JP5258180B2 - 固体電解質形燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質形燃料電池を有する固体電解質形燃料電池システムに関する。
従来から、固体電解質形燃料電池システムにはさまざまなシステムが存在する。例えば、燃料電池からの直流電流を交流に変換する電力変換器と、各種供給ガスの流量を制御する流量演算制御部を一括制御するものがあり、このシステムでは、負荷指令値の急増を燃料電池の出力電流によって検知し、燃料電池の電流増加速度をあらかじめ上限値以下に保持するよう抑制信号を出力する(例えば特許文献1参照)。
また、電力設定値の上昇の際、ガス流量の設定信号は瞬時に送るが、ガス流量が目標値に達するまで電力変化率制御部は応答しない応答速度調整手段を設けたものがある(例えば特許文献2参照)。
これらの特許文献に記載されているように、燃料電池の負荷上昇の際にはさまざまな対策が講じられてきた。燃料電池システムは供給ガスのエネルギーを電力に変換する装置であるため、供給したガス以上の電力は基本的には供給できないシステムである。また電力の上昇速度とガスの供給速度の違いも更なる原因となる。
一般に、固体電解質形燃料電池システムでは、電力の上昇速度は指令を受けてから数ミリ秒で変化可能であるが、ガス供給制御装置は指令を受けてから数秒の時間を要する。一方、リン酸型や固体高分子型の燃料電池システムでは、複雑な燃料処理を行うため、燃料電池に各ガスが供給されるまでに時間を要してしまう。具体的には都市ガスを改質し、水素と一酸化炭素を生成するが、この一酸化炭素を除去するのに時間を要してしまう。
このような状況で普通に出力し、ガスをそれにあわせて供給する制御方法を採用すると、負荷上昇時には先に電力が供給され、後からガスが供給されることになるので、ガスがない状態で発電を行う燃料枯れと呼ばれる状態を起してしまう。これは、出力が得られないばかりか燃料電池の劣化を起す要因にもなる。
そこで、これらを回避するために、負荷上昇の際は、出力増加を0又は抑制し、基本的にはガスを先に増加させ、後で出力を増加させる手法がとられていた。これにより燃料枯れを起すことなく燃料電池システムを動作させることができる。
図8を用いて具体的に説明すると、ガス供給の増加と電力(出力)の増加を同時に行うとガス供給はすぐに追従できなくて、目標値に達するまで時間がかかる。一方電力は追従速度が速く、すぐに目標電力に達してしまう。この到達時間までの差が問題となる。ガス供給が遅いと電力に変換する原料がないために、実際は電力が急激に低下する。低下を逃れたとしても不安定な状態にもなりうる。このような状態をさけるために基本的には図9のような手法がとられている。この手法は、ガスを先に増加させ、ガスが目標値に達したのを観測して、電力を増加させる手法である。これ以外には、電力の上昇速度を緩やかにすることでも同様の効果が得られている。
このような制御を行うためには、図10に示すような統合型の制御方法がとられている。即ち、負荷6が上昇した場合、負荷上昇の情報を系統電力センサ5より統合演算制御部10が受け取ると、先ず、統合演算制御部10はガス供給システム1のガス量を増加させる。ガス供給システム1の流量が目標値になると電力変換システム4に指令をだし、所定の電力量に調整する。その後、直流電流センサ3により燃料電池2からの直流出力電流を読み取り、実際に流れている電流から供給するガス量を割り出し、ガス供給システム1にフィードバックし、再度指令をだす。これにより目標値に近づけるようにガス流量が補正されることになる。
ところで、従来の燃料電池システムでは、負荷からの要求電力により、燃料電池での直流出力電力を変動させるが、一般に、発電は電気化学反応に伴うものであり、直流電流量と化学的な反応量が比例するという理由から、燃料電池での直流出力電力の変動を、直流出力電流を基準とし、直流出力電圧を変動させ、対応していた。
特開平7−57753号公報 特開平7−14598号公報
しかしながら、従来の燃料電池システムでは、燃料電池からの直流出力電力の変動を、直流出力電流を基準として対応していたため、燃料電池を構成する固体電解質では、酸素イオンの授受により電位差が生じ、これにより電流が流れるが、直流出力電流を基準とする場合には、常時、固体電解質間での酸素イオンの授受量が変動することになり、燃料電池が劣化し易い。
特に、実際に家庭などの負荷変動が激しい場所で用いられる場合には、燃料電池に要求される負荷がめまぐるしく変化するため、燃料電池に常時変化する化学反応が要求され、燃料電池が劣化し易かった。
本発明は、負荷追従運転する場合でも燃料電池の耐久性を向上できる固体電解質形燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の固体電解質形燃料電池システムは、直流電力を出力する固体電解質形燃料電池と、該燃料電池からの直流電力を交流電力に変換する電力変換システムとを具備する燃料電池システムであって、前記電力変換システムは、負荷からの要求交流電力に応じて前記燃料電池から直流電力を引き出す際に、前記負荷からの要求交流電力が変化して、次に前記要求交流電が変化するまでの間、前記燃料電池からの直流出力電圧の変化速度を一定にして前記燃料電池から直流電力を引き出すことを特徴とする。
