以下、本発明の電磁シールドボックス構造を有する画像形成装置の実施の一形態としての複写機について、図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態としての複写機を図1〜図6に示す。図1は、複写機の全体構成を示す断面図である。図2は、複写機(外装後カバー装着)の斜視図である。図3は、複写機(外装後カバー離脱)の斜視図である。図4は、複写機(電磁シールドボックス開放)の斜視図である。図5は、複写機(電磁シールドボックス開放)の背面図である。図6は、電磁シールドボックスの上端面周辺を示す斜視図である。
図1において、複写機1はタンデム式のフルカラー画像形成装置である。複写機1は、画像読取ユニットとしてのスキャナ部2と、スキャナ部2の正面側に配された操作部6(図2参照)と、スキャナ部2の下部に配置された排紙部3と、排紙部3の下部に配置された画像形成部4と、画像形成部4の下部に配置された2段の給紙ユニットとしての給紙部5と、から構成されている。
スキャナ部2は、コンタクトガラス2aと、光源2bと、第1ミラー部材2cと、第2ミラー部材2dと、第3ミラー部材2eと、結像レンズ2fと、CCD等のイメージセンサ2gとを備えており、光源2bおよび第1ミラー部材2cは、第1走行体に保持され、第2ミラー部材2dおよび第3ミラー部材2eは、第2走行体に保持されるようになっている。このようなスキャナ部2は、光源2bによりコンタクトガラス2a上に載置された原稿に光を照射し、各ミラー部材2c〜2eにより原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ2fにより結像してイメージセンサ2gで読み取らせるようになっている。
なお、スキャナ部2の上部には、コンタクトガラス2a上に載置された原稿を押圧する図示しない圧板や、コンタクトガラス2a上に原稿を自動で搬送してシートスルー方式の原稿読取を実現する自動原稿搬送装置(ADF)などが設けられる。
画像形成部4は、画像形成装置本体内に並列された4つのプロセスカートリッジ11Y、11C、11M、11Kと、光書込手段としての光書込装置12と、それぞれ異なる色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナーを収容するトナー収容手段として画像形成装置本体内に並列された4つのトナーボトル13Y、13C、13M、13Kと、中間転写手段としての中間転写装置14と、中間転写クリーニング手段としての中間転写クリーニング装置15と、定着手段としての定着装置16と、を備えている。
各プロセスカートリッジ11Y、11C、11M、11Kは、同一の構成であり、それぞれ潜像を担持する感光体としての感光体ドラム17と、感光体ドラム17を帯電するための帯電部としての帯電装置18と、感光体ドラム17上の転写残トナーを除去するクリーニング部としてのクリーニング装置19と、感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像にトナーを供給しトナー像として可像化する現像部としての現像装置20とを有している。また、各プロセスカートリッジ11Y、11C、11M、11Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の画像を形成するようになっている。
光書込装置12は、4つのプロセスカートリッジ11Y、11C、11M、11Kの下部に配置され、各色に対応する例えばレーザダイオード方式の4つの光源と、光源から出射されたレーザ光束をコリメートする光学系と、ポリゴンミラーおよびポリゴンモータからなる1つの偏向器と、各光源の光路上に配置されたfθレンズなどの走査、結像用のレンズや補正用レンズ、ミラーなどからなる光学系とにより構成されている。この光書込装置12は、各色の画像情報に基づき4つの光源から出射されたレーザ光束を1つの偏向器により4系統に振り分けて偏光走査し、帯電装置18により帯電された各色の感光体ドラム17の表面に照射し、4つの感光体ドラム17に静電潜像を書き込むようになっている。
各トナーボトル13Y、13C、13M、13Kは、同一の構成であり、それぞれ排紙部3の下部に配置され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーが充填されるようになっている。各トナーボトル13Y、13C、13M、13Kは、それぞれ各色に対応するプロセスカートリッジ11Y、11C、11M、11Kに図示しない供給路を介して、充填された各色のトナーを供給するようになっている。4本のトナーボトル13Y、13C、13M、13Kは略水平に配置されている。
