JP5266042B2 - 統合失調症前駆症の治療方法 - Google Patents

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Description

本発明は,NMDAグリシン部位アゴニスト,グリシントランスポーター−1阻害剤またはその混合剤であり,薬学的に許容される添加剤、担体または賦形剤を併用してもよく、使用する被験者らの統合失調症前駆症の治療方法に関する。
本出願は、2005.04.11に出願された米国仮出願s.n.US60/670,000の優先権主張であり、本明細書の全体に参照されることにより援用される。
統合失調症は,発症率が高く衰弱性で時々生死にかかわる疾患である。1990年世界保健機関の先進地域の健康保険負担ランキング(Murray and Lopez,1996)では,統合失調症は,糖尿病,肝硬変,薬物使用,乳がん,喘息,リウマチ様関節炎,およびHIVの上に位置している。現在,統合失調症に使用できる治療剤は2種類あり,1950年代後半に最初に開発された従来の抗精神病剤,ならびに過去10年間にわたって開発されてきた新世代の非定型抗精神病剤である。新世代の薬剤を含む治療法の最近の進歩にも関わらず,大抵の統合失調症の患者は,慢性的に身体障害を持ったままである。障害は一般的には若者や若年成人に現れ,結果として生じる慢性は大抵は生涯続く。
統合失調症前駆症状−新しい治療剤の必要性
統合失調症は異質(heterogeneous)であるけれども,大抵の患者は発病前期,前駆期および精神疾患期からなる過程が続くと見なされる(Woods and McGlashan,2005)。発病前期は,正常な無症候期間または生後から始まる比較的微妙で安定した機能障害が特徴である。前駆期は,第一症候期として概念化されており,持続期間は比較的短く,重症度が高まっている。患者が完全な精神症になると,我々が現在それを概念的に説明するように,患者は統合失調症の発症を経験してしまったと定義される。現在の治療剤のガイドラインは,疾患発症後の明らかな精神症期に適用しているだけである。
統合失調症障害の前駆期は,19世紀以降認識されるようになってきた(Bleuler,1911)。前駆症状期中の治療介入の可能性には,たいてい長い歴史がある(Sullivan,1927)。主として2つの進展から,この分野において最近、強い関心が再び持たれている(McGlashan,1988;McGlashan and Johannessen,1996;McGorry,1998;Stephenson,1999)。
第一に,統合失調症の重症度および慢性化と関係している神経生物学的障害の過程は,発症が認められるときまでにはすでに存在していることが明らかにされてきた(McGlashan and Johannessen,1996)。このようにこれらの障害過程はわれわれが現在それを定義するように,疾患が発症する前に始まる。前駆症の間に診療することは,進行の早期にこれらの過程に影響を与えるという希望を提供する。
第二に,抗精神病剤の投与に関するすべてではないにしても(Barnes et al.2000;Chen et al.,1999;Craig et al.,2000;Ho et al.,2000;Robinson et al.,1999)たいていの研究(総説参照(Lieberman et al.,2001;Norman and Malla,2001;Woods et al.,2001))は,活動期における早期治療は同じ治療を遅れて適用した時よりも長期転帰が良いことに関係するかもしれないということを示唆している。Max Marshall(Marshall et al.,2003)とJeff Lieberman(パーソナルコミュニケーション)は,この調査に対してメタ分析を各々行っており,各々のメタ分析により早期治療の顕著に好ましい総合的な効果は明らかである。これらの結果は,疾患の進行において早期診療は,活動期前において,さらに長期転帰が良いことに関係するかもしれないということを示唆している。統合失調症の慢性障害の予防が想定されうる。
具体的な進展は,近年,前駆症の間に患者を正確に同定することの取り組みがなされてきた。我々のグループは基準および前駆期を診断するための構造的インタビュー(前駆症候群用構造的インタビュー(SIPS)(Woods et al,2001))を精巧に作り上げてきた。その基準は,弱化妄想(普通でない思想内容)および弱化幻覚(知覚異常)のような統合失調症の陽性症状の閾値以下水準に基づいている。我々は,前駆症状診断の信頼性がすばらしく(Miller et al.,2002;Miller et al.,2003a)および前駆症状の患者は症候性が高く(Miller et al.,2003b;Woodds et al.,2001),機能的に障害があり(McGlashan et al.,2001;Miller et al.,2003b),認知障害があり(Hawkins et al.,2004a),治療を探し求めているということを示してきた。12か月内の発症の危険性は,未治療のサンプルでは54%であり(Miller et al.,2002),プラセボに無作為に選ばれたもう一つのサンプルは47%であった(Miller et al.,2004)。発症の危険性は,翌年は約30−50%であり,同じの基準を用いる世界各国の他の場所で同じである(Morrison et al.,2004;Yung et al.,2003)。これらをもとに,我々はこの証拠は,これらの患者は,有効な治療剤および介護標準定義を必要としている新たな臨床集団を構成することを示していると考えている。
今までのところ3つの研究のみが前駆症状の患者の治療のニーズに取り組んできた。最初の2つは,抗精神病薬の投与を研究した。最近完了した試験では,非盲検でリスペリドンと認知治療法と通常の介護とを,通常の介護のみと比較するために,59人の患者を無作為に選んだ(McGorry et al.,2004)。精神病への6か月の変化率は,リスペリドンを含む治療が9.7%,通常の介護が35.7%であった(p<.05)われわれのグループはオランザピンとプラセボを比較するために60人の患者を無作為に選んだ12か月の試験を完了させた(McGlashan et al.,2004;Woods et al.,2003)。12か月の変化率はオランザピンが16%で,プラセボが38%であり,ベースラインの重症度不均衡を調整すると,統計的に優位差があった。3つ目の研究は,認知療法とモニタリングを比較するために58人の前駆症状の患者を無作為に選んだ(Morrison et al.,2004)。すでに精神病になっていたと後から考えられた2人の患者を除くと,認知療法グループは著しく低い率を示した。
前駆症状調査研究は,今までのところ,統合失調症精神病の進行を防ぐ目的に主として焦点を当ててきた。このことは確かに重要な目標であるが,倫理的問題が生じている。なぜなら,もし利点が専ら予防として定義されるなら,患者の中には利点を得るための個人的な機会がない偽陽性である者もいるからである。前駆症状の患者らは症候性が高く,今までのところ治療により患者の進行中の症状が改善するか否かを決定することに対しては,ほとんど注意を払われてきていない。登録した各々の患者は個人的に危険性に対して平静を失うという利点を得る見込みがあるため,症状の改善に焦点を当てることは倫理的な問題を減ずる(Woods et al.,2001)。我々のグループは,短期的にオランゼピンとプラセボとを比較検討する試験での上記分析を行い,主要な結果判定方法としてSOPSを用いた。(Woods et al.,2003)。結果では,前駆症状はオランザピンを用いるよりも,プラセボを用いるほうが著しく改善するということが示された。前駆症状の患者はプラゼボとほとんど変化がなかった。
NMDA機能不全 − 統合失調症前駆症の治療のための新規神経生物学的ターゲット
抗精神病剤の投与は,前駆症状の患者に対して最初に試行された。前駆症状の介入に関する一部の問題は,新しい非定型精神病剤でさえ体重増加および代謝症候群を含む厄介な副作用を有しうるということである。これらの副作用の多くは,大人よりも若者において目立つことがある(Woods et al.,2002)。抗精神病剤の投与が前駆症状の患者に最初に試行されることは理解できるが,前駆症は統合失調症の慢性期と関係する神経生物学とは異なる神経毒または退行変性過程を含むかもしれない。他の投薬は,おそらく慢性患者らには弱い効果のみであり,前駆期の潜在的に固有の神経細胞学に影響を及ぼすということもあり得,それによって前駆症状を改善する,および/または,統合失調症が進行するのを防ぐかもしれない。
薬剤には非常に多くの実施例があり,同じ治療剤でも疾患経過中の早期に与えられると十分な効果がある及び同等の効果があり得るが,病態生理が変化してしまった後,疾患経過中の遅い時期では効果が少ない又はまったく効果がない。よくある一例は新生児甲状腺機能低下症(クレチン症)である。胎児は母親の甲状腺ホルモンを利用するため普通に発育してくるので,この病気は出生時には無症状である。もし疾患が出生後短期間でスクリーニングにより検出されるなら,早期に甲状腺ホルモンを補給することで完全に正常に出生後,神経が発達できる。しかしながら,疾患が神経症状が発現するまで検出されなければ,甲状腺ホルモンの補給が遅くなり,甲状腺ホルモンレベルは直るが,正常な神経機能は回復せず,その子供は慢性的に発育上身体障害者のままである。
最近認可された統合失調症の全治療剤は,典型的な抗精神病剤と非定型抗精神病治療剤の両方を含み,統合失調症のドパミン作動性の学説および薬剤間で臨床の有効性において一部だけ変動を生じる他の受容体での相互作用を含み,主にD2型ドパミン受容体での神経伝達を遮断することによる機能に基づいて開発された(Kapur and Remington,2001)。これらには統合失調症前駆症へ対して試験が行われる第一選択薬でもあった(McGorry et al.,2002;Woods et al.,2003)。本特許出願において,統合失調症前駆症に対して提案した新規治療剤は,統合失調症およびその前駆症のグルタミン作動性またはNMDA機能低下モデルか,どちらか一方に基づいている。(以下参照)
