JP5271576B2 - 親水性組成物 - Google Patents
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Description
これらの課題を解決するため、熱交換器のフィン材表面を親水性組成物で処理することが知られている(例えば特許文献1〜3)。
また、親水性組成物で処理した熱交換器としては、例えば特許文献4などが知られている。
<1>
下記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーと、下記一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーとを含有する親水性組成物であって、親水性ポリマーを固形分として50質量%以上含み、かつ一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマー/一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーの質量比率が50/50〜5/95の範囲内である親水性組成物。
一般式(I)および(II)中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 およびR 6 はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xはアルコキシシリル基を表し、Aは−CH 2 −S−、−CH 2 CH 2 −S−、または−CH 2 CH 2 CH 2 −S−を表し、L 1 およびL 2 は単結合を表し、L 3 は単結合、または下記いずれかの連結基を表し、Yは−CONH 2 を表す。
<2>
一般式(I)および(II)中、Aは−CH 2 CH 2 CH 2 −S−を表し、L 3 は−CONH−CH 2 CH 2 CH 2 −を表す、<1>に記載の親水性組成物。
<3>
前記親水性ポリマーを固形分として80質量%以上含む<1>または<2>に記載の親水性組成物。
<4>
基材上に<1>〜<3>のいずれか1項に記載の親水性組成物を塗布した親水性部材。
<5>
<1>〜<3>のいずれか1項に記載の親水性組成物を塗布したフィン材。
<6>
パルミチン酸に一時間曝気、30分水洗、30分乾燥を5サイクル繰返した後の水接触角が40°以下である<5>に記載のフィン材。
<7>
<6>に記載のフィン材がアルミニウム製であるアルミニウム製フィン材。
<8>
<7>に記載のアルミニウム製フィン材を用いた熱交換器。
<9>
<8>に記載の熱交換器を用いたエアコン。
なお、本発明は上記<1>〜<9>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記1.〜8.に記載の事項など)についても記載した。
1. 下記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーと、下記一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーとを含有する親水性組成物であって、親水性ポリマーを固形分として50質量%以上含み、かつ一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマー/一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーの質量比率が50/50〜5/95の範囲内である親水性組成物。
2. 前記親水性ポリマーを固形分として80質量%以上含み、かつ前記Yが−CONH2または−CON(R7)2を表す上記1に記載の親水性組成物。
3. 基材上に上記1または2に記載の親水性組成物を塗布した親水性部材。
4. 上記1または2に記載の親水性組成物を塗布したフィン材。
5. パルミチン酸に一時間曝気、30分水洗、30分乾燥を5サイクル繰返した後の水接触角が40°以下である上記4に記載のフィン材。
6. 上記5に記載のフィン材がアルミニウム製であるアルミニウム製フィン材。
7. 上記6に記載のアルミニウム製フィン材を用いた熱交換器。
8. 上記7に記載の熱交換器を用いたエアコン。
本発明の親水性組成物は、親水性ポリマーを固形分として50質量%以上、好ましくは80質量%含み、該親水性ポリマーは、下記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマー(以下、親水性ポリマー(I)ともいう)と、下記一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマー(以下、親水性ポリマー(II)ともいう)を両方含有し、親水性ポリマー(I)/親水性ポリマー(II)の質量比率は、50/50〜5/95の範囲内である。より好ましくは40/60〜5/95の範囲内である。
親水性ポリマー(I)及び親水性ポリマー(II)の合成は容易ではないため、両方を同時に入手することは難しい。また親水性ポリマー(I)及び親水性ポリマー(II)は溶媒への溶解性も異なるため、併用すると溶解性に問題が生じる懸念もある。また、通常、親水性ポリマー(II)に対して親水性ポリマー(I)を混合すると、密着性や耐水性が低下する可能性があると考えられるが、本発明では上記のように親水性組成物中の親水性ポリマーの含有量や親水性ポリマー(I)/親水性ポリマー(II)の質量比率を特定の範囲とすることで、親水性を維持したまま、密着性と耐汚染性を向上させることができるという予想外の効果が得られる。
本発明で使用される親水性ポリマーは、下記一般式(I)で表される構造を有するポリマー、および下記一般式(II)で表される構造を有するポリマーである。
「反応性基」は、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物に反応して化学結合を形成できる官能基を意味する。また、反応性基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。
化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
反応性基は、一般には、ポリマーの架橋剤に含まれる反応性基と同様であり、熱または光により架橋を形成できる化合物である。架橋剤について、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
一般式(I)で表される構造を有する親水性ポリマーは、片末端に反応性基を有する親水性ポリマーであり、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基(例、カルボキシル)を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーの質量平均分子量は、100万以下が好ましく、1000乃至100万がさらに好ましく、2000乃至10万が最も好ましい。