中間転写装置14は、プロセスカートリッジ11Y、11C、11M、11Kの上部に配置され、一次転写ローラ14aと、中間転写ベルト14bと、二次転写ローラ14cとを有している。この中間転写装置14は、一次転写ローラ14aに所定の転写電圧が印加されることにより、感光体ドラム17上に形成されたトナー像を回転する中間転写ベルト14b上に一次転写するようになっている。また、二次転写ローラ14cに所定の転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト14b上に転写されたトナー像をさらに記録紙に二次転写するようになっている。
中間転写クリーニング装置15は、図1中、中間転写装置14の左側に配置され、記録紙への転写後に中間転写ベルト14b上の残留トナーを除去するようになっている。
定着装置16は、図1中、中間転写装置14の右上部かつ各トナーボトル13Y、13C、13M、13Kの右側に配置され、定着ローラ16aと、加熱ローラ16bと、定着ローラ16aと加熱ローラ16bとに支持された定着ベルト16cと、定着ベルト16cに所定の圧力で接する加圧ローラ16dとを備えている。この定着装置16は、記録紙に転写されたトナー像を熱と圧力により記録紙に定着させるようになっている。
また、定着装置16の上部には、搬送ローラ21や排紙ローラ22が配置されており、排紙部3に向けて記録紙を搬送し排紙するようになっている。
さらに、定着装置16の上部には、両面複写時に搬送路を切り換えるための切換爪23やスイッチバック式に記録紙の向き反転するための反転搬送ローラ24および反転搬送路25が配置されている。また図1中、定着装置16の右側面側には、搬送路上に第1両面用搬送ローラ26および第2両面用搬送ローラ27が設けられた両面用搬送路28が配置されている。そして、これら搬送路および搬送ローラは、反転搬送路25に一時的にスタックされた記録紙を反転搬送ローラ24で向きを反転させて、第1両面用搬送ローラ26および第2両面用搬送ローラ27により両面用搬送路28上を搬送して、後述するレジストローラ32に再給紙するようになっている。
このような画像形成部4は、帯電装置18によって帯電された感光体ドラム17上に、光書込装置12から光を照射して潜像を書き込み、潜像が書き込まれた感光体ドラム17の表面に、現像装置20によってトナーを供給してトナー像として可視像化して、この可視像化されたトナー像を中間転写装置14により記録紙に転写し、定着装置16により転写された画像を記録紙に定着させて、画像を形成するようになっている。
給紙部5は、記録紙が収納された2段の第1給紙カセット5aおよび第2給紙カセット5bと、第1給紙装置5cおよび第2給紙装置5dとを備えている。
また、この第1給紙装置5cおよび第2給紙装置5dの給紙方向上流には、第1搬送ローラ30および第2搬送ローラ31が配置されている。さらに、この第1搬送ローラ30および第2搬送ローラ31の給紙方向のさらに上流であって、二次転写ローラ14cの手前には、レジストローラ32が配置されている。
さらに、給紙部5は、第1給紙カセット5aおよび第2給紙カセット5bのいずれかから第1給紙装置5cまたは第2給紙装置5dにより記録紙を給紙し、第1搬送ローラ30および第2搬送ローラ31を介してレジストローラ32に向けて給紙するようになっている。また、レジストローラ32は、第1搬送ローラ30および第2搬送ローラ31を介して給紙された記録紙を所定のタイミングにて二次転写ローラ14cに給紙するようになっている。
操作部6には、例えばスタートキー、テンキー、機能設定キー、リセットキー、クリア/ストップキー等を含む複写機1の各種機能を操作するための各種入力キーと、各種入力情報や画像形成装置の状態などを表示する表示部と、を有する。
なお、複写機1の画像形成処理を含む各処理は、本体制御部(不図示)の制御によって行われる。本体制御部は、操作部6からの操作入力や各種センサ(不図示)からの信号に基づいて各処理を行うようになっている。本体制御部は、後述するプリント基板に相当する。
