JP5259582B2 - イオン注入のための注入量閉ループ制御 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は一般にイオン注入システムに関し、とりわけ注入量の調節および制御のためのシステムおよび方法に関する。
〔背景技術〕
半導体装置の製造において、イオン注入は不純物またはドーパントを半導体にドーピングすることに利用されている。集積回路の製造過程で、n型またはp型の不純物(extrinsic material)のドーピングを行うために、またはパッシベーション層を形成するために、イオンビームでシリコンウェハを処理することにイオンビーム注入装置が利用されている。半導体にドーピングする際、イオン注入装置は所望の不純物を生産するために、選択されたイオン種を注入する。アンチモン、ヒ素またはリンのようなソース物質から発生するイオンの注入は、n型の不純物ウェハを生じる。ここで、p型の不純物ウェハを所望する場合は、ボロン、ガリウム、またはインジウムのようなソース物質から生成されるイオンが注入される。
典型的なイオンビーム注入装置は、イオン化可能なソース物質から正の電荷を帯びたイオンを生成するイオン源を含む。生成されたイオンはビームを形成し、注入ステーションへの所定のビーム経路に沿って誘導される。イオンビーム注入装置は、ビームを形成し整形する機構をイオン源と注入ステーションの間に含む。ビーム形成・整形機構は、イオンビームを維持し、また、注入ステーションへのルートの中のビームが通過する長い内部の空洞または通路に隣接している。注入装置を作動させるとき、気体分子との衝突の結果、イオンが所定のビーム経路からそれる確率を減少させるため、この通路は真空にされる。
電荷と比較したイオンの質量(例えば電荷−質量比)は、静電場または磁場によって軸方向および横切る方向の両方の加速の度合いに影響する。それゆえ、望ましくない分子量のイオンは、ビームから離れた位置にそれ、所望の物質以外の注入が回避されるので、半導体ウェハまたは他のターゲットの所望の領域に到達する上記ビームを、非常に純粋にすることができる。望ましい電荷−質量比および望ましくない電荷−質量比のイオンを選択的に分離する工程は、質量分析として知られている。質量分析器は、電荷−質量比が異なるイオンを効果的に分離する弓状の通路の中で、磁場によってイオンビームの中の様々なイオンをそらせるために、典型的には双極子磁場を生じる質量分析マグネットを備える。
注入量測定は、ウェハまたは他のワークピースの中に注入されたイオンを測定することである。注入されるイオンの注入量の制御では、注入されるワークピースの中の均一性を達成するよう注入を動的に調節するために、閉ループフィードバック制御システムが典型的に利用される。一例では、制御システムは、スロースキャンの速度を制御するために、リアルタイムでの電流の監視を利用する。ファラデーディスクまたはファラデーカップは、一定の注入を確実に行うために、ビーム電流を周期的に測定し、スロースキャンスピードを調節する。頻繁な測定によって、注入量制御システムは、ビーム電流の変化に速やかに反応することができる。ファラデーカップは、静止していてもよく、十分に保護されていてもよく、ウェハに近接して配置してもよく、実際にウェハに注入するビーム電流に対して感度がよい。
ファラデーカップは電流のみを測定する。イオンビームと、注入の間に発生する(フォトレジストからのような)気体との相互作用は、ビームの中のいくらかのドーパントイオンを中性化することがある。結果として、測定される流れまたはビーム電流は、実際のビーム電流または流れを表せていないことがある。注入された中性物質はウェハに受け止められれば注入量として寄与するが、ファラデーカップで測定されない。その結果、ウェハは過注入され、かつ/または、十分な注入量の均一性を有する。
このような変動を勘定する従来のメカニズムは、ファラデーカップでの測定に加え、圧力の測定を必要とする。それゆえ、圧力測定とファラデーカップ測定とが、ビーム電流の調節に必要となる。しかしながら、圧力補償のメカニズムでは、例えば、気体構成、ビームのエネルギー、種類、および注入深さ等での変動を勘定することができず、選択された深さおよび注入量で均一な注入を適切に行うことができない。