固体電解質形燃料電池では、固体電解質間で常時酸素イオンの授受が行われ、これにより電位差が生じ、発電するものであるが、本発明では、電力変換システムが、負荷からの要求交流電力に応じて燃料電池から直流電力を引き出す際に、負荷からの要求交流電力が変化するまでの間、燃料電池からの直流出力電圧の変化速度を一定にして燃料電池から直流電力を引き出すため、燃料電池に急激な反応の変化がなく、これにより燃料電池の耐久性を向上できる。
即ち、燃料電池システムは電気化学反応に伴うシステムであり、直流電流量と化学的な反応量が比例するため、その制御には直流電流を基準とした制御方法がとられていた。
本発明では直流出力電圧に着目した点に特徴がある。固体電解質形燃料電池は酸素濃度差に応じた起電力を生じる。つまり直流電圧である。この直流電圧は燃料電池の内部抵抗により変化する。内部抵抗は定抵抗な部分とそうでない部分がある。一般に濃度過電圧と呼ばれる部分が一定ではない抵抗になる。これは、ガスの供給状態や電流の消費状態により、電極近傍のガス濃度が変化し、抵抗成分が変化してしまう。家庭などにおかれる燃料電池では負荷変動が激しく、ガスの供給速度、電流の増減により、大きな影響を受けてしまう。このため、従来のような電流や出力制御ではこの濃度過電圧(電極近傍のガス濃度)を反映することができず、濃度が低い状態(燃料枯れ、空気枯れ)を引き起こし、電極を痛め、セルの劣化につながっていた。このため、急峻な負荷変動はできず、緩やかに制御する手法がとられていた。具体的には、セルの劣化やガスの供給が追いつかない場合には、燃料電池の電圧が低下するという現象が生じる。
本発明では、負荷からの要求交流電力が変化するまでの間、直流出力電圧の変化速度が一定になるように直流電力を引き出すため、瞬間的にガス量が不足したり、電流量が増えたりしても無理に直流出力電圧を下げることがないため、急峻な負荷変動を行った場合にも安定して運転を行うことができる。
また、本発明の固体電解質形燃料電池システムは、前記燃料電池の直流電力上昇の際の直流出力電圧の下降速度が1セル当たり2mV/秒以上であることを特徴とする。このような燃料電池システムでは、直流出力電圧の下降速度が1セル当たり2mV/秒以上であるため、従来の固体電解質形燃料電池では得られない、急峻な負荷変動にも追従することができる。
燃料電池は電流0のときが最も電圧が高く1セルあたり約1Vある。これより出力を取り出すと電圧が下がり電流が上昇する。この際の電圧下降速度が2mV/秒以上より小さいと負荷追従速度が遅く、家庭でのエネルギー削減が小さくなる。望ましくは5mV/秒以上がよい。出力を減少させるには電圧を上昇させるがその際の電圧上昇速度は1セル当たり2V/秒以上とすることが望ましい。これよりも遅いと系統電力への逆潮流が発生し、余剰の電力を消費させる余剰電力ヒーターなどが必要となる。
本発明の燃料電池システムでは、燃料電池からの直流電力上昇速度が600W/分以上あり、かつ出力下降速度が120kW/分以上あることが望ましい。これにより、燃料電池が、急激な負荷変動にも追従することができる。
即ち、実際の家庭などの負荷変動が激しい場所でも電力を安定して供給できるとともに、負荷追従の上昇速度が600W/分以上と他の燃料電池に比べ十分に早いために、負荷の消費電力に遅れることなく燃料電池システムより電力を供給でき、燃料電池より供給できる電力の割合が大きくなり、エネルギー削減、CO排出量の削減につながることができる。さらに負荷追従の下降速度が120kW/分と速いために、余剰の電力をヒーターに流し、貯湯槽の水を暖めるなどの他の燃料電池システムが行っていることが不要になり、システムの簡素化を行うことができる。
また、前記燃料電池の直流電力上昇の際は、直流出力電圧の下降速度が1セル当たり2mV/秒以上が優先され、場合によっては、直流電力が下降することもある。また、前記燃料電池の直流電力下降の際は、前記燃料電池の最大出力から出力ゼロまでの時間が0.5秒以内であり、かつ燃料ガスの流量制御の最大流量から最小流量までの時間が3秒以内であることが望ましい。前記燃料電池の直流電力下降の際のガス余剰分は、セル近傍で燃焼することが望ましい。
図1は本発明の固体電解質形燃料電池システムを簡略化して示すブロック図である。本発明の燃料電池システムは、ガスを供給するガス供給システム1と、ガスにより発電する固体電解質形燃料電池2と、燃料電池2から引き出される直流電流を読み取る直流電流センサ3と、直流電流センサ3からの電流によりガス供給システム1へガス供給量の指令を出すガス演算制御部11を具備している。また、燃料電池2から電流を引き出し、交流電力として負荷6に供給する電力変換システム4と、系統(商用電源)から負荷6に供給される電力を読み取る系統電力センサ5と、系統電力センサ5からの電力に相当する電力を燃料電池2から引き出すように電力変換システム4に指令を出す電力演算制御部12を具備している。
この燃料電池システムでは、ガス供給システム1へガス供給量の指令を出すガス演算制御部11と、電力変換センサ4に指令を出す電力演算制御部12と有しており、ガス供給システム1と電力変換システム4の制御が別個独立に行われる。