図2において、画像形成部4および給紙部5が設けられる装置本体の外装は、プラスチックを用いた樹脂成型により形成された外装前カバー(不図示)、外装後カバー102、外装横カバー(不図示)等の部材で構成されている。外装前カバーは、外装に対して開閉可能に設けられ、トナーボトル13の交換や画像形成部4の保守、メンテナンス作業が容易に行えるようになっている。また、外装横カバーは、外装前カバーに対して右側に設けられ、後述する定着ユニットの着脱や、記録紙の紙詰まり時の除去処理等の作業がし易いようになっている。また、外装横カバーには、手差し用トレイ9(図1参照)が開閉可能に設けられている。
外装後カバー102は、画像形成に必要な装置(例えば、電磁シールドボックス103(図3参照))の保守、メンテナンス作業を行い易いようになっている。外装後カバー102には、機内の換気を行うことによって機内の温度、湿度を調整する(特に、昇温を抑制する)ため、ルーバー形状の複数の通気孔115〜118が上部および下部に設けられている。上部の通気孔116〜118は左右方向に並び、下部の通気孔115は左右方向に延在している。通気孔116は、主に第1のダクトとしてのダクト109を通して電磁シールドボックス103以外の別ユニットで温められた空気を排出するためのものである。通気孔117は、主に第2のダクトとしてのダクト111を通して電磁シールドボックス103内の温められた空気を機外に排出するためのものである。通気孔118は、機内で温められて自然対流により上昇する空気を機外に排出するためのものである。通気孔115は、通気孔116〜118の排気に応じて外気を機外から吸入するためのものである。なお、通気孔115は、電磁シールドボックス103の下部の通気孔114(図3参照)に対向し、通気孔116、117は、ダクト109、111(図5参照)に対向している。
本実施の形態では、第1のファンとしての通気ファン110または第2のファンとしてのボックス冷却ファン107によって強制的に排気される空気および自然対流で機内を上昇する空気(機内の温められた空気)を通気孔116〜118によって上部から排出するようになっている。また、前述のように機内の温められた空気を上部から排出するのに応じて(陰圧の発生に応じて)、比較的低温の外気を通気孔115によって下部から吸入するようになっている。
図3〜図6に示すように、電磁シールドボックス103は、機内で排紙部3および画像形成部4の後側に配置されている。電磁シールドボックス103は略直方体をなし、上端面の一角に切欠部(凹部)105が形成されている。なお、電磁シールドボックス103を開放する場合には、ボルト、ナット等で本体に締結されている前カバーを取り外すようになっている。前カバーの下部には、電磁シールドボックス103の外部(機内)の空気を吸入するため、ルーバー形状の通気孔114が左右方向に並んで設けられている。なお、電磁シールドボックス103の側面にも、同じく機内の空気を吸入するため、ルーバー形状の通気孔120が上下方向にわたって設けられている。
電磁シールドボックス103内には、大きさの異なる2つのプリント基板104a、104bが収納されている。小サイズのプリント基板104aと大サイズのプリント基板104bとは並べて収納されている。ここでは、2つのプリント基板104a、104bに段差が生じるように配置されている。前記段差に応じて電磁シールドボックス103に凹部105が形成されている。電磁シールドボックス103の第1上端面105aと第2上端面105bとの段差を有効に利用するために、ボックス冷却ファン107が第2上端面105bに装着されている。ボックス冷却ファン107の上にはダクト111が接続されている。また、ボックス冷却ファン107に隣接するように筐体側の通気ファン110が配設(装着)され、凹部105の形成によって空いた空間(第2上端面105bの上方)の一部を占めている。
ボックス冷却ファン107は、電磁シールドボックス103内の空気を外部に排出するものである。プリント基板104a、104bの作動で発した熱により温められ、自然対流が生じて上昇した空気はボックス冷却ファン107によって外部(図中、上方向)に排出される。前記空気の排出によって電磁シールドボックス103内に陰圧が生じるのに伴い、通気孔114、120から電磁シールドボックス103の外部(機内)の空気が吸入される。電磁シールドボックス103の前面上部からの排気と前面下部および側面からの吸気によって電磁シールドボックス103の換気が行われ、プリント基板104が冷却されるようになっている。
なお、外装後カバー102の通気孔115は通気孔114に対向しているため、ボックス冷却ファン107の排気に伴い、通気孔115から機外の空気が吸入される。したがって、通気孔114、120から機外の空気が間接的に吸入されることになる。
