JP5271277B2 - 残留張力を活用した多ボール係止式ケーブルタイ - Google Patents

Description

本発明は、ケーブルタイに、より詳しくは、複数のローラー手段を独立した突起手段と組み合わせて係止機構として利用し、最大残留張力を提供するケーブルタイに着眼している。

本出願は、２００７年１月２５日出願の米国仮特許出願第６０／８８６，５５２号に対する優先権を主張し、同出願の主題全体を参考文献としてここに援用する。

ボール又はローラーピンの様な係止装置又は機構を組み込んだケーブルタイの様な金属製の結束装置は、既に１９世紀から綿花の梱包体の様な多種多様な品物を結束するのに使用されてきた。しかしながら、その様な装置は「能動」係止式ではなく、即ち、その様な装置は、重力のせいでボールがストラップと係止係合できないか又は重力によって係止係合状態から脱してしまう状況に対応した調節ができないため、ケーブルタイが緩み、結果的に、拘束しようとした品物が崩れてしまう恐れがある。

Chopp, Jr.らに対する米国特許第４，３９９，５９２号（「５９２特許」）では、挿通されたストラップを係止用ヘッドから引き出されるところでフロア部から離れるように撓ませるための隆起部分又は突起を付加することを教示することにより、この問題の解決が図られている。この様に撓ませることにより、係止装置は、装置がどの様な位置にあっても、また装置がどの様な向きにあっても関係なく、確実に、挿通されたストラップと継続して係合した状態に維持される。５９２特許は、本発明と同じ譲受人に譲渡された特許であり、参考文献としてその全体をここに援用する。

５９２特許は、先行技術の能動的な係止という問題に対する解決案を提示したが、それでもなお、より素早い係止固定、そして最終的にはより締まった結束が得られるようになる、引張強度を高めたケーブルタイを開発することが必要であった。Bulandaらに対する米国特許第６，６６８，４２７号（４２７特許）では、係止用ヘッドの内部に急勾配の傾斜を利用するやり方を教示することにより、この問題の解決が図られている。急勾配の傾斜のおかげで、係止装置はより素早く係止位置に入ることができるようになっている。この様により素早く係止固定できるようにすることで、係止装置とストラップの間の接触と噛み合いがよりきつくなるようになっている。４２７特許も、本発明と同じ譲受人に譲渡された特許であり、参考文献としてその全体をここに援用する。

４２７特許は、より素早い固定とより締まった結束の必要性に対する解決案を提示したが、それでもなお、使用して、係止装置とストラップの間の結合が更に一層強まるケーブルタイが必要とされている。Hellerman Tytonは、部品番号MBT20XH及びMBTX20HCで実施されているものの様な多重係止装置システムを組み込んだ金属製の結束装置の開発を試みた。しかしながら、この装置は、係止装置とストラップの間に強い結束を十分にもたらすことができていない。各種態様の中でも、この装置では、係止装置へ簡単にアクセスすることができず、而して、殆ど又は全く残留張力がない。その上、この装置は、本発明の多ボール金属製係止タイに比べ、ループ引張強度が低い。従って、この装置は、多重係止装置システムの可能性を最大限引き出すことが十分にできていない。

而して、引張強度を高めた多ボールケーブルタイを提供することが望ましい。

更に、残留張力を高めた多ボールケーブルタイを提供することが望ましい。

米国仮特許出願第６０／８８６，５５２号 米国特許第４，３９９，５９２号 米国特許第６，６６８，４２７号

ここに開示するのは、ケーブルタイである。ケーブルタイは、細長い金属製ストラップと、金属製係止用ヘッドと、第１及び第２金属製ローラー手段と、第１、第２、及び第３突起と、を備えている。動作時、ローラー手段と突起の組合せは、細長いストラップの残留張力を高める働きをする。

本発明の残留張力型多ボール係止式ケーブルをワイヤの束にしっかり巻きつけた状態を示す斜視図である。 図１のケーブルタイの斜視図である。 図１のケーブルタイの係止用ヘッドの側面斜視図である。 図１の細長いストラップと係止用ヘッドの断面図であり、ローラー手段の１つが挿通許容位置にある状態を示している。 図１の細長いストラップと係止用ヘッドのもう１つの断面図であり、ローラー手段の１つが挿通許容位置にある状態を示している。 図４の６−６線に沿う、図１のケーブルタイの断面図である。 図１のケーブルタイのストラップ引出面の斜視図である。

