【発明の属する技術分野】
本発明は、可変表示装置を備えた遊技機に関するものである。
【従来の技術】
従来、可変表示装置を備えた遊技機が知られている。可変表示装置の表示部には、図柄が表示される。より詳しくは、表示部には、例えば左、中、右といった3つの図柄列が表示され、各図柄列は、複数の図柄によって構成される。
かかる遊技機において、始動条件が成立することによって各図柄列の図柄が変動を開始させられ、所定時間後に確定停止表示させられる。そして、確定停止表示された図柄の態様に応じて、遊技状態が切換えられたりする。
【発明が解決しようとする課題】
ところが、各図柄列の図柄変動に関し、遊技者にとって単調感を抱かせる懸念がある。
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであって、その目的は、興趣を高めることの可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するべく、本発明においては、
複数の図柄を有する第1の図柄列、複数の図柄を有する第2の図柄列、並びに、前記第1及び第2の図柄列の間に挟まれるように配置され複数の図柄を有する第3の図柄列を備え、各図柄列毎に、前記各図柄を変動表示可能な表示部を有する可変表示装置を備え、
前記表示部の所定のライン上に、前記第1の図柄列及び前記第2の図柄列に関し所定のリーチ図柄が表示され、かつ、前記第3の図柄列に関し複数の図柄が変動表示されるリーチ遊技状態を経た後、前記所定のライン上に、第1乃至第3の図柄列に関し特定の当たり図柄の組み合わせが停止表示された場合に遊技者に有利な特別遊技状態を導出可能に構成された遊技機であって、
前記表示部において前記第1、第2及び第3の図柄列とは別の位置に所定のキャラクタを表示する手段と、
図柄が変動表示されている前記複数の図柄列のうち、第1の図柄列において図柄を一旦停止表示する手段と、
前記一旦停止表示に際し、前記所定のキャラクタを第1の態様で表示する手段と、
前記一旦停止後において、前記第2の図柄列において図柄の変動速度を、図柄を視認可能な程度に減速表示する手段と、
前記減速表示後、前記第1の図柄列に一旦停止表示されている図柄を、前記第3の図柄列を飛び越して第1の図柄列とは別の第2の図柄列の方へと移動させる手段と、
前記移動に際し、前記所定のキャラクタを前記第1の態様とは異なる第2の態様で表示する手段と、
前記移動表示に伴い、前記第2の図柄列に表示される図柄であって、所定のリーチ図柄を構成しない図柄が、前記第2の図柄の方へと移動表示された図柄に当てられる表示を実行する手段と、
前記当てられる表示に伴い、前記第2の図柄列の図柄を、すべり変動表示させる手段と、
前記第2の図柄列における図柄のすべり変動表示の後、前記移動させられていた図柄を移動前の前記第1の図柄列の表示領域へと戻して表示する手段と、
前記戻し表示の後、前記所定のキャラクタを前記第1及び第2の態様とは異なる第3の態様で表示する手段と、
前記第2の図柄列における図柄のすべり変動表示の後、前記第2の図柄列の図柄を前記所定のリーチ図柄を構成する図柄で停止表示する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
本発明によれば、興趣を高めることができる。
【発明の実施の形態】
手段1.複数の識別情報を有する複数の識別情報列を備え、各識別情報列毎に、前記各識別情報を変動表示可能な可変表示装置を備えた遊技機であって、所定時期に、識別情報列の少なくとも1の識別情報が、前記識別情報列の表示領域を逸脱して表示されるよう構成したことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、可変表示装置においては、複数の各識別情報列毎に、複数の各識別情報が変動表示させられる。そして、所定時期に、識別情報列の少なくとも1の識別情報が、識別情報列の表示領域を逸脱して表示される。このため、かかる逸脱を視認した遊技者は、それまでの常識が覆されるような印象を抱き、識別情報の変動に関する単調感が払拭されることとなる。また、かかる逸脱により、状況がそれまでよりも好転することを期待することができることとも相まって、飛躍的に興趣の向上が図られることとなる。特に、キャラクタ等の識別情報とは別の表示対象を用いた演出に頼らなくても済むことがある。かかる点において、制御内容の複雑化防止を図りつつ、しかも斬新な演出を導出することができる。
手段2.前記逸脱は、一時的なものであり、その後前記少なくとも1の識別情報が前記識別情報列の表示領域に復帰表示されるようにしたことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、逸脱の後、前記少なくとも1の識別情報が前記識別情報列の表示領域に復帰表示されるため、遊技形態が複雑なものとなってしまうことがなく、それ以降の制御内容の複雑化を防止することができる。
手段3.前記逸脱して表示される前記少なくとも1の識別情報は、自身が動きうる性質を具備する態様で表示されることを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
手段3によれば、識別情報が通常の表示領域を逸脱するといった特殊な挙動に関し、違和感、不自然さを生ぜしめることがなく、むしろ自然な感じを醸し出すことができる。
手段4.前記少なくとも1の識別情報は、前記逸脱して表示されるに際し、自ら能動的に逸脱するかの如く表示されるものであることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、前記少なくとも1の識別情報が、自ら能動的に逸脱するかの如く表示される。従って、遊技者は、当該識別情報自体が自ら動作を行うかのような印象を抱くとともに、かかる挙動を面白味をもって堪能することができる。
手段5.前記少なくとも1の識別情報は、前記逸脱して表示されるに際し、外的要因に基づき逸脱するかの如く表示されるものであることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段5によれば、前記少なくとも1の識別情報が、外的要因に基づき逸脱するかの如く表示される。従って、遊技者は、当該識別情報が前記外的要因に基づいて動作を行うかのような印象を抱くとともに、かかる挙動を面白味をもって堪能することができる。なお、「外的要因を受けつつ自ら能動的に逸脱するかの如く表示される」こととしてもよい。
手段6.複数の識別情報を有する複数の識別情報列を備え、各識別情報列毎に、前記各識別情報を変動表示可能な可変表示装置を備えた遊技機であって、所定時期に、識別情報列の少なくとも1の識別情報が、前記識別情報列の表示領域を逸脱して、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し、所定の契機を導出するべく働きかけを行うかの如く表示されるよう構成したことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、可変表示装置においては、複数の各識別情報列毎に、複数の各識別情報が変動表示させられる。そして、所定時期に、識別情報列の少なくとも1の識別情報が、識別情報列の表示領域を逸脱して、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し、所定の契機を導出するべく働きかけを行うかの如く表示される。このため、かかる逸脱を視認した遊技者は、それまでの常識が覆されるような印象を抱き、識別情報の変動に関する単調感が払拭されることとなる。また、かかる逸脱により、状況がそれまでよりも好転することを期待することができることとも相まって、飛躍的に興趣の向上が図られることとなる。特に、キャラクタ等の識別情報とは別の表示対象での演出に頼らなくても済み、かかる点でも制御内容の複雑化防止を図ることができ、しかも斬新な演出を導出することができる。さらに、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もって所定の契機が導出される。従って、所定の契機が遊技者にとって望ましいものである場合には、逸脱、働きかけといった一連の表示が当該好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段7.複数の識別情報を有する複数の識別情報列を備え、各識別情報列毎に、前記各識別情報を変動表示可能に構成され、かつ、1の識別情報列と、他の識別情報列との間では識別情報の停止表示されるタイミングに時間差が生じるよう構成された可変表示装置を備え、確定停止表示された各識別情報列の識別情報の態様に応じて遊技状態が切り換えられるよう構成された遊技機であって、所定時期に、1の識別情報列の少なくとも1の識別情報が、前記識別情報列の表示領域を逸脱して、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し、所定の契機を導出するべく働きかけを行うかの如く表示されるよう構成したことを特徴とする遊技機。
