JP5260863B2 - アテロコラーゲンおよび幹細胞を含んでなる、精神疾患または脳神経疾患のための医薬組成物 - Google Patents
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Description
近年では、神経変性疾患に加え、ある種の精神疾患においても、脳の神経回路網の形成・修復の異常が疾患に関与していることが指摘されている。特に、うつ病患者の脳においては、画像上で海馬の容積減少が認められることが明らかにされ(非特許文献1参照)、さらに、うつ病のメカニズムとして、ストレスによって神経回路網を構築する神経細胞が脱落するとともに、神経幹細胞の機能低下によって神経新生が減少するという仮説が提唱されている(非特許文献2参照)。また、抗うつ薬は、神経細胞の新生を増加させるとともに、神経回路網の再構築を促進することによりその効果を発現することも示唆されている(非特許文献3参照)。さらにまた、うつ病の他、統合失調症においても、ある種の非定型抗精神病薬と抗うつ薬との組み合わせにより得られる治療効果に、海馬における神経新生が関与していることが示唆されている(非特許文献4参照)。
また、本発明は、静脈内投与により治療効果が得られる、前記医薬組成物に関する。
さらに本発明は、幹細胞が、神経幹細胞または間葉系幹細胞である、前記の医薬組成物に関する。
本発明はまた、精神疾患または脳神経疾患が、神経幹細胞の機能異常により惹起される疾患である、前記の医薬組成物に関する。
また、本発明は、精神疾患または脳神経疾患が、アルコール障害、胎児性アルコール症候群、アルツハイマー病、感情障害または統合失調症である、前記の医薬組成物に関する。
したがって、従来の治療薬が、病変部位での神経組織の障害・機能低下から発生する神経伝達物質の欠乏に対して、その欠乏した神経伝達物質を補充することによって対症療法的に症状を抑制することができるにすぎないのに比べ、本発明の医薬組成物は、精神疾患または脳神経疾患の進行を遅延させるだけでなく、本来の機能が障害されている神経組織を再建し、その機能の回復を達成し得るという、従来の対症療法では実現不可能であった優れた治療効果を奏するものである。
そしてまた、本発明によれば、幹細胞(特に、神経幹細胞、間葉系幹細胞)を一定数以上の適切な細胞数で投与することにより、病変部位の回復に充分に足りるだけの数の細胞が病変部位に定着して増殖し、神経組織を新生させ、良好な治療効果を得ることができる。
なお、本発明における用語「対象」は、任意の脊椎動物を意味し、より好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体である。本発明において、対象は健常であっても、何らかの疾患に罹患していてもよいものとするが、精神疾患または脳神経疾患の処置が企図される場合には、該疾患に罹患している対象または実験的に罹患させた対象、例えばマウス、ラット、スナネズミ、モルモットなどの齧歯類、ネコなどのネコ科動物、ミンク、ヒツジ、ヤギ、ウシ、イヌ、ウサギ、サル、ヒトなどであることが好ましい。
本発明において、精神疾患とは、脳の機能的・器質的障害によって引き起こされる、意識障害、知的機能障害、記憶障害、感情障害、思考障害、感情障害などの症状を呈する疾患をいい、器質性精神障害(頭部外傷後後遺症等)、精神作用物質使用による精神および行動の障害(アルコール障害、アルコール性胎児症候群、薬物依存症等)、感情障害(うつ病、躁病、躁鬱病等)、不安障害(適応障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害等)、生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群(摂食障害、睡眠障害等)、成人の人格および行動の障害(人格障害等)、精神遅滞、心理的発達の障害(自閉症等)、小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害(多動性障害、チック障害等)を含む。
また、本発明において、脳神経疾患とは、脳神経における機能的・器質的障害によって引き起こされる疾患をいい、パーキンソン病やアルツハイマー病等のいわゆる神経変性疾患の他、脳梗塞、脳血管障害、脳腫瘍、くも膜下出血、てんかん、クロイツフェルト・ヤコブ病等も含まれる。