また、通気孔114は左右方向にわたって設けられているため、ボックス冷却ファン107の位置によらず、電磁シールドボックス103の下部から略均等に吸気を行い、内部を略均等に冷却することができる。また、電磁シールドボックス103の両側面に通気孔120および通気孔119a、119b(図10参照)が設けられているため、電磁シールドボックス103の側面から略均等に吸気を行い、内部を略均等に冷却することができる。
通気ファン110は、電磁シールドボックス103以外の別ユニットを冷却するために機内の空気を外部(図中、前方向)に排出するものである。
ダクト111は、ボックス冷却ファン107とダクト109とを連通するものであって、ボックス冷却ファン107の上方(図中、前方向)で開口している。ダクト109は、別ユニットと通気ファン110とを連通すると共に、ダクト111と一体形成されて連通している。
電磁シールドボックス103内の空気はボックス冷却ファン107によってダクト111に排出される。ボックス冷却ファン107からの排気は、ダクト111から直接、あるいはダクト111からダクト109を通り、電磁シールドボックス103の外部(機内)に一旦排出され、さらに、外装後カバー102の通気孔116、117を通して機外へ排出されるようになっている。なお、ダクト109を介して通気ファン110に連通する別ユニットの空気もダクト109から機内に一旦排出され、さらに通気孔116を通して機外へ排出されることになる。
また、ボックス冷却ファン107およびダクト111の一側面108は、第1上端面105aに当接し、第1上端面105aの端部(図中、左端)を支持し、補強している。また、前記一側面108は、第1上端面105aと第2上端面105bとの隙間(段差部)を覆っている。
以上のように構成された複写機1について、その画像形成動作を説明する。
まず、複写機1は、コンタクトガラス2a上に原稿が載置されるか、または図示しないADFの原稿載置台に原稿が載置され、操作部6に設けられたスタートキーがユーザにより押下されると、複写動作を開始する。
ここで、ADFに載置された原稿の読取動作を行う場合には、ADFによりコンタクトガラス2a上の読取位置まで原稿を搬送した後、スキャナ部2を駆動する。
一方、コンタクトガラス2a上に載置された原稿の読取動作を行う場合には、コンタクトガラス2a上に原稿が載置されると、直ちにスキャナ部2を駆動する。
次いで、光源2bと第1ミラー部材2cとを保持する第1走行体、および第2ミラー部材2dと第3ミラー部材2eとを保持する第2走行体を走行する。そして、コンタクトガラス2a上の原稿に対して光源2bから光を照射して、原稿から反射する反射光を第1ミラー部材2cによって第2ミラー部材2dに向けて反射させる。さらに第2ミラー部材2dで反射された反射光を、第3ミラー部材2eによって結像レンズ2fに向けて反射する。そして、この反射光を結像レンズ2fにより結像してイメージセンサ2gによって読み取る。その後、操作部6のモード設定に応じて、フルカラーモードまたは白黒モードで画像形成動作を開始する。
なお、複写機本体のコントローラ(プリント基板104a、104bを含む)は、外気の温度、湿度を検知する温湿センサ(不図示)を含む各種センサからの検知信号と前記モード設定とに基づいて画像形成動作を制御する。また、コントローラには常時、電源電圧が供給されて発熱を伴うので、プリント基板104a、104bを収納する電磁シールドボックス103を冷却するためのボックス冷却ファン107が駆動される。
画像形成部4において、まず各帯電装置18により各感光体ドラム17を帯電させる。その後、帯電された各感光体ドラム17の表面に光書込装置12によりレーザ光を照射して、各感光体ドラム17上に静電潜像を形成する。
その後、各感光体ドラム17上に形成された静電潜像に対して、現像装置20によってトナーを供給し、トナー像として可視像化する。
次に、中間転写装置14の一次転写ローラ14aに転写電圧を印加し、各感光体ドラム17上に形成されたトナー像を回転する中間転写ベルト14bに順次、一次転写する。このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト14bの同じ位置に重ねて転写されるよう上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
