JP5267234B2 - 車両用操舵装置及びその動作方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の運転操作性を向上させるため、走行環境に対応して操舵ギヤ比を変化させる車両用操舵装置及びその動作方法に関する。
走行環境に対応して操舵ギヤ比を変化させる車両用操舵装置としては例えば、特許文献1などの技術が知られている。特許文献1の車両用操舵制御装置は、操舵量と転舵量との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構と、走行路のカーブ状態を検知するカーブ状態検知手段と、前記カーブ状態検知手段の検知結果と車両の走行状態とをもとに、前記伝達比可変機構の伝達比を設定する伝達比設定手段とを備える。具体的には、ナビゲーションシステムから得られるカーブの回転半径に応じて、操舵量と転舵量との間の伝達比、即ち操舵ギヤ比を補正している。
特開平11−310146号公報
しかし、適当にカーブの回転半径に応じて操舵ギヤ比を変化させたとしても、運転者の期待する操作感覚と合っていなければ返って運転者の負担を増すだけである。例えば、操舵ギヤ比の変更に運転者がわかりやすい何かの明確な基準がない限り、運転者はカーブの回転半径に対するその操舵ギヤ比の特性を学習しなくてはならない。
操舵応答に関して、カーブの回転半径に応じて操舵ギヤ比が変化する場合だけでなく、通常の操舵ギヤ比が固定の車両でも運転者が学習しなくてはいけない特性が多くある。運転者のコーナーでの運転行動を考えると、運転者はまず視線をコーナー内側に移動させてカーブのきつさを把握する。その後、車速を考慮して予め習得している操舵角と車両軌道の関係から操舵角を予想して操作を行う。
ここで難しいタスクは、カーブの大きさの正確な把握及び操舵角度と車両軌道の関係を習得することである。走行しながらカーブのきつさを感じるパラメータとして、前方からのコーナー内側を見るときの視線開き角度がある。この角度に比例してカーブのきつさを感じていると考えられる。カーブの大きさの認知と操作量の関係は、カーブのきつさ(ここでは視線開き角度、以下「視線角度」とする)と操作量が線形比例していることが理想的と考えられる。
しかしながら、通常の操舵ギヤ比が固定の車両では、視線角度と操作量(ここでは操舵角度とする)の関係は二次的な非線形特性を持っている。つまり視線角度が大きいカーブ、即ち回転半径Rが小さいカーブでは、ほんの少しの角度差で操舵角度は大きく増減させないといけない。また、視線角度と操作量の関係は車速によって異なるので、この関係を習得し、かつ車速を正確に認識しないと正確な予測操作ができない。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の運動の予測を必要としないでカーブのきつさの認知と操作量(操舵角度または操舵力)との関係が直感的に分かる、つまり車速に関係なく線形比例している様に操舵ギヤ比または操舵力を調整する車両用操舵装置及びその動作方法を提供することである。
本発明の第1の特徴は、ステアリングの操舵角度に対する前輪転舵角度の比率を示す操舵ギヤ比を任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部と、走行道路情報を出力するナビゲーション部とを備える車両用操舵装置であって、車両用操舵装置が、車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出する視線算出部と、視線角度と操舵角度との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵角度を算出する操舵角度算出部と、ナビゲーション部が出力する走行道路情報から得られるコーナーの旋回半径及び車両の走行速度から、当該車両がコーナーを走行する際に必要となる前輪転舵角度を算出する前輪転舵角度算出部と、算出した操舵角度及び前輪転舵角度から操舵ギヤ比を算出する操舵ギヤ比算出部と、算出した操舵ギヤ比へ調整する操舵ギヤ比制御部と、を備えることである。
本発明の第1の特徴によれば、ナビゲーション部から自車がこれから走行する道路の形状を取得して、その道路形状に応じて操舵ギヤ比を調整する。コーナーの旋回半径や車速に関係無く、カーブのきつさの感覚(=視線角度)と操作量(=操舵角度)が線形比例する様に、操舵ギヤ比を決定する。よって、車両の運動の予測を必要としないで視線角度と操舵角度との関係が直感的に分かる、つまり車速に関係なく線形比例している様に操舵ギヤ比を調整することができる。
