JP5272115B2 - 経口免疫寛容を誘導するペプチド組成物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、経口免疫寛容を効果的に誘導するペプチド組成物及びその製造方法に関する。さらには、このペプチド組成物を有効成分として含む経口免疫寛容誘導剤に関する。本発明のペプチド組成物は特定のアミノ酸配列を有し、牛乳アレルギー等の治療・予防に有用な経口免疫寛容を誘導することができる。
一般に生体は異種(非自己)抗原に対しては免疫反応を示すが、自己を構成する抗原に対しては免疫反応を示さない。一方で、本来は異種抗原であっても免疫反応を示さない場合があり、これを免疫寛容と呼んでいる。特に、経口摂取して腸管を経由して体内に吸収された抗原に関しては、その応答性が著しく低下することが知られており、これを経口免疫寛容と呼んでいる。この経口免疫寛容の作用機序として、現在、クローナルアナジー、クローナルデリーション、アクティブサプレッションという3つの制御機構が働いていると考えられている。クローナルアナジーとは、免疫細胞が抗原に対して不応答化することを指し、アナジー状態になるリンパ球はCD4+T細胞であることが示されている(非特許文献1参照)。また、クローナルデリーションは抗原に反応するT細胞がアポトーシスを起こして消失する現象である。そして、アクティブサプレッションとは抗炎症性サイトカインであるIL-10を産生する調節性T細胞が大きな役割を果たしていることが知られている(非特許文献2参照)。このように、T細胞を中心とした制御機構により経口免疫寛容が成立しているため、健常者においては牛乳を摂取しても生体に不利益な免疫反応は惹起されない。しかし、牛乳アレルギー患者においては経口免疫寛容が成立しておらず、牛乳を摂取した後に腸管より吸収され、牛乳たんぱく質がB細胞より放出されるIgEと結合し、肥満細胞上に架橋・結合する。その後、肥満細胞からIL-4等のケミカルメディエーターが放出され、じんましんやアナフィラキシーショック等のアレルギー症状が励起され、死に至る場合もある。
そこで、経口免疫寛容を誘導することによって牛乳アレルギーを予防・治療しようとする試みがなされており、牛乳アレルギーの発症予防にたんぱく質加水分解物を利用したものが開示されている(特許文献1および2参照)。また、薬剤を用いて牛乳たんぱく質を修飾し、免疫細胞の応答性を変化させる試みもなされている(非特許文献3参照)。
しかし、経口免疫寛容を誘導するにはいくつかの問題点がある。まず、経口免疫寛容を誘導する対象の多くは牛乳アレルギー患者であるため、前述の様にアレルギーの引き金となるB細胞反応性が残存していると、アナフィラキシーショック等の重篤な症状を引き起こし死に至る場合もある。よって、B細胞反応性が消失していること、もしくは低減されていることが望ましい。さらに、ヒトを対象に経口免疫寛容を誘導する場合に薬品や化学合成したペプチドを用いると、安全性に問題があるうえに非常に高価になってしまうという欠点がある。
次に、特許文献1の様に経口免疫寛容を誘導したとする報告においては通常マウスを用いて実験を行っている。しかし、経口免疫寛容の誘導されやすさに関しては動物の種類によって差があると言われており、特にマウスやラット等のげっ歯類は誘導されやすいとされている。特に、前述の様に経口免疫寛容の成立にはT細胞が非常に重要な役割を果たしているが、T細胞の認識する部位に関してはマウスの系統によってさえ異なることが報告されている(非特許文献4及び5参照)。よって、マウスにおいて経口免疫寛容が誘導されてもヒトで誘導されるとは限らないため、ヒトにおけるT細胞反応性が証明されなければ経口免疫寛容が誘導されたとは言えない。また、従来技術では、高い効果のペプチドの調製方法が不十分であり、特許文献1では分画する分子量が10,000と高く、B細胞反応性も高い。さらに、特許文献2では、T細胞反応性を有する特定のアミノ酸配列の確認については一切検討されていない。
そこで、B細胞反応性を限りなく低減させ、一方でT細胞反応性を有し、より効率的にヒトに対する経口免疫寛容を誘導できるペプチドの開発が望まれていた。
特開平5−5000号公報 特開平7−101873号公報 Hirahara, K. et al., J.Immunol.,(1995) 清野 宏:医学のあゆみ(2002) Kobayashi, K. et al., Bioconjug. Chem.,(2003) Tsuji, N.M. et al.,Immunol. Lett.,(1993) Totsuka, M. et al.,Cytotechnology, (1997)
