以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
<画像形成装置>
以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、図面では部材の位置及び大きさ等は適宜強調して描かれている。また、以下の実施形態は、本発明の画像形成装置の一例として、プリンタを挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の画像形成装置は画像形成部を備えていればよく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有するいわゆる複合機(MFP:Multi Function Peripheral)やコピー機能のみを備えた複写機等であってもよい。
図1は、本実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例を、プリンタ100を例に示すものであり、カラー画像を形成するためのタンデム型の画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKを備えている。この画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKには、転写ベルトB1と、転写ベルトB1の表面を清掃するためのクリーニング部B2と、転写ベルトB1の移動方向に沿って転写ベルトB1に接するように配列されたイエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの各感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kが設けられている。
イエロー用の感光体ドラム10Yには、感光体ドラム10Yの周面に形成された静電潜像をトナーで現像するための現像装置HY、およびこの感光体ドラム10Yの周面を帯電させるための帯電器11Yが隣設されている。同様に、マゼンタ、シアン、ブラック用の感光体ドラム10M、10C、10Kに対して現像装置HM、HC、HK、および各感光体ドラム10M〜10Kの周面を帯電させるための帯電器11M、11C、11Kが設けられる。さらに、各感光体ドラム10Y〜10Kの周面に担持される各トナー像を転写ベルトB1に転写するために、各感光体ドラム10Y〜10Kの周面には、転写ベルトB1を隔てて転写ローラ20Y、20M、20C、20Kが配置されている。
各感光体ドラムに回転を伝達するモータは、フィードバック制御により、モータの回転を制御するための制御信号(クロック信号)と、モータが回転することによって発生するフィードバックパルスとに基づいて回転を制御される像担持体モータから構成され、当該像担持体モータは、例えば、DCブラシレスモータ(直流ブラシレスモータ)が採用される。
転写ベルトB1は、駆動ローラ21および従動ローラ22間に張設されており、テンションローラ23によって所定の張力が与えられている。転写ベルトB1は、矢印方向に移動し、このため、4つの感光体ドラム10Y〜10Kは、それぞれ、図1において反時計周りに回転する。
転写ベルトB1に回転を伝達するモータは、モータの回転を制御するための制御信号に基づいて回転を制御される中間転写体モータから構成され、当該中間転写体モータは、例えば、所定の周波数を有する制御信号を入力すると、所定の角度毎に回転可能なモータであるステッピングモータが採用される。なお、ステッピングモータは、制御信号の周波数を調整することにより、回転する角度が変更され、結果として、回転数(回転速度)が変更される。
図2に示すように、各感光体ドラム10Y〜10Kは、帯電器11Y、11M、11C、11Kによって、その周面がそれぞれ予め定める電位に帯電され、露光装置12Y、12M、12C、12Kにより原稿画像に対応した画像が書き込まれ、それによって静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像装置HY、HM、HC、HKによって互いに異なる色のトナー像にそれぞれ現像される。そして、各色のトナー像は、転写ローラ20Y〜20Kによって転写ベルトB1上に転写されて、転写ベルトB1上で、各トナー像が重ね合わされる。
上記のように転写がなされた後の感光体ドラム10Y〜10Kの表面に残っているトナーはブレード35によって拭き取られ、排出ローラ31で所定の容器に輩出され、その後、感光体ドラム10Y〜10Kの表面は除電装置13によって除電される。
一方で、用紙Pは、複数枚の用紙Pを収容可能なカセット2から、搬送部6によって、画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKに向けて複数枚の用紙Pが所定の間隔をあけて搬送される。この画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKに搬送される用紙Pに対して、転写ベルトB1に転写されたトナー像が2次転写部3によって転写される。
制御部30は、各感光体ドラム10Y〜10K、各現像装置HY、HM、HC、HK、各帯電器11Y、11M、11C、11K、および各転写ローラ20Y〜20Kを含む画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKにおける各画像形成部材の動作制御を制御する。また、搬送ローラB1を含む搬送機構の動作制御を行う。
次に、現像装置HYの構成について説明する。各色の現像装置HY、HM、HC、HBの構成は同様である。
現像装置HYは、現像容器40、現像ローラ40aを備え、現像容器40は、内部に黄色のトナー粒子とキャリアからなる粉体の現像剤を貯留する。
上記現像ローラ40aは感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ40aに印加される現像バイアスの電位差によって上位装置から形成指示された画像に応じたトナー像が感光体ドラム10の表面に形成される(現像動作)。
このような構成の下、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成の指示を受けた画像形成装置1は、指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて形成する。各画像形成部で形成されたトナー像は中間転写ベルトB1に転写されて、中間転写ベルトB1上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して用紙収容部2に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収容部2から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部6上を搬送される。そして、用紙は中間転写ベルトB1への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部3に送り込まれ、二次転写部3で中間転写ベルトB1上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部4に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は排紙装置5によって画像形成装置1の外周に設けられた排紙トレイ部7に排紙される。二次転写後、中間転写ベルトB1に残留したトナーは、中間転写ベルトのクリーニング部B2によって中間転写ベルトB1から除去される。