本発明の第1の特徴において、視線算出部が、車両がコーナーへ進入する前に、ナビゲーション手段が出力する走行道路情報から当該コーナーの旋回半径を算出し、算出した旋回半径及び車両の走行速度から運転者の視線角度を算出してもよい。或いは、車両用操舵装置が、運転者の頭部及び眼の映像を撮影する撮影部を更に備え、視線算出部が、運転者の頭部及び眼の映像から運転者の視線角度を検出してもよい。
本発明の第2の特徴は、ステアリングの操舵力を任意に調整可能な操舵力調整部と、走行道路情報を出力するナビゲーション部とを備える車両用操舵装置であって、車両用操舵装置が、車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出する視線算出部と、視線角度と操舵力との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵力を算出する操舵力算出部と、算出した操舵力へ調整する操舵力制御部と、を備えることである。
本発明の第3の特徴は、ステアリングの操舵角度に対する前輪転舵角度の比率を示す操舵ギヤ比を任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部と、走行道路情報を出力するナビゲーション部とを備える車両用操舵装置の動作方法であって、車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出し、視線角度とステアリングの操舵角度との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵角度を算出し、ナビゲーション部が出力する走行道路情報から得られるコーナーの旋回半径及び車両の走行速度から、当該車両がコーナーを走行する際に必要となる前輪転舵角度を算出し、算出した操舵角度及び前輪転舵角度から操舵ギヤ比を算出し、算出した操舵ギヤ比へ調整することである。
以上説明したように、本発明によれば、車両の運動の予測を必要としないでカーブのきつさの認知と操作量(操舵角度または操舵力)との関係が直感的に分かる、つまり車速に関係なく線形比例している様に操舵ギヤ比または操舵力を調整する車両用操舵装置及びその動作方法を提供することができる。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係わる車両用操舵装置の構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)のギヤ比決定部15の構成を示すブロック図である。 カーブを曲がる時の視線角度の定義を示す模式図である。 コーナーRと視線角度αの関係の一例を示すグラフである。 視線角度αと最大操舵角度θmaxとの線形性を示すデータの一例を示すグラフである。 カーブのコーナーRと前輪転舵角度θfとの関係の一例を示すグラフである。 ギヤ比決定部15により求められたコーナーRと操舵ギヤ比Gとの関係の一例を示すグラフである。 図1(b)に示したギヤ比決定部15の動作の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係わる車両用操舵装置の構成を示す模式図である。 自車両26が停止車両27a、停止車両27bの間をすり抜けるシーンを示す模式図である。 カーブ走行時における視線角度αと操舵角度θの時間変化の一例を示すグラフである。 最大視線角度αと最大操舵角度θとの線形性を示すデータの一例を示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係わる車両用操舵装置の構成を示す模式図である。 操作量の感覚の代表値として操舵力Fと操舵角θを掛け合わせた運動量と、視線角度αとの線形比例の関係を示すグラフである。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
