、駆動時間の低減を図ることが可能である。
図15は本発明に係る表示装置の駆動方法の第3実施例としての階調駆動シーケンスの一例を示す図である。
図15と図13との比較から明らかなように、本第3実施例では、上述した第2実施例の追加サブフィールドSFexにおけるサステイン期間TSを削除するようになっている。この場合、追加サブフィールドSFexは輝度の重みが『0.5』を持たないことになって低輝度部の階調表現力を向上させることはできないが、他のサブフィールドSF2(SF1)〜SF8におけるアドレス期間の短縮を行って、駆動時間の低減を図ることが可能である。
図16は図15の階調駆動シーケンスの変形例における駆動波形の一例を示す図である。
図16と図14との比較から明らかなように、本第3実施例の変形例では、上述した第2実施例の追加サブフィールドSFexにおけるサステイン期間TSを削除し、代わりに補償期間TCを設けるようになっている。この補償期間TCは、例えば、リセット期間TSにおいてセルに壁電荷を書き込む1つ目のパルスP1に相当するパルスPcをY電極に与えるようになっている。
以上、詳述したように、本発明における追加サブフィールドSFexとしては、任意のサブフィールドの位置に配置することができるが、1フィールドにおける最初或いは早期に点灯するサブフィールドとして配置した方が、それ以降のサブフィールドにおけるアドレス期間TAを短縮して駆動時間を低減する上で好ましい。また、上述した各実施例および変形例で説明したように、追加サブフィールドSFexおよび追加サブフィールドSFexの直前のサブフィールドは、様々な構成とすることができるが、これは表示装置の構造や駆動方式に応じて、或いは、表示装置を駆動するのに許される時間や要求される画像品質等の様々な条件に応じて適切なものが選択されることになる。
図17は本発明に係る表示装置の駆動方法の第4実施例としての階調駆動シーケンスの一例を示す図であり、図18は図17の階調駆動シーケンスによるサブフィールドの組み合わせと出力輝度レベルとの関係を示す図である。
図17および図18に示されるように、本第4実施例では、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFex1と輝度の重みが『0.25』の追加サブフィールドSFex2とを付加するようになっている。そして、輝度の重みが『0.25』の追加サブフィールドSFex2を1フィールドの最初に点灯するサブフィールドとして配置し、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFex1を追加サブフィールドSFex2の直ぐ後に配置するようになっている。ここで、追加サブフィールドSFex1およびSFex2は、アドレス期間TAおよびサステイン期間TSから構成されている。なお、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFex1におけるサステインパルスの数は、輝度の重みが『1』のサブフィールドSF1におけるサステインパルスの数の二分の一とされ、また、輝度の重みが『0.25』の追加サブフィールドSFex2におけるサステインパルスの数は、輝度の重みが『1』のサブフィールドSF1におけるサステインパルスの数の四分の一とされている。
図18に示されるように、輝度の重みが『0.25』の追加サブフィールドSFex2は、入力輝度レベルがレベル0のときを除いて常に点灯するようになっており、また、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFex1は、入力輝度レベルがレベル0および1(出力輝度レベルが0および0.25)を除いて常に点灯するようになっている。また、他の8つのサブフィールドSF1〜SF8は、図8を参照して説明したシフト回路3131により0〜255の入力輝度レベルが2〜257(255)にシフトされたのに伴って、入力輝度レベルが0,1,2,3,…,255と順次増加するのに伴って、追加サブフィールドSFex1,SFex2およびサブフィールドSF1〜SF8による出力輝度レベルは、0,0.25,0.75,1.75,…,253.75と変化する。これは、低輝度部が2階調増えた形になるため、階調表現力が4倍相当になる。また、その他の階調表現については、出力輝度レベルが1.25減る形になるが輝度ステップは変わらないため従来と同等である。
図19は本発明に係る表示装置の駆動方法の第5実施例としての階調駆動シーケンスの一例を示す図である。
図19と図17との比較から明らかなように、本第5実施例では、上述した第4実施例における追加サブフィールドSFex1がサブフィールドSF2の後に配置されるようになっている。すなわち、輝度の重みが『0.25』の追加サブフィールドSFex2を1フィールドの最初に点灯するサブフィールドとして配置し、輝度の重みが『0.5』の追加サブフィールドSFex1をサブフィールドSF2とサブフィールドSF3との間に配置するようになっている。
このように、追加サブフィールドは1つに限定されるものではなく、また、1フィールドにおいて追加サブフィールドが配置される位置も最初に点灯するサブフィールドに限定されるものではなく、任意の位置に配置することができる。
以上のように、本発明の各実施例によれば、通常階調表示に使用するサブフィールド群(S1〜SF8)の最小輝度(サブフィールドSF1の輝度重み『1』)よりも小さい輝度のサブフィールド(追加サブフィールドSFex;SFex1,SFex2)を付加することにより、駆動に要する時間増加を抑えると共に、低輝度部の階調表現力を向上させることができる。さらに、本発明の各実施例によれば、追加サブフィールドのリセット期間TRを省略することができるため、背景輝度を従来レベルに維持することができコントラストも損なわれない。