〔発明の概要〕
本発明のいくつかの態様の基本的な理解のために、本発明の簡単な概要を以下に示す。この概要は、本発明の広い外観ではなく、本発明の鍵または決定的な要素を確認することを意図するものでも、発明の範囲を決めることを意図するものでもない。むしろ、この概要の目的は、後に示すより詳細な説明の前置きとして、簡単な形式で本発明のいくつかの概念を示すものである。
本発明の態様は、イオン注入の間の放出ガスからくるビーム電流の変動を補償する。中性化が起きる前の全ビーム電流を示してまたは表している、ターミナルリターン電流が得られまたは求められ、それは、ビーム電流の変動を検出または識別するために利用される。ファラデーカップは中性化されたイオンまたはドーパントを勘定しない。それゆえ、ファラデーカップは、ビーム電流の変化を検出すること、および/または、示すことができない。かつ/または、ファラデーカップは何もない場合に変化を検出しうる、または示しうる。
ターミナルリターン電流は、イオンビームの通過によって発生する筐体、ハウジング、電極等の1つまたは複数の電流を測定することによって得られるまたは求められる。個々の電流は、ターミナルリターン電流に加工処理される。ターミナルリターン電流の測定のために、交互に、別個の独立した機構またはハウジングが、質量分析器の下流に隣接して位置してもよい。ひとたび得られれば、ターミナルリターン電流はウェハに渡ってビーム電流および注入の均一性を促進するために、イオンビームのスキャンまたは注入量の調節に利用される。
以下の説明と添付の図面は、本発明のある説明的な態様および手段を詳細に示している。これらは、本発明の原理が利用される方法を示しているが、それは種々の方法の内の少しである。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の一つまたは複数の態様を実行するのに好適な典型的なイオン注入装置を示す平面図である。
図2は、本発明の一態様に係るイオン注入システム200の中の種々の領域を示す図である。
図3は、本発明の一態様に係るイオン注入システムのターミナルリターン電流システムを示すブロック図である。
図4は、本発明の一態様に係るターミナルリターン電流システムを示すブロック図である。
図5は、本発明の一態様に係るターミナルリターン電流注入量制御システムの一部を示すブロック図である。
図6は、本発明の一態様に係るイオン注入システムを示す図である。
図7は、本発明の一態様に係る、イオンビームのターミナルリターン電流を取得し、ターミナルリターン電流に応じてイオンビームの注入量を調節する方法を示すフロー図である。
〔発明の詳細な説明〕
本発明を図面を参照しながら詳述する。ここで、全体を通して類似の要素には同じ参照符号を付している。また、描かれた構造は必ずしも正確な縮尺にはなっていない。
フォトレジスト放出ガスのような放出ガスが、イオン注入システムにとって問題となる。放出ガスは、システムの真空室の圧力を増大させ、イオンビームの中のいくらかのイオンを中性粒子に変化させてしまう。中性粒子は一般的に検出されず、注入量測定に問題を引き起こす。これは、屈曲部が不足した高電流イオン注入システムにおいて特に問題になる。その結果、従来のシステムの注入量制御は問題をはらんでいる。圧力補償として知られる従来技術は、少なくともいくつかの場合に、上記の中性化の問題の取り扱いが十分ではない。
本発明の特徴は、ウェハのスキャンスピードを調節するための上流での電流測定値とも言える、ターミナルリターン電流を利用することである。ターミナルリターン電流は、例えば、ビームガイド電流、電力供給電流、および他の別個の上流電流測定値を含む。上流電流測定は、例えば、マグネットの中で失われたイオンビームの割合を示し、水平、垂直、スローおよびファースト等の一つまたは複数の方向におけるウェハのスキャンスピードの調節に利用され、それによって注入量測定を改善する。ターミナルリターン電流およびスキャンの制御は、閉ループシステムにおいて利用される。