次いで、前述の一次転写の動作に合わせて、給紙部5の第1給紙カセット5aおよび第2給紙カセット5bのいずれか一方から記録紙が第1給紙装置5cまたは第2給紙装置5dを介して、給紙される。なお、本実施の形態においては、第1給紙カセット5aおよび第2給紙カセット5bのいずれかから記録紙を給紙するようにしたが、手差し用トレイ9から記録紙を給紙するようにしてもよい。
その後、記録紙の先端がレジストローラ32まで到達すると図示しないセンサによって検知され、この検知信号のタイミングに応じてレジストローラ32により記録紙が二次転写ローラ14cと中間転写ベルト14bとの間の二次転写ニップ部に搬送される。
次いで、中間転写ベルト14b上に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト14bの駆動により二次転写ローラ14cの位置まで移動し、記録紙に一括して二次転写される。そしてトナー像が転写された記録紙は、定着装置16に搬送され、熱と圧力によりトナー像が定着されて、搬送ローラ21に向けて搬送された後、排紙ローラ22により排紙部3に排紙される。これにより複写機1は、記録紙にカラー画像を形成することができる。
このような本発明の第1の実施の形態としての複写機1によれば、電磁シールドボックス103の凹部105(第2上端面105b)に、電磁シールドボックス103以外の別ユニットを冷却するための通気ファン110と、電磁シールドボックス103を冷却するためのボックス冷却ファン107と、を配設しているので、機内の空きスペースとしての凹部105を有効に利用することができる。また、機内の空きスペースの活用によって複写機1の小型化を促進することが期待される。
また、本実施の形態によれば、電磁シールドボックス103以外の別ユニットと通気ファン110を連通するダクト109と、ボックス冷却ファン107に通じるダクト111と、を一体形成したので、製造工程および部品数を削減することができる。さらに、ダクト109とダクト111とは連通しているので、通気ファン110およびボックス冷却ファン107を前記別ユニットの排気と電磁シールドボックス103の排気とに兼用することができる。
なお、前述した実施の形態では、ボックス冷却ファン107からの排気がダクト111から直接、あるいはダクト111からダクト109を通り、電磁シールドボックス103の外部(機内)に一旦排出され、さらに、外装後カバー102の通気孔116、117を通して機外へ排出されるようにした場合を説明したが、本発明はこのほかに、ボックス冷却ファン107からの排気がダクト111およびダクト109から直接、通気孔116、117を通して機外へ排出されるようにしてもよい。この場合、ダクト109と通気孔116と、およびダクト111と通気孔117と、をそれぞれ着脱可能に接続した構成を有する。この構成によれば、機内の昇温を抑制して電磁シールドボックス103を含む各ユニットの冷却効果をさらに高めることが期待される。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態としての複写機(電磁シールドボックス開放)を図7に示し、電磁シールドボックス(外装後カバー102と対向する前カバー)を図8に示す。これは第1の実施の形態とは、電磁シールドボックス103を複写機1の筐体に対して回動可能とした点が相違している。なお、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
図7に示すように、外装後カバー102が取り外された状態で、電磁シールドボックス103は略垂直の回転軸(不図示)を中心として軸周りに回動可能となっている。電磁シールドボックス103の回動によって、電磁シールドボックス103と対向して裏側(複写機1の前側)に配された別ユニット113(例えば、転写ベルト駆動ユニット)が露呈する。
図8に示すように、電磁シールドボックス103の凹部105(第2上端面105b)には、ボックス冷却ファン107のみが装着されている。さらに、電磁シールドボックス103が閉塞された状態(回動前の状態)で、ボックス冷却ファン107の上に位置するダクト111およびボックス冷却ファン107に隣り合う通気ファン110は筐体側に配設されている。
このような本発明の第2の実施の形態としての複写機1によれば、電磁シールドボックス103が回転軸(不図示)を中心として回動することにより、別ユニット113が露呈するようになっているので、電磁シールドボックス103および別ユニット113のメンテナンス作業が容易になる。
