JP5268964B2 - 信号分離装置 - Google Patents

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この発明は、複数の入射信号が混信して受信された受信信号群から、各入射信号を分離して出力する信号分離装置に関する。
複数の入射信号が混信して受信された受信信号群から、各入射信号を分離する方式として、独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)が知られている。ICAとは、各入射信号が互いに統計的に独立であるという性質のみを用いて、受信信号群から各入射信号を分離する方式であり、複数話者の音声の信号分離、通信等での混信電波の分離等、種々の分野に適用されている。また、ICAでは、信号の統計的独立性のみを用いて信号が分離されるので、各入射信号に関する事前情報は不要(ブラインド)である(例えば、非特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら、ICAの概要について説明する。
図10は、ICA処理を実行する従来の信号分離装置を示すブロック構成図である。ICAは、互いに独立な複数の入射信号が混信して受信された受信信号群から、各入射信号を信号分離するアルゴリズムである。ここで、受信信号群の信号モデルは、次式(1)で表される。
Figure 0005268964
式(1)において、k(=1,・・・,K)は、サンプル時間インデックスを示し、Kは総サンプル数を示している。また、式(1)において、s(k)は、第j入射信号s(k)(j=1,・・・,J)をベクトル状に格納した入射信号ベクトルを示しており、次式(2)で表される。なお、Jは入射信号数を示している。
Figure 0005268964
また、式(1)において、x(k)は、第i受信素子(受信アンテナ)で受信された各受信信号x(k)(i=1,・・・,I)をベクトル状に格納した受信信号ベクトルを示しており、次式(3)で表される。なお、Iは受信素子数を示している。
Figure 0005268964
また、式(1)において、Aは、混信を意味する係数を各要素とする混合行列を示している。以下、表記を簡単にするために、明らかな場合には、サンプル時間インデックスkを省略する。
ICA処理部では、まず、各分離信号が互いに独立になるように、混合行列Aの推定値である推定混合行列A(ハット)が推定される。ここで、(ハット)と記載したものは、その前の文字の上部に∧が付されたものを意味し、推定値を表すものとする。なお、推定混合行列A(ハット)は、実際には、主成分分析で得られる白色化行列Mと分離行列Wとの積となるが、ここでは、概念のみを説明している。
続いて、推定混合行列A(ハット)の擬似逆行列が受信信号ベクトルxに乗算されることにより、式(4)、(5)で表される分離信号ベクトルs(ハット)が、互いに独立な信号として得られる。
Figure 0005268964
Figure 0005268964
式(4)において、†は擬似逆行列を意味している。
ここで、ICAにおける重要なポイントは、各入射信号を信号分離するための条件として、受信素子数Iが、入射信号数J以上であること(I≧J)が必要とされることである。そのため、I<Jの場合には、各入射信号を信号分離することができないという問題があった。
これに対して、受信素子数Iが入射信号数Jよりも小さい場合(I<Jの場合)であっても、各入射信号を信号分離可能な方式として、TDL−ICA(Tapped Delay Line Independent Component Analysis)が知られている。TDL−ICAとは、タップ遅延処理を用いて受信される信号数を増加させることにより、擬似的に受信素子数Iを増加させる方式である(例えば、非特許文献2参照)。
以下、図面を参照しながら、TDL−ICAの概要について説明する。
図11は、TDL−ICA処理を実行する従来の信号分離装置を示すブロック構成図である。まず、タップ遅延処理部でのタップ遅延処理に用いられるタップ遅延数をn(=0,・・・,N−1)とする。なお、Nは最大タップ遅延数を示している。
続いて、全ての受信素子で受信された各受信信号に対して、タップ遅延数nを0からN−1まで1タップずつ増加させたときの受信信号を用いて、拡張された受信信号ベクトルx(チルダ)の信号モデルを、次式(6)のように定義する。ここで、(チルダ)と記載したものは、その前の文字の上部に〜が付されたものを意味する。
Figure 0005268964
式(6)において、受信信号ベクトルx(チルダ)の次元は、I×Nであることから、次式(7)の不等式を満たすように最大タップ遅延数Nを設定することで、ICAにより、受信信号群から各入射信号を信号分離することができる。
Figure 0005268964
次に、上述した非特許文献1のものと同様に、ICA処理部において、推定混合行列A(ハット)の擬似逆行列が、受信信号ベクトルx(チルダ)に乗算されることにより、上記式(4)、(5)で表される分離信号ベクトルs(ハット)が、互いに独立な信号として得られる。
E.Bingham,A.Hyvarinen,"A fast fixed−point algorithm for independent component analysis of complex valued signals",International Journal of Neural Systems,Vol.10,No.1,pp.1−8,Feb 2000 Aapo Hyvarinen,Juha Karhunen,Erkki Oja著,根本 幾,川勝 真喜訳,"詳解 独立成分分析−信号解析の新しい世界",東京電機大学出版局,pp.394−395,2005年2月
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来のTDL−ICAでは、上記式(6)や図11に示したように、全ての受信素子で受信された各受信信号に対して、一様に同数で、かつ0から1タップずつ増加されるタップ遅延数により、タップ遅延処理が実行される。