例えば、かかる濃度としては、医薬組成物全体の重量を基準として、好ましくは0.001〜0.5重量%未満、さらに好ましくは0.005〜0.1重量%、特に好ましくは0.01〜0.05重量%である。これは、0.5重量%を超えると医薬組成物中に含まれる神経幹細胞に好ましくない影響を及ぼす場合があり、また、0.001重量%を下回ると充分なアテロコラーゲンによる移植細胞の移行・定着を促進する作用が充分に得られない場合があるためである。しかしながら、本発明の医薬組成物に含まれるアテロコラーゲンの濃度は、医薬組成物の投与形態、剤型、また投与対象の種等によって適宜変更することができ、これらの数値範囲に限定されない。
本発明において、神経幹細胞とは、神経細胞およびグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア、シュワン細胞等)への多分化能を有し、かつ、自己複製能を有する細胞をいう。神経幹細胞は、その娘細胞の一方が神経前駆細胞となり、様々な分化制御を受けて神経細胞やグリア細胞となる。
上記改変の例としては、上記幹細胞の増殖能、生存率、分化能を向上させるような遺伝子の導入が挙げられる。
注射用の水溶液としては、例えば、生理食塩水や、生理学的に許容される物質(例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張液等を使用することができ、適当な溶解補助剤として、エタノール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール等のアルコール、ポリソルベート80もしくはHCO−50等の非イオン性界面活性剤などを適宜併用してもよい。
注射用の油性液として処方する場合には、ゴマ油、大豆油などを使用することができ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを適宜併用してもよい。また、リン酸塩緩衝液などの緩衝剤、塩酸プロカインなどの麻酔剤などの他、安定剤、酸化防止剤等をさらに配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルなどの容器に充填される。
投与回数は1回が好ましいが、状況に応じて複数回投与することもできる。また、投与時間は短時間でも長時間持続投与でもよい。静脈内投与の場合は、通常の輸血の要領での投与が可能となり、対象に対して外科手術をする必要がなく、さらに局所麻酔も必要ないため、対象および治療者双方の負担を軽減することができる。また手術室以外での投与操作が可能である点でも有利である。
前記治療方法に用いられる医薬組成物に含まれる幹細胞は、投与による拒絶反応を防止するために、免疫抑制処置などの特殊な操作を行わない限りは、対象自身の体内から採取されたもの(自家細胞)、あるいはそれに由来するもの(対象由来の自家細胞)であることが好ましい(自家移植療法)。かかる自家移植療法は、免疫抑制剤の併用が回避できる点で好ましいが、自家細胞の使用が困難な場合には、免疫抑制処置を行うことにより、他の対象または他の医療用動物由来の細胞(他家細胞)を利用することも可能である。治療効果としては、自家細胞を用いる方が他家細胞を用いるよりも圧倒的に良好な結果が期待できる。
また、前記自家細胞は、対象の体内から幹細胞の状態で採取されたもの、対象の体内から未分化の状態で採取された幹細胞(例えば、間葉系幹細胞など)を神経幹細胞等に分化誘導させたもの、あるいは、対象の体内から採取された神経幹細胞または未分化の状態の幹細胞(例えば、間葉系幹細胞など)に遺伝子操作を加えたもの等のいずれであってもよい。
本発明の治療方法において、本発明の医薬組成物の対象への投与は、例えば、上述の方法に従って、好適に実施することができる。また、医師もしくは獣医師においては、上記方法を適宜改変して、本発明の医薬組成物を対象へ投与することが可能である。
実施例1.神経幹細胞の機能発現におけるアテロコラーゲンの影響
