JP5266308B2 - 時間基準温度補償方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水晶発振器で駆動される時間基準温度補償と、その温度補償を実行する方法及び装置に関する。
水晶発振器は、圧電物質である振動する水晶の機械的共振を利用して、非常に正確な周波数の電気信号を作り出す電子回路である。この周波数は、時間の経過の追跡、デジタル集積回路への安定した時間信号の供給、無線送信機の周波数の安定化等の様々な用途に用いられる。
水晶振動子が使用される場合、水晶振動子はその圧電性により、正確な共鳴周波数でインダクタ、コンデンサ及びレジスタからなる回路のように動作する。このような水晶発振器は数十キロヘルツから数十メガヘルツの周波数で製造することができる。
このような発振器の一般的な応用分野としては、腕時計、携帯電話、コンピュータ、並びに、計数器、信号発生器及びオシロスコープ等の試験及び測定装置が挙げられる。
多くの場合、32768Hz音叉型水晶振動子が用いられる。このような32768Hz音叉型水晶振動子で駆動される時間基準の温度補償は公知である。通常、音叉型水晶振動子は、温度に対する周波数が25℃付近を頂点とする放物曲線となるようにカットされる。これにより、音叉型水晶発振器は、室温でほぼ目的とする周波数で共振するが、温度が室温より上昇しても下降しても遅くなってしまう。32768Hz音叉型水晶振動子の一般的放物線係数は−0.04ppm/℃である。
ロンジン社から製品化され1985年に市販された製品(コンクェストVHP)は、温度計として第二のクオーツの使用が特許文献1により公知である。
さらに最近では、電子チップに集積温度計を使用する温度補償が提案されている。スイス時計学会2002年研究の日“Journee d’etude 2002 de la Societe Suisse de Chronometrie(SSC)”の期間中に、ルネ ラッポ,エタ社(Rene Rappo,ETA S.A.)はCOSC(スイス公認クロノメーター検定協会)新基準に適応するクオーツへの動き“Mouvements a quartz adaptes aux nouveaux criteres COSC(Controle officiel Suisse des Chronometres)”という論文を発表した。補償には32768Hzから1Hzの計数連鎖の分周率の調整を使用する。この方法はブライトリング及びオメガの市販品に適用されている。周期的時計レートの正確な平均値を達成するために、第一のケースでは8分周期で、第二のケースでは4分及び16分周期であり、一秒は異なる長さを有する。
これらの公知の解決方法では、特許文献2から公知のように、分周器連鎖(divider chain)におけるパルス抑制の原理が採用されている。この原理では、どの温度でも発振器周波数は理想周波数である32768Hzより常に高くなくてはならない。実際に、この方法では平均率を下回ることのみ可能である。周期的に第二の周期の一つが他の周期より長いか又は同じとなる。
特許文献1による解決方法では、追加の構成部品である水晶温度計が必要となり、不利である。これにより電子モジュールのかさが増えてしまう。また、水晶温度計は標準の構成部品ではなく、その市場用に特別に製造されなければならない。
また、どちらの解決方法も同時の温度補正とオフセットができるだけで、オフセットレートだけを調整することは、温度補償もまた影響を受けるので、不可能である。
COSC(“Controle officiel Suisse des Chronometres”)はスイス公認クロノメーター検定協会であり、公認クロノメーターとしての地位を与えられた各時計製造業者が提出した機械部品(ムーブメント)の検定を実際に行う研究所を持っている。各機械部品は一つ一つ15日間、5つの状況と、3つの異なる温度でテストされる。上述のルネ ラッポの論文には、異なる温度に暖められた3つの部屋を使用して、各温度で3つの異なる値を測定し、求められるオフセット及び温度補償を算出して、COSCの要件を満たす機械部品を製造する方法が記載されている。
米国特許第4537515号公報 スイス国特許534913号公報