ここで、このような処理は、ICAの分離性能の観点からすれば、最適な処理とは言えない。例えば、受信素子毎に異なるタップ遅延数を適切に選択すれば、従来のTDL−ICAと比較して、タップ遅延処理後の受信信号の総数が同じ場合であっても、ICAの分離性能を向上させることができる。
すなわち、従来のTDL−ICAでは、各受信信号に対して、一様に同数のタップ遅延数によりタップ遅延処理が実行されるので、ICAの分離性能を向上させることができないという問題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、受信素子毎に異なるタップ遅延数を適切に選択して、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることを目的とする。
この発明に係る信号分離装置は、複数の入射信号が混信した信号を、複数の受信素子を介して受信信号群として受信し、受信信号群から各入射信号を分離して出力する信号分離装置であって、受信信号群の各受信信号について、受信素子およびタップ遅延数を選択する選択手段と、選択された受信素子およびタップ遅延数に応じてタップ遅延処理を実行し、受信信号ベクトルを生成するタップ遅延処理手段と、受信信号ベクトルに独立成分分析を適用して混合行列を推定し、この混合行列の逆行列を受信信号ベクトルに乗算することにより、各入射信号を分離する独立成分分析処理手段と、を備え、選択手段は、混合行列から算出される信号数分の固有値について、全ての固有値が零とならない条件1、固有値間の差異が所定の値以下となる条件2および固有値の和が所定の値以上となる条件3のうち、条件1を満たしながら、条件2および条件3の少なくとも一方を満たすように、受信素子およびタップ遅延数を選択するものである。
この発明に係る信号分離装置によれば、受信信号群の各受信信号について、受信素子およびタップ遅延数を選択する選択手段は、混合行列から算出される信号数分の固有値について、全ての固有値が零とならない条件1、固有値間の差異が所定の値以下となる条件2および固有値の和が所定の値以上となる条件3のうち、条件1を満たしながら、条件2および条件3の少なくとも一方を満たすように、受信素子およびタップ遅延数を選択する。ここで、固有値間の差異が小さくなるほど、または固有値の和が大きくなるほど、ICAの分離性能が高くなるという関係がある。そのため、受信素子毎に異なるタップ遅延数を適切に選択して、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係る信号分離装置を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部の動作を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果を示す別の説明図である。 この発明の実施の形態2に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果を示す別の説明図である。 この発明の実施の形態3に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態4に係る信号分離装置を示すブロック構成図である。 ICA処理を実行する従来の信号分離装置を示すブロック構成図である。 TDL−ICA処理を実行する従来の信号分離装置を示すブロック構成図である。
以下、この発明の信号分離装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
なお、ICAの分離性能は、上述した混合行列Aから算出される固有値と関連している。混合行列Aの固有値は、次式(8)で表される。
Figure 0005268964
式(8)において、ξは、全ての固有値を降順に並べたときの第j番目の固有値を示し、上記のようにJ個の固有値が算出される。これは、信号空間の固有値であり、入射信号数Jと同数求められる。
なお、混合行列AをI×J(J≦I)行列と仮定すると、上記の固有値は、次式(9)で表される固有値を降順に並べたときの最初のJ個の固有値と同じである。
Figure 0005268964
また、実際には、混合行列Aは未知なので、受信された受信信号群からこれらの固有値が推定される。
ここで、まず、受信信号群から各入射信号を分離するための条件として、固有値が零とならないことが必要とされる。すなわち、次式(10)が成立する必要がある。
Figure 0005268964
なお、固有値は負の値をとらないので、式(10)を次式(11)のように書き替えてもよい。
Figure 0005268964
次に、固有値間の差異が小さくなるほど、または固有値の和が大きくなるほど、ICAの分離性能は高くなる。そこで、これらの条件をまとめると、高い分離性能を得るように受信素子およびタップ遅延数を選択するためには、タップ遅延処理後の混合行列Aから算出される信号空間のJ個の固有値(実際には、受信信号群から推定される固有値)が、以下の条件1〜3を満たせばよい。
条件1:全ての固有値が零とならない(または、全ての固有値が零よりも大きい)。
条件2:固有値間の差異が所定の値以下となる。
条件3:固有値の和が所定の値以上となる。
なお、ここでは、条件1を満たしながら、条件2および条件3の少なくとも一方を満たすように、受信素子およびタップ遅延数を選択するのが適切である。
したがって、この発明の信号分離装置では、タップ遅延処理後の混合行列から算出される固有値(受信信号群から推定される固有値)が、条件1を満たしながら、条件2および条件3の少なくとも一方を満たすように、受信素子およびタップ遅延数を選択してタップ遅延処理を実行する。
ここで、上記条件1〜3を達成するための指標値として、例えば条件数や精度低下率(Dilution of Precision、以下「DOP」と称する)を用いることができる。
条件数を固有値で表記すると、次式(12)で表される。
Figure 0005268964