本発明は、IgEを介してアナフィラキシーショック等の重篤な症状を引き起こすB細胞反応性を除去し、少量の抗原で長期に免疫寛容を誘導できるT細胞反応性を有し、ヒトにおいて牛乳アレルギー等の治療・予防に供することのできるペプチド組成物及びその調製法を確立し、提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、まず牛乳中に含まれるたんぱく質のアレルゲン性を比較した。その結果、牛乳中にはα、β、κ、γ-カゼイン、α-ラクトアルブミン及びβ-ラクトグロブリンなどの各種たんぱく質が存在しているが、β-ラクトグロブリンの抗原性が最も高く、さらに牛乳アレルギー患者における反応性も高いことが明らかになった。そこで、牛乳中の主要なアレルゲンであるβ-ラクトグロブリンの全アミノ酸配列を網羅するような合成ペプチドを作製し、ヒトT細胞エピトープの同定を試みた。その結果、β-ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97-117番目までの配列(Thr-Asp-Tyr-Lys-Lys-Tyr-Leu-Leu-Phe-Cys-Met-Glu-Asn-Ser-Ala-Glu-Pro-Glu-Gln-Ser-Leu;以下ペプチド2という)を主要なヒトT細胞エピトープとして同定した。そして、この情報に基づき、牛乳由来のたんぱく質をたんぱく質加水分解酵素による分解処理ならびに限外ろ過膜による分画処理方法を鋭意検討し、B細胞反応性が低く、かつ免疫寛容を誘導するために重要なT細胞反応性を有するペプチドの開発に成功した。
本発明のペプチドを得るには、牛乳由来のたんぱく質を基質として、これにたんぱく質加水分解酵素を加えて、所定のpH、温度で必要時間加水分解する。
例えば、β-ラクトグロブリンWPC水溶液にエンド型酵素を加え、基質濃度0.5〜15%、pH7〜8、温度40〜50℃、1時間〜6時間の範囲において処理する。さらに、より抗原性の高い高分子物質を除去するために平均分画分子量が10,000、5,000または1,000等の限外ろ過膜を用いて精製する事が望ましい。なお限外ろ過膜では、その膜材質や条件により分画できる分子量サイズが表示されている分画分子量サイズと前後することもあるため、平均分画分子量とし分子量サイズの異なる限外ろ過膜を組み合わせて使用することも可能である。さらには、組成物中のペプチドは、これら限界ろ過膜を組み合わせて用いて分子量1,000以上、5,000以下に分画された状態がより望ましい。
このようにして得られたペプチドは、牛乳アレルギー患者T細胞において上述した97-117番目の合成ペプチド(ペプチド2)と同程度の反応性を示したことから、組成物中のT細胞エピトープの残存という観点から網羅的に解析した結果、β-ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の102-124番目までの配列(Tyr-Leu-Leu-Phe-Cys-Met-Glu-Asn-Ser-Ala-
Glu-Pro-Glu-Gln-Ser-Leu-Val-Cys-Gln-Cys-Leu-Val-Arg [式2];以下ペプチド3という)の全て及び/または一部、ならびに106-122番目に相当するアミノ酸配列(Cys-Met-Glu-Asn-Ser-Ala-Glu-Pro-Glu-Gln-Ser-Leu-Val-Cys-Gln-Cys-Leu[式3];以下ペプチド4という)の全て及び/または一部を含むペプチドを同定した。
よって、合成ペプチド及び今回得られたペプチド組成物の結果から、β-ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97-124番目の配列(Thr-Asp-Tyr-Lys-Lys-Tyr-Leu-Leu-Phe-Cys-Met-Glu-Asn-Ser-Ala-Glu-Pro-Glu-Gln-Ser-Leu-Val-Cys-Gln-Cys-Leu-Val-Arg[式1];以下ペプチド1という)の全て及び/または一部を含むことが重要である可能性が示された。
乳幼児に見られる食物アレルギーの原因のひとつとして、食品たんぱく質の一部が消化酵素の分解を受けずに腸管から吸収され、生体免疫系を刺激することが指摘されている。この点に関して、本発明のペプチド組成物はその平均分子量が非常に低いため、もとの未分解の乳たんぱく質の有する抗原性は非常に低減されており、牛乳アレルギー患者の治療に用いることができる。一方、本ペプチド組成物は経口免疫寛容誘導能に関しては非常に高いため、生体の有する潜在的なアレルギー防御機構を十分に活性化できる。
したがって、本発明のペプチド組成物は新しいアレルギー低減化及び予防と治療を目的とした食品素材あるいは経口免疫寛容誘導剤として有用である。
本発明に係るペプチドの原料には牛乳たんぱく質を用いるが、特に、β-ラクトグロブリンを高含有する乳清たんぱく質濃縮物(Whey Protein Concentrate:WPC)又は乳清たんぱく質分離物(Whey Protein Isolate:WPI)が好ましく、さらに、これらのたんぱく質は、より純度が高いものが望ましい。
本発明においては、上述した牛乳由来たんぱく質をたんぱく質加水分解酵素で処理し、低分子ペプチド化する。
