JP5272230B2 - ユニバーサルな核酸プローブセットおよびその使用方法 - Google Patents

ユニバーサルな核酸プローブセットおよびその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、遺伝子工学の分野に関し、より詳しくは核酸の分析のために用いる核酸プローブセットおよびその使用方法に関する。
標的核酸の検出方法においては、標的核酸と特異的にハイブリダイズするように塩基配列が設計され、かつ蛍光物質で標識された一本鎖核酸プローブが広く用いられている。一本鎖核酸プローブの一例に、プローブを標識する蛍光物質として、グアニンの近傍にあるときにはグアニンの作用により通常の状態と比べ発蛍光が弱められる蛍光物質を用いるQ−プローブ(Quenching Probe)がある。Q−プローブを測定対象の溶液に加え、蛍光測定をすることにより簡便にSNPタイピングや遺伝子の定量を行うことができる。Q−プローブは、プローブの構造がシンプルであること、プローブ設計にトライ・アンド・エラーが不要であることおよび精度の高い測定結果が得られるという優れた利点がある(例えば、特許文献1および特許文献2を参照のこと)。
しかし、このような従来の一本鎖核酸プローブは、対象とする標的核酸ごとに、異なる塩基配列をもつ蛍光標識核酸プローブを用意しなければならない。また、蛍光標識した核酸プローブは、比較的高価であり、その合成に長時間を要するという問題点があるため、それを用いた実験もコストがかかり、準備に時間を要するという問題点がある。
そこで、本発明者らは、Q−プローブを複数の核酸からなる複合体として設計することを提案した。具体的には、蛍光プローブ(A)と、蛍光プローブに相補的な蛍光プローブ結合領域(b1)及び標的核酸配列(C)に相補的な配列(b2)を有するバインディングプローブ(B)とからなる核酸プローブセット(ユニバーサルQ−プローブセット)を設計し、その実用化に取り組んでいる。
特許第3437816号公報 特許第3963422号公報
ユニバーサルQ−プローブセットをリアルタイムPCR実験に使用することにより、プローブ調製に要する費用を劇的に低減することができる。しかし、ユニバーサルQ−プローブセットを用いた場合の蛍光消光率は、従来の一本鎖Q−プローブを用いた場合の2分の1から3分の1程度にとどまり、実用化のために蛍光消光率の改善が望まれている。
従って、本発明の第1の目的は、ユニバーサルQ−プローブセットの蛍光消光率を従来の一本鎖Q−プローブと同程度に向上させること及びその設計方法を提供し、さらにはその使用方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、水系において解離しない安定な複合体を形成することができるオリゴヌクレオチドを提供し、さらにはその使用方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、ユニバーサルQ−プローブセットの蛍光消光率を向上させることおよびその設計方法を提供し、さらにはその使用方法を提供することである。
上記第1の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明の第1の態様は、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)を含むオリゴヌクレオチドからなる蛍光プローブ(A)、及び、該蛍光プローブ(A)にハイブリダイズする蛍光プローブ結合領域(b1)と、標的核酸配列(C)にハイブリダイズする標的核酸結合領域(b2)とを有するオリゴヌクレオチドからなるバインディングプローブ(B)からなり、上記蛍光物質(d)が、グアニンと相互作用することにより蛍光キャラクターが変化する蛍光物質であり、上記蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドの少なくとも1つが該プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)との解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドであることを特徴とする核酸プローブセットを提供する。
上記本発明の第1態様の核酸プローブセットにおいては、解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドが、LNA、PNA、ENA、2’,4’−BNANCおよび2’,4’−BNACOCからなる群より選ばれる1種以上の人工ヌクレオチドであることが好ましい。
また、上記本発明の第1態様の核酸プローブセットにおいては、蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドの3分の1以上が人工ヌクレオチドであることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
また、本発明の第1態様の核酸プローブセットにおいては、前記蛍光物質(d)が、フルオレセイン、フルオレセイン−4−イソチオシアネート、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、テトラブロモスルホンフルオレセイン、EDANS(5-(2-アミノエチルアミノ)-1-ナフタレンスルホン酸)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(6−JOE)、3,6-ジアミノ-9-[2,4-ビス(リチオオキシカルボニル)フェニル]-4-(リチオオキシスルホニル)-5-スルホナトキサンチリウム/3,6-ジアミノ-9-[2,5-ビス(リチオオキシカルボニル)フェニル]-4-(リチオオキシスルホニル)-5-スルホナトキサンチリウム、[2,3,3,7,7,8-ヘキサメチル-5-[4-[5-(2,5-ジオキソ-3-ピロリン-1-イル)ペンチルカルバモイル]フェニル]-2,3,7,8-テトラヒドロ-9-アゾニア-1H-ピラノ[3,2-f:5,6-f']ジインドール-10,12-ジスルホン酸12-ナトリウム]アニオン、2-オキソ-6,8-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸、ローダミン6G、カルボキシローダミン6G、テトラメチルローダミン、カルボキシテトラメチルローダミンおよび4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。
また、本発明の第1態様の核酸プローブセットにおいては、前記標的核酸結合領域(b2)が、バインディングプローブ(B)の5’末端側にあり、かつ、前記蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)が、前記蛍光プローブ(A)の3’末端ヌクレオチドであることが好ましい。
また、本発明の第1態様は、以下の工程(1)〜(4)を包含することを特徴とする標的核酸の検出方法を提供する。
(1)前記本発明の第1態様の核酸プローブセットと標的核酸とをハイブリダイズさせる工程、
(2)次いで上記ハイブリダイズした上記核酸プローブセットと上記標的核酸との複合体の蛍光強度を測定する工程、
(3)上記核酸プローブセットと上記標的核酸との比率を変えて、上記工程(1)および(2)を行う工程、
(4)上記工程(2)および(3)より得られた蛍光強度を比較する工程。
また、本発明の第1態様は、以下の工程(1)〜(4)を包含することを特徴とする核酸の塩基配列多型の分析方法を提供する。
(1)前記本発明の第1態様の核酸プローブセットと標的核酸とをハイブリダイズさせる工程、
(2)次いで上記ハイブリダイズした上記核酸プローブセットと上記標的核酸との複合体について蛍光強度の温度依存性を測定する工程、
(3)上記標的核酸に代えて別の核酸を用いて、上記工程(1)および(2)を行う工程、
(4)上記工程(2)および(3)より得られた蛍光強度の温度依存性を比較する工程。
また本発明の第1態様は、前記本発明の第1態様の核酸プローブセットと標的核酸との複合体について融解曲線分析を行うことを特徴とする方法を提供する。
本発明の第2態様は、標識物質(h)で標識されたヌクレオチド(a’)を含み、一部または全てのヌクレオチドが、相補鎖からの解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドプローブであって、常圧条件下で、相補鎖との解離温度が100℃以上であることを特徴とするオリゴヌクレオチドプローブを提供する。
本発明の第2態様においては、相補鎖からの解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドが、LNA、PNA、ENA、2’,4’−BNANCおよび2’,4’−BNACOCからなる群より選ばれる1種以上の人工ヌクレオチドであること;前記標識物質(h)が蛍光物質、クエンチャー物質、タンパク質または官能基であることが好ましい。
また、本発明の第2態様は、上記本発明の第2態様のオリゴヌクレオチドプローブを、相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(E)とハイブリダイズさせることにより、該オリゴヌクレオチド(E)を前記標識物質(h)で標識する方法;前記標識物質(h)が、グアニンと相互作用することにより蛍光キャラクターが変化する蛍光物質である上記本発明の第2態様のオリゴヌクレオチドプローブを、蛍光プローブ(A)として用いる本発明の第1態様の核酸プローブセットを提供する。
本発明の第3態様は、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)を含むオリゴヌクレオチドからなる1本の蛍光プローブ(A)、および、該蛍光プローブ(A)にハイブリダイズする1つの蛍光プローブ結合領域(b1)と、標的核酸配列(C)にハイブリダイズする1つの標的核酸結合領域(b2)とを有するオリゴヌクレオチドからなる1本のバインディングプローブ(B)からなり、上記蛍光物質(d)が、グアニンと相互作用することにより蛍光キャラクターが変化する蛍光物質であり、上記ヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の3’末端ヌクレオチドであり、上記標的核酸結合領域(b2)が、上記バインディングプローブ(B)の5’末端側にあることを特徴とする核酸プローブセットを提供する。
本発明の第1態様によれば、従来の一本鎖Q−プローブと同程度まで、蛍光消光率が改善されたユニバーサルQ−プローブセットが提供される。本発明の第1態様のユニバーサルQ−プローブセットを一本鎖Q−プローブの代わりとして使用することにより、リアルタイムPCR実験に要するコストを大幅に削減することができる。
本発明の第2態様によれば、水系において解離しない安定な複合体を形成することができるオリゴヌクレオチドが提供される。
本発明の第3態様によれば、蛍光消光率が改善されたユニバーサルQ−プローブセットが提供される。本発明の第3態様のユニバーサルQ−プローブセットを従来の一本鎖Q−プローブの代わりとして使用することにより、リアルタイムPCR実験に要するコストを大幅に削減することができる。
標的核酸(C)とハイブリダイズする前の本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体の蛍光物質(d)近傍を拡大して示す模式図である。 標的核酸結合領域が5’末端側に位置するバインディングプローブを有する本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 標的核酸結合領域が3’末端側に位置するバインディングプローブを有する本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 蛍光プローブ結合領域を2つ有するバインディングプローブと2つの蛍光プローブとからなる本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 実施例1で使用した本発明の第1態様の核酸プローブセットと標的核酸配列とがハイブリダイズするときの模式図である。 βグロビン遺伝子を標的核酸とする本発明の第1態様の核酸プローブセットを用いてリアルタイムPCR増幅を行い、蛍光消光率をプロットしたグラフである。 βグロビン遺伝子を標的核酸とし、DNAのみから構成された蛍光プローブを有する核酸プローブセットを用いてリアルタイムPCR増幅を行い、蛍光消光率をプロットしたグラフである。 βアクチン遺伝子の一部を標的核酸配列とする本発明の第1態様の核酸プローブセットを用いてリアルタイムPCR増幅を行い、蛍光消光率をプロットしたグラフである。 βアクチン遺伝子の一部を標的核酸配列とし、DNAのみから構成された蛍光プローブを有する核酸プローブセットを用いてリアルタイムPCR増幅を行い、蛍光消光率をプロットしたグラフである。 融解曲線分析の結果を示すグラフである。 標的核酸(C)とハイブリダイズする前の本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体の蛍光物質(d)近傍を拡大して示す模式図である。 蛍光プローブ結合領域(b1)が3’末端側に位置するバインディングプローブ(B)を有する本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 蛍光プローブ結合領域(b1)が5’末端側に位置するバインディングプローブ(B)を有する核酸プローブセット複合体を示す模式図である。 実施例5で使用した本発明の第3態様の核酸プローブセットと標的核酸配列とがハイブリダイズするときの模式図である。 βグロビン遺伝子を標的核酸とする本発明の第3態様の核酸プローブセットを用いてリアルタイムPCR増幅を行い、蛍光消光率をプロットしたグラフである。 βグロビン遺伝子を標的核酸とする比較例3の核酸プローブセットを用いてリアルタイムPCR増幅を行い、蛍光消光率をプロットしたグラフである。 融解曲線分析の結果を示すグラフである。 応用例1の概要を示す模式図である。 応用例2の蛍光プローブとバインディングプローブを示す模式図である。 応用例2の蛍光プローブとバインディングプローブがハイブリダイズした状態を示す模式図である。 応用例2の核酸プローブセットが標的核酸に結合した状態を示す模式図である。 応用例3の蛍光プローブとバインディングプローブを示す模式図である。 応用例3の蛍光プローブとバインディングプローブがハイブリダイズした状態を示す模式図である。 応用例3の核酸プローブセットが標的核酸に結合した状態を示す模式図である。 応用例4の蛍光プローブとバインディングプローブを示す模式図である。 応用例4の蛍光プローブとバインディングプローブがハイブリダイズした状態を示す模式図である。 応用例4の核酸プローブセットが標的核酸に結合した状態を示す模式図である。 応用例5の蛍光プローブとバインディングプローブを示す模式図である。 応用例5の蛍光プローブとバインディングプローブがハイブリダイズした状態を示す模式図である。 応用例5の核酸プローブセットが標的核酸に結合した状態を示す模式図である。 ADRB2遺伝子多型の融解曲線分析の結果を示すグラフである。 ADRB3遺伝子多型の融解曲線分析の結果を示すグラフである。 UCP1遺伝子多型の融解曲線分析の結果を示すグラフである。
次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明において、上記蛍光プローブ(A)と上記バインディングプローブ(B)とがハイブリダイズした複合体を「核酸プローブセット複合体」と呼ぶことがある。