本発明の目的は、オフセットレートと温度補償をそれぞれ別々に測定、制御する方法及び装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、COSCの要件を満たす機械部品を製造する改良された方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、COSC時計検定の先行技術シミュレーションと比べて、性能が劣る計測器の使用を可能とする改良された方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、より簡単なプログラム化された補償方式の装置を提供するための改良された方法を提供することである。
本発明の目的は請求項1又は4の特徴を有する方法と、請求項6に記載の装置で実現される。
水晶発振器で駆動される時間基準の温度補償方法は、温度に依存する線形周波数依存を示す第二の発振器を備える。この方法では、第二の発振器の所定数のパルスで与えられる時間間隔に、少なくとも3つの異なる温度で水晶発振器のパルスをカウントする。次いで、第二の発振器周期の温度による変動関数が3つのパルスカウント値に基づき算出される。従って、温度補正は、どのオフセット結果からも独立して行うことができ、3つの異なる温度の選択に依存しない。
COSC基準で時計を検査するために上記方法を使用する場合、約8℃の部屋を一部屋と約38℃の部屋を一部屋準備するだけでよい。測定中の温度は安定していなければならないが、実際の温度の数値は重要ではない。また、1つの測定をほぼ室温で行うこともでき、より簡単な測定方法が可能となる。
その瞬間に水晶と第二の発振器の間に良好な熱的接触があれば、仮の回路を使用して測定することが可能である。放物線関数の3つの値に基づいた特定用途向け集積回路(ASIC)の簡易プログラムミングを利用する評価値を基に、この方法を利用して生産ラインの最後に上記クオーツと第二の発振器を含む時計、又は他の電子装置を再組み立てすることが可能である。またさらに、後でクオーツのオフセット補正を別に提供することができる。これにより、水晶発振器の特性を利用して、数日後、又は数週間、数ヶ月といったより長期間の後に限界オフセット値に近づけることが可能となる。
温度とオフセットの補正は反対のサインを示すので別々に追跡でき、もしそれらが、例えば交互に適用される場合、2つの型の補償の現在補償値が非常に容易に確認できる。
第二の発振器として、弛張発振器、特にR*C製品による発振周波数を有し、準線形温度依然性に従う、RC発振器を選択することができる。
本発明によれば、
−温度変動を周期的に補正し、
−特別な点検が必要な場合、ある時、即ち製造中に、及び、任意で後日、クオーツのオフセットを調整するクオーツ式時計において、
これらの2つの補正源を判別し、別々に測定することにより、周波数変動を補償することを可能にする。
この方式により、2つの製造段階、即ち、まず3つのプログラミング温度で正確に制御し、その後、電子モジュールが時計ケース内に配置されるときにこの時計ケースの影響をプログラミングに組み入れるという2つの製造段階で、2組の補償パラメータをプログラムすることが可能になる。
周波数変動の理由を判断する場合、2つの補正をそれぞれ別の方法で検査することができ、販売後のアフターサービスで特に有利である。
さらなる目的及び利点は、従属項に記載される特徴により実現される。
図1は、本発明による方法及び装置で使用される温度センサと水晶振動子の、それぞれの温度での周波数偏差を示す概略図である。 図2は、弛張回路と水晶発振器のカウントされたパルスを示す概略図である。 図3は、音叉型水晶振動子の動作を温度関数として示す概略図である。 図4は、水晶発振器で駆動される時間基準の温度補償を備える装置を示す概略図である。 図5は、時計レートでの温度補償を示す概略図である。 図6は、抑制によるレート調整を示す概略図である。 図7は、時計レートの温度補償と抑制による調整とを示す概略図である。 図8は、水晶発振器の周波数相対間隔に対する負荷容量の影響と依存を示す。
本発明を、添付の図面を参照して、例示して以下に説明する。
本発明の一つの実施形態は、電子時計のレート精度を改良する方法及び集積回路に関する。時間基準は32768Hz音叉型水晶振動子で駆動される。時計レートは、3つの異なる温度での較正手順と各回路又は時計ムーブメント用の特定のプログラミングの後に温度補償される。
