しかし、特許文献1の装置においては、異なる種類の緯糸が緯入される多色の織布を製織する場合、各緯糸供給系列には互いに異なる種類の緯糸が仕掛けられ、織機は、いずれかの緯糸供給系列の給糸センサからの給糸異常の検出信号に基づいてその都度停止され、やはり、織機稼働率の低下と織布の停止段とを生ずる。
以上の従来技術の問題点を鑑み、本発明の目的は、種類の異なる緯糸が所定の緯入パターンに従って緯入される多色の流体噴射式織機において、糸切れ等による給糸センサの給糸異常の検出信号に基づく織機停止回数を抑え、もって織機稼働率の向上を図ると共に、停止段のない高品質の織布を得ることにある。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、給糸パッケージ、緯糸測長貯留装置、緯入ノズル、および緯糸測長貯留装置の上流に配設される給糸センサを有する緯糸供給系列を3以上備える共に、予め設定された複数種類の緯糸の緯入れ順を示す緯入れパターンに従って各緯糸供給系列を動作させて各緯糸供給系列に順次緯入れを行わせる緯入れ制御装置を備える前記の流体噴射式織機の多色緯入装置を前提とする。
そして、本発明は、その前提とする流体噴射式織機の多色緯入装置において、前記緯入制御装置が、前記3以上の緯糸供給系列の全数よりも少ない数の複数の前記緯糸供給系列を前記複数種類の緯糸のいずれに対応する1つの第1のグループとして設定するための設定器と、織機の運転中において前記緯入れパターンに従って選択される緯糸に対応する前記緯糸供給系列のグループ又は他の緯糸供給系列に緯入れを実行させる緯入れ制御回路と、織機の運転が停止するための緯糸供給系列の数に関する残数が設定される残数監視手段とを備え、前記緯入れ制御回路が、グループ化された前記複数の緯糸供給系列について、グループ内の各緯糸供給系列が所定の順序で動作するように動作させるべき前記緯糸供給系列を決定して緯入れを実行させると共に、織機の運転中においてグループ化された複数の前記緯糸供給系列のいずれかで前記給糸センサが給糸の異常を検出したとき、当該緯糸供給系列をグループから除外して動作させるべき前記緯糸供給系列を決定し、前記残数監視手段が、グループ内において前記給糸異常の検出に伴って前記緯糸供給系列が除外されることにより、緯入を継続する当該グループ内の前記緯糸供給系列の数または前記除外された前記緯糸供給系列の数と設定された前記残数と比較し、その比較結果に基づいて織機の運転停止信号を出力することを特徴とする。
また、本発明による多色緯入装置において、前記設定器が、前記第1のグループに含まれる前記緯糸供給系列を除く他の前記緯糸供給系列を、1以上の他のグループ、または、グループを構成しない1以上の単独の緯糸供給系列、または、前記他のグループと前記単独の緯糸供給系列との組み合わせのうちのいずれかとして設定可能であると共に、前記緯入パターンに応じた緯入の動作態様が設定可能に構成されており、前記グループ化された緯糸供給系列であって同一グループに含まれる緯糸供給系列には同一種類の緯糸が仕掛けられると共に、前記グループおよび前記単独の緯糸供給系列にはそれぞれ互いに種類の異なる緯糸が仕掛けられ、前記緯入制御装置においては、前記緯入制御回路が、前記第1のグループに含まれる緯糸供給系列と前記他の緯糸供給系列による前記他のグループおよび/または前記単独の緯糸供給系列とによって前記緯入の動作態様に従った多色緯入が実行されるように各緯糸供給系列を動作させると共に、前記設定器が、グループを構成する前記緯糸供給系列の数の変更に伴って前記緯入の動作態様を変更可能に構成されているものとしてもよい。
さらに、本発明による多色緯入装置において、前記設定器が、個々に前記緯糸供給系列を選択可能であると共に、選択した複数の緯糸供給系列をグループ化する第1の機能、および選択した緯糸供給系列を単独の緯糸供給系列として設定する第2の機能を有するものとしてもよい。また、前記緯入制御装置が、前記設定器により設定される複数の緯入の動作態様を記憶する記憶器を備え、前記設定器が、複数の動作態様から所定の動作態様を前記記憶器から選択設定可能に構成されているものとしてもよい。
また、本発明による多色緯入装置において、前記設定器が、各緯糸供給系列に対応したそれぞれの表示領域を有する表示画面を備え、前記表示画面が、同一グループに設定された各緯糸供給系列に対応するそれぞれの表示領域を、全て同一の色であって他の緯糸供給系列の色とは異なる色で表示するものとしてもよいし、さらには、前記表示画面が、グループ内において前記給糸異常の検出に伴って除外された前記緯糸供給系列に対応する前記表示領域を、同じグループの他の緯糸供給系列に対し同一の色でかつ異なる形態で表示するものとしてもよい。
また、本発明による多色緯入装置が、前記緯入制御装置に接続された復帰手段であって手動操作される復帰手段を備え、前記緯入制御装置が、前記復帰手段から出力された信号に応じて、除外された前記緯糸供給系列をグループに対応する緯糸の緯入に復帰させるものとしてもよい。