本発明の例示的な実施形態は、ローラー手段の組合せと突起の組合せを係止機構として利用した、多部品構成のケーブルタイに着眼している。

これより図面を参照してゆくが、図中、同様の要素は同様の符号を付して表しており、図では、ワイヤ１２の様な複数の細長い物体を結束し、それら細長い物体を一体に保持するためのケーブルタイは、全体を符号１０で示している。ケーブルタイ１０は、係止用ヘッド１４と複数のローラー手段を含んでいるのが望ましい（複数のローラー手段については下で詳しく説明する）。図に示す様に、係止用ヘッド１４は、細長いストラップ１８の第１端１６に固定され、細長いストラップ１８の第２端２０を挿通するようになっているのが望ましい。

複数のローラー手段は、図２及び図４から図７に最も詳しく示される様に、細長いストラップ１８を係止用ヘッド１４内に保持するために、望ましくは複数のボール又は球体の様な物体の形態を取っているものとして示されている。図２及び図４から図７では、複数のローラー手段は、第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４によって表されている。本発明に使用することを目的として、第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４が示されているが、本発明の教義と教示を実現するのに３つ以上のローラー手段を使用してもよい。しかしながら、殆どの実施形態では、ローラー手段は２つあれば、複数のローラー手段と細長いストラップ１８の間に、最適且つ有効なループ引張強度レベルを提供できることが実証されている。

第１及び第２ローラー手段２２、２４と、係止用ヘッド１４と、細長いストラップ１８は、より広い温度範囲でストラップを使用でき且つケーブルタイ１０に高い強度と優れた耐蝕性が付与されるように、ステンレス鋼−或いは金属類及びプラスチック類を含めた何らかの適した材料−で形成されているのが望ましい。また、当技術で現在知られている手段を用いて、細長いストラップ１８には、米国特許第５，１０３，５３４号（５３４特許）に示されている様に選択的にコーティングを施してもよいし、米国特許出願第１０／７９４、６１３号（６１３出願）、米国特開第２００４／０１７２７９０号として公開、に示されている様にコーティングを施してもよい。５３４特許（本発明と同じ譲受人に譲渡されている）と６１３出願は共に、全体を参考文献としてここに援用する。ストラップ１８は、更に、ＯＳＨＡ安全基準に基づき色分けしてもよい。

ケーブルタイ１０は、細長いストラップ１８の一端内に引掛部２６が形成されるようにして組み立てられるのが望ましい。これは、図３から図５に最も詳しく示されており、図では、引掛部２６は、細長いストラップ１８の第１端１６内に形成されている。引掛部２６が一旦形成されると、次に、その部分を係止用ヘッド１４の底壁２８に巻きつける。具体的には、図５に示す様に、細長いストラップ１８の第１端１６には、更に、係止用ヘッドの底壁２８の窓３２に差し込まれるフィンガ３０が設けられている。

再度図２から図７を参照すると、底壁２８に加え、係止用ヘッド１４は更にルーフ部３４と天井部３６を備えている。天井部３６と底壁２８は、第１側壁３８と第２側壁６２によって接合されているのが望ましい。係止用ヘッド１４は、更に、ストラップ挿入面４０と引出面４２を含んでおり、それらの間にストラップ挿通開口４４が伸張している。ルーフ部３４とフロア部４６は、ストラップ引出面４２の方向に互いの間が広がってゆく。第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４のそれぞれは、細長いストラップ１８とルーフ３４部に対する摩擦係数を高めるために、肌理の形成された又は粗面加工を施した面を有しているのが望ましい。

また、図４と図５に、より明瞭に示されている様に、第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４のそれぞれは、ルーフ部３４とフロア部４６の間に保持手段によって閉じ込め式に保持されている。第１ローラー手段２２については、この保持手段は、ルーフ部３４からフロア部４６に向かってストラップ引出面４２の近傍に伸張している第１フィンガ４８を備えている。ルーフ部３４の一端は、ストラップ挿入面４０の近傍の天井部３６に接合されており、間隔を空けて配置されている側面翼状部５０がルーフ部３４と天井部３６の他の部分とを繋いでいる。図４と図５では、図の向きにより、第１ローラー手段２２及びそれに付帯する保持手段しか示されていない。第２ローラー手段２４に関する保持手段は、第２フィンガ６０を備えており、図７に示している。

図４と図５に示す様に、第１ローラー手段２２は、第１ローラー手段２２が第１フィンガ４８に係合した状態でストラップ引出面４２に近接して配置されている挿通許容位置と、図には示していないが、第１ローラ手段２２がストラップ挿入面４０により接近し細長いストラップ１８に堅く係合している係止位置の間を動くことができる。挿通許容位置では、第１ローラー手段２２は、第１フィンガ４８とルーフ部３４に同時に係合している。繰り返しになるが、図４と図５では、図の向きにより、第１ローラー手段２２及びそれに付帯する保持手段しか示されていない。しかしながら、同じ位置決めが第２ローラー手段２４にも適用されるものとする。