一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーは反応性基を複数個有する親水性ポリマーであり、金属アルコキシドと反応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーを用いることができる。
上記式(II)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、上記式(I)のR1、R2と同様の置換基を表す。L2、L3は、上記式(I)のL1と同義である。Xは上記式(I)と同義である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて作成することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
本発明で使用される親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の質量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以上であれば有効な親水性が得られ、また10万以下であれば主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が高くなる傾向があり、いずれも好ましい。
親水性ポリマー(II)の共重合比率は、親水性官能基Yの量が上記範囲内になるように任意に設定することができる。好ましくは、Yを含有するモノマーのモル比(m)とXを含有するモノマーのモル比(n)が、m/n=30/70〜99/1の範囲が好ましく、m/n=40/60〜98/2がより好ましく、m/n=50/50〜97/3が最も好ましい。mがm/n=30/70以上の比率であれば親水性が不足することなく、一方、nがm/n=99/1以上の比率であれば、反応性基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
親水性ポリマー(II)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。M.W.は質量平均分子量を表す。なお、以下に示す具体例のポリマーは、記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体であることを意味する。
親水性ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
側鎖に反応性基を有する親水性ポリマー(II)の質量平均分子量は、100万以下が好ましく、1000乃至100万がさらに好ましく、1万〜5万が最も好ましい。
分子量が大き過ぎると塗布液粘度が上がりすぎる。低すぎると密着性や親水性等が不足する懸念がある。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
本発明にかかる親水性組成物はSi、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド(金属アルコキシドともいう)を含有してもよい。
本発明で用いられる金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、さらに、前記親水性ポリマーとも化学結合する。金属アルコキシドは一般式(I−1)および一般式(I−2)で表すことができ、式中、R8は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R9はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R8及びR9がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量2000以下であることが好ましい。
Al−(OR9)3 (I−2)
また、中心金属がAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、トリイソプロポキシアルミネート等を挙げることができる。
金属アルコキシドのなかでも、反応性、入手の容易性からSiのアルコキシドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に用いる化合物を好適に使用することができる。
本発明にかかる親水性組成物は触媒を含有してもよい。触媒としては金属錯体触媒が好ましい。
本発明の親水性層の形成において使用できる金属錯体触媒は、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起することができる。特に好ましい金属錯体触媒としては、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,Sr,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びNb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
本発明では、抗菌性、防カビ性、防藻性を付与するために、親水性組成物に抗菌剤を含有させることができる。親水性層の形成において、親水性、水溶性抗菌剤を含有させることが好ましい。親水性、水溶性抗菌剤を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく抗菌性、防カビ性、防藻性に優れた表面親水性部材が得られる。
抗菌剤としては、親水性部材の親水性を低下させない化合物を添加することが好ましく、そのような抗菌剤としては、無機系抗菌剤または、水溶性の有機系抗菌剤が挙げられる。抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌や大腸菌に代表される細菌類や、かび,酵母などの真菌類など、身の回りに存在する菌類に対して殺菌効果を発揮するものが用いられる。