手段7によれば、可変表示装置においては、複数の各識別情報列毎に、複数の各識別情報が変動表示させられる。また、1の識別情報列と、他の識別情報列との間で時間差をもって識別情報が停止表示させられる。そして、確定停止表示された各識別情報列の識別情報の態様に応じて遊技状態が切り換えられる。さて、所定時期に、1の識別情報列の少なくとも1の識別情報が、識別情報列の表示領域を逸脱して、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し、所定の契機を導出するべく働きかけを行うかの如く表示される。このため、かかる逸脱を視認した遊技者は、それまでの常識が覆されるような印象を抱き、識別情報の変動に関する単調感が払拭されることとなる。また、かかる逸脱により、状況がそれまでよりも好転することを期待することができることとも相まって、飛躍的に興趣の向上が図られることとなる。特に、キャラクタ等の識別情報とは別の表示対象での演出に頼らなくても済み、かかる点でも制御内容の複雑化防止を図ることができ、しかも斬新な演出を導出することができる。さらに、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もって所定の契機が導出される。従って、所定の契機が遊技者にとって望ましいものである場合には、逸脱、働きかけといった一連の表示が当該好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
なお、前記「1の識別情報列」は、「少なくとも1の識別情報列」であってもよい。
手段8.前記逸脱して表示される前記少なくとも1の識別情報は、一旦停止表示されたもの又は停止表示過程にあるものであることを特徴とする手段6又は7に記載の遊技機。ここで、「停止表示過程にある」とあるのは、停止表示直前の状態や、停止表示させられるべく変動速度がそれまでよりも遅くさせられている状態を含むものである。
手段8によれば、一旦停止表示された識別情報又は停止表示過程にある識別情報が逸脱して表示されるため、遊技者は驚きを覚え、単調感がより一層払拭されることとなる。
手段9.前記働きかけが行われるかの如く表示される前記他の識別情報列の少なくとも1の識別情報は、未だ変動中のものであることを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段9によれば、未だ変動中の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけが行われるかの如く表示されるため、かかる変動中にこのような表示を視認した遊技者は、これから起こりうる所定の契機を楽しむことができる。
手段10.前記働きかけが行われるかの如く表示される前記他の識別情報列の少なくとも1の識別情報は、一旦停止表示されたもの又は停止表示過程にあるものであることを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段10によれば、一旦停止表示された識別情報又は停止表示過程にある識別情報に対し、働きかけが行われるかの如く表示される。ここで、一旦停止表示された識別情報又は停止表示過程にある識別情報が、遊技者にとって望ましくないような場合には、従来では、その時点で遊技者の期待感が削がれることとなっていたのであるが、上記手段では、そのような場合であっても、前記働きかけによって一旦停止表示された又は停止表示過程にある識別情報が、別のものに変化させられることを期待することができる。従って、従来にはない面白味を味わうことができ、興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
手段11.前記働きかけが行われるかの如く表示される前記他の識別情報列の少なくとも1の識別情報は、各識別情報列のうち最後に停止表示される識別情報列の一旦停止表示されたものであることを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段11によれば、各識別情報列のうち最後に停止表示される識別情報列の一旦停止表示された識別情報に対し、働きかけが行われるかの如く表示される。このため、最後に停止表示される識別情報列の一旦停止表示された識別情報が、遊技者にとって望ましくないような場合には、従来では、その時点で遊技者の期待感が削がれることとなっていたのであるが、上記手段では、そのような場合であっても、前記働きかけによって一旦停止表示された識別情報が、別のものに変化させられることを期待することができる。従って、従来にはない面白味を味わうことができ、興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
手段12.前記所定の契機は、当該他の識別情報列の識別情報の確定停止表示であることを特徴とする手段6乃至11のいずれかに記載の遊技機。
手段12によれば、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もって当該他の識別情報列の識別情報が確定停止表示させられる。従って、確定停止表示された識別情報が遊技者にとって望ましいものである場合には、結果的に、逸脱、働きかけといった一連の表示が好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段13.前記所定の契機は、当該他の識別情報列の識別情報の再度の変動表示であることを特徴とする手段6乃至11のいずれかに記載の遊技機。なお、「再度の変動表示」には、いわゆる「すべり変動表示」なるものが含まれる。
手段13によれば、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もって当該他の識別情報列の識別情報が再度変動表示させられる。従って、前記他の識別情報列に一旦停止等された識別情報が遊技者にとって望ましくないものである場合には、従来では、その時点で遊技者にとっての期待感が削がれてしまっていたのであるが、上記手段では、再度の変動によって再度の希望を抱くことが可能となる。その結果、逸脱、働きかけといった一連の表示が当該再度の期待感を高めるための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段14.前記所定の契機は、遊技者に有利な特別遊技状態発生の前段階に導出されるリーチ状態の発生を含むことを特徴とする手段6乃至13のいずれかに記載の遊技機。
手段14によれば、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もってリーチ状態が発生させられる。従って、前記他の識別情報列に一旦停止等された識別情報によってはリーチ状態等が発生しない場合、従来では、遊技状態が遊技者に有利な状態に切り換えられないとして期待感が削がれてしまうこととなっていたが、上記手段では、リーチ状態が発生させられることで、再度の期待感を抱くことができる。その結果、逸脱、働きかけといった一連の表示によってリーチ状態が発生させられるための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段15.前記所定の契機は、遊技者に有利な特別遊技状態発生の前段階に導出されるリーチ状態発生中における、変動表示中にある前記他の識別情報列の識別情報の確定停止表示を含むことを特徴とする手段6乃至14のいずれかに記載の遊技機。
手段15によれば、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もってリーチ状態発生中における、変動表示中にある他の識別情報列の識別情報が確定停止させられる。従って、確定停止表示された識別情報が遊技者にとって望ましいものである場合には、結果的に、逸脱、働きかけといった一連の表示が好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段16.前記所定の契機は、遊技者に有利な特別遊技状態発生の前段階に導出されるリーチ状態発生中における、それまでのリーチ演出よりも前記特別遊技状態発生の期待度の高いスーパーリーチ状態の発生を含むことを特徴とする手段6乃至15のいずれかに記載の遊技機。
手段16によれば、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もってリーチ状態発生中における、より期待度の高いスーパーリーチ状態が発生させられる。従って、逸脱、働きかけといった一連の表示が遊技者にとって好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段17.前記逸脱は、一時的なものであり、その後前記識別情報列の表示領域に復帰表示されるようにしたことを特徴とする手段6乃至16のいずれかに記載の遊技機。
手段17によれば、逸脱の後、前記少なくとも前記識別情報が前記識別情報列の表示領域に復帰表示されるため、遊技形態が複雑なものとなってしまうことがなく、それ以降の制御内容の複雑化を防止することができる。
手段18.前記逸脱して表示される前記少なくとも1の識別情報は、自身が動きうる性質を具備する態様で表示されることを特徴とする手段6乃至17のいずれかに記載の遊技機。
