JP5268658B2 - 連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、先行材と後行材の断面積差により、接続部通過中に一定期間設定電力をダウンさせ、そのダウン率と設定変更位置を制御することにより、加熱過不足を減少するとしているが、この電気抵抗の変化が考慮されていないため、特許文献2の技術では、加熱過不足の程度は十分解消されず、実際には、最大で2Lの長さの加熱過不足部が発生するという問題がある。
前記第1、第2のコンダクターロールの間を前記接続部が通過する間に、前記第1、第2のコンダクターロールによって抵抗加熱する抵抗加熱電力を、前記先行材に適した電力Aから、前記後行材に適した電力Bに徐々に又は段階的に変え、更に前記第1、第2のコンダクターロールの抵抗加熱電力を変えること及び前記第1、第2のコンダクターロール間の電気抵抗の変化によって生じる前記錫めっきストリップに発生する加熱温度の過不足分を計算して、該過不足分を前記誘導加熱装置による加熱で補償し、前記クエンチタンク直前での前記錫めっきストリップの加熱温度を一定にした。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るリフロー加熱電力制御方法が適用される連続錫めっき設備の説明図、図2は先行材の断面積が後行材の断面積より大きい場合において、接続部が第1、第2のコンダクターロール間を通過する際の加熱電力の制御の説明図であって、(A)は抵抗加熱への設定電力の変化を、(B)は錫めっきストリップの合成抵抗値の変化を、(C)は設定電力及び合成抵抗値に対応する瞬時電流値の変化を、(D)は誘導加熱装置に対し補償する補償電力の変化をそれぞれ示し、(E)は接続部が第1、第2のコンダクターロール間を移動する状態を模式的に示しており、図3は先行材の断面積が後行材の断面積より小さい場合において、接続部が第1、第2のコンダクターロール間を通過する際の加熱電力の制御の説明図であって、(A)は抵抗加熱への設定電力の変化を、(B)は錫めっきストリップの合成抵抗値の変化を、(C)は設定電力及び合成抵抗値に対応する瞬時電流値の変化を、(D)は誘導加熱装置に対し補償する補償電力の変化をそれぞれ示し、(E)は接続部が第1、第2のコンダクターロール間を移動する状態を模式的に示している。
図1に示すように、連続錫めっき設備10のリフロー加熱電力制御方法では、図示しない錫めっき槽から連続的に送られ、途中に先行材11と後行材12の接続部13を有する錫めっきストリップ14を第1、第2のコンダクターロール15、16を備えた抵抗加熱装置17で抵抗加熱し、かつ第1、第2のコンダクターロール15、16の間に配置された誘導加熱装置18で誘導加熱し、これらで加熱された錫めっきストリップ14をクエンチタンク19で急冷してリフロー処理を行っている。
ここで、先行材11に適した電力AをPCS1、後行材12に適した電力BをPCS2とおくと、抵抗加熱電力PCS´は、
PCS´=PCS1×((L2−L1a)/L2)+PCS2×(L1a/L2) ・・・・・(1)
となる。なお、L1a(m)は第1のコンダクターロール15と接続部13との間の距離(トラッキング距離)であり、L2(m)は第1のコンダクターロール15と第2のコンダクターロール16間の距離である(図2(E)参照)。従って、抵抗加熱装置17の制御盤26は、接続部通過時抵抗加熱電力演算部37からの指示に基づいて、第1、第2のコンダクターロール15、16の間に抵抗加熱電力PCS´を供給する。
Ra=R1a+R2a
=ρ×[{(L2−L1a)/(b1×d1)}+{L1a/(b2×d2)}] ・・・・・(2)
となる。ここで、R1aは第1、第2のコンダクターロール15、16の間における先行材11の電気抵抗、R2aは第1、第2のコンダクターロール15、16の間における後行材12の電気抵抗、ρは先、後行材11、12の抵抗率(Ωmm2/m)、b1は先行材11の幅(mm)、d1は先行材11の厚み(mm)、b2は後行材12の幅(mm)、d2は後行材12の厚み(mm)である。そして、接続部13が第1、第2のコンダクターロール15、16の間を移動する際の合成抵抗値Raから抵抗加熱電力PCS´に対応する瞬時電流値Ia(A)は、
Ia=(PCS´×103/Ra)1/2 ・・・・・(3)
となる。
I1=(PCS1×103/R1)1/2 ・・・・・(4)
I2=(PCS2×103/R2)1/2 ・・・・・(5)
となるので、先行材11及び後行材12は、本来流すべき電流I1、I2と実際に流れている瞬時電流値Iaの差に依存した瞬時熱量過不足がそれぞれ発生しているとして、先行材11におけるこの瞬時過不足熱量ΔQcd1(kcal)を、
ΔQcd1=±0.2389×(Ia−I1)2×R1a×Δts×10−3 ・・・・・(6)
として求める。ここで、ΔQcd1の符号は、PCS1>PCS2のとき−、PCS1<PCS2のとき+である。
ΔQcd2=±0.2389×(Ia−I2)2×R2a×Δts×10−3 ・・・・・(7)
として求める。ここで、ΔQcd2の符号は、PCS1>PCS2のとき+、PCS1<PCS2のとき−である。なお、Δts(sec)はトラッキングのサンプリング時間である。
そして、瞬時過不足熱量ΔQcd1、ΔQcd2から、次式を用いて先行材11及び後行材12における瞬時先行材過不足温度ΔTcd1(℃)、瞬時後行材過不足温度ΔTcd2(℃)をそれぞれ求める。