たんぱく質加水分解酵素は、ペプチド結合を加水分解する酵素を広く指し、プロテアーゼ、プロテイナーゼ、エンドペプチターゼ等を広く包含するものであり、植物由来、動物由来、微生物由来の各酵素が存在しているが、本発明に用いる酵素はエンド型酵素、特にトリプシン、キモトリプシン及びアルカリ性プロテアーゼが好ましい。
本発明を実施するには、牛乳由来のたんぱく質を基質としてこれにたんぱく質加水分解酵素を加えて、所定のpH、温度で必要時間加水分解する。
例えば、β-ラクトグロブリンWPC水溶液にエンド型酵素を加え、基質濃度0.5〜15%、pH7〜8、温度40〜50℃、1時間〜6時間の範囲において処理する。さらに、より抗原性の高い高分子物質を除去するために分子量が10,000、5,000または1,000の限外ろ過膜を用いて精製する事が望ましい。なお限外ろ過膜では、その膜材質や条件により分画できる分子量サイズが表示されている分画分子量サイズと前後することもあるため、平均分画分子量とし分子量サイズの異なる限外ろ過膜を組み合わせて使用することも可能である。さらには、組成物中のペプチドは、これら限界ろ過膜を組み合わせて用いて分子量1,000以上、5,000以下に分画された状態がより望ましい
このようにして得られたペプチドは、牛乳アレルギー患者T細胞において上述した97-117番目の合成ペプチド(ペプチド2)と同程度の反応性を示したことから、T細胞エピトープの残存という観点から網羅的に解析した結果、β-ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の102-124番目までの配列([式2];ペプチド3)の全て及び/または一部を含むペプチドを同定した。よって、合成ペプチド及び今回得られたペプチド組成物の結果から、β-ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97-124番目の配列([式1];ペプチド1)の全て及び/または一部を含む事が重要であることが示唆された。
以上の結果から、この酵素分解ペプチド組成物は、B細胞反応性が低減しているため抗原性が低く、かつ免疫寛容誘導能は未分解の牛乳由来たんぱく質と同等に優れており、さらにペプチド態であるために耐熱性等の加工特性に優れているため、新規のアレルギー予防・治療食品素材として、単独又は清涼飲料水、ミネラルウォーター、茶などの各種飲料、クッキー、ビスケット、煎餅等の菓子類、または育児用調製粉乳、パン、ゼリー、口腔清涼菓子などの食品とともに自由に使用することができる。
また、本発明に係る酵素分解ペプチド組成物は、後述するようにヒトのT細胞反応性を有し、経口免疫寛容誘導能に優れているため、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉剤、溶液剤など所望する剤型に製剤化して経口投与剤として経口免疫寛容誘導及び/またはそのための補助的処置として用いることができる。本発明に係る分解ペプチド組成物は、本来食品として用いることができるものであるため安全性に問題は無く、その用量も適宜で良い。
以下に実施例および試験例を示し、さらに本発明を詳細に説明する。
β‐ラクトグロブリン(以下BLGと略す)全配列を網羅するように、様々な配列の合成ペプチドを作製した。得られた合成ペプチドについて、牛乳アレルギー患者の血清より樹立したT細胞クローンを用いて細胞増殖性を評価した。その結果、BLGのアミノ酸配列の97−117番目に相当するアミノ酸配列 Thr‐Asp‐Tyr‐Lys‐Lys‐Tyr‐Leu‐Leu‐Phe‐Cys‐Met‐Glu‐Asn‐Ser‐Ala‐Glu‐Pro‐Glu‐Gln‐Ser‐Leu(ペプチド2)のペプチドでT細胞の反応性が認められた(図1)。
ペプチド2画分を含むペプチド組成物を得るために、BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)5gをイオン交換水1000mlに溶解し、基質濃度0.5%とした。水酸化ナトリウムにてpH8に調整した後、精製トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性4,500USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性50USP Unit/mg以下)100mg添加し酵素/基質比2.0%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、100℃、10分間煮沸し、酵素活性を失活させ、酵素分解ペプチド組成物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の102−124番目に相当するアミノ酸配列 Tyr‐Leu‐Leu‐Phe‐Cys‐Met‐Glu‐Asn‐Ser‐Ala‐Glu‐Pro‐Glu‐Gln‐Ser‐Leu‐Val‐Cys‐Gln‐Cys‐Leu‐Val‐Arg([式2];ペプチド3)のペプチドが確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)5gをイオン交換水1000mlに溶解し、基質濃度0.5%とした。