図3は、本実施形態におけるプリンタ100の制御関連の概略構成図である。
プリンタ100は、CPU(CENTRAL Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び上記印刷における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。上記CPU301は、例えばRAM202を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。
上述は、プリンタ100全般についての説明である。
ここで、本発明の実施形態に係るプリンタ100では、従来より知られているDCブラシレスモータの機械構成、制御回路、これに準ずるCPU等の構成を採用していない。
従来より知られているDCブラシレスモータの制御回路は、例えば、位相比較器と、フィルタ制御処理回路と、PWM回路と、DCブラシレスモータドライバとを備えている。上記位相比較器は、プリンタのエンジンから入力される指令クロック信号(制御信号)と、DCブラシレスモータのエンコーダから入力されるフィードバック信号とを比較して位相差等を算出する。また、上記フィルタ制御処理回路は、位相比較器から入力された位相差等にフィルタ処理・所定の演算処理等を施し、所定の制御値をPWM回路に入力する。上記PWM回路は、入力された制御値に基づいて、速度指令信号であるPWM信号を発生し、そのPWM信号をDCブラシレスモータドライバに入力する。そして、DCブラシレスモータドライバは、当該PWM信号に対応する駆動パルス(駆動信号)をDCブラシレスモータに入力して、そのDCブラシレスモータの回転を制御する。従来では、上述したような構成と手順にて、DCブラシレスモータの回転をフィードバック制御していた。
本発明の実施形態に係るプリンタ100における、機械構成、制御構成、制御手順等については、以下で詳細に説明する。
<本発明の実施形態>
<<プリンタの機械構成>>
図4には、本発明の実施形態に係るプリンタ100の機械構成を示した。
プリンタ100には、エンジン401と、ステッピングモータドライバ402と、ステッピングモータ402aと、各DCブラシレスモータの回転を制御するDCブラシレスモータ用CPU403と、各感光体ドラムの色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)に対応するDCブラシレスモータドライバ4041、4042、4043、4044(パワードライバともいう)と、各色に対応するDCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aとが備えられている。
上記エンジン401は、プリンタ100の駆動、停止、画像形成等の制御を司り、ステッピングモータ402aの回転に関する制御信号A(命令信号、指示クロック信号)をステッピングモータドライバ402に入力する。上記制御信号Aには、例えば、ステッピングモータ402aの回転を制御するパルス信号である指示クロック信号が該当する。さらに、当該エンジン401は、上記制御信号Aをステッピングモータドライバ402に入力すると同時に、DCブラシレスモータ用CPU403に入力するように構成される(後述する)。
また、上記エンジン401は、上記制御信号Aとは異なる制御信号であり、各DCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aの回転開始、回転停止に関する制御信号BをDCブラシレスモータ用CPU403に入力する。
上記ステッピングモータドライバ402は、エンジン401から入力される制御信号Aに基づいて、ステッピングモータ402aに駆動パルスを入力する。ステッピングモータ402aは駆動ローラ21(図示せず)に回転を伝達する。
上記DCブラシレスモータ用CPU403には、上記エンジン401からの制御信号Bに加えて、当該エンジン402からステッピングモータドライバ402に入力される制御信号Aが入力される。DCブラシレスモータ用CPU403は、当該制御信号Bと制御信号Aとに基づいて、所定の速度指令信号をDCブラシレスモータドライバ4041、4042、4043、4044に入力する(後述する)。
上記DCブラシレスモータドライバ4041、4042、4043、4044は、DCブラシレスモータ用CPU403から入力される速度指令信号に基づいて、各DCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aに駆動パルスを入力する。各DCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aはそれぞれの感光体ドラム10Y、10C、10Y、10K(図示せず)に回転を伝達する(後述する)。
<<プリンタの制御構成>>
次に、DCブラシレスモータ4041aの制御構成(制御回路)であるDCブラシレスモータ用CPU403について、詳細に説明する。
図5には、本発明の実施形態に係るDCブラシレスモータ用CPU403の構成を示した。図5に示すように、本発明の実施形態に係るプリンタ100では、CPU等に基づき、エンコーダ(後述する)から発生されたフィードバックパルス等を制御量として目標値に追従するように自動動作する機構であるサーボ制御機構を採用している。
なお、後述するDCブラシレスモータ用CPU403は、イエローに対応する感光体ドラム10Yと、その感光体ドラム10Yに回転を伝達するDCブラシレスモータ4041aとを制御するものとして説明するが、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する感光体ドラム10C、10Y、10K、DCブラシレスモータ4042a、4043a、4044aでも同様である。
DCブラシレスモータ用CPU403は、主に、第一のタイムキャプチャ回路501と、速度係数回路502と、目標速度設定回路503と、第二のタイムキャプチャ回路504と、制御演算回路505と、PWM回路506とから構成される。
第一のタイムキャプチャ回路501は、エンジン401からステッピングモータドライバ402に入力される制御信号Aと同等の信号が同時に入力されるよう構成されている。上記第一のタイムキャプチャ回路501は、エンジン401から入力された制御信号Aと内部タイマパルス信号とを比較し、当該制御信号Aの一パルス幅に含まれる内部タイマパルス信号の数をカウントする(後述する)。カウントされたカウント数は速度係数回路502に入力される。
速度係数回路502は、入力されたカウント数に、速度係数回路502のメモリ部に予め記憶されている速度係数を乗算して、目標値である目標速度を算出する。上記乗算によって、カウント数が、ステッピングモータ402aに対応する値からDCブラシレスモータ4041aに対応する値に換算される。当該目標速度は、カウント数が速度係数回路502に入力される度に(カウント数がカウントされる度に)算出され、更新される。速度係数回路502は、算出された目標速度を目標速度設定回路503に入力する。
目標速度設定回路503は、速度係数回路502から入力された目標速度を制御演算回路505に入力したり、当該目標速度を、プリンタ100の起動時または停止時に予めエンジン401から入力される定常速度または停止速度に切り替えたりする(後述する)。