直接的または間接的NMDA/グリシン部位アゴニスト:統合失調症前駆症においてNMDA機能不全をターゲットとする薬剤
統合失調症のNMDA機能低下モデル 統合失調症の従来のモデルは主にドパミンの役割に焦点を当ててきた。ドパミンモデルは,2つの主要な結果に基づかれている。1つ目は,統合失調症に酷似する精神病を促進するため、特に慢性投与後に続く,アンフェタミンおよび他のドパミン放出薬剤の効力である。2つ目は,特定の症状を回復に向かわせるドパミン(D2)受容体を遮断する薬剤の効力である。統合失調症の症状は,3つの症候群に分類されるのが通常である。動揺,妄想および偏執性妄想のような症状からなる陽性群;運動遅延,情動的な引きこもりおよび消極的/無感動の社会的引きこもりのような症状からなる陰性群;見当式障害または概念的解体のような症状からなる認知的(AKA自閉症又は解体)群である。ドパミンモデルの限界は,アンフェタミンは主に統合失調症の陽性症状に似ている症状を含むが,陰性又は認知的症状のどちらかに似ている症状を含まないということである。さらに,抗精神病治療剤は,統合失調症の陰性症状よりも,陽性症状の治療剤において,集団的にはるかに効果的であると判明してきた。
グルタミン作動性モデルは,フェンシクリジン(PCP),ケタミン及び同類の精神作用化合物が,統合失調症の陽性症状および陰性症状の両方に酷似した症状を健常志願者に誘導したという所見に基づいて1950年代後半から最初の開発が始まった(Domino and Luby,1981;Luby,1981)。その後の調査により,これらの化合物はNMDA型グルタミン受容体で神経伝達を遮断することによって機能することが証明された。NMDA受容体媒介神経伝達の内因性の機能障害または調節異常が,実質上,統合失調症の病態生理の原因かもしれないという仮説が導かれた(Abi−Saab et al.,1998;Coyle and Tsai.,2004;Javitt and Zukin,1991)。
PCPの固有の行動的影響が発見されて以来,多くの研究がNMDAアンタゴニストによって誘導される症状および精神認知障害と統合失調症で内因的に観察される症状及び精神認知障害の間の類似の程度を判断するために行われてきた。そしてそれらの症状は,てきた。薬剤が1960年代後半に市場から回収されるまで,研究はPCP自体を使って最初に行われた。そのような研究では,PCPは症状だけでなく,統合失調症の症状に酷似する神経心理障害も誘導することが分かった(Domino and Ludy,1981)。さらに最近のケタミンの研究は,最初の所見を強く支持し拡大する。このように,例えば,ケタミン注入は統合失調症で観察されたパターンに酷似しているWisconsin Card Sorting(Krystal et al.,1994)および,AX−type Continuous Performance(Umbricht et al.,2000)の試験性能において誘発障害を示してきた。同様に,ケタミンは一時的な記憶障害(Malhotra et al.,1996)及び統合失調症における障害と同様の思考障害(Adler et al.,1998)を誘導し,統合失調症の患者の精神病症状を悪化させる(Lahti et al.1995b;Lahti et al.,2001;Malhotra et al.,1997)。更に,ミスマッチ陰性電位(MMN)のような事象に関連した電位を使って測定されると(Umbricht et al.,2000),前頭側頭骨血流において統合失調症様変性を引き起こすのと同様に,ケタミンは双方の感覚レベルの障害を再発させる。PETの研究において,ケタミンは線条体のような領域でドパミン放出を促進することも(Breier et al.,1998),統合失調症で観察されるようなアンフェタミンの効果を高めることも(Kegeles et al.,2000)する。fMRI研究において,統合失調症が報告されている被験者らと同じように,健常者ら(Belger et al.,出版準備中)での前帯状皮質(ACC)及び背側部前頭前野(DLPFC)のターゲット検出の間中,ケタミンはfMRI活性の減少を引き起こす。
Kapur S, Remington G (2001) Dopamine D(2) receptors and their role in atypical antipsychotic action: still necessary and may even be sufficient. Biological Psychiatry 50:873−883.
本発明は,患者に前駆統合失調症の治療をするためのNMDA/グリシン部位アゴニスト及び/又はグリシントランスポーター阻害剤の使用に関する。本発明のこの方法では,前駆統合失調症の症状を治療する(前駆統合失調症の重症度を下げる,および/若しくは,1つ又はそれ以上,好ましくは大部分およびより好ましくはほぼすべての前駆症状の統合失調症の症候を取り除く)又は予防する,又は患者の前駆統合失調症が明らかな精神病(frank psychosis)になるという可能性を十分に減らすために,前駆統合失調症(初期又は再発の前駆症)の症状を示す患者又は被験者に,NMDA/グリシン部位作動薬,グリシントランスポーター阻害剤又はその混合剤からなる群から選ばれる化合物の有効量を投与する。薬学的に許容される担体,添加剤または賦形剤と併用してもよい。
本発明の特有の側面は,以下の化学構造式を有する化合物,または,薬学的に許容されるその塩,その溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体であり,前駆統合失調症の前記症状を治療する又は/及び好ましくは予防する,若しくは患者の前駆症状の統合失調症が明らかな精神病(frank psychosis)に進行するという可能性を少なくとも減らすために,前駆統合失調症の症状を示す患者又は被験者に,単独で投与される,または薬学的に許容される塩,添加剤もしくは賦形剤と併用することが好ましく,グリシントランスポーター阻害剤を併用してもよい,NMDAグリシン部位アゴニストはアミノ酸またはその誘導体である。
ここで,Rは,H,CHまたはCHORであり;
は,HまたはC−C20の置換されてもよいアルキル基であり;
は,HまたはC−C21の置換されてもよいアシル基であり;および
は,HまたはC−C21の置換されてもよいアルキル基を示す。
本研究の他の側面は,本方法は,前駆統合失調症の前記症状を治療する,及び/または,好ましくは予防するまたは患者の前駆症状の統合失調症が明らかに精神病になるという可能性を少なくとも減らすために,前駆統合失調症の症状を示す前記患者に,グリシントランスポーター阻害剤(上記サルコシンもしくは誘導体など,または図1−5で説明した化合物3−43のいずれか)又は薬理学的に許容される塩,溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体の有効量を投与することからなる。
好ましくは,グリシントランスポーター阻害剤は,以下の化学構造式で示される化合物,,又は薬理学的に許容されるその塩,その溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体は,前駆統合失調症の前記症状を治療するため,及び/または,好ましくは予防する,もしくは患者の前駆統合失調症が明らかに進行するという可能性を少なくとも減らすために,前駆統合失調症の症状を示す患者または被験者に,単独で投与される又は薬学的に許容される塩,添加物若しくは賦形剤と併用するのが好ましく、NMDAグリシン部位アゴニスト(上記)を併用してもよい,サルコシン及びその誘導体を含む。
ここで,RはHまたはCHであり;
2aはOH,C−C20の置換されてもよいアルコキシ基,置換されてもよいC−C20のヒドロカルビル基又は置換されてもよい複素環又は芳香族複素環基であり;
3aはCHまたはRまたはRと一緒になって置換されてもよい複素環基若しくは芳香族複素環基を形成し;
はH,C−C21の置換されてもよいアシル基,又は置換されてもよいC−C20(好ましくは置換されてもよいC−C20)のヒドロカルビル基,又は置換されてもよい複素環基もしくは芳香族複素環基を示す。
本発明で使用する特に好ましい化合物は,添付図1A−Eの化合物2−43に表される化合物を含む。
「患者」または「被験者」という用語は,本明細書を通して使われており,被験者を好ましくは人をあらわす。被験者の治療剤として,予防的治療剤をも含み,本発明に記載の化合物/組成物が提供される。一般に,他に特に規定がなければ,治療剤は人の患者もしくは被験者用である。
本明細書において,「化合物」という用語は,他に特に指示がなければ,本明細書で開示された特定の化学化合物のいずれをも示し,本文中の互変異生体,位置異性体,幾何異性体および適用できる場合,その光学異性体を含み,同様に薬学的に許容される塩,溶媒和物及びその多形体をも含む。本文中の使用範囲内で,化合物という用語は一般的に単一の化合物を示すが,立体異性体,位置異性体及び/または光学異性体(場合によっては,ラセミ混合物を含む)のような他の化合物も含んでもよい。同様に,特定の鏡像異性体もしくは開示した化合物の鏡像異性的に濃縮された混合物を含んでもよい。
「単独で」という用語は,変数は独立して適用され,出願によってそれぞれ異なるということを示すため,本明細書で使用される。