本発明による流体噴射式織機の多色緯入装置によれば、緯入制御装置は、同一種類の緯糸が仕掛けられる複数の緯糸供給系列を第1のグループとして設定し、その第1のグループ内において動作する緯糸供給系列を順次交代させながら当該グループに対応する種類の緯糸の緯入を実行すると共に、第1のグループに含まれる緯糸供給系列を除く他の緯糸供給系列で別の種類の緯糸の緯入を実行し、各緯入を緯入パターンに従って実行することにより、多色緯入を実現する。そして、前記第1のグループにおいて、グループ内のいずれかの緯糸供給系列において給糸センサが給糸の異常を検出したとき、当該緯糸供給系列を除外してグループ内の残りの緯糸供給系列で第1のグループに対応する緯糸の緯入を継続するので、グループ内の緯糸供給系列のいずれかに給糸パッケージの糸切れや緯糸消費完了等の給糸異常が検出されても、残りの正常な緯糸供給系列で緯入が継続される。従って、織機は、給糸の異常が検出される都度停止されることが回避され、織機稼働率が向上すると共に、高品質の織布を得ることができる。
しかも、本発明による流体噴射式織機の多色緯入装置は、織機の運転が停止するための緯糸供給系列の数に関する残数が設定される残数監視手段とを備え、該残数監視手段が、グループ内において前記給糸異常の検出に伴って前記緯糸供給系列が除外されることにより、緯入を継続する当該グループ内の前記緯糸供給系列の数または前記除外された前記緯糸供給系列の数と設定された前記残数と比較し、その比較結果に基づいて織機の運転停止信号を出力することにより、緯入を継続するにあたり、前記残りの緯糸供給系列における緯糸測長貯留装置が過酷な動作状態となったり、必要以上に織機の運転速度を低下させることが防がれる。
詳しくは、各緯糸供給系列においては、緯糸測長貯留装置は、回転ヤーンガイドと、該回転ヤーンガイドを駆動するモータとを有しており、給糸パッケージからの緯糸が回転ヤーンガイドに挿通され、モータが回転ヤーンガイドを回転することにより、緯糸が緯糸測長貯留装置の貯留部に巻き付けられる。そして、グループ内において給糸異常の検出に伴って緯糸供給系列が除外されることにより、緯入を継続する緯糸供給系列の数が減少するため、緯入を継続するには、前記モータの回転速度を上げたり、間欠駆動の場合には停止時間を短くしたりすることによって緯糸供給能力を低下させないか、あるいは、前記能力が低下する分だけ、織機運転速度を低下させる必要がある。そのため、グループ内における緯入を継続する緯糸供給系列の数が減少するほど、前記モータの負担が大きくなるか、あるいは織機の運転速度を低下させなければならない。そこで、前記のような残数監視手段を備え、前記残数として前記モータが過酷な動作状態とならないか、あるいは織機の運転速度を必要以上に低下させなくてもよい緯糸供給系列の数を設定しておくことにより、測長貯留装置(モータ)が過酷な動作状態となったり、必要以上に織機の運転速度を低下させることが防がれる。
なお、残数監視手段は、織機の運転を停止すべき緯糸供給系列の数を前記残数として設定しておき、緯入を継続する緯糸供給系列数が設定された残数に達したときに織機停止信号を出力するようにしてもよいし、緯入を継続する緯糸供給系列の数を残数として設定しておき、実際に緯入を継続する緯糸供給系列数が設定された残数よりも1だけ少なくなったときに織機停止信号を出力するようにしてもよい。また、除外された緯糸供給系列数をを残数として設定してもよく、除外された緯糸供給系列の数が、設定された残数または設定された残数よりも1だけ多くなったときに織機停止信号が出力されるものとしてもよい。
また、本発明による多色緯入装置において、前記第1のグループに含まれる緯糸供給系列を除く他の緯糸供給系列を、1以上の他のグループ、または、グループを構成しない1以上の単独の緯糸供給系列、または、前記他のグループと前記単独の緯糸供給系列との組み合わせのうちのいずれかとして設定可能とし、且つ、前記緯入パターンに応じた緯入の動作態様が設定器に設定されると共に、設定器が、グループを構成する緯糸供給系列の数の変更に伴って緯入の動作態様を変更可能に構成されているものとすることにより、織成条件に適した緯入の動作態様が設定可能となり、給糸の異常検出を原因とする織機の停止を抑えることができる。すなわち、使用される複数種類の緯糸のうちの1つが、強度が低い、ケバが多い、あるいは嵩高等で長さが短い等の種類の緯糸である場合には、その緯糸に対応する緯糸供給系列を複数用意してそれらをグループ化すれば、その緯糸の緯入を複数の緯糸供給系列で順次交代して行うと共に、給糸の異常が検出された場合に正常な緯糸供給系列のみで対応する緯糸の緯入を継続することとなり、織機の停止を抑えることができる。
また、本発明による多色緯入装置において、設定器を、個々に緯糸供給系列が選択可能であると共に、選択した複数の緯糸供給系列をグループ化する第1の機能、および選択した緯糸供給系列を単独の緯糸供給系列として設定する第2の機能を有するものとすることにより、製織条件の変更に伴って緯入の動作態様を変更することが可能となると共に、給糸パッケージを仕掛けた後に緯糸供給系列のグループ化を設定することが可能となる。従って、給糸パッケージを仕掛ける際、緯糸の種類に基づいて緯糸供給系列を特定する必要がなく、仕掛けミスによる給糸パッケージの再仕掛け作業を必要としない。また、前回の製織時に仕掛けられていた1つ以上の給糸パッケージを利用することができる。
さらに、本発明による多色緯入装置において、設定器を、複数の緯入の動作態様が記憶された記憶器から所定の動作態様を選択設定可能とすることにより、製織条件の変更に伴って容易に緯入の動作態様を変更することが可能となる。