例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−フルオルジクロロメチルチオ−フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、8−キノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール〈以後、TBZと表示〉、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル〈以後、BCMと表示〉、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン〈以後、OBPAと表示〉、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォン)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛〈以後、ZPTと表示〉、N,N−ジメチル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド〈ジクロルフルアニド〉、ポリ−(ヘキサメチレンビグアニド)ハイドロクロライド、ジチオ−2−2′−ビス(ベンズメチルアミド)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ヘキサヒドロ−1,3−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、p−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
これら有機系の抗菌剤は、親水性、耐水性、昇華性、安全性等を考慮し、適宜選択して使用することができる。有機系抗菌剤中では、親水性、抗菌効果、コストの点から2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。
本発明には、アミノ酸の両側に金属を複合させたアミノメタルから成る日鉱の「商品名ホロンキラービースセラ」が好ましい。
これらは蒸散性ではなく、また、親水層のポリマーや架橋剤成分と相互作用しやすく、安定に分子分散あるいは固体分散可能であり、親水層表面に抗菌剤が効果的に露出しやすく、かつ、水がかかっても溶出することなく、効果を長期間持続させることができ、人体に影響を及ぼすこともない。また、親水層や塗布液に対して安定に分散することができ、親水層や塗布液の劣化もおこらない。
上記抗菌剤の中では、抗菌効果が大きいことから、銀系無機抗菌剤と水溶性有機抗菌剤が最も好ましい。特にケイ酸塩系担体であるゼオライトに銀を担持させた銀ゼオライトやシリカゲルに銀を担持させた抗菌剤や2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TPN、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。特に好ましい市販の銀ゼオライト系抗菌剤としては、品川燃料の「ゼオミック」や富士シリシア化学の「シルウェル」や日本電子材料の「バクテノン」等がある。その他、銀を無機イオン交換体セラミックスに担持させた東亜合成の「ノバロン」や触媒化成工業の「アトミーボール」やトリアジン系抗菌剤の「サンアイバックP」も好ましい。
親水性層は、親水性の向上や、皮膜のひび割れ防止、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、耐久性の高い親水性に優れる親水性部材を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましく、市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
以下に、必要に応じて本発明の親水性層を形成するための塗布液に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
1)界面活性剤
親水性組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
親水性組成物の耐候性向上、耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%であることが好ましい。
親水性組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、塗布液に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、OC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は親水性層形成時の塗布液全体に対し0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜30質量%の範囲である。
親水性組成物には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明の親水性部材は、公知の塗布方法で作成することが可能であり、特に限定がなく、例えばスプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、フィルムアプリケーター法、スクリーン印刷法、バーコーター法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法が適用できる。
本発明の親水性組成物の支持体として使用可能な基材としては、例えば、防汚及び/又は防曇効果を期待する透明な基材の場合には、その材質はガラス、または無機化合物層を含有したガラス等の無機基材や、透明プラスチック、または無機化合物層を含有した透明プラスチック層など可視光を透過しうる基材が好適に利用できる。
また、防汚及び/又は防曇性部材を透明性を必要としない基材に適用しようとする場合には、上記の透明基材に加えて、例えば、金属、合金、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が、支持体基材としていずれも好適に利用できる。
基材はアルミニウム製のものが特に好ましい。
乾燥時間は1分〜200分が好ましい。更に好ましくは5分〜90分間である。乾燥時間が短いと乾燥不十分により塗膜強度が低下することがある。必要以上に乾燥時間を長くしすぎるとひび割れが生じたりする。
エアコンとは、エアーコンディショナー(Air Conditioner)の略で、調温、調湿、調和する装置で、クーラーとヒーターを組み合わせた空気調和装置、すなわち冷暖房機のことであり、ルームエアコン、パッケージエアコン、カーエアコンなどの総称を指す。