式(12)において、最小固有値ξが零の場合には、条件数condが無限大になってしまうことから分かるように、式(12)を小さくすれば、上記条件1が成立する。また、条件数condを小さくするとは、最大固有値ξと最小固有値ξとの差が小さくなることを意味し、さらに、残りの固有値が最大固有値ξと最小固有値ξとの間の値をとるので、固有値間の差異を小さくすることにつながり、上記条件2が成立する。したがって、条件数condを小さくすることにより、上記条件1および条件2を満たすことができる。
また、DOPを固有値で表記すると、次式(13)で表される。
Figure 0005268964
式(13)において、固有値が零の場合には、DOPが無限大になってしまうことから分かるように、式(13)を小さくすれば、上記条件1が成立する。また、一般的に、任意の実数a〜aに対して、逆数の平均は、平均の逆数に最小上界を与えることから、次式(14)で表される不等式が成立する。
Figure 0005268964
式(14)において、左辺は、DOPの形を有する次式(15)で表される項を含み、右辺は、固有値の和の形を有する次式(16)で表される項を含んでいる。
Figure 0005268964
Figure 0005268964
ここで、DOPを小さくすることは、式(14)の左辺を小さくすることになり、右辺はそれよりも小さくなる。式(14)の右辺が小さくなることは、その分母にある固有値の和が大きくなることなので、上記条件3が成立する。さらに、最小解が得られた場合には、固有値が互いに等しいので、固有値間の差異を小さくすることにつながり、上記条件2が成立する。したがって、DOPを小さくすることにより、上記条件1〜3を満たすことができる。
以下の実施の形態では、条件数やDOPの他にも様々な指標値を挙げながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置を示すブロック構成図である。
図1において、この信号分離装置は、複数の入射信号が混信した信号を、複数の受信素子を介して受信信号群として受信し、受信信号群から各入射信号を分離して出力する。また、この信号分離装置は、受信素子・タップ遅延数選択部(選択手段)1と、タップ遅延処理部(タップ遅延処理手段)2と、ICA処理部(独立成分分析処理手段)3とを備えている。すなわち、この信号分離装置は、図11に示した信号分離装置に加えて、受信素子・タップ遅延数選択部1を備えた構成となっている。
以下、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置の動作について説明する。
受信素子・タップ遅延数選択部1は、受信信号群xの各受信信号について、受信素子およびタップ遅延数を選択する。このとき、受信素子・タップ遅延数選択部1は、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択する。
タップ遅延処理部2は、受信素子・タップ遅延数選択部1で選択された受信素子およびタップ遅延数に応じてタップ遅延処理を実行し、受信信号ベクトルx(チルダ)を生成する。
ICA処理部3は、受信信号ベクトルx(チルダ)に独立成分分析を適用して推定混合行列A(ハット)を推定し、この推定混合行列A(ハット)の擬似逆行列を受信信号ベクトルx(チルダ)に乗算することにより、各入射信号が分離され、分離信号ベクトルs(ハット)が、互いに独立な信号として得られる。
図2は、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部1を示すブロック構成図である。
図2において、受信素子・タップ遅延数選択部1は、最大タップ遅延数設定部(Nmax設定部)11と、初期値設定部12と、候補選択部13と、タップ遅延処理演算部14と、条件数演算部15と、最小判定部16と、第1選択終了判定部17と、最適値付加部18と、第2選択終了判定部19とを有している。
以下、図3を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る受信素子・タップ遅延数選択部1の動作について説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部1の動作を示す説明図である。
まず、第i受信素子で受信された受信信号を、タップ遅延数nだけタップ遅延処理して得られる受信信号をx(k−n)とする。また、タップ遅延処理後に得られた受信信号数の合計をL個とする。
ここで、受信信号ベクトルx(チルダ)に、L個のタップ遅延処理後の受信信号が含まれているとすると、タップ遅延処理後の混合行列の条件数condは、受信信号ベクトルx(チルダ)に基づいて、次式(17)、(18)のように推定される。
Figure 0005268964
Figure 0005268964
式(17)、(18)において、λ(l=1,・・・,L)は、受信信号ベクトルx(チルダ)の共分散行列の固有値を降順に並べたときの、第l番目の固有値を示している。
受信素子・タップ遅延数選択部1は、式(17)の値が最小値となるような受信素子番号iおよびタップ遅延数nを選択する。すなわち、受信素子・タップ遅延数選択部1は、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるようなL個の受信信号x(k−n)を選択する。
最大タップ遅延数設定部11は、選択可能なタップ遅延数の上限値Nmaxを設定する。なお、タップ遅延数の上限値Nmaxは、信号処理の性能に応じてあらかじめ設定される値であってもよい。
初期値設定部12は、最適解の初期値として、受信信号x(k)を割り当てる。このとき、上述したlは受信素子数Iと等しい値となる。
候補選択部13、タップ遅延処理演算部14、条件数演算部15、最小判定部16、第1選択終了判定部17および最適値付加部18は、タップ遅延数の上限値Nmaxの範囲内において、任意の受信素子番号iおよび任意のタップ遅延数nを1つ選択し、得られた受信信号x(k−n)を最適解に加えて混合行列の条件数を評価する。また、候補選択部13、タップ遅延処理演算部14、条件数演算部15、最小判定部16、第1選択終了判定部17および最適値付加部18は、この処理を最適解に含まれない全ての候補に対して実行し、混合行列の条件数が最小になるものを選択して最適解に加える。
以下、各部の動作について説明する。