手段18によれば、識別情報が通常の表示領域を逸脱するといった特殊な挙動に関し、違和感、不自然さを生ぜしめることがなく、むしろ自然な感じを醸し出すことができる。また、単に識別情報列が移動する場合に比べて、識別情報の自らの動きを堪能できることから、識別情報の変動表示に際しての単調感が払拭されることとなる。
手段19.前記少なくとも1の識別情報は、前記逸脱して表示されるに際し、自ら能動的に逸脱するかの如く表示されるものであることを特徴とする手段6乃至18のいずれかに記載の遊技機。
手段19によれば、前記少なくとも1の識別情報が、自ら能動的に逸脱するかの如く表示される。従って、遊技者は、当該識別情報自体が自ら動作を行うかのような印象を抱くとともに、かかる挙動を面白味をもって堪能することができる。また、単に識別情報列が移動する場合に比べて、識別情報の能動的な動きを堪能できることから、識別情報の変動表示に際しての単調感が払拭されることとなる。
手段20.前記少なくとも1の識別情報は、前記逸脱して表示されるに際し、外的要因に基づき逸脱するかの如く表示されるものであることを特徴とする手段6乃至19のいずれかに記載の遊技機。
手段20によれば、前記少なくとも1の識別情報が、外的要因に基づき逸脱するかの如く表示される。従って、遊技者は、当該識別情報が前記外的要因に基づいて動作を行うかのような印象を抱くとともに、かかる挙動を面白味をもって堪能することができる。なお、「外的要因を受けつつ自ら能動的に逸脱するかの如く表示される」こととしてもよい。
手段21.複数の識別情報を有する複数の識別情報列を備え、各識別情報列毎に、前記各識別情報を変動表示可能に構成され、かつ、1の識別情報列と、他の識別情報列との間では識別情報の停止表示されるタイミングに時間差が生じるよう構成された可変表示装置を備え、確定停止表示された各識別情報列の識別情報の態様に応じて遊技状態が切り換えられるよう構成された遊技機であって、一旦停止表示された1の識別情報列の少なくとも1の識別情報が、前記識別情報列の表示領域を逸脱して、停止又はほぼ停止過程にある他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し、再度の変動を導出するべく働きかけを行うかの如く表示されるよう構成したことを特徴とする遊技機。
手段21によれば、可変表示装置の複数の図柄情報列毎に、各識別情報が変動表示される。ここで、識別情報が停止表示されるに際しては、1の識別情報列と、他の識別情報列との間で識別情報の停止表示されるタイミングに時間差が生じる。そして、確定停止表示された各識別情報列の識別情報の態様に応じて遊技状態が切り換えられる。さて、一旦停止表示された1の識別情報列の少なくとも1の識別情報が、前記識別情報列の表示領域を逸脱して、停止又はほぼ停止過程にある他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し、再度の変動を導出するべく働きかけを行うかの如く表示される。このため、かかる逸脱、及び能動的な働きかけを視認した遊技者は、それまでの常識が覆されるような印象を抱き、識別情報の変動に関する単調感が払拭されることとなる。また、かかる逸脱により、期待感が高められることとも相まって、飛躍的に興趣の向上が図られることとなる。特に、キャラクタ等の識別情報とは別の表示対象での演出に頼らなくても済み、かかる点でも制御内容の複雑化防止を図ることができ、しかも斬新な演出を導出することができる。さらに、逸脱したかのように表示された識別情報が、他の識別情報列の少なくとも1の識別情報に対し働きかけを行うかの如く表示され、もって再度の変動が導出される。従って、例えば停止又はほぼ停止過程にある他の識別情報列の識別情報が遊技者にとって望ましくないような場合には、従来であれば、その時点で遊技者にとっての期待感が削がれることとなっていたが、上記手段では、かかる場合に再度の変動が行われると、かかる再度の変動によって、一旦削がれた期待感を再度抱くことが可能となり、遊技者にとって望ましいものとなる。このような場合には、逸脱、働きかけといった一連の表示が当該好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
手段22.前記識別情報列は少なくとも3列からなり、前記1の識別情報列及び他の識別情報列は、両側に設定されたものであることを特徴とする手段21に記載の遊技機。
手段22によれば、前記識別情報列は少なくとも3列からなり、前記1の識別情報列及び他の識別情報列は、両側に設定されたものである。従って、1の識別情報列の識別情報は、両側の間にある識別情報列を飛び越えて他の識別情報列の識別情報に働きかけを行うこととなる。このため、隣接しあう識別情報列の識別情報に対し何らかの働きかけを行う場合に比べて、当該逸脱等による表示が一層ダイナミックなものとなり、面白味が一層増大する。
手段23.前記各識別情報列においては、複数の識別情報が停止表示されるよう構成されており、前記1の識別情報列において停止表示された全ての識別情報が、前記識別情報列の表示領域を逸脱して、停止又はほぼ停止過程にある他の識別情報列の(直近の)各識別情報に対し、再度の変動を導出するべく働きかけを行うかの如く表示されるよう構成したことを特徴とする手段21又は22に記載の遊技機。
手段23によれば、前記各識別情報列においては、複数の識別情報が停止表示される。そして、前記逸脱等に際しては、前記1の識別情報列において停止表示された全ての(複数の)識別情報が逸脱して、複数の識別情報に対して働きかけを行うこととなる。従って、単に1の識別情報が別の1の識別情報に働きかけを行う場合に比べて、上記表示がよりダイナミックなものとなり、迫力が増す。その結果、単調感が払拭されやすく、より一層興趣の向上を図ることができる。
手段24.手段1乃至23のいずれかにおいて、遊技機はパチンコ遊技機であること。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては、操作ハンドルを備えていてそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として可変表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されることが挙げられる。また、特別遊技状態発生時には遊技領域内の所定の位置に配置された可変入賞装置が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込み等も含む)が付与されることが挙げられる。
手段25.手段1乃至23のいずれかにおいて、遊技機は回胴式遊技機であること。ここで、回胴式遊技機の構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的にはリールであり、識別情報はリールに付されたシンボルである)を変動表示(具体的にはリールの回動である)した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備えた回胴式遊技機」となる。なお、回胴式遊技機にあっては、前記リール等を具備する可変表示手段を可変表示装置として捉えてもよいし、前記リールとは別途設けられ、前記識別情報に対応する(疑似的な対応であってもよい)識別情報を表示可能な表示装置(例えば液晶表示装置)をここにいう可変表示装置として捉えてもよい。なお、この場合、可変表示装置は、遊技機本体を画定する本体ボックスに設置される。
手段26.手段1乃至23のいずれかにおいて、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的にはリールであり、識別情報はリールに付されたシンボルである)を変動表示(具体的にはリールの回動である)した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。なお、かかる遊技機にあっては、前記リール等を具備する可変表示手段を可変表示装置として捉えてもよいし、前記リールとは別途設けられ、前記識別情報に対応する(疑似的な対応であってもよい)識別情報を表示可能な表示装置(例えば液晶表示装置)をここにいう可変表示装置として捉えてもよい。
なお、手段1乃至26のいずれかにおいて、「前記可変表示装置は、各識別情報列毎に、各識別情報をスクロール変動表示可能である」こととしてもよいし、「前記可変表示装置は、各識別情報列毎に、各識別情報を連続的に変動表示可能である」こととしてもよい。
以下に、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を具体化した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、パチンコ機1は、外枠2と、その前部に設けられた前面枠3とを備えている。前面枠3は外枠2の一側部にて開閉可能に装着されている。前面枠3の前面側には、ガラス扉枠4が開閉自在に設けられているとともに、ガラス扉枠4の下側において遊技球B(図2参照)を貯留するための上皿5が、上皿5の下方位置において同じく遊技球Bを貯留するための下皿6がそれぞれ設けられている。