また、本発明において「ヌクレオチド」というときは、DNAの構成単位であるデオキシリボヌクレオチドおよびRNAの構成単位であるリボヌクレオチドに限られず、LNA(Locked Nucleic Acid)やペプチド核酸(PNA)のような人工的に合成されたモノマーをも含むものとする。「オリゴヌクレオチド」というときは、ヌクレオチドモノマーから構成されるオリゴマーのことをいい、このオリゴマーは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、LNAまたはPNAのみから構成されていてもよいし、これらのキメラ分子であってもよい。
本発明でいう「標的核酸」とは、定量、分析等の対象となる核酸のことをいい、種々の核酸または遺伝子の一部である場合も含むものとする。標的核酸を構成するモノマーは、その種類はいかなるものでもよく、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、LNA、PNAおよび人工的に修飾された核酸などを挙げることができる。
また、本発明でいう「標的核酸配列(C)」とは、標的核酸中の塩基配列領域であって、本発明の核酸プローブセットを構成するバインディングプローブ(B)の標的核酸結合領域(b2)と特異的にハイブリダイズする塩基配列領域を意味する。また、本発明でいう常圧とは、1気圧のことをいう。
<本発明の第1態様>
本発明の第1態様の核酸プローブセットの一例を図1、3〜6に示す。これらの図中、(A)は蛍光プローブ、(B)はバインディングプローブ、(C)は標的核酸配列、(d)が蛍光物質である。
本発明の第1態様の核酸プローブセットは、蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とからなる。バインディングプローブ(B)は蛍光プローブ(A)に相補的な塩基配列を持つ蛍光プローブ結合領域(b1)と、標的核酸配列(C)に相補的な塩基配列を持つ標的核酸結合領域(b2)を有する。
本発明の第1態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)は、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)を含むオリゴヌクレオチドである。当該蛍光プローブ(A)の塩基配列は、バインディングプローブ(B)の蛍光プローブ結合領域(b1)とハイブリダイズするものであれば特に制限されず、検出または分析対象の標的核酸の塩基配列に依存しない。従って、本発明の第1態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)は、特定の標的核酸に対応する塩基配列を持つ必要がなく、標的核酸が異なっても同じ塩基配列の蛍光プローブ(A)を使用することができる。このため、本発明者らは、本発明の第1態様の核酸プローブセットをユニバーサルな核酸プローブセットと呼んでいる。本発明の第1態様の核酸プローブセットを用いて、標的核酸の分析を行う場合、高価な蛍光物質を有する蛍光プローブを検出または分析対象の標的核酸ごとに調製せずにすみ、製造コストを抑えることができるという利点がある。
上記蛍光プローブ(A)は、その構成要素のヌクレオチドモノマーのうち少なくとも1つを該プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)との解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドとする。蛍光プローブ(A)が上記人工ヌクレオチドを含むことにより蛍光プローブ結合領域(b1)とのTmが高くなる。このため、蛍光プローブ中(A)の人工ヌクレオチドの割合を高めることにより蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とのTmを容易に標的核酸配列(C)と標的核酸結合領域(b2)とのTmより高くすることができ、高温での本発明の第1態様の核酸プローブセットの安定性を高め、蛍光プローブとしての信頼性を向上させることができる。
また、蛍光プローブ(A)中の人工ヌクレオチドの割合を高めることにより、蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とのTmをPCRの熱変性温度(例えば95℃)より高くすることができ、PCRサイクルの間常に安定な核酸プローブセット複合体とすることができる。
このような、蛍光プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)との解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドの例としては、LNA、PNA、ENA、2’,4’−BNANCおよび2’,4’−BNACOCを挙げることができる。
LNAモノマーはリボースの2’部位の酸素原子と4’部位の炭素原子がメチレンを介して結合した2つの環状構造を持つヌクレオチドである。LNAモノマーは、2つの環状構造を持つため構造の自由度が少なく、DNAやRNAと比べて相補鎖と強くハイブリダイズする。このため、DNAからなるオリゴヌクレオチドの塩基をLNAに置換することで、当該ヌクレオチドと相補鎖とのTmが上昇することが知られている。
PNAは、ペプチド核酸(peptide nucleic acid)の略で、N−(2−アミノエチル)グリシンがアミド結合で結合した構造を主鎖とし、塩基部分(プリン環またはピリミジン環)が主鎖の窒素に−COCH2−を介して結合した構造を持っている。DNAやRNAとは異なり、リン酸部位の電荷が存在しないため、相補鎖との静電反発が少なく、DNAをPNAに置換すると相補鎖との解離温度が上昇する。
ENAは、2’−O,4’−C−Ethylene−bridged Nucleic Acidsの略で、フラノース環の2位のOと4位のCをエチレンで架橋した構造を持っている。DNAからなるオリゴヌクレオチドの塩基をENAに置換することで、相補鎖とのTmが上昇することが知られている。
BNAはBridged Nucleic Acid(架橋化核酸)の略で、2’,4’−BNANCはフラノース環の2位のOから4位のCに対して−NRCH2−(Rはメチル基)で架橋した構造を、2’,4’−BNACOCは、フラノース環の2位のOと4位のCを−CH2OCH2−で架橋した構造を持っている。これらの人工ヌクレオチドも、DNAからなるオリゴヌクレオチドのDNAモノマーと置換することで、相補鎖とのTmが上昇することが知られている。
蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とのTmをPCRの熱変性温度より高くするための蛍光プローブ(A)中の上記人工ヌクレオチドの割合は、蛍光プローブ(A)の塩基数や塩基配列にも依存し、一概には言えないが、全ヌクレオチドの3分の1以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
また、蛍光プローブ(A)中の上記人工ヌクレオチドの割合を高めることにより、蛍光プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)との相互作用が強くなるため、蛍光プローブ(A)がDNAのみから構成されている場合と比べ、蛍光プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)の塩基数を短くすることができる。これにより塩基数の多いバインディングプローブ(B)の合成時のエラーを抑え、収率を高めることができ、本発明の第1態様のプローブセットの製造費用の低減につながる。
本発明の第1態様においては、蛍光プローブ(A)に標識する蛍光物質(d)は、グアニンと相互作用したときに、該蛍光物質(d)の蛍光キャラクターが変化するものを使用する。なお、本発明において、「蛍光キャラクター」とは、蛍光強度のことを意味し、「グアニンと蛍光物質とが相互作用して蛍光物質の蛍光キャラクターが変化する」とは、グアニンと蛍光物質とが相互作用していない状態での蛍光物質の蛍光強度と、相互作用している状態での蛍光強度とが異なることを意味し、その程度は限定しないものとする。また、蛍光の「消光」とは、蛍光物質がグアニンと相互作用しない場合と比べて、グアニンと相互作用したときに蛍光強度が減衰することを意味し、その程度は限定しないものとする。
本発明の第1態様の核酸プローブセットに好適に使用できる蛍光物質の例としては、フルオレセインおよびその誘導体(例えば、フルオレセイン−4−イソチオシアネート(FITC)、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)およびそれらの誘導体)、EDANS(5-(2-アミノエチルアミノ)-1-ナフタレンスルホン酸)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(6−JOE)、3,6-ジアミノ-9-[2,4-ビス(リチオオキシカルボニル)フェニル]-4-(リチオオキシスルホニル)-5-スルホナトキサンチリウム/3,6-ジアミノ-9-[2,5-ビス(リチオオキシカルボニル)フェニル]-4-(リチオオキシスルホニル)-5-スルホナトキサンチリウム(インビトロジェン社から「Alexa Fluor 488」として入手できる)、[2,3,3,7,7,8-ヘキサメチル-5-[4-[5-(2,5-ジオキソ-3-ピロリン-1-イル)ペンチルカルバモイル]フェニル]-2,3,7,8-テトラヒドロ-9-アゾニア-1H-ピラノ[3,2-f:5,6-f']ジインドール-10,12-ジスルホン酸12-ナトリウム]アニオン(インビトロジェン社から「Alexa Fluor 532」として入手できる)、Cy3(GEヘルスケアバイオサイエンス社)、Cy5(GEヘルスケアバイオサイエンス社)、2-オキソ-6,8-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸(インビトロジェン社から「Pacific Blue」として入手できる)、ローダミン6G(R6G)およびその誘導体(例えば、カルボキシローダミン6G(CR6G)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA))、テキサスレッド(インビトロジェン社)、4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸(インビトロジェン社から「BODIPY-FL」として入手できる)、BODIPY-FL/C3(インビトロジェン社)、BODIPY-FL/C6(インビトロジェン社)、BODIPY-5-FAM(インビトロジェン社)、BODIPY-TMR(インビトロジェン社)、BODIPY-TR(インビトロジェン社)、BODIPY-R6G(インビトロジェン社)、BODIPY564(インビトロジェン社)並びにBODIPY581(インビトロジェン社)を挙げることができる。
これらの中でも、フルオレセイン、フルオレセイン−4−イソチオシアネート、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、テトラブロモスルホンフルオレセイン、EDANS、6-JOE、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Pacific Blue、ローダミン6G、カルボキシローダミン6G、テトラメチルローダミン、カルボキシテトラメチルローダミンまたはBODIPY-FLを使用することがより好ましく、Pacific Blue、カルボキシローダミン6GまたはBODIPY-FLを使用することが特に好ましい。
バインディングプローブ(B)の標的核酸結合領域(b2)は、本発明の核酸プローブセット複合体が標的核酸配列(C)とハイブリダイズしたときに、蛍光物質(d)と標的核酸中のグアニン塩基とが接することができるように設計する。この結果、本発明の核酸プローブセット複合体と標的核酸配列(C)とがハイブリダイズしたときに、蛍光物質(d)の蛍光が上記グアニン塩基により消光され、この消光現象を検出することにより、標的核酸を定量することができる。
蛍光物質(d)と相互作用して蛍光消光作用を及ぼすグアニンは、標的核酸中にあれば、標的核酸配列(C)の塩基配列中にあっても、標的核酸配列(C)の外側の塩基配列中にあってもよい。上記グアニンが、標的核酸配列(C)中にあり、ハイブリダイズしたバインディングプローブ(B)のシトシンと塩基対を形成している場合、蛍光物質(d)とグアニンとの相互作用が幾分低下するが特に問題はなく、さらには上記グアニンが、標的核酸の塩基配列領域の外側にあるなどの理由で塩基対を形成していない場合、蛍光物質(d)とグアニンとの相互作用が容易となるのでより好ましい。
次に、図2を用いて、本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸配列(C)とがハイブリダイズしている場合に、蛍光物質(d)と標的核酸中のグアニン塩基を持つ任意のヌクレオチド(以下、「ヌクレオチドδ」と略す。)とが相互作用できる条件について説明する。なお、以下の説明のケースでは、標的核酸配列(C)の5’末端のグアニン塩基を持つヌクレオチドがヌクレオチドδである。
図2は、図1の蛍光物質(d)の周辺部分を拡大して表示したものである。蛍光物質(d)とヌクレオチドδとが相互作用できる条件は、後述する蛍光物質(d)と蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)とを結ぶスペーサーの長さにも依存し、一定しないが、一般化すると以下のように表現できる。
蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とがハイブリダイズしている場合において、蛍光プローブ(A)と塩基対を形成している蛍光プローブ結合領域(b1)中のヌクレオチドであって、標的核酸結合領域(b2)に最も近いヌクレオチドをヌクレオチドαとする。このヌクレオチドαと、ヌクレオチド(a)と塩基対を形成しているバインディングプローブ(B)中の塩基との距離を塩基数で表わした数をXとする。なお、隣接しているヌクレオチドを「X=1」とカウントし、1塩基を挟み隣接しているヌクレオチドを「X=2」とカウントする。
図2においては、ヌクレオチドαと、ヌクレオチド(a)と塩基対を形成しているバインディングプローブ(B)中のヌクレオチドとはともに蛍光プローブ結合領域(b1)の5’末端にあるチミン塩基を持つヌクレオチドであるのでX=0である。
次に、標的核酸配列(C)と塩基対を形成している標的核酸結合領域(b2)中のヌクレオチドであって、ヌクレオチドαに最も近いヌクレオチドをヌクレオチドβとする。このヌクレオチドβと塩基対を形成している標的核酸配列(C)中のヌクレオチドをヌクレオチドγとする。ヌクレオチドγとヌクレオチドδとの距離を塩基数で表わした数をYとする。Yのカウント法はXの場合と同じである。図2において、ヌクレオチドγとヌクレオチドδとはともに標的核酸配列(C)中の5’末端のグアニン塩基を持つヌクレオチドであるので、Y=0である。
本発明の核酸プローブセット複合体と標的核酸配列(C)とがハイブリダイズしている場合に、蛍光物質(d)とヌクレオチドδのグアニンとが相互作用できる条件は、XおよびYの和が5以下となる場合が好ましい。蛍光物質(d)と蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)とを結ぶスペーサーの長さにも依存するが、XおよびYの和は3以下がより好ましく、最も好ましくは0である。