第二タイムキャプチャ回路504は、DCブラシレスモータ4041aに備えられたエンコーダ507から発生されるエンコーダパルス信号(モータ回転速度信号、フィードバック信号)が入力されるよう構成される。上記第二タイムキャプチャ回路504は、エンコーダ507から入力されたエンコーダパルス信号と内部タイマパルス信号とを比較し、当該エンコーダパルス信号の一パルス幅に含まれる内部タイマパルス信号の数をカウントする(後述する)。カウントされたカウント数は、現時点のDCブラシレスモータ4041aの回転速度に対応する値(現行回転速度)として算出される。
上記目標速度と上記現行回転速度は、目標速度から現行回転速度を除算した速度差が算出され、その速度差が制御演算回路505に入力される。
制御演算回路505では、フィードバック制御方法の一つであるPID制御が採用されており、PID制御に用いられる制御パラメータに基づいて、入力された速度差から制御値を算出する。制御演算回路505は、算出された制御値をPWM回路506に入力する。
PWM回路506は、入力された制御値に基づいてPWM信号を生成し、そのPWM信号を速度指令信号としてDCブラシレスモータドライバ4041に入力する。
所定のメモリに記憶されているプログラム等を実行することで、DCブラシレスモータ4041aの回転を制御する。上記各回路、ドライバ等は後述する各手段として動作する。
<<プリンタの制御手順>>
次に図6乃至図7を参照しながら、本発明の画像形成装置が、転写ベルトの回転の減速開始時点と感光体ドラムの回転の減速開始時点とを精度高く一致させる手順について説明する。図6は、本発明に係るプリンタの機能ブロック図である。図7は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。なお、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、下記では、プリンタがスリープ状態へ移行する手順について説明するが、ユーザが電源をOFFして停止状態へ移行する手順であっても同様となる。
まず、プリンタ100が画像形成可能な状態にある場合の、ステッピングモータ402aの回転制御と、DCブラシレスモータ4041aの回転制御とを説明する。
ステッピングモータ402aの回転を制御しているステッピングモータ制御手段603には、画像形成手段602により、ステッピングモータ402aの画像形成可能な回転速度(定常速度Aとする)に対応する制御信号(図4では、維持指示の制御信号A、以下、維持信号Aとする)が入力されることとなるため、ステッピングモータ制御手段603がステッピングモータ402aの回転速度を定常速度Aに維持することになる。維持信号Aの周波数は一定であり、さらに、プリンタの構成上の理由により、当該維持信号Aは、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する目標速度算出手段605に入力されることとなる。
一方、DCブラシレスモータ制御手段604は、画像形成手段602により送信された、DCブラシレスモータ4041aの画像形成可能な回転速度(定常速度Bとする)に基づいて、DCブラシレスモータ4041aの回転を維持している。
具体的には、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する目標速度算出手段605に当該定常速度Bが入力されると、目標速度算出手段605は、維持信号Aに基づいて算出していた目標速度(従前に設定していた目標速度)から当該定常速度Bを目標値として再設定して(切り替えて)、フィードバック制御手段606に送信する。
定常速度Bを受信したフィードバック制御手段606は、PID制御に基づくフィードバック制御を実行する。当該フィードバック制御手段606は、フィードバックパルス(後述する)により算出される、DCブラシレスモータ4041aの現行の回転速度に対応する現行回転速度と、当該定常速度Bとに基づいて、所定の制御値を算出し、当該制御値をPWM手段609に送信する。
上記制御値の算出について、以下で簡単に説明する。
DCブラシレスモータ4041aには、当該DCブラシレスモータ4041aの回転軸と感光体ドラム10Yの回転軸とを連結する連結軸に、当該連結軸が所定の回転角度だけ回転すると、その回転に対応して所定のエンコーダパルス(エンコーダパルス、以下、フィードバックパルスとする)を出力するエンコーダ507が備えられており、そのエンコーダ507は、フィードバックパルスを、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する現行回転速度算出手段607に随時入力している。
現行回転速度算出手段607には、第一のタイムキャプチャ回路とは別に、パルスの周期が安定した内部タイマパルスを発生する第二のタイムキャプチャ回路が備えられており、当該現行回転速度算出手段607は、当該内部タイマパルスと、エンコーダ507から入力されるフィードバックパルスとを比較し、フィードバックパルスの一パルス当たりに存在する内部タイマパルスのパルス数をカウントする。このカウントした数をDCブラシレスモータカウント数Nbとする。
現行回転速度算出手段607が、一パルスでのDCブラシレスモータカウント数Nbを算出すると、当該カウント数NbをDCブラシレスモータ4041aの現行回転速度として、フィードバック制御手段606に送信する。
フィードバック制御手段606は、現行回転速度と定常速度Bとを受信すると、定常速度Bと現行回転速度との間の速度差を算出し、その速度差と、DCブラシレスモータ4041aの定常速度に対応する制御パラメータ(「Kp」、「Kd」、「Ki」)とに基づいて、比例制御値、微分制御値、積分制御値(以下、制御値とする)を算出する(図7:S106)。
上記制御パラメータとは、比例制御と積分制御と微分制御とを組み合せて、現行回転速度を定常速度B(目標速度でもあり、すなわち、目標値)に収束させるように制御するPID制御に基づいて定められるパラメータのことである。
例えば、上記制御パラメータは、定常速度Bと現行回転速度との間の速度差に応じた比例制御値を算出(出力)する比例制御パラメータ「Kp」(比例定数ともいう)と、当該速度差を積分した積分値に応じた積分制御値を算出する積分制御パラメータ「Ki」(積分定数ともいう)と、当該速度差を微分した微分値に応じた微分制御値を算出する微分制御パラメータ「Kd」(微分定数ともいう)とが該当する。
DCブラシレスモータ4041aの定常回転時には、比例制御パラメータ「Kp」、「Kd」、「Ki」が採用される。
上記構成とすると、DCブラシレスモータ制御手段604が、DCブラシレスモータ4041aの回転を安定して制御することが可能となる。
なお、現行回転速度も、定常速度も、数値(データ)に対応し、その数値に基づいて、フィードバック制御手段606は制御値を算出する。そのため、従来からDCブラシレスモータ4041aの回転制御に用いられる位相比較器等を採用していないことに注意されたい。
制御値を算出すると、フォードバック制御手段606が当該制御値をPWM手段609に送信する。PWM手段609は、当該制御値に基づいて、PWM信号を発生し、駆動パルス入力手段610に入力する。駆動パルス入力手段610は、PWM信号に基づいて、当該制御値に対応する駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力する。DCブラシレスモータ4041aの回転は維持されることになる。
次に、本発明の制御手順について説明する。
例えば、上記画像形成可能な状態からスリープ状態(停止状態)へ移行するまでの待ち時間であるスリープ時間が経過すると、画像形成手段602は、画像形成可能な状態からスリープ状態へ移行する。