前面枠3の前面側の下皿6側方には操作手段としてのハンドル7が設けられており、ハンドル7は図示しない遊技球発射装置に連結されている。また、前面枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、遊技盤8(図2参照)が着脱可能に装着されており、前記遊技球発射装置はこの遊技盤8の上部に向けて遊技球Bを発射する。なお、該遊技球発射装置は、発射制御基板140(図3参照)により制御される。
さらに、前面枠3内部(上皿5の側方)には、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を音声にて報知するためのスピーカ9が埋設されている。なお、スピーカ9は、音声制御基板130(図3参照)により制御される。
さて、図2に示すように、遊技盤8には、内レール10a及び外レール10bが設けられており、前記遊技球発射装置によって発射された遊技球Bは内レール10a及び外レール10bに沿って遊技盤8の上部に案内される。
遊技盤8の下部には、作動口11及び大入賞口12が設けられている。作動口11は遊技球B用の通路を備えるとともに、その通路入口には羽根13が開閉可能に支持されている。大入賞口12の奥にはシーソー14が設けられているとともに、その右側にはVゾーン15が、左側には入賞通路16がそれぞれ設けられている(左右逆でもよい)。つまり、大入賞口12に遊技球Bが入賞した場合、この遊技球Bはシーソー14によってVゾーン15又は入賞通路16のどちらかへ転がるように振り分けられ、Vゾーン15又は入賞通路16のどちらかを通って導出されるような構成となっている。
大入賞口12の前部には、大入賞口12を開閉するシャッタ17が設けられている。シャッタ17は大入賞口12の側部に設けられた大入賞口用ソレノイド18により作動させられる。詳しくは、大入賞口ソレノイド18が励磁状態となることにより、シャッタ17が略水平に傾き、大入賞口12が開かれる。また、大入賞口ソレノイド18が非励磁状態となることにより、シャッタ17が略垂直状態となり、大入賞口12は閉鎖されるようになっている。
さらに、大入賞口12の一側部には、シーソー用ソレノイド19が設けられている。通常、シーソー用ソレノイド19は非励磁状態となっており、この状態におけるシーソー14はVゾーン15の方へ傾いた状態となっている。つまり、遊技球BがVゾーン15を通過していくような傾きとなっている。また、シーソー用ソレノイド19が励磁状態となることにより、シーソー14は遊技球Bを入賞通路16に通過させるような傾きとなる。なお、本実施の形態では、シャッタ17の開状態において遊技球Bが1つでもVゾーン15を通過した場合には、シーソー用ソレノイド19が励磁状態となり、シャッタ17が閉じられた場合には、シーソー用ソレノイド19が非励磁状態となるように構成されている。
遊技盤8の中央部分には、可変表示装置としての特別図柄表示装置20が組込まれている。特別図柄表示装置20は、対角線の長さが約7インチ(約17cm)の液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部20aを備えており、複数の図柄列を表示することができるようになっている。本実施の形態において、これらの図柄列としては左図柄列21、中図柄列22及び右図柄列23の3つの図柄列(識別情報列)が挙げられる(図5(a)参照)。しかし、3つの図柄列に限らず、それ以外の数の図柄列が表示されることとしてもよい。
さらに、特別図柄表示装置20の表示部20aでは、遊技球Bの作動口11への入賞に基づいて、各図柄列21〜23の図柄変動表示(本実施の形態においては、スクロール変動表示)が行われるような構成となっている。また、この変動表示中に新たな遊技球Bが作動口11に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施の形態では保留最大回数が4回に設定されている。しかし、保留最大回数は、これに限られるものではない。
表示部20aの上方には、前述したような図柄の変動表示の保留回数を示す発光ダイオード(LED)からなる保留ランプ24a,24b,24c,24dが組み込まれている。保留ランプ24a〜24dの数は、前述した保留最大回数と同じ(この場合4個)となっている。保留ランプ24a〜24dは、変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる。
特別図柄表示装置20の上部には、普通図柄表示装置31が併設されている。普通図柄表示装置31は、発光ダイオード(LED)よりなる4つの保留ランプ32と、普通図柄表示部たるLEDよりなる7セグ表示部33とを有している。また、特別図柄表示装置20の左右両側方には、一対の通過ゲート34が配設されており、同通過ゲート34を遊技球Bが通過すると普通図柄表示装置31が作動するような構成となっている。本実施の形態における普通図柄表示装置31は、「0」から「9」までの数字を可変表示して7セグ表示部33にセグメント表示させる。その数字が所定値(本実施の形態では「7」)で停止した場合に、作動口11の羽根13を所定秒数開放させるようになっている。普通図柄表示装置31は、遊技球Bの通過ゲート34の通過回数を4回まで記憶することができ、保留ランプ32でその保留数を表示する。従って、4つの保留ランプ32が点灯している状態で、遊技球Bが通過ゲート34を通過してもカウントされないようになっている。また、保留ランプ32が点灯している限り、遊技球Bが通過ゲート34を通過しなくとも保留数に応じた回数だけ普通図柄表示装置31は作動するようになっている。
さらに、パチンコ機1の複数箇所には、遊技効果を高めるための他の図示しない各種演出用ランプや電飾部材が取付けられている。これらの演出用ランプや電飾部材等(以下単に「ランプ」と称する)の点灯状態(消灯、点灯、点滅等)は、遊技の進行に応じて適宜変えられるようになっている。なお、これらランプは、ランプ制御基板120(図3参照)により制御される。
また、遊技盤8には、遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するためのスルースイッチ40、作動口用スイッチ41、Vゾーン用スイッチ42及びカウントスイッチ43等がそれぞれ取付けられている。スルースイッチ40は、遊技球Bの通過ゲート34の通過を検出するものであり、作動口用スイッチ41は、遊技球Bの作動口11への入賞を検出するものであり、Vゾーン用スイッチ42は、遊技球Bの大入賞口12のうちのVゾーン15への入賞を検出するものであり、カウントスイッチ43は、遊技球Bの大入賞口12への入賞を検出するものである。
さて、本実施の形態では、各スイッチ40〜43の検出結果に基づき、各ソレノイド18,19、特別図柄表示装置20(表示部20a)、各保留ランプ24a〜24d、スピーカ9、普通図柄表示装置31(保留ランプ32及び7セグ表示部33)、羽根13等をそれぞれ駆動制御するため制御装置(主基板)50が設けられている。
主基板50は、主たる制御を司るためのものであって、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMは所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAMはCPUによる演算結果を図柄乱数バッファ、図柄乱数エリア、停止図柄エリア等に一時的に記憶する。なお、主基板50はパチンコ機1の裏側の図示しない基板ボックス内に封印された状態で装着されている。
また、RAMは、後述する特別遊技状態としての大当たり状態の発生を決定するための乱数カウンタをも備えている。この乱数カウンタは、乱数更新処理により、所定(例えば「0」〜「299」)の範囲で、例えば2ms毎に、1カウントずつ更新される。本実施の形態では、遊技球Bが作動口11に入賞し、それが作動口用スイッチ41にて検出されたときに(保留最大回数時は除く)、前記乱数カウンタの値が所定値、例えば「7」であった場合に、大当たり状態が発生させられるようになっている。
上記CPU、ROM及びRAMは、バスラインを介して互いに接続されている。図3のブロック図に示すように、バスラインは、主基板50のインターフェイス50aにも接続されており、インターフェイス50aは、コネクタ及びケーブル等を介して表示制御基板110のインターフェイス61や他の装置と接続されている。また、インターフェイス50aは、コネクタ及びケーブル等を介して作動口スイッチ41等の各種センサに接続されている。すなわち、主基板50は、作動口スイッチ41等からインターフェイス50aを介して入賞信号等を入力するとともに、インターフェイス50aを介して表示制御基板110や他の入出力装置(他の制御基板を含む)へ制御データ等の各種動作コマンドを出力し、各ソレノイド等の各種アクチュエータ及び各制御基板を制御する。
さて、本実施の形態では、特別図柄表示装置20の表示部20aにおける各種表示制御は、主たる制御を行う主基板50ではなく、主として特別図柄表示装置20の表示制御基板110において行われるように構成されている。なお、表示制御基板110は、特別図柄表示装置20に組み込まれた状態となっている。