神経幹細胞は、Tateno M., Ukai W., Hashioto E., Ikeda H. and Saito T., Journal of Neural Transmission 2006, 113: 283-93に記載の通り、胎生13.5日のラット胎児から採取し、単層培養した。まず、終脳神経上皮を摘出し、氷冷HBSS(Hank’s balanced salt solution)(Invitrogen)中で余分な組織を取り除いた。次いで、細胞を機械的に分散させ、4℃で5分間、遠心(300g)することにより回収した。単離した細胞は、培地として2%B27(Invitrogen)、0.5mM L−グルタミンおよび20ng/ml FGF−2(組み換えヒト塩基性FGF)(Pepro Tech)を補充したNBM(neurobasal medium)(Invitrogen)を用い、ポリ−L−オルニチン/フィブロネクチンによりコートされた培養ディッシュに、1×105細胞/cm2の密度で播種し、5%CO2、37℃で5〜7日間培養した。
増殖させた神経幹細胞を回収し、各濃度のアテロコラーゲンを含むNBM(FGF−2を含まない)に懸濁して播種し、神経細胞への分化を誘導した。培養から72〜96時間後、神経幹細胞の各機能変化について、以下の(a)〜(c)に記載の通り解析を実施した。
神経幹細胞の増殖に対するアテロコラーゲンの影響は、チミジンのアナログである5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU)の細胞内への取り込みをELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)(Cell proliferation ELISA system (Amersham pharmacia biotech, Buckinghamshire England))で測定することにより解析した。
神経幹細胞を、各濃度のアテロコラーゲンの存在下もしくは非存在下で、一晩、BrdUによりラベルした。ラベルに使用した培地を除去し、固定溶液を加えて30分間室温でインキュベートした。次いで、固定溶液を除去し、ブロッキング溶液を加えて30分間、室温でインキュベートした。その後、ブロッキング溶液を除去し、ペルオキシダーゼ結合抗BrdU抗体を添加し、室温で2時間インキュベートした。洗浄バッファーで3回プレートを洗浄し、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)基質を5〜30分間加えて、プレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。
神経幹細胞の生存に対するアテロコラーゲンの影響は、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)を分解するミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性を用いた比色定量分析により測定した。
細胞をMTT溶液(0.5mg/ml)中でインキュベートし、生存細胞中のミトコンドリア酵素により青色ホルマザンを生成させた。生成したホルマザンをSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)/DMF(ジメチルホルムアミド)溶液により溶解させた。各ウェルの570nmにおける吸光度をマルチプレートリーダーにより測定した。
神経幹細胞の分化に対するアテロコラーゲンの影響は、神経細胞のマーカーであるMAP2(microtuble-associated protein 2)の発現をELISAで測定することにより解析した。
細胞を100%メタノール溶液により固定し、PBSにより洗浄した後、3%過酸化水素水溶液により3分間処置した。細胞を再度PBSにより洗浄し、5%ウシ血清を含むPBSで30分間処置した後、抗MAP2マウスモノクローナル抗体(2000倍希釈)と共に30分間インキュベートした。次いで、細胞をPBSで洗浄し、抗マウスIgGビオチン化抗体とインキュベートして、PBSで洗浄した後、アビジン−ビオチン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体(avidin-biotin-horseradish peroxidase complex (Vector Laboratories))と30分間インキュベートした。最後に、PBSで洗浄した細胞を、過酸化水素を0.01%含有する0.05%ジアミノベンチジンテトラヒドロクロライド溶液で3〜5分間処置した後、PBSで洗浄することにより反応を停止させた。定量的解析は、0.2mg/ml o−フェニレンジアミンジヒドロクロライドを含有する、セイヨウワサビペルオキシダーゼの基質として0.1%過酸化水素を含む緩衝液(0.2Mリン酸水素二ナトリウムおよび0.1Mクエン酸)を用いて行った。このELISAにおいては、アビジン−ビオチン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体とインキュベートした細胞は、1N硫酸溶液の添加により反応を終了させるまで、o−フェニレンジアミンジヒドロクロライドと3分間反応させた。