「ヒドロカルビル」という用語は,本文中の使用範囲内で,ラジカル含有の炭素原子と水素原子を指すものとする。1〜20個の炭素原子を有するのが好ましい。上記用語は,本文の範囲内で,芳香族基のような環状基及び不飽和基をも含んでもよい。下記のように,置換されたヒドロカルビル基は,少なくとも1つの水素原子が別の部分に置換されているヒドロカルビル基である。「アルキル」という用語は,本文中の使用範囲内において,直鎖,分岐鎖,もしくは環状ラジカルの完全飽和C−C12の炭化水素であり,好ましくはC−Cであり,さらにより好ましくはC−Cの直鎖,分岐鎖若しくは環状の完全飽和炭化水素ラジカルである。「アルケニル」という用語は,1つの二重結合を含む1つのアルキル基と同様に,1つの炭化水素基を表すのに使用される。不飽和ヒドロカルビル基は,アセチレン基を含み,本発明において使用されることが想定される。「アルキレン」および「アルケニレン」という用語は,一般的に長さが約12炭素単位までのアルキル及びアルケニル二価ラジカルを説明するために使用してもよい。好ましくは,長さが約6個炭素単位と同じくらい(例えば,長さが1〜4個の炭素)であり,特に置換基若しくは置換されたことを示すときは,アルキル及びアルケニルという用語で包含されてもよい。
「芳香族」若しくは「アリール」という用語は,文脈中において,単環(例えば,フェニル)または多縮合環(例えば,ナフチル,アントラセン,フェナントレン)を有する置換されたまたは置換されていない一価の炭素環芳香族ラジカルを指すものとする。他の例では,環内に,1つ若しくはそれ以上の窒素原子,酸素原子,または硫黄原子を有する置換されてもよい複素環芳香族環基(「複素環芳香族化合物」および「ヘテロアリール」)を含む。たとえば,他の多数のもののなかで,イミダゾリル,フリル,ピロリル,ピリジル,チオフェン,チアゾール,インドリル,キノリンである。本発明に記載の化合物において好ましいアリール基は,フェニル基または置換されたフェニル基であり,ビフェニル基を含む。
「複素環」という用語は,環状の置換されてもよい部分を指し,窒素原子,硫黄原子,酸素原子若しくは他の原子など,炭素原子以外の少なくとも一つの原子を含むこととする。本発明に記載の複素環は,多数のものの中でも,置換されてもよいイミダゾール,ピペラジン(ピペラジノンを含む),ピペリジン,フラン,ピロール,イミダゾール,チアゾール,オキサゾールもしくはイソオキサゾール基である。本文中で使用に応じて,複素環は飽和及び/または不飽和(複素環芳香族)でもよい。
「不飽和」という用語は,水素原子でのみ置換されたことを指すものとする。「飽和」という用語は,定義済みの化合物の化学的な内容の範囲内で,ヒドロカルビル(数ある中でも,好ましくは,大きさが12炭素単位までで,炭素単位自体が置換されてもよく,飽和または不飽和であり,好ましくは,置換されたてもよいアルキル基またはフルオロ基で置換されてもよい)から選択される一置換基(各置換基は,それ自体が置換されてもよい)を指すものとし,好ましくはアルキル(一般に長さで約12炭素単位と同じくらい),置換されてもよいアリール(ヘテロアリールでもよく,アルキレンアリールまたはアルキレンヘテロアリールを含んでもよい),置換されてもよい複素環(特にアルキレン複素環を含む),CF,ハロゲン,チオールまたは(=S),ヒドロキシル,カルボキシル,酸素(ケト基を形成する),C−Cアルコキシ,CN,ニトロ,置換されてもよいアミン(例えば,アルキレンアミン又はC−Cモノアルキル基又はジアルキルアミン),C−Cアシル,C−Cアルキルエステル,C−Cアルキレンアシル(ケト),C−Cアルキレンエステル,カルボン酸,アルキレンカルボン酸,C−Cチオエステル,C−Cエーテル,C−Cチオエーテル,アミド(amide)(アミド(amido)又はカルボキシアミド),置換されたアミド(amide)(特に,モノ−又はジ−アルキルアミド)又はアルキレンアミド,置換されてもよいカルバミン酸又はウレタン基,明細書中では,アルキレン基または他の炭素基は,他に特に規定がなければ,長さが1〜8個の炭素単位(代わりとしては,長さが約2〜6個の炭素単位)を含み,エステル基に接するアルキル基は長さが1〜8個の炭素単位であり,好ましくは,長さが4個までの炭素単位である。多種の置換されてもよい部分は,5個又はそれ以上の置換基で置換されてもよい。好ましくは,3個の置換基だけであり,好ましくは1〜3個の置換基である。
「薬学的に許容される塩」という用語は,本明細書を通して,本明細書に記載された1つ又はそれ以上の化合物の塩状の類似体を記載するために使用され,塩状の類似体は,化合物の溶解や生体利用効率を促進するために,患者の胃腸管の胃液で化合物の溶解性を増加させる。薬学的に許容される塩は薬学的に許容される無機又は有機の塩基及び酸から生じる塩を含む。適切な塩は,薬学的な技術においてよく知られている他の多数の酸の中で,カリウムおよびナトリウムのようなアルカリ金属,カルシウム,マグネシウム及びアンモニウム塩のようなアルカリ土類金属から生じる塩を含む。付加塩は,他の多数のものの中でも,アミンの酸付加塩,例えば,HCl塩,カルボン酸塩(リンゴ酸塩,クエン酸塩,タウリン塩,シュウ酸塩など)及びリン酸塩などを含む。塩の形成は,当業者が理解しているように,任意の化合物の化学式の1官能基である。
「有効量」という用語は,本発明に記載の化合物又は組成物のある量または濃度を指すものとし,投与との関連で有効である量又は濃度であり,阻害,予防及び/又は治療であってもよい。本発明に記載の化合物は,その変化が健康状態の影響であろうと治療されるべき疾患であろうと,好ましい生物学的結果であろうと治療した疾患または健康状態に関連した症状の軽減であろうと,治療した疾患又は健康状態/症状において,好ましい変化を提供するのに特に有用である。「有効量」という用語は,一般的な説明書に基づいて,一時的な及び継続的な投与の検討をも包含する。
「薬学的に許容される担体」という用語は,担体,添加剤または賦形剤を示し,投与される被験者に許容されない毒性をもたない。薬学的に許容される賦形剤は,技術的によく知られる他の参考文献のうちで,E.W.Martin著の「Remington’s Pharmaceutical Science」の中で詳細に説明されている。
本発明の側面は,上文に詳細に記載されている化合物を含み,または本発明に記載の1つもしくはそれ以上の化合物の有効量を含む医薬組成を含み,薬学的に許容される担体,添加物もしくは賦形剤と併用してもよい。
「同時投与」または「併用療法」という用語は,有効量である少なくとも2つの活性化合物が前駆統合失調症を治療するために同時に使用される治療法を説明するために使用される。同時投与という用語は,好ましくは2つの活性化合物を同時に患者へ投与することを含むけれども,個々の化合物の有効量が同時に患者の体内に存在する事になるけれども,必ずしも複数の化合物を同時に患者に投与することではない。
「前駆統合失調症」という用語は,精神異常として統合失調症の前兆である健康状態を説明するために使用される。「prodrome(前駆症)」という用語は,ある出来事の前兆を意味するギリシャ語の「prodromos」という言葉に由来する。臨床医学において,前駆症は,初期症状および急性の十分に進行した疾患の特徴的な徴候の前にあらわれる疾患の徴候を示す。例えば,はしかには発熱,息感冒,結膜炎および咳を特徴とする前駆症が3〜4日ある。この後,特有の発疹が続き,最終的な診断が可能になる。精神異常における前駆症は同様に定義される。この前駆症を,精神病の発症または異常な行動症状の発症から精神病の症状の発症までの期間に関連した一時的な行動の異質なグループ(heterogeneous group)として定義してもよい。代わりに,最初に目立つ症状から最初の顕著な精神病の症状までの期間として定義してもよい。説明にかかわらず,前記用語は,精神病的な状態という結果によくなる人の以前の経験及び行動からの逸脱を表し,精神病になる前の障害の期間を示す。もし前駆症の概念が既往の意味に制限されるならば,明確な症状及び徴候が進行して初めて診断され,早期診療の機会は失われる。
「前駆症」という用語は,最初の精神病的な疾患の発症または最初の精神医学的診療前の精神病になる前の期間を示すために,複数の著者らに予め使用されてきた。「前駆症」という用語は,先在する明らかな精神病の再発の前兆となる「再発前駆症」に対比して,「初期前駆症」としても示される。本出願では,「前駆症」もしくは「前駆症状」のという用語は,「初期前駆症」という長い用語の代わりに,本発明を説明するために本文中で使用される。本発明は,再発前駆症の治療剤に関するものではない。本発明では,前駆症状症候群のための構造的インタビューに従って,患者が前駆症診断基準を満たすときに,患者は前駆症(初期もしくは再発)となり,弱陽性症状のサブグループに属する(Miller et al.,2002)。
初期前駆症は,ある人の中で最初の目立つ変化から最初の明らかな精神病の症状が進行するまでの期間として定義される。正確にはこの期間を定義するには多少問題がある。この期間は患者,親族または患者と定期的に接している他人が認識する症状,および症状の重症度または精神病を進行させ,その後回復させてきた仮定上の患者の機能の変化によって定義される。前駆症(初期および/又は再発)は,患者が彼自身/彼女自身でちょっとした変化(一般的に実際に精神的な変化)に最初に気付いたときを含むが,精神病と呼ばれる症状は含まない。例えば,彼/彼女は,彼がいつもは,はっきりしない憂鬱な感情または不安に気付く又は気付いたかもしれないのと同様に,彼がストレスに対処しないということに気付いいていたかもしれない。彼は,意識を集中することが難しいということを覚えているかもしれない。患者だけが気付き,患者の知人は気付けないように,変化は微妙であったかもしれない。
多少精神的(意識的),心理学的,身体的または行動的な変化を認識している患者に加えて,前駆症は,患者の家族または友人が患者の前記変化に多少気付いたが,明らかな精神病を示す変化に気付かないときをも含む。彼らはその変化を「彼が経験していた局面」(特に若者の場合)のせいにしたかもしれない。または,仕事で悩んでいると考えたかもしれない。前駆症の進行として,新しい症状は,精神病と表現されるが,明らかな精神病を示すほどは重症ではない,複数の変化に患者が最初に気付いたときに現れる。例えば,患者が「音」を聞くこと(明らかな精神病での声を聞くことに対して),又は,他人が彼を操ろうとしているという思考を持ってきたこと(明らかな精神病での彼の心をコントロールする外部機関に対して)を言葉で表すかもしれない。
前駆症は,患者が明らかな精神病の症状を経験すること,コミュニティチームの参加および病院への入院のように,最初の精神医学的診療を何とか行うため又は行いながら,精神医学的診療/支援を求める,はっきりした必要性がでることで終了する。その後,有効的な診療を受けて,症状の重症度は減少する。