水酸化ナトリウムにてpH8に調整した後、トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性1,200USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性300USP Unit/mg以下)100mg添加し酵素/基質比2.0%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、100℃、10分間煮沸し、酵素活性を失活させ、酵素分解ペプチド組成物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の106−122番目に相当するアミノ酸配列 Cys‐Met‐Glu‐Asn‐Ser‐Ala‐Glu‐Pro‐Glu‐Gln‐Ser‐Leu‐Val‐Cys‐Gln‐Cys‐Leu([式3];ペプチド4)のペプチドが確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)5gをイオン交換水1000mlに溶解し、基質濃度0.5%とした。水酸化ナトリウムにてpH8に調整した後、トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性1,200USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性300USP Unit/mg以下)100mg添加し酵素/基質比2.0%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、100℃、10分間煮沸し、酵素活性を失活させ、酵素分解ペプチド組成物を得た。平均分画分子量10,000の限外ろ過膜にて分画し透過物を得た。さらに、その透過物を平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して保持物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列(Thr‐Asp‐Tyr‐Lys‐Lys‐Tyr‐Leu‐Leu‐Phe‐Cys‐Met‐Glu‐Asn‐Ser‐Ala‐Glu‐Pro‐Glu‐Gln‐Ser‐Leu‐Val‐Cys‐Gln‐Cys‐Leu‐Val‐Arg[式1];ペプチド1)の全て及び/または一部を含むペプチドが確認された。
BLG‐WPI(たんぱく質含量87%、ダビスコ社)5gをイオン交換水100 mlに溶解し、基質濃度5.0%とした。水酸化ナトリウムにてpH8に調整した後、精製トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性4,500USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性50USP Unit/mg以下)100mg添加し酵素/基質比2.0%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、100℃、10分間煮沸し、酵素活性を失活させ、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量5,000の限外ろ過膜にて分画して透過物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97‐124番目の配列([式1];ペプチド1)の全て及び/または一部を含むペプチドが確認された。
BLG‐WPI(たんぱく質含量87%、ダビスコ社)75gをイオン交換水500mlに溶解し、基質濃度15.0%とした。50mMリン酸緩衝液にてpH7に調整した後、精製トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性4,500USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性50USP Unit/mg以下)150mg添加し酵素基質比0.2%とし、50℃、1時間、酵素反応させた。反応終了後、100℃、10分間煮沸し、酵素活性を失活させ、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量10,000の限外ろ過膜にて分画し透過物を得た。さらに、その透過物を平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して保持物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列の全て及び/または一部を含むペプチド([式1];ペプチド1)が確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)2.5kgをイオン交換水500Lに溶解し、基質濃度0.5%とした。