候補選択部13は、未だ選択されていない任意の受信素子番号iおよび任意のタップ遅延数nを1つ選択する。
タップ遅延処理演算部14は、候補選択部13で選択された受信素子番号iおよびタップ遅延数nに応じてタップ遅延処理を実行する。
条件数演算部15は、候補選択部13で選択された受信信号x(k−n)を含めた受信信号について、上記式(17)、(18)により、混合行列の条件数condを演算する。なお、条件数演算部15は、混合行列から算出される各種指標値を用いてもよい。ここでは、一例として、条件数を用いる場合について説明する。
最小判定部16は、候補選択部13でこれまでに選択された受信信号x(k−n)を含めた受信信号について演算された条件数の最小値と、今回選択された受信信号x(k−n)を含めた受信信号について演算された条件数とを比較する。また、最小判定部16は、比較の結果、今回の条件数の方が小さい場合には、これまでの条件数の最小値を破棄して今回の条件数を新たな最小値として保存し、そうでない場合には、これまでの条件数の最小値を維持する。
第1選択終了判定部17は、未だ選択されていない全ての候補について、最小判定部16による比較処理が終了したか否かを判定する。このとき、第1選択終了判定部17は、比較処理が終了していない場合には、再度候補選択部13に処理を戻し、終了している場合には、混合行列の条件数が最小値となる受信素子番号iおよびタップ遅延数nとともに、保存されている条件数の最小値selを出力する。これにより、1個の受信素子番号iおよびタップ遅延数nが選択される。
最適値付加部18は、これまでの最適解に、第1選択終了判定部17から出力された最小値selを加える。
第2選択終了判定部19は、候補選択部13、タップ遅延処理演算部14、条件数演算部15、最小判定部16、第1選択終了判定部17および最適値付加部18による処理が、L個の受信素子番号iおよびタップ遅延数nが選択されるまで繰り返されたか否かを判定する。このとき、第2選択終了判定部19は、L個選択されていない場合には、再度候補選択部13に処理を戻し、L個選択されている場合には、受信素子・タップ遅延数選択部1の処理を終了し、選択されたL個の受信素子番号iおよびタップ遅延数nを出力する。なお、受信素子・タップ遅延数選択部1の処理は、最小化処理であるが、最小化処理はこの方法に限定されず、別の方法であってもよい。
次に、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置によるシミュレーション結果を示す。ここでは、例として、3個の受信素子で4波の入射信号を信号分離処理した場合の結果を示す。このとき、タップ遅延処理後に得られる受信信号数の合計Lは12となる。また、選択可能なタップ遅延数の上限値Nmaxを10(0〜9まで選択可能)とした。
図4は、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果、選択されたL個の受信素子番号およびタップ遅延数を、従来の信号分離装置と比較して示す説明図である。また、図5は、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果得られるICAの分離性能および混合行列の条件数を、従来の信号分離装置と比較して示す説明図である。
図4より、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置では、全受信素子に対して一様ではなく、受信素子毎に異なるタップ遅延数が選択されていることが分かる。また、図5より、この発明の実施の形態1に係る信号分離装置では、混合行列の条件数が従来の信号分離装置よりも小さくなった結果、ICAの分離性能が従来の信号分離装置よりも向上していることが分かる。
以上のように、実施の形態1によれば、受信信号群の各受信信号について受信素子およびタップ遅延数を選択する選択手段は、タップ遅延数の上限値の範囲内において、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択する。ここで、混合行列の条件数が小さくなるほど、ICAの分離性能が高くなるという関係がある。そのため、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
なお、上記実施の形態1では、受信素子・タップ遅延数選択部1が、受信信号群xの各受信信号について、受信素子およびタップ遅延数を選択すると説明した。しかしながら、これに限定されず、受信素子・タップ遅延数選択部1は、受信素子数Iが入射信号数Jよりも多い場合に、タップ遅延数として0を選択し、混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子のみを選択してもよい。
このとき、図2に示した最大タップ遅延数設定部11およびタップ遅延処理演算部14は、タップ遅延数として0が選択されるので、機能しない。また、初期値設定部12は、最適解の初期値として、ある受信素子について、受信信号x(k)を割り当てる。ここで、上述したlは1となる。また、候補選択部13は、未だ選択されていない任意の受信素子番号iを1つ選択する。
また、第2選択終了判定部19は、候補選択部13、条件数演算部15、最小判定部16、第1選択終了判定部17および最適値付加部18による処理が、L個の受信素子番号iが選択されるまで繰り返されたか否かを判定する。このとき、第2選択終了判定部19は、L個選択されていない場合には、再度候補選択部13に処理を戻し、L個選択されている場合には、受信素子・タップ遅延数選択部1の処理を終了し、選択されたL個の受信素子番号iを出力する。その他の動作は、上記実施の形態1と同様であるが、受信信号x(k−n)は、全て受信信号x(k)となる。
この場合には、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、選択手段における演算量を低減して演算負荷を軽減し、演算時間を短縮することができる。
また、上記実施の形態1において、受信素子・タップ遅延数選択部1は、I個の受信素子からいくつかの受信素子を選択し、選択された受信素子およびタップ遅延数の上限値Nmaxの範囲内において、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択してもよい。