以下の症状は初期前駆症と関連している。
神経症の症状
不安
情動不安
怒り,興奮
心的状態関連症状
無快感症
憂鬱感
罪責感
自殺行為
気分変動
意欲の変化
無気力,活力の喪失
倦怠,興味の喪失
疲労,精力の喪失
認知変化
注意障害−集中力の欠如
空想への没頭
思考途絶
抽象概念の低下
身体的症状
身体的不調の訴え
食欲不振
睡眠障害
その他の症状
偏執強迫現象
解離現象
対人過敏症の増加
自己,他人または世界観の変化
異常な話し方
亜症候群性知覚異常
不信感
その他の亜症候群性思想内容
情動の変化
行動の変化
学業または日常役割機能の低下
引きこもり
衝動性
奇妙な行動
攻撃的または破壊的な行動
上記の症状に加えて,症状の変化パターンも重要である。このように,統合失調症前駆症において,様々な自覚症状および目につく行動の変化に加えて,長い時間をかけて前記変化が続くことも重要である。前駆症は,いずれか1時点での症状の単純な羅列であるというよりは,長い時間をかけて経験および行動が変化することを含む,1つの過程である。前駆症はその時々で心理的変化が進行する。精神病を引き起こす可能性が高く,本発明によって治療される前駆症を表す症状において変化が連続することに関して,論派が2つある。
パターン1:非特異的変化に続いて,特異的な精神病前症状になり,その後精神病になる。
論派の1つは,前駆症は非特異的な神経症型の症状,続いて標準からいっそう著しく逸脱し,最終的には明らかな精神病になるというパターンからなると考えている。自覚症状は,通常,日常役割機能の多少の低下およびその他の行動の変化に付随して起こる。統合失調症前駆症の非特異的変化の2パターンは,「機能低下の変化」および「機能亢進の変化」である。機能低下パターンは,引きこもり,無力および内向的行動を特徴とする。機能亢進パターンは神経質,情動不安,緊張,不安,心配および懸念という病状を特徴とする。精神病が差し迫っていることを告げる「特異的な」症状が発症する前に,これらの非特異的な症状は数週間から数年続くかもしれない。これらは臨床的に認識できる統合失調症的性質の症状(p.569)であり,不信感,外部環境には親密感がなくなってしまったという感情,および「放心した」もしくは「困惑した」感情からなる。これらの症状は明らかな精神病の事象の弱化型であるかのように思える。患者が精神科に処置を受けに来る前に,初期の特異的変化はしばしば数ヶ月から数年続くと考えられている。
パターン2:初期特異的変化,これらの変化への反動で神経症の症状をもち,その後精神病となる。変化パターンの別の見解は,特異的な自覚的変化は最初に生じ,その後明らかな神経症の症状および行動の変化が続くというものである。この事象は以下を含む。
1.注意障害。注意障害は初期統合失調症の基本的な症状であり,それに続くいくつかの症状および行動の発症機序である。最も重要な注意異常は,無関連刺激を除去することができない,情報を選択して注意を払うための能力障害である。患者は多数の出来事に気を取られて,圧倒感を感じ,結果として情報過重負荷となり,最終的に完全な注意力崩壊状態になる。
2.知覚障害。知覚障害は,断続的,一時的であるが,時々重症であるといわれている。視覚認知の異常が含まれ,例えば大きさ,形,色,光度,動き,観察者からの距離が変化するときの視覚対象である。全体として対象を知覚する場合において,患者が知覚できないことをも含み,全体の代わりに各部の検査に回され,像の全体的な「形態」を見ることができないという結果になる。このことは,先の選択的注意障害に関係する。
3.ブロッキング現象。この用語は,突然の注意,思考,知覚,記憶,言語行動および運動の途絶を示す。患者は断続的な「空白の期間」または「半眠状態」に気付いている。このようなブロッキング現象は選択的注意力の欠如によって引き起こされうる。患者が多くの感覚的な経験をすることによって,ますます気が散るようになるにつれ,そのとき患者は突然切り替わり,全く注意を払うことができなくなる。患者が処理することができない情報量が増加するのに伴って,患者は最終的に意識障害をきたす事態になる。
4.発声障害。発声障害は断続的であるといわれており,言語を理解する能力障害と同様に,言語の産出障害を含む。発声障害は,選択的注意障害に次いで起こる。
5.運動機能障害。運動機能障害は自発運動および運動協調の喪失を含む。運動障害は注意障害と知覚障害の両方に次いで起こり,例えば,特定の視覚または聴覚のために動きを止めなければならない。運動と知覚は深く関係しており,運動は知覚分野の安定性に左右される。
このように,統合失調症前駆症では,既存の疾患の兆候が明白に現れる前に,および患者が他の症状を実際に訴えるよりずっと前に,患者は比較的微妙な注意障害,知覚障害,思考障害,言語障害,および運動障害を主観的に経験しうる。前駆症はほとんど各種の神経症の症状を含みうる。不安が最も共通し,鬱病も共通する。これらの神経症の症状は一般的に続いて自覚的変化が起こり,患者には障害のほんの表面的な兆候だけであり,特に注意および知覚の潜在的な一次障害に対する反応である。前駆症が統合失調症へ進行するにつれて,もっと特異的な症状が現れる。例えば,上記の弱化した又は亜症候群性の微妙な幻覚又は早期妄想の経験である。妄想の多くは,先在する認知および知覚障害から同じように生じる可能性があり,患者が経験している事象を説明する方法として役に立つのかもしれない。
統合失調症前駆症におけるNMDA機能低下仮説 上記のように,「発病前」期(Woods and McGlashan,2005)の間の統合失調症の最初の徴候は主に陰性症状,混乱した又は非論理的な思考,および認識衰退からなる。これらの徴候は,明らかな精神病の症状の進行よりも数ヶ月から数年前から存在する(Hafner et al.,1993)。患者が前駆症状として診断をできる場合は,陰性症状および認識機能障害は疾患が進行している間,少し経っても厄介なままである(Cornblatt et at.,2003;Hawkins et al.,2004a;Lencz et al.,2004;Miller et at.,2003b)。NMDA機能低下モデルは,ドパミンモデルよりも遙かに重程度の陰性症状および認識機能障害からなる(Abi−Saab et al.,1998;Coyle and Tsai,2004;Javitt and Zukin,1991)。
ケタミン誘導精神病と統合失調症との間の鍵となる1つの相違は,健常志願者にケタミンを投与する間中の,幻聴の相対的な欠如である。その一方,定着した統合失調症を持っている患者では,精神病の他の特徴と同様に幻覚の再燃が観察される(Lahti et al.,1995b;Lahti et al.,2001;Malhotra et al.,1997)。この相違の理由は不明であるが,統合失調症の自然史を示すのかもしれない。前駆期の間中,患者は曖昧な聴覚の歪みまたは錯覚をしばしば経験するけれども,完全に形成された統合失調症様の幻聴は存在しない(Miller et al.1999;Miller et al.2003b;Rosen et al.,2002)。NMDAアゴニストを対象にした難解な調査は必然的に短く,このため統合失調症の初期症状のみ健常者に再現するとみなされる可能性がある。これらの検討材料は,NMDA機能低下は明らかな精神病の発症の前に現れて,前駆期中に存在する可能性があるという仮説を示唆する。サルにNMDAアゴニストを長期間治療すると,明らかな幻覚様行動の段階的進行を引き起こす(Linn et at.,1999)。NMDAアゴニストの亜慢性投与は薬剤中止後も持続する,基礎および誘発ドパミン放出の変化を引き起こした(Jentsch et al.,1997b)。このように慢性統合失調症では,幻覚は二次的なドパミン作用の混乱を引き起こす持続性のNMDA機能障害という結果を反映するかもしれない。この系統的論述が正しい範囲内において,たとえ慢性患者の治癒的価値が十分ではないとしても,前駆症状の患者でのNMDA欠損の回復もしくはNMDA欠損に対しての補強は,精神病進行を引き起こす過程を制止する結果につながるという可能性がある。
本発明の目的は,前駆症状の統合失調症が患者の異常な又は独特の思想内容,不信感,誇大,知覚異常,および/又はコミュニケーションの解体,亜症候群性の強さ,存続期間,又は頻度により,すなわちその症状は過去1年以内に始まった又は悪化したか,およびその症状は現在,先月にわたって少なくとも週1回現れたかということにより,明らかな精神病の基準値以下のすべてから精神科医又は医師により同定される又は決定される。
Thomas LE and Woods SW参照。統合失調症前駆症状:「A developmentally informed review and update for psychopharmacological treatment」Child and Adolescent Psychiatric Clinics of North America,2006;15:109−133
発明者は統合失調症前駆症用の精神医学構造化診断面接(SIPS)および重症度を測定するための評価尺度(SOPS)を開発し有効にすることに尽力してきた。これらの手段に関していくつかの科学出版物が,上記のThomas and Woodsの総説で引用されている。
上記,前駆症状の診断は,以下に定義するように,明らかな統合失調症を除外する。
明らかな統合失調症において,
A.以下の症状が2つまたはそれ以上起こっている:
(1)妄想
(2)幻覚
(3)著しく解体した会話
(4)著しく解体した行動
(5)陰性症状,加えて,
B.社会的/職業的な機能不全,
C.その症状はこれまでのところ少なくとも6ヶ月間は断続的に続いている;および
D.その症状は統合失調症感情障害,気分障害,薬物乱用,または発育または内科的疾患が原因ではない。
参照,Diagnostic and Statistical Mannual of Mental Disorders,Fourth Edition.merican Psychiatric Association,Washington DC,1994,pp285−6。