また、本発明による多色緯入装置において、設定器に備えられた表示画面が、各緯糸供給系列に対応したそれぞれの表示領域を有すると共に、同一グループに設定された各緯糸供給系列に対応するそれぞれの表示領域が全て同一の色であって他の緯糸供給系列の色とは異なる色で表示されるものとすることにより、色覚で各緯糸供給系列のグループ化を確認することができ、設定ミスを回避できる。さらに、その表示画面において、グループ内において給糸異常の検出に伴って除外された緯糸供給系列に対応する表示領域を、同じグループの残りの緯糸供給系列に対し同一の色でかつ異なる形態で表示するものとすることにより、除外された緯糸供給系列を、色覚から瞬時、かつ容易に特定でき、補修や交換の必要な給糸パッケージを正確に知ることができる。なお、緯入れを継続する緯糸供給系列に対し異なる形態で表示する方法として、点滅、照度の変更、記号、絵等を用いる他、各緯糸供給系列に対応するランプを表示領域とし、それぞれのランプの点灯や点滅等により表示する等が考えられる。
さらに、本発明による多色緯入装置において、緯入制御装置に接続された復帰手段であって手動操作される復帰手段を備え、緯入制御装置が、復帰手段から出力された信号に応じて除外された緯糸供給系列をグループに対応する緯糸の緯入に復帰させるものとすることにより、除外された緯糸供給系列が緯入に再び加わるので、緯入を継続していた緯糸供給系列については、緯糸測長貯留装置のモータの運転条件が緩和されると共に、緯糸の給糸パッケージからの解舒速度や緯糸測長貯留装置への巻付速度が低下するので、ケバ等の発生が抑えられて損傷が避けられる。また、その後にグループ内の緯糸供給系列で給糸異常が発生しても、織機は停止を回避できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図1〜図4に示すのは、空気噴射式織機に用いられる本発明の第1の実施例の多色緯入装置60である。図1は多色緯入装置60の制御ブロック線図、図2は設定器15の入力画面15a、表示画面15b、図3は緯糸Cの糸切れ発生時の多色緯入装置60の模式図、および図4は緯糸Cの糸切れ発生時の設定器15の入力画面15a、表示画面15bをそれぞれ示す。
図3に示すように、多色緯入装置60は、複数の緯糸供給系列として第1緯糸供給系列L1から第8緯糸供給系列L8までの8つの緯糸供給系列Lを備えており、本実施例は最大で8つの互いに異なる緯糸Cを緯入可能な8色緯入装置である。
各緯糸供給系列Lは、図示しない給糸ペッグに装着される給糸パッケージ1と、給糸パッケージ1から解舒される糸(緯糸C)を緯糸走行方向の下流に導くヤーンガイド11、12と、ヤーンガイド11、12の間に配設されるテンサ2と、緯糸測長貯留装置30と、ヤーンガイド12と緯糸測長貯留装置30との間に配設される給糸センサ3と、緯糸測長貯留装置30の下流に配設されるヤーンガイド13と、ヤーンガイド13の下流に配設される緯入ノズル9とを備え、緯入ノズル9の先端は経糸開口に対向する。
緯糸測長貯留装置30は、貯留ドラム4と、パイプ状に形成され給糸パッケージ1からの緯糸Cが挿通されると共に、貯留ドラム4の上流に配設され下流端が貯留ドラム4の外周面と対向する回転ヤーンガイド5と、回転ヤーンガイド5を駆動するフィーダモータ6と、貯留ドラム4の下流側に配設されてソレノイドによって駆動され貯留ドラム4に対し進退することにより、貯留ドラム4の外周面に巻き付けられている緯糸Cを解舒可能および解舒不能とする係止ピン7とを有し、貯留ドラム4には1回の緯入で供給される長さ以上の緯糸Cが巻き付けられる。更に、緯糸測長貯留装置30は、図示しない解舒センサを有し、該センサは貯留ドラム4の下流端部に配設され貯留ドラム4から解舒される緯糸Cを検出する。
また、各緯糸供給系列Lは、緯入から除外された緯糸供給系列の手動操作される復帰手段として、押し釦10を備えており、本実施例では、該押し釦10はフィーダモータ6の外枠に取り付けられている。また、本実施例に用いられている給糸センサ3は、糸切れセンサであり緯糸Cの接触圧を測定して所定の閾値よりも低下すると給糸異常信号を出力するタイプである。給糸センサ3が検出する緯糸Cの糸切れは、給糸パッケージ1からの緯糸Cの解舒、即ち回転ヤーンガイド5の回転に伴って生じ、貯留ドラム4の外周面の巻付糸よりも上流側、例えば図3に示すように、給糸センサ3と回転ヤーンガイド5との間で糸切れが生じる。
図1に示すように、多色緯入装置60の緯入制御装置65は、緯入制御回路21と、設定器15と、残数監視手段35と、緯入パターン設定器24とを備える。設定器15は、入力画面15aと、表示画面15bと、演算回路15cとを備え、緯入の動作態様を設定する。また、残数監視手段35は、入力器22と比較器23とを備え、給糸異常の検出に伴って緯糸供給系列Lが除外されることにより、緯入を継続する緯糸供給系列数が所定の残数に達したとき、織機の運転停止信号を出力し、織機の運転を停止させる。
また、図2に示すように、設定器15の入力画面15aと表示画面15bとは、操作盤に設置されている運転条件の入力・表示液晶パネルにおいて、同一画面上に設けられている。入力画面15aは、個々の緯糸供給系列Lを選択する選択部として「緯糸供給系列NO.」欄15adが設けられ、該「緯糸供給系列NO.」欄15adの該当する番号の円形領域を触ることにより、その番号の緯糸供給系列Lが選択される。入力画面15aの緯糸Cの欄、即ち、「第1緯糸C1」、「第2緯糸C2」、「第3緯糸C3」、「第4緯糸C4」、「第5緯糸C5」、「第6緯糸C6」、「第7緯糸C7」、「第8緯糸C8」欄のそれぞれの左方には、各緯糸Cの識別色を表示する円形の印が設けられており、各緯糸Cの円形の印には、識別色としてそれぞれ赤色、青色、黄色、茶色、紫色、緑色、桃色、橙色が用いられている。但し、図では、便宜上、円形内の模様によって各色を表現している。