当該スリープ状態へ移行する場合、画像形成手段602が、スリープ状態へ移行する旨の制御信号(ステッピングモータ402aまたはDCブラシレスモータ4041aの回転を加減速させる旨の信号または指示信号に該当し、スリープ状態移行指示信号とする)をモータ同期判別手段611に送信する(図7:S101)。
モータ同期判別手段611は、当該スリープ状態移行指示信号を受信すると、モータ同期記憶手段615に記憶されたモータ同期テーブルを参照して、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速するか否かを判別する(図7:S102)。
モータ同期テーブル800には、図8に示すように、画像形成手段602からモータ同期判別手段611に送信される制御信号(命令信号)の内容を示す項目である命令項目801(「カラー印刷可能な状態」802、「スリープ状態(停止状態)」803、「三色解除状態」804、「三色駆動状態」805等)と、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を加減速するか否かを示す情報806(「ともに加速する」807、「ともに減速する」808、「DCブラシレスモータの加速」809、「DCブラシレスモータの減速」810等)とが関連付けて記憶されている。
例えば、停止状態(スリープ状態)から、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する感光体ドラムを全て回転させ、カラー印刷可能な状態(画像形成可能な状態)へ移行することを示す「カラー印刷可能な状態」802には、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速することを示す「ともに加速する」807が関連付けて記憶される。
また、画像形成可能な状態からスリープ状態(停止状態)へ移行することを示す「スリープ状態(停止状態)」803には、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速することを示す「ともに減速する」808が関連付けて記憶される。
また、画像形成可能な状態から、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する感光体ドラムを停止状態へ移行し、ブラックに対応する感光体ドラムのみを回転させた状態(モノクロ印刷可能な状態)へ移行することを示す「三色解除状態」804には、DCブラシレスモータ4041aの回転速度のみを減速することを示す「DCブラシレスモータの減速」809が関連付けて記憶される。
また、三色解除状態から、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する感光体ドラムを回転させ、カラー印刷可能な状態へ移行することを示す「三色駆動状態」805には、DCブラシレスモータ4041aの回転速度のみを加速することを示す「DCブラシレスモータの加速」810が関連付けて記憶される。
上記構成により、モータ同期判別手段611は、画像形成手段602から入力された制御信号(命令信号)と、モータ同期テーブル800とに基づいて、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速するか否かを判別することが可能となる。
なお、三色解除状態は、例えば、カラー印刷モードからモノクロ印刷モードへ移行することに対応し、三色駆動状態は、モノクロ印刷モードからカラー印刷モードへ移行することに対応する。
以下では、イエローに対応する感光体ドラム10Yと、その感光体ドラム10Yに回転を伝達するDCブラシレスモータ4041aの回転について説明するが、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する感光体ドラム、DCブラシレスモータ4041aの回転でも同様である。なお、ブラックに対応する感光体ドラム、DCブラシレスモータ4041aの回転では、「三色解除状態」と「三色駆動状態」において、回転を維持する必要があるため、上記モータ同期テーブル800の「三色解除状態」804と「三色駆動状態」805には、回転速度を維持することを示す情報(例えば、「−」等)が関連付けて記憶される。
モータ同期判別手段611は、スリープ状態移行指示信号に対応する「スリープ状態(停止状態)」803とモータ同期テーブル800とに基づいて、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速することを判別すると、タイミング変更手段616に判別結果を送信する(図7:S103YES)。
当該判別結果を受信したタイミング変更手段616は、DCブラシレスモータ制御手段604に、ステッピングモータ402aの回転にDCブラシレスモータ4041aの回転を同期させた後に、ステッピングモータ制御手段603に、ステッピングモータ402aの回転を減速させる。
具体的には、タイミング変更手段616が、画像形成手段602に、ステッピングモータ402aの回転にDCブラシレスモータ4041aの回転を同期させる旨の制御信号(同期指示信号)を送信する(図7:S104)。
当該同期指示信号を受信した画像形成手段602は、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する目標速度算出手段605に、目標速度を算出する旨の信号(算出信号B)(図4では、算出指示の制御信号B)を送信する(図7:S105)。
なお、画像形成手段602が目標速度算出手段605に当該算出信号Bを送信した時点では、ステッピングモータ制御手段603は、ステッピングモータ402aの回転速度を定常速度Aに維持したまま回転を制御している状態となる。言い換えると、画像形成手段602が、定常速度Aに対応する制御信号(維持信号A)をステッピングモータ制御手段603に入力しているため、プリンタ100の構成上の理由により、当該維持信号Aが、ステッピングモータ制御手段603と同時に目標速度算出手段605に入力されている状態となる。
そのため、目標速度算出手段605は当該算出信号Bを受信すると、当該維持信号Aに基づいて目標速度を算出し、目標値として設定していた定常速度Bから当該目標速度へ再設定して(切り替えて)DCブラシレスモータ4041aの回転を制御することになる。
目標速度を算出してから、DCブラシレスモータ4041aの回転を制御するまでの手順は以下のようになる。
目標速度算出手段605には、パルスの周期が安定した内部タイマパルス(内部タイマクロック信号ともいう)を発生する第一のタイムキャプチャ回路が備えられており、当該目標速度算出手段605は、当該内部タイマパルスと、画像形成手段602から入力される維持信号Aとを比較し、維持信号Aの一パルス当たりに存在する内部タイマパルスのパルス数をカウントする。このカウントした数をステッピングモータカウント数Naとする。
目標速度算出手段605が、一パルスでのステッピングモータカウント数Naを算出すると、当該カウント数Naに、所定の補正係数(以下、速度係数とする)を乗算し、その乗算した値を目標値、すなわち、目標速度として算出する。
上記速度係数は、定常回転時(画像形成可能時)でのステッピングモータ402aの回転速度に対するDCブラシレスモータ4041aの回転速度の割合を示す。当該割合は、ステッピングモータ402aにより回転する転写ベルトB1の表面線速と、DCブラシレスモータ4041aにより回転する感光体ドラム10Yの表面線速とが一致する条件の割合に対応する。そのため、カウント数Naに当該速度係数を乗算した値は、ステッピングモータ402aの画像形成可能な回転速度をDCブラシレスモータ4041aの画像形成可能な回転速度に変換した値となり、維持信号Aに基づいて算出された目標速度は、DCブラシレスモータ4041aの定常速度Bと一致する値(または、近似値)となることが理解される。