本発明による集積回路は、温度10に伴って線形及び単調関数20を示す入力信号を持つセンサを備える。水晶時間基準のレートの温度補償は、温度に伴って準線形に変化する周期を持つ弛張発振器を使用して行うことができる。図1は、温度センサの周波数偏差関数20と、水晶振動子の周波数偏差関数30を示す概略図である。
問題の温度間隔、例えば−10℃〜+50℃に対して、周波数偏差40は二重矢印42によると、例えば、約200,000〜400,000ppmである。グラフ線20の背後にある関数には、次数1(又は線形関数)の多項式関数で近づくことができる。
一方、水晶そのものの温度依存性30は放物線関数となり、関係する温度間隔にわたる矢印43による周波数偏差40は、20〜40ppmのオーダーである。
符号51,52及び53は3つの異なる温度、例えば、約8℃、約23℃及び約38℃を示す。これらはCOSC認定方法で使用される3つの温度の付近で選択されるが、全く異なる選択をすることもできる。
このような弛張発振器の感度は水晶周波数の変動に比べて高く、弛張発振器の周期の相対変動は摂氏1度当たり0.5%、例えば、5000ppmに達することがある。水晶周波数の変動は、絶対的には、通常−10℃〜50℃の範囲で2ppm/℃未満である。
図2は弛張回路と水晶発振器のカウントされたパルスを示す概略図である。一方では、弛張発振器は所定のパルス61の数をカウントして温度に伴って時間窓W(T)の発生を変化させる。同じ仮想出発点を持つ符号62は、初期温度T1に関連し、符号63は別の温度T2での時間間隔の長さに関連する。パルス61はあらかじめ定められ等しいが、2つの別の符号、即ち62と63のパルス数は異なるので、時間間隔の長さを示すために選択されている。
別の実施形態において、時間窓W(T1),W(T2)を発生させるパルス61の数は異なってもよいが、そのとき、差異に基づく時間窓を計算する以下の方法を適応しなければならない。例としては、T2において、T1で使用されたパルス数の3/2が使用される場合、W(T2)が同数のパルス61の数で発生させた時間間隔のときに、関連する時間間隔はW’(T2)=2/3×W(T2)となる。
他方では、水晶周波数は、別の所定数のパルス65をカウントすることにより温度に依存しないと考えられる参照窓W2、符号64、を発生させる。そして、2つの窓の差 W=W(T2)−W(T1)に等しい時間64に、水晶発振器のパルス65をカウントして得られた温度で、弛張発振器の周期の変動を表わす信号P(T)を発生させることが可能である。(パルスのカウントでは)本質的に、数量P(T)は整数であり、弛張発振器の周期によって与えられた温度よって決まる。W(T)の長さはその差に対してかなりのパルス数を得るように選択される。パルス61の数を10秒、1分、又は10分に相当するように選択して3つの例を挙げると、この数はより高い又は低い測定時間を与えるように選択することもできる。
換言すれば、弛張発振器が発する所定のパルス61の数がカウントされる。弛張発振器がこれらのパルスを発生させるために必要な時間はその温度によって決まるので、異なる長さの時間窓W(T)が発生する。従って、時間62の先端は初期温度T1に関連し、時間63の先端は別の温度T2での時間間隔の長さに関連する。以下で述べるように、この方法では、異なる温度T3のさらなる時間窓W(T3)が使用され、また必要とされる。
水晶周波数によって発生したパルスは各温度(T1,T2及びT3)でカウントされ、パルス65の数に関連する上記の別の参照窓W2を生じさせる水晶周波数によって、異なるパルス数が発生する。図2で図示したものは、仮想(同一の)出発点に基づく。
従って、上記方法により、弛張発振器から生じた周期D1T1、D2T2及びD3T3と、以下で説明するような較正方法で使用される公称値である32768Hzと比較した水晶周波数YT1、YT2及びYT3の相対ギャップとを測定することができる。なお、T1、T2及びT3は3つの異なる温度であり、窓W2のパルスを獲得する説明は、それぞれ、T1とT2の間又はT2とT3の間又はT1とT3の間の窓に関連する。指数2を持つ多項式は3つの係数を持つ二次(二乗状の)方程式なので、図1に示すような放物線関数30が3つの値で十分に定義されることは当業者には公知である。従って、3つのパルスカウント値に基づく温度による第二の発振器周期の変動関数20を計算することは直接的に可能であるが、もちろん、さらに異なる温度に対する3つより多いパルスカウント値を使用してもよい。そのとき、補償方法は上記で計算した関数を使用して、任意の動作温度、即ち、T<T1、T1<T<T2、T2<T<T3又はT3<Tの関係を維持する温度Tにおいて、温度変化による水晶発振器101の周波数変化を補正する。