本発明の第1態様の核酸プローブセットに使用する蛍光プローブ(A)は、オリゴヌクレオチドの製造受託会社(例えば、つくばオリゴサービス株式会社、茨城県)などに製造を委託して使用することができる。オリゴヌクレオチドに蛍光物質を標識する方法は、特に限定されず、従来公知の標識方法を利用することができる。(Nature Biotechnology、14巻、303〜308頁、1996年;Applied and Environmental Microbiology、63巻、1143〜1147頁、1997年;Nucleic acids Research、24巻、4532〜4535頁、1996年)。
例えば、5’末端ヌクレオチドに蛍光物質を結合させる場合は、まず、常法に従って5’末端のリン酸基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−SHを導入する。このようなスペーサーは市販のものを使用することができる(例えば、Midland Certified Reagent Company社、米国)。この場合、nは3〜8、好ましくは6である。このスペーサーにSH基反応性を有する蛍光物質またはその誘導体を結合させることにより蛍光標識されたオリゴヌクレオチドを得ることができる。当該蛍光標識されたオリゴヌクレオチドは、逆相クロマトグラフィーなどで精製して、本発明の蛍光プローブ(A)とすることができる。
また、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドに蛍光物質を結合させることもできる。この場合は、リボースまたはデオキシリボースの3’位CのOH基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−NH2を導入する。このようなスペーサーも市販のものを使用することができる(例えば、Midland Certified Reagent Company社、米国)。別の方法として、リボースまたはデオキシリボースの3’位CのOH基にリン酸基を導入して、リン酸基のOH基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−SHを導入する。この場合、nは3〜8、好ましくは4〜7である。
上記のスペーサーにアミノ基またはSH基に反応性を有する蛍光物質またはその誘導体を結合させることにより蛍光物質で標識されたオリゴヌクレオチドを合成することができる。当該オリゴヌクレオチドを逆相クロマトグラフィーなどで精製して、本発明の第1態様の蛍光プローブ(A)とすることができる。スペーサーとして−(CH2n−NH2を導入する場合、キット試薬(例えば、Uni-link aminomodifier、クロンテック社)を用いるのが便利である。そして、常法に従って当該オリゴヌクレオチドに蛍光物質を結合させることができる。
蛍光プローブ(A)中の蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)は、オリゴヌクレオチドの両末端ヌクレオチドに限定されるものではなく、両末端ヌクレオチド以外のヌクレオチドを蛍光物質で標識することもできる(ANALYTICAL BIOCHEMISTRY、225、32−38頁、1998年)。
1本の蛍光プローブ(A)と1本のバインディングプローブ(B)とからなる核酸プローブセットを設計する場合、図3に示すように標的核酸結合領域(b2)をバインディングプローブ(B)の5’末端側に設計する場合と、図4に示すように3’末端側に設計する場合の2通りが考えられる。これらの場合において、蛍光物質(d)と標的核酸中のグアニン塩基とが相互作用できるようにするためには、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の5’末端側にある場合には、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の3’末端側にあるように標識する必要がある。一方、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にある場合には、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の5’末端側にあるように標識する必要がある。
多くの実験を行い、上記の2通りの蛍光プローブセットの蛍光消光率を精査した結果、本発明者らは、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の5’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の3’末端側にあるように設計した核酸プローブセットが、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の5’末端側にあるように設計した核酸プローブセットより高い消光率を示すことを見出した。従って、本発明の第1態様の核酸プローブセットを、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の5’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の3’末端側にあるように設計し、リアルタイムPCR測定などに使用することにより、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の5’末端側にあるように設計した核酸プローブセットを使用するよりも、より精度の高い測定をすることができ好ましい。
標的核酸結合領域(b2)の位置の相違により上記のような蛍光消光率の差が生じる理由は不明であるが、本発明者らは、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にある場合、蛍光プローブ(A)の5’末端側に標識された蛍光物質(d)が、PCRの伸長反応において、標的核酸の3’末端側から移動してくるDNAポリメラーゼと相互作用をし、これにより蛍光物質(d)の消光が妨げられるものと推測している。
本発明の第1態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)は、バインディングプローブ(B)の蛍光プローブ結合領域(b1)とハイブリダイズする塩基配列であればよく、塩基長に特に制限はないが、4塩基以下であるとハイブリダイズ効率が低いという点で好ましくなく、51塩基以上であるとリアルタイムPCR測定等に使用する際に非特異的なハイブリッドが生じやすくなるという点で好ましくないことがある。従って、蛍光プローブ(A)は、5〜50塩基であることが好ましく、より好ましくは10〜35塩基、特に好ましくは10〜20塩基である。
蛍光プローブ(A)の塩基配列は、バインディングプローブ(B)の蛍光プローブ結合領域(b1)とハイブリダイズする限り、当該蛍光プローブ結合領域(b1)と相補的でないヌクレオチドを有してもよい。同様に、バインディングプローブ(B)中の蛍光プローブ結合領域(b1)の塩基配列は、蛍光プローブ(A)とハイブリダイズするものであればよく、その塩基長は蛍光プローブ(A)の塩基長に依存する。
バインディングプローブ(B)中の標的核酸結合領域(b2)は、標的核酸配列(C)とハイブリダイズする塩基配列であればよい。その塩基長は、標的核酸配列(C)の塩基配列などにも依存するが、4塩基以下であると標的核酸配列(C)とのハイブリダイズ効率が低いという点で好ましくなく、61塩基以上であるとバインディングプローブ(B)を合成する際の収率が低下し、また、リアルタイムPCR測定等に使用する際に非特異的なハイブリッドが生じやすいという点で好ましくないことがある。従って、標的核酸結合領域(b2)は、5〜60塩基であることが好ましく、より好ましくは15〜30塩基である。標的核酸結合領域(b2)の塩基配列は、標的核酸配列(C)とハイブリダイズする限り標的核酸配列(C)と塩基対を形成しない塩基配列を有してもよい。
本発明の第1態様の核酸プローブセットは、核酸の種々の分析方法に用いることができる。本発明の核酸プローブセットを用いて、溶液中に標的核酸が存在するか否かを判定する標的核酸の検出方法の例を以下に示す。
まず、標的核酸の検出をする溶液(以下、「検出サンプル」と略す。)を段階希釈して、数種の溶液を調製する。これらの段階希釈した検出サンプルに本発明の第1態様の核酸プローブセット、すなわち蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)をそれぞれ一定量加え、次いで、添加した本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸とがハイブリダイズするように溶液の温度を調整した後、蛍光強度を測定する。上記本発明のプローブセット複合体と標的核酸とをハイブリダイズさせる温度は、本発明の核酸プローブセット複合体と標的核酸との融解温度(以下「Tm1」と呼ぶ)やその他の溶液条件により変動するが、当該核酸プローブセット複合体と標的核酸との配列特異的なハイブリダイゼーションが起こり、かつ非特異的なハイブリダイゼーションが生じない温度範囲であることが好ましく、好ましくはTm1〜(Tm1−40)℃、より好ましくはTm1〜(Tm1−20)℃、さらに好ましくはTm1〜(Tm1−10)℃である。このような好ましい温度の一例として、約60℃が挙げられる。
また、本発明の第1態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)との融解温度(以下「Tm2」と呼ぶ)は、蛍光強度を確実に測定するために、Tm1より高いことが好ましく、Tm2−Tm1が5℃以上であることがより好ましい。塩基長や塩基配列にもよるが、蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドがすべてDNAである場合と比べて、少なくとも1ヌクレオチドをLNAとすることにより、Tm2は2〜6℃上昇する。また、Tm2が95℃以上となるように蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドのLNA量を調整することにより、本発明の第1態様の核酸プローブセットをPCRに用いた場合に、当該核酸プローブセットが常に複合体を形成した状態となり、事実上一本鎖の核酸プローブとみなして使用することができる。このため、上記Tm2−Tm1に配慮することなく、蛍光プローブ(A)および標的核酸結合領域(b2)を設計することができる。
上記検出サンプル中に標的核酸が存在しない場合、段階希釈した検出サンプルのいずれにおいても同程度の蛍光強度が観察される。一方、上記検出サンプル中に標的核酸が存在する場合、本発明の第1態様の核酸プローブセットの蛍光物質による蛍光は標的核酸を含む核酸中のグアニンにより消光される。この消光の程度は、上記溶液中の核酸プローブセットと標的核酸との比率を変えることによって変化する。このため、上述したように段階希釈した検出サンプル中に本発明の第1態様の核酸プローブセットを添加して、それらの蛍光強度を測定することにより、蛍光消光の発生の有無から標的核酸の存在を判定することができ、蛍光消光の大きさから標的核酸の存在量を定量することができる。
また、本発明の第1態様の核酸プローブセットは、リアルタイムPCR方法に用いることもできる。リアルタイムPCR方法において、本発明の核酸プローブセットを用いて増幅産物を定量する場合、PCRで増幅する塩基配列またはその一部を標的核酸として、当該標的核酸とハイブリダイズするようにバインディングプローブ(B)中の標的核酸結合領域(b2)の塩基配列を決定する。
このようにして作製した本発明の第1態様の核酸プローブセットをPCR反応溶液に添加して、PCR反応を行い、PCRの各サイクルにおいて蛍光強度を測定する。PCR反応によって、反応溶液中の標的核酸が増幅すると、当該標的核酸中のグアニンにより本発明の核酸プローブセットの蛍光物質による蛍光が消光されるため、蛍光強度および蛍光消光の大きさからPCRによる増幅産物を定量することができる。
さらに、本発明の第1態様の核酸プローブセットは、核酸の塩基配列多型の分析に用いることもできる。分析できる塩基配列多型の例としては、基準となる塩基配列からの1塩基多型、塩基置換、塩基欠失および塩基挿入などを挙げることができる。このような分析方法の一例を以下に示す。
本分析方法では、基準となる塩基配列を標的核酸配列(C)とする。まず、標的核酸を含む溶液と、分析対象の核酸を含む溶液とを調製する。それぞれの溶液に本発明の第1態様の核酸プローブセット、すなわち上記標的核酸配列(C)とハイブリダイズするように設計した標的核酸結合領域(b2)を有するバインディングプローブ(B)と蛍光プローブ(A)とを加えた後、各溶液において、添加した本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸または分析対象の核酸とをハイブリダイズさせ、次いで蛍光強度の温度依存性を測定する。具体的には、溶液の温度を低温から高温に変化させながら、各温度について蛍光強度を測定する。
この測定結果を温度に対してプロットしたものを、「融解曲線」と呼ぶ。標的核酸を含む溶液の融解曲線を温度で微分することにより、本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸とのTm1を、極値を示す温度として容易に求めることができる。このような融解曲線分析は、当業者に周知の市販のプログラムを用いることによって行うことができる。
上記標的核酸を含む溶液の蛍光強度は、低温では標的核酸中のグアニンによる蛍光消光現象により抑制される。しかし、溶液温度をTm1付近まで上げると本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体から標的核酸が解離し、蛍光消光の程度が弱くなるため、蛍光強度は急激に増加する。分析対象の核酸の塩基配列中に塩基配列多型、例えば、標的核酸の塩基配列からの1塩基多型、塩基置換、塩基欠失および塩基挿入などがあると、当該分析対象の核酸と本発明の核酸プローブセット複合体とのTm1は、標的核酸配列と本発明の核酸プローブセット複合体とのTm1より低い値を示す。このため、標的核酸と本発明の第1態様の核酸プローブセット複合体の蛍光強度の温度依存性と、分析対象の核酸と本発明の核酸プローブセット複合体の蛍光強度の温度依存性とを比較することにより、標的核酸配列(C)に対する分析対象の核酸の塩基配列多型を分析することができる。このような分析手順としては、融解曲線どうしを比較することもできるが、それぞれの融解曲線を温度で微分し、極値を与える温度としてTm1を求め、それを比較することによって、容易に変異の有無を判断することができる。
また、分析対象の核酸の塩基配列のうち、蛍光プローブの蛍光物質に対して消光作用をするグアニン塩基を持つヌクレオチドが変異している場合、いずれの温度においても蛍光消光現象による蛍光強度の低下が生じないため、その融解曲線から変異を特定することができる。
従来、融解曲線分析においては、標的核酸ごとに高価な蛍光標識をした塩基配列の異なる核酸プローブを用意する必要があり、その合成に長時間を要していたが、本発明の第1態様の核酸プローブセットを融解曲線分析に使用することにより、標的核酸ごとに高価な蛍光標識をした核酸プローブを用意する必要がないため、融解曲線分析の準備時間を短縮でき、かつ融解曲線分析をより安価に実施することができる。