図２と図７に示す様に、細長いストラップ１８は、更に、複数の突起５２、５４、５６を含んでいる（図２には、第２突起５４と第３突起５６しか示されておらず、第１突起５２は、側壁３８に遮られている）。第１突起５２、第２突起５４、及び第３突起５６は、それぞれ、細長いストラップ１８の、第１ローラー手段２２及び第２ローラー手段２４に面した面に配置されている。第１突起５２、第２突起５４、及び第３突起５６は、細長いストラップ１８の第１端１６付近の、係止用ヘッド１４の境界のすぐ内側に配置されているのが望ましい。図２から図７に示す様に、３つの突起５２、５４、５６が設けられており、且つ、それら突起は図示のようにずらした位置に配置されている（例えば、第１突起５２は第１ローラー手段２２の一方の側に配置され、第２突起５４は第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４の間に配置され、第３突起５６は第２ローラー手段２４の一方の側に配置されている）のが好適である。

再度図２、図５、及び図７について説明すると、突起の設置位置は、ケーブルタイの取り付け時の機能性にとって重要である。突起５２、５４、５６の位置をずらしたことで、ケーブルタイ１０との２平面ばね条件が作り出される。図７では、ケーブルタイ１０は、突起５２、５４と第１ローラー手段２２の間、及び、突起５４、５６と第２ローラー手段２４の間に、第１平面ばね条件を作り出している。図２と図５に示す様に、細長いストラップ１８は、引掛部２６の上面と、突起５２、５４、５６と、第１及び第２ローラー手段２２、２４の間に第２平面ばね条件を作り出している。これにより、第１及び第２ローラー手段２２、２４と継続的に接した状態に置かれる浮遊面が作り出される。張力が掛かると、細長いストラップ１８は、長手方向に凸状をした経路を作り出し、それにより、第１及び第２ローラー手段２２、２４と、ルーフ部３４と、細長いストラップ１８の間の摩擦係止状態が更に強まる。第１及び第２ローラー手段２２、２４は、始動時のクリアランスには関係無く独立的に機能するので、より高いループ引張性能及び残留張力が提供されることになる。

動作について、再度図を参照しながら説明すると、保持しようとする物体（例えば、ワイヤ１２）の周りにストラップ１８を巻きつけた後、細長いストラップ１８の先端５８を、図４と図５に示す様に係止用ヘッド１４に挿入する。細長いストラップ１８を引き続き通してゆくと、係止用ヘッド１４がどの角度に向いていても、細長いストラップ１８は、第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４に能動的に係合する。細長いストラップ１８を一旦引き締めてから、引き締めた手を緩めると、第１ローラー手段２２と第２２ローラー手段２４は、それぞれ、自身の係止位置に移動し、細長いストラップ１８は、第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４とフロア部４６の組合せのそれら部分の間に圧迫保持された状態になる。更に、細長いストラップ１８の先端５８が第１突起５２、第２突起５４、及び第３突起５６と接することで、細長いストラップ１８と、第１ローラー手段２２及び第２ローラー手段２４から成る組合せとの間に追加の圧迫が提供されるので、ケーブルタイ１０の残留張力は、ローラー手段が１つしか無いケーブルタイに比べ、増大する。

米国特許出願第１１／５５０，８７５号（８７４出願）、米国特開第２００７／００８９８０１号として公開、に論じられている様に、ケーブルタイ１０に張力を掛けるために工具を使用してもよい。その様な工具は、第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４を係止用ヘッド１４に設定する機能と、ケーブルタイ１０を切断する機能を備えているのが望ましい。第１ローラー手段２２と第２ローラー手段２４を係止ヘッド１４に設定してから、ケーブルタイ１０を切断することで、残留張力が増大する。譲受人が本発明と同じである８７４出願の全体を、参考文献としてここに援用する。

ここに開示している本発明は、複数のローラー手段と突起の組合せを係止機構として利用したケーブルタイを提供している。本発明の、以上に説明し、図に示した実施形態及び好適な実施形態は、本発明に従ってこの種のケーブルタイを形成する際に、そのケーブルタイが取り得る全ての形態を網羅したものではなく、むしろ、現時点で把握されている本発明の実施形態の一例として、そして実施形態を例示的に説明するために供したものである。本発明の形態は、その他にも多数あり、当業者には容易に明らかになるものと考えられる。