また、表示画面15bは、1から8の番号が表示されている8つの円形領域を有しており、1番の円形領域が第1緯糸供給系列L1に対応し、2番の円形領域が第2緯糸供給系列L2に対応するように、各円形領域は、それぞれの番号の緯糸供給系列Lに対応して表示するように設けられると共に、各緯糸Cの識別色で、対応する緯糸C毎に同一色で点灯する。これにより、作業者は、その番号の緯糸供給系列Lにいずれの緯糸Cが仕掛けられているかを、色覚で認識することができる。
次に、緯入の動作態様の設定方法について説明する。織物仕様に基づき、かつ緯入頻度や緯糸の物性(例えば弱く糸切れし易い緯糸は多く仕掛ける。)を考慮して、緯糸C毎に仕掛けられる緯糸供給系列Lの数が決定される。本実施例の織物仕様の例は、緯糸Cの種類が第1緯糸C1、第2緯糸C2、第3緯糸C3および第4緯糸C4からなる4色織物であり、C1→C2→C3→C4→C1→C2→C1→C3の順序の緯入が、1繰り返しとされる緯入パターンをとる例である。この緯入パターンでは、第1緯糸C1の緯入頻度が最も多く、第4緯糸C4の緯入頻度が最も少ない。従って、本実施例では緯入頻度を考慮して第1緯糸C1の緯糸供給系列Lが3系列仕掛けられ、第2緯糸C2と第3緯糸C3の緯糸供給系列Lが各2系列仕掛けられ、第4緯糸C4の緯糸供給系列Lが1系列仕掛けられ、緯入頻度が多い緯糸Cほど、多くの緯糸供給系列Lに仕掛けられる。
本実施例では、第1緯糸C1の緯糸供給系列Lを3系列、第2緯糸C2と第3緯糸C3の緯糸供給系列Lを各2系列、および第4緯糸C4の緯糸供給系列Lを1系列仕掛けるとの指示書に基づき、作業者によって各緯糸Cが上記系列数だけ仕掛けられる。その結果、第1緯糸C1が第1緯糸供給系列L1、第2緯糸供給系列L2および第5緯糸供給系列L5にそれぞれ仕掛けられ、第2緯糸C2が第3緯糸供給系列L3、第6緯糸供給系列L6にそれぞれ仕掛けられ、第3緯糸C3が第4緯糸供給系列L4、第7緯糸供給系列L7にそれぞれ仕掛けられ、第4緯糸C4が第8緯糸供給系列L8に仕掛けられている。
次に、作業者は、緯入制御装置65に緯入の動作態様の設定を行い、3つの緯糸供給系列Lから構成されるグループを1つ、2つの緯糸供給系列Lから構成されるグループを2つ、グループを構成しない単独の緯糸供給系列Lを1つ設定する。詳細には、第1緯糸C1が仕掛けられている第1緯糸供給系列L1、第2緯糸供給系列L2および第5緯糸供給系列L5を、3つの緯糸供給系列Lから構成される1つの第1のグループに設定し、第1緯糸C1の緯入に対応させる。また、第2緯糸C2が仕掛けられている第3緯糸供給系列L3および第6緯糸供給系列L6を、2つの緯糸供給系列Lから構成される1つの第2のグループに設定し、第2緯糸C2の緯入に対応させる。更に、第3緯糸C3が仕掛けられている第4緯糸供給系列L4および第7緯糸供給系列L7を、2つの緯糸供給系列Lから構成される1つの第3のグループに設定し、第3緯糸C3の緯入に対応させる。更に、第4緯糸C4が仕掛けられている第8緯糸供給系列L8を、グループを構成しない単独の緯糸供給系列Lとして1つ設定し、第4緯糸C4の緯入に対応させる。
緯入制御装置65への緯入の動作態様の設定は、入力画面15a上から行われる。作業者は、まず、入力画面15aの「第1緯糸」の「設定開始」欄15aaにタッチする。これにより、第1緯糸C1の設定、即ち、緯入パターンの第1緯糸C1の選択時に対応して緯入される緯糸供給系列Lを設定可能となる。次に「緯糸供給系列NO.」欄15adの1の数字の円形領域をタッチして選択してから、「加入」欄15acをタッチする。これにより、第1緯糸供給系列L1は、第1緯糸C1の選択時に対応して緯入される緯糸供給系列Lに設定されると共に、表示画面15bの1番の円形領域が赤色に変化する。同様に、「緯糸供給系列NO.」欄15adの2の数字の円形領域をタッチしてから「加入」欄15acをタッチし、5の数字の円形領域をタッチしてから「加入」欄15acをタッチする。表示画面15bの1の数字、2の数字、5の数字の円形領域が、全て赤色に点灯すると共に、他の数字の円形領域が赤色に点灯してないことを確認する。他の数字の円形領域が赤色に点灯している場合、「緯糸供給系列NO.」欄15adのその数字の円形領域をタッチして選択してから、「削除」欄15aeをタッチする。表示画面15bのその数字の円形領域の赤色の点灯が、次の第2緯糸C2の識別色である青色の点灯に変化する。
次に「第1緯糸」の「設定完了」欄15abをタッチする。これにより、第1緯糸C1の選択時に対応して緯入される緯糸供給系列Lの設定が、第1緯糸供給系列L1、第2緯糸供給系列L2および第5緯糸供給系列L5に確定される。即ち、第1緯糸供給系列L1、第2緯糸供給系列L2および第5緯糸供給系列L5は、緯入パターンの第1緯糸C1の選択時に対応し順次交代して緯入される緯糸供給系列L群としてグループ化される。