図1(a)を参照して、本発明の第1の実施の形態に係わる車両用操舵装置の構成を説明する。車両用操舵装置は、ステアリング11の操舵角度に対する前輪12a、12bの転舵角度(以後、「前輪転舵角度」という)の比率を示す操舵ギヤ比を任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部13と、走行道路情報を出力するナビゲーション部14と、車両の走行速度を検出する車速検出部17と、走行道路情報及び走行速度に基づいて操舵ギヤ比を決定するギヤ比決定部15と、決定した操舵ギヤ比へ調整する操舵ギヤ比制御部16とを備える。ナビゲーション部14は、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)等を用いて自車両の現在位置を検出する自車位置検出部28と、車両が走行する道路の形状などを含む地図情報を記憶する地図データベース29とを備える。
図1(b)を参照して、図1(a)のギヤ比決定部15の構成を説明する。ギヤ比決定部15は、車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出する視線算出部21と、視線角度と操舵角度との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵角度を算出する操舵角度算出部22と、ナビゲーション部14が出力する走行道路情報から得られるコーナーの旋回半径及び車速検出部17が検出した車両の走行速度から、車両がコーナーを走行する際に必要となる前輪転舵角度を算出する前輪転舵角度算出部23と、算出した操舵角度及び前輪転舵角度から操舵ギヤ比を算出する操舵ギヤ比算出部24とを備える。
図2に示すように、運転者が注視する道路上の点までの距離は、車速に関係なく、自車両26がその車速で所定時間T1分だけ進んだ時の距離とする。この所定時間を運転者注視時間T1とする。一般的に、運転者はこの所定時間T1先の点を注視して運転している
と考えられる。この時の注視位置P、P10、P14は、カーブの内側路と所定時間T1先の自車位置を示す線LT1との交点とする。
視線算出部21は、先ず、ナビゲーション部14が出力する走行道路情報から自車両26が進入するカーブの旋回半径を算出する。カーブの旋回半径の一例として、カーブのコーナーRを算出する。ここで、「コーナーR」とは、当該カーブの内側路側の回転半径の平均値(6R、10R、14R)を示す。そして、車両の走行速度から所定時間T1分だけ進んだ時の距離を求め注視位置P、P10、P14を特定する。そして、注視位置P、P10、P14と車両進行方向とのなす角である視線角度αを算出する。
視線算出部21は、走行道路情報から、コーナー6R、10R、14R、注視位置P、P10、P14、そして、視線角度αを順に算出していくが、例えば図3に示すデータを参照すれば、コーナー6R、10R、14R及び車両の走行速度Vから視線角度αを直接求めることもできる。図3は、コーナーRと視線角度αの関係の一例を示すグラフである。コーナーRと視線角度αの関係は、車速Vによって大きく異なり、車速Vが高いほど同じコーナーRでの視線角度αは大きくなる。これは、前述の通りその車速Vでの所定時間T1秒先を注視していると仮定したためである。
操舵角度算出部22は、例えば、図4に示すような視線角度αと操舵角度θとの線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度αから操舵角度θを算出する。図4において、操舵角度θはその代表値として一つのコーナーにおいて最大となる操舵角度(最大操舵角度θmax)とした。これは、一つのコーナーにおける操作量の大きさの感覚と最も合っ
ているのが、最大となる操舵角度であろうと考えたためである。図4のグラフは視線角度αと最大操舵角度θmaxとの関係を示す。運転者が操作量を分かりやすい特性にするため
、カーブのきつさの感覚(=視線角度α)と操作量(=操舵角度)が線形比例する特性とする。視線角度αと最大操舵角度θmaxとの関係は、車速に関係なくこの比例関係にある
図4に示す関係により最大操作角度θmaxが求まるが、最終的に操舵ギヤ比Gを求める
ためには、最大操舵角度θmaxで操作する時の前輪転舵角度θfを算出しなくてはならない。そこで、前輪転舵角度算出部23は、例えば図6に示すデータを参照して、ナビゲーション部14が出力する走行道路情報から得られるコーナーR及び車速検出部17が検出した車両の走行速度Vから、車両がコーナーを走行する際に必要となる前輪転舵角度θfを
算出する。図5は、コーナーRと前輪転舵角度θfの関係の一例を示すグラフである。コ
ーナーRと前輪転舵角度θfは反比例に近い特性となるが、車速Vによって特性が異なる