熱交換器とは、高温の流体がもつ熱エネルギーを低温の流体に伝える装置であり、直接接触方式、隔板や蓄熱器を用いる方式があり、加熱器・冷却器・蒸発器・凝縮器などに使用することができる。熱交換器の用途として、例えば室内用クーラーやエアコン、建設機械用オイルクーラー(油圧作動の建設機械用オイルを冷却)、自動車のラジエーター(エンジンの過熱や加冷を防ぎ、一定温度に保つもの)、コンデンサー(圧縮された高圧ガスは、圧縮熱で暖かくなっておるので、この高圧ガスを前面冷却風で冷やし液化状態に戻すもの)、エバポレーター(エアコン関係の中にあり、冷媒のガスを気化させ、廻りの温度を下げるもの)、インタークーラー、車両用ヒーター等が挙げられる。熱交換器はエアコンの部品であり、熱媒体を移動させるパイプと空気中の熱を吸収または熱媒体中の熱を放散させるフィン材から構成される。フィン材表面は結露水によるフィンピッチ間のブリッジ生成を防止するため、親水処理がなされている。近年は汚染物質が存在する環境でも長期間親水性が維持されるフィン材が強く求められている(参考文献:特殊機能コーティング技術 p215〜226 2007年 CMC出版、特開2003−201577号公報)。
フィン材にはアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。該アルミニウム材はアルミニウム純度99%以上、150μm以下の厚み、表面粗さ0.1〜0.4μmのものが好ましく用いられる。また、フィン材に用いられるアルミニウムとしては、表面が脱脂されたもの、必要に応じて化成処理されたアルミニウム板を挙げることができる。アルミニウム製のフィン材は、表面が化成処理されていることが親水化処理皮膜の付着性、耐食性などの点から好適である。上記化成処理としては、例えば、クロメート処理を挙げることができ、その代表例として、アルカリ塩−クロム酸塩法(B.V.法、M.B.V.法、E.W.法、アルロック法、ピルミン法)、クロム酸法、クロメート法、リン酸クロム酸法などの処理法、及びクロム酸クロムを主体とした組成物による無水洗塗布型処理法などが挙げられる。
例えば、熱交換器用フィン材に用いられるアルミニウム等薄板としては、JIS規格で、1100、1050、1200、1N30等の純アルミニウム板、2017、2014等のAl−Cu系合金板、3003、3004等のAl−Mn系合金板、5052、5083等のAl−Mg系合金板、さらには6061等のAl−Mg−Si系合金板等のいずれを用いても良く、またその形状はシートおよびコイルのいずれでも良い。
<アルミ基板脱脂処理>
アルミニウム板(A1200、厚み0.1mm)をアルカリ性洗浄液(横浜油脂、セミクリーンA 5%水溶液)に10分浸漬し、水洗を3回繰り返した。
<トップ親水層塗布液>
ゾルゲル液 98g
アニオン系界面活性剤5%水溶液 2g
<ゾルゲル液調液>
エタノール1.8g、アセチルアセトン0.1g、テトラエトキシチタン0.1g、蒸留水86.5gに、化合物Aを0.5g、化合物Bを9.2g加え2時間攪拌した。
<ポリマー含量>
トップ親水層塗布液中の固形分に占める親水ポリマーの割合をポリマー含量(質量%)とした。
脱脂済みアルミ基板に#3バーにて塗布し、150℃/30分乾燥した。
<接触角>
協和界面化学DROP MASTER 500にて蒸留水の接触角を測定した。
○:15°以下
△:16〜39°
×:40°以上
<密着性評価>
親水性層上にセロハンテープを貼着したのちに剥がし、親水性層が剥がれるか目視で確認した。
○:剥れなし
△:部分的に剥れ有り
×:全面的に剥れ
50mlガラス容器にパルミチン酸を0.2gとり、親水性層を塗布したアルミ基板で、親水性層側がパルチミン酸に曝されるように蓋をして105℃/1時間曝気後、30分流水洗浄、80℃/30分乾燥を1サイクルとし、5サイクル後の接触角を測定した。
◎:30°以下
○:31〜40°
△:41〜70°
×:71°以上
化合物Aを2.4g、化合物Bを7.3g使用した以外は実施例1と同様に行った。
実施例3
化合物Aを3.9g、化合物Bを5.8g使用した以外は実施例1と同様に行った。
実施例4
化合物Aを4.9g、化合物Bを4.9g使用した以外は実施例1と同様に行った。
実施例5
化合物Aを3.9g、化合物Bを3.9g、テトラメトキシシランを1.9g使用した以外は実施例1と同様に行った。
実施例6
化合物Aを2.5g、化合物Bを2.5g、テトラメトキシシランを4.9g使用した以外は実施例1と同様に行った。
化合物Aを9.7g使用し、化合物Bを使用しなかった以外は実施例1と同様に行った。
比較例2
化合物Aを7.3g、化合物Cを2.5gを使用し、化合物Bを使用しなかった以外は実施例1と同様に行った。
実施例、比較例に使用した化合物を以下に示す。
以上の結果より、本発明の親水コーティングされたアルミニウムフィン材は、親水性、密着性、耐汚染性について十分な効果を有するため、熱交換器及び該熱交換器を用いたエアコンに好適に使用することができる。
Claims (9)
- 下記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーと、下記一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーとを含有する親水性組成物であって、親水性ポリマーを固形分として50質量%以上含み、かつ一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマー/一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマーの質量比率が50/50〜5/95の範囲内である親水性組成物。
一般式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表し、Xはアルコキシシリル基を表し、Aは−CH 2 −S−、−CH 2 CH 2 −S−、または−CH 2 CH 2 CH 2 −S−を表し、L1 およびL2 は単結合を表し、L3は単結合、または下記いずれかの連結基を表し、Yは−CONH 2 を表す。
- 一般式(I)および(II)中、Aは−CH 2 CH 2 CH 2 −S−を表し、L 3 は−CONH−CH 2 CH 2 CH 2 −を表す、請求項1に記載の親水性組成物。
- 前記親水性ポリマーを固形分として80質量%以上含む請求項1または2に記載の親水性組成物。
- 基材上に請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性組成物を塗布した親水性部材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性組成物を塗布したフィン材。
- パルミチン酸に一時間曝気、30分水洗、30分乾燥を5サイクル繰返した後の水接触角が40°以下である請求項5に記載のフィン材。
- 請求項6に記載のフィン材がアルミニウム製であるアルミニウム製フィン材。
- 請求項7に記載のアルミニウム製フィン材を用いた熱交換器。
- 請求項8に記載の熱交換器を用いたエアコン。
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