「NMDA/グリシン部位アゴニスト」という用語は,NMDA機能不全を対象とするNMDA/グリシン部位アゴニストを指し,本発明に記載の前駆統合失調症を治療するために使われうる。これらアゴニストは,グリシン,D−セリン,D−アラニン,D−サイクロセリン(4−アミノイソオキサゾリシン−3−オン),その薬学的に許容される塩およびこれらアミノ酸のモノ−またはジ−アミド/エステルプロドラッグ型(その場合,アミノ酸のアミノ基はC−C21アシル基とアミド(amide)基を形成する。および/またはアミノ酸のカルボン酸基はC−C20アルキル基とエステル基を形成する。セリンの場合では,セリンのCHOH側鎖のOHはC−C21アシル基とエステルを形成する)。
上記のようにアミノ酸であるNMDAグリシン部位アゴニストまたは薬学的に許容される塩またはプロドラッグ型は以下の構造式で示され,または薬学的に許容されるその塩,その溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体である。
ここで,RはH,CHまたはCHORであり;
はOH,C−C20の置換されてもよいO−アルキル基,またはなく;
はH,またはC−C21の置換されてもよいアシル基;そして
はH,C−C21の置換されてもよいアルキル基,またはRがなく,前記CO基に結合すると,五員複素環を形成する−N−基(D−サイクロセリンまたは誘導体を形成する)を示す。
NMDA受容体は,NR1,NR2A−D,およびNR3A−Bと呼ばれる,多数のサブユニットからなり,主要なリガンド(グルタミン酸)用の部位を含む多数の結合部位ならびに,アミノ酸のグリシンおよびD−セリンに敏感に反応する調節部位も含む,複合体分子である(Javitt,2004b;Javitt and Zukin,1991)。グリシン(Supplisson and Bergman,1997)もD−セリン(Hashimoto et al.,1992;Schell et al.,1995)も哺乳類の脳内に高濃度で存在しており,NMDA受容体複合体のグリシン結合部位に内因性のリガンドになりうる。
現在,最も診療の影響を受けやすいと分かっているNMDA受容体の部位はグリシン結合部位であり,グルタミン酸結合を調節するためのアロステリック部位として機能する。グルタミン酸は,NMDA受容体で主要な神経伝達物質として機能し,通常シナプス前終末から一過性に放出され,迅速に再吸収される。グリシン部位はグルタミン酸が占有すると効果があるので,グリシンおよびD−セリンはグルタミン酸が結合するのを調節する。グリシンおよびD−セリンはNR1NMDA受容体のサブユニットに結合するが(Foucaud et al.,2003;Miyazaki et al.1999),一方でグルタミン酸結合はNR2サブユニットに重複している。グルタミン酸部位作動剤の投与は長期に渡る,グルタミン酸受容体のNMDAとnon−NMDAの両方のサブタイプを含み,非生理的な活性化を引き起こし,その結果,発作および興奮毒性を引き起こす。その一方,グリシン部位は内因性の脳内アミノ酸であるグリシンおよびD−セリンの部分的な飽和濃度によって局所的に占有されている。これらのアミノ酸はほぼ半飽和濃度で存在していると考えられており(Supplisson and Bergman,1997),この部位への外部刺激により脳内NMDA活性化力がほぼ倍増に引き起こされうるということを示唆している。さらに,グリシン部位の占有はそれだけでNMDAチャンネルの開口を引き起こす。このように,グルタミン酸が放出されたときのみ,グリシン部位アゴニストはNMDA神経伝達物質の効果を高めるが,チャンネルを長期にわたって非生理的な開口状態にしておくことはない。
グリシンとD−セリンの両方が,ほとんどの脳領域でNMDA受容体の機能に寄与しているように思われる。D−アミノ酸酸化酵素を使用すると,グリシンへは影響せずに脳内D−セリン濃度が90%以上減少したが,NMDA受容体反応が50〜70%までに減少した(Mothet et al.,2000)。グリシン(Javitt et al.,1999)もD−セリン(Contreras,1990)もNMDAアンタゴニストの効果を低減させ,グリシン(Lu et al.,2001)もD−セリンも(Yang et at.,2003)もLTPをサポートする。さらに,グリシンおよびD−セリンはほとんどのNMDA受容体で同様の効果があるが,NR3Aサブユニットを含む受容体は,グリシンによって刺激されるがD−セリンによって阻害されるという点において,感受性差を示しうる(Chatterton et al.,2002)。しかしながら,少数のNMDA受容体のみがNR3Aサブユニットを含み(Goebel and Poosch,1999;Nishi et al.,2001),そのためグリシン/D−セリン差動効果について機能上の因果関係は不明である。グリシンは主に拡散を通してシナプスに入るように思われ,グリシンT1トランスポーターを経る再取込によって,グリシン濃度は受容体を亜飽和レベルに保っている。一方で,セリンは星状膠細胞によって位相的に放出される(Wolosker et al.,2002)。総合すれば,この文献はNMDA受容体でのグリシン部位活性が増加するとNMDA受容体機能低下を軽減する可能性があるということを示唆している。
前駆統合失調症の状態の患者に治療でNMDA機能低下を軽減することができるといわれる1つの化合物類は,NMDA/グリシン部位アゴニストまたはグリシン部位陽性のアロステリックNMDA活性調節因子と呼ばれうる。アミノ酸のグリシン自体は,1つの化合物類の構成要素の1つである。このカテゴリーの他の構成要素はD−アラニン,D−セリンおよびD−サイクロセリン(4−アミノイソオキサゾリジン−3−オン)を含む。グリシンもD−セリンも天然に存在する化合物であり,NMDA受容体のグリシン結合部位での全的アゴニストである。D−サイクロセリンはNMDA関連グリシン結合部位と偶発的に交差反応する合成化合物である。しかしながら,D−サイクロセリンは混合アゴニスト/アンタゴニスト部位であり,脳内のグリシン/D−セリンが低濃度であるときのみアゴニスト活性をしめす。臨床治療では,グリシンおよびD−セリンは,補助薬剤として,主に残存陰性症状のために定着した統合失調症において中程度の効果を示めしており,D−サイクロセリンの同様な効果よりも強力であると思われる。グリシン,D−アラニン,D−セリン,およびD−サイクロセリンはすべてNMDA受容体のグリシン部位に直接作用し,直接アゴニストと呼ばれる。NMDA/グリシン部位アゴニストの化合物クラスの他の要素は,直接アゴニストの効果を増強することによって間接的に作用する。これらの化合物は,NMDA/グリシン部位間接アゴニストと呼ばれうる。その一例はアミノ酸のサルコシンであり,グリアのグリシントランスポーター(glyT1)部位でグリシンの再取込を遮断することによって,間接的にシナプスのグリシンレベルを増加するように作用する。
定着した(established)統合失調症へのNMDA/グリシン部位アゴニストをもちいた臨床試験 先行研究では,NMDA/グリシン部位アゴニストを使って統合失調症の前駆症を具体的に治療していないけれども,過去10年間,いくつもの研究が慢性統合失調症での潜在的な役割を評価してきた。今まで臨床研究で利用できる主要なリガンドは内因性の脳内化合物であるグリシンおよびD−セリンを含み,ならびに,グリシン結合部位で偶発的に交差反応する合成化合物であるD−サイクロセリンも含む。しかしながら,全的NMDAアゴニストであるグリシン,D−アラニンおよびD−セリンとは対照的に,D−サイクロセリンは部分的アゴニストとしてのみ機能し,グリシン,D−アラニンまたはD−セリンでみられる活性の40〜60%となる。脳への透過性および広範囲わたる末梢代謝が悪いため,グリシンの治療量は一日あたり30〜60gの範囲である(D’Souza et al.,2000)。D−セリンを使った用量反応研究はまだ行われてないけれども,D−セリンは,あまり広範囲にわたって末梢で代謝されず,一日あたり2gほどの低用量で効果があるように思われる。D−サイクロセリンは50mg/日の用量で投与されると最も効果的であるように思われる。より高い用量では,D−サイクロセリンのアンタゴニスト効果が優勢であり,一般的に精神病の臨床的な悪化が観察されている(Goff et al.,1995)。
上記用量で投与されると,NMDAR機能のエンハンサーを用いて行ったプラセボ対照臨床試験の結果は,一般的にすべての研究にわたって一致している。全的アゴニストであるD−セリン(Javitt,2004a;Tsai et al.,1998)およびグリシン(Heresco−Levy et al.,2004;Hersesco−Levy et al.,1996;Heresco−Levy et al.,1999;Javitt et al.,2001)を用いた研究では,これらの薬剤を一般的な抗精神病剤,またはリスペリドンおよびオランザピンのような新しい異型抗精神病剤に添加すると,陰性症状で極めて著しく改善することが実証されている。グリシンT1トランスポーター阻害剤であるサルコシンは,全的アゴニストであるグリシンのシナプス濃度を増加させるが,陰性症状を改善させること(Tasai et al.,2004b)も証明されている。多くの研究者がこれらの薬剤についての陰性症状効果を非常に熟知しているが,陽性症状改善レベルは,いくつかの研究において,いくぶん小さいけれども,重要であった(Heresco−Levy et al.,2004;Javitt,2004a;Javitt et al.,2001;Tsai et al.,2004b)。改善レベルはもっと低いけれども,部分的D−サイクロセリンを用いた研究では,統計的に有意な結果も実証してきた(Evins et al.,2002;Goff et al.,1999;Heresco−Levy et al.,2002)。