このとき、図2に示した初期値設定部12は、最適解の初期値として、選択された受信素子について、受信信号x(k)を割り当てる。また、候補選択部13は、選択されなかった受信素子を除外した上で、未だ選択されていない任意の受信素子番号iおよび任意のタップ遅延数nを1つ選択する。その他の動作は、上記実施の形態1と同様である。
この場合には、受信素子を選択した状態で、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、受信素子・タップ遅延数選択部1が、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択すると説明した。しかしながら、これに限定されず、受信素子・タップ遅延数選択部1は、タップ遅延処理後の混合行列から算出されるDOPが最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択してもよい。
以下、受信素子・タップ遅延数選択部1が、タップ遅延処理後の混合行列から算出されるDOPを最小値とするように、受信素子およびタップ遅延数を選択する処理について説明する。
なお、この発明の実施の形態2に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部1は、図2に示した条件数演算部15に代えて、DOP演算部(図示せず)を有している。信号分離装置のその他の構成および機能は、上述した実施の形態1と同様である。
まず、受信信号ベクトルx(チルダ)に、L個のタップ遅延処理後の受信信号が含まれているとすると、タップ遅延処理後の混合行列から算出されるDOPは、受信信号ベクトルx(チルダ)に基づいて、次式(19)のように推定される。
Figure 0005268964
式(19)において、σは、上記式(18)に示したσと同一のものである。
DOP演算部は、候補選択部13で選択された受信信号x(k−n)を含めた受信信号について、上記式(19)、(18)により、DOPを算出する。
すなわち、受信素子・タップ遅延数選択部1は、式(19)の値が最小値となるような受信素子番号iおよびタップ遅延数nを選択する。言い換えると、受信素子・タップ遅延数選択部1は、タップ遅延処理後の混合行列から算出されるDOPが最小値となるようなL個の受信信号x(k−n)を選択する。
次に、この発明の実施の形態2に係る信号分離装置によるシミュレーション結果を示す。シミュレーションの条件は、上記実施の形態1と同様である。
図6は、この発明の実施の形態2に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果、選択されたL個の受信素子番号およびタップ遅延数を、従来の信号分離装置と比較して示す説明図である。また、図7は、この発明の実施の形態2に係る信号分離装置によるシミュレーションの結果得られるICAの分離性能を、上記実施の形態1および従来の信号分離装置と比較して示す説明図である。
図6、7より、この発明の実施の形態2に係る信号分離装置では、全受信素子に対して一様ではなく、受信素子毎に異なるタップ遅延数が選択されることにより、ICAの分離性能が従来の信号分離装置よりも向上していることが分かる。
以上のように、実施の形態2によれば、受信信号群の各受信信号について受信素子およびタップ遅延数を選択する選択手段は、タップ遅延数の上限値の範囲内において、タップ遅延処理後の混合行列から算出されるDOPが最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択する。ここで、DOPが小さくなるほど、ICAの分離性能が高くなるという関係がある。そのため、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
なお、上記実施の形態1、2では、ICAの分離性能の指標値として条件数やDOPを用いることにより、タップ遅延処理後の受信信号の総数を変えることなく、ICAの分離性能を向上させている。しかしながら、指標値は、条件数やDOPに限定されるものではなく、これらの指標値を若干変更した指標値や、これらの指標値をある定数値で加減乗除した関数や、その拡張形であっても、同様にICAの分離性能を向上させることができる。
例えば、このような指標値として、以下に示す関数を挙げることができる。
まず、次式(20)で表される条件数の拡張が考えられる。
Figure 0005268964
式(20)は、e=1/2、j=1、j=Jの場合に、条件数に帰着する。
また、次式(21)で表されるDOPの拡張が考えられる。
Figure 0005268964
式(21)は、α=1、β=1の場合に、DOPに帰着する。
また、次式(22)で表されるg(拡張された条件数)およびh(拡張されたDOP)の重み付け和が考えられる。
Figure 0005268964
式(22)は、a=1、b=0、c=1、d=1の場合に上記式(20)に帰着し、a=0、b=1、c=1、d=1の場合に上記式(21)に帰着する。
また、次式(23)で表されるg(拡張された条件数)およびh(拡張されたDOP)の積が考えられる。
Figure 0005268964
さらに、例えば以下に示した指標値を用いた最適化問題を解いてもよい。
まず、次式(24)で表されるように、固有値が零でないという条件下(上記条件1)での固有値の和の最大化(上記条件3)が考えられる。
Figure 0005268964
また、次式(25)で表されるように、固有値が零でないという条件下(上記条件1)での固有値間の差異の最小化(上記条件2)が考えられる。
Figure 0005268964
実際にこれらの指標値を最小化する場合には、上記式(17)や式(19)のときと同様に、ξ=λ−σの関係を用いて各指標値を最小化し、同様の最小化手法で最小化すればよい。具体的には、図2に示した条件数演算部15を、上記何れかの指標値演算部に置き換えればよい。また、指標値を最大化する場合には、図2に示した最小判定部16を最大判定部に置き換えればよい。
実施の形態3.