入力画面15aの「第2緯糸」においても、「第1緯糸」と同様の操作を行い、表示画面15bの3の数字と6の数字の円形領域とが、共に青色に点灯しているのを確認してから、「第2緯糸」の「設定完了」欄15abをタッチする。これにより、第3緯糸供給系列L3および第6緯糸供給系列L6は、緯入パターンの第2緯糸C2の選択時に対応して順次交代して緯入される緯糸供給系列L群としてグループ化される。入力画面15aの「第3緯糸」においても、同様の操作を行い、表示画面15bの4の数字と7の数字の円形領域とが、共に黄色に点灯しているのをのを確認してから、「第3緯糸」の「設定完了」欄15abをタッチする。これにより、第4緯糸供給系列L4および第7緯糸供給系列L7は、緯入パターンの第3緯糸C3の選択時に対応して順次交代して緯入される緯糸供給系列L群としてグループ化される。
次に、入力画面15aの「第4緯糸」の「設定開始」欄15aaにタッチした後、「緯糸供給系列NO.」欄15adの8の数字の円形領域をタッチしてから、「加入」欄15acをタッチする。これにより、第8緯糸供給系列L8は第4緯糸C4の選択時に対応して緯入される緯糸供給系列Lに設定されると共に、表示画面15bの8番の円形領域が茶色に変化する。同表示画面15bの8の数字が、茶色に点灯していることを確認してから「第4緯糸」の「設定完了」欄15abをタッチする。これにより、第4緯糸C4の選択時に対応して緯入される緯糸供給系列Lの設定が、第8緯糸供給系列L8だけに確定される。即ち、第8緯糸供給系列L8は、グループを構成しない単独の緯糸供給系列Lとして設定され、緯入パターンで第4緯糸C4が選択される毎に緯入される。
このように、設定器15は、選択した複数の緯糸供給系列Lをグループ化する第1の機能のほか、選択した緯糸供給系列Lを単独の緯糸供給系列Lとして設定する第2の機能を有する。なお、緯糸供給系列L毎に選択して、対応する緯糸Cに設定しているが、前回の製織条件の一部が今回の製織条件と一致しており、そのため既に対応する緯糸Cに設定されている緯糸供給系列Lは、選択操作と加入操作とを省略してもよい。
次に、残数監視手段35の入力器22を用い、各緯糸C1、C2、C3、C4において、運転が停止される緯糸供給系列Lの残数を設定する。残数監視手段35の入力器22は、設定器15の入力画面15a、表示画面15bと同一画面上に設けられており、「織機停止の残数」欄22aを備える。第1緯糸C1の緯入頻度が多いので、給糸の異常の検出に伴って除外された緯糸供給系列Lが多くなり、緯入を継続する正常な緯糸供給系列数が減って1になると、即ち、残数が1となって1つの緯糸供給系列Lのみで、第1緯糸C1の緯入を継続すると、緯入を継続している緯糸供給系列Lのフィーダモータ6は、運転条件が過酷となる。例えば、3つの緯糸供給系列Lで第1緯糸C1の緯入を順次交代する場合、各フィーダモータ6が1000rpmの回転速度で運転されるとすると、残数が1となって1つの緯糸供給系列Lのみで第1緯糸C1の緯入を継続すると、前記フィーダモータ6は、停止時間を短くしない場合には、1000rpmの3倍の3000rpmの回転速度で運転される必要があり、場合によっては停止時間を短くしても、フィーダモータ6の最高回転数を超えることになるので、そのような場合は、織機の運転速度を低下せざるを得ない。このような第1緯糸C1を順次交代して緯入するグループの緯糸供給系列L群において、フィーダモータ6の過酷な運転を回避するために、作業者は、運転が停止される緯糸供給系列Lの残数を設定する。
作業者は、入力画面15aの「第1緯糸」の「設定開始」欄15aaにタッチする。これにより、第1緯糸C1の設定が可能となる。次に「織機停止の残数」欄22aをタッチする。タッチを繰り返す毎に表示されている数が変更され、0→1→2→3→0→1→2→3と、0から3までの数字が順次表示される。数字を1に変更してから「設定完了」欄15abをタッチする。これにより、第1緯糸C1において、緯入を順次交代する緯糸供給系列数の残数が1に設定される。このように、残数監視手段35の入力器22は、「設定開始」欄15aaおよび「設定完了」欄15abが、設定器15の入力画面15aと兼用される。第1緯糸C1以外は、緯入頻度が多くないので、残数を0に設定し、その緯糸Cの緯入を行う緯糸供給系列Lが無くなるまで、織機を停止しない。このように所定の残数が設定され、緯入を継続する緯糸供給系列数が設定数に達したとき、織機停止信号を出力するほか、所定の残数より1だけ多い数が設定され、緯入を継続する緯糸供給系列数が設定数よりも1だけ少なくなったとき、織機停止信号を出力してもよい。また、除外された緯糸供給系列数を設定してもよい。その場合、除外された緯糸供給系列数が、設定数、または設定数よりも1だけ多くなったとき、緯入を継続する緯糸供給系列数が所定の残数に達し、織機停止信号が出力される。
図1の多色緯入装置60の制御ブロック線図に基づいて、緯入制御装置を説明する。設定器15において、入力画面15aで各緯糸C毎に選択された緯糸供給系列Lは、演算回路15cで、緯糸C毎にグループ化された複数の緯糸供給系列L、または単独の緯糸供給系列Lに設定される。詳説すれば、第1緯糸供給系列L1、第2緯糸供給系列L2および第5緯糸供給系列L5を、3つの緯糸供給系列Lから構成される第1のグループに設定し、第1緯糸C1の緯入に対応させる。また、第3緯糸供給系列L3および第6緯糸供給系列L6を、2つの緯糸供給系列Lから構成される第2のグループに設定し、第2緯糸C2の緯入に対応させる。更に、第4緯糸供給系列L4および第7緯糸供給系列L7を、2つの緯糸供給系列Lから構成される第3のグループに設定し、第3緯糸C3の緯入に対応させる。更に、第8緯糸供給系列L8を、グループを構成しない単独の緯糸供給系列Lとして1つ設定し、第4緯糸C4の緯入に対応させる。