前記で説明した本発明の第1態様の核酸プローブセットは、1個の蛍光プローブ結合領域(b1)を持つバインディングプローブ(B)と1個の蛍光プローブ(A)とから構成されているが、本発明の第1態様の核酸プローブセットは、図5に示すように、蛍光プローブ結合領域(b1)を2個有するものであってもよい。これらの蛍光プローブ結合領域(b1−1、b1−2)の塩基配列は同じでも異なってもよいが、異なることが好ましい。この場合、蛍光プローブは塩基配列の異なる2個の蛍光プローブ(A1、A2)を有することが好ましい。
上記バインディングプローブ(B)が蛍光プローブ結合領域を2個有し、それらの塩基配列が異なる本発明の第1態様の核酸プローブセットは、ABC−PCR(Alternately Binding probe Competitive PCR;Taniら、Analytical Chemistry、印刷準備中を参照のこと)方法において従来使用されているABプローブの代わりとして好適に使用することができる。
上記従来のABC−PCR方法において使用する蛍光標識されたABプローブは、増幅対象の塩基配列ごとに異なるプローブを使用しなければならないが、本発明の第1態様の核酸プローブセットを上記ABプローブの代わりに用いることにより、高価な蛍光標識をした蛍光プローブを、増幅対象の塩基配列ごとに用意する必要がないので、より安価にABC−PCR方法を実施することができる。
ABC−PCR方法において、ABプローブの代わりとして蛍光プローブ結合領域(b1)を2個有する本発明の第1態様の核酸プローブセットを使用する場合、2本の蛍光プローブ(A1、A2)に標識する蛍光物質は、それぞれの励起波長および蛍光波長が異なる別種の蛍光物質(d1、d2)であることが好ましい。好ましい蛍光物質(d1、d2)の組み合わせの例としては、BODIPY-FLとTAMRAの組み合わせを挙げることができる。
<本発明の第2態様>
本発明の第2態様は、標識物質(h)で標識されたヌクレオチド(a’)を含み、一部または全てのヌクレオチドが、相補鎖からの解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドプローブであって、常圧条件下で、相補鎖との解離温度が100℃以上であることを特徴とするオリゴヌクレオチドプローブに関する。
上記解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドとしては、LNA、PNA、ENA、2’,4’−BNANCおよび2’,4’−BNACOCからなる群より選ばれる1種以上の人工ヌクレオチドを挙げることができる。
上記本発明のオリゴヌクレオチドプローブを標識する標識物質(h)としては、蛍光物質、クエンチャー物質、タンパク質および官能基などを挙げることができ、分析法に応じて当業者が適宜選択することができる。なお、クエンチャー物質とは、蛍光物質の近傍にある場合に蛍光物質が発する蛍光を弱める機能を有する物質をいう。
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、該プローブと相補的な配列を有するヌクレオチド(E)と水系において常圧条件下で常に安定な複合体を形成することができるので、上記ヌクレオチド(E)と特異的にハイブリダイズし、該ヌクレオチドを事実上上記標識物質(h)で標識することができる。
また、上記プローブと相補鎖により形成された複合体を単一の分子とみなして遺伝子解析など種々の分析に使用することもできる。
また、上記本発明の第2態様のプローブは、標識物質(h)としてグアニンと相互作用することにより蛍光キャラクターが変化する蛍光物質を使用し、当該プローブを本発明の第1態様における蛍光プローブ(A)として用いることができる。
<本発明の第3態様>
本発明の第3態様の核酸プローブセットの一例を図12〜14、16に示す。これらの図中、(A)は蛍光プローブ、(B)はバインディングプローブ、(C)は標的核酸配列、(d)が蛍光物質である。
本発明の第3態様の核酸プローブセットは、1本の蛍光プローブ(A)と1本のバインディングプローブ(B)とからなる。バインディングプローブ(B)は蛍光プローブ(A)に相補的な塩基配列を持つ1つの蛍光プローブ結合領域(b1)と、標的核酸配列(C)に相補的な塩基配列を持つ1つの標的核酸結合領域(b2)を有する。
本発明の第3態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)は、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)を含むオリゴヌクレオチドである。当該蛍光プローブ(A)の塩基配列は、バインディングプローブ(B)の蛍光プローブ結合領域(b1)とハイブリダイズするものであれば特に制限されず、検出または分析対象の標的核酸の塩基配列に依存しない。従って、本発明の第3態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)は、特定の標的核酸に対応する塩基配列を持つ必要がなく、標的核酸が異なっても同じ塩基配列の蛍光プローブ(A)を使用することができる。このため、本発明者らは、本発明の核酸プローブセットをユニバーサルな核酸プローブセットと呼んでいる。本発明の第3態様の核酸プローブセットを用いて、標的核酸の分析を行う場合、高価な蛍光物質を有する蛍光プローブを検出または分析対象の標的核酸ごとに調製せずにすみ、製造コストを抑えることができるという利点がある。
上記蛍光プローブ(A)の構成単位となるヌクレオチドは、DNAの構成単位であるデオキシリボヌクレオチドやRNAの構成単位であるリボヌクレオチドに限られず、上記蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)との解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドを使用することもできる。このような人工ヌクレオチドの例として、LNA、PNA、ENA、2’,4’−BNANCおよび2’,4’−BNACOCを挙げることができる。
上記LNAモノマーはリボースの2’部位の酸素原子と4’部位の炭素原子がメチレンを介して結合した2つの環状構造を持つヌクレオチドである。LNAモノマーは、2つの環状構造を持つため構造の自由度が少なく、DNAやRNAと比べて相補鎖と強くハイブリダイズする。このため、蛍光プローブ中(A)のLNAモノマーの割合を高めることにより蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とのTmを容易に標的核酸配列(C)と標的核酸結合領域(b2)とのTmより高くすることができ、高温での本発明の第3態様の核酸プローブセットの安定性を高め、蛍光プローブとしての信頼性を向上させることができる。
蛍光プローブ(A)中の上記人工ヌクレオチドの割合を高めることにより、蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とのTmをPCRの熱変性温度(例えば95℃)より高くすることができ、PCRサイクルの間常に安定な核酸プローブセット複合体とすることができる。蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とのTmをPCRの熱変性温度より高くするための蛍光プローブ(A)中の人工ヌクレオチドの割合は、蛍光プローブ(A)の塩基数や塩基配列にも依存し、一概には言えないが、全ヌクレオチドの3分の1以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
また、蛍光プローブ(A)中の上記人工ヌクレオチドの割合を高めることにより、蛍光プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)との相互作用が強くなるため、蛍光プローブ(A)がDNAのみから構成されている場合と比べ、蛍光プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)の塩基数を短くすることができる。これにより塩基数の多いバインディングプローブ(B)の合成時のエラーを抑え、収率を高めることができ、本発明の第3態様のプローブセットの製造費用の低減につながる。
本発明の第3態様においては、蛍光プローブ(A)に標識する蛍光物質(d)は、グアニンと相互作用したときに、蛍光物質(d)の蛍光キャラクターが変化するものを使用する。なお、本発明の第3態様において、「蛍光キャラクター」とは、蛍光強度のことを意味し、「グアニンと蛍光物質とが相互作用して蛍光物質の蛍光キャラクターが変化する」とは、グアニンと蛍光物質とが相互作用していない状態での蛍光物質の蛍光強度と、相互作用している状態での蛍光強度とが異なることを意味し、その程度は限定しないものとする。また、蛍光の「消光」とは、蛍光物質がグアニンと相互作用しない場合と比べて、グアニンと相互作用したときに蛍光強度が減衰することを意味し、その程度は限定しないものとする。
本発明の第3態様核酸プローブセットに好適に使用できる蛍光物質の例としては、フルオレセインおよびその誘導体(例えば、フルオレセイン−4−イソチオシアネート(FITC)、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)およびそれらの誘導体)、EDANS(5−(2−アミノエチル)アミノ−1−ナフタレンスルホン酸)、6-JOE、Alexa Fluor 488(インビトロジェン社)、Alexa Fluor 532(インビトロジェン社)、Cy3(GEヘルスケアバイオサイエンス社)、Cy5(GEヘルスケアバイオサイエンス社)、Pacific Blue(インビトロジェン社)、ローダミン6G(R6G)およびその誘導体(例えば、カルボキシローダミン6G(CR6G)、テトラメチルローダミン(TMR)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TMRITC)、x−ローダミン、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA))、テキサスレッド(インビトロジェン社)、BODIPY-FL(インビトロジェン社)、BODIPY-FL/C3(インビトロジェン社)、BODIPY-FL/C6(インビトロジェン社)、BODIPY-5-FAM(インビトロジェン社)、BODIPY-TMR(インビトロジェン社)、BODIPY-TR(インビトロジェン社)、BODIPY-R6G(インビトロジェン社)、BODIPY564(インビトロジェン社)並びにBODIPY581(インビトロジェン社)を挙げることができる。
これらの中でも、フルオレセイン、フルオレセイン−4−イソチオシアネート、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、テトラブロモスルホンフルオレセイン、EDANS、6-JOE、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Pacific Blue、ローダミン6G、カルボキシローダミン6G、テトラメチルローダミン、カルボキシテトラメチルローダミンおよびBODIPY-FLを使用することがより好ましく、BODIPY-FLを使用することがもっとも好ましい。
バインディングプローブ(B)の標的核酸結合領域(b2)は、本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体が標的核酸配列(C)とハイブリダイズしたときに、蛍光物質(d)と標的核酸中のグアニン塩基とが接することができるように設計する。この結果、本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸配列(C)とがハイブリダイズしたときに、蛍光物質(d)の蛍光が上記グアニン塩基により消光され、この消光現象を検出することにより、標的核酸を定量することができる。
蛍光物質(d)と相互作用して蛍光消光作用を及ぼすグアニンは、標的核酸中にあれば、標的核酸配列(C)の塩基配列中にあっても、標的核酸配列(C)の外側の塩基配列中にあってもよい。上記グアニンが、標的核酸配列(C)中にあり、ハイブリダイズしたバインディングプローブ(B)のシトシンと塩基対を形成している場合、蛍光物質(d)とグアニンとの相互作用が幾分低下するが特に問題はなく、さらには上記グアニンが、標的核酸の塩基配列領域の外側にあるなどの理由で塩基対を形成していない場合、蛍光物質(d)とグアニンとの相互作用が容易となるのでより好ましい。
次に、図13を用いて、本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸配列(C)とがハイブリダイズしている場合に、蛍光物質(d)と標的核酸中のグアニン塩基を持つ任意のヌクレオチド(以下、「ヌクレオチドδ」と略す。)とが相互作用できる条件について説明する。なお、以下の説明のケースでは、標的核酸配列(C)の5’末端のグアニン塩基を持つヌクレオチドがヌクレオチドδである。
図13は、図12の蛍光物質(d)の周辺部分を拡大して表示したものである。蛍光物質(d)とヌクレオチドδとが相互作用できる条件は、後述する蛍光物質(d)と蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)とを結ぶスペーサーの長さにも依存し、一定しないが、一般化すると以下のように表現できる。
蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とがハイブリダイズしている場合において、蛍光プローブ(A)と塩基対を形成している蛍光プローブ結合領域(b1)中のヌクレオチドであって、標的核酸結合領域(b2)に最も近いヌクレオチドをヌクレオチドαとする。このヌクレオチドαと、ヌクレオチド(a)と塩基対を形成しているバインディングプローブ(B)中の塩基との距離を塩基数で表わした数をXとする。なお、隣接しているヌクレオチドを「X=1」とカウントし、1塩基を挟み隣接しているヌクレオチドを「X=2」とカウントする。
図13においては、ヌクレオチドαと、ヌクレオチド(a)と塩基対を形成しているバインディングプローブ(B)中のヌクレオチドとはともに蛍光プローブ結合領域(b1)の5’末端にあるチミン塩基を持つヌクレオチドであるのでX=0である。
次に、標的核酸配列(C)と塩基対を形成している標的核酸結合領域(b2)中のヌクレオチドであって、ヌクレオチドαに最も近いヌクレオチドをヌクレオチドβとする。このヌクレオチドβと塩基対を形成している標的核酸配列(C)中のヌクレオチドをヌクレオチドγとする。ヌクレオチドγとヌクレオチドδとの距離を塩基数で表わした数をYとする。Yのカウント法はXの場合と同じである。図13において、ヌクレオチドγとヌクレオチドδとはともに標的核酸配列(C)中の5’末端のグアニン塩基を持つヌクレオチドであるので、Yは0である。
本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸配列(C)とがハイブリダイズしている場合に、蛍光物質(d)とヌクレオチドδのグアニンとが相互作用できる条件は、XおよびYの和が5以下となる場合が好ましい。蛍光物質(d)と蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)とを結ぶスペーサーの長さにも依存するが、XおよびYの和は3以下がより好ましく、最も好ましくは0である。