また、本実施の形態によれば、電磁シールドボックス103の凹部105(第2上端面105b)には、ボックス冷却ファン107のみが装着されているので、電磁シールドボックス103の大型化を抑制することができる。なお、第1の実施の形態では、電磁シールドボックス103のメンテナンスの際に通気ファン110やダクト109の取り外し作業を要するが、本実施の形態によれば前記取り外し作業が不要となる。したがって、電磁シールドボックス103のメンテナンス作業が容易になる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態としての電磁シールドボックスを図9、図10に示す。これは第3の実施の形態とは、電磁シールドボックス103の前面カバーと外装後カバー102とを兼用した点が相違している。なお、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
図9に示すように、電磁シールドボックス103の前面は外装後カバー102によって覆われている。外装後カバー102には、通気ファン110の排気のための第1の通気孔としての通気孔117´と、ボックス冷却ファン107の排気のための第2の通気孔としての通気孔116´と、電磁シールドボックス103への吸気のための外装通気孔としての通気孔115´と、が設けられている。通気孔117´はダクト109に連通または対向している。通気孔116´はダクト111の開口部に連通または対向している。通気孔115´は前述の通気孔114に相当するが、外装後カバー102に設けられているために機外の空気を直接に吸入するようになっている。
なお、ダクト109とダクト111とは連通せず、それぞれ独立している。したがって、ダクト109は電磁シールドボックス103以外の他ユニットの排気のために用いられ、ダクト111は電磁シールドボックス103の排気のために用いられる。
本実施の形態では、ボックス冷却ファン107の排気によって電磁シールドボックス103内に陰圧が生じるのに伴い、通気孔115´から吸入された外気は、電磁シールドボックス103の内部を上昇して通気孔116´から排出される。
図10に示すように、電磁シールドボックス103の一側面(例えば、図6で通気孔120が設けられた左の側面と対向する側面)には吸気のための第3の通気孔としての通気孔119a、119bが設けられている。ボックス冷却ファン107の排気によって電磁シールドボックス103内に陰圧が生じるのに伴い、通気孔119a、119bから電磁シールドボックス103の外部(機内)の空気が吸入される。外装外カバー102の上部からの排気と下部からの吸気によって電磁シールドボックス103の換気が行われる。
前記左の側面に設けられた通気孔120と、対向する側面に設けられた通気孔119a、119bによって、電磁シールドボックス103の両側面から換気を補い、内部を略均等に冷却するようになっている。
このような本発明の第3の実施の形態としての複写機1によれば、ダクト111とダクト109とを連通させず、外装後カバー102に、通気ファン110の排気のための通気孔117´と、ボックス冷却ファン107の排気のための通気孔116´と、電磁シールドボックス103への吸気のための通気孔115´と、を設けたので、電磁シールドボックス103に係る空気の流通経路を機内で独立させることができる。したがって、機内の別ユニットの換気の影響を軽減して、電磁シールドボックス103の冷却効率を向上させることが期待される。
なお、前述した実施の形態では、電磁シールドボックス103の一側面に通気孔118a、118bを設けた場合について説明したが、本発明はこのほかに、電磁シールドボックス103の両側面に通気孔を設けてもよい。この場合、電磁シールドボックス103内の換気がさらに円滑に行われ、冷却効率が向上することが期待される。
また、前述した実施の形態では、ダクト111とダクト109とを連通させず、外装後カバー102に通気ファン110の排気のための通気孔117と、ボックス冷却ファン107の排気のための通気孔116と、を独立に設けた場合について説明したが、本発明はこのほかに、ダクト111とダクト109とを連通させ、通気孔117と通気孔116とを共通の通気孔に代えてもよい。この場合、電磁シールドボックス103に係る空気の流通経路を機内で独立させることはできないが、外装後カバー102の加工を容易にすると共に部品数を削減することかできる。