興味深いことに,全的アゴニストはクロザピンに添加されてきたのに(Evins et at.,2000;Tsai et al.,1999),全的アゴニストはプラセボの結果から分離しなかった。部分的アゴニストがクロザピンに添加されたときは(Goff et at.,1996),患者は悪化し,クロンザピンの特殊な効果は著しいグルタミン作動性相乗作用をすぐに反映するかもしれないという可能性が生じた(Javitt,2004b)。
最近の米国神経薬理学会(ACNP)の会議で,慢性患者へのNMDA作動剤の提案について慎重になることを働きかける結果に関する発表が2つあった。1つ目は,基礎研究で,4つの場所で,持続性陰性症状をもつ無作為に選ばれた157人の慢性患者に全的アゴニストであるグリシン,部分的アゴニストD−サイクロセリン(4−アミノイソオキサゾリジン−3−オン),またはプラセボを用いた補助療法を紹介した(Carpenter et al.2004)。グループ間で全体的に有意差はなかった。2つ目の研究は,ACNPで無作為に選ばれた65人の激しく悪化した患者へのD−セリンかサルコシンかプラセボかを抗精神病剤に添加した研究を紹介した(Tsai et al.,2004a)。D−セリンはプラセボの結果から分離しなかったが,サルコシンは分離した。
これらの結果が慎重になることの理由であるけれども,統合失調症前駆症の治療としてNMDA機構を研究するための熱意を和らげる必要はない。最も重要なことは,NMDAアゴニストが慢性患者において効果が弱い傾向があるまたは矛盾した効果があるということ,それにもかかわらず前駆症状の患者には大変有益であるということは,確実に起こりうるということである。慢性疾患の期間にわたるNMDA受容体機能低下は,NMDA機能低下に処置を施した後でさえ続く慢性適応を引き起こす恐れがある。そのような機構に対しての1つの可能性は,急性NMDA受容体障害を伴うドパミン放出促進である(Deutch et al.,1987;Jentsch et al.1997a;Moghaddam et al.,1997)。NMDAアゴニストの亜慢性投与は認識機能障害を引き起こし,薬剤中止後に続く基礎ドパミン放出変化および誘発ドパミン放出の変化を引き起こした(Jentsch et al.,1997b)。このような慢性患者での弱いまたは矛盾した効果は前駆症状の患者では十分な効果をなくさないかもしれない。
その上,たとえ慢性患者においてさえも,これらの2つの研究は,本題に関して必ずしも最終的な言葉ではない。「基礎(CONSIST)」研究は今までのところ慢性患者でのグリシン試験では最大のものであったが,一回の最大試験の結果は,必ずしも明確とはいえない理由で,早期に行われた小規模の試験の結果と必ずしも一致するとはいえない(LeLorier et al.,1997)。グリシンを用いた4つの小規模な以前の研究では,プラセボと比較して十分な改善を示していた。「基礎(CONSIST)」研究において,治療効果は実施場所各地で有意に相違しており,ある場所ではプラセボよりも良い積極的な治療剤であることを示し,別の場所ではプラセボよりも悪かった。第2に,「基礎(CONSIST)」研究でのグリシンレベルは予想されるよりも低く,コンプライアンス問題が示唆された。なぜD−セリンに関する新しいTsaiらの研究(Tsai et al.,2004a)が,彼らの以前の試験(Tsai et al.,1998)と矛盾する結果を見いだしたのかは未だに不明である。可能性の1つは,1日2gの投与量は,以前のすべての研究で使用されていたのが,準最適であり,そのため少し矛盾した結果が引き起こされるということである。
NMDA/グリシン部位アゴニストを用いて前駆統合失調症を治療することに対する論拠の要約
以前の議論を以下に簡単に要約する:
1.NMDA機能低下モデルは,ドパミンモデルよりも慢性統合失調症において陰性および認知機能障害がわかりやすい。
2.陰性症状および認知機能障害は,統合失調症前駆症において陽性症状の出現より先に起こるように思われる。
3.先在するNMDA機能低下はドパミン枯渇(dopamine disruption)の出現の一因となりうる。
前駆NMDA機能低下の持続の次におこるドパミン枯渇(dopamine disruption)が現れることで,後になって慢性統合失調症の幻覚のようなもっと重大な陽性症状が現れることがわかるかもしれない。
このような検討材料のため,NMDA/グリシン部位アゴニスト治療が慢性患者においてよりも前駆症において効果があるかどうか,およびおそらく前駆症においてドパミンD2拮抗剤よりもさらに効果があるかどうかについて調査した。そのため統合失調症前駆症の基準を満たす10人の患者をNMDA全的アゴニストであるグリシンを用いて治療し,グリシンは抗精神病剤の投与なしで単独で使用した。その結果は非常に有望なものであった(実施化参照)。知っている限り,これは統合失調症前駆症をもつ患者に直接または間接NMDA/グリシンアゴニストを使用する初めての試みである。
「グリシントランスポーター阻害剤」または「グリシントランスポーター1阻害剤」という用語は,本明細書中で,グリシントランスポーター1受容体を阻害する化合物を表すために使用され,したがってシナプスのグリシン濃度を増大させ,結果としてNMDA受容体機能を亢進させるまたは促進させることになる。グリシントランスポーターは神経伝達物質輸送体のNa+/Cl−依存ファミリーに属している。グリシントランスポーター−1(GlyT1)は脳の至るところで見つけられ,グリア細胞によって優先的に発現されている。このことにより,GlyT1はNMDA受容体発現シナプスのグリシン濃度を調整するために理想的に分布しているという提議が導かれてきた。グリシントランスポーター−1を阻害することによってグリシンの再取込を阻害するまたは妨害する化合物が,本発明に記載の前駆症状の統合失調症を治療するために本発明で使用されうる。このように使用されうる化合物はGlyT1を選択的に阻害するいずれの化合物をも含む。
本発明で使用する好ましいグリシントランスポーター阻害剤は,サルコシンおよび以下の化学構造式で示され,または薬学的に許容されるその塩,その溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体であり,前記前駆統合失調症の症状を治療するためおよび/または好ましくは患者の前駆統合失調症が明らかな精神病になる可能性を防ぐもしくは少なくとも減少させるために,前駆統合失調症(初期または再発)の症状を示す患者または被験者に,単独で投与する,または好ましくは薬学的に許容される担体,添加剤もしくは賦形剤と併用するおよび(上記したような)NMDAグリシン部位作動剤と併用してもよい,誘導体をも含む。
ここでRはHまたはCHであり;
2aはOH,C−C20の置換されてもよいアルコキシ基(エステルを形成する),置換されてもよいC−C20のヒドロカルビル基または置換されてもよい複素環もしくは芳香族複素環基である;
3aはCHまたはRと同じであり,またはRは任置換されてもよい複素環もしくは芳香族複素環基を形成する;
はH,C−C21の置換されてもよいアシル基,または置換されてもよいC−C20(好ましくは置換されてもよいC−C20)のヒドロカルビル基,または置換されてもよい複素環もしくは芳香族複素環基を示す。
本発明で使用する特に好ましい化合物は添付した図1A−E中の化合物2−43として提示されている化合物を含む。
前駆統合失調症を治療するためにGlyT1阻害剤として使用されうる本発明に記載の好ましい化合物は,図1A−Eの化合物2−43を含む。
本発明は,患者に前駆統合失調症を治療するためのNMDA/グリシン部位アゴニストおよび/またはグリシントランスポーター阻害剤の使用に関する。本発明のこの方法は,前駆統合失調症の症状を治療するため(前駆統合失調症の重症度を減少させるおよび/または1つもしくはそれ以上,好ましくは大部分を,さらに好ましくは実質的にすべての症状を取り除くため)に,または患者の前駆統合失調症が明らかな精神病になる可能性を予防するもしくは十分に減少させるために,前駆症状の統合失調症(初期または再発前駆症)の症状を示す患者または被験者にNMDA/グリシン部位アゴニスト,グリシントランスポーター−1阻害剤またはその混合剤からなる群から選択される化合物の有効量を投与する。薬学的に許容される担体,添加物もしくは賦形剤と併用してもよい。
本発明の方法で使用する化合物は上記で詳細に記載されている。NMDAグリシン部位アゴニストとして使用する好ましい化合物は,アミノ酸または化合物構造に記載の関連誘導体である。
ここでRはH,CHまたはCHORであり;
はOH,C−C20の置換されてもよいO−アルキル基,またはない;
はH,またはC−C21の置換されてもよいアシル基であり;
はH,C−C21の置換されてもよいアルキル基,またはRがないとき(D−サイクロセリンもしくは誘導体を形成する),前記CO基に結合して複素五員環基を形成する−N−基であり;または薬学的に許容される塩,溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体を前記前駆統合失調症の症状を治療するため,および/または好ましくは患者の前駆症状の統合失調症が明らかな精神病になる可能性を予防するまたは少なくとも減少するために,前駆統合失調症(初期または再発)の症状を示す患者または被験者に,単独で投与される又は好ましくは薬学的に許容される担体,添加物もしくは賦形剤と併用して,およびグリシントランスポーター阻害剤と併用してもよい。NMDAグリシン部位アゴニストとして有用な好ましい化合物はグリシン,アラニンまたはセリンまたはそのいずれか1つもしくはそれ以上のプロドラックまたはその薬学的に許容される塩を含む。
本発明の別の側面は,本方法を使用するための好ましい代替化合物は,グリシントランスポーター阻害剤(例えば,サルコシンもしくは以下に公開するような誘導体もしくは本明細書中の図1A−Eに示される化合物3−43のいずれか)または薬学的に許容される塩,溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体を含み,前記前駆統合失調症の症状を治療するため,および/または好ましくは患者の前駆統合失調症が明らかな精神病になる可能性を予防するまたは少なくとも減少するために,前駆(初期もしくは再発)統合失調症(初期もしくは再発)の症状を示す前記患者に使用する。