以上の説明においては、プラズマディスプレイパネルを8つのサブフィールドSF1〜SF8により256階調を表現する駆動シーケンスに基づいて本発明の各実施例を説明したが、本発明は、2の巾乗の8つのサブフィールドSF1〜SF8を用いて輝度の重み順にサブフィールドを配置する駆動シーケンス以外に、例えば、同じ重みのサブフィールドを複数有する駆動シーケンスや、擬似輪郭等を防止するためにサブフィールドの配置を工夫した駆動シーケンス等の様々なものに対して幅広く適用することができるものである。
(付記1) 1フィールドをリセット工程、アドレス工程およびサステイン工程を有する複数のサブフィールドに分割してその組み合わせで階調表示を行うフィールド時分割型の表示装置の駆動方法であって、所定の入力輝度レベルより大きな輝度レベルで常時点灯するリセット工程を持たない少なくとも1つの追加サブフィールドをさらに備えることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記2) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドは、輝度の重みが『1』のサブフィールドよりも輝度が小さいことを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記3) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドのアドレス工程は、全てのアドレスを選択してアドレス放電を行うことを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記4) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記所定の入力輝度レベルは入力輝度レベル『0』であることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記5) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドは、前記フィールドにおいて最初に点灯するサブフィールドとして配置されることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記6) 付記4に記載の表示装置の駆動方法において、複数の前記追加サブフィールドを含み、該複数の追加サブフィールドは、前記フィールドにおいてそれぞれ1番目と2番目に点灯するサブフィールドとして配置されることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記7) 付記4に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドは、該追加サブフィールドのアドレス工程の前に配置された前処理工程を有することを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記8) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドは1つであり、該1つの追加サブフィールドを除く他のサブフィールドを、入力輝度レベルに対して1レベル増加して点灯させることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記9) 付記8に記載の表示装置の駆動方法において、前記1つの追加サブフィールドは、輝度の重みが『0.5』のサブフィールドであることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記10) 付記8に記載の表示装置の駆動方法において、入力輝度レベル『1』よりも大きい階調の表示は、前記追加サブフィールド以外のサブフィールドを組み合わせて行うことを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記11) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドは2つであり、該2つの追加サブフィールドを除く他のサブフィールドを、入力輝度レベルに対して2レベル増加して点灯させることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記12) 付記11に記載の表示装置の駆動方法において、前記2つの追加サブフィールドは、輝度の重みが『0.25』および『0.5』のサブフィールドであることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記13) 付記11に記載の表示装置の駆動方法において、入力輝度レベル『2』よりも大きい階調の表示は、前記追加サブフィールド以外のサブフィールドを組み合わせて行うことを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記14) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、前記追加サブフィールドは、サステイン工程を持たないことを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記15) 付記1に記載の表示装置の駆動方法において、該表示装置は、プラズマディスプレイ装置であることを特徴とする表示装置の駆動方法。
(付記16) 表示パネル、該表示パネルを駆動するドライバ、および、画像信号を受け取って前記表示パネルに適した画像データに変換すると共に、前記ドライバを介して前記表示パネルを駆動する制御回路を備える表示装置であって、前記制御回路は、前記付記1〜15のいずれか1項に記載の表示装置の駆動方法を適用して前記表示パネルを駆動することを特徴とする表示装置。