本発明の第3態様の核酸プローブセットに使用する蛍光プローブ(A)は、オリゴヌクレオチドの製造受託会社(例えば、つくばオリゴサービス株式会社、茨城県)などに製造を委託して使用することができる。オリゴヌクレオチドに蛍光物質を標識する方法は、特に限定されず、従来公知の標識方法を利用することができる。(Nature Biotechnology、14巻、303〜308頁、1996年;Applied and Environmental Microbiology、63巻、1143〜1147頁、1997年;Nucleic acids Research、24巻、4532〜4535頁、1996年)。
例えば、5’末端ヌクレオチドに蛍光物質を結合させる場合は、まず、常法に従って5’末端のリン酸基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−SHを導入する。このようなスペーサーは市販のものを使用することができる(例えば、Midland Certified Reagent Company社、米国)。この場合、nは3〜8、好ましくは6である。このスペーサーにSH基反応性を有する蛍光物質またはその誘導体を結合させることにより蛍光標識されたオリゴヌクレオチドを得ることができる。当該蛍光標識されたオリゴヌクレオチドは、逆相クロマトグラフィーなどで精製して、本発明の蛍光プローブ(A)とすることができる。
また、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドに蛍光物質を結合させることもできる。この場合は、リボースまたはデオキシリボースの3’位CのOH基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−NH2を導入する。このようなスペーサーも市販のものを使用することができる(例えば、Midland Certified Reagent Company社、米国)。別の方法として、リボースまたはデオキシリボースの3’位CのOH基にリン酸基を導入して、リン酸基のOH基にスペーサーとして、例えば、−(CH2n−SHを導入する。この場合、nは3〜8、好ましくは4〜7である。
上記のスペーサーにアミノ基またはSH基に反応性を有する蛍光物質またはその誘導体を結合させることにより蛍光物質で標識されたオリゴヌクレオチドを合成することができる。当該オリゴヌクレオチドを逆相クロマトグラフィーなどで精製して、本発明の第3態様の蛍光プローブ(A)とすることができる。スペーサーとして−(CH2n−NH2を導入する場合、キット試薬(例えば、Uni-link aminomodifier、クロンテック社)を用いるのが便利である。そして、常法に従って当該オリゴヌクレオチドに蛍光物質を結合させることができる。
蛍光プローブ(A)中の蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)は、オリゴヌクレオチドの両末端ヌクレオチドに限定されるものではなく、両末端ヌクレオチド以外のヌクレオチドを蛍光物質で標識することもできる(ANALYTICAL BIOCHEMISTRY、225、32−38頁、1998年)。
本発明の第3態様の核酸プローブセットにおいて、バインディングプローブ(B)の標的核酸結合領域(b2)は、バインディングプローブ(B)の5’末端側にあるように設計する。
1本の蛍光プローブ(A)と1本のバインディングプローブ(B)とからなる核酸プローブセットを設計する場合、図14に示すように標的核酸結合領域(b2)をバインディングプローブ(B)の5’末端側に設計する場合と、図15に示すように3’末端側に設計する場合の2通りが考えられる。これらの場合において、蛍光物質(d)と標的核酸中のグアニン塩基とが相互作用できるようにするためには、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の5’末端側にある場合には、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の3’末端側にあるように標識する必要がある。一方、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にある場合には、蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の5’末端側にあるように標識する必要がある。
多くの実験を行い、上記の2通りの蛍光プローブセットの蛍光消光率を精査した結果、本発明者らは、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の5’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の3’末端側にあるように設計した場合、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の5’末端側にあるように設計した場合より高い消光率を示すことを見出した。本発明の第3態様の核酸プローブセットをリアルタイムPCRに用いる場合、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にあり、かつ、蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a)が、蛍光プローブ(A)の5’末端側にあるように設計した核酸プローブセットを用いる場合に比べ、より精度の高い測定をすることができる。
標的核酸結合領域(b2)の位置の相違により上記のような蛍光消光率の差が生じる理由は不明であるが、本発明者らは、標的核酸結合領域(b2)がバインディングプローブ(B)の3’末端側にある場合、蛍光プローブ(A)の5’末端側に標識された蛍光物質(d)が、PCRの伸長反応において、標的核酸の3’末端側から移動してくるDNAポリメラーゼと相互作用をし、これにより蛍光物質(d)の消光が妨げられるものと推測している。
本発明の第3態様の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)は、バインディングプローブ(B)の蛍光プローブ結合領域(b1)とハイブリダイズする塩基配列であればよく、塩基長に特に制限はないが、4塩基以下であるとハイブリダイズ効率が低いという点で好ましくなく、51塩基以上であるとリアルタイムPCR測定等に使用する際に非特異的なハイブリッドが生じやすくなるという点で好ましくないことがある。従って、蛍光プローブ(A)は、5〜50塩基であることが好ましく、より好ましくは10〜35塩基、特に好ましくは10〜20塩基である。
蛍光プローブ(A)の塩基配列は、バインディングプローブ(B)の蛍光プローブ結合領域(b1)とハイブリダイズする限り、当該蛍光プローブ結合領域(b1)と相補的でないヌクレオチドを有してもよい。同様に、バインディングプローブ(B)中の蛍光プローブ結合領域(b1)の塩基配列は、蛍光プローブ(A)とハイブリダイズするものであればよく、その塩基長は蛍光プローブ(A)の塩基長に依存する。
バインディングプローブ(B)中の標的核酸結合領域(b2)は、標的核酸配列(C)とハイブリダイズする塩基配列であればよい。その塩基長は、標的核酸配列(C)の塩基配列などにも依存するが、4塩基以下であると標的核酸配列(C)とのハイブリダイズ効率が低いという点で好ましくなく、61塩基以上であるとバインディングプローブ(B)を合成する際の収率が低下し、また、リアルタイムPCR測定等に使用する際に非特異的なハイブリッドが生じやすいという点で好ましくないことがある。従って、標的核酸結合領域(b2)は、5〜60塩基であることが好ましく、より好ましくは15〜30塩基である。標的核酸結合領域(b2)の塩基配列は、標的核酸配列(C)とハイブリダイズする限り標的核酸配列(C)と塩基対を形成しない塩基配列を有してもよい。
本発明の第3態様の核酸プローブセットは、核酸の種々の分析方法に用いることができる。本発明の第3態様の核酸プローブセットを用いて、溶液中に標的核酸が存在するか否かを判定する標的核酸の検出方法の例を以下に示す。
まず、標的核酸の検出をする溶液(以下、「検出サンプル」と略す。)を段階希釈して、数種の溶液を調製する。これらの段階希釈した検出サンプルに本発明の第3態様の核酸プローブセット、すなわち蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)をそれぞれ一定量加え、次いで、添加した本発明の核酸プローブセット複合体と標的核酸とがハイブリダイズするように溶液の温度を調整した後、蛍光強度を測定する。上記本発明のプローブセット複合体と標的核酸とをハイブリダイズさせる温度は、本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体と標的核酸との融解温度(以下「Tm1」と呼ぶ)やその他の溶液条件により変動するが、当該核酸プローブセット複合体と標的核酸との配列特異的なハイブリダイゼーションが起こり、かつ非特異的なハイブリダイゼーションが生じない温度範囲であることが好ましく、好ましくはTm1〜(Tm1−40)℃、より好ましくはTm1〜(Tm1−20)℃、さらに好ましくはTm1〜(Tm1−10)℃である。このような好ましい温度の一例として、約60℃が挙げられる。
また、本発明の核酸プローブセットを構成する蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)との融解温度(以下「Tm2」と呼ぶ)は、蛍光強度を確実に測定するために、Tm1より高いことが好ましく、Tm2−Tm1が5℃以上であることがより好ましい。塩基長や塩基配列にもよるが、蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドがすべてDNAである場合と比べて、少なくとも1ヌクレオチドをLNAとすることにより、Tm2は2〜6℃上昇する。また、Tm2が95℃以上となるように蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドのLNA量を調整することにより、本発明の第3態様の核酸プローブセットをPCRに用いた場合に、当該核酸プローブセットが常に複合体を形成した状態となり、事実上一本鎖の核酸プローブとみなして使用することができる。このため、上記Tm2−Tm1に配慮することなく、蛍光プローブ(A)および標的核酸結合領域(b2)を設計することができる。
上記検出サンプル中に標的核酸が存在しない場合、段階希釈した検出サンプルのいずれにおいても同程度の蛍光強度が観察される。一方、上記検出サンプル中に標的核酸が存在する場合、本発明の核酸プローブセットの蛍光物質による蛍光は標的核酸を含む核酸中のグアニンにより消光される。この消光の程度は、上記溶液中の核酸プローブセットと標的核酸との比率を変えることによって変化する。このため、上述したように段階希釈した検出サンプル中に本発明の核酸プローブセットを添加して、それらの蛍光強度を測定することにより、蛍光消光の発生の有無から標的核酸の存在を判定することができ、蛍光消光の大きさから標的核酸の存在量を定量することができる。
また、本発明の第3態様の核酸プローブセットは、リアルタイムPCR方法に用いることもできる。リアルタイムPCR方法において、本発明の核酸プローブセットを用いて増幅産物を定量する場合、PCRで増幅する塩基配列またはその一部を標的核酸として、当該標的核酸とハイブリダイズするようにバインディングプローブ(B)中の標的核酸結合領域(b2)の塩基配列を決定する。
このようにして作製した本発明の第3態様の核酸プローブセットをPCR反応溶液に添加して、PCR反応を行い、PCRの各サイクルにおいて蛍光強度を測定する。PCR反応によって、反応溶液中の標的核酸が増幅すると、当該標的核酸中のグアニンにより本発明の核酸プローブセットの蛍光物質による蛍光が消光されるため、蛍光強度および蛍光消光の大きさからPCRによる増幅産物を定量することができる。
さらに、本発明の第3態様の核酸プローブセットは、核酸の塩基配列多型の分析に用いることもできる。分析できる塩基配列多型の例としては、基準となる塩基配列からの1塩基多型、塩基置換、塩基欠失および塩基挿入などを挙げることができる。このような分析方法の一例を以下に示す。
本分析方法では、基準となる塩基配列を標的核酸配列(C)とする。まず、標的核酸を含む溶液と、分析対象の核酸を含む溶液とを調製する。それぞれの溶液に本発明の第3態様の核酸プローブセット、すなわち上記標的核酸配列(C)とハイブリダイズするように設計した標的核酸結合領域(b2)を有するバインディングプローブ(B)と蛍光プローブ(A)とを加えた後、各溶液において、添加した本発明の核酸プローブセット複合体と標的核酸または分析対象の核酸とをハイブリダイズさせ、次いで蛍光強度の温度依存性を測定する。具体的には、溶液の温度を低温から高温に変化させながら、各温度について蛍光強度を測定する。
この測定結果を温度に対してプロットしたものを、「融解曲線」と呼ぶ。標的核酸を含む溶液の融解曲線を温度で微分することにより、本発明の核酸プローブセット複合体と標的核酸とのTm1を、極値を示す温度として容易に求めることができる。このような融解曲線分析は、当業者に周知の市販のプログラムを用いることによって行うことができる。
上記標的核酸を含む溶液の蛍光強度は、低温では標的核酸中のグアニンによる蛍光消光現象により抑制される。しかし、溶液温度をTm1付近まで上げると本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体から標的核酸が解離し、蛍光消光の程度が弱くなるため、蛍光強度は急激に増加する。分析対象の核酸の塩基配列中に塩基配列多型、例えば、標的核酸の塩基配列からの1塩基多型、塩基置換、塩基欠失および塩基挿入などがあると、当該分析対象の核酸と本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体とのTm1は、標的核酸配列と本発明の第3態様の核酸プローブセット複合体とのTm1より低い値を示す。このため、標的核酸と本発明の核酸プローブセット複合体の蛍光強度の温度依存性と、分析対象の核酸と本発明の核酸プローブセット複合体の蛍光強度の温度依存性とを比較することにより、標的核酸配列(C)に対する分析対象の核酸の塩基配列多型を分析することができる。このような分析手順としては、融解曲線どうしを比較することもできるが、それぞれの融解曲線を温度で微分し、極値を与える温度としてTm1を求め、それを比較することによって、容易に変異の有無を判断することができる。
また、分析対象の核酸の塩基配列のうち、蛍光プローブの蛍光物質に対して消光作用をするグアニン塩基を持つヌクレオチドが変異している場合、いずれの温度においても蛍光消光現象による蛍光強度の低下が生じないため、その融解曲線から変異を特定することができる。
従来、融解曲線分析においては、標的核酸ごとに高価な蛍光標識をした塩基配列の異なる核酸プローブを用意する必要があり、その合成に長時間を要していたが、本発明の第3態様の核酸プローブセットを融解曲線分析に使用することにより、標的核酸ごとに高価な蛍光標識をした核酸プローブを用意する必要がないため、融解曲線分析の準備時間を短縮でき、かつ融解曲線分析をより安価に実施することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の単なる例示であって、本発明の限定を意図するものではない。
<本発明の第1態様>
[実施例1]
ヒトβ−グロビン遺伝子の一部を標的核酸配列とする本発明の核酸プローブセットを用いて、リアルタイムPCR実験を行い、本発明の核酸プローブセットの有効性を評価した。