水酸化カリウムにてpH8に調整した後、トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性1,200USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性300USP Unit /mg以下)5g添加し酵素基質比0.2%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、120℃、3秒間加熱し、酵素活性の失活及び殺菌し、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量5,000の限外ろ過膜にて分画し透過物を得た。さらに、その透過物を平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して保持物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列の全て及び/または一部を含むペプチド([式1];ペプチド1)が確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)2.5kgをイオン交換水500Lに溶解し、基質濃度0.5%とした。水酸化カリウムにてpH8に調整した後、精製トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性4,500USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性50USP Unit /mg以下)50g添加し酵素基質比2.0%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、120℃、3秒間加熱し、酵素活性の失活及び殺菌し、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量5,000の限外ろ過膜にて分画し透過物を得た。さらに、その透過物を平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して保持物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列の全て及び/または一部を含むペプチド([式1];ペプチド1)が確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)50tをイオン交換水500kLに溶解し、基質濃度10.0%とした。水酸化ナトリウムにてpH8に調整した後、トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性1,200USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性300USP Unit /mg以下)100kgを添加し酵素基質比0.2%とし、50℃、5時間、酵素反応させた。反応終了後、120℃、3秒間加熱し、酵素活性の失活及び殺菌し、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して透過物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列の全て及び/または一部を含むペプチド([式1];ペプチド1)が確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)25kgをイオン交換水1kLに溶解し、基質濃度2.5%とした。水酸化カリウムにてpH8に調整した後、トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性1,200USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性300USP Unit /mg以下)500g添加し酵素基質比2.0%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、120℃、3秒間加熱し、酵素活性の失活及び殺菌し、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量5,000の限外ろ過膜にて分画して透過物を得て、さらに平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して保持物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列の全て及び/または一部を含むペプチド([式1];ペプチド1)が確認された。