上記速度係数は、例えば、モータの回転速度に対応するモータの回転数(rpm)やモータ制御手段に入力される制御信号(上述した維持信号、指示クロック信号に該当する)の周波数(Hz)によって決定される。周波数を基準として、定常回転時にステッピングモータ402aの回転制御に用いられる制御信号の周波数をA(Hz)とし、定常回転時にDCブラシレスモータ4041aのエンコーダ507から発生されるエンコーダパルスの周波数をB(Hz)とすると、当該速度係数a(−)は、B/Aとなる。
目標速度算出手段605が目標速度を算出すると、フィードバック制御手段606に当該目標速度を送信する。目標速度を受信したフィードバック制御手段606は、当該目標速度と、現行回転速度算出手段607から入力される現行回転速度との間の速度差を算出し、その速度差に基づいて、目標速度に対応する制御パラメータ(「Kp」)に対応する制御値を算出する。
DCブラシレスモータ4041aの加速時または減速時には、比例制御パラメータ「Kp」が採用される。
上記構成とすると、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速する際に、DCブラシレスモータ4041aの目標速度に随時、現行回転速度を追従するように、フィードバック制御手段606が制御値を算出し、PWM手段609、駆動パルス入力手段610を介して、DCブラシレスモータ制御手段604が駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力し、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が維持される。
そのため、後述で説明するが、目標速度算出手段605に入力される維持信号Aが、ステッピングモータ402aの回転速度を減速する旨の信号(減速信号A)に切り替わったとしても、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が目標の回転速度よりも大きく不足する現象であるアンダーシュート現象を防止することが可能となる。
ここで、ステッピングモータ制御手段603に入力されている維持信号A(速度係数の「定常回転時にステッピングモータ402aの回転制御に用いられる制御信号」)に基づいて、DCブラシレスモータ4041aの画像形成可能な回転速度に対応する駆動パルス(速度係数の「定常回転時にDCブラシレスモータ4041aのエンコーダ507から発生されるエンコーダパルス」に対応する)がDCブラシレスモータ4041aに入力されているため、当然に、DCブラシレスモータ4041aは定常速度B(画像形成可能な回転速度)を維持していることに注意されたい。
上述した手順は、タイミング変更手段616が、画像形成手段602に、ステッピングモータ402aの回転速度を減速する旨の信号(減速指示信号)を送信するまで、目標速度算出手段605とフィードバック制御手段606とが繰り返すこととなる。すなわち、画像形成手段602が、維持信号Aをステッピングモータ制御手段603とともに目標速度算出手段605に入力し続けると、目標速度算出手段605が、ステッピングモータ402aの画像形成可能な回転速度(定常速度A)に同期したDCブラシレスモータ4041aの目標速度を算出し、フィードバック制御手段606が、目標速度と現行回転速度との間の速度差と、所定の制御パラメータとに基づいて制御値を算出する。算出された制御値は、PWM手段609を介して、PWM信号に変換されるが、当該PWM信号は、DCブラシレスモータ4041aの画像形成可能な回転速度(定常速度B)に対応するクロック信号(速度指令信号)となる。その結果、駆動パルス入力手段610が、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を画像形成可能な回転速度に維持する。
これにより、ステッピングモータ402aの回転速度が減速する前に、ステッピングモータ402aにより回転する転写ベルトの表面線速に、DCブラシレスモータ4041aにより回転する感光体ドラム10Yの表面線速を同期するような状態で、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を画像形成可能な回転速度に維持することが可能となる。
図9Aの領域A1には、画像形成手段602が、目標速度算出手段605に算出信号Bを送信した際の、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号(維持信号A)の周波数と、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数との経時変化を示した。なお、画像形成手段602が算出信号Bを送信した時点は、目標速度算出手段605が定常速度Bから目標速度に目標値を切り替えた時点に相当し、当該時点は切換時点aで示される。
図9Aの領域A1から分かるように、切換時点aの前後において、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数は、ステッピングモータ402aの維持信号Aの周波数に対して、速度係数(a=B/A)を維持していることが理解される。これは、当該維持信号Aに基づいて、目標速度が算出され、その目標速度に対応する駆動パルスがDCブラシレスモータ4041aに入力されるためである。
なお、切換時点aより前では、フィードバック制御手段606が、現行回転速度を定常速度に一致させるための制御パラメータ(「Kp」、「Kd」、「Ki」)を採用して制御値を算出しているのに対して、切換時点aより後では、現行回転速度を目標速度に追従させるための制御パラメータ(「Kp」)を採用して制御値を算出している。そのため、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数が、当該切換時点aの前ではほぼ一定であるのに対し、当該切換時点aの後ではややばらつきのある(所定の幅だけ変動を有する)値を維持し、若干安定性を欠如していることに注意されたい。
タイミング変更手段616には、ユーザ等により予め設定された時間であり、DCブラシレスモータ制御手段604がステッピングモータ402aの回転にDCブラシレスモータ4041aの回転を同期させるために必要な時間である、タイミング変更時間が経過することを検知するタイマー回路が備えられている。そのため、DCブラシレスモータ制御手段604が、画像形成手段602に同期指示信号を送信してからタイミング変更時間が経過したことを検知した後に、画像形成手段602に、ステッピングモータ402aの回転速度を減速する旨の信号(減速指示信号)を送信する(図7:S106→S107)。
このようにして、タイミング変更手段616が、画像形成手段602がステッピングモータ制御手段603またはDCブラシレスモータ制御手段604に送信する制御信号(図4では、制御信号Aと制御信号Bに対応する)の制御を実行するのである。
当該減速指示信号を受信した画像形成手段602は、今まで送信していた維持信号Aから、ステッピングモータ402aの回転速度を減速する旨の信号(減速信号A)(図4では、減速指示の制御信号Aに対応する)に切り替えて、当該減速信号Aをステッピングモータ制御手段603に送信する。