ターミナルリターン電流は、得られまたは求められ、中性化される前の全体のビーム電流を示してまたは表していて、ビーム電流の変化を検出または見分けるために利用される。ファラデーカップは注入の一部の間のみにおける電流を測定し、ターゲットウェハの下流に配置されている。ファラデーカップは中性化されたイオンまたはドーパントを勘定しないので、ビーム電流の変化を検出すること、および/または、ビーム電流の変化を示すことができない。かつ/または、ファラデーカップは何もない場合に変化を検出しうる、または示しうる。
ターミナルリターン電流は、イオンビームが通過することによって発生する、筐体(enclosures)、ハウジング、電極等の電流の1つまたは複数を測定することによって得られまたは求められる。個々の電流はターミナルリターン電流に処理される。独立した機構またはハウジングは、ターミナルリターン電流を測定するために、交互に質量分析器の下流に隣接して位置している。ひとたび得られれば、ターミナルリターン電流は、ビーム電流と注入とがウェハに渡って均一になることの手助けをするために、イオンビームの注入量またはイオンビームのスキャンの調節に利用できる。
図1は、ターミナル12、ビームライン構成部14、およびエンドステーション16を有する典型的なイオン注入システム10を示す平面図である。この典型的なシステム10は、本発明の1つまたは複数の態様を実行するのに適している。本発明の態様は他のイオン注入システムによって実行することも可能であることが認識される。
ターミナル12は、高電圧電源22から電力を供給されイオンビーム24を生成しビームライン構成部14に誘導するイオン源20を含む。イオン源20は、イオン源20から取り出されイオンビーム24を形成する荷電イオンを発生する。イオンビーム24は、ビームライン構成部14の中のビーム経路に沿ってエンドステーション16へ導かれる。
ビームライン構成部14は、ビームガイド32、分析開口部34に所望の電荷−質量比のイオンのみを通過させるために双極子磁場が配置されている質量分析器26、スキャンシステム35、および平行化装置38を有する。また、イオン注入システム10は、イオン源20とエンドステーション16との間に種々のビーム形成機構およびビーム整形機構を含んでもよい。これは、イオンビーム24を維持し、エンドステーション16の中で支持されているワークピース30へビーム24が移送される際に通る長い内部の空洞または通路に隣接している。イオンビーム移送通路は、典型的には、イオンが空気分子との衝突によってビーム経路からそれる確率を減少させるために真空にされる。
注入装置は、異なるタイプのスキャンシステムを利用してもよい。一例を示すと、静電システムはスキャンプレートに電力供給する高電圧電源と連結されている。プレート上の電圧は、ビームをスキャン(走査)するために調節される。磁場システムでは、電磁石のコイルに高電流供給部が接続されている。磁場はビームをスキャンするために調節される。本発明の目的のためには、全ての異なるタイプのスキャンシステムは同等である。図では静電システムを使用している。
スキャンシステム35は、スキャナ36と、スキャナプレート(または電極)36a・36bに連結された電源50とを含む。ここでスキャナ36は、質量分析器26からビーム経路に沿って質量分析されたイオンビーム24を受け、平行化装置38へのビーム経路に沿ってスキャンされたビーム24を生成する。その後、平行化装置38は、ビーム24が注入量測定システム52の測定センサ(複数可)に、通常一定の入射角で当たるように、スキャンされたビーム24をエンドステーション16へ誘導する。
スキャナ36は、相対的に狭い断面(例えば、図示されたシステム10の“線状”のビーム)を有する質量分析されたイオンビーム24を受け、電源50によってスキャナプレート36a・36bに印加された電圧波形が、X方向(スキャン方向)の前後にビーム24をスキャンするために操作され、ビーム24は長く伸ばされた“帯状”のビーム(例えばスキャンされたビーム24)に広げられ、そのX方向の有効幅は対象のワークピースと少なくとも同じまたはそれよりも広いものとなる。その後、スキャンされたビーム24は、通常Z方向(例えば通常ワークピースの表面と垂直な方向)に平行にビーム24がエンドステーション16に向かうようにする平行化装置38を通過する。