１０ ケーブルタイ
１２ ワイヤ
１４ 係止用ヘッド
１６ ストラップの第１端
１８ ストラップ
２０ ストラップの第２端
２２、２４ ローラー手段
２６ 引掛部
２８ 底壁
３０ 窓に差し込まれるフィンガ
３２ 窓
３４ ルーフ部
３６ 天井部
３８、６２ 側壁
４０ ストラップ挿入面
４２ ストラップ引出面
４４ ストラップ挿通開口
４６ フロア部
４８、６０ フィンガ
５０ 側面翼状部
５２、５４、５６ 突起
５８ ストラップ先端

Claims (12)

1. ケーブルタイ（１０）において、
   第１端（１６）と、前記第１端（１６）とは反対側に配置されている第２端と、幅とを有する細長い金属製ストラップと、
   前記細長い金属製ストラップ（１８）の前記第１端（１６）に固定されており、前記細長い金属製ストラップ（１８）の前記第２端を挿通するようになっている金属製係止用ヘッド（１４）であって、前記金属製係止用ヘッド（１４）が、フロア部（４６）、ルーフ部（３４）と、金属製ローラー手段（２２、２４）を保持するための保持手段（４８、６０）とを有し、且つ前記フロア部（４６）とルーフ部（３４）との間のストラップ引出面（４２）を規定する、金属製係止用ヘッド（１４）とを備え、
   前記ケーブルタイ（１０）が、
   それぞれが前記細長い金属製ストラップ（１８）に係止可能に係合するようになっている、少なくとも２つの前記金属製ローラー手段（２２、２４）と、
   前記細長い金属製ストラップ（１８）上に、その前記第１端に近接して前記金属製ローラー手段（２２、２４）と対向してそれぞれ配置されている、少なくとも３つの突起（５２、５４、５６）と、を備えており、
   前記突起（５２、５４、５６）が前記細長い金属製ストラップ（１８）の幅を横断して配置され、第１の突起（５２）が第１ローラ手段（２２）の一方の側に配置され、第２の突起（５４）が第１ローラ手段（２２）と第２ローラ手段（２４）との間に配置され、第３の突起（５６）が第２のローラー手段（２４）の一方の側に前記第１の突起（５２）と同じ側に配置され、これにより前記突起（５２、５４、５６）と第１、第２ローラー手段（２２、２４）との間にばね条件が作り出されるようになっている、
   ケーブルタイ。
2. 前記金属製係止用ヘッドは、ストラップ挿入面を備えている、請求項１に記載のケーブルタイ。
3. 前記金属製係止用ヘッド（１４）は、前記ストラップ挿入面（４０）と前記ストラップ引出面（４２）との間を伸張しているストラップ挿通開口（４４）を更に備えている、請求項２に記載のケーブルタイ。
4. 少なくとも１つの保持手段（４８、６０）は、それぞれが前記ルーフ部（３４）から前記ストラップ引出面（４２）の近傍に伸張している、少なくとも１つのフィンガ（４８、６０）を備えている、請求項１に記載のケーブルタイ。
5. 前記保持手段（４８、６０）は、前記ストラップ引出面（４２）の近傍に配置されており、前記保持手段（４８、６０）は、前記金属製ローラー手段（２２、２４）を前記金属製係止ヘッド（１４）内に閉じ込め式に保持するようになっている、請求項４に記載のケーブルタイ。
6. 前記金属製ローラー手段（２２、２４）の各々は、第１挿通許容位置と第１係止位置の間を動くことができる、請求項１に記載のケーブルタイ。
7. 前記第１挿通許容位置は、前記金属製ローラー手段（２２、２４）が前記ストラップ引出面（４２）及び前記保持係止手段（４８、６０）の近傍に配置される位置である、請求項６に記載のケーブルタイ。
8. 前記第１係止位置は、前記金属製ローラー手段（２２、２４）が、前記ストラップ挿入面（４０）により接近している位置である、請求項７に記載のケーブルタイ。
9. 前記金属製係止用ヘッド（１４）は、第１側壁（３８）と第２側壁とを有し、前記第１の突起（５２）は、前記第１の金属製ローラー手段（２２）と前記金属製係止用ヘッド（１４）の第１の側壁（３８）との間に配置される、請求項１に記載のケーブルタイ。
10. 前記第３突起（５６）は、前記第２金属製ローラー手段（２４）と前記金属製係止用ヘッド（１４）の前記第２側壁（６２）の間に配置されている、請求項９に記載のケーブルタイ。
11. 前記フロア部（４６）と前記ルーフ部（３４）は、前記ストラップ引出面（４２）の方向に互いの間が広がってゆく、請求項１に記載のケーブルタイ。
12. 前記細長い金属製ストラップ（１８）は、ステンレス鋼から成り、前記金属製係止用ヘッド（１４）はステンレス鋼から成る、請求項１に記載のケーブルタイ。

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