上記実施の形態1、2では、受信素子・タップ遅延数選択部が、最小化処理により、タップ遅延処理後の混合行列から算出される各種指標値が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数を選択すると説明した。しかしながら、これに限定されず、受信素子・タップ遅延数選択部は、混合行列から算出される各種指標値が所定値よりも小さくなるように、受信素子およびタップ遅延数を選択すればよい。
以下、条件数を例にとって、受信素子・タップ遅延数選択部が、混合行列の条件数が所定値よりも小さくなるように、受信素子およびタップ遅延数を選択する処理について説明する。なお、混合行列から算出される各種指標値を用いても原理は同じである。
図8は、この発明の実施の形態3に係る信号分離装置の受信素子・タップ遅延数選択部1Aを示すブロック構成図である。
図8において、受信素子・タップ遅延数選択部1Aは、組み合わせ候補選択部21と、タップ遅延処理演算部22と、条件数演算部23と、条件数判定部24とを有している。
以下、この発明の実施の形態3に係る受信素子・タップ遅延数選択部1Aの動作について説明する。
組み合わせ候補選択部21は、L個の受信信号x(k−n)からなる組み合わせの候補を選択する。
タップ遅延処理演算部22は、組み合わせ候補選択部21で選択された組み合わせに含まれる各受信信号x(k−n)の受信素子番号iおよびタップ遅延数nに応じて、タップ遅延処理を実行する。
条件数演算部23は、組み合わせ候補選択部21で選択されたL個の受信信号x(k−n)について、上記式(17)、(18)により、混合行列の条件数condを演算する。
条件数判定部24は、条件数演算部23で演算された条件数が、あらかじめ設定された所定値よりも小さいか否かを判定する。このとき、条件数判定部24は、条件数演算部23で演算された条件数が所定値以上の場合には、再度組み合わせ候補選択部21に処理を戻し、条件数が所定値よりも小さい場合には、受信素子・タップ遅延数選択部1Aの処理を終了し、選択されたL個の受信素子番号iおよびタップ遅延数nを出力する。
以上のように、実施の形態3によれば、受信信号群の各受信信号について、受信素子およびタップ遅延数を選択する選択手段は、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が所定値よりも小さくなるように、受信素子およびタップ遅延数を選択する。そのため、実施の形態1、2と同様に、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
また、実施の形態1、2と比較して、選択手段における演算量を低減することができるので、選択手段にかかる演算負荷を軽減するとともに、演算時間を短縮することができる。
なお、上記実施の形態3では、受信素子・タップ遅延数選択部1Aが、混合行列の条件数が所定値よりも小さくなるように、受信素子およびタップ遅延数を選択すると説明した。しかしながら、これに限定されず、受信素子・タップ遅延数選択部1Aは、受信素子数Iが入射信号数Jよりも多い場合に、タップ遅延数として0を選択し、混合行列の条件数が所定値よりも小さくなるように、受信素子のみを選択してもよい。
このとき、図8に示した組み合わせ候補選択部21は、L個の受信信号x(k)からなる組み合わせの候補を選択する。また、タップ遅延処理演算部22は、タップ遅延数として0が選択されるので、機能しない。その他の動作は、上記実施の形態3と同様であるが、受信信号x(k−n)は、全て受信信号x(k)となる。
この場合には、上記実施の形態3と同様の効果を得ることができるとともに、さらに選択手段における演算量を低減して演算負荷を軽減し、演算時間を短縮することができる。
また、上記実施の形態3において、受信素子・タップ遅延数選択部1Aは、I個の受信素子からいくつかの受信素子を選択し、選択された受信素子の範囲内において、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が所定値よりも小さくなるように、受信素子およびタップ遅延数を選択してもよい。
このとき、図8に示した組み合わせ候補選択部21は、選択されなかった受信素子を除外した上で、L個の受信信号x(k−n)からなる組み合わせの候補を選択する。その他の動作は、上記実施の形態3と同様である。
この場合には、受信素子を選択した状態で、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
また、上記実施の形態3では、ICAの分離性能の指標値として条件値を例にとって説明した。しかしながら、これに限定されず、ICAの分離性能の指標値として、条件数に代えて、実施の形態2で示したDOPを用いてもよい。具体的には、図8に示した条件数演算部23を、DOPを算出するDOP演算部に置き換えればよい。
この場合も、上記実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
また、ICAの分離性能の指標値として、条件数およびDOPに代えて、実施の形態2で示した各種指標値を用いてもよい。具体的には、図8に示した条件数演算部23を、上記実施の形態2で示した各種指標値のうちの何れかの指標値演算部に置き換えればよい。
この場合も、上記実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