注入装置10は、異なるタイプのエンドステーション16を利用してもよい。例えば、“一括処理”タイプのエンドステーションは、回転する支持機構に複数のワークピース30を同時に支持することができる。ここでワークピース30は、全てのワークピース30への注入が完了するまでイオンビームの経路を通過するよう回転される。一方、“逐次処理”タイプのエンドステーションは、注入のためのビーム経路に沿って1つのワークピース30を支持する。ここで、複数のワークピース30は、逐次処理の方式によって一度に1つずつ注入が行われる。それぞれのワークピース30への注入は、次のワークピース30への注入が始まる前に、完了する。
図示されたエンドステーション16は、注入のためのビーム経路に沿って1つのワークピース30(例えば、ビーム24からのイオンを注入されるべき半導体ウェハ、ディスプレイパネル、または他のワークピース)を支持する“逐次処理”タイプのエンドステーションである。ここで、注入量測定システム52は、注入の操作の前に目盛校正の測定を行うために、ワークピースの位置の近くに設置される。目盛校正の間、ビーム24は注入量測定システム52を通過する。注入量測定システム52は、連続的に分析器経路58を横切る1つまたは複数の分析器56を含む。これにより、スキャンされたビームの断面が測定される。図示される注入量測定システム52では、分析器56は、スキャンされたビームの電流密度を測定するために、従来のファラデーカップのような電流密度センサを含む。電流密度センサは、一般にスキャンされたビームに対して直交する方式で移動する。それゆえ、電流密度センサは、典型的には帯状のビームの幅を横切る。注入量測定システム52は、操作可能に制御システム54に連結され、制御システムから命令信号を受け取り、制御システムに測定値を与える。
また、制御システム54は、質量分析器26の領域またはその下流からターミナルリターン電流(上流電流または合成上流電流とも言える)も得る。一例では、ターミナルリターン電流は、質量分析のために、イオンビーム24にかなりの中性粒子が存在する前の質量分析器26をでたビーム電流に比例する。ビーム24の中性化は動作の間、フォトレジストで発生するような特に圧力を変える放出ガスに関係して起こる。結果として、ターミナルリターン電流は、ビーム電流の検証を容易にする。なぜなら、ターミナルリターン電流は、そのような圧力に基づく変化または中性粒子の存在の影響を受けやすくないからである。ターミナルリターン電流は、所望のまたは選択される均一性を得るため、および変動を避けるために、イオンビーム24のスキャンの調節および/または生成の調節に利用できる。
ターミナルリターン電流は、電極電流、ハウジング電流、電源電流等のような、1つ以上の別個の上流電流測定値を含んでもよい。一例では、電流測定値は、例えばビームガイド筐体または他の構成要素を通過する陽イオンによってその上に作られる電荷を測定することによって得られる。ターミナルリターン電流は、スケール因子、フィルター、インピーダンスの整合、複数の電流の追加等によって処理される。スケール因子等は目盛校正の間に決定される。
図2は、本発明の一態様に係るイオン注入システム200と、このシステム200内の種々の領域とを示す図である。このシステム200は、中性化の発生とそのイオンビームへの影響とを説明するために、一例として挙げる。
システム200は、抽出電極204と連係してイオンビーム203を発生するイオン源202を含む。イオンビーム源202は、例えば、連係する電源を有するプラズマ源を含む。プラズマ源は、例えば、イオン化チェンバーと、集められ整形されたイオンビームを抽出する抽出光学系とからなってもよい。イオン源202は、選択されたドーパントまたは種を有するイオンビーム203を生成する。選択されうるドーパントの例は、例えば、p型のホウ素、n型のリンである。抽出電極204は、イオン源から初期エネルギーでイオンビーム203を引き出す役割をなす。