各ウェルの490nmにおける吸光度を測定した。(全ての手順は室温で行った。)
これらの図から理解される通り、アテロコラーゲンの濃度は、0.01〜0.05重量%の範囲では、神経幹細胞の増殖および生存には影響を及ぼさないこと、また、神経幹細胞の分化に対しては、0.025重量%以下の濃度では影響を及ぼさないが、0.025重量%を超える濃度では、濃度依存的に抑制作用を示すことが示唆された。したがって、以下の実験においては、神経幹細胞投与の際に配合するアテロコラーゲンの濃度として0.025重量%を採用した。
本実施例においては、精神疾患・脳神経疾患モデル動物の一例として、神経新生の顕著な障害が示唆されているアルコール暴露ラット(Nixon, K. and Crews F. T., Journal of Neurochemistry, 2002, 83: 1087-93)を作製して使用した。このアルコール暴露ラットは、特に、海馬において神経新生が障害されている、感情障害、統合失調症、アルコール障害、アルツハイマー病等のモデル動物と考えられる。
(1)精神疾患・脳神経疾患モデルラット(アルコール暴露モデルラット)の作製
3月齢のWistar系雄性ラット(1グループにつき3匹ずつ)を日本クレア株式会社より購入し、12時間ずつの昼夜サイクルで22℃にて飼育し、食餌および水は自由に摂取させた。慢性的アルコール過剰摂取処置は、Nixon, K. and Crews F. T., Journal of Neurochemistry, 2002, 83: 1087-93に記載の通り、胃内カテーテルを介してエタノール(EtOH)(8g/kg/日)を12時間ごとに4日間投与することにより行った。コントロール群には同じ容量の生理食塩水を12時間ごとに4日間投与した。
神経幹細胞は、実施例1と同様にして、胎生13.5日のラット胎児から採取し、単層培養した。具体的には終脳神経上皮を摘出し、氷冷HBSS(Hank’s balanced salt solution)(Invitrogen)中で余分な組織を取り除いた。細胞は、機械的に分散させ、4℃で5分間、遠心(300g)することにより回収した。単離した細胞は、培地として2%B27(Invitrogen)、0.5mML−グルタミンおよび20ng/mlFGF−2(組み換えヒト塩基性FGF)(Pepro Tech)を補充したNBM(neurobasal medium)(Invitrogen)を用い、ポリ−L−オルニチン/フィブロネクチンによりコートされた培養ディッシュに、3×106細胞/100mlディッシュの密度で播種し、5%CO2、37℃で7日間培養した。7日後、 L−[35S]−メチオニン(Amersham Biosciences)8.25μMを添加した培地中で細胞を24時間ラベルし、洗浄して遠心し、細胞を回収した。細胞の生存率をトリパンブルー染色法により測定し、生存している細胞の濃度を107細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を、等容量のアテロコラーゲン溶液(アテロコラーゲン濃度0.05%の生理食塩水溶液)または生理食塩水と混合し、細胞懸濁液における細胞の最終濃度を5×106細胞/mlに、またアテロコラーゲンの最終濃度を0.025%に調整した。アテロコラーゲンとしては、コラーゲン使用軟組織注入剤70440000、3%アテロコラーゲン(仔牛真皮由来)リン酸緩衝溶液(高度管理医療機器社、製品番号# 1333)を使用した。
上記(1)で作製したアルコール暴露モデルラットについて、エタノールの最終投与から24時間後(コントロール群では、生理食塩水の最終投与から24時間後)に、上記(2)で作製した神経幹細胞の懸濁液を尾静注により1分間にわたりゆっくりと投与した。実験群は以下の通りに分類した。
グループ1:4日間、生理食塩水を胃内投与後、アテロコラーゲンと共に2.5×106個の細胞を移植。