尚、電力変換システム4は燃料電池2から直流電力を引き出すが、燃料電池2から直流電力を引き出す際に、燃料電池2からの直流出力電圧の変化速度を一定にして燃料電池2から直流電力を引き出し、その際の燃料電池2の電流を直流電流センサ3は読み取るものである。
以下、具体的に説明する。
(ガス供給システム)
ガス供給システム1は燃料ガス供給部、酸素含有ガス供給部、および水(水蒸気)供給部から構成されているが、本システムでは、簡略化して一つのガス供給システムとして記載している。ガス演算制御部11もガス供給システム1だけの演算制御ではなく、実際は、燃料電池の温度センサ、ガスセンサ、バルブ、流量センサなどの周辺機器の演算制御も行っている。
(燃料電池)
燃料電池2は、図2に示すように、ハウジング内に、4個の発電ユニット56a、56b、56c及び56dを配置して構成されている。発電ユニット56a、56b、56c及び56dは、図示しないが、複数の空気導入管間に位置せしめられている。言い換えれば、発電ユニット56a、56b、56c及び56d間に、空気導入管が配設されている。発電ユニット56aは左右方向に細長く延びる直方体形状の燃料ガスケース58aを具備している。
燃料ガス室を規定している燃料ガスケース58aの上面上にはセルスタック60aが装着されている。セルスタック60aは上下方向に細長く延びる直立セル62を燃料ガスケース58aの長手方向に複数個縦列配置して構成されている。図3に明確に図示する如く、セル62の各々は電極支持基板64、内側電極層である燃料極層66、固体電解質層68、外側電極層である酸素極層70、及びインターコネクタ72から構成されている。
電極支持基板64は上下方向に細長く延びる柱状の板状片であり、その断面形状は平坦な両面と半円形状の両側面を有する。電極支持基板64にはこれを鉛直方向に貫通する複数個(図示の場合は6個)の燃料ガス通路74が形成されている。電極支持基板64の各々は燃料ガスケース58aの上壁上に、例えば耐熱性に優れたセラミック接着剤によって接合される。
燃料ガスケース58aの上壁には間隔をおいて左右方向に延びる複数個のスリット(図示していない)が形成されており、電極支持基板64の各々に形成されている燃料ガス通路74がスリットの各々に従って燃料ガス室に連通せしめられる。
インターコネクタ72は電極支持基板64の片面上に配設されている。燃料極層66は電極支持基板64の他面(図3のセルスタック60aにおいて下面)及び両側面に配設されており、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。固体電解質層68は燃料極層66の全体を覆うように配設され、その両端はインターコネクタ72の両端に接合せしめられている。酸素極層70は、固体電解質層68の主部上、即ち電極支持基板64の他面を覆う部分上に配置され、電極支持基板板64を挟んでインターコネクタ72に対向して位置せしめられている。
セルスタック60aにおける隣接するセル62間には集電部材76が配設されており、一方のセル62のインターコネクタ72と他方のセル62の酸素極層70とを接続している。セルスタック60aの両端、即ち図3において上端及び下端に位置するセル62の片面及び他面にも集電部材76が配設されている。セルスタック60aの両端に位置する集電部材76には電力取出手段(図示していない)が接続されており、かかる電力取出手段はハウジング外に延在せしめられている。
セル62について更に詳述すると、電極支持基板64は燃料ガスを燃料極層66まで透過させるためにガス透過性であること、そしてまたインターコネクタ72を介して集電するために導電性であることが要求され、かかる要求を満足する多孔質の導電性セラミック(若しくはサーメット)から形成することができる。
燃料極層66及び/又は固体電解質層68との同時焼成によりセル62を製造するためには、鉄属金属成分と特定希土類酸化物とから電極支持基板64を形成することが好ましい。所要ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35乃至50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。
燃料極層66は多孔質の導電性セラミック、例えば希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニアと称されている)とNi及び/又はNiOとから形成することができる。
固体電解質層68は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと空気とのリークを防止するためにガス遮断性を有するものであることが必要であり、通常、3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrOから形成されている。
酸素極層70は所謂ABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電セラミックから形成することができる。酸素極層70はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