リアルタイムPCR用の反応溶液として、ヒトゲノムDNA試料(Human Genomic DNA;Novagen社)を含まないPCR反応溶液およびヒトゲノムDNA試料を102、103、104、105、106又は107コピー含むPCR反応溶液を調製した。各反応溶液は、いずれも、DNA合成酵素としてTITANIUM Taq DNAポリメラーゼ(クロンテック社)、4種のdNTP(それぞれ最終濃度0.2mM)、フォワードプライマー(配列番号:1、最終濃度1μM)、リバースプライマー(配列番号:2、最終濃度0.3μM)、所定量のTITANUM Taq PCR緩衝液(クロンテック社)および本発明の核酸プローブセットを含む。本PCR反応により上記標的核酸配列を含む核酸が増幅される。
配列番号1:ggttggccaatctactccagg
配列番号2:tggtctccttaaacctgtcttg
上記本発明の核酸プローブセットは、ヒトβ−グロビン遺伝子の一部を標的核酸配列(配列番号:3)とし、3’末端側に蛍光プローブと相補的な塩基配列の蛍光プローブ結合領域を、5’末端側に標的核酸配列と相補的な塩基配列の標的核酸結合領域を持つバインディングプローブ(配列番号:4、最終濃度100nM)および配列番号5の塩基配列を持ち、3’末端ヌクレオチドをBODIPY-FL(インビトロジェン社)で標識した蛍光プローブ(最終濃度50nM)とから構成される。なお、当該蛍光プローブを構成するヌクレオチドは、すべてLNA(ThermoElectron社)を使用した。
配列番号3:gttcactagcaacctcaaacagacacc
配列番号4:ggtgtctgtttgaggttgctagtgaactatgaggtggtaggatgggtagtggt
配列番号5:accactacccatcctaccacctcata-BODIPY-FL
上記本発明の核酸プローブセット複合体が、配列番号3の標的核酸配列とハイブリダイズしたときの模式図を図6に示す。蛍光プローブに結合した蛍光物質は、標的核酸配列の5’末端のグアニンにより蛍光消光作用を受けると考えられる。
上記本発明の核酸プローブセットのうち、バインディングプローブは、3’末端にリン酸基を持つ。なお、本実施例のようにLNA化された蛍光プローブを用いる場合、当該蛍光プローブは、通常の反応条件下ではバインディングプローブから解離しないため、バインディングプローブがプライマーとして機能することはないので、上記3’末端のリン酸化は必須ではない。上記核酸プローブは、つくばオリゴサービス株式会社(つくば市)に、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、株式会社日本遺伝子研究所(仙台市)に合成を委託した。
上記反応溶液をリアルタイムPCR装置(LightCycler(登録商標)1.5(Roche社))を用いて以下のPCR反応に供した。
(1)熱変性工程:95℃で120秒間
(2)熱変性工程:95℃、30秒間
(3)アニーリング工程:55℃、30秒間
(4)伸長工程:72℃、30秒間
(1)の熱反応工程の後、工程(2)〜(4)を50サイクル行い、(2)の熱変性工程と(3)のアニーリング工程において蛍光強度を測定した。なお、励起波長は450〜495nm、検出波長は505〜537nmとした。
得られた蛍光強度を以下の式1に代入し、標的核酸を含む6種の反応溶液について蛍光消光率を求めた。
[式1]
蛍光消光率=[(GU,55/GU,95)-(G55/G95)]/(GU,55/GU,95)
ここで、
U,55:反応溶液のアニーリング工程(3)における核酸増幅が発生する前の任意のサイクルにおける蛍光強度
U,95:反応溶液の熱変性工程(2)における核酸増幅が発生する前の任意のサイクルにおける蛍光強度
55:反応溶液のアニーリング工程(3)における蛍光強度
95:反応溶液の熱変性工程(2)における蛍光強度
である。
得られた蛍光消光率を、PCRサイクルを横軸にとったグラフにプロットしたグラフを図7に示す。この図より、本発明の核酸プローブセットを使用してリアルタイムPCRを行うことにより、標的核酸を的確に定量できることが理解される。なお、上記6種のPCRサンプルについての蛍光消光率の最大値の平均値は約37%であった。
[実施例2]
蛍光プローブの5’末端側の5つのヌクレオチドをDNAに代えたこと以外は実施例1と同様の実験を行った。この場合、蛍光消光率の最大値の平均値は約35%であった。なお、本実施例で使用した蛍光プローブのLNAの割合は全体の約81%である。
[比較例1]
蛍光プローブを構成するヌクレオチドをすべてDNAとしたこと以外は実施例1と同様にしてリアルタイムPCR実験を行った。
得られた蛍光消光率を、PCRサイクルを横軸にとったグラフにプロットした図を図8に示す。6種のPCRサンプルについての蛍光消光率の最大値の平均値は約25%であり、蛍光プローブを構成するヌクレオチドがすべてLNAである実施例1に比べて、蛍光消光率は3分の2程度であった。すなわち、蛍光プローブを構成するヌクレオチドをDNAからLNAとすることにより、蛍光消光率は約1.5倍向上した。
[実施例3]
ヒトβアクチン遺伝子の一部を標的核酸配列(配列番号:8)とする本発明の核酸プローブセットを用いて、リアルタイムPCR実験を行い、本発明の核酸プローブセットの有効性を評価した。
ヒトβアクチン遺伝子の全長配列を有するmRNA(Beta actin mRNA, Human;ニッポン・ジーン社製)を102、103、104、105、106、107又は108コピー含む7種の試料について、逆転写酵素(SuperScript III RT;インビトロジェン社)を用いて周知の方法によりcDNAを調製した。
リアルタイムPCR用の反応溶液として、上記7種の試料から得たヒトβアクチン遺伝子のcDNAを有する反応溶液及び当該cDNAを含まないPCR反応溶液を調製した。各反応溶液は、フォワードプライマー(配列番号:6、最終濃度0.3μM)、リバースプライマー(配列番号:7、最終濃度1.0μM)を含むほかは、キット(TITANIUM Taq PCR Kit、タカラバイオ株式会社製)に付属のマニュアルに従って調製した。本PCR反応により上記標的核酸配列を含む262bpの核酸が増幅される。
配列番号6:catgtacgttgctatccaggc
配列番号7:ctccttaatgtcacgcacgat
上記本発明の核酸プローブセットは、ヒトβアクチン遺伝子の一部を標的核酸(配列番号:8)とし、3’末端側に蛍光プローブと相補的な塩基配列の蛍光プローブ結合領域を、5’末端側に標的核酸と相補的な塩基配列の標的核酸結合領域を持つバインディングプローブ(配列番号:9、最終濃度100nM)および配列番号10の塩基配列を持ち、3’末端ヌクレオチドをBODIPY-FL(インビトロジェン社)で標識した蛍光プローブ(最終濃度50nM)とから構成される。なお、当該蛍光プローブを構成するヌクレオチドは、すべてLNA(ThermoElectron社)を使用した。
配列番号8:gtgaggatcttcatgaggtagtcagtcag
配列番号9:ctgactgactacctcatgaagatcctcactatgaggtggtaggatgggtagtggt
配列番号10:accactacccatcctaccacctcata-BODIPY-FL
上記本発明の核酸プローブセットのうち、バインディングプローブは、3’末端にリン酸基を持つ。上記核酸プローブは、つくばオリゴサービス株式会社(つくば市)に、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、株式会社日本遺伝子研究所(仙台市)に合成を委託した。
上記反応溶液をリアルタイムPCR装置(LightCycler(登録商標)1.5(Roche社))を用いて以下のPCR反応に供した。
(1)熱変性工程:95℃で120秒間
(2)熱変性工程:95℃、30秒間
(3)アニーリング工程:55℃、30秒間
(4)伸長工程:72℃、30秒間
(1)の熱反応工程の後、工程(2)〜(4)を50サイクル行い、(2)の熱変性工程と(3)のアニーリング工程において蛍光強度を測定した。なお、励起波長は450〜495nm、検出波長は505〜537nmとした。
得られた蛍光強度を上記式1に代入し、標的核酸を含む7種の反応溶液について蛍光強度値を求めた。
得られた蛍光消光率を、PCRサイクルを横軸にとったグラフにプロットした図を図9に示す。この図より、本発明の核酸プローブセットを使用してリアルタイムPCRを行うことにより、標的核酸を的確に定量できることが理解される。なお、上記7種のPCRサンプルについての蛍光消光率の最大値の平均値は約32%であった。
[比較例2]
蛍光プローブを構成するヌクレオチドをすべてDNAとしたこと以外は実施例2と同様にしてリアルタイムPCR実験を行った。
得られた蛍光消光率を、PCRサイクルを横軸にとったグラフにプロットした図を図10に示す。7種のPCRサンプルについての蛍光消光率の最大値の平均値は約25%であり、蛍光プローブを構成するヌクレオチドがすべてLNAである実施例2に比べて、蛍光消光率は4分の3程度であった。すなわち、蛍光プローブを構成するヌクレオチドをDNAからLNAとすることにより、蛍光消光率は約1.3倍向上した。
<本発明の第2態様>
[実施例4]
3’末端ヌクレオチドをBODIPY-FL(インビトロジェン社)で標識したLNAのみからなる配列番号11のオリゴヌクレオチド(終濃度:50nM)、DNAのみからなる配列番号12のオリゴヌクレオチド(終濃度:400nM)、KCl(終濃度:50mM)、Tris−HCl(終濃度:10mM)、MgCl2(終濃度:1.5mM)を含む溶液を20μLにメスアップし、室温にてpH8.7に調製した。
配列番号11:ccccctcccccaa-BODIPY-FL
配列番号12:gggttgggggaggggg
上記溶液をリアルタイムPCR測定装置(LightCycler(登録商標)、Roche社)に供し、融解曲線分析を行った。結果を図11に示す。
図11において解離ピークが観察されなかったことから、配列番号11と12のオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズをすると、97℃においても解離せず、常圧の水系では常に安定な複合体を形成することが明らかとなった。
<本発明の第3態様>
[実施例5]
ヒトβ−グロビン遺伝子の一部を標的核酸配列とする本発明の核酸プローブセットを用いて、リアルタイムPCR実験を行い、本発明の核酸プローブセットの有効性を評価した。
リアルタイムPCR用の反応溶液として、ヒトゲノムDNA試料(Human Genomic DNA;Novagen社)を含まないPCR反応溶液およびヒトゲノムDNA試料を102、103、104、105、106または107コピー含むPCR反応溶液を調製した。各反応溶液は、いずれも、DNA合成酵素としてTITANIUM Taq DNAポリメラーゼ(クロンテック社)、4種のdNTP(それぞれ最終濃度0.2mM)、フォワードプライマー(配列番号:13、最終濃度1μM)、リバースプライマー(配列番号:14、最終濃度0.3μM)、所定量のTITANUM Taq PCR緩衝液(クロンテック社)および本発明の核酸プローブセットを含む。本PCR反応により上記標的核酸配列を含む核酸が増幅される。
配列番号13:ggttggccaatctactccagg
配列番号14:tggtctccttaaacctgtcttg
上記本発明の核酸プローブセットは、ヒトβ−グロビン遺伝子の一部を標的核酸配列(配列番号:15)とし、3’末端側に蛍光プローブと相補的な塩基配列の蛍光プローブ結合領域を、5’末端側に標的核酸配列と相補的な塩基配列の標的核酸結合領域を持つバインディングプローブ(配列番号:16、最終濃度100nM)および配列番号17の塩基配列を持ち、3’末端ヌクレオチドをBODIPY-FL(インビトロジェン社)で標識した蛍光プローブ(最終濃度50nM)とから構成される。なお、当該蛍光プローブを構成するヌクレオチドは、すべてDNAである。
配列番号15:gttcactagcaacctcaaacagacacc
配列番号16:ggtgtctgtttgaggttgctagtgaactatgaggtggtaggatgggtagtggt
配列番号17:accactacccatcctaccacctcata-BODIPY-FL
上記本発明の核酸プローブセット複合体が、配列番号15の標的核酸配列とハイブリダイズしたときの模式図を図16に示す。蛍光プローブに結合した蛍光物質は、標的核酸配列の5’末端のグアニンにより蛍光消光作用を受けると考えられる。
上記本発明の核酸プローブセットのうち、バインディングプローブは、3’末端にリン酸基を持つ。上記核酸プローブは、つくばオリゴサービス株式会社(つくば市)に、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、株式会社日本遺伝子研究所(仙台市)に合成を委託した。
上記反応溶液をリアルタイムPCR装置(LightCycler(登録商標)480(Roche社))を用いて以下のPCR反応に供した。
(1)熱変性工程:95℃で120秒間
(2)熱変性工程:95℃、30秒間
(3)アニーリング工程:55℃、30秒間
(4)伸長工程:72℃、30秒間
(1)の熱反応工程の後、工程(2)〜(4)を50サイクル行い、(2)の熱変性工程と(3)のアニーリング工程において蛍光強度を測定した。なお、励起波長は450〜495nm、検出波長は505〜537nmとした。
得られた蛍光強度を以下の式2に代入し、標的核酸を含む6種の反応溶液について蛍光消光率を求めた。
[式2]
蛍光消光率=[(GU,55/GU,95)-(G55/G95)]/(GU,55/GU,95)
ここで、
U,55:反応溶液のアニーリング工程(3)における核酸増幅が発生する前の任意のサイクルにおける蛍光強度
U,95:反応溶液の熱変性工程(2)における核酸増幅が発生する前の任意のサイクルにおける蛍光強度
55:反応溶液のアニーリング工程(3)における蛍光強度
95:反応溶液の熱変性工程(2)における蛍光強度
である。
得られた蛍光消光率を、PCRサイクルを横軸にとったグラフにプロットしたグラフを図17に示す。この図より、本発明の核酸プローブセットを使用してリアルタイムPCRを行うことにより、標的核酸を的確に定量できることが理解される。なお、上記6種のPCRサンプルについての蛍光消光率の最大値の平均値は約25%であった。
[比較例3]
バインディングプローブとして標的核酸結合領域を3’末端側に、蛍光プローブ結合領域を5’末端側に配置したもの(配列番号:18)を用い、5’末端ヌクレオチドをBODIPY-FL(インビトロジェン社)で標識した配列番号19の蛍光プローブを用い、PCR反応溶液としてヒトゲノムDNA試料を10、102、103、104、105、106107または108コピー含む7種を用いたこと以外は実施例5と同様にしてリアルタイムPCR実験を行った。なお、上記バインディングプローブは、3’末端にリン酸基を持つ。
配列番号18:cgatgcagcgagtggcggcgatgggtgtctgtttgaggttgctagtgaac
配列番号19:BODIPY-FL-catcgccgccactcgctgcatcg
得られた蛍光消光率を、PCRサイクルを横軸にとったグラフにプロットした図を図18に示す。6種のPCRサンプルについての蛍光消光率の最大値の平均値は約15%であり、バインディングプローブ結合領域を5’末端側に、蛍光プローブ結合領域を3’末端側に配置した本発明の蛍光プローブを使用した実施例5に比べて、蛍光消光率は約60%程度であった。すなわち、バインディングプローブ結合領域をバインディングプローブの5’末端側から3’末端側に変更することにより、蛍光消光率は約1.7倍向上した。