イオンビーム203は、質量分析マグネット206を通って下流へ移動する。質量分析マグネット206は、適した電荷−質量比を有するイオンを選択的に通過させる。他のイオンまたは粒子は、異なる経路または軌道に沿ってマグネット206を通過し、ビーム203が抜け出る。質量分析マグネット206の下流は、例えばスキャナ、加速/減速電極等を含む構成部(または部位)208である。
分析開口部および減速部210は、構成部208の下流に示され、ビーム203から選択しないイオンおよび粒子を取り除く役割をなす。ビーム203は、ターゲットウェハ212に向けられる。ディスクファラデー214は、ビーム電流またはビームの流量を測定するためにウェハ212の下流に配置される。
ここで、イオン注入の間、特にフォトレジストからガス放出が起こることに注意する。そこで中性化を増加させる圧力の変動が起こり、かつ/または、ビーム電流が変化しうる。ディスクファラデー214は、ビーム203の中の中性粒子のせいで、適切にビーム電流を測定できない。
また、図2は、システム200の3つの領域を示している。領域3は、分析するマグネット206をでるイオン源202からのイオンビームの経路を囲む。領域3において、中性化されたドーパントまたはイオンは選択された電荷−質量比を有さず、通常はマグネット206を通過することができず、もうビーム203の中に存在していない。領域2は、質量分析マグネット206から分析開口部210へのイオンビーム203の経路を囲む。領域2では、中性化されたドーパントまたはイオンがイオンビーム203の中に残っている。なぜなら、ビーム203は、ターゲットウェハ212へ向かう直線またはそこに照準を合わせた線上を移動しているからである。領域1は、分析開口部210を含みそこからターゲットウェハ212へのイオンビーム203の経路を囲む。領域2のように、領域1は、中性化されたドーパントまたはイオンがイオンビームの中に残ってる傾向があるという特徴を有している。なぜなら、ビーム203は、ターゲットウェハ212への直線またはそこに照準を合わせた線上を移動しているからである。さらに、ターゲットウェハ212に近接していることおよび放出ガスの発生のせいで、ビーム203の中のイオンの中性化のかなりの部分は領域1内で起こる。
本発明の態様では、上流電流とも言えるターミナルリターン電流を識別する、測定する、かつ/または、得る。これは、マグネット206および領域3を出る時のイオンビーム203のビーム電流に比例しており、全電流とも言える。この点では、質量分析マグネット206のおかげで、ビームの中には中性化されたドーパントまたはイオンはほとんど存在しない。その後、ターミナルリターン電流は、ビームの均一性の改良のためにビーム電流の変動を調節するために利用される。
ターミナルリターン電流は、図2における領域1の質量分析マグネットにおいて、または領域2において1つまたは複数の電流を測定することによって得られる。例えば、電流測定は、質量分析マグネット206の下流のビームを囲む機構/筐体の端子で行われる。この電流測定は、端子からグランドへのものである。また同様に、電流測定は、抽出電極204、マグネット206自身、またはそれを収容するハウジング等で行うこともできる。測定された電流は、イオンビーム203の全ビーム電流を近似する、かつ/または示すターミナルリターン電流を求めるために処理および調節がされる。
図3は、本発明の一態様に係るイオン注入システムのためのターミナルリターン電流システム300を示すブロック図である。本発明をより十分に説明するために、イオン注入システムの種々の詳細および要素は省略する。
イオン源302は、経路に沿って移動するイオンビーム304を生成する。質量分析器306はビーム304の質量分析を行い、その中の選択する電荷−質量比を有する粒子のみを通過させる。これは選択されたドーパントを含む。その結果、図3においてI1で表される全ビーム電流が質量分析器306から出る。
ファラデーカップ310は、ターゲットウェハまたはエンドステーション(図示せず)の下流かつ近傍に位置している。ファラデーカップ310はビーム電流を測定するが、上述したように、ビーム304の中の中性子化されたイオンを勘定せず、その結果必ずしもビーム電流の正確な測定を行うとは限らない。図3においてI3として表される、ファラデーカップで測定されたファラデー測定電流は、イオンビーム304の中の中性粒子を勘定していない。