インターコネクタ72は導電性セラミックから形成することができるが、水素ガスでよい燃料ガス及び空気と接触するため、耐還元性及び耐酸化性を有することが必要であり、このためにランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が好適に使用される。インターコネクタ72は電極支持基板64に形成された燃料ガス通路74を通る燃料ガス及び電極支持基板64の外側を流動する空気のリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが望まれる。
集電部材76は弾性を有する金属又は合金から形成された適宜の形状の部材或いは金属繊維又は合金繊維から成るフェルトに所要表面処理を加えた部材から構成することができる。
図2を参照して説明を続けると、発電ユニット56aは、セルスタック60aの上方を細長く延びる長方体形状(或いは円筒形状)であるのが好都合である改質ケース78aも具備している。改質ケース78aの一方側面には燃料ガス送給管80aの一端即ち上端が接続されている。
燃料ガス送給管80aは下方に延び、次いで湾曲して後方に延び、燃料ガス送給管80aの他端は上記燃料ガスケース58aの前面に接続されている。改質ケース78aの他方側面には被改質ガス供給管82aの一端が接続されている。被改質ガス供給管82aは改質ケースから下方に延び、ハウジングの下を通ってハウジング外に延出している。
被改質ガス供給管82aは都市ガス等の炭化水素ガスでよい被改質ガス供給源(図示していない)に接続されており、被改質ガス供給管82aを介して改質ケース78aに被改質ガスが供給される。改質ケース78a内には燃料ガスを水素リッチな燃料ガスに改質するための適宜の改質触媒が収容されている。
図示の実施形態においては、改質ケース78aは燃料ガス送給管80aを介して燃料ガスケース58aに接続され、これによって所要位置に保持されている。また、発電ユニット56cは上述した発電ユニット56aと実質上同一であり、発電ユニット56b及び56dは、発電ユニット56a及び56cに対して前後方向が逆に配置されていること、従って改質ケース78b及び78dと燃料ガスケース58b及び58dとを接続する燃料ガス送給管(図示していない)が後側に配置され、被改質ガス供給管82b及び82dが改質ケースから下方に延び、ハウジングの下を通ってハウジング外に延出している。
上述したとおりの燃料電池においては、被改質ガスが被改質ガス供給管82a、82b、82c、82dを介して改質ケース78a、78b、78c及び78dに供給され、改質ケース78a、78b、78c及び78d内において水素リッチな燃料ガスに改質された後に、燃料ガス送給管80a、80b、80c、80dを通して燃料ガスケース58a、58b、58c及び58d内に規定されている燃料ガス室に供給され、次いでセルスタック60a、60b、60c及び60dに供給される。
セルスタック60a、60b、60c及び60dの各々においては、酸素極において、
1/2O+2e→O2−(固体電解質)
の電極反応が生成され、燃料極において、
2−(固体電解質)+H→HO+2e
の電極反応が生成されて発電される。
発電に使用されることなくセルスタック60a、60b、60c及び60dから上方に流動した燃料ガス及び空気は、起動時に発電・燃焼室内に配設されている点火手段(図示していない)によって点火されて燃焼される。周知の如く、セルスタック60a、60b、60c及び60dにおける発電に起因して、そしてまた燃料ガスと空気との燃焼に起因して発電・燃焼室内は例えば750℃程度の高温になる。改質ケース78a、78b、78c及び78dは発電・燃焼室内に配設され、セルスタック60a、60b、60c及び60dの直ぐ上方に位置せしめられており、燃焼炎によって直接的にも加熱され、かくして発電・燃焼室内に生成される高温が被改質ガスの改質に効果的に利用される。
(直流電流センサ)
直流電流センサ3は、燃料電池2からの出力である直流電力の電流を計測するためのセンサである。このセンサとしてはシャント抵抗と呼ばれるものやホール素子を利用したものなどがある。いずれも直流電流を電圧に変換し、さらに増幅して電流値として取り込むものである。シャント抵抗は定抵抗のものに電流を流し、電圧が電流に応じて比例する特性を利用したものであり、ホール素子はホール効果を利用したものである。これ以外にも直流電流を計測できるものであればよく、特に限定するものではない
(電力変換システム)
電力変換システム4は、基本的には燃料電池2から出力された直流の電力を家庭で使用される交流の電力に変換するものである。ただし、家庭には電力会社から電力が供給されているために、この電力と連系する形での電力供給を行う必要がある。これを系統連系というが、電圧や周波数をあわせたり、また停電時には系統連系を解除したりといった機能が必要になる。また、負荷からの要求交流電力に応じて系統電力からの交流電力と燃料電池からの直流電力を制御する機能も有する。
(系統電力センサ)
系統電力センサ5は、系統から供給されている電力を読み取るセンサである。CTと呼ばれる交流電流を読み取るものが一般的である。交流の電圧の変動は電流値に対して少ないので予め100Vや200Vといった定まった値を用いて、これらを掛け合わすことで電力としてもよい。正確に電力を読み取る場合は、電圧を読み取るセンサを別途設けてもよい。この電圧を読み取るセンサは電力変換システムに付随の電圧センサを用いることもできる。これらを含め系統電力センサ5と称している。また系統電力センサ5は、逆潮流(燃料電池側から系統電力へ電力が流れ出すこと)を監視する役割ももつ。