ステッピングモータ制御手段603は、当該減速信号Aを受信すると、ステッピングモータ402aの回転の減速を開始する(図7:S108)。
具体的には、ステッピングモータ制御手段603が、画像形成手段602から入力された減速信号Aに基づいてステッピングモータ402aの回転速度を減速する駆動パルスをステッピングモータ402aに入力する。ステッピングモータ402aの回転が減速すると、転写ベルトB1の回転が減速される。画像形成手段602は、現行のステッピングモータ402aの回転速度を停止速度に到達するまで、減速信号Aの周波数を連続的に(段階的に)減少させていくことになる。
上述したように、画像形成手段602が出力する制御信号Aは、ステッピングモータ制御手段603と同時に目標速度算出手段605に入力される構成となるため、画像形成手段602が維持信号Aを減速信号Aに切り替えると同時に、当該減速信号Aがステッピングモータ制御手段603と目標速度算出手段605とに入力されることとなる。
既に、目標速度算出手段605は、入力される維持信号Aに基づいて制御値を算出しているため、目標速度算出手段605は、維持信号から減速信号に切り替わると同時に、当該減速信号に基づいて制御値を算出することになる。そのため、例えば、目標速度算出手段605が受信する算出信号の通信遅延や通信のやり取りによって発生する制御遅延が発生することなく、当該減速信号がステッピングモータ制御手段603に入力されると同時に、目標速度算出手段605が減速信号に対応する目標速度を算出することになる。
さらに、フィードバック制御手段606が、当該目標速度と現行回転速度との間の速度差と、減速時に対応する制御パラメータとに基づいて制御値を算出し、結果として、PWM手段609、駆動パルス入力手段610を介して、DCブラシレスモータ404aの回転速度を減速する駆動パルスをDCブラシレスモータ404aに入力する。
DCブラシレスモータ404aは、入力された駆動パルスに基づき、回転を低減する。なお、減速時に対応する制御パラメータにより、アンダーシュート現象の発生は抑制されていることに注意されたい。
上述した手順は、ステッピングモータ制御手段603がステッピングモータ402aの回転速度を停止速度(停止状態)に到達するまで、目標速度算出手段605とフィードバック制御手段606とが繰り返すこととなる。すなわち、画像形成手段602が、減速信号Aの周波数を、停止状態に対応する制御信号(ステッピングモータ402aの初期に設定されている起動時の制御信号)の周波数まで連続的に減少すると、その減少分に対応して、目標速度算出手段605が、ステッピングモータ402aの回転に同期したDCブラシレスモータ4041aの目標速度を算出し、フィードバック制御手段606が、当該目標速度と現行回転速度との間の速度差と、所定の制御パラメータとに基づいて制御値を算出する。算出された制御値に基づいて変換されたPWM信号は、所定の周波数を保持しつつ、連続的にデューティーが減少するクロック信号となる。その結果、駆動パルス入力手段610が、DCブラシレスモータの回転速度を減少させる駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力することになる。
上記ステッピングモータ制御手段603がステッピングモータ402aの回転速度の減速を終了する、すなわち、ステッピングモータ402aの回転速度が停止速度まで到達すると、その到達時点(停止時点)に対応して、DCブラシレスモータ制御手段604がDCブラシレスモータ404aの回転速度の減速を終了する。すなわち、ステッピングモータ402aの停止時点とDCブラシレスモータ4041aの停止時点とがほぼ一致し、転写ベルトと感光体ドラムが同時に停止して、プリンタ100はスリープ状態へ移行することになる(図5:S109)。
図9Aの領域A2には、ステッピングモータ制御手段603が減速信号Aを受信してからスリープ状態(停止状態)まで移行する際(停止時)の、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号(減速信号A)の周波数と、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数との経時変化を示した。なお、ステッピングモータ制御手段603が減速信号を受信した時点は、画像形成手段602が維持信号Aから減速信号に切り替えた時点(画像形成手段602が当該減速信号をステッピングモータ制御手段603と目標速度算出手段605とに送信した時点)に相当し、当該時点は切換時点bで示される。
図9Aの領域A2から分かるように、切換時点bで、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号の周波数が減少すると、その減少と同時に、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数が減少している。さらに、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数が、ステッピングモータ402aの減速信号Aの周波数に対して、速度係数(a=B/A)を維持しながら減速される、言い換えると、DCブラシレスモータ4041aの回転が、ステッピングモータ402aの回転に同期しながら減速され、DCブラシレスモータ4041Aとステッピングモータ402aとがほぼ同時に停止(ゼロ)することが理解される。従って、転写ベルトB1の表面線速と感光体ドラム10Yの表面線速とを一致させた状態で、ステッピングモータ402aとDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速し、さらに、ステッピングモータ402aとDCブラシレスモータ4041aとを同時に停止することになる。なお、アンダーシュート現象は見られていない。
参考に、従来の制御手順について説明する。
図9Bには、スリープ時間が経過した際に、画像形成手段602が、減速信号Aをステッピングモータ制御手段603と目標速度算出手段605とに送信し、さらに、算出信号Bを目標速度算出手段605に送信した際の、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号(減速信号A)の周波数と、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数との経時変化を示した。なお、図9Bでは、画像形成手段602が、減速信号と算出信号とを同時に送信する場合を想定し、同時に送信した時点は、送信時点cで示される。
図7Bから分かるように、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号の周波数は、送信時点cから即時に減少を開始しているが、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数は、当該送信時点cから所定の時間(例えば、通常は十数ミリ秒の時間であり、以下、遅延時間とする)経過した後に減少を開始していることが理解される。
これは、ステッピングモータ制御手段603は制御信号によってステッピングモータ402aの回転を制御していることに対して、DCブラシレスモータ制御手段604はフィードバック制御に基づいてDCブラシレスモータ4041aの回転を制御していることに起因している。すなわち、DCブラシレスモータ4041aの回転制御では、上述したように、目標速度算出手段605が減速信号に基づいて目標速度を算出する手順(処理)、フォードバック制御手段606が当該目標速度と現行回転速度とに基づいて制御値を算出する手順(処理)等を行う必要があり、その手順(処理)に対応する制御信号のやり取り、処理回数、算出時間が発生し、結果として、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数は、遅延時間が経過した後に減少を開始することになる。