また、演算回路15cは、各緯糸供給系列Lを表示画面15bに緯糸C毎に異なる所定の識別色で表示させる。緯入制御回路21は、演算回路15cから入力されるこのような緯入の動作態様の情報に基づき、各緯糸Cのグループ毎に、緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの順番を決定する。本実施例では、緯入制御回路21は、第1緯糸C1の緯入において、第1緯糸供給系列L1→第2緯糸供給系列L2→第5緯糸供給系列L5→第1緯糸供給系列L1→第2緯糸供給系列L2→第5緯糸供給系列L5と、L1→L2→L5の順番で、緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの順番を決定する。また、第2緯糸C2の緯入において、第3緯糸供給系列L3→第6緯糸供給系列L6→第3緯糸供給系列L3→第6緯糸供給系列L6と、L3→L6の順番で、緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの順番を決定する。更に、第3緯糸C3の緯入において、第4緯糸供給系列L4→第7緯糸供給系列L7→第4緯糸供給系列L4→第7緯糸供給系列L7と、L4→L7の順番で、緯糸供給系列Lが緯入を順次交代する順番を決定する。
しかし、緯入制御回路21の設定を変更することにより、第1緯糸C1の緯入において、L1→L1→L2→L2→L5→L5の順番、第2緯糸C2の緯入において、L3→L3→L6→L6の順番、第3緯糸C3の緯入において、L4→L4→L7→L7の順番とし、同一緯糸供給系列Lを2回連続して用いる等、別の順番の形態をとってもよい。緯入制御回路21は、図示しない記憶器を有しており、緯入パターン設定器24から入力された緯入パターン情報を記憶する。また、緯入制御回路21には、各緯糸供給系列L毎に設けられている押し釦10、給糸センサ3、フィーダモータ6、係止ピン7のソレノイド、および図示しない圧力空気源からのエアを緯入ノズル9に断続して供給する電磁開閉弁が、それぞれ接続されている。
織機の運転が開始されると、緯入制御回路21は、記憶されている緯入パターン情報から緯入される緯糸C読み出して、その緯糸Cにおいて緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの順番に基づき、緯入動作を行う緯糸供給系列Lを織機主軸の1回転(緯入サイクル)毎に求める。緯入制御回路21は、図示しない織機主軸を駆動するメインモータMに接続されるエンコーダENからの織機主軸回転角情報に基づき、緯入動作を行う所定の緯糸供給系列Lの電磁開閉弁を、所定の時期に駆動し、緯入ノズル9からエア噴射開始とエア噴射終了を行わせる。本実施例では、緯糸Cの種類が第1緯糸C1、第2緯糸C2、第3緯糸C3および第4緯糸C4からなる4色織物であり、C1→C2→C3→C4→C1→C2→C1→C3の順序の緯入が、1繰り返しとされる緯入パターンをとるので、緯入制御回路21は、図5に示されるように、各緯入において、記載されている番号に対応する緯糸供給系列Lを用いて緯入を実行する。
緯糸供給系列Lにおいて、糸切れ等の給糸異常が給糸センサ3によって検出され、給糸異常信号が入力されると、緯入制御回路21は、その緯糸供給系列Lを除外して、残った他の正常な緯糸供給系列Lを用いて緯入を継続する。図5に示される例では、第21番緯入の後に、第2緯糸供給系列L2で給糸異常が検出されており、そのため、第2緯糸供給系列L2が除外される。これにより29番目の緯入が、第2緯糸供給系列L2でなく、第5緯糸供給系列L5を用いて行われる。以後、第1緯糸供給系列L1と第5緯糸供給系列L5とが、順次交代して緯入を行い、緯入パターンの第1緯糸C1に対応する緯入が継続される。
除外された緯糸供給系列Lの情報が、緯入制御回路21から、演算回路15cを介して表示画面15bに入力され、除外された緯糸供給系列Lが、表示画面15bに表示される。本実施例では、表示画面15bの除外された緯糸供給系列Lの円形領域における識別色の点灯形態が、連続点灯から点滅点灯に変化する。従って、図4に示すように、2の数字の第2緯糸供給系列L2に対応する円形領域が、赤色のまま点滅する。残った2つの赤色の連続点灯と、同じ赤色の「第1緯糸」の「織機停止の残数」欄22aの設定値1から、作業者は、第1緯糸C1の緯入を継続している2つの緯糸供給系列Lのいずれかにおいて、次回に給糸異常が検出されると織機が停止されることを知り、第2緯糸供給系列L2の給糸パッケージ1の早急な補修、または交換が必要なことを、色覚に基づいて知る。