さらに好ましいグリシントランスポーター阻害剤は,サルコシンおよび以下の化学構造式に示され,または薬学的に許容されるその塩,その溶媒和物(水和物を含む)もしくはその多形体であり,前記前駆統合失調症の症状を治療するため,および/または好ましくは患者の前駆統合失調症が明らかな精神病になる可能性を予防するまたは少なくとも減少するために,前駆統合失調症(初期または再発)の症状を示す患者または被験者に,単独で投与する又は好ましくは薬学的に許容される担体,添加物もしくは賦形剤と併用して,およびグリシントランスポーター阻害剤と併用して投与してもよい,誘導体を含む。
ここでRはHまたはCHであり;
2aはOH,C−C20の置換されてもよいアルコキシ基(エステルを形成する),置換されてもよいC−C20のヒドロカルビル基または置換されてもよい複素環または芳香族複素環基であり;
3aはCHまたはRと同じであり,またはRは置換されてもよい複素環もしくは芳香族複素環基を形成する;
はH,C−C21の置換されてもよいアシル基,または置換されてもよいC−C20(好ましくは置換されてもよいC−C20)のヒドロカルビル基,または置換されてもよい複素環もしくは芳香族複素環基を示す。
本発明で使用するための好ましいグリシントランスポーター阻害剤は,統合失調症の治療剤で有用であるとして文献に記載されているものを含む。本発明を使用するための特に好ましい化合物は,添付した図1A−Eの化合物2−43として公開される化合物を含む。ならびに,他の化合物は特許および特許出願/公開US2002426364;US2002169197;EP12842357;WO2003053942;WO2004096761;WO2003031435;DE10315570(2004);WO2003055478;WO2004113280;WO2004112787;WO2004113301;WO2005049023;WO2003089411;WO2004013100;WO2004013101;WO2005037783;WO2005037792;WO2005037781;WO2005037782;WO205037785;WO2004072034;WO2005014563;WO2005023260;WO2005023261;WO2005040166;WO2005058882;WO2005058885;WO2005058317;WO2005046601;WO2003087086;WO2003076420;およびWO2004022528から少しずつ集められてもよく,これら参照文献の関連部分が明細書に組み込まれる。参照,Sur&Kinney,Expr.Opin.Investig.Drugs,13(5),515−521(2004):Kenji Hashimoto,Recent Patents on CNS Drug Discovery,I,43−53(2006)およびHarsing,et al.,Current Medicinal Chemistry,Volume13,Number9,April2006,pp.1017−1044(28)。ORG−24461は,別のグリシントランスポーター阻害剤であり,本発明にも有用である。
本発明に記載の薬剤の組成物は,薬学的に許容される添加物,担体もしくは賦形剤と併用してもよく,本発明に記載の1つまたはそれ以上の化合物の有効量を含む。
別の側面は,本発明は,適切な投与量が,1日あたり体重あたり約0.05から約100mg/kgまでの範囲,好ましくは約0.1〜50mg/kg/dayの範囲内であり,最も好ましくは1〜20mg/kg/dayの範囲である,薬学的に許容される担体,添加物もしくは賦形剤に含まれる本発明に記載の1つまたはそれ以上の化合物の使用を対象とする。望ましい投与量は,単回投与または適切な間隔で,例えば1日あたり2回,3回,4回またはもっと多い投与回数で投与される分割投与でタイミングよく与えることができる。
理想的には,有効成分は,約0.05〜約5uMまでの範囲内で活性化合物の有効なピーク血漿濃度が得られるように投与されるべきである。これは,例えば,生理食塩水中でもよく,有効成分約0.05〜10%溶液の静脈注射によって,または活性化合物および標的に依存する,約1mg〜約5g,好ましくは約5mg〜約500mgの有効成分を含む急速静注のような経口投与によって,得られてもよい。望ましい血中濃度は,好ましくは約0.01〜約2.0mg/kg/hrを提供する持続注入によって,もしくは約0.05〜約15mg/kgの有効成分含む間欠的注入によって維持されてもよい。ここで適用できる経口投薬は,投与される化合物の薬物動態と同様に,胃腸管からの化合物の生体利用効率に依存する。治療で用いるために,本発明の化合物は未加工の化学物質として投与されることもできるが,薬学的に許容される担体,賦形剤または添加剤と併用する薬剤剤形として有効成分を与えることの方が好ましい。
薬剤剤形は経口,直腸,経鼻,局所(口腔および舌下を含む),膣内または非経口(筋肉内,皮下および静脈を含む)投与に適したものを含む。本発明に記載の組成物は急性静注,舐剤または軟膏としても与えてもよい。経口投与のためのタブレットおよびカプセルは,例えば結合剤,増量剤,潤滑剤,崩壊剤,または湿潤剤といった従来の賦形剤を含んでもよい。タブレットはよく知られている技術方法に従って表面を覆ってもよい。経口液体製剤は,例えば,水性または油性の懸濁剤,液剤,乳濁液,シロップ剤もしくはエリキシル剤の形をとってもよく,または使用前に水もしくは他の適切な溶剤で組成する目的で乾燥製品として与えられてもよい。上記液体製剤は,懸濁化剤,乳化剤,非水性の溶剤(食用油を含んでもよい),または防腐剤のような従来の添加剤を含んでも良い。所望するなら,上記剤形は,よく知られている技術の標準的な方法を使用して,組成物に除放特性の有効成分を備えるように構成されてもよい。
本発明に記載の薬学的側面において,本発明に記載の(複数の)化合物は,薬学的に許容される担体と一緒に混合剤で調剤されるのが好ましい。一般に,経口で薬剤組成物を投与する方が好ましいが,特定の剤形は非経口でおよび特に,静脈内または筋肉内投与形態,ならびに例えば経皮,口腔,皮下,坐剤または他の経路,鼻腔内吸入経由を含み,他の非経口経路経由で,投与される方が好ましいかもしれない。経口投与形態はタブレットまたはカプセル(好ましくは,硬いまたは柔らかいゼラチン)型で投与されるのが好ましい。静脈内投与および筋肉内投与製剤は無菌食塩水に入れて投与されるのが好ましい。当然ながら,当業者は,本発明の組成物を不安定または治療活性を落とすことなく,特定の投与経路用に多数の製剤を提供するために,本明細書の技術範囲内で製剤を変更しうる。
特に,水もしくは他の溶剤にもっと溶けやすい状態にするために,本化合物を変更することは,例えば,当業者が少しの変更(例えば,塩生成など)で容易に成し遂げることができる。当業者は,患者に最大の薬効があるように本化合物の薬物動態を管理するために,ある特定の化合物の投与経路および用法・用量を変更することもできる。
本発明の化合物を含む剤形は,個体,半個体,凍結乾燥粉末,または液体剤形,例えば,タブレット,カプセル,粉末,除法性製剤,溶液,懸濁液,乳濁液,座薬,クリーム,軟膏,ローション,エアロゾルなどといったものであり,好ましくは正確な用量を一回で投与するのに適した剤形単位である。
組成物は一般的に従来の薬学的担体,添加剤または賦形剤を含み,さらに他の薬剤,担体などを含んでもよい。好ましくは,組成物は本発明の1化合物または複数の化合物が占める重量が約0.05%から約75−80%であり,その場合,残りは適切な薬学的な添加剤,担体および/または賦形剤からなる。経口投与用としては,上記賦形剤は,医薬品等級のマンニトール,ラクトース,でんぷん,ステアリン酸マグネシウム,サッカリンナトリウム,滑石粉,セルロース,グルコース,ゼラチン,スクロース,炭酸マグネシウムなどである。必要に応じて,組成物は湿潤剤,乳化剤,または緩衝液のような無毒の補助剤を少量含んでもよい。
液体組成物は,溶液もしくは懸濁液を形成するために,化合物(約0.5%〜約20%),および任意の薬学的な添加剤,担体に入れて,例えば,水性生理食塩水,含水D形グルコース,グリセロール,もしくはエタノールなどを溶解することまたは分散することによって調整することができる。経口液体製剤を使用するために,組成物は溶液,懸濁液,乳濁液,またはシロップとして調整されてもよく,液体状または水もしくは通常の生理食塩水で水和するのに適した乾燥した形状のどちらかで提供されてもよい。
組成物が経口投与用に固形製剤の形状が採用されるなら,製剤はタブレット,顆粒,粉末,カプセルなどでもよい。タブレット剤形では,組成物は一般的に添加物,例えば,単糖類もしくはセルロース製剤のような賦形剤,でんぷん湖もしくはメチルセルロースのような結合剤,充填剤,崩壊剤,および調合製剤の製造に一般的に使用されるその他の添加剤で調剤される。
非経口投与用の注射可能な組成物は,例えば滅菌生理食塩水液といった適切な静脈注射用の溶液に化合物を含むのが通常である。組成物は脂質もしくはリン脂質中,リポソーム懸濁液中,または水性乳剤中に懸濁剤としても調剤されてもよい。
本発明の薬剤の組成物は鼻エアロゾル又は吸入によって投与されてもよい。当該組成物は薬剤調合の分野でよく知られている技術に従って調整され,ベンジルアルコールもしくはその他の適した賦形剤,生体利用効率を高める吸収促進剤,フッ化炭素,および/または従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して,生理食塩水中に溶液として調整されてもよい。
当該剤形を調整する方法は公知であり,または当業者には明白である。例えば,「Remington’s Pharmaceeutical Sciences」(17th Ed.,Mack Pub.Co,1985)参照。当業者は本発明のプロドラッグ形状の有益な薬物動態パラメータをうまく利用し,その場合,化合物の意図した効果を最大限に引き出してウイルス感染を煩っている患者に本化合物を供給するときに適用できる。