当該遅延時間が発生すると、DCブラシレスモータ4041aの減速開始時点(感光体ドラムの回転の減速開始時点)とステッピングモータ402aの減速開始時点(転写ベルトの回転の減速開始時点)に差異が発生することとなり、当該差異は、DCブラシレスモータ4041aの停止時点(感光体ドラムの回転の停止時点)とステッピングモータ402aの停止時点(転写ベルトの回転の停止時点)の差異を生じさせる。その結果、感光体ドラムの停止位置または転写ベルトの停止位置が予め設定された位置で停止することなく、転写ベルトと感光体ドラムとの位置ずれを引き起こし、当該位置ずれによって感光体表面と転写ベルト表面の摺動、磨耗や色ズレを発生することになる。
図9Bに示すように、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号の周波数がゼロになってから(ステッピングモータ402aが停止状態となってから)、ほぼ遅延時間だけ遅れて、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数がゼロになっている(DCブラシレスモータ4041aが停止状態となる)ことが理解される。
このように、モータ同期判別手段が、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに減速すると判別すると、DCブラシレスモータ制御手段に、ステッピングモータの回転にDCブラシレスモータの回転を同期させた後に、ステッピングモータ制御手段に、ステッピングモータの回転を減速させるタイミング変更手段とを備えるよう構成している。
これにより、ステッピングモータ制御手段が中間転写体モータの回転を減速すると、既にステッピングモータの回転と同期しているDCブラシレスモータも同時に回転を減速することとなる。そのため、DCブラシレスモータの回転を減速に切り替える際の、制御信号のやり取りに要する通信時間(通信遅延)の発生や所定の演算処理に要する処理時間の発生、DCブラシレスモータの回転の制御遅延を解消することとなり、DCブラシレスモータの同期開始時点、すなわち、DCブラシレスモータの減速開始時点とステッピングモータの減速開始時点とのズレの発生を防止することが可能となる。さらに、DCブラシレスモータの減速開始時点とステッピングモータの減速開始時点とがほぼ一致した条件で、DCブラシレスモータをステッピングモータとともに減速することが可能となり、転写ベルトと感光体ドラムとを同時に停止することが可能となる。その結果、当該ズレによって発生する転写ベルト表面と感光体ドラム表面の摺動、磨耗や色ズレを適切に防止することが可能となる。
また、上記タイミング変更手段が、DCブラシレスモータ制御手段に、ステッピングモータの回転にDCブラシレスモータの回転を同期させてから、タイミング変更時間が経過したことを検知した後に、ステッピングモータ制御手段に、ステッピングモータの回転を減速させるよう構成することができる。
これにより、DCブラシレスモータ制御手段に、ステッピングモータの回転にDCブラシレスモータの回転を同期させてから、即時に、ステッピングモータ制御手段に、ステッピングモータの回転を減速させることとなるため、無駄な待ち時間が発生することなく、円滑にDCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに減速することが可能となる。
なお、上記では、モータ同期判別手段611が、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速する場合、すなわち、スリープ状態移行指示信号を画像形成手段602から受信した場合についての制御手順となるが、他の手順については、例えば、以下のように制御される。
スリープ状態(または停止状態)において、画像形成手段602が、カラー印刷可能な状態(画像形成可能な状態)へ移行する旨の制御信号(画像形成移行指示信号)をモータ同期判別手段611に送信すると(図7:S101)、モータ同期判別手段611は、画像形成移行指示信号に対応する「カラー印刷可能な状態」803とモータ同期テーブル800とに基づいて、ステッピングモータ402aの回転速度とともにDCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速することを判別する(図7:S102→S103NO)。
モータ同期判別手段611は、当該判別結果をタイミング変更手段616に送信すると、ステッピングモータ402aの回転を加速させて、DCブラシレスモータ制御手段604に、ステッピングモータ402aの回転にDCブラシレスモータ4041aの回転を同期させる。
具体的には、タイミング変更手段616は、画像形成手段602に、ステッピングモータ402aの回転速度を加速する旨の信号(加速指示信号)を送信してから、ステッピングモータ402aの回転にDCブラシレスモータ4041aの回転を同期させる旨の信号(同期指示信号)を送信する(図7:S110)。
そうすると、画像形成手段602が、ステッピングモータ制御手段603にステッピングモータ402aの回転速度を加速する旨の信号(加速信号A)を送信した後に、目標速度算出手段605に算出信号Bと定常速度Bとを送信することになり、ステッピングモータ402aの回転を加速させた後に、DCブラシレスモータ制御手段604に、ステッピングモータ402aの回転にDCブラシレスモータ4041aの回転を同期させることが可能となる(図7:S111)。
また、カラー印刷可能な状態において、画像形成手段602が、モノクロ印刷可能な状態へ移行する旨の制御信号(三色解除指示信号)をモータ同期判別手段611に送信すると、モータ同期判別手段611は、三色解除指示信号に対応する「三色解除状態」803とモータ同期テーブル800とに基づいて、三色(イエロー、マゼンタ、シアン)に対応するDCブラシレスモータ4041aの回転速度のみを減速することを判別する。
モータ同期判別手段611は、当該判別結果をタイミング変更手段616に送信すると(図7:S101)、三色に対応するDCブラシレスモータ制御手段604に、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速・停止させる(図7:S102→S103NO)。
モータ同期判別手段611は、当該判別結果をタイミング変更手段616に送信すると、三色に対応するDCブラシレスモータ制御手段604に、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速させる。
具体的には、タイミング変更手段616は、画像形成手段602に、三色に対応するDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速する旨の信号(減速指示信号)を送信する(図7:S110)。すると、画像形成手段602が、目標速度算出手段605に、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速する旨の信号(減速信号B)またはDCブラシレスモータ4041aの停止速度を送信し、三色(イエロー、マゼンタ、シアン)に対応するDCブラシレスモータ4041aの回転速度のみが減速・停止され、三色解除状態(モノクロ印刷可能な状態)へ移行される(図7:S111)。この場合、画像形成手段602が、ステッピングモータ制御手段603に維持信号Aを送信していることになる。