さらに、本実施の形態においては、各種(演出用の)ランプの点灯、点滅制御については、主としてランプ制御基板120において行われ、スピーカ9から発せられる音声の制御については、主として音声制御基板130において行われる。また、前記遊技球発射装置における遊技球Bの発射制御についても、主基板50ではなく、発射制御基板140において行われるような構成となっている。
ここで、主として本実施の形態における表示制御を行う表示制御基板110の電気的構成について、図3のブロック図に従って説明する。同図に示すように、表示制御基板110は、主基板50から送られてくるコマンドを順次受信するインターフェイス61と、プログラムROM62に記憶された制御プログラム及び各種の情報に基づいて、各種遊技状態(通常変動やリーチ演出や大当たり報知等)において表示される表示画像の画面構成情報を生成するリーチ演出手段を構成するCPU63と、CPU63での処理結果等を一時的に記憶するワークRAM64と、CPU63で生成された画面構成情報を記憶するビデオRAM65と、ビデオRAM65に記憶された画面構成情報に基づいて画像データROM66から画像データを取り出し、そのデータを画面構成情報に書き込むことにより各種遊技状態における表示画像を生成するVDP67とを備えている。そして、生成された表示画像は表示部(液晶ディスプレイ)20aへ出力される。
インターフェイス61は、主基板50から送信されてくるコマンド(指令)を受信する。また、それらのコマンドは、CPU63によってワークRAM64に設けられたコマンドバッファ領域64aに記憶される。
CPU63は、プログラムROM62に記憶された制御プログラムに従って動作する。具体的には、前記コマンドを監視して、該コマンドに応じたタスクを生成し、ワークRAM64に記憶する。そのタスクを実行することで、ワークRAM64内に各種遊技状態(通常変動やリーチ演出や大当たり報知等)において表示される表示画像の画面構成情報を生成し、この画面構成情報をビデオRAM65に書き込む。なお、画面構成情報は、表示部(液晶ディスプレイ)20aの垂直操作信号(VSYNC)ごとに生成される。
ワークRAM64には、主基板50からのコマンドを記憶するための前記コマンドバッファ領域64aをはじめ、生成されたタスクが記憶されるタスクバッファ領域64bや、画像構成情報(通常変動時やリーチ状態時の図柄画像の指示や、その配置位置や表示優先順位等)を一括してビデオRAM65に書き込むために各種情報が記憶されるスプライトチェーン領域64cが設定される。
ビデオRAM65は、前記画像構成情報を記憶するとともに、VDP67で生成される表示画像のデータを記憶するメモリである。ビデオRAM65には、表示部20aに表示される一画面分の表示画像のデータを記憶する記憶領域である第1フレームメモリ65aと第2フレームメモリ65bが設けられており、CPU63が生成した画像構成情報並びにVDP67で生成される表示画像のデータを交互に記憶することができるような構成となっている。
画像データROM66は、表示部20aに表示される図柄や背景画像等の各種画像データを記憶するメモリである。前記画像データには、図柄や背景画像等の例えば形状、サイズ、模様、配色、色調等を定めた図柄や背景画像等を生成するために必要な各種情報が含まれている。
VDP67は、表示画像の画像生成処理を行う画像データプロセッサである。つまり、VDP67は、ビデオRAM65に記憶された画像構成情報に基づいて、画像データROM66に記憶されている画像データを読み出し、前記画像データに含まれる情報を前記画像構成情報に書き込むことにより、表示部20aに表示可能な表示画像を生成する。そして、生成した表示画像を表示部20aに出力する。
さらに詳しくは、図4に示すように、VDP67は、CPU63から送られてくる各種コマンドやデータを受信するインターフェイス67aと、インターフェイス67aから送られる各種コマンドやデータに基づいてビデオRAM65に記憶された画像構成情報を読み出し、該画像構成情報に基づいて表示画像を生成する画像生成部67bと、表示画像のカラー情報を格納するパレットRAM67cとから構成されている。
インターフェイス67aから各種コマンドやデータを受け取った画像生成部67bは、ビデオRAM65の第1フレームメモリ65a又は第2フレームメモリ65bに記憶された画像構成情報を読み出す。その画像構成情報に基づいて画像データROM66から画像データを読み出し、前記画像データに含まれる各種情報を該画像構成情報に書き込む。同時に、前記画像データに対応するカラー情報をパレットRAM67cから取得し、前記画像構成情報に書き込む。これにより、カラー情報に基づく配色を施した表示画像が生成される。
同時に、画像生成部67bは、前記書き込みが行われていない第1フレームメモリ65a又は第2フレームメモリ65bに記憶されている表示画像のデータを読み出し、表示部(液晶ディスプレイ)20aに出力する。この際、表示画像のデータはRGB信号で出力され、このRGB信号に基づいて、色調(色、彩度、輝度、コントラストなど)等が制御されて表示部(液晶ディスプレイ)20aに表示される。また、表示画像のデータが出力され、何もデータが記憶されていない第1フレームメモリ65a又は第2フレームメモリ65bには、新たな画像構成情報が書き込まれる。なお、画像生成部67bにおいて生成される表示画像は、図柄及び背景画像用等の複数のレイヤによって構成されており、これらを重ね合わせ、1画面分の表示画像として生成している。
パレットRAM67cは、複数種類のカラー情報を設定した複数種類のカラーパレットを保持しており、画像データに含まれるカラー情報に応じたカラーパレットを画像生成部67bに与えるものである。ここで、カラーパレットを与えるとは、例えば、パレットRAM67cに格納されたカラーパレットの格納アドレスを画像生成部67bに与えることを意味している。なお、カラー情報は、原色例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の基本色情報を組み合わせた配合割合等によって、定められているものである。
ここで、特別図柄表示装置20の表示部20aにおいて、遊技状態中等に表示される表示画像の構成について具体的に説明するとともに、その表示態様を基に大当たり状態、リーチ状態、外れ状態等についても説明する。
図5(a)に示すように、特別図柄表示装置20の表示部20aには、屋根YN等の背景画像が表示され、その前側に位置するように、各図柄列21〜23が表示されるようになっている。各図柄列21〜23は、図5,6に示すように、それぞれ複数種類かつ複数個の識別情報としての図柄70A〜70H及び外れ図柄70Iによって構成されている。外れ図柄70Iを除く各図柄70A〜70Hは、それぞれ凧の絵と「一」〜「八」の数字との組合せによって構成されている(勿論、各種絵柄、各種文字のみ、或いは、数字や文字に各種絵柄が組合わさったものを図柄として使用してもよい)。これらの図柄70A〜70Hは、左、中図柄列21,22については降順に、右図柄列23については昇順にそれぞれ配列されている。これらの図柄70A〜70Hは、特別遊技図柄としての大当たり図柄、外れリーチ図柄及び外れ図柄のいずれかになりうる(これらについては後述する)。
また、外れ図柄70Iは「小凧」のマークによって構成されており、前記図柄70A〜70H間に配置される。さらに、当該外れ図柄70Kは、その名のとおり、大当たり図柄になることはなく、外れ図柄にのみなりうる。
各々の図柄列21〜23においては、表示される図柄70A〜70H,70Iが、原則として所定の表示領域において下から上方向へと移動するかのごとく表示される。より詳しくは、図9に示すように、凧が逆放物線を描きながら奥行き方向かつ、上昇しているかの如く変動表示される。また、左図柄列21の側方には、表示対象としてのキャラクタGCが表示されるようになっている。なお、各図柄列21〜23において、図柄70A〜70Iの配列順序をランダムに変更し変動表示させたり、図柄70A〜70Iの数を適宜増減させたり、1つの図柄列例えば左図柄列21に同じ図柄例えば図柄70Aを複数個表示したり、図柄70A〜70Iの変動表示態様、例えばスクロール変動表示や差換変動表示等を適宜変更したりしてもよい。
さて、図5(c)に示すように、上述したように変動表示される各図柄列21〜23の各図柄70A〜70Iは、所定時間経過後、表示部20aの大当たりラインL1〜L5上に停止表示される。このとき、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択された上で、前記大当たりラインL1〜L5上に停止表示される。なお、停止図柄とは、各図柄列21〜23が図柄変動を停止したときに確定表示される図柄である。また、本実施の形態では、図柄変動は、左図柄列21、右図柄列23、中図柄列22の順に停止させられる。