ICAでは、逐次観測される信号が、時間ブロック毎に次々と処理される。また、電波環境も時々刻々と変化する。上記実施の形態1、2では、時々刻々と変化する電波環境に対応しながら、入力される時間ブロック毎の信号を次々と処理するために、ICA処理毎に、すなわち、複数の入射信号が受信信号群として受信される毎に、受信素子・タップ遅延数選択部が、受信素子およびタップ遅延数を選択すると説明した。
しかしながら、ICA処理毎に受信素子・タップ遅延数選択部が受信素子およびタップ遅延数を選択すると、処理効率が低下する恐れがある。そのため、混合行列の条件数が大きくなった場合にのみ、受信素子およびタップ遅延数を再度選択して更新することが考えられる。
以下、混合行列の条件数をモニタしておき、条件数が所定のしきい値を超えた場合に、受信素子・タップ遅延数選択部が、受信素子およびタップ遅延数を再度選択する処理について説明する。なお、この処理は、上述した実施の形態3にも適用することができる。また、条件数の代わりに、混合行列から算出される各種指標値を用いてもよいが、ここでは条件数を例にとって説明する。
図9は、この発明の実施の形態4に係る信号分離装置を示すブロック構成図である。
図9において、この信号分離装置は、図1に示した信号分離装置に加えて、スイッチ(スイッチング手段)4と、条件数算出部(条件数算出手段)5と、しきい値判定部(しきい値判定手段)6とを備えている。
以下、この発明の実施の形態4に係る信号分離装置の動作について説明する。なお、実施の形態1と同様の動作については、説明を省略する。
スイッチ4は、信号分離装置が受信した受信信号群を受信素子・タップ遅延数選択部1に入力するか否かを選択する。
条件数算出部5は、ICA処理部3でのICAにおいて実行される主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)で得られた固有値に基づいて、上記式(17)、(18)により、混合行列の条件数condを算出する。
しきい値判定部6は、条件数算出部5で算出された条件数が所定のしきい値よりも大きい場合に、スイッチ4をオン状態として受信信号群を受信素子・タップ遅延数選択部1に入力する。また、しきい値判定部6は、条件数算出部5で算出された条件数が所定のしきい値以下の場合に、スイッチ4をオフ状態として受信信号群を受信素子・タップ遅延数選択部1に入力しない。
続いて、この発明の実施の形態4に係る信号分離装置の動作を、時間の経過に沿って説明する。
まず、信号分離装置に最初の受信信号群が受信される。このとき、スイッチ4はオン状態となっており、受信素子・タップ遅延数選択部1では、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数が選択される。受信素子・タップ遅延数選択部1での選択処理が終了すると、スイッチ4はオフ状態となる。
次に、タップ遅延処理部2では、受信素子・タップ遅延数選択部1で選択された受信素子およびタップ遅延数に応じてタップ遅延処理が実行され、受信信号x(チルダ)(k)が生成される。
続いて、ICA処理部3では、受信信号x(チルダ)(k)に対してICA処理が実行され、この時間ブロックにおける分離信号が得られる。このとき、ICA処理部3は、ICA処理において実行されるPCAで得られた固有値を、条件数算出部5に出力する。PCAでは、固有値分解を行うので、上記式(17)、(18)による演算に必要な固有値λ(l=1,・・・,L)を得ることができる。
次に、条件数算出部5では、ICA処理部3からの固有値に基づいて、上記式(17)、(18)により、混合行列の条件数condが算出される。
続いて、しきい値判定部6では、条件数算出部5で算出された条件数が、あらかじめ設定された所定のしきい値よりも大きいか否かが判定される。
ここで、しきい値判定部6は、条件数算出部5で算出された条件数が所定のしきい値以下の場合には、低い条件数が維持されていると判断し、スイッチ4をオフ状態のままとする。このとき、タップ遅延処理部2では、次の時間ブロックの信号に対して、前回と同じ受信素子およびタップ遅延数に応じてタップ遅延処理が実行され、受信信号x(チルダ)(k)が生成される。
これに対して、しきい値判定部6は、条件数算出部5で算出された条件数が所定のしきい値よりも大きい場合には、条件数が大きくなったと判断し、スイッチ4をオン状態とする。このとき、受信信号群が受信素子・タップ遅延数選択部1に入力され、受信素子・タップ遅延数選択部1では、タップ遅延処理後の混合行列の条件数が最小値となるように、受信素子およびタップ遅延数が再度選択される。受信素子・タップ遅延数選択部1での選択処理が終了すると、スイッチ4は再度オフ状態となる。また、タップ遅延処理部2では、次の時間ブロックの信号に対して、新たに選択された受信素子およびタップ遅延数に応じてタップ遅延処理が実行され、受信信号x(チルダ)(k)が生成される。
以上のように、実施の形態4によれば、しきい値判定手段は、条件数算出手段で算出された条件数が所定のしきい値よりも大きい場合に、スイッチング手段をオン状態として受信信号群を選択手段に入力する。これにより、混合行列の条件数が、常時所定のしきい値以下に維持された状態で、独立成分分析処理手段での処理を実行することができるので、処理効率を低下させることなく、ICAの分離性能を向上させることができる信号分離装置を得ることができる。
また、上記実施の形態4では、ICAの分離性能の指標値として条件値を例にとって説明した。しかしながら、これに限定されず、ICAの分離性能の指標値として、条件数に代えて、実施の形態2で示したDOPを用いてもよい。具体的には、図9に示した受信素子・タップ遅延数選択部1中の条件数演算部15および条件数算出部5を、DOP演算部およびDOP算出部に置き換えればよい。