最終製品を管理するために、本発明の一実施形態では、2分に渡る時間積分値を使用して、温度補正値とオフセット補正値を説明する。このような実施例は後で図7に関連して示す。
図3は、温度72に対する音叉型水晶の周波数71の特性を関数として示す概略図である。周波数73は数値0を受けた理想周波数付近の変化として示される。符号Qは温度に依存する補正に使用され、Kは温度に依存しない補正、即ち、オフセット補正に関連する。
音叉型水晶周波数73の変化を温度72による二次関数で表わすことができることは周知である。Tinvはクオーツが最高周波数を示す温度であり、通常25℃前後である。このドリフトの補償には同じ性質であるが反対のサインを示す関数Q(T)が必要である。このような関数はパルス数P(T)の二次変換を用いて生成することができる。
信号Q(T)は、温度補償を、時計で使用されるクオーツ101と弛張発振器105のどちらにも最適に適合させるために、さまざまな条件を満たさなくてはならない。水晶発振器の温度補償で使用される較正処理には、水晶周波数と弛張発振器の周期の3組の数値が必要である。較正は弛張発振器から出される周期D1T1,D2T2及びD3T3と、32768Hzの公称値と比較したクオーツ周波数YT1、YT2及びYT3の相対ギャップとを測定することである。ここで、T1、T2及びT3は、例えば、図1の符号51,52又は53の3つの異なる温度であり、これらの温度の絶対値は問題にならない。図1に示される放物線関数30はこのような3つの値で十分に定義されるので、結果として得られた関数Y(D)により、二次熱補償Q(T)をプログラムするのに必要なパラメータを明確に計算することができる。なお、温度値51,52及び53はこの較正処理を実行するために既知である必要はない。
この処理は32768Hzの公称値を参照するので、較正が行われるときの場所は問題とならない。これは、時計や時間基準を備える他の電子機器の製造段階のどこかで実行することができる。
図4は水晶発振器101によって駆動される時間基準の温度補償を備えた装置100を示す概略図である。水晶発振器101はパッケージに格納され、電気接続105を介して制御ユニット102と接続されている。制御ユニット102は、安定した水晶発振器101を利用し得る用途に応じて、即ち、時計、GPS装置、温度補償された時間基準を必要とする他の装置に応じて、別の制御回路を備えることができる。通常、このような制御ユニット102は特定用途向け集積回路(ASIC)内で実現可能である。本発明によれば、この制御ユニット102は弛張回路103を有する。較正を実行するために、水晶発振器101は熱コネクタ104を介して制御ユニット102に格納された弛張回路103と熱的に接続される。なお、熱コネクタ104は電気接続線105と同様、生産チェーンで周期的に使用でき、即ち、閉じた熱的接続が装置の最終実装段階で達成されさえすれば、最終装置は別の熱コネクタ104及び/又は別の電気接続を備えることができる。回路103は制御ユニット102の外側に出すこともできる。
本発明は、方法及び装置は2つの異なる補正工程を実行するという洞察に基づく。これらの工程は「プリセット」と「抑制」と呼び、図5及び6を組み合わせて以下で説明する。
図5は、時計レートの温度補償の概略図である。MINVは時計がクオーツ転移温度のときのレートである。符号71は、時間基準の長さ、例えば、任意のユニット中の基準となる一秒を示す。この図では、ライン71は一秒の正しい長さを示していると考えられる。Mは、水平ライン72、例えば温度Tのより長い(周波数は低い)未補正のレートの長さに対応する。従って、熱補償サイクルの範囲で、短めの一秒73が導入される。文字Qは図3に示した補償に関連する。補正により、短めの一秒のライン73とライン71の間の面83が残り時間の線72と71の間の面82と等しくなる。図5からわかるように、概略図は正しい縮尺で記載されていない。