次に、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態について説明する。図5(c)及び図5(b)は、表示部20aにおける大当たり状態発生時の画面を示す図である。同図に示すように、大当たり図柄は、通常遊技状態からリーチ遊技状態(リーチ状態)を経た後、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、全ての図柄列21〜23の変動が停止させられたとき、表示されている図柄70A〜70Hの組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち、同一種類の図柄70A〜70Hが大当たりラインL1〜L5に沿って並んでいるときの同図柄70A〜70Hの組合せとなる場合がある。この組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。
本実施の形態では、上中下の横ラインL1,L2,L3及び斜めの2本のラインL4,L5によって大当たりラインL1〜L5が構成されている(5ラインと称される)。大当たりの組合せが成立すると、特別電動役物が作動し(大入賞口4が開かれ)、遊技者にとって有利な大当たり状態の到来、すなわち、より多くの景品球を獲得することが可能となる。(例えば図5(c)では斜めのラインL4において「三」「三」「三」の図柄70Cが揃って停止表示されている)。
本実施の形態では、一旦大当たり状態が発生すると、大入賞口12の開放後、(1)遊技球Bが大入賞口12への10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口12が閉鎖される。この大入賞口12の開閉のサイクルが遊技球BのVゾーン15への入賞を最大で所定回数(例えば16回:16ラウンド)繰り返されることとなる。
また、リーチ状態とは、大当たり直前の状態をいう(もちろん大当たり状態に至らない場合もある)。図7(a)に示すように、リーチ状態には、右図柄列23の図柄変動が、前記大当たりラインL1〜L5上において左図柄列21の停止図柄と同一種類の図柄で停止する状態が含まれる。
上記のリーチ状態には、中図柄列22の図柄変動が、最終的に左・右両図柄列21,23の停止図柄と同一種類の図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。さらには、中図柄列22の図柄変動が一旦停止した後(停止しなくてもよい)、全図柄列(或いは一部の図柄列)が変動し、その後全図柄列21〜23の図柄70A〜70Hが停止するような場合(再変動リーチ、全回転リーチとも称される)も含まれる。
上記リーチ状態において、リーチパターンとしては、中図柄列22の図柄70A〜70Hが通常変動時と同様に単にスクロールする「ノーマルリーチ」の外に、種々のリーチパターンが設定されている。これらリーチパターンのうち、「ノーマルリーチ」以外のリーチパターンは、いわゆる「スーパーリーチ」と称されるものである。「スーパーリーチ」の動作が開始された場合には、「ノーマルリーチ」の場合に比べて、大当たり状態が発生する期待値(大当たり期待値)が高くなるようになっている。また、「スーパーリーチ」においても、各リーチパターンによって大当たり期待値が異なったものとなっていることとしてもよい。また、「スーパーリーチ」よりも大当たり期待値の高い「スペシャルリーチ」や「プレミアムリーチ」と称されるリーチパターンを用意することとしてもよい。
本実施の形態では、図7(b),(c),(d)及び図8(a),(b)に示すように、「スーパーリーチ」として、キャラクタGCがまといを振り回すとともに、凧の図柄70A〜70Iがまといの図柄に切り換えられる「まといリーチ」(図7(b)〜(d)参照)、前記キャラクタGCに代えて、別のキャラクタKCが表示されるとともに、背景が境内に切り替わり、凧の図柄70A〜70Iが提灯の図柄に切り換えられる「提灯リーチ」(図8(a)参照)、前記キャラクタGCに代えて、さらに別のキャラクタMCが表示されるとともに、中央の図柄(例えば図柄70E)を中心に、回りの図柄が台風のように回転する「台風リーチ」(図8(b)参照)等が設定されている。
さらに、本実施の形態では、前記リーチ状態が発生する前段階等において、時としてすべり変動なる演出が実施されるようになっている。このすべり変動は、左図柄列21の図柄70A〜70Iが停止させられ、次に右図柄列23の図柄70A〜70Iが、リーチ状態が発生しないような態様で停止させられようとするときに、再度変動(高速変動)を行い、リーチ状態を発生させうる(発生しない場合があっても差し支えない)ものである。このすべり変動の詳細に関しては、後述することとする。
次に、上記のように構成されたパチンコ機1における各制御部の作用及び効果について説明する。
まず、作動口用スイッチ41からの検出信号に基づき、遊技球Bが作動口11へ入賞した旨が主基板50によって認識された場合の制御処理について説明する。
主基板50が遊技球Bが作動口11へ入賞した旨を検出した場合、そのことに基づいて、主基板50は、対応する保留ランプ24a〜24d(例えば、それまで2つの保留ランプ24a及び24bの2つの保留ランプが点灯されていた場合には3つ目の保留ランプ24c)を点灯させ、保留カウンタの値を「1」ずつインクリメントする。但し、保留ランプ24a〜24dが全て点灯している場合は除かれる。
また、主基板50は、内部乱数カウンタ、大当たり図柄カウンタ、外れリーチ図柄カウンタ、外れ図柄カウンタ等の各カウンタの値を各乱数エリアに格納する。そして、所定のタイミングにおいて対応する保留ランプ24a〜24dを消灯させるとともに、保留カウンタの値をデクリメントし、各エリア等に格納されたデータに基づき図柄変動を実行する。
このとき、主基板50は、当該変動に際し、指令としてのコマンドを特別図柄表示装置20の表示制御基板110をはじめ、ランプ制御基板120、音声制御基板130等へと出力(送信)する。さて、当該コマンドには、(1)変動開始から所定時間後に図柄70A〜70Iを確定表示させる旨の時間情報及び各リーチパターンに代表される変動パターンからなるパターン情報、並びに、(2)いかなる図柄70A〜70Iで確定表示させるかという図柄情報が含まれる。ここで、図柄情報としては、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄が含まれ、これらは、上述した内部乱数カウンタ、大当たり図柄カウンタ、外れリーチ図柄カウンタ、外れ図柄カウンタ等に基づいて決定されるものである。
本実施の形態における上記コマンドは、2バイト構成からなっており、順次連続的に表示制御基板110等へと送信される。2バイト構成からなるコマンドのうち、先頭の1バイト目は、これからいかなる情報が送信されてくるかというキーワード情報によって構成されている。また、後半の1バイトは、具体的な指示内容に該当するパターンコード等の内容情報によって構成されている。
例えば、本実施の形態において、まず最初に送信されるコマンドはパターン情報である。この場合、1バイト目は、これからパターン情報(時間情報及び変動パターンを示唆する)が送信される旨のキーワード情報により構成され、2バイト目は、「00」、「01」等のパターンコード情報により構成されている。ここで、「00」、「01」等のパターンコード情報は、図柄の変動時間を例えば「10秒」とする、或いは、「30秒」とするといった内容を示唆する時間情報と、どのような変動パターン(又は変動パターン群のうちいずれか)を実行するといった変動パターンを示唆する情報とからなる。
続いて送信されるのは図柄情報である。すなわち、本実施の形態のように左→右→中の順に3つの図柄列21〜23の図柄が確定させられる場合においては、まず、パターン情報に続いて2番目に送信されるコマンドたる図柄情報として、1バイト目は、これから左図柄列21の図柄情報が送信される旨のキーワード情報により構成され、2バイト目は、確定表示される図柄を示唆するパターンコード情報により構成されている。また、3番目に送信されるコマンドたる図柄情報として、1バイト目は、これから右図柄列23の図柄情報が送信される旨のキーワード情報により構成され、2バイト目は、確定表示される図柄を示唆するパターンコード情報により構成されている。併せて、4番目に送信されるコマンドたる図柄情報として、1バイト目は、これから中図柄列22の図柄情報が送信される旨のキーワード情報により構成され、2バイト目は、確定表示される図柄を示唆するパターンコード情報により構成されている。このように、確定図柄に関する3つの表示情報がたて続けに送信される。すなわち、1回の図柄変動に際して、2バイト構成からなるデータが1バイトずつ送信されることにより、合計8(1×2+3×2)回のデータ送信が行われることとなる。
なお、上記実施の形態では、左、右、中の各図柄列21〜23に対応した図柄情報が送信されることとなっているが、例えば8つの図柄を確定表示させる必要がある場合には、1×2+8×2=18回のデータ送信が行われるといった具合に、図柄数を適宜変更した場合であっても適用することができる。