<本発明の第2態様>
[実施例6]
配列番号20の塩基配列を持ち、3’末端をBODIPY−FLで標識したLNAのみからなるオリゴヌクレオチドプローブと、配列番号21の塩基配列を持ち、DNAのみからなるオリゴヌクレオチド(相補鎖)を合成した。相補鎖は、上記プローブとハイブリダイズした際に、蛍光色素の近傍にグアニンが位置するように設計されている。なお、上記プローブの合成はジーンデザイン社(大阪府茨木市)に、上記プローブへのBODIPY-FLの標識およびHPLCによる精製は、つくばオリゴサービス(茨城県つくば市)に委託した。
配列番号20:CCCCCTCCCCCTT-BODIPY-FL
配列番号21:gggaagggggaggggg
表1に示す組成の反応液を調製し、リアルタイムPCR測定装置(LightCycler(登録商標)、Roche社)を用いて融解曲線分析を行った。また、ブランクとして表1の反応液に相補鎖を添加しないサンプルについても、同様の測定を行った。結果を図19に示す。
この結果、相補鎖を添加した実施例では、相補鎖を添加しないブランクと比べて、低い蛍光強度を示した。これは、プローブと相補鎖との二本鎖形成によって、プローブに標識された蛍光色素が、相補鎖中のグアニンと相互作用し、蛍光が消光されたためである。このことから、本発明の第2態様のオリゴヌクレオチドプローブが、蛍光消光プローブとして好適に利用できることが明らかとなった。
また、融解曲線において解離ピークが観察されなかったことから、上記プローブとは相補鎖とハイブリダイズすると100℃でも解離せず、常圧の水系では常に安定な複合体を形成することが明らかとなった。
なお、図19中の蛍光強度(−)は任意単位である。
Figure 0005272230
[実施例7]
配列番号20のオリゴヌクレオチドプローブのLNAをPNAに変えたこと以外は、実施例6と同様にして融解曲線分析を行った。結果を図19に示す。なお、当該プローブの合成はファスマック社(神奈川県厚木市)に委託した。
[実施例8]
配列番号20のオリゴヌクレオチドプローブのLNAをENAに変えたこと以外は、実施例6と同様にして融解曲線分析を行った。結果を図19に示す。なお、当該プローブの合成はシグマジェノシス社(北海道石狩市)に委託した。
[実施例9]
配列番号20のオリゴヌクレオチドプローブのLNAを2',4'-BNANCに変えたこと以外は、実施例6と同様にして融解曲線分析を行った。結果を図19に示す。なお、当該プローブの合成はBNA社(大阪府茨木市)に委託した。
[実施例10]
配列番号20のオリゴヌクレオチドプローブのLNAを2',4'-BNACOCに変えたこと以外は、実施例6と同様にして融解曲線分析を行った。結果を図19に示す。なお、当該蛍光プローブの合成はBNA社(大阪府茨木市)に委託した。
図19に示す結果より、実施例6〜10で使用した人工ヌクレオチドは、本発明の第2の実施態様におけるオリゴヌクレオチドプローブに好適に使用できることが明らかとなった。また、これらのプローブは、本発明の第1の実施態様における核酸プローブセットの蛍光プローブとしても好適に使用できることが明らかとなった。
また、全ての解離曲線において解離ピークが観察されなかったことから、実施例6〜10で使用したプローブは、いずれも相補鎖とハイブリダイズをすると、100℃においても解離せず、常圧の水系では常に安定な複合体を形成することが明らかとなった。
<本発明の第1態様、第2態様>
[実施例11]
実施例6で使用したオリゴヌクレオチドプローブを本発明の第1態様の核酸プローブセットにおける蛍光プローブ(A)として使用し、リアルタイムPCR実験を行い、本発明の第2態様のオリゴヌクレオチドプローブについて、蛍光プローブ(A)としての有効性を評価した。
具体的には、実施例6で使用したLNAのみからなるオリゴヌクレオチドプローブと、配列番号22のDNAのみからなるオリゴヌクレオチドとからなる核酸プローブセットを用い、標的核酸(ヒトゲノムDNA試料)を100コピーとしたこと以外は、実施例1と同様の条件でPCR反応を行った。
なお、配列番号22のオリゴヌクレオチドのうち、3’末端の13塩基が蛍光プローブ結合領域(b1)、5’末端側がヒトβ−グロビン遺伝子の一部を標的核酸配列とする標的核酸結合領域(b2)である。
配列番号22:ggtgtctgtttgaggttgctagtgaactatgaggaagggggaggggg
最終サイクル(50サイクル目)の蛍光強度について、実施例1と同様にして蛍光消光率を算出した。また、ブランクとして標的核酸を添加しない系についても同様の測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例12〜15]
実施例7〜10で使用した蛍光プローブをそれぞれ使用したこと以外は、実施例11と同様にして蛍光消光率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0005272230
以上の結果より、標的核酸が存在しないブランクにおいては、どの人工ヌクレオチドを用いた蛍光プローブでも、蛍光消光は確認されなかった。一方、100コピーの標的核酸を含む場合、どの人工ヌクレオチドを用いた蛍光プローブでも、ほぼ同程度の蛍光消光率が得られた。
これらの結果より、実施例11〜15で使用した人工ヌクレオチドは全て、本発明の第1態様の核酸プローブセットおよび該プローブセットを利用する遺伝子解析手法に好適に利用できることが明らかとなった。
<本発明に使用しうる蛍光物質の探索>
[実施例16]
本発明の核酸プローブセットに使用しうる蛍光物質のスクリーニングを実施した。具体的には、LNAのみからなる配列番号20のオリゴヌクレオチドの3’末端をPacific Blue(インビトロジェン社)で標識したこと以外は実施例11と同じ条件でPCR反応を行った。
なお、オリゴヌクレオチドの合成はジーンデザイン社(大阪府茨木市)に委託し、当該オリゴヌクレオチドへの蛍光物質の標識はつくばオリゴサービス(茨城県つくば市)に委託した。
PCR反応後、得られた反応液を、PCRバッファー(×1)にて10倍希釈した後、恒温装置付き蛍光光度計(LS50B、パーキンエルマー社製)にて、95℃の蛍光強度と、55℃の蛍光強度を測定した。95℃の蛍光強度は、解離時の蛍光強度であり、55℃の蛍光強度は、ハイブリダイズ時の蛍光強度である。
得られた蛍光強度を以下の式3に代入し、蛍光消光率を求めた。結果を表4に示す。
なお、色素の励起波長、蛍光測定波長は表3に示す値とした。また、スリット幅は、励起、蛍光測定ともに5nmとした。
[式3]
蛍光消光率=[(GB,55/GB,95)-(G100,55/G100,95)]/(GB,55/GB,95)
ここで、
B,55:ブランク(標的核酸添加量:0コピー)における55℃の蛍光強度
B,95:ブランク(標的核酸添加量:0コピー)における95℃の蛍光強度
100,55:標的核酸添加量:100コピーにおける55℃の蛍光強度
100,95:標的核酸添加量:100コピーにおける95℃の蛍光強度
である。
Figure 0005272230
[実施例17〜23]
蛍光物質としてそれぞれ、Alexa Fluor 488(インビトロジェン社)、BODIPY-FL(インビトロジェン社)、フルオレセイン、6-JOE、カルボキシローダミン6G(CR6G)、テトラメチルローダミン(TMR)、Cy5(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を使用したこと以外は実施例16と同様にして蛍光消光率を測定した。結果を表4に示す。
得られた蛍光消光率を、以下の表4に示す。Alexa Fluor 488、Cy5以外の色素で15%以上の蛍光消光率が確認された。特に、Pacific Blue、BODIPY-FL、カルボキシローダミン6G(CR6G)については、約40%と、著しい蛍光消光が確認された。以上の結果より、Pacific Blue、BODIPY-FL、カルボキシローダミン6G(CR6G)、フルオレセイン、6-JOE、テトラメチルローダミン(TMR)が、本発明に使用する蛍光物質として特に有用であることが示された。
Figure 0005272230
<本発明を利用した応用例>
本発明は、様々な遺伝子解析法に応用することができる。以下に例を挙げて説明する。
[応用例1]
本発明の応用例として、図20に示すような、DNA/RNAのキメラオリゴヌクレオチドからなる標的核酸結合領域(b2)の両端に、それぞれ配列が異なる蛍光プローブ結合領域1、2(b1−1、b1−2)を有するバインディングプローブと、末端を蛍光物質で標識し蛍光プローブ結合領域1にハイブリダイズしうる蛍光プローブ(A)および末端をクエンチャー物質で標識し蛍光プローブ結合領域2にハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチド(F)からなる本発明の核酸プローブセットを挙げることができる。
上記蛍光プローブ(A)およびオリゴヌクレオチド(F)にバインディングプローブとの解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドを導入することにより、バインディングプローブと強固に結合し、これらの3分子が常に一体となって移動することとなる。この状態では、蛍光物質とクエンチャー物質が非常に接近するため、FRET(または、直接的エネルギー移動)が発生し、蛍光物質の発する蛍光は抑制される。
上記核酸プローブセットと標的核酸とがハイブリダイズした場合に、RNAとDNAの2本鎖を認識しRNA部分を切断するRNaseHを作用させることにより、当該RNaseHは、標的核酸結合領域のRNA領域(f)でバインディングプローブを切断することとなる。
この結果、蛍光物質とクエンチャー物質との間のFRET(または、直接的エネルギー移動)が解消され、蛍光物質が蛍光を発することとなる。この変化をモニタリングすることで、標的核酸の存在を検出することができる。
[応用例2]
図21に示すように、末端に数塩基のステム領域(s1)を有し、少なくともその最末端塩基をシトシンとし、当該シトシンを蛍光物質で標識した人工ヌクレオチドを有する蛍光プローブ(A)と、一端に蛍光プローブのステム領域(s1)と相補的なステム領域(s2)を、別の一端に蛍光プローブ結合領域(b1)とを有し、それらの間に標的核酸結合領域(b2)を有するバインディングプローブ(B)からなる本発明の核酸プローブセットを用いて、標的核酸を検出する方法について示す。
上述したとおり蛍光プローブのステム領域(s1)とバインディングプローブのステム領域(s2)は相補的な塩基配列を持つため、上記蛍光プローブとバインディングプローブとがハイブリダイズすると、図22に示すような2次構造となり、ステム構造が形成される。この際、蛍光物質の近傍にグアニン塩基が位置するため、グアニンと蛍光物質とが相互作用し、蛍光が消光することとなる。
この核酸プローブセットを含む系に、標的核酸を添加すると、当該核酸プローブセットと標的核酸とが結合し、図23に示すように核酸プローブセットの2次構造が変化する。この結果、グアニンと蛍光物質との距離が広がるため、蛍光消光が妨げられ、蛍光強度が増大する。この変化をモニタリングすることで、標的核酸の存在を検出することができる。
[応用例3]
本応用例では、図24で示すような、人工ヌクレオチドを有する蛍光プローブ(A)、人工ヌクレオチドを有し末端をクエンチャー物質で標識したオリゴヌクレオチド(F)並びに末端に上記蛍光プローブおよび上記オリゴヌクレオチドに相補的な塩基配列領域(b1−1、b1−2)、それに隣接してステムループ構造を形成するための塩基配列領域、それらの間に標的核酸結合領域(b2)を有するバインディングプローブ(B)を使用する。
上記蛍光プローブ(A)、オリゴヌクレオチド(F)およびバインディングプローブ(B)を混合すると、これらの3分子は、図25に示すような複合体を形成する。人工ヌクレオチドを有する2本のプローブとそれらに相補的な塩基配列領域(b1−1、b1−2)との間に形成される2本鎖は熱安定性が非常に高いため、これらの3分子が常に一体となって存在することとなる。この状態では、蛍光物質とクエンチャー物質とが非常に接近するため、FRET(または、直接的エネルギー移動)により蛍光物質の発する蛍光は抑制される。
標的遺伝子が存在する場合、図26に示すようにバインディングプローブの標的核酸結合領域(b2)と標的核酸とがハイブリダイズする。この際、核酸プローブセット複合体のステムループ構造が解消されるため、蛍光物質とクエンチャー物質との距離が開き、結果として、蛍光物質が蛍光を発するようになる。この変化をモニタリングすることで、標的核酸の存在を検出することができる。
[応用例4]
本応用例では、図27に示すように、人工ヌクレオチドを有する蛍光プローブ(A)、人工ヌクレオチドを有し末端をクエンチャー物質で標識したオリゴヌクレオチド(F)、蛍光プローブ結合領域(b1−1)と標的核酸結合領域(b2−1)とを有する第1のバインディングプローブ(B1)並びに上記オリゴヌクレオチド(F)との結合領域(b2−1)と標的核酸結合領域(b2−2)とを有する第2のバインディングプローブ(B2)を使用する。
なお、上記標的核酸結合領域b2−1とb2−2とは、標的核酸の隣接した部分にハイブリダイズするように設計する。
上記蛍光プローブ(A)、オリゴヌクレオチド(F)、第1および第2のバインディングプローブを混合すると、図28に示すような2つの複合体を形成する。人工ヌクレオチドを有する2本のプローブとそれらに相補的な塩基配列領域(b1−1、b1−2)との間に形成される2本鎖は熱安定性が非常に高いため、これらの複合体は、水系では常に複合体として存在する。標的核酸が存在しない場合、蛍光物質とクエンチャー物質とは相互作用しないため、蛍光物質は強い蛍光を発生する。
一方、標的核酸が存在する場合、上記2つの複合体は図29に示すように標的核酸とハイブリダイズする。この結果、蛍光物質とクエンチャー物質とが隣接することとなり、FRET(または、直接的エネルギー移動)により蛍光消光が起きる。この変化をモニタリングすることで、標的核酸の存在を検出することができる。
[応用例5]
本応用例では、図30に示すように、一端を蛍光物質(d)で、もう一端をクエンチャー物質(q)で標識した人工ヌクレオチドとDNAからなる蛍光プローブ(A)と、蛍光プローブ結合領域(b1)と標的核酸結合領域(b2)とを有するバインディングプローブ(B)とからなる核酸プローブセットを使用する。
なお、蛍光プローブ(A)は、一端をバインディングプローブの標的核酸結合領域(b2)と隣接して標的核酸にハイブリダイズする標的核酸結合領域(e)とする。
上記蛍光プローブ(A)とバインディングプローブ(B)とを混合すると、図31に示すような核酸プローブセット複合体を形成する。人工ヌクレオチドを有する蛍光プローブと蛍光プローブ結合領域との熱安定性は非常に高いため、当該複合体は、水系では常に複合体として存在する。
標的核酸が存在しない場合、蛍光プローブに標識された蛍光物質とクエンチャー物質は互いに近接するため、FRET(または、直接的エネルギー移動)により蛍光消光が起こる。
標的核酸が存在する場合、上記複合体が標的核酸に結合するが、結合しただけでは、蛍光物質とクエンチャー物質との距離は大きく変化しないので、蛍光強度は変化しない。しかし、標的核酸が存在する状況で、5’→3’のエキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ(P)を添加してDNA合成反応を行うと、上記蛍光プローブがDNAポリメラーゼによって加水分解され、その結果、蛍光物質とクエンチャー物質との相互作用がなくなり、蛍光物質が発蛍光することとなる。この変化をモニタリングすることで、標的核酸の存在を検出することができる。