作業者は、織機を停止させることなく運転したまま、除外された緯糸供給系列Lの緯糸Cの補修、または給糸パッケージ1の交換を行う。緯糸Cの糸切れは、給糸パッケージ1からの緯糸Cの解舒、即ち回転ヤーンガイド5の回転に伴って生じ、貯留ドラム4の外周面の巻付糸よりも上流側、例えば図3に示すように、給糸センサ3と回転ヤーンガイド5との間で糸切れが生じる。作業者は、給糸パッケージ1から緯糸Cの解舒不良の原因を取り除いたり、給糸パッケージ1を交換した後、給糸パッケージ1からの緯糸Cと、貯留ドラム4の外周面の巻付糸に繋がる緯糸Cとの糸結びを行った後、給糸センサ3付近の糸弛みをなくする。また場合によっては、フィーダモータ6を回転させて、貯留ドラム4の外周面に巻付糸を形成する。このような一連の作業が完了すると、フィーダモータ6の外枠に取り付けられている押し釦10を操作する。緯入制御回路21は、押し釦10からの補修完了信号に基づき、補修が完了した緯糸供給系列Lを特定し、該緯糸供給系列Lを対応する緯糸Cの緯入に復帰させる。演算回路15cは、緯入制御回路21から入力された緯糸供給系列Lの緯入の復帰情報に基づき、表示画面15bにおいて、緯糸供給系列Lの円形領域における識別色の点灯形態を連続点灯に戻す。
緯入を継続する正常な緯糸供給系列Lの数が、設定されている残数に達する前に、除外され緯糸供給系列Lの給糸パッケージ1の補修作業、または交換作業が行われないと、次に給糸異常が生じたとき織機は停止される。即ち、演算回路15cは、緯糸Cのグループ毎の緯糸供給系列Lと、緯入制御回路21から入力される除外および復帰の緯糸供給系列Lの情報とに基づき、緯糸Cに対応する緯入を継続している緯糸供給系列数を、緯糸Cのグループ毎に演算し、残数監視手段35の比較器23に出力する。比較器23は、入力器22によって設定された残数と、演算回路15cから入力された緯入を継続している緯糸供給系列数とを緯糸Cのグループ毎に比較し、いずれかの緯糸Cのグループで、緯入を継続している緯糸供給系列数が、所定の残数、本実施例では「織機停止の残数」欄22aに設定された残数に達したとき、緯入制御回路21に織機停止信号を出力し、織機を停止させる。なお、本実施例では、単独の緯糸供給系列Lによって緯入される緯糸Cも、「織機停止の残数」欄22aに残数0として設定され、単独の緯糸供給系列Lで給糸異常が検出されたとき、残数監視手段35は緯入を継続する緯糸供給系列数が所定の残数である0に達したと判断し、織機停止信号を出力している。しかし、単独の緯糸供給系列Lにおける給糸異常検出による織機停止は、残数監視手段35を介さずに行われてもよい。その場合、緯入制御回路21は、単独の緯糸供給系列Lの給糸センサ3からの給糸異常検出信号に基づき織機を停止させる。
本実施例では、緯入制御回路21は、記憶されている緯入パターン情報から緯入される緯糸C読み出して、その緯糸Cにおいて緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの決定された順番に基づき、緯入動作を行う緯糸供給系列Lを織機主軸の1回転(緯入サイクル)毎に求め、給糸異常が検出されて緯糸供給系列Lが除外される毎に、また除外され緯糸供給系列Lが修復されて復帰する毎に、順次交代する緯糸供給系列Lの順番を変更している。しかし、緯入制御回路21は、緯入パターン情報と、緯糸Cにおける緯糸供給系列Lの順番とに基づき、各緯入毎に緯入を実行する緯糸供給系列Lが、複数の緯入サイクルに亘ってプログラミングされて予め決定されてもよい。その場合、給糸異常が検出されて緯糸供給系列Lが除外される毎に、また、除外され緯糸供給系列Lが修復されて復帰する毎に、プログラミングが変更される。
本実施例の緯入制御装置65は、緯糸Cのグループを構成する緯糸供給系列Lを自由に選択でき、そのため緯糸Cの緯入を順次交代する緯糸供給系列数が自由に設定できる。また、緯糸Cに対応する単独の緯糸供給系列Lを自由に選択できる。従って、グループの数、1つのグループを構成する緯糸供給系列Lの数、および単独の緯糸供給系列Lの数を自由に設定できる。これにより、製織条件に応じて緯入の動作態様を自由に設定できる。例えば、図2のように3つのグループと1つの単独の緯糸供給系列Lとを設定したり、8つの緯糸供給系列Lを全て単独の緯糸供給系列Lに設定し、互いに異なる緯糸Cを仕掛けたり、構成する緯糸供給系列数がそれぞれ2であるグループを4つ設定して単独の緯糸供給系列Lを設定しない等、製織条件に応じて緯入の動作態様を自由に設定できる。しかし、次の第2の実施例のように、緯入制御装置は、複数の予め決められた緯入の動作態様のみを設定可能な緯入制御装置であってもよく、製織条件に最適な緯入の動作態様が、選択されて設定される。
図6〜図9に基づき、複数の予め決められた緯入の動作態様のみを設定可能な緯入制御装置として、緯入制御装置75を備える本発明の第2の実施例の多色緯入装置70を説明する。多色緯入装置70は、複数の緯糸供給系列として第1緯糸供給系列L1から第6緯糸供給系列L6までの6つの緯糸供給系列Lを備えており、本実施例は最大で6つの互いに異なる緯糸Cを緯入可能な6色緯入装置である。
図6の制御ブロック線図に示すように、多色緯入装置70の緯入制御装置75は、緯入制御回路21と、設定器25と、残数監視手段35と、緯入パターン設定器24とを備えるほか、更に記憶器20を備え、該記憶器20は、設定器25の演算回路25cに接続される。