さらに、前述した各実施の形態では、電磁シールドボックス103の凹部105を上部面の一角(図3中、左隅)に形成した場合について説明したが、本発明はこのほかに、上端面の他の一角あるいは中央部に形成してもよい。
最後に、各請求項の発明に相当する実施の形態の作用効果を述べる。
(1)前述した各実施の形態によれば、電磁シールドを要する異なるサイズのプリント基板104a、104bを収納した電磁シールドボックス103と、電磁シールドボックス103の内部を冷却するためのボックス冷却ファン107と、を備えた複写機1において、電磁シールドボックス103の第2上端面105bに送風方向が上向きとなるようボックス冷却ファン107を装着している。
この場合、ボックス冷却ファン107の高さ(軸方向の大きさ)が径に比べて小さいため、ボックス冷却ファン107を送風方向横向きに配設するよりも、第1上端面105aと第2上端面105bの段差が小さくて済む。また、ダクトを介さずに電磁シールドボックス103内の空気を第2上端面105bから直接、排出することができる。よって、電磁シールドボックス103およびボックス冷却ファン107等の部品をコンパクトに構成しながら、冷却効率の向上を図ることができる。
なお、前述した各実施の形態において、例えば、プリント基板104a、104bは電磁シールドを要する異なるサイズの電子部品に相当する。例えば、ボックス冷却ファン107は電子部品を冷却するためのファンに相当する。例えば、第1上端面105a、第2上端面105bは電磁シールドボックスの上端面に相当する。例えば、第2上端面105bは段差の下段に相当する。
(2)前述した第1、第2の実施の形態によれば、電磁シールドボックス103の前カバーの下部に水平方向の一端から他端にわたって延在する通気孔114を設けたので、電磁シールドボックス103内の下から上への自然対流を利用しながら、ボックス冷却ファン107の排気によって強制的に対流を生じさせるので、換気を活発に行い、電磁シールドボックス103の冷却効率を高めることが期待される。また、通気孔114により電磁シールドボックス103の前面下部の水平方向にわたって万遍なく、吸気を行うことができる。したがって、電磁シールドボックス103内を略均等に冷却することができる。
なお、前述した第1、第2の実施の形態において、例えば、電磁シールドボックス103の前カバーは電磁シールドボックスの所定のカバーに相当する。例えば、通気孔114は水平方向の一端から他端にわたって延在する通気孔に相当する。
(3)前述した第3の実施の形態によれば、電磁シールドボックス103の前カバーに代えて、外装後カバー102に通気孔114に相当する通気孔115´を設けたので、通気孔115´から直接、外気を吸入することができ、機内の空気の影響(例えば、別ユニットの作動による昇温の影響)を軽減することができる。
なお、前述した第3の実施の形態において、例えば、外装後カバー102は電子機器の外装カバーに相当する。例えば、通気孔115´は外部通気孔に相当する。
(4)前述した第1の実施の形態によれば、ボックス冷却ファン107の一側面108が第1上端面105aと第2上端面105bの段差部を形成するので、電磁シールドボックス103の部品数を削減することができる。また、部品数の削減によって電磁シールドボックス103の小型化および軽量化に役立つ。
なお、前述した第1の実施の形態において、例えば、ボックス冷却ファン107の一側面108はファンの側壁に相当する。例えば、第1上端面105aと第2上端面105bの段差部は上端面の段差部に相当する。
(5)前述した各実施の形態によれば、ボックス冷却ファン107の上向きの送風方向を横向きに偏向するダクト111をボックス冷却ファン107の上に接続したので、水平方向に長大なダクトを必要としない。したがって、電磁シールドボックス103およびボックス冷却ファン107を収納する複写機1の筐体が大型化するのを抑制することができる。
なお、前述した実施の形態において、例えば、ダクト111は偏向部材に相当する。
(6)前述した各実施の形態によれば、複写機1は(1)から(5)のいずれかに記載の電磁シールドボックス構造を有するので、異なるサイズのプリント基板104a、104bを収納する電磁シールドボックス103および冷却部品(例えば、ボックス冷却ファン107)の構成を簡素化しながら冷却効率の向上を図ることができる。したがって、複写機1の小型化を促進すると共にエネルギー消費を抑制することができる。