測定装置308は、図3においてI2で表されるターミナルリターン電流を測定する、かつ/または、得る。測定装置308は、ターミナルリターン電流を得るために、質量分析器306についての独立した機構および/または他の部分から、1つまたは複数の別個の上流電流を測定する。例えば、測定される上流電流は、筐体またはハウジング等の端子に接続し、そこを通過するビーム304の陽イオンによって誘導される電荷を測定することによって得られる。別の例では、独立した、導電性TRC構造または導電性TRC筐体が、質量分析器の下流に隣接して位置している。ビーム304の陽イオンがそこを通過する結果としてTRC構造に電荷が蓄積し、その電荷がターミナルリターン電流を得るために測定される。
物理的性質によれば、ターミナル電流(I2)と全電流(I1)とは、I1=−I2の関係がある。ファラデー測定電流(I3)は、全電流(1)の関数であるが、たいていそれは、イオン源302からファラデーカップ310へのイオンビーム304のビームの移送のせいで、少し小さくなっている。さらに、上述したように、ファラデー測定電流(I3)は、イオンビーム304の中の中性粒子を含まないまたは表していない。さらに、ファラデー測定電流(I3)は、イオン注入処理の本質的な部分であるウェハによって遮蔽される。
継続中のイオン注入処理を変化させるまたは中断させることなしに、全ビーム電流(I1)を直接測定することは問題をはらんでいる。それゆえ、本発明の発明者は、中断することなしに得られるターミナルリターン電流(I2)を得る。さらに、ターミナルリターン電流(I2)は、ウェハによって遮蔽されず、広い範囲に渡って圧力に対し線形に変化する。それゆえ、ターミナルリターン電流(I2)はイオン注入の間の注入量制御に利用することができる。
図4は、本発明の一態様に係るターミナルリターン電流システム400を示すブロック図である。システム400は、ターミナルリターン電流を得るためにイオン注入システムの一部から測定電流値を得る構成の一例を示している。
システム400は、イオン源404および抽出/抑制端子405を含むイオン源ハウジングを含む。イオン源404は、選択されたイオンまたはドーパントを含むイオンビーム414を生成する。ビームガイド筐体406は、イオンビーム414が通過し、そこで質量分析を実行する質量分析マグネット(図示せず)のような構成要素を含む。独立したハウジング408は、ビームガイド筐体406の下流に位置し、例えば、分析開口部、加速/減速電極、スキャンシステム等で構成される。
ターゲットウェハ410はハウジング408のさらに下流に位置し、ファラデーカップ412はウェハ410の後ろ側に位置している。図4においてI1として示される全電流は、中性粒子がほとんどない状態でハウジング408を出る。ファラデーカップ412は、図4においてI3として示されるファラデー測定電流を得る。これは、ビームの移送および中性化のせいで全電流I1よりも小さい。ソース測定部416は、イオン源404と連結されており、抽出電流I_EXTを測定する。電極測定部418は、1つまたは複数の抑制電極405と連結されており、電極電流I_SUPを測定する。ビームガイド測定部420はビームガイド電流I_BGを測定する。この例では、ビームガイド測定部420は、ドリフトモードおよび減速モードの両方で動作する。ドリフトモードの間は、ビームガイド406は短絡バー424によって接地されている。減速モードの間は、ビームガイド406は、リレー422によって減速PSに接続されている。
そして、電流I_EXT、I_SUPおよびI_BGは、イオン注入の間リアルタイムでターミナルリターン電流I2を得るために利用することができる。電流I2は、全電流I1を表しているので、注入の間の注入量の調節に利用することができる。
図5は、本発明の一態様に係るターミナルリターン電流注入量制御システム500の一部を示すブロック図である。システム500は、1つまたは複数の上流電流測定値を受け取り、ターミナルリターン電流(TRC)を得る信号調節部502を含む。この態様では、上流電流測定値は、ビームガイド筐体測定値(I_BG)、ソース抽出測定値(I_EXT)、第1抑制電極測定値(I_SUP1)、および第2抑制電極測定値(I_SUP2)を含む。しかしながら、本発明の別の態様は、他の電流/電荷測定値を含むことができることが認識される。