ΔTcd1=ΔQcd1/{C×γ×b1×d1×(L2−L1a)} ・・・・・(8)
ΔTcd2=ΔQcd2/(C×γ×b2×d2×L1a) ・・・・・(9)
ここで、C(kcal/kg・℃)は錫めっきストリップ14の比熱、γ(kg/m3)は錫めっきストリップ14の密度である。
ΔPcmp1(KW)、ΔPcmp2(KW)は、それぞれ下式で示される。
ΔPcmp1=−4.186×C×γ×b1×d1×V×Tcd1
ΔPcmp2=−4.186×C×γ×b2×d2×V×Tcd2
なお、V(m/sec)は錫めっきストリップ14の移動速度である。
図2(A)に示すように、接続部13が第1のコンダクターロール15を通過すると、接続部13が第2のコンダクターロール16を通過する際に抵抗加熱装置17に供給する抵抗加熱電力PCS´が後行材12に適した値PCS2となるように、抵抗加熱装置17に供給する抵抗加熱電力PCS´をPCS1からPCS2に向けて直線的に減少させる。
図3(A)に示すように、接続部13が第1のコンダクターロール15を通過すると、接続部13が第2のコンダクターロール16を通過する際に抵抗加熱装置17に供給する抵抗加熱電力PCS´が後行材12に適した値PCS2となるように、抵抗加熱装置17に供給する抵抗加熱電力PCS´をPCS1からPCS2に向けて直線的に増加させる。
Claims (5)
- 錫めっき槽から連続的に送られ、途中に先行材と後行材の接続部を有する錫めっきストリップを第1、第2のコンダクターロールの間で抵抗加熱し、かつ前記第1、第2のコンダクターロールの間に配置された誘導加熱装置で誘導加熱し、これらで加熱された前記錫めっきストリップをクエンチタンクで急冷してリフロー処理する連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法であって、
前記第1、第2のコンダクターロールの間を前記接続部が通過する間に、前記第1、第2のコンダクターロールによって抵抗加熱する抵抗加熱電力を、前記先行材に適した電力Aから、前記後行材に適した電力Bに徐々に又は段階的に変え、更に前記第1、第2のコンダクターロールの抵抗加熱電力を変えること及び前記第1、第2のコンダクターロール間の電気抵抗の変化によって生じる前記錫めっきストリップに発生する加熱温度の過不足分を計算して、該過不足分を前記誘導加熱装置による加熱で補償し、前記クエンチタンク直前での前記錫めっきストリップの加熱温度を一定にしたことを特徴とする連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法。 - 請求項1記載の連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法において、前記電力Aから前記電力Bへの変更は、直線的に行うことを特徴とする連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法において、前記錫めっきストリップに発生する加熱温度の前記過不足分は、該錫めっきストリップの前記先行材の加熱温度の過不足分である先行材過不足温度と前記後行材の加熱温度の過不足分である後行材過不足温度から構成され、前記先行材過不足温度は、前記第1、第2のコンダクターロール間の前記先行材の抵抗値と前記電力Aから求まる該先行材に対して本来流すべき電流値と前記抵抗加熱電力に対応して前記錫めっきストリップに流れる瞬時電流値との差から求まる瞬時先行材過不足温度の積算値として求め、前記後行材過不足温度は、前記第1、第2のコンダクターロール間の前記後行材の抵抗値と前記電力Bから求まる該後行材に対して本来流すべき電流値と前記瞬時電流値との差から求まる瞬時後行材過不足温度の積算値として求め、しかも、前記瞬時電流値は、前記接続部が前記第1、第2のコンダクターロールの間を移動する際に、該接続部の該第1、第2のコンダクターロール間での位置を検知し、前記先行材と前記後行材のそれぞれの板厚情報、板幅情報、及び抵抗率から前記接続部の位置に応じた前記第1、第2のコンダクターロール間の前記錫めっきストリップの合成抵抗値を求め、該合成抵抗値と前記抵抗加熱電力から算出することを特徴とする連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法。
- 請求項3記載の連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法において、前記錫めっきストリップに発生する加熱温度の過不足分の補償は、前記先行材が前記誘導加熱装置内を通過する際に、前記先行材過不足温度に対応した電力を該誘導加熱装置に供給し、前記後行材が前記誘導加熱装置内を通過する際に、前記後行材過不足温度に対応した電力を該誘導加熱装置に供給することで行うことを特徴とする連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法において、前記接続部が前記誘導加熱装置内を通過する際は、該誘導加熱装置に供給する電力を0にすることを特徴とする連続錫めっき設備のリフロー加熱電力制御方法。
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