(ガス演算制御部)
ガス演算制御部11は、基本的に燃料電池2からの直流電流の出力を読み取り、燃料利用率や空気利用率一定の元で供給ガス量を演算し、ガス供給システム1に指示を出すものである。燃料利用率や空気利用率は一定で計算を行うが、それぞれ最低流量が設定されており、これらを下回る場合は最低流量が供給される。ここでは、ガス演算制御部11と称しているが、そのほかの燃料電池2の制御機能、例えば、バルブの開閉、温度計測、ガス漏れ感知、火災感知、ポンプ等の動作、各種機器の電源管理、燃料電池2の状態通知機能などが含まれていてもよい。
(電力演算制御部)
電力演算制御部12は、系統電力センサ5から系統が供給している電力情報を読み取り、電力値が極小になるように、電力変換システム4の交流出力を調整する。この際、交流出力が所定の値になるように燃料電池2から直流電力を吸い込むような動きを行う。例えば家庭で使用している電力が800Wとすると燃料電池2が動作していない状態では系統から800Wが供給されている。燃料電池2が動作する場合は、基本的に系統の電力が0になるように電力変換システム4を動作させる。実際には、系統の電力を0にする制御は、逆潮流をひきおこしやすくなるため、系統電力が数10W〜100Wになるように制御される。また、電力演算制御部12は、逆潮流(系統側への電力の流出)がおこる状態となると電力変換システム4を停止するような動作も行わせる。また、燃料電池側の電力も交流出力電力に応じて引き出す動きも行う。電力演算制御部12は燃料電池からの直流入力電圧も監視し、これが開放起電力の半分を下回らないようにも制御し、結果として交流出力も抑制する。
以下、本発明の燃料電池システムについて、図4のフローチャートを基に説明する。先ず、ガス演算制御部11から運転開始の信号が電力演算制御部12へ送られ、燃料電池2からの電力を、電力変換システム4及び電力演算制御部12を備えたパワコンに供給し、起動する。その後、電力変換システム4は系統連系リレー(電力変換システムに含まれる)を閉じ、系統と連系を開始する(n−1)。
まず、電力変換システム側の説明を行う。
(n−2)系統電力センサ読み取り
系統電力センサから系統の電力を読み取る。
(n−3)燃料電池(SOFC)電圧読み取り
電力変換システムに供給されているSOFCの電圧を読み取る。
(n−4)演算、パワコン出力
(n−2)、(n−3)の電力、電圧の読み取り値より、電力変換システムの出力を演算し、出力する。
そして、本発明では、過去の出力値に対して出力が上昇する場合には、出力上昇速度が600W/分以上となるように制御し、逆に過去の出力値に対して出力が減少する場合には、出力下降速度を120kW/分以上となるように制御を行う。この交流出力を変化させる際には、負荷からの要求交流電力に応じて燃料電池から直流電力を引き出す際に、負荷からの要求交流電力が変化するまでの間、燃料電池からの直流出力電圧の変化速度を一定にして燃料電池から直流電力を引き出している。この直流出力電圧の変化速度は、出力上昇の際の直流出力電圧の下降速度が1セル当たり2mV/秒以上とされている。また、燃料電池の出力下降の際の直流出力電圧の上昇速度は1セル当たり2V/秒以上であることが望ましい。
SOFCの電圧が開放起電力の半分を下回るような値での出力になると、その電圧を下限値として出力する。つまり、電圧がこの開放起電力の半分を下回らないように制御する。
この燃料電池システムは、燃料電池制御部(ガス供給システム)と電力変換システムが個別に動作するため、電力変換システムにはガス供給システムに悪影響を及ぼさないための制限が必要になる。これが、燃料電池から電力変換システムへ入力する電圧の規定となる。図5に示すように燃料電池の電流に対する電圧曲線は、V=E−IRとなる。ここでVは燃料電池から取り出す電圧である。Eは開放起電力と呼ばれるもので、電流が流れない時の電圧値である。Rは燃料電池の内部抵抗であり、Iは取り出す電流である。電流に対する電力曲線は、電力が電流×電圧なのでW=I×V=E×I−I×Rとなる。ここで出力Wは、Iの二乗のグラフとなり最大値が存在する。つまり
W=−R(I−E/2R)+E/4R
となり、I=E/2Rの時に最大値をとる。この時の電圧はV=E−IRよりV=E/2となる。
本発明では、電力変換システムの制御として、E/2以上の入力電圧で動作するように規定している。これは、最大電力を山の頂上に例えると、同じ出力が山の両側に存在することになる。同じ出力でも山の頂上に対して左側の電流値が小さいため、電流値にガス供給量は比例することから当然発電効率が高くなる。また、電力変換システムの制御方法としても電圧の規定を設けておけば、電圧が低くなれば出力が上昇する。電圧が高くなれば出力が減少するという山の左側だけの動作ですみ、制御が簡単である。入力電圧がE/2を下回ろうとすると電力変換システムは直流電流量を制御し、電圧をE/2になるように動作する。
(n−5)要求出力と実出力
系統電力センサからの要求出力と実際の電力変換システムの出力を比較し、例えば200W以上あるかないか判断する。