操舵ギヤ比算出部24は、操舵角度算出部22により算出された最大操舵角度θmax及
び前輪転舵角度算出部23により算出された前輪転舵角度θfから、(1)式に従って、
操舵ギヤ比Gを算出する。
G=θmax/θf ・・・(1)
図6に示すように、ギヤ比決定部15により求められたコーナーRと操舵ギヤ比Gとの関係は、例えば、車速Vにより異なるが、操舵ギヤ比GはコーナーRが大きくなるにつれ徐々に大きくなり、最後に一定値に収束する。
操舵ギヤ比制御部16は、ギヤ比決定部15により決定された操舵ギヤ比Gへ車両の操舵ギヤ比を調整する。なお、操舵ギヤ比Gの調整は、カーブ進入前に操舵ギヤ比Gを変更し、そのカーブ区間中はその変更した操舵ギヤ比で一定とする。なお、カーブ以外では操舵ギヤ比は車速Vにより定められた所定のギヤ比特性(f(V))とする。
図7を参照して、図1(b)に示したギヤ比決定部15の動作の一例を説明する。
(イ)S01段階において、運転者注視時間T1を1.2秒に、操舵ギヤ比Gを18にそれぞれ初期設定する。S03段階において、ナビゲーション部14が出力する走行道路情報(道路形状などを含む)を読み込み、S05段階において、現在の車速VでT1秒後におけるコーナーRを算出する。S07段階において、算出したコーナーRが50m未満であるか否かを判断する。コーナーRが50m未満である場合(S07でYES)、S09段階に進み、コーナーR及び車速に応じたギヤ比制御を行い、コーナーRが50m以上である場合(S07でNO)、S21段階に進み、操舵ギヤ比を車速Vにより定められた所定のギヤ比特性(f(V))とする。
(ロ)S09段階において、図3を参照してコーナーR及び車速VからT1秒後の視線角度αを算出する。S11段階に進み、図4を参照して、視線角度αから最大操舵角度θmaxを算出する。S13段階に進み、図5を参照して、コーナーR及び車速Vから前輪転
舵角度θfを算出する。S15段階に進み、S11で算出した最大操舵角度θmax及びS13で算出した前輪転舵角度θfから、(1)式に従って操舵ギヤ比Gを算出する。
(ハ)S17段階に進み、算出された操舵ギヤ比Gとなる様、操舵ギヤ比制御部16に命令する。命令を受けた操舵ギヤ比制御部16は、操舵ギヤ比調整部13を駆動して操舵ギヤ比Gを変更する。S19段階において、コーナーRが50m以下になるまで待機する。これにより、そのカーブ区間中はその変更した操舵ギヤ比で一定とすることができる。コーナーRが50m以下になった時に、S21段階に進み、操舵ギヤ比を車速Vにより定められた所定のギヤ比特性(f(V))とする。
(ニ)S23段階に進み、キー操作によりイグニションスイッチがオフされたか否かを判断する。イグニションスイッチがオフされた場合(S23でYES)、図7に示すフローチャートは終了する。イグニションスイッチがオフされていない場合(S23でNO)S03段階に戻る。
以上説明したように、車両用操舵装置は、ナビゲーション部14から自車がこれから走行する道路の形状を取得して、カーブに入る前にその道路形状に応じて操舵ギヤ比Gを調整する。ギヤ比決定部15は、前述の様にコーナーRと車速Vに関係無く、カーブのきつさの感覚(=視線角度α)と操作量(=最大操舵角度θmax)が線形比例する様に、操舵
ギヤ比Gを決定する。よって、車両の運動の予測を必要としないで視線角度αと最大操舵角度θmaxとの関係が直感的に分かる、つまり車速に関係なく線形比例している様に操舵
ギヤ比Gを調整することができる。
車両がコーナーへ進入する前にナビゲーション部14が出力する走行道路情報からコーナーの旋回半径Rを算出し、算出した旋回半径R及び車両の走行速度Vから運転者の視線角度αを算出することにより、運転者の顔や眼の映像から運転者の視線角度αを求める場合に比べて、カメラ等のハードウェアが不要となり、簡易な方法により迅速に視線角度αを求めることができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ナビゲーション部14により事前にコーナーRを検出して視線角度αを推定していたが、直接 運転者の視線方向を検出する方法も考えられる。第2の実施の形態に係わる車両用操舵装置は、運転者の目の付近及び頭部全体の映像を撮影する撮影部の一例としてのカメラ31を更に備える。視線算出部21が運転者の頭部及び眼の映像から運転者の視線角度αを検出する点が第1の実施の形態と異なり、その他の構成は同じであり、説明及び図示を省略する。