図7に示すように、設定器25の入力画面25aと表示画面25b、および残数監視手段35の入力器22は、操作盤に設置されている運転条件の入力・表示液晶パネルにおいて、同一画面上に設けられている。入力画面25aは、図8および図9に示される緯入の動作態様のいずれかを選択する選択部が設けられ、該選択部の「前」欄25ab、または「次」欄25acにタッチすることにより、選択される緯入の動作態様が順次変更される。また、表示画面25bは、1から6の番号が表示されている6つの円形領域を有しており、1番の円形領域が第1緯糸供給系列L1に対応し、2番の円形領域が第2緯糸供給系列L2に対応するように、各円形領域は、それぞれの番号の緯糸供給系列Lに対応して設けられると共に、残数監視手段35の入力器22の「緯糸」即ち、「第1緯糸」、「第2緯糸」、「第3緯糸」、「第4緯糸」、「第5緯糸」、「第6緯糸」のそれぞれの左方に印されている緯糸Cの識別色で、緯糸C毎に同一色で点灯しており、入力画面25aで選択されている緯入の動作態様を色覚で表示する。
次に、緯入の動作態様の設定方法について説明する。作業者は、まず、入力画面25aの「選択開始」欄25aaをタッチする。これにより、緯入の動作態様を設定可能となる。次に、選択部の「前」欄25ab、または「次」欄25acにタッチする。タッチを繰り返すことにより、図8および図9に示される1番〜20番の動作態様が、順次選択されると共に、選択された動作態様が表示画面25bに表示される。図7において、表示画面25bは、図9に示される15番の動作態様が選択された状態を示し、第1緯糸供給系列L1と第2緯糸供給系列L2とが、グループ化されて第1緯糸C1の緯入を順次交代して行い、第4緯糸供給系列L4と第5緯糸供給系列L5とが、グループ化されて第3緯糸C3の緯入を順次交代して行い、第3緯糸供給系列L3が第2緯糸C2を単独で緯入し、第6緯糸供給系列L6が第4緯糸C4を単独で緯入する。表示画面25bの動作態様の表示が、希望する緯入の動作態様に切り替わった後、入力画面25aの「選択完了」欄25adをタッチする。記憶器20には、図8および図9に示される1番〜20番の動作態様が記憶されており、演算回路15cは、入力画面25aからの緯入の動作態様の情報、例えば動作態様の番号に基づき、対応する緯入の動作態様を記憶器20から読み出すと共に、緯入制御回路21に出力する。緯入制御回路21は、演算回路25cから入力される緯糸Cのグループの緯糸供給系列Lの情報に基づき、緯糸Cのグループにおいて緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの順番を決定する。
次に、残数監視手段35の入力器22を用い、各緯糸C1、C2、C3、C4において、運転が停止される緯糸供給系列Lの残数を設定する。残数監視手段35の入力器22は、設定器25の入力画面25a、表示画面25bと同一画面上に設けられており、「設定開始」欄22a、「織機停止の残数」欄22b、「設定完了」欄22cを備える。作業者は「第1緯糸」の「設定開始」欄22aをタッチする。これにより、第1緯糸C1の設定が可能となる。次に「織機停止の残数」欄22bをタッチする。タッチを繰り返す毎に表示されている数が変更され、0→1→2→3→0→1→2→3と、0から3までの数が順次表示される。数を1に変更してから「設定完了」欄22cをタッチする。これにより、第1緯糸C1において、緯入を継続する緯糸供給系列数の残数が1に設定される。第2緯糸C2、第3緯糸C3、第4緯糸C4においても第1緯糸C1と同様に残数を設定する。
織機の運転が開始されると、緯入制御回路21は、記憶されている緯入パターン情報から緯入される緯糸C読み出して、その緯糸Cにおいて緯入を順次交代する緯糸供給系列Lの順番に基づき、緯入動作を行う緯糸供給系列Lを織機主軸の1回転(緯入サイクル)毎に求める。緯入制御回路21は、織機のメインモータMに接続されるエンコーダENからの織機主軸回転角情報に基づき、緯入動作を行う所定の緯糸供給系列Lの電磁開閉弁を、所定の時期に駆動し、緯入ノズル9からエア噴射開始とエア噴射終了を行わせる。緯入制御回路21は、給糸異常が検出されて緯糸供給系列Lが除外される毎に、また、除外され緯糸供給系列Lが修復されて復帰する毎に、順次交代する緯糸供給系列Lの順番を変更する。
本実施例においても、第1実施例と同様、給糸異常が検出されて除外された緯糸供給系列Lは、表示画面25bの円形領域における識別色の点灯形態が、連続点灯から点滅点灯に変化し、修復されて復帰すると連続点灯に戻る。
緯入の動作態様の数は、多色緯入装置の緯糸供給系列Lの数に応じて増減される。本実施例の緯入の動作態様は、6系列有する多色緯入装置に対応して、図8および図9に示される1番〜20番の緯入の動作態様が実施可能であるが、実施する可能性がある複数の動作態様のみとして数を減らしてもよい。例えば、図8に示される1番と5番の2つの緯入の動作態様のみが設定可能であってもよい。即ち、6つ全ての緯糸供給系列Lが単独の緯糸供給系列Lである動作態様と、1つのグループのみ形成されると共に、該グループを2つの緯糸供給系列Lで構成し、残りの4つ全ての緯糸供給系列Lが単独の緯糸供給系列Lである動作態様とを、設定可能とする。
第1の実施例および第2の実施例における入力画面15a、25a、表示画面15b、25bおよびそれらにおける入力方法、表示方法は、種々の装置、種々の方法を用いることができる。例えば、通常は表示画面のみが設けられ、画面上の設定欄をタッチすることにより、設定時のみ入力画面と表示画面とが同一画面上に設けられる方法や、入力画面を用いる代わりに、キーボード等で入力する方法を用いてもよい。