(n−6)ガス演算制御部への信号
系統電力センサからの要求出力と実際の電力変換システムの出力差がある場合は、ガス演算制御部へ燃料ガス増量の指示をだす。燃料電池からの出力電流が小さい場合に、燃料電池の出力電圧がE/2に固定されてしまう問題が生じる。これは、出力が少ないと燃料電池の発熱量が少なくなり、動作温度が低下する。動作温度が低くなると同じ電流で取り出せる電圧が低くなり、次第にE/2に近づいてくる。
このような状態になるとこの電圧が最大出力であるため、この状態から抜け出せなくなり、負荷の要求があっても燃料電池が出力できない状態となる。このため、負荷の要求がある状態か見極める必要がある。このため、電力変換システムからその状態をガス供給システム側に通知することが必要である。
電力変換システムからその状態を通知する指令がくるとガス供給システム側は燃料を増大し、その燃焼熱により燃料電池の動作温度を上昇させる。これにより、電圧はE/2Rであるが、出力電流が増大し、さらに温度が上昇し、最後には電圧のリミットから逃れることができる。例えば負荷要求と燃料電池の出力差が200W以上ある場合にこのような指令信号をだしてもよい。これにより、ガス供給システム側は利用率を低下させ、ガス流量を増加させたり、あるいは、最大流量を流す制御をしてもよい。図4では、出力差が200W以上ある場合に、最大流量を流す制御を行った場合について示した。
(n−7)停止ボタン
停止ボタンが押されるまで、繰り返し動作を行う。
SOFC側の説明を行う。
(n−8)直流電流センサ読み取り
燃料電池からの直流出力電流(パワコンへの入力直流電流)I(A)を直流電流センサで読み取る。
(n−9)空気、ガス流量演算
読み取った電流値Iと、設定されている空気利用率A、例えば30%と、燃料利用率H、例えば70%から、下記のようにして空気流量、燃料ガス流量をガス演算制御部にて演算する。
空気流量=I×n×22.4×60/(F×A×価数×0.21)*100L/min
I:読み取り電流
n:全セル数、200
F:ファラデー定数、96484.56
A:空気利用率、任意設定(10〜40%程度)
価数:Oは4価
0.21:空気中に含まれる酸素の割合都市ガス流量=I×n×22.4×60/(F*H×燃料平均価数)×100L/min
I:読み取り電流
n:全セル数、200
F:ファラデー定数、96484.56
H:燃料利用率、任意設定(60〜90%程度)
燃料平均価数:都市ガス中の燃料の平均的な価数。例えばCH4
は8価、C2H6は14価である。これらの燃料ガス
中に含まれる体積分立をかけて平均化したもの。
都市ガス流量の演算式の説明を行う。燃料電池は電気化学反応なのでF:ファラデー定数を用いる。これは1モル中に含まれる電荷量になる。電流Iがn個のセルを流れるのでI×nが電気化学反応に1秒間に寄与した電荷量になる。ここで、例えばHの場合、2価であるため、l×n/2が1秒間に反応に寄与したHのモル数となる。都市ガスの場合、平均価数をもとめ、I×n/平均価数が1秒間に反応に寄与した都市ガスのモル数になる。1分間に反応する量は標準状態の22.4Lと60秒をかけて、I×n×22.4×60/(F×平均価数)となる。以上が全量、電気化学反応で使われたガス量になる。燃料電池の場合、投入した全量使うことはなく、余裕をみる。この投入した燃料に対する実際に電気化学反応に寄与した燃料の割合のことを燃料利用率という。この利率の分だけ余計に燃料を投入するので100/Hだけ多くなる。
空気流量の計算は空気の価数が4価と空気中に含まれる酸素比率が21%を考慮すればよい。
(n−10)最低流量判断
SOFCの場合は、発電量が少ない場合、温度の低下を招く危険性がある。そのため、最低限温度を保持する分だけの燃料を投入しておく必要がある。そこで、演算して求められた流量と比較する。空気最低流量、例えば30(A)L/min、燃料最低流量、例えば1.2(H)L/minと比較する。
(n−11)最低流量設定
演算結果が最低流量を下回る場合は、空気、燃料のガス流量を最低流量に置き換える。
ガス供給システムは、出力の直流電流に対して利用率が一定になるような運転をおこなう。この場合、極端な時例えば電流が0になるとガス流量も0になる。このような運転では燃料電池は動作温度を保てなくなる。そのため、燃料電池が最低の動作温度、例えば600℃を保てるような最低流量をあらかじめ設定しておく必要がある。利用率一定の元で計算した値がこれを下回る場合は、最低の流量をながすような動作を行わせる。出力が低い場合はこのようであるが、例えば系統異常により系統連系リレーを解除した場合には、出力が0になる場合がある。このときも最低流量が設定され、燃料電池の動作温度を保つことが可能である。
(n−12)燃料最大流量判断
パワコンからの燃料最大流量要求があるか監視する。
(n−13)燃料最大流量設定
燃料最大流量の要求がある場合は、最大流量(H)に演算値を置き換える。
(n−14)空気最大流量判断
モジュール温度を監視し、例えば830℃以下であるか監視を行う。
(n−15)空気最大流量設定
空気最大流量の要求がある場合は、ブロワーの電圧を最大にする。
(n−16)水流量演算