図8に示すように、第2の実施の形態に係わる車両用操舵装置は、ステアリング11の操舵角度に対する前輪12a、12bの転舵角度(前輪転舵角度)の比率を示す操舵ギヤ比を任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部13と、走行道路情報を出力するナビゲーション部14と、車両の走行速度を検出する車速検出部17と、走行道路情報及び走行速度に基づいて操舵ギヤ比を決定するギヤ比決定部15と、決定した操舵ギヤ比へ調整する操舵ギヤ比制御部16と、ステアリングホール11越しに運転者の頭部及び眼の映像を撮影するカメラ31とを備える。
図8に示す車両用操舵装置におけるギヤ比決定部15の動作は、S09段階を除き、図7に示すフローチャートと同じである。すなわち、S09段階において視線算出部21は、カメラ31により撮影された運転者の頭部及び眼の映像から運転者の視線角度αを直接検出する。
これにより、道路がカーブでは無いが、大きな操舵操作が必要なシーンにおいて前述の視線角度αと操作量(最大操舵角度θmax)を線形化する様な操舵ギヤ比Gの処理を行う
ことができる。例えば、図9のように自車両26が停止車両27a、停止車両27bの間をすり抜けるシーン等で有効である。
図10を参照して、カーブ走行時における視線角度αと操舵角度θの時間変化の一例を説明する。操舵角度θが立ち上がる時、即ち操舵開始より前に視線は動く、即ち、視線角度αは立ち上がる。これに着目し、操舵が開始された瞬間に、それより所定時間前までの間の視線角度の最大値(最大視線角度α)を求める。そして、操舵が開始された瞬間に、図11に示すように、最大視線角度αと算出する最大操舵角度θmaxが線形比例の関係を
有する様にギヤ比変更を行う。図11のグラフの横軸が最大視線角度αである点が図4のグラフと異なるが、その他、線形比例の関係は同じである。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、視線角度αに線形比例する操作量の一例として、操舵角度θを用いて説明したが、本発明はこれに限定されることはない。第3の実施の形態では、操作量の他の例として、操舵力を用いた場合について説明する。
図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係わる車両用操舵装置の構成を説明する。第3の実施の形態に係わる車両用操舵装置は、操舵ギヤ比Gを任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部13と、ステアリングの操舵力Fを任意に調整可能な操舵力調整部33と、走行道路情報を出力するナビゲーション部14と、車両の走行速度を検出する車速検出部17と、走行道路情報及び走行速度に基づいて操舵ギヤ比G及び操舵力Fを決定する運動量決定部34と、決定した操舵ギヤ比Gへ調整する操舵ギヤ比制御部16と、決定した操舵力Fへ調整する操舵力制御部36とを備える。
運動量決定部34は、走行道路情報及び走行速度に基づいて操舵ギヤ比を決定するギヤ比決定部15と、視線角度αと操舵力Fとの線形性を示すデータに基づいて視線角度αから操舵力Fを算出する操舵力算出部35とを備える。ギヤ比決定部15は、図1(b)と同じ構成を有する。
操舵力算出部35は、例えば図13に示すデータに基づいて、視線算出部21により算出された視線角度αから操舵力Fを算出する。図13は、操作量の感覚の代表値として操舵力Fと操舵角θを掛け合わせた運動量と、視線角度αとの線形比例の関係を示すグラフである。なお、操舵角θは操舵ギヤ比Gを一定にした場合の操舵角度である。更に、操舵角度θを一定とし、操舵力Frefを可変パラメータとする。すなわち、図13は、視線角
度αと操舵力Frefとの線形性を示すデータの一例である。よって、操舵力算出部35は
、図13を参照して求めた運動量を所定の操舵角度θで割ることにより操舵力Frefを求
める。
操舵力制御部36は、操舵力調整部33を制御して、算出された操舵力Fへ調整する。
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、操舵力算出部35は、コーナーRと車速Vに関係無く、カーブのきつさの感覚(=視線角度α)と操作量(=操舵力Fref)
が線形比例する様に、操舵力Frefを決定する。よって、車両の運動の予測を必要としな
いで視線角度αと操舵力Frefとの関係が直感的に分かる、つまり車速に関係なく線形比