なお、本実施の形態では、コマンド(一群のコマンド)が、表示制御基板110に対してのみならず、ランプ制御基板120、音声制御基板130にも同期して出力されるようになっている(厳密な意味で全く同時でなくてよい)。勿論、このときに出力されるコマンドは、表示制御基板110に出力されるコマンドに対応したものであることが望ましい(場合によっては対応していなくてもよい)。これに対し、図柄変動に関する一群のコマンド(1回の図柄変動に際して送られてくるデータ群)を受信した表示制御基板110は、特別図柄表示装置20の表示部20aで表示する表示画像を順次生成する。
さらに、表示制御基板110は、当該コマンドに基づき図柄変動を開始するとともに、変動停止に至るまでの間、前記変動パターンに基づく種々の演出を行う。当該演出としては、例えばリーチ演出が主として挙げられる。
すなわち、上記コマンドのうち、パターン情報に基づき、表示制御基板110のCPU63は、テーブルを参酌して、上述した各変動パターンの中から所定のパターンを選択決定するとともに、当該決定したパターンに基づく演出を、変動開始から確定表示までの間、別途設定された時間データの秒数分だけ実行する。さらにその後、主基板50側のCPUは、自身が有するタイマに基づき、前記所定時間に応じたタイミングで、表示制御基板110に対し、確定コマンドを出力する。
一方、表示制御基板110のCPU63は前記一旦停止からさらに所定時間後において(時間情報に基づく変動を完了した時点で)、前記図柄情報に応じた図柄70A〜70Iを確定停止表示させる。このとき、結果的に前記出力された確定コマンドに同期して、図柄70A〜70Iが確定表示させられることとなる。同様に、ランプ制御基板120、音声制御基板130の各CPUも、前記タイミングにおいて、ランプ演出、音声演出を確定停止させる。
なお、本実施の形態では、変動パターンに関し、リーチ演出以外の演出に関しても、上記と同様に変動パターン情報に盛り込まれた上で制御が行われる。リーチ演出以外の演出としては、前述したすべり変動をはじめとして、再変動、リーチ予告、スーパーリーチ予告、大当たり予告等の演出が挙げられる。ここで、「予告」とあるのは、演出によって、所定の遊技状態が発生しやすくなることを示唆可能であればよい、或いは、演出によって所定の遊技状態の発生率に影響が生じるという趣旨であって、所定の遊技状態が発生しない場合があっても差し支えない(示唆)。このように、本実施の形態では、主基板50によって主たる制御が司られ、該主基板50からのコマンドに基づいて、表示制御基板110等によって表示制御等が司られることとなっている。これにより、主基板50の負担軽減が図られている。
さて、主基板50から表示制御基板110に対し、図柄変動を行うべくコマンドが出力されると、表示制御基板110側では、図柄変動を開始させる。該変動に際しては、上述したように、表示される図柄70A〜70Iが、奥行き方向に移動し、かつ、上昇しているかの如く変動表示される。そして、各図柄列21〜23に対応する図柄70A〜70Iが、左図柄列21、右図柄列23、中図柄列22の順で停止表示させられる。ここで、本実施の形態では、いわゆる5ラインを採用しているため、各図柄列21〜23毎に3つずつの図柄70A〜70Iが表示された上で確定停止されることとなる。つまり表示部20a上には、合計9つの図柄70A〜70Iが確定停止表示させられる。
このときの停止態様は、通常変動時と同じく表示領域に応じて大きさが異なっており、上方の図柄70A〜70Iほど大きく表示されるのであるが、停止後、一時的に(例えば1秒程度の間)、図5(b)に示すような態様とさせられる。つまり、各図柄列21〜23が一時的に平面的なものとされ、表示領域に関わらず、(上部であろうと下部であろうとを問わず)、各図柄70A〜70Hのサイズが互いに同等のサイズとされる。これにより、遊技者は、各図柄を均等に視認することができるとともに、停止図柄をより容易に、且つ、確実に識別することができる。
また、このとき、単に平面的なものとされるのではなく、各停止図柄が若干傾動しているかの如く表示させられる。これにより、図柄70A〜70Iのサイズをある程度確保したまま(比較的大きな図柄サイズとしたまま)、傾動の分だけ表示面積を狭くすることができ、もって全図柄70A〜70Iの表示を確保することができるようになっている。
なお、上記通常変動に際しては、各図柄列21〜23毎に、変動表示される位置に応じて図柄70A〜70Iのサイズが徐変させられる。すなわち、変動に際し、図柄70A〜70Iが表示される位置が移動するのであるが、この移動に際し、図柄70A〜70Iのサイズが徐々に小さくなるように変更させられる。これにより、今までは平面的な表示しか行われなかった通常変動に際しての奥行き感が醸し出される。従って、遊技者は今までにない通常変動態様を堪能することができ、面白味を覚える。
ここで、前記図柄変動を行うべく表示制御基板110に対し出力されるコマンドに、すべり変動を行う旨の情報が含まれていた場合において、表示制御基板110側で行われる処理内容について詳述する。この場合において、表示制御基板110のCPU63により、図10(a)に示すように、各図柄列21〜23の図柄70A〜70Iの変動が開始させられる。なお、このときは前記通常変動と同様の変動態様となる。
そして、変動開始から所定時間経過後において、図10(b)に示すように、まずは左図柄列21の図柄変動速度がそれまでの変動速度よりも遅くされた後、所定の図柄70A〜70Iにて停止させられる(図では、上段に「三」の図柄70C、中断に外れ図柄70I、下段に「四」の図柄70Dが停止表示されている)。
続いて、右図柄列22の図柄変動速度が遅くさせられる。そして、左図柄列21と同様に停止させられるか否かといったタイミングにおいて、CPU63は、次のような制御を行う。すなわち、図11(a)に示すように、左図柄列21の図柄70A〜70I(図では図柄70C,70I,70D)が、自身の表示領域を逸脱して、右方向に移動するかの如く表示制御を行う。そして、今まさに停止過程(又はほぼ停止過程)にある右図柄列23の図柄70A〜70I(図では「八」の図柄70H、外れ図柄70I、「七」の図柄70G)に対し、当該逸脱した図柄70A〜70Iが体当たり(働きかけに相当)するかの如く表示制御を行う。
なお、この動きに合わせて、CPU63は、キャラクタGCの表情や挙動等をそれまでとは異ならせるようになっている。すなわち、遊技者にとって好ましい状態になるのを期待させるかの如く、同図に示すような握り拳をつくるといった動作表示等が行われる。
これに対し、体当たりされた側の右図柄列23の図柄70A〜70Iがその体当たりを契機に再度変動(すべり変動)させられたかの如く表示制御を行う。つまり、左図柄列21の図柄70A〜70Iが停止させられ、右図柄列23の図柄70A〜70Iが停止させられようとしたときであって、かつ、その図柄70A〜70Iがリーチ状態を発生させないようなものであるときに、遊技者は、左図柄列21の停止図柄70A〜70Iがそれまでの表示領域を逸脱して、右図柄列23の図柄70A〜70Iに体当たりする様相を目の当たりにすることとなる。このとき、かかる様相を視認した遊技者は、あたかも「喧嘩だこ」が行われたかのような印象を抱きうる。また、これとともに行われる右図柄列23の変動(すべり変動)により、一旦外れ状態となること(リーチ状態すら発生しないこと)を予測していた遊技者にとっては、嬉しい誤算となり、再度の右図柄列23での停止態様を注視することとなる。
本実施の形態では、上記すべり変動が行われた場合には、必ずリーチ状態が発生するよう設定されている。つまり、図11(b)に示すように、すべり変動開始からしばらくすると、CPU63は、リーチ状態が発生するよう右図柄列23の図柄70A〜70Iを所定のリーチ図柄にて停止表示させる。これにより、右図柄列24の停止直前において外れ状態となりそうだったのに対し、一転リーチ状態が発生させられることとなり、遊技者の期待感は一気に高められることとなる(図では「三」の図柄70Cと「四」の図柄70Dとに関してクロスラインL4,L5でのダブルリーチ状態が発生する)。
なお、このリーチ状態発生に合わせて、CPU63は、キャラクタGCの表情や挙動等をそれまでとはさらに異ならせるようになっている。すなわち、遊技者にとって好ましい状態になったのを喜ぶかの如く、同図に示すように拳を突き上げるといった動作表示等が行われる。ちなみに、上記のようなすべり変動が行われたにもかかわらず、リーチ状態が発生しないような場合があっても何ら差し支えない。
このように、本実施の形態によれば、すべり変動が行われる際に、左図柄列21の停止図柄70A〜70Iが、該左図柄列21の表示領域を逸脱して、他の図柄列たる右図柄列23の停止過程にある図柄70A〜70Iに対し、働きかけ、すなわち、体当たりを行うかの如く表示される。このため、かかる逸脱を視認した遊技者は、それまでの常識が覆されるような印象を抱き、図柄70A〜70I変動に関する単調感が払拭されることとなる。また、かかる逸脱により、状況がそれまでよりも好転することを期待することができることとも相まって、飛躍的に興趣の向上が図られることとなる。さらに、逸脱したかのように表示された図柄70A〜70Iが体当たりをすることに起因してすべり変動が導出される。従って、一旦外れ状態となることを憂いていた遊技者は、逸脱、働きかけといった一連の表示が、すべり変動、ひいてはリーチ状態の発生という好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。