図5によって実現される「プリセット」処理は開始カウント値を設定する。このとき、最大カウントまでカウントされた数はゼロで始めたときの数より小さい。
次に、「抑制」処理は、抑制によるレート調節の概略を示す図6に関連して示される。温度に依存しないこの補正は、一定の間隔で長めの一秒を挿入して得られる。これに関して、図6の実施形態は、図5による補正が既に実行されたという前提で始まる。従って、Mは既にMinvで補正されたMに変換されている。もし、温度が一定であれば、図6によるオフセット補正もまた独立して、図5の補正前に実行される。水平ライン172は未補正の水晶発振器に関する。符号172は時間基準、例えば任意の単位を基準とする一秒の長さを示すが、補正された時間基準はライン171となる。
従って、Minvは水平ライン172、例えば、より短い(周波数は高い)未補正レートの長さに対応する。オフセット補償サイクルでは、長めの一秒173が導入される。文字Kは図3で示した補償に関連する。補正により、長めの一秒のライン173と171の間の面183が残り時間のライン172と171の間の面182と等しくなる。図6からわかるように、概略図は正しい縮尺で記載されていない。
抑制処理とは、計数器への入力時に所定数のパルスを消去することである。最大カウント数は抑制されたパルスの数に計数領域を加えた合計となる。両者の方法に起因する修正は反対のサインを示し、図1中のベクトルQとKに概略的に対応する。
好ましくは、「プリセット」関数は最初にプログラムされ、正(positive)の補正をする。これは時計レートを加速させるか、又は水晶周波数を増加させることと等しい。補正は温度に依存し、異なる温度で得られた3つのカウント値に基づいて直接計算できる。水晶の熱ドリフトは、レートが一定であり、クオーツ転移温度でのレートTINVに等しくなるよう補償される。実用的には、補正Qは定期的に短めの一秒を挿入することで得られる。例えば、4分毎に一秒を他より短くする。
「オフセット補正」としても公知であるレート補正「抑制」は図3のベクトルKに相当する。これは負(negative)の補正である。これは、時計レート又は温度補償された時間基準を有する他の電子機器のクロック信号を減少させることである。このようなレートの数値調節方法は周知であり、ほとんどのクオーツ式時計で使用されている。抑制は長めの一秒を定期的に挿入することにより実行される。例えば、レートを遅くするために4分毎に一秒の周期を他より長くする。この補正は温度に依存しない。値Kは温度補償後の平均レートの測定値を基準にして計算される。温度補償の事前の調節のおかげで、レート調節処理工程は後の製造工程中のどんな温度にでも適用できる。これにより、周波数の調節中の環境的制約を緩和することができる。一般に、温度補償レートのない時計では、調節は室温又は、例えば人が身につける時計の平均温度という所定の温度設定でレート誤差を解除している。
また、測定中の両方の関数を区別するために、温度補償と抑制は、例えば図7で示すように2分毎に、周期的に交互に生じる。補正時間ラインは破線271である。「未補正の」一秒の長さはライン272で表わされる。この時間基準は、オフセット補正による長めの一秒274によって、及び温度補正による短めの一秒273によって、補正される。補正274は固定してプログラムされ、補正273は装置の現時点の温度での現時点の補正である。より短い時間基準部分の面283は、より長い時間基準部分の面284と等しく、即ち、装置の使用者は装置の動作が時間ライン271上にあるとわかる。
この較正処理には以下の利点がある。
−Q、温度補償用補正又は「プリセット」とK、抑制用補正又は「オフセット補正」は反対のサインを示す。
−両方の調節は完全に独立している。オフセットKの補正のプログラミングは熱補償Qの後に実行されることが好ましく、周波数の変動は対数的なので、オフセットをその限界値に近付けることができる。
−抑制によるオフセット補正の正確な調節は、電子機器にクオーツを実装した後、例えば、時計箱体にムーブメントが実装された後、配送時、及び保存温度に依存しないレートを考慮して、かなりの時間(数時間又は数日間)にわたって集積された後で、行うことができる。