信号調節部502は、スケール部、フィルター部、加算部、およびインピーダンス整合部を含む。インピーダンス整合部は、電流測定値についてインピーダンスの変動を補償する。スケール部は、それぞれの電流測定値にスケール値を適用する。スケール値は、校正処理またはセットアップ処理の間に決定することができ、例えばウェハ無しでのファラデー測定電流を利用する。
フィルター部は、電流測定値からのノイズおよび/または他の望ましくない信号を除去(フィルタリング)する。加算部は、スケール処理されフィルター処理された電流測定値を結合しターミナルリターン電流TRCにする。
図6は、本発明の一態様に係るイオン注入システム600を示す図である。システム600は、得られるターミナルリターン電流への、下流の二次電子の影響を緩和するために、分析抑制電極を利用する。
システム600は、イオン源602、および選択した特徴を持つイオンビーム606を生成する抑制電極604を含む。ビームガイド筐体608は、イオンビーム606の質量分析を行うビームガイド部を含む。ビームライン構成部610は、以下に限定はされないが、分析開口部、分析抑制電極、プラズマ電子放出部612、ウェハ位置、ビーム角測定部614、およびディスクファラデー616を含む種々の構成要素を含む。
プラズマ電子放出部612の動作および/または他の下流の二次電子は、ターミナルリターン電流を得るために利用される電流測定、例えばビームガイド筐体電流測定、に影響を与えることがある。結果として、ターミナルリターン電流は不正確なものになる。しかしながら、本発明の発明者は、分析抑制電極(図6に示すVR_SUP)を利用することで、この影響を緩和し、ターミナルリターン電流の精度を改善することができる。
図7は、本発明の一態様に係る、ターミナルリターン電流を取得し、ターミナルリターン電流に応じてイオンビームの注入量を調節する方法700を示すフロー図である。
この方法はブロック702で始まる。ここで、初期ターミナルリターン電流および初期ファラデー電流は、低い圧力の下で得られる/測定される。これらの値は、ファラデー電流が全電流により近くなるような、放出ガスがない低い圧力の下で決定される。
続いてブロック704では、低い圧力の下でのターミナルリターン電流とファラデー電流との関係が決定される。この関係は初期ターミナルリターン電流値および初期ファラデー電流値を得ることを含む。また、例えば電流測定値のスケール因子、フィルターの特徴、加算の式、およびインピーダンス整合等を含む、他の特徴量も得られる。
イオン注入の間、1つまたは複数の上流電流/電荷の測定が、ブロック706で得られる。この1つまたは複数電流測定は、ビームガイド筐体電流、抑制電極電流等を含んでもよい。さらに、この電流測定値は、質量分析マグネットの下流に位置する筐体または機構からの1つの測定値を含むまたは1つの測定値からなってもよい。分析抑制のものは、プラズマ電子放出および/または二次電子の影響を低減するために選択的に利用することができる。
ブロック708で、1つまたは複数の電流測定値からターミナルリターン電流が得られる。その取得方法は、一例では、電流測定値のスケール補正、インピーダンス整合、電流測定値のフィルタリング、および電流測定値の加算(合算)を含む。この取得方法は、ファースト(高速)スキャンの終わり、またはファーストスキャンの間の様々な点等において連続的に実行される。さらに、ターミナルリターン電流は、前のターミナル電流値を用いて平均化されてもよく、ファーストスキャンに渡って平均化される等してもよい。