なお、上記逸脱は、一時的なものであり、その後元の表示領域に復帰表示されるため、遊技形態が複雑なものとなってしまうことがなく、それ以降の制御内容の複雑化を防止することができる。
また、前記逸脱して表示される図柄70A〜70Iは、「凧」という自身が動きうる性質を具備する態様で表示される。従って、図柄70A〜70Iが通常の表示領域を逸脱するといった特殊な挙動に関し、違和感、不自然さを生ぜしめることがなく、むしろ自然な感じを醸し出すことができる。
さらに、左図柄列21の図柄70A〜70Iが中図柄列22を飛び越えて右図柄列23の図柄70A〜70Iに働きかけを行うこととなる。このため、当該逸脱等による表示がダイナミックなものとなり、面白味が一層増大する。加えて、前記逸脱等に際しては、単一の図柄70A〜70Iではなく、右図柄列21において停止表示された全ての(複数の)図柄70A〜70Iが逸脱して、右図柄列23の複数の(かつ直近の)各図柄70A〜70Iに対して能動的な働きかけを行うこととなる。そのため、上記表示がより一層ダイナミックなものとなり、迫力が増す。その結果、より一層の興趣の向上を図ることができる。
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態では、すべり変動に際し、キャラクタGCの表情や挙動等を変化させる演出を行うこととしているが、このようなキャラクタ等の別の表示対象の表示を省略することとしてもよい。すなわち、上記実施の形態では、図柄70A〜70Iが逸脱、働きかけといった表示によって今までにはない奇抜な演出が行われることとなり、キャラクタ等の演出を絡めなくても十分面白味のあるものとなる。このような場合、キャラクタ等の、図柄70A〜70Iとは別の表示対象での演出に頼らなくても済み、制御内容の複雑化防止を図ることができる。
(b)上記実施の形態では、停止過程又はほぼ停止過程にある右図柄列23の図柄70A〜70Iに対し、働きかけが行われるかの如く表示されることとしている。これに対し、未だ変動中の図柄列の図柄70A〜70Iに対して働きかけが行われることとしてもよい。この場合、変動中にこのような表示を視認した遊技者は、これから起こりうる演出等をわくわくしながら楽しむことができる。また、最後に停止表示される図柄列たる中図柄列22の一旦停止表示された図柄70A〜70Iに対し働きかけが行われることとしてもよい。この場合、中図柄列22において一旦停止表示された図柄70A〜70Iが、遊技者にとって望ましくないような場合には、その図柄70A〜70Iが別のものに変化させられることを期待することができる。従って、より一層面白味が増すこととなる。
(c)上記実施の形態では、所定の契機として、すべり変動、ひいてはリーチ状態の発生が行われる場合に具体化されているが、働きかけの行われることによって、当該図柄列の図柄70A〜70Iが確定停止表示させられる場合に具体化してもよい。この場合、逸脱したかのように表示された図柄70A〜70Iが、他の図柄列の少なくとも図柄70A〜70Iに対し働きかけを行うかの如く表示され、もって当該他の図柄列の図柄70A〜70Iが確定停止表示させられる。従って、確定停止表示された図柄70A〜70Iが遊技者にとって望ましいものである場合には、結果的に、逸脱、働きかけといった一連の表示が好ましい契機を導出するための一種の好適な演出として作用することとなり、今までにはない興趣の向上を図ることができる。前記所定の契機として、リーチ状態発生中における、変動表示中にある図柄列の図柄70A〜70Iの確定停止表示が含まれていてもよい。さらに、所定の契機として、リーチ状態発生中における、それまでのリーチ演出よりも大当たり状態発生の期待度の高いスーパーリーチ状態の発生が含まれていてもよい。
(d)前記逸脱表示に際し、図柄が自ら能動的に逸脱するかの如く表示されることとしてもよい。すなわち、上記実施の形態では、図柄70A〜70Iとして、凧をモチーフとしたものが採用されているが、例えば鳥、魚、獣等の動物や、ロボット、飛行機、自動車等の機械等が表された図柄が採用されているような場合には、遊技者は、当該識別情報自体が自ら動作を行うかのような印象を抱くとともに、かかる挙動を面白味をもって堪能することができる。
(e)また、前記逸脱表示に際し、外的要因に基づき逸脱するかの如く表示されることとしてもよい。例えば、上記実施の形態において、風等を表示することで、あたかも凧が風によって吹き飛ばされたかのような演出を行うこととしてもよい。この場合、遊技者は図柄70A〜70Iが外的要因(例えば風)に基づいて動作を行うかのような印象を抱くとともに、かかる挙動を面白味をもって堪能することができる。なお、「外的要因を受けつつ自ら能動的に逸脱するかの如く表示される」こととしてもよい。
(f)上記実施の形態では、通常変動に際し、図柄70A〜70Iが奥行き方向かつ該奥行き方向に交わる上下方向に変動しているかの如く表示されることとしたが、かかる立体的な表示を行わなくてもよい。従って、単に左右方向にスクロール変動が行われることとしてもよいし、或いは、単に上下方向にスクロール変動が行われることとしてもよい。
(g)上記実施の形態のような5ラインタイプのものでなくてもよい。例えば、いわゆる2ラインタイプ(例えば上下の横方向の大当たりラインがあるもの)や、3ラインタイプ(例えば上中下の横方向の大当たりラインがあるもの)のパチンコ機であってもよい。また、1ラインタイプ(例えば1本の大当たりラインがあるもの)のものであってもよい。
(h)特別図柄表示装置13としては、上述した液晶ディスプレイ以外にも、CRT、ドットマトリックス、LED、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示管等を用いてもよい。
(i)上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等にも適用できる。例えば、大当たり図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施することも可能である。なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、遊技球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく、所定量の遊技球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の遊技球が払い出されるものである。
(j)上記実施の形態では、図柄列として、左・中・右の3つの図柄列21,22,23を採用したが、2つ以下、或いは4つ以上の図柄列により構成してもよい。また、停止順序も上記実施の形態のものに何ら限定されるものではない。
(k)働きかけの具体的内容としては、上記実施の形態における体当たり以外にも、例えば蹴飛ばし、叩き、押し、突き、投げ、送り、停止動作、保持、把持等の働きかけが行われることとしてもよい。
(l)逸脱した図柄70A〜70Iが、逸脱後、元の位置に復帰するに際し、別の図柄70A〜70Iに切り替わるような構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す斜視図である。
【図2】主として遊技盤を示すパチンコ機の正面図である。
【図3】表示制御基板等の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】VDP等の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は表示部における通常変動時の図柄の表示態様の一例を示す模式図であり、(b),(c)は大当たり状態発生時の図柄の表示態様の一例を示す模式図である。
【図6】表示部に表示される図柄の一例を紹介するための模式図である。
【図7】(a)は表示部におけるリーチ状態時の図柄の表示態様の一例を示す模式図であり、(b)〜(d)は、まといリーチ状態発生時の表示部の状態を示す模式図である。
【図8】(a)は表示部における提灯リーチ状態発生時の表示部の状態を示す模式図であり、(b)は表示部における台風リーチ状態発生時の表示部の状態を示す模式図である。
【図9】表示部にて表示される図柄の変動方向を説明するための図であって、表示部を横方向から仮想的に視認した場合の変動方向を示す仮想概念図である。
【図10】(a),(b)はすべり変動が行われる際の作用を説明するための表示部を示す図である。
【図11】(a),(b)はすべり変動が行われる際の作用を説明するための表示部を示す図であって、図10の続きを示すものである。
【符号の説明】
1…パチンコ機、8…遊技盤、11…作動口、12…大入賞口、20…可変表示装置としての特別図柄表示装置、20a…表示部、21…識別情報列としての左図柄列、22…識別情報列としての中図柄列、23…識別情報列としての右図柄列、50…主基板、63…表示制御基板のCPU、70A〜70I…識別情報としての図柄、110…表示制御基板、B…遊技球。