この場合も、上記実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
また、ICAの分離性能の指標値として、条件数およびDOPに代えて、実施の形態2で示した各種指標値を用いてもよい。具体的には、図9に示した受信素子・タップ遅延数選択部1中の条件数演算部15および条件数算出部5を、上記実施の形態2で示した各種指標値のうちの何れかの指標値演算部および指標値算出部に置き換えればよい。
この場合も、上記実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
1、1A 受信素子・タップ遅延数選択部(選択手段)、2 タップ遅延処理部(タップ遅延処理手段)、3 ICA処理部(独立成分分析処理手段)、4 スイッチ(スイッチング手段)、5 条件数算出部(条件数算出手段)、6 しきい値判定部(しきい値判定手段)。

Claims (10)

  1. 複数の入射信号が混信した信号を、複数の受信素子を介して受信信号群として受信し、前記受信信号群から各入射信号を分離して出力する信号分離装置であって、
    前記受信信号群の各受信信号について、受信素子およびタップ遅延数を選択する選択手段と、
    選択された受信素子およびタップ遅延数に応じてタップ遅延処理を実行し、受信信号ベクトルを生成するタップ遅延処理手段と、
    前記受信信号ベクトルに独立成分分析を適用して混合行列を推定し、この混合行列の逆行列を前記受信信号ベクトルに乗算することにより、前記各入射信号を分離する独立成分分析処理手段と、を備え、
    前記選択手段は、前記混合行列から算出される信号数分の固有値について、全ての固有値が零とならない条件1、固有値間の差異が所定値以下となる条件2および固有値の和が所定値以上となる条件3のうち、前記条件1を満たしながら、前記条件2および前記条件3の少なくとも一方を満たすように、前記受信素子およびタップ遅延数を選択する
    ことを特徴とする信号分離装置。
  2. 前記選択手段は、指標値として前記混合行列の条件数を用い、前記条件1および前記条件2を満たすように、前記受信素子およびタップ遅延数を選択することを特徴とする請求項1に記載の信号分離装置。
  3. 前記選択手段は、指標値として前記混合行列から算出されるDOPを用い、前記条件1、前記条件2および前記条件3を満たすように、前記受信素子およびタップ遅延数を選択することを特徴とする請求項1に記載の信号分離装置。
  4. 前記選択手段は、指標値として、拡張された条件数、拡張されたDOP、前記拡張された条件数および前記拡張されたDOPの重み付け和、並びに前記拡張された条件数および前記拡張されたDOPの積の何れかを用いることを特徴とする請求項1に記載の信号分離装置。
  5. 前記選択手段は、前記タップ遅延数の上限値の範囲内において、前記混合行列から算出される固有値が、前記条件2については最小値となるように、前記条件3については最大値となるように、前記受信素子およびタップ遅延数を選択する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の信号分離装置。
  6. 前記選択手段は、前記受信素子の数が前記入射信号の数よりも多い場合に、前記タップ遅延数として0を選択し、前記混合行列から算出される固有値が、前記条件2については所定値よりも小さくなるように、前記条件3については所定値よりも大きくなるように、前記受信素子を選択する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の信号分離装置。
  7. 前記選択手段は、前記混合行列から算出される固有値が、前記条件2については最小値となるように、前記条件3については最大値となるように、前記受信素子を選択する
    ことを特徴とする請求項6に記載の信号分離装置。
  8. 前記選択手段は、前記複数の受信素子からいくつかの受信素子を選択し、選択された受信素子の範囲内において、前記混合行列から算出される固有値が、前記条件2については所定値よりも小さくなるように、前記条件3については所定値よりも大きくなるように、前記タップ遅延数を選択する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の信号分離装置。
  9. 前記選択手段は、前記選択された受信素子および前記タップ遅延数の上限値の範囲内において、前記混合行列から算出される固有値が、前記条件2については最小値となるように、前記条件3については最大値となるように、前記タップ遅延数を選択する
    ことを特徴とする請求項8に記載の信号分離装置。
  10. 前記受信信号群を前記選択手段に入力するか否かを選択するスイッチング手段と、
    前記独立成分分析処理手段での独立成分分析において実行される主成分分析で得られた固有値に基づいて、前記混合行列の前記指標値を算出する指標値算出手段と、
    前記指標値算出手段で算出された指標値が、前記条件2については所定のしきい値よりも大きく、前記条件3については所定のしきい値よりも小さい場合に、前記スイッチング手段をオン状態として前記受信信号群を前記選択手段に入力し、前記指標値算出手段で算出された指標値が、前記条件2については所定のしきい値以下で、前記条件3については所定のしきい値以上の場合に、前記スイッチング手段をオフ状態として前記受信信号群を前記選択手段に入力しないしきい値判定手段と、をさらに備えた
    ことを特徴とする請求項2から請求項9までの何れか1項に記載の信号分離装置。
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