水の流量が、例えばS/C=2.5(X26)になるように設定し、水を流す。これにはS/Cといって燃料中のカーボン量とスチーム(HO)の比率を一定にする。燃料平均炭素数を用いる。燃料に含まれる炭素のモル比は、燃料平均炭素数×ガス流量/22.4となり、この比率がX26(ここでは2.5)であること、水1モルは、気体22.4L、液体18ccであることを考慮すると
水の流量X=燃料平均炭素数×ガス流量×X26×18/22.4
(n−17)ブロワー設定
ガス流量システム内のブロワーを動作させ、流量モニタで流量を監視しながら、演算で得られた所定の流量に空気を流す。流量モニタの出力電圧をX(V)とする。出力が1−5Vに注意して、このモニタの最大流量は10m/hであるため、流れる空気流量Yは
Y=(X−1)×10 [m/h]
となる。流量の単位を変換して
Y=(X−1)×10000/60 [L/min]
が、実際流れている流量となる。この値になるようにブロワーの電源電圧を制御する。
(n−18)都市ガス流量制御設定
演算で求めた都市ガスが流れるように、ガス供給システムに流量設定信号を送り、都市ガスを流す。
(n−19)水ポンプ設定
(n−16)で演算した水の流量でガス流量システム内の水量を設定する。
上記したように、系統電力センサ5を読み取り、電力演算制御部12で演算し、電力変換システム4を制御し電力を供給する一連の動作は発電中繰り返される。
一方、ガス演算制御部11は直流電流センサ3の電流値を読み取り、燃料利用率一定になるなど(電池温度を保つための制御を加えてもよい。温度を上げるためには燃料を増やし、冷却には酸素含有ガスの量を増やす)の演算をし、ガス供給システム1を制御し、ガス量を調整する。
この直流電流センサ3の電流値を読み取り、ガス演算制御部11の演算をし、ガス供給システム1を制御する一連の動作(n−8)〜(n−20)は発電中繰り返される。
このように、発電中は電力を変換する電力変換システムの制御と燃料電池にガスを供給するガス供給システムの制御を独立して行っている。需用家としては、電力の追従のみが重要である。系統電力センサにより系統の電力を常時観測し、それにあわせて、電力を変換する電力変換システムは燃料電池より電力を引き出し、交流に変換し供給しているだけなので、制御も早く、負荷変動にも十分対応できる。
運転停止時には、運転開始時に、ガス演算制御部11から電力演算制御部12に送った信号を解除することで系統との連系を解除することができる。
このように運転時の制御自身は独立であるが、定常でない場合は、ガス演算制御部11と電力演算制御部12はやり取りを行う。上述したように、ガス流量演算制御部11からは運転開始や停止(燃料電池異常による停止も含む)などの状態を含む信号が送られ、電力演算制御部12からは系統の異常状態の信号が送られる。すべての異常状態を送ってもよいが、軽微なものは電力演算制御部12が判断し、独自で系統連系を解除し、復旧も独自で行ってもよい。その間、燃料電池は出力0で待機をしている。
重要な異常、例えば停電などの場合、いつ復旧するか分からない場合は、ある程度の時間を観測し、それでも戻らない場合は、燃料電池も停止にうつる。
また、このような電力変換システムとガス供給システムとが独立した制御方法をとるためには、燃料電池のバッファー作用が重要である。図6にその概念図を示す。電力変換システムは、燃料電池から直流電力を吸い出して(引き出して)負荷に供給する。ガス供給システムは引き出しに対応して、ガスを供給する。燃料電池から電力変換システムにより直流電力が引き出されるが、ガス供給システムによりガスが燃料電池に供給される。従って、多少の変化速度があっても、燃料電池にバッファー機能があるため、ガス枯れが起きることなく、図6の概念図で説明すると、発電可能なガス量を示す液面が、電力変換システムの引き出しにより下に変化するが、ガス供給システムによるガス供給により液面が上に変化し、ガス量を示す液面が上下に変化することにより、電力変換システムの電力引き出し速度と、ガス供給システムによりガス供給速度の二つの変化速度の差を吸収している。
実際の燃料電池では燃料電池セルにガスを供給している。燃料電池セルには、このガスが流れていく空間(ガス供給孔)がある。ガスの供給を遮断しても、この空間に残っているガスが消費されるまでは発電可能である。この空間に残っているガスが、バッファーとして作用する。このガスを使い切るまで(正確には、起電力がたつガスが残っているまで)のガス供給能力があれば、独立的な制御を行っても問題ないことになる。
負荷追従がもっとも大変なのは出力0の状態から最大出力をだす時である。燃料電池の最大出力をWとする。これは、交流に変換される前の燃料電池の出力、即ち、直流での出力を表す。最大出力時の各燃料電池セルの電圧をVとするとW/Vが電気化学反応にかかわる電流値になる。この電流値は、出力される電流値ではない。例えばIアンペアの電流がn個の直列のセルを流れるとI×nが電気化学反応にかかわっている電流になる。このような意味での電気化学反応に関わる電流値と規定している。
図8に示すように、一般に電力変換システムの変化速度はミリ秒単位であり、ガス供給システムの変化速度は秒単位である。このため、ガス流量が規定量になるまで時間遅れtが生じる。よって、ガス供給が追付くまでの面積がW/V×t/2となる。これの単位はクーロンとなり電気化学反応に寄与した電荷量となる。ここで、ガスの追従は直線的に目標値まで変化すると仮定した。実際は目標値に近くなると緩やかになる放物線を描くが、計算上は誤差として扱う。