本発明に記載の薬剤の組成物は,他の有効成分も含んでもよく,好ましくは前駆統合失調症の治療剤である他のNMDAグリシン部位拮抗剤またはグリシントランスポーター−1阻害剤である。活性化合物の各々の有効量または濃度を,本発明に記載の薬剤の組成物の範囲内に含むことができる。
当該化合物の個々の成分は,別々のまたは混合した薬剤剤形で,連続してまたは同時にのどちらで投与されてもよい。
本発明に記載の1つまたはそれ以上の化合物が第2治療活性剤と併用して使用されるとき,1つ1つの化合物の投与量は,化合物が単独で使用されるときと同じまたは異なってもどちらでもよい。適切な投与量は当業者には容易に分かるであろう。
本発明に記載の方法の側面は,本発明に記載の1つまたはそれ以上の薬剤組成物は,既述したいずれの病状または健康状態の治療または予防のときに,患者に投与されてもよい。NMDAグリシン部位アゴニストおよび/またはグリシントランスポーター−1阻害化合物の有効量は,前記統合失調症の症候の治療のために,および前記前駆統合失調症が明らかな統合失調症に悪化する可能性を減少させる又は取り除くために,前駆統合失調症の症状を示す患者に投与される。本発明で使用するための好ましい化合物は,図1A−Eに記載されるNMDAグリシン部位アゴニストまたはグリシントランスポーター阻害化合物(2−43)のいずれかと同様に,グリシン,D−アラニン,D−セリン,D−サイクロセリンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
本発明に記載の薬剤組成物は,有効量の1つまたはそれ以上の化合物を含み,本明細書で別に記載がなければ,薬学的に許容される担体,添加物または賦形剤を併用してもよく,さらにNMDAグリシン部位拮抗剤またはグリシントランスポーター−1阻害剤または他の活性剤を少なくとも1つ追加して併用してもよい。本発明のこの側面は,複数の化合物を都合良く調剤して,前駆統合失調症の治療のために併用してもよい。
上記したように,上記併用の個々の成分は,別々のまたは混合した薬剤剤形で,連続してまたは同時のどちらで投与されてもよい。本発明に記載の1つまたはそれ以上の化合物は第2治療活性剤と併用して使用されるとき,1つ1つの化合物の投与量は,化合物が単独で使用されるときと同じまたは異なってもどちらでもよい。適切な投与量は当業者には容易に分かるであろう。
本発明の発明者は,経口グリシンについて8週間の非盲検試験のときに10人の前駆症状の患者を登録した。患者は男性7人,女性3人であり,平均±sd年齢は17.3±3.3歳であった。10人の患者は皆,統合失調症前駆症の診断基準を満たしており,前駆統合失調症用構造化インタビュー(Stuctured Interview for Prodromal Syndromes)(Miller et al.,2002)によると弱陽性症候亜群であった。平均の前駆症状スケール(SOPS)の総得点はベースラインで39.7であった。陽性および陰性のサブスケール得点の平均はそれぞれ11.3および12.4であった(表1)。これらの人口統計および症状得点は先行研究において採用された前駆症状のサンプルの典型的な例である。
グリシンは週2回,1日2回,0.4g/kgに投与量を増量し,水と混ぜた粉末として経口で投与された。登録前の8週間で投与量の調節がなかった限り併用薬は続けられ,患者は前駆統合失調症基準をベースラインで満たし続けた。有効性は前駆症状スケール(SOPS)を使って評価された。SOPSは19項目からなり,それぞれ0〜6点がつけられ,総得点および陽性症状(5項目),陰性症状(6項目),解体(4項目),および一般症状(4項目)のサブスケールができる。サブスケール得点の内容妥当性は要因解析を通して実験的に実証されてきた(Hawkins et al.,2004b)。高水準の評定者内の信頼性は,16/19という優れた範囲内の公表級内相関で,SOPSを使用したときに実証されてきた。
患者の体内動態 10人中7人の患者は,予定されていた8週間で完了した(図2)。残りの3人のうち,1人は3週間後に効果がないため中断した。残りの2人は交通または家庭の問題のため,2週間後および5週間後に中断した。
分類別の結果 7人の完遂者(completers)のうち,3人は8週間の間にグリシンで早期に回復基準を満たした(図2中#s466,505および514)。これらの基準は,前駆症状の範囲以下(2またはそれ以下)であると評価される5つの陽性症状すべてに必要であった。早期の回復基準を満たさなかった4人の完遂者のうち,3人は中程度の改善を示し,1人(#487)は十分な回復を示した。3人の中断者のうち,1人は変化がなく,2人は中断するより前にわずかな改善を示した。グリシン治療を行った患者は誰も精神病に変わらなかった。未治療のサンプルは,通常,患者の25%が8週間うちに精神病に移行する。
グループのSOPS変化分析 時系列データの欠測に最直前のデータを補完する(last−observation−carried−forward)(LOCF)分析(表1)では,患者は総得点において及び4つのサブスケールすべてにおいてグループとして著しく改善した。グループのエフェクトサイズ内の最大はSOPS総得点で見られる。グリシンで観察されたエフェクトサイズは,他の薬剤を用いた平行研究のエフェクトサイズよりも十分に大きい。プラセボおよびオランザピンサンプルの表示したデータは,プラセボに対するオランザピンの公表された二重盲検無作為比較から引用している(Woods et at.,2003)。エチル−EPA(オメガ3脂肪酸)のデータは,現行のグリシン予備研究とほぼ一致する設定に付随する現在未公表の非盲検試験から引用している。グリシンのエフェクトサイズとプラセボのエフェクトサイズ間での極めて大きい差は,有効性を強く支持するものである。グリシンのエフェクトサイズとオランザピンのエフェクトサイズ間での大きな差もまためざましい。加えて,現行の非盲検のグリシンと非盲検のオメガ3脂肪酸のエフェクトサイズ間の大きな差は,グリシンで見られる実質的な改善の程度が薬剤に起因するものであり,非盲検設定に関係する患者および評価者の期待に起因するものではないということを示唆している。
MMRM分析 LOCF分析に加えて,変量効果として患者で混合モデル反復測定分析(MMRM)も行い(Woods et al.,2003),共変量としてベースラインの得点を使用した。これらの分析(表3)では,患者は総得点についておよび3/4のサブスケールについてグループ的に著しく改善した。グループ内の最大エフェクトサイズはSOPS総得点に見られ,陰性症状のサブスケールが最も健常者が少なく,陽性症状,解体および全身症状のサブスケールのエフェクトサイズが中間であった。プラセボおよびオランザピンの比較サンプルは別々の研究から集められた(Woods et al.,2003)。これらは,今までのところ,前駆症状の患者において報告されたプラセボ治療の唯一のデータである。
この試験は,もし中間結果で無益であることまたは十分であることの証拠が示されたら中断できるように逐次観察された。この試験を完遂するために,多様な外観のために生じる第2種の過誤から全体的なアルファを保護するオブライエンとフレミングの逐次的モニタリング方法を,あるサンプルケースに合わせて修正した(Woods and McGlashan,2002)。この方法は,1つのサンプルの十分性(有効性を示すための十分な証拠,図3)を評価するための形式的なプラセボに対する優位性および無益(現在の治療剤の劣等性を示唆するための十分な証拠,図4)を評価するためのオランザピンに対する劣等性を評価する方法である。分析は患者5人ごとに計画された。グリシンでの改善によって,10人の患者の後,十分性を決定する境界線が否定され,明瞭に有効であると思わせる証拠が提供された。
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本発明は,NMDAグリシン部位アゴニスト,グリシントランスポーター−1阻害剤またはその混合剤であり,薬学的に許容される添加剤、担体または賦形剤を併用してもよく、使用する被験者らの統合失調症前駆症の治療方法に関する。
図1A−Eは多くの化合物(43)を表し,図1Aは,主にグリシントランスポーター−1阻害剤(化合物2−8)であり,本出願中で前駆統合失調症を治療するために使われうる。 図1A−Eは多くの化合物(43)を表し,図1Bは,グリシントランスポーター−1阻害剤(化合物9−18)であり,本出願中で前駆統合失調症を治療するために使われうる。 図1A−Eは多くの化合物(43)を表し,図1Cは,グリシントランスポーター−1阻害剤(化合物19−28)であり,本出願中で前駆統合失調症を治療するために使われうる。 図1A−Eは多くの化合物(43)を表し,図1Dは,グリシントランスポーター−1阻害剤(化合物29−38)であり,本出願中で前駆統合失調症を治療するために使われうる。 図1A−Eは多くの化合物(43)を表し,図1Aは,主にグリシントランスポーター−1阻害剤(化合物39−43)であり,本出願中で前駆統合失調症を治療するために使われうる。 図2は,本出願の実施例の欄において,各々の前駆症状の患者がグリシンで治療した期間中のSOPS総得点を示す。 図3は逐次的モニタリングと史実に基づくプラセボとの比較を示す。図3で表されている方法は,十分性(有効性を示唆するための十分な証拠)を評価する。y軸はグリシンの史実に基づくプラセボ差のT得点を示す。10人の被験者が終了した後,データは帰無仮説の棄却域の限界を交差し,史実に基づくプラセボに対し優位の証拠を示している。 図4は,史実に基づくオランザピンへの劣等性が無益であること(現存の治療剤への劣等性を示唆するための十分な証拠)を評価する方法を示す。

Claims (1)

  1. 必要とする患者での前駆統合失調症の治療のための薬剤の製造における、グリシン又は薬学的に許容されるその塩である少なくとも1つの化合物の使用。
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