例している様に操舵力Frefを調整することができる。
上記のように、本発明は、3つの実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。すなわち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
11 ステアリングホール
12a、12b 前輪
13 操舵ギヤ比調整部
14 ナビゲーション部
15 ギヤ比決定部
16 操舵ギヤ比制御部
17 車速検出部
21 視線算出部
22 操舵角度算出部
23 前輪転舵角度算出部
24 操舵ギヤ比算出部
26 自車両
27a、27b 停止車両
28 自車位置検出部
29 地図データベース
31 カメラ
33 操舵力調整部
34 運動量決定部
35 操舵力算出部
36 操舵力制御部
G 操舵ギヤ比
R 旋回半径
T1 運転者注視時間
V 車速

Claims (5)

  1. ステアリングの操舵角度に対する前輪転舵角度の比率を示す操舵ギヤ比を任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部と、走行道路情報を出力するナビゲーション部とを備える車両用操舵装置において、
    車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出する視線算出部と、
    視線角度と操舵角度との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵角度を算出する操舵角度算出部と、
    前記ナビゲーション部が出力する走行道路情報から得られる前記コーナーの旋回半径及び車両の走行速度から、当該車両が前記コーナーを走行する際に必要となる前輪転舵角度を算出する前輪転舵角度算出部と、
    算出した操舵角度及び前輪転舵角度から前記操舵ギヤ比を算出する操舵ギヤ比算出部と、
    算出した操舵ギヤ比へ調整する操舵ギヤ比制御部と、
    を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 前記視線算出部は、
    車両がコーナーへ進入する前に、ナビゲーション手段が出力する走行道路情報から当該コーナーの旋回半径を算出し、
    算出した旋回半径及び車両の走行速度から運転者の視線角度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 運転者の頭部及び眼の映像を撮影する撮影部を更に備え、前記視線算出部は、運転者の頭部及び眼の映像から運転者の視線角度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
  4. ステアリングの操舵力を任意に調整可能な操舵力調整部と、走行道路情報を出力するナビゲーション部とを備える車両用操舵装置において、
    車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出する視線算出部と、
    視線角度と操舵力との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵力を算出する操舵力算出部と、
    算出した操舵力へ調整する操舵力制御部と、
    を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  5. ステアリングの操舵角度に対する前輪転舵角度の比率を示す操舵ギヤ比を任意に調整可能な操舵ギヤ比調整部と、走行道路情報を出力するナビゲーション部とを備える車両用操舵装置の動作方法であって、
    車両のコーナーへの進入に伴って移動する運転者の視線角度を算出し、
    視線角度とステアリングの操舵角度との線形性を示すデータに基づいて、算出した視線角度から操舵角度を算出し、
    前記ナビゲーション部が出力する走行道路情報から得られる前記コーナーの旋回半径及び車両の走行速度から、当該車両が前記コーナーを走行する際に必要となる前輪転舵角度を算出し、
    算出した操舵角度及び前輪転舵角度から前記操舵ギヤ比を算出し、
    算出した操舵ギヤ比へ調整する
    ことを特徴とする車両用操舵装置の動作方法。
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