ブロック710で、得られるターミナル電流に応じてスロースキャンおよびファーストスキャン方向のスキャンレートまたはスキャンスピードが調節される。一例では、スキャンシステムのスロースキャンの制御信号は、ブロック702で得られた初期ファラデー電流にブロック706で求められたターミナルリターン電流をかけ、それをブロック702で得られた初期ターミナルリターン電流で割ったものに応じて設定される。別の例では、制御信号は、得られたターミナルリターン電流と、初期ターミナルリターン電流を初期ファラデー電流に加えたものとの差に応じて設定または調節される。さらに別の例では、制御信号は、圧力補償因子、初期ターミナルリターン電流、得られたターミナルリターン電流、および初期ファラデー電流に応じて設定される。他の好適な制御メカニズムが、本発明によって予想され、それはファーストおよびスロースキャンの両方のスキャンスピードの調節を含む。さらに、本発明の別の態様は、イオン源によって生成されるイオンビームの注入量(線量)を得られたターミナルリターン電流に応じて少なくとも部分的に調節できることが認識される。この方法700は、さらなる測定および調節のために、それからブロック704に戻って続いてもよい。
本発明の別の態様では、この方法700の一部を省略し、かつ/または、他の追加の操作を行ってもよい。さらに、実行の順番は、導入の仕方によって変えてもよい。
本発明は、1つまたは複数の手段に関連して描かれ、記述されたが、添付の請求の範囲および意図から逸脱することなしに説明した例の代替案および/または修正案を作ることもできる。特に、上述の構成要素または機構(ブロック、ユニット、エンジン、構成部、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、たとえ、ここで描かれた本発明の典型的な手段の機能を実行する開示された機構に構造的に等しくなくても、そのような構成要素の説明に使用した用語(手段に関するものを含む)は、別に示される場合を除いて、記述された構成要素(例えば機能的に等しいもの)の具体的に記載した機能を実行する任意の構成要素または機構に対応することを意味している。さらに、本発明の特有の特徴は、いくつかの手段の内の一つのみに関連して開示されているかもしれないが、そのような特徴は、与えられたまたはここの任意の応用に有利になるよう、望みのように、他の手段の1つまたは複数の他の特徴と結合させてもよい。ここで使用した「典型的」という用語は、最良またはよりよいものとは異なって、例を含むことを意味する。さらに、詳細な説明および請求項のいずれかで使用される「含む」「有する」「持つ」という用語またはそれらの変化形の範囲に関して、そのような用語は、「からなる」という用語に類似する使用法も含んでいる。
本発明の一つまたは複数の態様を実現するのに好適な典型的なイオン注入装置を示す平面図である。 図2は、本発明の一態様に係るイオン注入システム200の中の種々の領域を示す図である。 図3は、本発明の一態様に係るイオン注入システムのターミナルリターン電流システムを示すブロック図である。 図4は、本発明の一態様に係るターミナルリターン電流システムを示すブロック図である。 図5は、本発明の一態様に係るターミナルリターン電流注入量制御システムの一部を示すブロック図である。 図6は、本発明の一態様に係るイオン注入システムを示す図である。 図7は、本発明の一態様に係る、イオンビームのターミナルリターン電流を取得し、ターミナルリターン電流に応じてイオンビームの注入量を調節する方法を示すフロー図である。

Claims (2)

  1. イオン注入システムの動作の調節方法であって、
    上記イオン注入システムに配置されている筐体、ハウジング、または、電極にイオンビームを通過させることで発生する電流を測定することにより電流測定値を取得する工程と、
    1つまたは複数のスケール因子によって1つまたは複数の上記電流測定値をスケール補正する工程と、
    上記1つまたは複数のスケール補正された電流測定値をフィルタリングする工程と、
    上記フィルタリングされた電流測定値を結合し、ターミナルリターン電流を取得する工程と、
    上記ターミナルリターン電流に応じて注入量を調節する工程とを含むことを特徴とする調節方法。
  2. 上記注入量を調節する工程は、スロースキャンスピードを調節する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の調節方法。
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