BLG‐WPC(たんぱく質含量80%、ドモ社)25kgをイオン交換水1kLに溶解し、基質濃度2.5%とした。水酸化ナトリウムにてpH8に調整した後、精製トリプシン(豚膵臓由来、トリプシン活性4,500USP Unit/mg以上、キモトリプシン活性50USP Unit /mg以下)50g添加し酵素基質比0.2%とし、40℃、6時間、酵素反応させた。反応終了後、120℃、3秒間加熱し、酵素活性の失活及び殺菌し、酵素分解ペプチド組成物を得た。その後、平均分画分子量5,000の限外ろ過膜にて分画して透過物を得て、さらに平均分画分子量1,000の限外ろ過膜にて分画して保持物を得た。ペプチド組成物中には、β‐ラクトグロブリン全162アミノ酸配列中の97−124番目の配列の全て及び/または一部を含むペプチド([式1];ペプチド1)が確認された。

[試験例1]
実施例1で得られたペプチド3含有組成物ならびに実施例2で得られたペプチド4含有組成物について、免疫寛容誘導効果を調べるためアレルギー患者から得たT細胞反応性をインターフェロンγ産生量およびリンパ球刺激試験にて評価した。その結果を、インターフェロンγ産生量の結果を図2に、リンパ球刺激性の結果を図3に示す。
インターフェロンγ産生量、リンパ球刺激性のいずれについても、基質のBLGと同様なT細胞反応性を示し、免疫寛容誘導効果が認められた。
[試験例2]
実施例2で得られたペプチド4含有組成物ならびに実施例1で得られた合成ペプチドのペプチド2について、牛乳アレルギー患者の血清より樹立したT細胞クローンを用いて細胞増殖性を評価した。その結果を図4に示す。
ペプチド4含有組成物は、ペプチド2と同様なT細胞の反応性が認められた。
[試験例3]
実施例1で得られたペプチド3含有組成物ならびに、実施例2および実施例3で得られたペプチド4含有組成物について、アナフィラキシーショックなど即時型のアレルギー症状を引き起こす可能性のあるB細胞反応性を競合エライザ法にて評価した。その結果を図5、6に示す。
B細胞反応性は、ペプチド3含有ならびにペプチド4含有のいずれの組成物ともに分解反応前の基質のBLGに比べて反応性の減弱が認められた。
以上の結果から、実施例1で得られたペプチド([式2];ペプチド3)含有組成物、実施例2および実施例3で得られたペプチド([式3];ペプチド4)含有組成物は、いずれも、T細胞反応性を保持し、B細胞反応性が減弱することで、ヒトに対する経口免疫寛容を誘導するという優れた性質を有することが明らかになった。また、BLGのアミノ酸配列の97-124番目に相当するアミノ酸配列(Thr-Asp-Tyr-Lys-Lys-Tyr-Leu-Leu-Phe-Cys-Met-Glu-Asn-Ser-Ala-Glu-Pro-Glu-Gln-Ser-Leu-Val-Cys-Gln- Cys-Leu-Val-Arg[式1];ペプチド1)の全て及び/または一部を含むペプチド組成物についても、T細胞反応性を保持し、B細胞反応性が減弱することで、ヒトに対する経口免疫寛容を誘導するという優れた性質を有することが明らかになった。
牛乳アレルギー患者の血清より樹立したT細胞クローンを用いてBLGのアミノ酸配列の97-117番目に相当するアミノ酸配列の合成ペプチド(ペプチド2)でT細胞の細胞増殖性を評価した図である(実施例1)。 ペプチド3含有組成物ならびにペプチド4含有組成物について、牛乳アレルギー患者から得たT細胞反応性をインターフェロンγ産生量にて評価した図である(実施例1、実施例2;試験例1)。 ペプチド3含有組成物ならびにペプチド4含有組成物について、牛乳アレルギー患者から得たT細胞反応性をリンパ球刺激性試験にて評価した図である(実施例1、実施例2;試験例1)。 ペプチド4含有組成物ならびに合成ペプチド(ペプチド2)について、牛乳アレルギー患者の血清より樹立したT細胞クローンを用いて細胞増殖性を評価した図である(実施例1、実施例2;試験例2)。 ペプチド3含有組成物について、アナフィラキシーショックなど即時型のアレルギー症状を引き起こす可能性のあるB細胞反応性を競合エライザ法にて評価した図である(実施例1;試験例3)。 ペプチド4含有組成物について、アナフィラキシーショックなど即時型のアレルギー症状を引き起こす可能性のあるB細胞反応性を競合エライザ法にて評価した図である(実施例2、実施例3;試験例3)。

Claims (2)

  1. 次の[式2]で表されるアミノ酸配列の全てを有し、かつ、経口免疫寛容誘導能を有するペプチドを有効成分とする経口免疫寛容誘導剤。
    Tyr‐Leu‐Leu‐Phe‐Cys‐Met‐Glu‐Asn‐Ser‐Ala‐Glu‐Pro‐Glu‐Gln‐Ser‐Leu‐Val‐Cys‐Gln‐Cys‐Leu‐Val‐Arg [式2]
  2. 次の[式3]で表されるアミノ酸配列の全てを有し、かつ、経口免疫寛容誘導能を有するペプチドを有効成分とする経口免疫寛容誘導剤。
    Cys‐Met‐Glu‐Asn‐Ser‐Ala‐Glu‐Pro‐Glu‐Gln‐Ser‐Leu‐Val‐Cys‐Gln‐Cys‐Leu [式3]
JP2007029622A 2007-02-08 2007-02-08 経口免疫寛容を誘導するペプチド組成物及びその製造方法 Active JP5272115B2 (ja)

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