−水晶発振器はムーブメントのような近接する物体に対して敏感である。従って、電子モジュールを組み立てた後、さらに時計ケースに組み立てた装置を挿入した後に影響を受けるであろう。
クオーツの転移温度での周波数が32768Hzより高ければ、より大きな周波数調整公差を有するクオーツが使用できる。通常の温度補償方法では、図3の放物線の全てのポイントが、例えば0〜50℃の所定の温度帯において、32768Hzの公称値を上回らなくてはならない。抑制を用いた補正は、クオーツのレートを下げることを意味する下向きのppmギャップを補正することができるだけである。
図8は水晶発振器の周波数相関ギャップに対する負荷容量の影響と依存を示す。実施形態では、より好ましい容量負荷のおかげで、発振器の安定性の改善が見られる。例えば、公称負荷容量CL0を持つ32768Hzクオーツの標準仕様は、室温付近での公差のみを考慮する。この状態では、集積回路に関連する水晶動作の温度特性は32768Hzを上回る値を使用することが必要かつ十分である(図3のレベル0ppm)。図8は負荷容量CLの関数で周波数の相対ギャップを表わす。これは、2つの異なる温度、室温に近い転移温度Tinvでのギャップ91と5℃でのギャップ92とが示されている。どの温度でも32768Hzより高い周波数を確保するためには、動作ポイントをCL0より低い値Cに左にシフトさせなければならないことは明らかである。このポイントでの特性の傾きは急勾配であり、容量障害により誘導される周波数の相対変動は大きい振幅となり、従って、不安定となる。
参照には32768Hz音叉型水晶振動子を使用したが、3つの温度値が温度変動の放物線関数に近いパラメータを提供するように測定されるならば、異なるタイプの水晶振動子を使用できることは明らかである。尚、異なる温度での4以上の数値を獲得することにより、獲得パラメータにより温度変動の高次の関数をプログラミングすることが可能となる。第二の発振器の感度が水晶発振器の温度による感度よりかなり高いこと(10倍、好ましくは100倍より大きい)だけが重要である。

Claims (6)

  1. 温度に依存する線形周波数(20)を示す第二の発振器(103)を使用した、温度に依存した放物線周波数特性を有する水晶発振器(101)で駆動される時間基準の温度補償方法であって、
    前記第二の発振器(103)の所定数のパルス(61)で与えられる時間間隔に、少なくとも3つの異なる温度(51,52,53)で前記水晶発振器(101)のパルス(65)をカウントし、各温度でカウントされた前記パルス(65)が前記温度を表示し、
    前記少なくとも3つの異なる温度(51,52,53)でカウントされた前記水晶発振器(101)のパルス(65)数に基づいた温度で、前記水晶発振器の周波数(30)に組み合わされる前記第二の発振器周期の変動関数(20)を算出し、
    前記温度における第二の発信器周期の変動関数(20)を用いて、任意の動作温度における温度変化による水晶発振器(101)の周波数変化を補正する、
    工程を有する温度補償方法。
  2. 前記水晶発振器(101)が、当該水晶発振器(101)の放物線の変動関数(30)のパラメータを評価するために、前記第二の発振器(103)と熱的(104)及び電気的(105)に接続して断続的に実装される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも3つの温度が、約8℃、約38℃、及び約23℃、で選択される請求項1に記載の方法。
  4. 水晶発振器(101)と、温度に依存する線形周波数(20)を示す第二の発振器(103)とを有する、温度補償された時間基準を備えた装置であって、前記装置はさらに、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法によるプログラムされた温度補償に基づいて、補正信号(73,173,273,274)を提供する制御ユニット(102)を有することを特徴とする装置。
  5. 前記水晶発振器(101)が、32768Hz音叉型発振器である、請求項に記載の装置。
  6. 前記第二の発振器(103)が、弛張発振器又はRC発振器である請求項又はに記載の装置。
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