グループ2:4日間、エタノールを胃内投与後、アテロコラーゲンなしで2.5×106個の細胞を移植。
グループ3:4日間、エタノールを胃内投与後、アテロコラーゲンと共に2.5×106個の細胞を移植。
グループ4:4日間、エタノールを胃内投与後、アテロコラーゲンと共に5×106個の細胞を移植。
全てのラットには、移植の1日前から毎日、シクロスポリン(10mg/kg)を腹腔内投与した。
移植から2週間後、ラットの脳を摘出して、皮質、海馬、線条体および脳室下帯(SVZ)に分画し、各組織の放射活性を液体シンチレーションカウンターにより解析した。
図2に示すように、コントロール群よりも、アルコール暴露群のほうが、皮質、海馬、線条体およびSVZのいずれの組織においても放射活性が高いことから、投与した神経幹細胞は、コントロール群よりもアルコール暴露群においてより多く各組織に移行し定着することが示された。
また、図3の結果から、アテロコラーゲンを神経幹細胞と共に投与した場合には、(アテロコラーゲンを配合せずに)神経幹細胞のみを投与した場合と比較して、投与した神経幹細胞は、約2倍も多く各組織に移行して定着することが示された。
さらに、図4の結果から、アテロコラーゲンを神経幹細胞と共に投与する際に、投与する神経幹細胞の数を増やした場合には、その細胞数の増加に応じて各組織に移行し定着する細胞の数が増加することが示唆された。
本実施例においては、精神疾患・脳神経疾患モデル動物の一例として、妊娠期の雌性ラットにアルコールを投与することにより、胎児性アルコール症候群のモデルラットを作製して使用した。
妊娠した雌性ラットを日本クレア株式会社より購入し、妊娠10〜14日目に胃内カテーテルを介してエタノール(EtOH)(8g/kg/日)を毎日投与した。コントロールラット群には同じ容量の生理食塩水を投与した。
上記(1)においてアルコールを処置した雌性ラットから胎児性アルコール症候群のモデルラットが生まれて1ヶ月経過した後、上記実施例2(2)と同様にして作製した神経幹細胞の懸濁液(細胞の最終濃度:5×106細胞/ml、アテロコラーゲンの最終濃度:0.025%)を各ラットに尾静注により1分間にわたりゆっくりと投与した。実験群は以下の通りに分類した。
グループ1:正常ラット(コントロールラット)
グループ2:胎児性アルコール症候群モデルラット
グループ3:胎児性アルコール症候群モデルラットにアテロコラーゲンと共に5×106個の細胞を移植。
グループ4:正常ラット(コントロールラット)にアテロコラーゲンと共に5×106個の細胞を移植。
全てのラットには、移植の1日前から毎日、シクロスポリン(10mg/kg)を腹腔内投与した。
移植から1ヶ月後、各ラットに対し、高架式十字迷路試験をAlessandro Leraci et al., Plos Medicine, 2006, 3: 1547-557に記載の通りに行った。試験装置は、2本のオープンアーム(open arm)、(黒色の高い壁を備えた)2本のクローズドアーム(closed arm)、およびこれらをつなぐ中央プラットホームからなる。各ラットを、オープンアームに面した中央部に配置し、5分間、迷路に滞在させた。試験は暗光下で行った。各ラットについて、全てのアームにエントリーした合計回数(total entries)、オープンアームにエントリーした合計回数の割合(open arm entries)、オープンアームに滞在した合計時間の割合(% time in open arms)について自動的に記録した。
したがって、アテロコラーゲンおよび幹細胞を含んでなる本発明の医薬組成物は、精神疾患・脳神経疾患モデル動物において、その病変部位における神経組織の回復・新生を惹起し、実際に症状の改善に導くことが可能であることが示唆された。
Claims (2)
- アテロコラーゲンならびに神経幹細胞および間葉系幹細胞から選択される幹細胞を含んでなる、アルコール障害、胎児性アルコール症候群、頭部外傷後後遺症、感情障害、統合失調症、自閉症、神経変性疾患、脳血管障害、くも膜下出血、てんかんまたは脳梗塞のための、静脈内投与される医薬組成物。
- 懸濁液の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
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