また、モノクロ印刷可能な状態において、画像形成手段602が、三色駆動状態へ移行する旨の制御信号(三色駆動指示信号)をモータ同期判別手段611に送信すると(図7:S101)、モータ同期判別手段611は、三色駆動指示信号に対応する「三色駆動状態」803とモータ同期テーブル800とに基づいて、三色(イエロー、マゼンタ、シアン)に対応するDCブラシレスモータ4041aの回転速度のみを加速することを判別する(図7:S102→S103NO)。
モータ同期判別手段611は、当該判別結果をタイミング変更手段616に送信すると、三色に対応するDCブラシレスモータ制御手段604に、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速させる。
具体的には、タイミング変更手段616は、画像形成手段602に、三色に対応するDCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速する旨の信号(加速指示信号)を送信する(図7:S110)。すると、画像形成手段602が、目標速度算出手段605に、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速する旨の信号(加速信号B)と定常速度Bとを送信し、三色(イエロー、マゼンタ、シアン)に対応するDCブラシレスモータ4041aの回転速度のみが加速される(図7:S111)。なお、この場合も、画像形成手段602が、ステッピングモータ制御手段603に維持信号Aを送信していることになる。
このようにして、画像形成手段602が制御信号をステッピングモータ制御手段603またはDCブラシレスモータ制御手段604に送信する前の段階で、モータ同期判別手段611が、中間転写体モータまたは像担持体モータの回転を加減速させる旨の信号とモータ同期テーブル800とに基づいて、中間転写体モータの回転速度とともに像担持体モータの回転速度を減速するか否かを判別する。さらに、当該判別結果に基づいて、タイミング変更手段616が、ステッピングモータ制御手段603またはDCブラシレスモータ制御手段に送信される制御信号(図4では、制御信号Aと制御信号Bに対応する)の制御を実行する。
なお、本発明の実施形態のタイミング変更時間は、DCブラシレスモータ制御手段がステッピングモータの回転にDCブラシレスモータの回転を同期させるために必要な時間として設定したが、例えば、通信遅延、制御遅延を考慮した時間である上述した遅延時間よりも長く、かつ、遅延時間に近似した時間であっても構わない。当該時間に設定すると、DCブラシレスモータの回転がステッピングモータの回転と同期すると即時に、ステッピングモータの回転が減速するため、効率よくプリンタを停止することが可能となる。
また、本発明の実施形態では、画像形成手段が送信するステッピングモータまたはDCブラシレスモータの回転を加減速させる旨の信号(指示信号)に基づいて、モータ同期判別手段が、ステッピングモータの回転速度とともにDCブラシレスモータの回転速度を減速するか否かを判別するよう構成したが、他の構成でも構わない。
例えば、画像形成手段が、モータ同期判別手段とタイミング変更手段とを兼ね備える構成を採用し、ステッピングモータの加減速開始時点をパルス信号のHI信号またはLOW信号で示したステッピングモータの加減速制御信号と、DCブラシレスモータの加減速開始時点をパルス信号のHI信号またはLOW信号で示したDCブラシレスモータの加減速制御信号とを、タイミング変更時間に応じて、ステッピングモータ制御手段とDCブラシレスモータ制御手段とに送信するよう構成することが可能である。
また、本発明の実施形態では、DCブラシレスモータと感光体ドラムとを直接接続(連結)するよう構成しているが、例えば、DCブラシレスモータと感光体ドラムとの間に、所定の減速比を有する減速器を設けて、DCブラシレスモータの回転数と感光体ドラムの回転数とを適宜調整するよう構成しても構わない。
また、本発明の実施形態では、DCブラシレスモータの回転の停止時における制御パラメータには、比例制御パラメータ「Kp」を採用したが、例えば、DCブラシレスモータの起動特性(例えば、備えられたギア等の部材、半径、周径、スペック等)に応じて、DCブラシレスモータの目標速度と現行回転速度との速度差を微分した微分値に応じた微分制御値を算出(出力)する微分制御パラメータ「Kd」をさらに追加して採用しても構わない。
また、本発明の実施形態では、DCブラシレスモータ制御手段は、所定の制御パラメータを用いて、上記現行回転速度と目標速度(定常速度B)との差速度に対応した、DCブラシレスモータの回転速度を加速する駆動パルスを発生するよう構成したが、例えば、駆動パルスを発生する前に、DCブラシレスモータ制御手段を構成するフィードバック制御手段に、所定の制御パラメータにて算出した比例制御値(以下、制御値とする)が、所定の範囲に属するか否かを判別する処理を設けても構わない。当該範囲は、例えば、制御値に基づいて発生する駆動パルスのデューティーが所定の範囲(0から100%までの範囲)に属するか否かで定められる。なお、デューティー(デューティー比)とは、パルスのうち、1パルスのHI信号の幅と1パルスの周期との比のことである。上記構成により、回転駆動を安定して制御することが可能となる。
また、本発明の実施形態では、画像形成可能な状態からスリープ状態へ移行する場面について説明したが、例えば、プリンタの電源が切断された場合やユーザにより駆動停止に対応する命令の信号を画像形成手段が受信した場合、高速印刷モードと通常印刷モードとを備えたプリンタであって高速印刷モードから通常印刷モードに移行する場合であっても、同様である。
また、本発明の実施形態を構成する各手段の全部または一部を、所定の回路素子(例えば、ダイオード、オペアンプ、抵抗、トランジスタ、スイッチング素子等)とハードウェア資源(例えば、演算素子であるCPU等)を組み合わせて、回路として実現しても構わない。
例えば、モータの回転を制御するパルス信号である制御信号に基づいてステッピングモータの回転を制御するステッピングモータ制御回路と、ステッピングモータの制御信号に基づき、ステッピングモータの回転の加減速に応じてDCブラシレスモータの回転の加減速を制御するDCブラシレスモータ制御回路とを備える画像形成装置において、ステッピングモータまたはDCブラシレスモータの回転を加減速させる旨の信号を受信すると、ステッピングモータの回転速度とともにDCブラシレスモータの回転速度を減速するか否かを判別するモータ同期判別回路と、上記モータ同期判別回路が、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに減速すると判別すると、DCブラシレスモータ制御回路に、ステッピングモータの回転にDCブラシレスモータの回転を同期させた後に、ステッピングモータ制御回路に、ステッピングモータの回転を減速させるタイミング変更回路とを備えるよう構成することができる。
なお、本発明の実施形態では、プリンタが各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムをプリンタに読み出させ、そのプリンタが上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。