<ユニバーサルな核酸プローブセットを使用するSNPタイピング実験>
[実施例24]
本発明の核酸プローブセットを用いて、β2−アドレナリン受容体(ADRB2)遺伝子(A/G)を標的とするSNPタイピング実験を行った。
ボランティアの口腔細胞からゲノムDNAを抽出し、ADRB2遺伝子の3種の遺伝型(Aアレルホモ、GアレルホモおよびAGヘテロ)についてそれぞれゲノムDNAを調製した。
上記3種のゲノムDNAについて、フォワードプライマー(配列番号23)およびリバースプライマー(配列番号24)を用いてPCRを行い、それぞれからADRB2遺伝子(Aアレルホモ、GアレルホモおよびAGヘテロ)を調製した。
配列番号23:CATGTACGTTGCTATCCAGGC
配列番号24:CTCCTTAATGTCACGCACGAT
配列番号23のTmの予想値は、62.5℃、配列番号24のTmの予想値は61.9℃であった。
ADRB2遺伝子を104コピー有するサンプルを3種の遺伝子型についてそれぞれ調製した。これらのサンプルをそれぞれ50サイクルのPCRに供し十分に増幅した後、融解曲線分析に使用した。なお、PCRには、配列番号25のフォワードプライマー(Tm:59.5℃)と配列番号26のリバースプライマー(Tm:59.2℃)を使用した。
配列番号25:CGCTGAATGAGGCTTCC
配列番号26:CAGCACATTGCCAAACAC
増幅したADRB2遺伝子に、バインディングプローブ(配列番号27)および蛍光プローブ(配列番号28)を加え、融解曲線分析を行った。結果を図33に示す。
図中、野生型遺伝子のホモ接合型(Aアレルホモ)のサンプルをw、変異型遺伝子のホモ接合型(Gアレルホモ)のサンプルをm、野生型と変異型のヘテロ接合型(AGヘテロ)のサンプルをw+mで示す。
これらの結果から、野生型のホモ接合型(Aアレルホモ)、変異型のホモ接合型(Gアレルホモ)およびヘテロ接合型(AGアレルヘテロ)のSNP遺伝子型を明確に判別することができる。すなわち、野生型遺伝子のホモ接合型のTmは53.0℃で変異型遺伝子のホモ接合型(Tm:61.6℃)と明確に区別できた。また、ヘテロ接合型では、2つのTmが観測された。この結果から、本発明のユニバーサルな核酸プローブセットがSNPタイピングにも応用できることが明らかとなった。
なお、実施例24に使用した、配列番号27のバインディングプローブは、5’末端側にADRB2遺伝子の一部と相補的な配列を有する標的核酸結合領域を、3’末端側に蛍光プローブ結合領域を有する、DNAのみからなるオリゴヌクレオチドである。
配列番号27:CTTCCATTGGGTGCCAGCttgggggaggggg
配列番号27において、標的核酸結合領域を大文字で、蛍光プローブ結合領域を小文字で示す。なお、5’末端から5番目のシトシンがSNP部位(Gアレルホモ又はAGヘテロのグアニン)と相補対を形成する。標的核酸結合領域のTm予想値は63.0℃であった。
一方、蛍光プローブ(配列番号28)は、3’末端をBODIPY−FLで標識したLNAのみからなるオリゴヌクレオチドである。Tm予想値は102℃であった。
配列番号28:CCCCCTCCCCCAA-BODIPY-FL
融解曲線分析の反応溶液は、全量が20μLで、サンプルDNAを104コピー、LC480 Genotyping Master(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、0.25mg/mLのBSA、0.15−0.5μMのフォワードプライマーおよびリバースプライマー、0.15μMの蛍光プローブ、0.5μMのバインディングプローブおよび0.1ユニットのウラシルDNAグリコシラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を含む。リアルタイムPCR装置としては、LightCycler480(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を使用した。
[実施例25]
本発明の核酸プローブセットを用いて、β3−アドレナリン受容体(ADRB3)遺伝子(C/T)を標的とするSNPタイピング実験を行った。
ボランティアの口腔細胞からゲノムDNAを抽出し、ADRB3遺伝子の3種の遺伝型(Cアレルホモ、TアレルホモおよびCTヘテロ)についてそれぞれゲノムDNAを調製した。
上記3種のゲノムDNAについて、フォワードプライマー(配列番号29)およびリバースプライマー(配列番号30)を用いてPCRを行い、それぞれからADRB3遺伝子(Cアレルホモ、TアレルホモおよびCTアレルヘテロ)を調製した。
配列番号29:AGCTCTCTTGCCCCATG
配列番号30:GCCAGCGAAGTCACGAA
配列番号29のTmの予想値は、60.9℃、配列番号30のTmの予想値は61.7℃であった。
配列番号31のフォワードプライマー(Tm:60.5℃)と配列番号32のリバースプライマー(Tm:60.7℃)を使用した他は、実施例24と同様の手順でそれぞれのサンプルについてADRB3遺伝子を増幅した。
配列番号31:TGGCCTCACGAGAACAG
配列番号32:GAGTCCCATCACCAGGTC
配列番号33のバインディングプローブを用いたこと以外は実施例24と同様にして、融解曲線分析を行った。結果を図34に示す。
図中、野生型遺伝子のホモ接合型(Tアレルホモ)のサンプルをw、変異型遺伝子のホモ接合型(Cアレルホモ)のサンプルをm、野生型と変異型のヘテロ接合型(CTアレルヘテロ)のサンプルをw+mで示す。
これらの結果から、野生型遺伝子のホモ接合型(Tアレルホモ)のTmは63.9℃で変異型遺伝子のホモ接合型(Cアレルホモ、Tm:70.2℃)と明確に区別できた。
なお、実施例25に使用した、配列番号33のバインディングプローブは、5’末端側にADRB3遺伝子の一部と相補的な配列を有する標的核酸結合領域を、3’末端側に蛍光プローブ結合領域を有する、DNAのみからなるオリゴヌクレオチドである。
配列番号33:CCATCGCCCGGACTCCGAGACTCttgggggaggggg
配列番号33において、標的核酸結合領域を大文字で、蛍光プローブ結合領域を小文字で示す。なお、5’末端から9番目のシトシンがSNP部位(Cアレルホモ又はCTヘテロのシトシン)のアンチセンス鎖と相補対を形成する。標的核酸結合領域のTm予想値は71.8℃であった。
[実施例26]
本発明の核酸プローブセットを用いて、脱共役タンパク質(UCP1)遺伝子(A/G)を標的とするSNPタイピング実験を行った。
ボランティアの口腔細胞からゲノムDNAを抽出し、UCP1遺伝子の3種の遺伝型(Aアレルホモ、GアレルホモおよびAGアレルヘテロ)についてそれぞれゲノムDNAを調製した。
上記3種のゲノムDNAについて、フォワードプライマー(配列番号34)およびリバースプライマー(配列番号35)を用いてPCRを行い、それぞれからUCP1遺伝子(Aアレルホモ、GアレルホモおよびAGアレルヘテロ)を調製した。
配列番号34:AGTGGTGGCTAATGAGAGAA
配列番号35:AAGGAGTGGCAGCAAGT
配列番号34のTmの予想値は、60.0℃、配列番号35のTmの予想値は60.7℃であった。
配列番号36のフォワードプライマー(Tm:60.8℃)と配列番号37のリバースプライマー(Tm:58.6℃)を使用した他は、実施例24と同様の手順でそれぞれのサンプルについてUCP1遺伝子を増幅した。
配列番号36:TTCTTCTGTCATTTGCACATTTATCT
配列番号37:AACTGACCCTTTATGACGTAG
配列番号38のバインディングプローブを用いたこと以外は実施例24と同様にして、融解曲線分析を行った。結果を図35に示す。
図中、野生型遺伝子のホモ接合型(Aアレルホモ)のサンプルをw、変異型遺伝子のホモ接合型(Gアレルホモ)のサンプルをm、野生型と変異型のヘテロ接合型(AGアレルヘテロ)のサンプルをw+mで示す。
これらの結果から、野生型遺伝子のホモ接合型(Aアレルホモ)のTmは52.5℃で変異型遺伝子のホモ接合型(Gアレルホモ、Tm:60.2℃)と明確に区別できた。
なお、実施例26に使用した、配列番号38のバインディングプローブは、5’末端側にUCP1遺伝子の一部と相補的な配列を有する標的核酸結合領域を、3’末端側に蛍光プローブ結合領域を有する、DNAのみからなるオリゴヌクレオチドである。
配列番号38:CACTCGATCAAACTGTGGTCttgggggaggggg
配列番号38において、標的核酸結合領域を大文字で、蛍光プローブ結合領域を小文字で示す。なお、5’末端から5番目のシトシンがSNP部位(Gアレルホモ又はAGヘテロのグアニン)と相補対を形成する。標的核酸結合領域のTm予想値は59.9℃であった。
実施例24〜26の結果から、本発明のユニバーサルな核酸プローブセットがSNPタイピングにも応用でき、分析を安価でかつ迅速にできることが明らかとなった。
本発明の第1態様により、蛍光消光率が改善された、蛍光プローブとバインディングプローブとからなる核酸プローブセットが提供される。本発明の核酸プローブセットは、従来の一本鎖核酸プローブと同程度の蛍光消光率を示し、かつ、高価な蛍光標識した核酸プローブを分析対象の標的核酸ごとに調製する必要がないため、従来の核酸プローブに比べ安価にかつ短時間で標的核酸に対する核酸プローブを調製することができるという利点を有する。本発明の第1態様の核酸プローブセットは、医学、分子生物学および農学などの分野において、核酸の検出、定量、多型分析、突然変異の検出などに応用することができる。
本発明の第2態様によれば、常圧下では水系において解離しない安定な複合体を形成することができるオリゴヌクレオチドが提供され、さらにはその使用方法が提供される。
本発明の第3態様によれば、蛍光消光率が改善された核酸プローブセットが提供される。本発明の第3態様の核酸プローブセットは、高価な蛍光標識した核酸プローブを分析対象の標的核酸ごとに調製する必要がないため、従来の核酸プローブに比べ安価にかつ短時間で標的核酸に対する核酸プローブを調製することができるという利点を有する。本発明の核酸プローブセットは、医学、分子生物学および農学などの分野において、核酸の検出、定量、多型分析、突然変異の検出などに応用することができる。
A 蛍光プローブ
B バインディングプローブ
C 標的核酸配列
F 人工ヌクレオチドを有し末端をクエンチャー物質で標識したオリゴヌクレオチド
P 5’→3’のエキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ
T 標的核酸
a 蛍光物質で標識されたヌクレオチド
a’ 標識物質で標識されたヌクレオチド
b1 蛍光プローブ結合領域
b2 標的核酸結合領域
d 蛍光物質
e 標的核酸結合領域
f RNA領域
h 標識物質
q クエンチャー物質
s ステム領域
α ヌクレオチドα
β ヌクレオチドβ
γ ヌクレオチドγ
δ ヌクレオチドδ
m 変異型アレルホモの融解曲線
w 野生型アレルホモの融解曲線
w+m 野生型と変異型のアレルへテロの融解曲線

Claims (10)

  1. 蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)を含むオリゴヌクレオチドからなる蛍光プローブ(A)、及び、該蛍光プローブ(A)にハイブリダイズする蛍光プローブ結合領域(b1)と、標的核酸配列(C)にハイブリダイズする標的核酸結合領域(b2)とを有するオリゴヌクレオチドからなるバインディングプローブ(B)からなり、上記蛍光物質(d)が、グアニンと相互作用することにより蛍光消光する蛍光物質であり、上記ヌクレオチド(a)が上記蛍光プローブ(A)の5’末端ヌクレオチドまたは3’末端ヌクレオチドであり、上記蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドの少なくとも1つが、該プローブ(A)と蛍光プローブ結合領域(b1)との解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドであることを特徴とする核酸プローブセット。
  2. 前記解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドが、LNA、PNA、ENA、2’,4’−BNANCおよび2’,4’−BNACOCからなる群より選ばれる1種以上の人工ヌクレオチドである請求項1に記載の核酸プローブセット。
  3. 蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドの3分の1以上が人工ヌクレオチドである請求項2に記載の核酸プローブセット。
  4. 蛍光プローブ(A)を構成するヌクレオチドの80%以上が人工ヌクレオチドである請求項2に記載の核酸プローブセット。
  5. 前記蛍光物質(d)が、テトラブロモスルホンフルオレセイン、2-オキソ-6,8-ジフルオロ-7-ヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸、ローダミン6G、カルボキシローダミン6G、カルボキシテトラメチルローダミンおよびBODIPY-FLからなる群から選択されるいずれかである請求項3に記載の核酸プローブセット。
  6. 前記標的核酸結合領域(b2)が、バインディングプローブ(B)の5’末端側にあり、かつ、前記蛍光物質(d)で標識されたヌクレオチド(a)が、前記蛍光プローブ(A)の3’末端ヌクレオチドである請求項3に記載の核酸プローブセット。
  7. 以下の工程(1)〜(4)を包含することを特徴とする標的核酸の検出方法。
    (1)請求項3に記載の核酸プローブセットと標的核酸とをハイブリダイズさせる工程、
    (2)次いで上記ハイブリダイズした上記核酸プローブセットと上記標的核酸との複合体の蛍光強度を測定する工程、
    (3)上記核酸プローブセットと上記標的核酸との比率を変えて、上記工程(1)および(2)を行う工程、
    (4)上記工程(2)および(3)より得られた蛍光強度を比較する工程。
  8. 以下の工程(1)〜(4)を包含することを特徴とする核酸の塩基配列多型の分析方法。
    (1)請求項3に記載の核酸プローブセットと標的核酸とをハイブリダイズさせる工程、
    (2)次いで上記ハイブリダイズした上記核酸プローブセットと上記標的核酸との複合体について蛍光強度の温度依存性を測定する工程、
    (3)上記標的核酸に代えて別の核酸を用いて、上記工程(1)および(2)を行う工程、
    (4)上記工程(2)および(3)より得られた蛍光強度の温度依存性を比較する工程。
  9. 請求項3に記載の核酸プローブセットと標的核酸との複合体について融解曲線分析を行うことを特徴とする方法。
  10. グアニンと相互作用することにより蛍光消光する蛍光物質で標識されたヌクレオチド(a’)を含み、該ヌクレオチド(a’)が5’末端ヌクレオチドまたは3’末端ヌクレオチドであり、一部または全てのヌクレオチドが、相補鎖からの解離温度を上昇させる機能を有する人工ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドプローブであって、常圧条件下で、相補鎖との解離温度が100℃以上であるオリゴヌクレオチドプローブを、蛍光プローブ(A)として用いる請求項1に記載の核酸プローブセット。
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