また、電力変換システムによる出力供給を急激に行うとして計算を行っているが、緩やかに立ち上げる場合でも、目標値に達したところからのガス供給が目標値に達するまでを同じく時間遅れtとして計算してもよい。この電荷量W/V×t/2は、ガス供給が目標値までに達する間に、消費される電荷量に相当し、ガスが供給されるまでの間、この電荷量はセルの空間内に残っていたガスによる発電から供給される。
セルには図3に示すような燃料ガスが供給されるガス供給孔74や酸素含有ガスが流れるセルとセルの空間が存在する。ガスの供給が遅れる場合は、これらの空間に含まれるガスが先に使用される。従って、このガスの供給空間内に含まれる残存ガスが燃料電池のバッファーとしての役割を果たす。
次に空間に含むことができるガス量を計算する。ガス供給の空間の体積をM(L)とする。電極がポーラス体の場合はその電極のポーラスな部分も含む。供給されるガスの組成を調べ、水蒸気は反応に寄与しないのでその部分を差し引くM×(1−α)。さらに利用率をUとするとセル投入時は利用率0で最終利用率Uとなるので、平均化して、M×(1−α)×U/2の体積に残存ガスがあることになる。これに1モルの体積さらにファラデー定数、および残存ガスの電荷量を掛け合わせると残存する電荷量が求められ、M×(1−α)×U×F×n/(2×22.4)となる。即ち、この残存の電荷量が、消費される電化量よりも多い場合はバッファー機能が働くことになる。従って、M×(1−α)×U×F×n/(2×22.4)>W/V×t/2を満足するように、燃料電池セルの空間M、ガスの供給時間遅れを設計することにより、燃料電池のバッファー機能を利用した動作が可能となる。
図7に、50秒間で300Wから900Wの直流出力を引き出す場合(言い換えると、50秒間負荷から900Wの要求交流電力があった場合)と、120秒間で300Wから900Wの直流出力を引き出す場合(言い換えると、120秒間負荷から900Wの要求交流電力があった場合)について、一定の電圧変化速度で出力を引き出したグラフを示す。直流出力電圧が約180Vから約130Vまで50秒間、120秒間で低下している。これに応じて電流が増加し、グラフに示すように出力が一定ではないながらも約300Wから900Wまで変化している。このように直流出力電圧の変化速度を一定にして直流出力を引き出しているため、電圧の低下がない。
尚、負荷からの要求交流電力が変化しない間は、直流出力電圧の変化速度が一定であり、要求交流電力が変化すると、その変化後から、さらに要求交流電力が変化するまで、直流出力電圧の変化速度が一定となる。
出力や電流を一定に制御を行うと燃料が不足する状態のときに電圧が急激に低下する現象がみられる。これは燃料や空気が不足し濃度差がなくなり、電圧が低下する。もともと燃料電池は酸素の濃度差で電位が発生するため、どちらかが不足すると低下する。この点にかんがみ、本発明では、直流出力電圧の変化率を一定にして直流出力を引き出しているため電圧が急激に低下することなく出力を安定して供給することが可能となる。このとき、燃料電池の出力下降の際の直流出力電圧の上昇速度が1セル当たり2V/秒以上であることが望ましい。
図7では200本のセルの電圧変化速度であるため、5mV/秒、2mV/秒の速度で低下している。このときの出力速度が720W/分、300W/分である。
本発明の燃料電池システムを説明するためのブロック図。 本発明のシステムに使用される固体電解質形燃料電池の好適形態を示す斜視図。 図2の燃料電池に使用されているセルスタックを示す断面図。 本発明の燃料電池システムのフローチャート。 燃料電池の電流に対する電圧曲線、電力曲線を示すグラフ。 燃料電池のバッファー機能を説明するための概念図。 一定電圧の変化速度で出力を増加させているグラフである。 燃料電池からの出力に対してガス流量が規定量になるまでの時間遅れtを説明するためのグラフ。 燃料電池からの出力に先立ってガスを供給する従来のシステムを説明するためのグラフ。 従来の燃料電池システムを説明するためのブロック図。
符号の説明
1:ガス供給システム
2:燃料電池
3:直流電流センサ
4:電力変換システム
5:系統電力センサ
11:ガス演算制御部
12:電力演算制御部

Claims (2)

  1. 直流電力を出力する固体電解質形燃料電池と、該燃料電池からの直流電力を交流電力に変換する電力変換システムとを具備する燃料電池システムであって、前記電力変換システムは、負荷からの要求交流電力に応じて前記燃料電池から直流電力を引き出す際に、前記負荷からの要求交流電力が変化して、次に前記要求交流電が変化するまでの間、前記燃料電池からの直流出力電圧の変化速度を一定にして前記燃料電池から直流電力を引き出すことを特徴とする固体電解質形燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の直流電力上昇の際の直流出力電圧の下降速度が1セル当たり2mV/秒
    以上であることを特徴とする請求項1記載の固体電解質形燃料電池システム。
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